2016 年 11 月定例会 平成 27 年度決算認定に対する討論

2016年(平成28年)11月定例会討論[2016年12月16日]
  録画中継は県議会のホームページにてご覧になれます。

  日本共産党の大国陽介でございます。日本共産党県議団を代表して、一般会計及び特別会計、病院事業会計、水道事業会計の3件の決算認定について、「認定」とした委員長の報告に対し、反対の討論を行います。

 予算並びに決算は、政治の顔、政治の鏡であると言われています。議会における決算認定は、可決された予算が正確に執行されたか否か、計数が正確であるかどうかを審査するだけではなく、次年度以降の予算編成に資するため、広範な角度から住民の立場で行政を評価・検証するものであります。この立場から反対の理由を申し述べます。

 【認定第4号議案、平成27年度一般会計及び特別会計の決算認定】

 まず、認定第4号議案、平成27年度一般会計及び特別会計の決算認定についてです。
 いま、県民のくらしの実態はどうでしょうか。
 安倍内閣が進める「アベノミクス」と称する経済政策は、大企業と富裕層に巨額の富をもたらした一方で、労働者の実質賃金は3年のうちに、年額で17万5千円も減り、家計消費は実質13か月連続で対前年比マイナスとなるなど、格差と貧困を一層拡大させ、社会と経済の危機を一層深刻にしています。
 県内において、雇用者に占める非正規雇用の割合は35%を超え、経済的自立が困難と言われる年収200万円未満で働く労働者は約4割に上っています。ブラック企業、ブラックバイトがまん延しています。島根労働局が定期監督等を実施した企業のうち、法違反が認められ、是正指導が行われた事業場数は、73.6%にも上り、学生を対象にしたアルバイトの労働実態調査においても41.2%の学生に労働条件などのトラブルがあった、との結果が示されています。
 いま、世帯所得が100万円未満の世帯が1割を超え、世帯所得300万円未満の世帯は4割にも達しています。この上に、安倍内閣が進める社会保障削減路線によって、医療、介護、年金、生活保護など、暮らしを守るあらゆる制度が後退し続け、高齢化が進む地方の住民にとって、「将来が見通せず、明日のくらしが見えない」という深刻な影響をもたらしています。
 今の政治は、地方をさらなる衰退に追い込み、格差と貧困を拡大し、県民生活を一層苦しめるものに他なりません。
 地方自治体の役割は、地方自治法に規定されているとおり、「住民の福祉の増進」であり、住民のくらしと健康を守るために福祉を増進すること、住民の安全と安心を確保することこそが、本県行政が最優先とすべき仕事であります。
 県民のくらしが困難に直面しているとき、安倍政権の進める間違った政治を県政に持ち込むのか、それともそれに立ちはだかって、島根県政が県民のくらしの防波堤となる役割を果たすのか、このことが今、鋭く問われています。
 今、国民健康保険や介護保険などの負担に耐えられず、保険料を滞納し、また自己負担が重いために利用をためらうなど、必要な医療やサービスが十分に受けられないという、県民の健康と命を脅かす事態が進行しています。
 県政に求められているのは、くらしを守るための施策を抜本的に充実させること、国に対して県民の立場で発言し、行動することであります。国言いなりの県政から脱却し、住民の福祉を増進する自治体本来の役割を果たすことを強く求めます。
 以上の立場から、県民のくらしの実態と県政の施策を鑑みたとき、決算は不認定とせざるを得ません。
 各論的に10点申し上げます。
 第1に、職員定数削減など、総人件費の抑制によって、職員の士気や組織の活力が低下しています。そのことは、県民サービスの低下につながります。これ以上の職員削減は中止し、正規職員をはじめ臨時職員、嘱託職員の労働条件を改善させることを強く求めるものであります。
 第2に、事務事業の見直しによる一般施策費の削減によって、市町村へ負担が転嫁されました。住民に身近なサービスを提供する市町村への支援策を充実するべきであります。
 第3に、県税や社会保険料を滞納した低所得者に対する無慈悲な取り立てと差し押さえが横行しています。平成27年度の個人住民税の差し押さえ件数は1360件、国民健康保険料の差し押さえは565件に及んでいます。生活に困窮する県民への生活再建にこそ、力を注ぐべきであります。
 第4に、所得が減少し、生存権が脅かされるもとで、民生費、衛生費などの社会保障予算があまりにも貧弱であります。
 平成27年度、75歳以上が加入する後期高齢者医療保険制度において、保険料未納の制裁である短期証の発効件数は265件に及んでいます。
 国民健康保険では、加入世帯の約1割にあたる約8100世帯が保険料・税を滞納し、制裁措置としての保険証取り上げは473世帯にも及びます。
 介護保険では、平成27年度末の保険料未納者は3891人に及び、制裁措置によって、108名が給付の減額あるいは、高額介護サービス費を受給できない状況となっています。
 低所得者、生活困窮者が、福祉施策から排除される大変な事態が、現に県内で起こっているのであります。県政は、この実態を直視しなければなりません。高すぎる国保料を引き下げるために、県として市町村の国民健康保険会計に法定外独自支出金を拠出すべきであります。介護保険の負担軽減策を講じるなど、人としての尊厳を守る社会保障を抜本的に強化することを求めます。
 第5に、松江北道路の建設など、県民の理解と合意なき事業は中止すべきであります。また、県が行う建設事業に対して、市町村へ過大な負担を求めるべきではありません。
 第6に、農業においては、持続可能な農業経営の実現、島根農業の再生に向け、価格保障と生産コストをカバーする支援策を講じるべきです。また、県として、農林水産業を土台から破壊するTPPの協定案強行に対し厳しく抗議し、農業と農家・農村を守る決意を示すときであります。
 第7に、誘致企業頼み、大企業呼び込み型の産業振興策から脱却し、地域に根を張って頑張る中小企業、地場産業育成に、商工予算の軸足をシフトすべきです。地域に根ざした中小企業を支援してこそ、安定した雇用と仕事をおこすことができます。内発型、循環型の地域経済をめざした地域振興策を推進すべきであります。
 第8に、同和対策事業の特別措置法が終結したにもかかわらず、本県においては同和教育をすべての教育の基底に据え、同和教育を特殊化、別格化する立場に今も固執しています。民間の同和団体への突出した補助金支出が、逆に不公正を生み出しています。同和教育は終結し、運動団体への補助金は他の補助金との公平性を図るべきであります。
 第9に、子どもを苦しめ、学校を序列化し、教育現場を競争に駆り立てる学力テストの中止を求めます。ましてや学校別結果の公表など論外であります。真の学力向上の道は、少人数学級の推進や就学援助制度の拡充などによる教育の負担軽減など、子どもたちが安心して学べるよう、教育環境を整備すること。そして、多忙をきわめる教職員の勤務環境を改善し、経済的困難を抱え、子育てに不安を持つ保護者を支援することであります。
 本県の教育が、臨時適任用教職員によって支えられている現状を是正するために、正規教職員の採用を増やし、臨時教職員の待遇を改善することを強く求めます。
最後に、県民の命と健康、安全を守ることこそ、県政の最大の使命であります。安全な原発などあり得ません。県として、技術的に未完成の原発から撤退することを決断し、自然エネルギーの普及と促進に向け、更なる知恵と力を注ぐべきであることを強調するものであります。

 【認定第1号議案「平成27年度島根県病院事業会計決算の認定について」】

 次に、認定第1号議案「平成27年度島根県病院事業家計決算の認定について」です。
 県立中央病院では、希望者に対して2交代勤務が行われています。2交代勤務は、看護師の健康悪化、ひいては離職につながり、患者にとっては、安心・安全な看護の提供の面から有害であります。
 県民誰もが等しく安心して県立病院を受診できるように、紹介状のない受診時の加算料や差額ベッド料の徴収など、保険外負担の選定療養費徴収は廃止し、保険証一枚でかかれる公的医療保険制度の充実に努めるべきであります。

 【第122号議案「平成27年度島根県水道事業会計決算の認定について」】

 最後に、第122号議案「平成27年度島根県水道事業会計決算の認定について」であります。
江の川水道事業や斐伊川水道事業は、積算根拠、需要予測を見誤ったため、使わない水まで住民負担となっており、高い水道料金に市民からの悲鳴が上がっています。斐伊川水道事業は、人口増加による水需要の増加に対応することがその目的とされていました。しかし、この「人口が増加する」との当初の事業目的は完全に破綻しています。尾原ダムの水使用率は6割しかなく、4割の水は使われていないにもかかわらず、高い水道料金により、住民はその負担を強いられています。
 平成27年度の松江市の給水停止実施件数は、990件に上りました。県として高い水道料金を引き下げるため、受水団体への資本費負担軽減を図るなど、料金軽減策を講じるべきであります。

 日本共産党県議団は、今回の決算審査にあたって、全体会、分科会におきまして、120項目を超える質疑、資料の提供を求めました。決算審査の過程におきまして、執行部のみなさんから誠意あるご回答並びに資料のご提供を頂きました。心からの感謝とお礼をもうしあげ、討論をおわります。
平成 27 年度決算認定に対する討論 原稿 (ファイル形式: PDF / 132 KB)
尾村としなりの政策 プロフィール 1962 年大田市生まれ。
1985 年北九州市立大学法学部政治学科卒業後、松江民主商工会に就職。
島根県商工団体連合会事務局長、消費税廃止県各界連絡会事務局長、日産生命被害者の会事務局長など歴任。

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