2020 年 2 月定例会 知事提出議案、請願等に対する討論

 2020年(令和2年)2月定例会討論[2020年3月17日]
 議事録及び録画中継は県議会のホームページにてご覧になれます。
 http://www.shimane-pref.stream.jfit.co.jp/

 日本共産党の尾村利成です。
 日本共産党県議団を代表して、予算案4件、条例案3件、請願2件についての委員長報告ならびに「子ども・子育て支援施策の考え方に関する調査」についての委員長報告に反対する討論を行います。

【第2号議案「令和2年度島根県一般会計予算」】

 まず、第2号議案「令和2年度島根県一般会計予算」についてであります。
 日本経済は今、消費税大増税による打撃に、新型コロナウイルス感染症による打撃が加わって、深刻な大不況に陥りつつあります。
 しかしながら、国の来年度予算案は、昨年10月の消費税増税によって深刻化している暮らしや経済の実態を直視せず、この不況を打開する方策が措置されていません。また、新型コロナウイルス対策の予算措置も不十分であります。
 安倍内閣が進める消費税増税と社会保障切り捨て、大企業だけが潤うアベノミクス、地域産業の打撃となるTPP、FTA推進は、島根をさらなる衰退へ追い込み、貧困と格差を拡大し、県民生活を苦しめるものにほかなりません。暮らしが大変になっている時だからこそ、国の暮らし圧迫の政治を島根県政に持ち込むのか、それとも、それに立ちはだかって島根県政が県民の暮らしと福祉を守る防波堤の役割を果たすのか、このことが鋭く問われています。
 来年度予算案は、人口減少に打ち勝ち、笑顔で暮らせる島根をつくる島根創生計画の初年度の予算となります。
 その名にふさわしい予算案たるべく、わが党県議団は、暮らしとふるさと島根を守るために、次の予算措置、対応を求めるものであります。
 人口減少対策として、放課後児童クラブの利用時間延長など子育て支援予算を拡充するために、少人数学級編制事業が縮小されようとしています。問題なのは、少人数学級見直しにあたって、市町村や教育現場の意見を聞くことなく、縮小方向のたたき台が示されたことであります。この乱暴な手法に県民からの怒りと不満が噴き出すのは当然であります。
 事務事業の見直し、スクラップ・アンド・ビルドを進めるにあたって、市町村や関係団体、現場の意見を真摯に聞くべきであります。
 社会保障では、国民健康保険料・税の滞納世帯率は1割に達し、介護保険料未納者は4000人近くに及んでいます。生活困窮者が社会保障制度から排除される深刻なる重大事態が起きています。人間としての尊厳を守る社会保障を抜本的に充実するために、民生費、衛生費の増額を求めます。
 県内の農業就業人口は、年間1500人も減少しています。持続可能な農業経営の実現、島根農業の再生に向け、価格保障と生産コストをカバーする支援策を講じるべきであります。
 消費税10%増税は、中小業者をさらなる営業困難に陥れています。経済を立て直す決め手は、消費税5%への緊急減税の実現であります。そして、企業誘致頼みではなく、地域に根を張って頑張る地場産業育成にこそ商工予算の柱をシフトすべきであります。
 土砂災害要対策箇所の整備率は2割にも達しておらず、県土は脆弱です。防災・減災型公共事業こそ最優先すべきであり、住民合意のない松江北道路建設はキッパリ中止するべきであります。
 子どもを苦しめ、学校間の序列化を生み、教育現場を競争に駆り立てる学力テストは廃止すべきです。多忙をきわめる教職員の勤務環境を改善し、経済的困難を抱え、子育てに不安を持つ保護者に対する支援策を強化するべきであります。
 県民の命と安全を守ることこそ県政の最大の使命であります。県民の笑顔と幸せを奪い去るのが原発事故であります。安全な原発などあり得ず、実効ある避難計画は未策定であり、核燃料サイクルは破綻しています。
 県として、原発からの撤退を決断するとともに、分散型・再生可能エネルギーの大規模な普及と促進に向けてさらなる知恵と力を注ぐべきであります。
 島根県政は、「住民福祉の機関」の役割を発揮し、住民の意思、民意を尊重し、暮らしを守る防波堤の役割を果たすべきであります。

【第8号議案「令和2年度島根県国民健康保険特別会計予算」】

 次に、第8号議案「令和2年度島根県国民健康保険特別会計予算」についてです。
 国民健康保険の都道府県化がスタートして3年目を迎えました。
 都道府県化によって、医療給付費水準の高い自治体や収納率が低い自治体が「見える化」され、市町村に給付の抑制や収納率向上などの圧力が加えられています。
 国は2020年度から、国保料軽減のため、市町村が独自に行う法定外繰入の削減や保険料徴収強化の「努力」が足りない場合、交付金を減額するペナルティー措置を導入しようとしています。
 国保料・税が、協会けんぽなどの被用者保険と比べて、著しく高い要因は、世帯員の数に応じてかかる「均等割」、各世帯に定額でかかる「平等割」という、国保独自の保険算定式にあります。
 子どもの数が多いほど国保料・税が引きあがる「均等割」は、子育て支援に逆行するものであり、「均等割」「平等割」などの応益割は廃止すべきであります。
 高い国保料を引き下げるためにも、国庫負担金を増額し、市町村による一般会計繰り入れを増やし、県の独自財源を投入すべきであります。

【第16号議案「令和2年度島根県病院事業会計予算」】

 次に、第16号議案「令和2年度島根県病院事業会計予算」についてです。
 県立中央病院では、希望者に対して2交代勤務が行われています。2交代勤務は、看護師の健康悪化、ひいては離職につながり、患者にとっては安心・安全な看護の提供の面から有害であります。
 また、県民誰もが等しく安心して県立病院を受診できるように、紹介状のない受診時の加算料や差額ベッド料の徴収など保険外負担の選定療養費徴収は廃止し、保険証1枚でかかれる公的医療保険制度の充実に努めるべきであります。
 県立中央病院は、救急医療、地域医療、災害医療、周産期医療など、政策的医療を推進し、県民にとってかけがえのない命綱の病院、宝の病院であります。
 新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を受け、感染症まん延期における公立病院の重要性が改めて明白になりました。引き続き、県民の命と健康を守り、医療水準の向上に努められることを心から期待するものであります。

【第19号議案「令和2年度島根県水道事業会計予算」】

 次に、第19号議案「令和2年度島根県水道事業会計予算」についてです。
 県営水道事業の最大の問題点は、積算根拠、需要予測を見誤ったことにあります。そのため、使わない水まで住民負担となっており、高い水道料金に住民から悲鳴が上がっています。
 地方公営企業法第3条の経営の基本原則には、「常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならない」と規定されています。それはすなわち、良質で安全な水を低廉な価格で供給することに他なりません。
 県として高い水道料金を引き下げるため、受水団体への資本費負担軽減を図るなど、料金軽減策を講じるよう求めるものであります。

【第38号議案「島根県幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例」】

 次に、第38号議案「島根県幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例」についてです。
 幼保連携型認定こども園において、職員の数に算入することができる者は、原則として幼稚園教諭免許状を有し、かつ、保育士の登録を受けた保育教諭とされています。
 しかし、両方の免許等を受けている者が不足状況にあることから、いずれか一方の免許等を受けている者でよいこととする特例が設けられていました。
 本条例は、この特例の期間を5年間延長するものであります。
 こども園の「質」を保証するために、安易に特例期間を延長すべきではありません。資格等の取得促進の取り組みこそ強めるべきであります。
 以上の立場から、本条例には賛成できません。

【第42号議案「教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例」】

 次に、第42号議案「教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例」についてです。
 昨年12月4日に「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律」が成立しました。
 この法律は、公立の小・中学校の教員に、8時間労働の原則を崩し、1年単位の変形労働時間制を条例で導入可能とするものであります。
 本条例は、変形労働時間制導入に向けての規定整備の入り口にほかなりません。
 「1年単位の変形労働時間制」は、公立学校教員に残業代を支払うことなく、「繁忙期」に1日8時間、週40時間を超えて働かせることができるようにするものであり、この働かせ方は、今でも深刻な長時間労働をさらに助長するものであります。
 よって、本条例案には反対であります。

【第79号議案「島根県県税条例等の一部を改正する条例」】

 次に、第79号議案「島根県県税条例等の一部を改正する条例」についてです。
 本条例は、電気供給業に係る法人事業税についての課税方式を見直すものであります。具体的には、資本金1億円超の法人に対して、収入割に加えて付加価値割、資本割を課すものであります。すなわち、事業規模など外観から判断できる基準で企業への課税額を決める外形標準課税の導入であります。
 付加価値には単年度利益に加え、従業員の賃金総額も含まれるため、外形標準課税の導入によって賃金抑制を引き起こす恐れが生じます。外形標準課税は、憲法14条の平等原則の税負担、応能負担原則に反するものであり、本条例には反対であります。

【請願第9号「刑事訴訟法の再審規定の改正を求める意見書提出の請願】

 次に、請願第9号「刑事訴訟法の再審規定の改正を求める意見書提出を求める請願」についてであります。
 本請願は、無実の人を救い出す法制度を確立するため、現在の再審制度、すなわち、裁判のやり直しについての法改正を求めるものであります。
 現在、再審請求をするには、無実を主張する側が、過去の裁判で検討されなかった新規・明白な証拠を提出しなければなりません。しかし、証拠のほとんどは捜査権を持つ警察、検察の手元にあり、無罪証拠が隠されたまま、有罪が確定する事例が後を絶ちません。また、再審開始決定に対し、検察が理由もなく、不服申し立てを繰り返し、えん罪を晴らすために長い年月が費やされている現状にあります。
 再審は、えん罪に泣く人を救うための制度でなければなりません。
 よって、検察に再審のための証拠開示を義務付け、検察の不服申し立てを禁止するための法改正を求める本請願は採択すべきであります。

【請願第10号「現行の少人数学級制度の継続を求める請願書」】

 次に、請願第10号「現行の少人数学級制度の継続を求める請願書」についてであります。
 少人数学級編制は、一人一人の子どもにきめ細やかな指導ができ、いじめや不登校の防止につながってきました。少人数学級編制は、学校現場や保護者、県、県議会が、将来を担う人づくりこそ島根の未来をつくる確かな道につながるものと決断し、2017年に完全実施された事業です。教育現場からの評価も高く、島根の宝の事業であります。
 この宝を守りたいからこそ、県PTA連合会から県に少人数学級制度の現状維持を求める署名が約4万5000筆提出されました。請願者である、ゆきとどいた教育をすすめる会からも1万2000筆もの署名が提出されました。県議会は、この願意を厳粛に受けとめるべきであります。また、松江市、出雲市、雲南市の各議会からは、県に対し、現行制度堅持を求める意見書が提出されました。この議会の意思を重く受けとめるべきであります。
 教職員は、子どもの幸せを願い、学校業務に精励しています。島根県の少人数学級制度を心から喜び、歓迎しています。しかるに、今回の見直しは関係者の意見を聞かず、事業の必要性や成果などの事業評価をすることなく、財政的観点のみから提案されました。十分な事業評価なしのスクラップなど許されません。県民が喜び、歓迎する現行の少人数学級編制を堅持すべきであります。
 以上の立場から、本請願の採択を求めます。

【子ども・子育て支援施策の考え方に関する調査】

 最後に、子ども・子育て支援施策の考え方に関する調査についてです。
 子ども・子育て支援施策のパッケージ論とは、出生率を向上させるという人口減少対策のために、放課後児童クラブと子どもの医療費助成を拡充し、その一方で教育予算を削減するものであります。
 子育て支援と教育をパッケージとし、子育て支援拡充の財源確保のため、少人数学級編制を縮小する案は、余りにも乱暴であります。
 見直し、そして中止すべきは、子どもを苦しめ、学校間の序列化を生む学力テスト、総事業費250億円の県民合意のない松江北道路建設、原発稼働に向けたあらゆる動きであります。このことなしに少人数学級の縮小など許されません。県民合意のない事業、不要不急の事業、現場や県民が疑義を唱えている事業について徹底した精査、見直しを行うべきであります。
 放課後児童クラブと子ども医療費助成という「福祉」と少人数学級という「教育」を1つのパッケージとし、福祉を充実するから教育の削減を認めよという二者択一を迫る手法が県民の中に「対立と分断」を持ち込んでいます。
 今回の少人数学級編制の見直しと放課後児童クラブの拡充について、教育現場や保育現場、保護者の意見を十分に聞くことなく、市町村との協議も不十分なまま施策方向が示されました。この拙速なる政策・施策の提起は、教育現場や子育て関係者のニーズとマッチするどころか乖離しています。
 放課後児童クラブの利用時間を延長するために、支援員が足りないからといって、不足する支援員を人材派遣会社で賄うとの発想も余りにも安易です。
 人材派遣は子どもの成長を願う支援員をモノ扱いするものであり、子どもへの愛情、子どもの健やかな成長を願うものではありません。本気の子育て支援とは言えないではありませんか。県が現場の実情を把握せず、施策を後付けしたと言われても仕方ないではありませんか。
 こうしたやり方に対し、島根県政への不信と反発が広がるのは当然であります。
 県政の主人公は県民です。政策決定に当たっては、重要なプロセスがあるはずです。それは、上からの押しつけではなく、市町村や現場の声を聞き、現場の実態を調査し、双方向、循環型で政策を固めるべきであります。
 島根創生成功のカギは、市町村をはじめ、各団体、県民と力を合わせ、オール島根で「全世代が活躍できる島根」「夢と希望を持てる島根」をつくることにあります。
 現場の声に耳を傾けず、今回のパッケージ論のような「対立と分断」を持ち込む手法は絶対にとるべきではありません。
 以上の立場から、「子ども・子育て支援施策の考え方に関する調査」を了とした委員長報告には反対であります。

 以上で討論を終わります。
尾村としなりの政策 プロフィール 1962 年大田市生まれ。
1985 年北九州市立大学法学部政治学科卒業後、松江民主商工会に就職。
島根県商工団体連合会事務局長、消費税廃止県各界連絡会事務局長、日産生命被害者の会事務局長など歴任。

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