2017 年 2 月定例会 委員長報告に対する討論

2017年(平成29年)2月定例会討論[2017年3月15日]
議事録及び録画中継は県議会のホームページにてご覧になれます。

 日本共産党の大国陽介です。日本共産党県議団を代表して、予算案3件、条例案6件について委員長報告に反対する討論を行います。

【第2号議案「平成29年度島根県一般会計予算」】

 はじめに、第2号議案「平成29年度島根県一般会計予算」についてであります。
 いま、県民のくらしの実態はどうでしょうか。
 安倍内閣が進める「アベノミクス」と称する経済政策は、大企業と富裕層に巨額の富をもたらした一方で、労働者の実質賃金は3年のうちに、年額で17万5千円も減り、家計消費は実質16か月連続で対前年比マイナスとなるなど、格差と貧困を一層拡大させ、社会と経済の危機を一層深刻にしています。
 この上に、安倍内閣が進める社会保障削減路線によって、医療、介護、年金、生活保護など、暮らしを守るあらゆる制度が後退し続け、高齢化が進む地方の住民にとって、「将来が見通せず、明日のくらしが見えない」という深刻な影響をもたらしています。
 今の政治は、地方をさらなる衰退に追い込み、格差と貧困を拡大し、県民生活を一層苦しめるものに他なりません。
 地方自治体の役割は、地方自治法に規定されているとおり、「住民の福祉の増進」であり、住民のくらしと健康を守るために福祉を増進すること、住民の安全と安心を確保することこそが、本県行政が最優先とすべき仕事であります。
 県民のくらしが困難に直面しているとき、安倍政権の進める間違った政治を県政に持ち込むのか、それともそれに立ちはだかって、島根県政が県民のくらしの防波堤となる役割を果たすのか、このことが今、鋭く問われています。
 今、国民健康保険や介護保険などの負担に耐えられず、保険料を滞納し、また自己負担が重いために利用をためらうなど、必要な医療やサービスが十分に受けられないという、県民の健康と命を脅かす事態が進行しています。
 県政に求められているのは、くらしを守るための施策を抜本的に充実させること、国に対して県民の立場で発言し、行動することであります。国言いなりの県政から脱却し、住民の福祉を増進する自治体本来の役割を果たすことを強く求めるものであります。
 この立場から、県民のくらしの実態に照らして本予算をみたとき、県民のくらしを守るための予算、福祉を充実させるための予算が、あまりにも不十分であります。よって、本予算案には賛成できません。

 各論的に10点申し上げます。
 第1に、職員定数削減など、総人件費の抑制によって、職員の士気や組織の活力が低下しています。そのことは、県民サービスの低下につながります。これ以上の職員削減は中止し、正規職員をはじめ臨時職員、嘱託職員の労働条件を改善させることを強く求めるものであります。
 第2に、事務事業の見直しによる一般施策費の削減によって、市町村へ負担が転嫁されています。住民に身近なサービスを提供する市町村への支援策を充実するべきであります。
 第3に、県税や社会保険料を滞納した低所得者に対する無慈悲な取り立てと差し押さえが横行しています。行政が一体となって住民の生活相談に応じる体制を整えるなど、生活に困窮する県民の生活再建にこそ、力を注ぐべきであります。
 第4に、所得が減少し、生存権が脅かされるもとで、民生費、衛生費などの社会保障予算があまりにも貧弱であります。
 後期高齢者医療保険、国民健康保険、介護保険における保険料滞納者に対する制裁措置や給付の制限が行われるなど、低所得者、生活困窮者が、福祉施策から排除される大変な事態が、現に県内で起こっています。
 県政は、この実態を直視しなければなりません。高すぎる国保料を引き下げるために、県として市町村の国民健康保険会計に法定外独自支出金を拠出すべきであります。介護保険の負担軽減策を講じるなど、人としての尊厳を守る社会保障を抜本的に強化することを求めます。
 第5に、松江北道路の建設など、県民の理解と合意なき事業は中止すべきであります。また、県が行う建設事業に対して、市町村へ過大な負担を求めるべきではありません。
 第6に、農業においては、持続可能な農業経営の実現、島根農業の再生に向け、価格保障と生産コストをカバーする支援策を講じるべきです。
 第7に、誘致企業頼み、大企業呼び込み型の産業振興策から脱却し、地域に根を張って頑張る中小企業、地場産業育成に、商工予算の軸足をシフトすべきです。地域に根ざした中小企業を支援してこそ、安定した雇用と仕事をおこすことができます。内発型、循環型の地域経済をめざした地域振興策を推進すべきであります。
 第8に、同和対策事業の特別措置法が終結したにもかかわらず、本県においては同和教育をすべての教育の基底に据え、同和教育を特殊化、別格化する立場に今も固執しています。民間の同和団体への突出した補助金支出が、逆に不公正を生み出しています。同和教育は終結し、運動団体への補助金は他の補助金との公平性を図るべきであります。
 第9に、子どもを苦しめ、学校を序列化し、教育現場を競争に駆り立てる学力テストの中止を求めます。ましてや学校別結果の公表など論外であります。真の学力向上の道は、少人数学級の推進や就学援助制度の拡充などによる教育の負担軽減など、子どもたちが安心して学べるよう、教育環境を整備すること。そして、多忙をきわめる教職員の勤務環境を改善し、経済的困難を抱え、子育てに不安を持つ保護者を支援することであります。
 最後に、県民の命と健康、安全を守ることこそ、県政の最大の使命であります。安全な原発などあり得ません。県として、技術的に未完成の原発から撤退することを決断し、自然エネルギーの普及と促進に向け、更なる知恵と力を注ぐべきであることを強調するものであります。

【第15号議案「平成29年度島根県病院事業会計予算」】

 次に、第15号議案「平成29年度島根県病院事業会計予算」についてです。
 県立中央病院では、希望者に対して看護師の2交代勤務が行われています。夜間・長時間労働の2交代勤務には、2つのリスクがあると言われています。一つは、心身に大きな負担がかかることで、注意力が低下し、事故発生率が高まるという「安全リスク」。もう一つは、睡眠障害、循環器系障害の他、人工照明を浴びることで乳がん、前立腺がんの発生率が高くなるという「健康リスク」です。
 2交代勤務は、看護師にとっては、健康の悪化、ひいては離職につながり、患者にとっては、安全・安心な看護の提供の面から有害であります。
 また、県民誰もが等しく、安心して県立中央病院を受診できるように、紹介状のない受診時の加算料や差額ベッド料徴収など、保険外負担の選定療養費徴収は廃止し、保険証1枚でかかれる公的医療保険制度の充実に努めるべきです。
 この立場から、病院事業会計予算には賛成できません。

【第18号議案「平成29年度島根県水道事業会計予算」】

 次に、第18号議案「平成29年度島根県水道事業会計予算」についてです。
 江の川水道事業や斐伊川水道事業は、積算根拠、需要予測を誤ったため、使わない水まで住民負担となっており、市民に高い水道料金が押し付けられています。さらに、各地で簡易水道の統合に伴う料金値上げも、実施または、実施予定となっています。県として、受水団体の資本費負担軽減を図るなど、財政措置を講じるべきです。
 よって、水道事業会計予算には反対です。

【第20号議案「島根県個人情報保護条例の一部を改正する条例」】
【第32号議案「知事の権限に属する事務の処理の特例に関する条例の一部を改正する条例」】

 次に、第20号議案「島根県個人情報保護条例の一部を改正する条例」ならびに、第32号議案「知事の権限に属する事務の処理の特例に関する条例の一部を改正する条例」についてであります。
 第20号議案は、個人情報保護法及びマイナンバー法の一部を改正する法律の施行を控え、条例を改定するもの、第32号議案は、障害者総合支援法に基づく精神通院医療の自立支援医療費についての所得状況に係る審査事務について、マイナンバーを利用した市町村の情報照会を可能とするためのものであります。
 マイナンバー制度は、憲法第13条で保障されている「個人の尊厳」「プライバシー権」を侵害するもので、その利用目的においても多くの問題点が指摘されています。
 マイナンバーが導入されているアメリカや韓国では何千万人という単位の個人情報が漏えいし、深刻な「なりすまし被害」も発生しています。
 マイナンバー制度の矛盾と問題点が浮き彫りになる中、利用範囲を拡大するのではなく、制度は中止・凍結し、廃止への検討を行うことが必要と考えます。
 よって、本条例案には反対であります。

【第21号議案「職員の給与に関する条例の一部を改正する条例」】

 次に、第21号議案「職員の給与に関する条例の一部を改正する条例」についてです。
 本条例案は、地方公務員法の改正に伴って、職員一人ひとりの職務遂行にあたって、能力と業績に基づき評価し、評価結果を賃金や任用などに反映させるようにするものです。
 現場の仕事は多様です。時間がかかっても丁寧に住民の相談に応じる職員、テキパキと処理件数を積み上げる職員、評価に上下はつけられません。多くの仕事は、同じ課やグループのチームワークで行われており、協力なしに成果を上げることはできません。その中に、上下を持ち込み、賃金に差をつけ、職員の人間関係を壊すのが、この制度であり、職員の執務意欲低下に直結します。
 また、職員が「良い評価」を得るために、首長や上司の意向に忠実な職員がつくられかねません。「住民より上司」となり、税の徴収率向上のために、住民の生活実態に目を背けるようなことがあっては、本末転倒であります。
 よって、本条例には反対であります。

【第26号議案「島根県核燃料税条例の一部を改正する条例」】

 次に、第26号議案「島根県核燃料税条例の一部を改正する条例」についてです。
 東日本大震災と福島原発事故から6年が経ちました。被災地では12万人を超える方がつらい避難生活を余儀なくされ、事故を起こした福島第1原発でも必死の作業が続けられています。原発事故から私たちが教訓にすべきは、「安全な原発などあり得ない」ということです。
 本条例案では、出力割の課税客体を「発電事業」から「運転及び廃止に係る事業」へと改め、廃止措置計画の認可後についても課税できるようになります。
 原発のない福島をめざす福島県は、2012年に「核燃料税は福島の状況にそぐわない」との理由により、核燃料税を廃止しています。
そもそも、核燃料税は電力事業者に課せられる税金とはいえ、その原資は、電気料金によるものであり、一般市民が負担するに等しいものです。
 安全対策に係る財源の確保は、国の責任の下で、これまで原発で利益を上げてきた電力事業者のみならず、原発メーカーやゼネコン、投資してきた金融機関などが負担することが妥当であり、安易に住民負担につながる方策をとるべきではありません。
 よって、本条例案には賛成できません。

【第30号議案「島根県国民健康保険運営協議会条例」】

 次に、第30号議案「島根県国民健康保険運営協議会条例」についてです。
 本条例は、2018年度から都道府県が国民健康保険の財政運営の責任主体となることに伴い、国保の運営協議会を設置するものであります。
 2018年度以降、保険料の決め方は様変わりします。都道府県が国保事業に必要な費用を「納付金」として市町村に割り振り、市町村は住民から保険料・保険税で集め、都道府県に納付することになります。市町村は、納付金の100%完納が義務づけられることから、収納率向上への圧力が強まることは必至です。
 高すぎる国保料が払えず、滞納世帯が続出している「国保の構造的危機」を解決するには、「都道府県化」は逆行そのものです。国保への国庫負担の大幅増額なしに、問題の解決はありません。
 よって、本条例案には反対であります。

【第34号議案「県立学校の職員定数条例及び市町村立学校の教職員定数条例の一部を改正する条例」】

 次に、第34号議案「県立学校の職員定数条例及び市町村立学校の教職員定数条例の一部を改正する条例」についてです。
本条例案は、児童数及び生徒数の変動等に伴い、職員定数を改定するものであります。
小・中学校の少人数学級編成や特別な支援を要する児童に対しての非常勤講師配置事業については、評価するものでありますが、本条例によって教職員定数は削減となります。
 今、学校現場に求められるのは、教員の多忙化を解消し、ゆきとどいた教育を実現すること、教職員がいじめに向き合う条件整備を強化することであります。本県の教育が、臨時的任用教職員によって支えられている現状を是正するためにも、正規教職員の採用を増やし、臨時教職員の待遇を改善することが必要であり、職員定数の大幅な拡充が求められる下での定数削減には賛同できません。よって、本条例案には反対であります。

 最後に、美保基地への空中給油機配備についてであります。
 安倍政権の際立つアメリカ追随外交と軌を同じくするように、全国各地で米軍や自衛隊の軍備増強が狙われており、航空自衛隊美保基地には、オスプレイにも給油可能となる新型の空中給油輸送機KC46Aが配備されようとしています。総務委員長の報告では、執行部から松江市、安来市からの回答を踏まえ4項目の意見を付して「同意したい」と説明があったとのことであります。
 この配備は、単なる騒音問題にとどまるものではなく、有事の際、周辺住民を危険にさらす事態になりかねないことを認識しなければなりません。
 日本の平和と、憲法を生かした外交を求めるものであり、今回の空中給油輸送機の配備は、県として同意すべきではないと言うことを改めて強調するものです。
 以上で討論を終わります。

2017 年 2 月定例会 委員長報告に対する討論 (ファイル形式: PDF / 269 KB)
尾村としなりの政策 プロフィール 1962 年大田市生まれ。
1985 年北九州市立大学法学部政治学科卒業後、松江民主商工会に就職。
島根県商工団体連合会事務局長、消費税廃止県各界連絡会事務局長、日産生命被害者の会事務局長など歴任。

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