2019 年 11 月定例会一般質問 (島根創生にあたっての知事の政治姿勢について、企業立地促進助成金について、平和問題について、ダム管理体制と事前放流のルール化について、防災備蓄物資整備について、原発問題について、教育問題について)

2019年(令和元年)11月定例会一般質問(2019年11月29日)
*県議会のホームページにて録画中継をご覧下さい。
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日本共産党の尾村利成でございます。

【1.島根創生にあたっての知事の政治姿勢について】
 まず、島根創生にあたっての知事の政治姿勢について伺います。
 「笑顔で暮らせる島根をつくる」という島根創生にあたって、その実現を台無しにし、「冷や水を浴びせる」冷たい風が国から吹いています。
 国は、9月に地域医療を壊す公立・公的病院の再編統合を指示し、10月から消費税10%増税を強行しました。そして、今、農林水産業や地域経済に大打撃を与える日米貿易協定の承認であります。
 厚生労働省は、公立・公的病院の再編統合に向けた議論を促すとして、全国424の病院名を一方的に公表しました。県内では4病院が名指しされ、地域住民、医療関係者に大きな不安が広がっています。公表した病院名リストの撤回を国に求めるべきであります。所見を伺います。地域医療を守り、充実させる知事の決意を伺います。
 消費税増税において、政府は、複数税率の導入やキャッシュレス決済のポイント還元、プレミアム付き商品券の発行などで消費の落ち込みを緩和できると言いました。しかし、買う場所や買い方などによって税率が5通りにもなる制度は、混乱を招いているだけです。
 商工会議所や商工団体からは「高齢の店主が多い中でキャッシュレスに対応できない。廃業が進み、淘汰が加速するのではないか」「軽減税率によって事務量が増えたし、確定申告も複雑になる。2023年のインボイス導入によって、新たに膨大な事務負担が発生し、免税業者が取引から排除されることになる。廃業がさらに増えるのでは」などの声をお聞きしてきました。
 事実、キャッシュレス決済、ポイント還元制度に参加する中小商店は全体の3割に過ぎず、増税によって消費は冷え込み、中小業者の売り上げ減少も深刻になっています。廃業、閉店する中小商店も目立ってきています。事業承継促進や後継者の確保も厳しくなっています。このままでは、小さな拠点づくりの推進がますます困難になるではありませんか。
 消費を回復し、中小業者と地域を元気にするためにも、消費税減税という暮らしと中小業者応援のインパクトある政策実行が必要であります。財源は、大企業と富裕層への応分の負担と無駄な経費の削減などで十分確保できます。消費税の減税、インボイス制度導入中止を国に求めるべきであります。所見を伺います。
 知事は6月議会で、活力ある農林水産業と農山漁村の実現に向けて、農業産出額100億円増の目標達成をめざすと宣言しました。しかし、政府は日欧EPAやTPP11、日米FTAに突き進み、農産物のさらなる輸入拡大をすすめようとしています。
 日欧EPAによる島根県の農林水産物の生産減少額は最大で約23億円、TPP11による生産減少額は最大で約24億円との試算が行われています。この上、日米貿易協定、日米FTA協定が締結されれば、さらなる生産減少は避けられません。
 TPP11、日欧EPA、日米FTAなど農産物の際限ない輸入自由化路線を転換し、大小多様な家族経営が安心して生産できるよう、農業を国の基幹的生産部門と位置づけるとともに、食糧自給率の向上を農政の柱に据えるべきと考えます。所見を伺います。
 笑顔で幸せな島根をつくる島根創生を実現するためには、民意に背く国の政治に、島根県政が唯々諾々と従うばかりで良いはずがありません。
 暮らしが大変になっているときだからこそ、国の間違った政治を県政に持ち込むのか、それとも、それに立ちはだかって県政が県民の暮らしと福祉、教育を守る防波堤の役割を果たすのかが、鋭く問われています。
 しかるに、県は県民の願いに反することを強行しようとしています。その一つがこの度、提案された少人数学級編制の後退、縮小であります。
 11月22日、知事は全国トップレベルの小中学校の少人数学級編制を縮小する方向で見直すことを正式に表明しました。その見直し財源を、放課後児童クラブの支援、子ども医療費助成の拡充に充てるというのであります。すなわち、子育て支援と教育をパッケージとして見直すスクラップ・アンド・ビルド論であります。
 この発表は、教職員や保護者に衝撃を与えました。関係者からは「少人数学級編制は維持してほしい。県は、学校現場の大変さがわかっているのか」「放課後児童クラブの支援を拡充したからといって、教育予算を削減することは許せない」など怒りの声が多数噴きだしています。
 今回の少人数学級編制縮小は、その事業の必要性、施策評価から出発したものではありません。子育て支援で4億3000万円をビルド(拡充)したから、少人数学級で3億円をスクラップ(縮小)せよというものであります。
 知事に伺います。この度の見直しは、教職員、保護者など関係者の意見を聴取した上での判断なのですか。十分な事業評価なしのスクラップ提案は、余りにも乱暴ではありませんか。所見を伺います。
 教育において、政治が果たすべきは、ゆきとどいた教育を実現し、教職員がいじめに向き合う条件を整備し、教員の多忙を解消する、ことにあります。少人数学級推進など、教育現場が喜び、歓迎する事業を前進させ、学力テストなど現場との合意・納得が得られていない事業こそやめるべきであります。
 この度の少人数学級見直し案に対して、県政への不信が増大しています。県民が喜び歓迎する少人数学級編制縮小の撤回を求めます。所見を伺います。
 少人数学級という「教育」と、放課後児童クラブ、子ども医療費助成という「福祉」を一つのパッケージとして整理し、「福祉を充実」するから「教育の削減」を認めよ、との「二者択一論」を迫るやり方は、県民の要求に「対立と分断」を持ち込むものではありませんか。この手法は、県民一丸となって、オール島根で「幸せな島根」をつくる島根創生計画に逆行するではありませんか。所見を伺います。
 やめるべきは、県民合意のない大型建設事業、原発稼働に向けたあらゆる動きであります。財源はここに求めるべきであります。松江北道路建設計画を中止し、原発ゼロこそ決断すべきです。安全・安心の再生可能エネルギー推進で、新たな雇用と産業をつくることこそ中山間地域をはじめ、県内各地を活性化させ、確かなる島根創生の道であることを強調するものであります。
 
【2.企業立地促進助成金について】
 次に、企業立地促進助成金について伺います。
 大企業呼び込みや特区による地域振興策は、全国各地で破綻しつつあります。工業団地造成による大型開発・インフラ整備や企業誘致のための優遇制度による助成や多額の補助金支出が財政を圧迫し、暮らしや福祉、地場産業のための施策が後景に追いやられ、それが地域経済の疲弊に拍車をかけてきました。
 立地企業への優遇制度による助成は莫大な金額となっています。この20年間で、設備投資に対する助成や土地取得に対する補助など立地企業に交付された企業立地促進助成金は300億円を超えています。ある1社だけでも、約70億円もの助成金が交付されています。
 さらに、税制においては、この5年間で13社が約6000万円もの不動産取得税(土地、建物)の課税を免除されています。
 この優遇に対して、地元の企業からは「誘致企業には多額の助成が行われている。助成金に上限を設定すべきではないか」「利益を上げている企業が設備投資をすることに よって、また県からの補助金が出るのはおかしい。もっと地元に寄り添った政治をしてほしい」との率直な声もお聞きしてきました。
 産業政策の在り方をすべての中小企業・地場産業・商店街を視野に入れた振興・支援策に転換する時ではないでしょうか。これまでの企業誘致頼みではなく、地域に根を張って頑張る地元企業、地場産業育成にこそ商工予算の柱をシフトすべきと考えます。所見を伺います。
 莫大な助成金を受け取っている企業には社会的責任があることを明確にすべきであります。地元業者との取引、地域に利益を還元する社会貢献活動の強化、雇用の正社員化を強力に要請すべきであります。所見を伺います。
 
【3.平和問題について】
 次に、平和問題について伺います。
 島根県内でも、無法な米軍機の低空飛行訓練や美保基地の機能強化など、危険な動きが具体化しています。県西部では、米軍機の低空飛行訓練によって、住民の安全が脅かされ続けています。学校や保育施設をはじめ、介護施設や医療施設などの上空を飛行することで、乳幼児、高齢者、病気療養中の方から、爆音と恐怖による極度のストレスや不安を訴える声が後を絶ちません。
 県東部においては、航空自衛隊美保基地に「C2輸送機」や大型輸送ヘリの配備に加え、2020年度以降、空中給油機の配備が計画され、さらなる基地機能強化がはかられようとしています。
 このような中、昨年12月、高知県沖で米海兵隊岩国基地所属の空中給油機と戦闘機が夜間の空中給油中に接触し墜落する事故が発生しました。この事故報告書によって、常軌を逸した規律違反が日常茶飯事に行われていたことが判明しました。米兵が「手放し操縦」「飛行中の読書」「スマホの自撮り」「薬物乱用やアルコールの過剰摂取」などを行っていたのであります。
 美保基地に配備予定の空中給油機は、米軍への給油も否定されていません。国に危険な空中給油機配備の中止を求めるべきであります。所見を伺います。
 日本の空で危険な飛行が繰り返されるのは、米軍に治外法権的な特権を与えている日米地位協定があるからであります。
 米軍に、全国どこでも部隊を自由に配備し、国内法を無視した訓練を認めるなどの異常な特権を与えている日米地位協定を抜本的に見直すべきであります。無法な米軍機の低空飛行訓練の即時中止を国に強く求めるべきであります。所見を伺います。

【4.ダム管理体制と事前放流のルール化について】
 次に、ダム管理体制とダムの事前放流について伺います。
 昨年の西日本豪雨、今年の台風15号、19号、21号などによる記録的な豪雨によって、大小の河川が氾濫し、土石流等が起こり、全国各地に甚大なる被害をもたらしました。
島根県においても、昨年、江津市をはじめとする流域自治体において溢水や内水による家屋等の深刻な浸水被害が多数発生しました。
 相次ぐ豪雨など自然災害の発生に住民の不安は増し、ハード対策及びソフト対策の抜本的強化が求められています。そして、想定外の自然災害に対し、事前放流など、ありとあらゆる治水対策を考えるべきであります。
 今後も河川施設を上回る異常洪水の頻発化が懸念されています。既存の施設を最大限有効利用する方策として、ダムの利水容量を一時的に活用する事前放流の実施が全国的に拡大されてきています。
 県管理ダムにおける事前放流ルール化の確立について、県の検討状況を伺います。また、県が管理する13ダムにおいて、洪水が長期化した場合のマンパワーの確保やダム管理職員の育成が必要であると考えます。県の取り組み状況を伺います。
 また、国が管理する尾原ダムにおいても、事前放流の運用ルールが定められました。このルール概要と利水者である企業局の認識、取り組みを伺います。

【5.防災備蓄物資整備について】
 次に、防災備蓄物資整備について伺います。
 防災対策の基本は、災害の発生を最小限に抑え、被害の拡大を防止することにあります。そして、災害発生に備えた応急対策・復旧対策を充実、強化しなければなりません。
災害時の備えについて2点伺います。
 一点目は、県は災害時の避難者数を最大で何人と想定し、備蓄をすすめていますか。県及び市町村の防災備蓄物資の整備状況はどうなっていますか。現在の備蓄状況をどう評価し、課題をいかに認識しているのか伺います。
 二点目は、県と市町村の備蓄連携の強化です。
 例えば、大田市では約1万5000本(500ml)の飲料水を備蓄していますが、備蓄ゼロの市もあります。浜田市では約5600個の簡易トイレを備蓄していますが、6市町村においては備蓄がゼロであります。すなわち、現状において、市町村における備蓄に対する考え方・対応がバラバラであります。県と市町村の備蓄状況を共有し、オール島根での備蓄連携を強化すべきではありませんか。所見を伺います。

【6.原発問題について】
 次に、原発問題について伺います。
 県は、島根原発の稼働について原子力規制委員会の審査後に規制委員会から説明を受け、県議会や鳥取県、松江市、周辺自治体などの意見を聞いた上で総合的に判断するとしています。国任せ、審査待ちの受け身の姿勢では、県民の命と安全を守ることはできません。
 新潟県は3つの検証委員会を立ち上げています。一つは「福島第一原発の事故原因の検証」、二つは「原発事故が健康と生活に及ぼす影響の検証」、三つは「万一原発事故が起こった場合の安全な避難方法の検証」であります。
 島根県としても、主体的に福島の事故原因、事故が健康に及ぼす影響、避難方法の検証など調査・研究などに取り組むべきであります。所見を伺います。
 11月8日から10日にかけて、原子力防災訓練が実施されました。訓練にあたって、ご尽力されたみなさんに敬意を表します。
 原子力災害時には、県内市町村や他県に避難者の受入をお願いしなければなりません。また、幼稚園・保育園、学校、病院、社会福祉施設は、毎年のように避難名簿の整理など避難マニュアルを作成しなければならず、多大なる労力を強いられています。
 原子力防災訓練に参加した住民からは「こんな訓練を一体いつまでやらないといけないのか」「避難訓練は結局、ふるさとを捨てる訓練であり、悲しくなります」との声も寄せられています。
 原発がある限り、毎年訓練を続けなければならず、膨大なる準備時間と予算、要員や物資を投入しなければなりません。しかし、「原発ゼロ」を決断し、使用済み核燃料の処理が終われば、その数十年後から原子力防災訓練をする必要はなくなります。そればかりか、原発事故に備えた避難計画の策定も不必要になります。大規模災害も頻発しています。島根原発を稼働しないことを決断すべきであります。
 知事にはっきり、この議場で答弁していただきたい。住民と関係自治体の同意や実効ある避難計画が策定されない限り、島根原発は稼働しないことを明確に宣言してください。
 福島第一原発事故から8年8カ月が経ちました。未だに事故は収束していません。それなのに、東京電力は無責任な対応に終始しています。関西電力の役員に多額の金品が渡されていた原発利権も明らかになりました。
 事故が起きても、責任を取らず、汚れた原発マネーを受け取っていた電力会社に原発を稼働する資格などないではありませんか。
 政治の責任で、他の電力会社についても、不正がないのかどうか、徹底的な調査を実施すべきことを求めるものであります。

【7.教育問題について】
 最後に、教育問題について伺います。
 まず、「1年単位の変形労働時間制」についてです。
 「1年単位の変形労働時間制」は、公立学校教員に残業代を支払うことなく、「繁忙期」に1日8時間、週40時間を超えて働かせることができるようにするものであります。この働かせ方は、今でも深刻な長時間労働をさらに助長するものであります。
 国は変形労働時間制施行の際の通知において、導入の前提として「恒常的な残業がないこと」をあげています。学校に「閑散期」などありません。そして、恒常的に残業がある学校は、変形制導入の前提など全くないではありませんか。所見を伺います。
 次に、少人数学級編制についてです。
 まず、教育委員会として、県独自の少人数学級編制をどう評価しているのか伺います。
 市町村においても、県のスクールサポートや、にこにこサポート事業のように、独自に支援員を配置する単独事業が実施されています。市町村が独自に実施するサポート事業の状況、ならびに市町村が独自に事業を実施する理由をお聞かせください。
 少人数学級は、子どもの悩みやトラブルに対応する上でも、子どもの発言の機会が増えるなど学習を豊かにする上でも重要な教育条件です。いじめ、不登校への対応、教員の多忙など、教育現場の現状に照らせば、さらなる少人数学級編制の充実こそ、現場の願いではありませんか。所見を伺います。
 教育は、子どもの学び成長する権利を満たすための社会の営みです。教育のかけがえのない使命を果たすために、少人数学級の見直しについて、現場や保護者などの「生の声」をしっかり把握し、その切実な声を県政にまっすぐ届けるべきであります。
 子どもたちを守るためにも、島根の未来のためにも、教育現場や県民の理解が得られないならば、少人数学級編制の基準見直しには応じられない、ということを教育長は表明すべきであります。
 以上で、質問を終わります。
2019 年 11 月定例会一般質問原稿 (ファイル形式: PDF / 370 KB)
尾村としなりの政策 プロフィール 1962 年大田市生まれ。
1985 年北九州市立大学法学部政治学科卒業後、松江民主商工会に就職。
島根県商工団体連合会事務局長、消費税廃止県各界連絡会事務局長、日産生命被害者の会事務局長など歴任。

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