2019 年 2 月定例会 知事提出議案に対する討論

2019年(平成31年)2月定例会討論[2019年3月1日]
議事録及び録画中継は県議会のホームページにてご覧になれます。
http://www.shimane-pref.stream.jfit.co.jp/

 日本共産党の尾村利成です。
 日本共産党県議団を代表して、予算案4件、条例案9件、請願5件について委員長報告に反対する討論を行います。

【第3号議案「平成31年度島根県一般会計予算」】

 まず、第3号議案「平成31年度島根県一般会計予算」についてであります。
 国会では、来年度予算案の審議が続いています。
 厚生労働省の毎月勤労統計の不正問題は、政府の信用を根底から破壊し、政府予算案そのものの前提を揺るがす重大事態であります。予算委員会の中央公聴会において、公述人から「統計不正の真相解明なくして予算決定を判断できない」との意見が出されています。そして、政府が10月に狙う消費税10%への増税については、消費低迷、経済への打撃を懸念する意見が相次ぎ、増税中止・見送りを求める声が上がっています。
 島根県の来年度予算案も政府予算案に基づき、消費税10%増税を前提にし、農産物輸入自由化、社会保障削減路線に対応する編成となっています。
 今、島根は県民のくらしの困難、福祉・医療の危機、地域経済の衰退、災害復旧対策など多くの課題に直面しながら、島根県民の暮らしと福祉を守り、「総合戦略」に基づく地方創生・人口減少対策に取り組んでいます。
 しかし、この島根や地方の頑張りに対して、国が「冷や水」を浴びせようとしているではありませんか。
 「消費税の増税を機に店をたたみます」「これ以上、農産物輸入自由化がすすめば、地域は終わってしまう」「消費税を上げながら、医療や介護の負担は増えている。あすの暮らしがみえない」―これら県民の「生の声」「怨嗟の声」を真正面から受け止めるべきです。
 安倍内閣が進める消費税増税と社会保障切り捨て、大企業だけが潤うアベノミクス、地域産業の打撃となるTPP、FTA推進は、地方創生、島根の再生に逆行するものであります。
 この道は、島根をさらなる衰退へ追い込み、貧困と格差を拡大し、県民生活を苦しめるものにほかなりません。暮らしが大変になっている時だからこそ、国の暮らし圧迫の政治を島根県政に持ち込むのか、それとも、それに立ちはだかって島根県政が県民の暮らしと福祉を守る防波堤の役割を果たすのか。このことが鋭く問われています。
 島根県政は、「住民福祉の機関」の役割を発揮し、住民の意思、民意を尊重し、暮らしを守る防波堤の役割を果たすべきであります。
 わが党県議団は、暮らしとふるさと島根を守るために、次の予算措置を求めるものであります。

 国民健康保険料・税の滞納世帯率は13%に達し、介護保険料未納者は4000人近くに及んでいます。生活困窮者が社会保障制度から排除される深刻なる重大事態が起きています。人間としての尊厳を守る社会保障を抜本的に充実するために、民生費、衛生費の増額を求めます。
 県内の農業就業人口は、年間1500人も減少しています。持続可能な農業経営の実現、島根農業の再生に向け、価格保障と生産コストをカバーする支援策を講じるべきであります。
 消費税10%増税は、中小業者をさらなる営業困難に陥れるものです。増税に反対すべきであります。そして、企業誘致頼みではなく、地域に根を張って頑張る地場産業育成にこそ商工予算の柱をシフトすべきであります。
 土砂災害要対策箇所の整備率は2割にも達しておらず、県土は脆弱です。防災・減災型公共事業こそ最優先すべきであり、住民合意のない松江北道路建設はキッパリ中止するべきであります。
 子どもを苦しめ、学校間の序列化を生み、教育現場を競争に駆り立てる学力テストは廃止すべきです。多忙をきわめる教職員の勤務環境を改善し、経済的困難を抱え、子育てに不安を持つ保護者に対する支援策を強化するべきであります。
 県民の命と安全を守ることこそ県政の最大の使命であります。安全な原発などあり得ず、実効ある避難計画は未策定であり、核燃料サイクルは破綻しています。
 県として、原発からの撤退を決断するとともに、分散型・再生可能エネルギーの大規模な普及と促進に向けてさらなる知恵と力を注ぐべきであります。
 以上の立場から、来年度予算案には賛同できません。

【第9号議案「平成31年度島根県国民健康保険特別会計予算」】

 次に、第9号議案「平成31年度島根県国民健康保険特別会計予算」についてです。
 国民健康保険の都道府県化がスタートして2年目を迎えました。都道府県化によって、県が各市町村に納付金を割り当て、市町村は住民から保険料を集め、県に納付する形で国保財政が運営されています。
 都道府県化によって、医療給付費水準の高い自治体や収納率が低い自治体が「見える化」され、市町村に給付の抑制や収納率向上などの圧力が加えられています。
 都道府県化のねらいは、医療費の削減であり、今日の国保の危機を招いた元凶は、国庫負担金の削減にあります。
 高い国保料・税を引き下げる道は、国庫負担金を増額し、市町村による一般会計繰り入れを増やすことです。そして、県が保険者となる以上、県の独自財源を投入すべきであります。
 よって、本予算案には反対であります。

【第18号議案「平成31年度島根県病院事業会計予算」】

 次に、第18号議案「平成31年度島根県病院事業会計予算」についてです。
 県立中央病院では、希望者に対して2交代勤務が行われています。2交代勤務は、看護師の健康悪化、ひいては離職につながり、患者にとっては安心・安全な看護の提供の面から有害であります。
 また、県民誰もがひとしく安心して県立病院を受診できるように、紹介状のない受診時の加算料や差額ベッド料の徴収など保険外負担の選定療養費徴収は廃止し、保険証1枚でかかれる公的医療保険制度の充実に努めるべきであります。
 よって、本予算案には賛同できません。

【第21号議案「平成31年度島根県水道事業会計予算」】

 次に、第21号議案「平成31年度島根県水道事業会計予算」についてです。
 県営水道事業の最大の問題点は、積算根拠、需要予測を見誤ったことにあります。そのため、使わない水まで住民負担となっており、高い水道料金に住民から悲鳴が上がっています。
地方公営企業法第3条の経営の基本原則には、「常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならない」と規定されています。それはすなわち、良質で安全な水を低廉な価格で供給することに他なりません。
 平成29年度の松江市の給水停止実施件数は、994件にも上っています。県として高い水道料金を引き下げるため、受水団体への資本費負担軽減を図るなど、料金軽減策を講じるべきであります。
 よって、本予算案には反対です。

【第30号議案「会計年度任用職員の報酬、費用弁償及び期末手当支給条例」】

 次に、第30号議案「会計年度任用職員の報酬、費用弁償及び期末手当支給条例」についてであります。
 地方公務員法及び地方自治法が改正され、2020年4月から会計年度任用職員制度が始まります。この制度は、正規職員を原則とする地方公務員法に、1年任用の会計年度任用職員という新たな仕組みを導入し、臨時・非常勤の大部分を移すものであります。
 条例案では、会計年度任用職員に期末手当を支給するなど勤務条件の前進面もあります。しかし、会計年度任用職員は「いつまでも非正規雇用」「いつでも雇止め可能」「生活できる賃金が保障されない」など様々な問題点があります。
 条例案では、幾度もの公募試験を経て10年、15年の経験を積んだ職員と、初めて任用された職員の報酬額が同一である現状は改善されていません。このようなことは、正規職員ではあり得ないことです。
 当事者のモチベーションを維持し、より質の高いサービスを提供、新しい人材確保の観点からも、再度の任用時には前年の「職務経験等の要素を考慮」して、より高い報酬水準とすべきであります。更新時の報酬引き上げで処遇改善を図るべきです。
 住民の安全・安心を守るために、「任期の定めのない常勤職員を中心とした公務運営」の原則を堅持すること、本格的・恒常的業務を担う非正規職員を正規化すること、非正規職員の雇用安定、待遇改善を図るべきであります。
 よって、本条例案には賛同できません。

【第32号議案「島根県手数料条例の一部を改正する条例」】
【第33号議案「使用料、手数料等の額の改定等に関する条例」】
【第39号議案「島根県産業技術センター条例の一部を改正する条例」】
【第41号議案「島根県立島根県民会館条例の一部を改正する条例」】
【第44号議案「島根県建築基準法施行条例及び知事の権限に属する事務の処理の特例に関する条例の一部を改正する条例」】
【第75号議案「島根県県税条例等の一部を改正する条例」】

 次に、第32号議案「島根県手数料条例の一部を改正する条例」、第33号議案「使用料、手数料等の額の改定等に関する条例」、第39号議案「島根県産業技術センター条例の一部を改正する条例」、第41号議案「島根県立島根県民会館条例の一部を改正する条例」、第44号議案「島根県建築基準法施行条例及び知事の権限に属する事務の処理の特例に関する条例の一部を改正する条例」についてであります。
 これら5件の議案は、本年10月からの消費税等の税率引き上げに伴い、県が徴収する各種使用料、手数料、利用料金の引き上げを行うものであります。
 消費税10%への増税は、実質賃金が伸びず、実質家計消費は低迷し、深刻な消費不況が続く中で、くらしと県経済に壊滅的な打撃を与えるものです。「賃金は上昇している」という消費税の増税根拠が崩れた以上、10%増税は中止すべきであります。
 よって、これら議案には反対であります。
 また、第75号議案「島根県県税条例等の一部を改正する条例」は、消費税率10%への引き上げに伴う景気対策として、自動車税の税率を引き下げるものであり、国税である特別法人事業税創設に伴う改正であります。特別法人事業税は、地方の財源を国が取り上げ、他の自治体に配分するもので、地方税制の原則に背くものであります。
 よって、本条例案には反対であります。

【第36号議案「島根県介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例」】

 次に、第36号議案「島根県介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例」についてです。
 本条例は、併設型小規模介護医療院において、併設の病院の医師により入所者の処遇が適切に行われる場合には、薬剤師、理学療法士を置かなくてよいとするものであります。
 この基準緩和によって、医療、介護の質の低下が懸念されます。人員配置基準の後退には反対であります。

【第38号議案「県立学校の職員定数条例及び市町村立学校の教職員定数条例の一部を改正する条例」】

 次に、第38号議案「県立学校の職員定数条例及び市町村立学校の教職員定数条例の一部を改正する条例」についてです。
 本条例は、児童数及び生徒数の変動等に伴い、職員定数を改正するものであります。
 本県単独の小・中学校の少人数学級編成や特別な支援を要する児童に対しての非常勤講師配置事業については、評価するものであります。
 今の教職員定数は、教員が本来の仕事をする上で絶対的に不足しています。教員の多忙化解消、ゆきとどいた教育の実現、教職員がいじめに向き合う条件を整備するために、職員定数の大幅な拡充こそ求められています。
 よって、本条例案には賛同できません。

【請願について】

 次に、請願についてです。

【「私学助成政策の抜本的拡充を求める請願」】

 請願第7号、第15号、第25号、第34号は、「私学助成政策の抜本的拡充を求める請願」であります。
 これら請願は、私立学校の運営費補助金の増額、就学支援金や施設整備費を増額し、「学費の無償化」をすすめること、入学金補助の制度化、給付制奨学金の拡充などを求めるものであります。
 県下の私立高校は、県内の公教育の発展に重大な役割を果たしています。また、多くの生徒が県内で就職し、地域経済の発展に多大なる貢献をしています。
 私学が建学の精神を堅持し、私学教育の役割、良さをさらに発揮していくために、学費負担の軽減と教育条件の維持・向上が不可欠であります。
 よって、これら請願の採択を求めます。

【「年金の毎月支給を求める請願」】

 最後に、請願第16号「年金の毎月支給を求める請願」についてであります。
 本請願は、年金の隔月支給を国際水準並みに毎月支給に改めることを求めるものであります。
 主要国の年金支給は、毎月支給が当たり前になっています。しかしながら、日本では、2ヶ月に1回の支給であり、後払いされた年金から天引きされる介護保険料や国民健康保険料は先取りされています。
 高齢者にとって、年金は生活費の柱です。家賃、公共料金など多くの支払いは月単位であり、日常生活は1ヶ月のサイクル、月単位で営まれています。
労働者の賃金をはじめ、議員報酬も月単位で支給されており、年金支給を毎月にしてほしいという高齢者の願意は当然のものです。
 よって、本請願の採択を求めます。
 
 以上で討論を終わります。
2019 年 2 月定例会 知事提出議案に対する討論 (ファイル形式: PDF / 266 KB)
尾村としなりの政策 プロフィール 1962 年大田市生まれ。
1985 年北九州市立大学法学部政治学科卒業後、松江民主商工会に就職。
島根県商工団体連合会事務局長、消費税廃止県各界連絡会事務局長、日産生命被害者の会事務局長など歴任。

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