2018 年 11 月定例会 平成 29 年度決算認定に対する討論

2018年(平成30年)11月定例会討論[2018年12月14日]
議事録及び録画中継は県議会のホームページにてご覧になれます。
http://www.shimane-pref.stream.jfit.co.jp/

 日本共産党の大国陽介です。
 日本共産党県議団を代表して、一般会計及び特別会計、病院事業会計、水道事業会計の3件の決算認定について、認定とした委員長報告に反対の討論を行います。
 予算並びに決算は、政治の顔、政治の鏡であると言われています。議会における決算認定は、可決された予算が正確に執行されたか否か、計数が正確であるかどうかを審査するだけではなく、次年度以降の予算編成に資するため、広範な角度から住民の立場で行政を評価・検証するものであります。
 その評価の基準に、第1に、憲法が定める生存権や財産権、幸福追求権など基本的人権を県政が保障しているのか、第2に、地方自治法が規定する住民の福祉の増進という自治体の役割を県政が発揮しているのか、ここに立脚し、物差しを置くべきであります。この立場に立って討論を行います。

【認定第5号議案「平成29年度一般会計及び特別会計の決算認定について」】

 まず、認定第5号議案「平成29年度一般会計及び特別会計の決算認定について」であります。
 今、地方は、住民の暮らしの困難、福祉、医療、農林水産業の危機、地域経済の衰退など、深刻な課題に直面しています。
 県民の暮らしの現状はどうでしょうか。県内において、正規労働者が減少する一方、非正規労働者はふえ続け、経済的自立が困難と言われる年収200万円未満で働く労働者は実に約4割に上っています。
 安倍内閣が進める大企業だけが潤うアベノミクス、地域産業の打撃となるTPP、FTA推進、社会保障切り捨てと消費税増税は、地方創生に逆行するものであります。この道は、地方をさらなる衰退へ追い込み、貧困と格差を拡大し、県民生活を苦しめるものにほかなりません。暮らしが大変になっているときだからこそ、国の暮らし圧迫の間違った政治を県政に持ち込むのか、それとも、それに立ちはだかって島根県政が県民の暮らしと福祉を守る防波堤の役割を果たすのか。このことが鋭く問われています。
 今日、国保や介護など社会保険料未納者が社会保障制度から排除され、県民の命が脅かされています。このゆゆしき事態を解決し、生存権を保障することこそ、県政の喫緊の課題であり、県政の使命であるはずです。国言いなり政治から脱却し、住民の福祉を増進するという、自治体本来の仕事に全力を尽くすときであります。
 以下、県政上の課題及び県政のあるべき方向を11点申し上げます。

【各 論】

 第1に、総人件費抑制策や事務事業の見直しによって、職員の士気や組織の活力が低下するとともに、市町村へ負担が転嫁され、県民サービスが縮小しています。職員定員削減は中止し、正規職員はもちろんのこと、臨時職員、嘱託職員の労働条件改善を強く求めます。生活交通確保対策交付金の拡充など、住民に身近なサービスを提供する市町村への支援策を充実すべきであります。
 第2に、県税や社会保険料を滞納した低所得者に対する無慈悲な差し押さえが実行されています。平成29年度の個人住民税の差し押さえ件数は1526件、国民健康保険料(税)の差し押さえは847件に及んでいます。生活に困窮した県民への生活再建支援策にこそ力を注ぐべきであります。
 第3に、所得が減少し生存権が脅かされているもと、民生費、衛生費などの社会保障予算が貧弱であります。
 平成29年度、75歳以上が加入する後期高齢者医療保険制度において、保険料未納による制裁措置として266件もの短期保険証が発行されています。
 国民健康保険では、本年10月時点で加入世帯の12.5%に当たる10897世帯が保険料、税を滞納しています。そして、その制裁の措置として、命綱である保険証の取り上げが479世帯にも達しています。
 介護保険では、本年6月の保険料未納者は4354人にも上ります。未納による制裁措置として110人が給付額減額措置となり、3割の利用料負担を課されました。貧困と格差が拡大し、低所得者や生活困窮者が社会保障制度から排除される深刻なる重大事態が起きているではありませんか。県政は、この実態、県民の苦悩を直視すべきであります。
 今年度からスタートした国民健康保険の都道府県化によって、保険料のさらなる値上げ、徴収強化が懸念されています。高い国保料、税を引き下げるために、県による独自財源投入を決断すべきであります。また、介護保険の負担軽減策を講じるなど、人間としての尊厳を守る社会保障を抜本的に充実することを求めます。
 第4に、宍道断層近傍に建設予定の松江北道路事業は、県民の理解と合意が得られておらず、中止すべきであります。土砂災害要対策箇所の整備率は18.7%、落石等通行危険箇所の整備率は37.8%でしかありません。災害に強い県土とは言えません。防災・減災型公共事業こそ最優先すべきであります。また、県が行う建設事業に対して、市町村へ過大な負担を求めるべきではありません。
 第5に、農業においては、持続可能な農業経営の実現、島根農業の再生に向け、価格保障と生産コストをカバーする支援策を講じるべきであります。県として、国に対し、TPP11、日欧EPA、日米FTAなど農産物の際限ない輸入自由化路線を中止し、米の需給や流通に責任を持つよう強く求めるべきであります。
 第6に、企業誘致頼みから脱却し、地域に根を張って頑張る中小企業、地場産業育成にこそ商工予算の柱をシフトすべきであります。地域に根差した中小企業を支援してこそ、安定した雇用と仕事を起こすことができます。内発型、循環型の地域振興策の推進を求めるものであります。
 第7に、同和対策事業の特別措置法が終結したにもかかわらず、本県においては同和教育を全ての教育の基底に据え、同和教育を特殊化、別格化する立場に今も固執しています。民間の同和団体への突出した補助金支出が、逆に不公正を生み出しています。同和教育は終結し、運動団体への補助金は他の補助金との公平性を図るべきであります。
 第8に、子どもを苦しめ、学校間の序列化を生み、教育現場を競争に駆り立てる学力テストの中止を求めます。学校別結果の公表など論外であります。真の学力向上の道は、少人数学級推進、就学援助制度の拡充、教育費無償化、教室へのエアコン設置など、子どもたちが安心して学べるための教育環境整備を進めることです。そして、多忙をきわめる教職員の勤務環境を改善し、経済的困難を抱え子育てに不安を持つ保護者を支援することであります。本県教育が臨時的任用教職員によって支えられている現状を是正するために、正規教職員の採用をふやし、臨時教職員の待遇改善を求めるものであります。
 第9に、災害おける被災者支援に全力を挙げると共に、地震と津波、台風・豪雨、火山災害など自然災害が多発している中、政治が本腰を入れた対応を行うことが求められています。被災者支援、復旧・復興への公的支援を抜本的に強化すべきであります。また、公共事業のあり方はもとより、医療・福祉の体制を災害対策という観点からも見直すことが必要です。
 第10に、米軍岩国基地は、厚木基地からの空母艦載機部隊の移駐完了によって、所属機が約120機へと倍増し、極東最大の米航空基地となりました。11月には戦闘攻撃機が沖縄県沖に墜落し、今月6日には同基地所属の戦闘攻撃機と空中給油機が高知県沖に墜落するなど、事故が多発しています。岩国基地の拡大・強化に伴って、県西部での無法な低空飛行訓練が拡大することは必至です。住民を危険にさらす低空飛行訓練やフレア発射訓練の中止、山口県萩市への「イージス・アショア」配備の中止を強く求めます。また、美保基地へのC2輸送機、空中給油機配備など軍備機能強化の中止を求めるものです。
 最後に、県民の命と安全を守ることこそ県政の最大の使命であります。安全な原発などあり得ません。実効ある避難計画は未策定であります。使用済み核燃料、高レベル放射性廃棄物の処理方法は未確立であり、核燃料サイクルは既に破綻しています。
 9月の北海道胆振東部地震では、全道が停電するブラックアウトが起きました。ここで示されたのは、電力の安定供給のためには、大規模集中発電から分散型発電への転換が必要だということです。原発は大出力でかつ出力の調整ができないという特徴を持ち、大規模集中発電の最たるものであります。
 県として、技術的に未完成な原発からの撤退を決断するとともに、分散型・再生可能エネルギーの大規模な普及と促進に向けてさらなる知恵と力を注ぐべきであります。

【認定第1号議案「平成29年度島根県病院事業会計決算の認定について」】

 次に、認定第1号議案「平成29年度島根県病院事業会計決算の認定について」です。
 県立中央病院では、希望者に対して2交代勤務が行われています。2交代勤務は、看護師の健康悪化、ひいては離職につながり、患者にとっては安心・安全な看護の提供の面から有害であります。
 県民誰もがひとしく安心して県立病院を受診できるように、紹介状のない受診時の加算料や差額ベッド料の徴収など保険外負担の選定療養費徴収は廃止し、保険証1枚でかかれる公的医療保険制度の充実に努めるべきであります。
 県立中央病院は、救急医療、地域医療、災害医療、周産期医療など、県医療計画に基づく政策的医療を推進し、県民にとってかけがえのない命綱の病院、宝の病院であります。平成29年度、救急医療では、ドクターヘリの基地病院として565件もの運航実績がありました。災害医療では、一昨年の熊本地震に続いて、今年度は7月豪雨災害の現場にDMATが派遣されています。地域医療では、へき地、離島などの公的医療機関に医師の不在を補うために、のべ274日の代診医派遣を行っており、医療の確保に貢献しました。引き続き県民の命と健康を守り、地域の健全な発展、医療水準の向上に努められることを心から期待するものであります。
 なお、中央病院の控除対象外消費税、いわゆる損税は平成29年度において、6億6000万円にも及び、純損失に匹敵します。健全な病院経営及び地域医療確保の観点からも消費税の増税など論外であります。

【認定第3号議案「平成29年度島根県水道事業会計決算の認定について」】

 最後に、認定第3号議案「平成29年度島根県水道事業会計決算の認定について」です。
 大田市、江津市に送水する江の川水道事業の施設利用率は、わずか42.9%です。その結果、大田市や江津市は県下トップクラスの高い水道料金となっています。島根県水道用水供給事業において、飯梨川水道事業の施設利用率は59.1%、同様に斐伊川水道事業は69.3%と低利用率であります。これら県営水道事業は、積算根拠、需要予測を見誤ったため、使わない水まで住民負担となっており、高い水道料金に市民から悲鳴が上がっています。
 地方公営企業法第3条の経営の基本原則には、「常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならない」と規定されています。それはすなわち、良質で安全な水を低廉な価格で供給することに他なりません。しかるに平成29年度の松江市の給水停止実施件数は、994件にも上っており、県として、高い水道料金を引き下げるため、受水団体への資本費負担軽減を図るなど、料金軽減策を講じるべきであります。
 なお、今国会で成立した改定水道法は、地方自治体の水道事業の運営権を民間企業に移す「コンセッション方式」を推進するものです。水道の民営化によって国民の命にもかかわる分野で利益が優先され、老朽化などの諸課題の解決に逆行し、住民サービスの後退を招くものであることを強く指摘するものです。

 日本共産党県議団は、今回の決算審査にあたって、全体会、分科会におきまして120項目を超える質疑と資料の提供を求めました。審査過程において、全ての執行部の皆さんから誠意ある御回答並びに資料の御提供をいただきました。心からの感謝とお礼を申し上げ、討論を終わります。
尾村としなりの政策 プロフィール 1962 年大田市生まれ。
1985 年北九州市立大学法学部政治学科卒業後、松江民主商工会に就職。
島根県商工団体連合会事務局長、消費税廃止県各界連絡会事務局長、日産生命被害者の会事務局長など歴任。

ホームに戻る
Copyright © Toshinari OMURA. All Rights Reserved.