2022 年 5 月定例会一般質問 (島根大学医学部の不適切な検体管理について、世界に誇る憲法 9 条を守り生かす政治について、深刻な物価高騰からくらしを守る対策について、島根原発 2 号機再稼働の判断基準について)

2022年(令和4年)5月定例会一般質問(2022年6月3日)
*県議会のホームページにて録画中継をご覧下さい。
http://www.shimane-pref.stream.jfit.co.jp/

 日本共産党の尾村利成でございます。

【1.島根大学医学部の不適切な献体管理について】
 まず初めに、島根大学医学部の不適切な献体管理について伺います。
 今年4月、県の医療の中核を担う島根大学医学部で、信頼を大いに失墜させる不祥事が発覚しました。
 解剖学授業の実習に役立てるために献体を受けた50人のご遺体について、必要な防腐処置を行わないなど、不適切な対応を行っていたことが公表されました。
 島根大学医学部は、献体の主旨として、「ご遺体は何ものにも代えることができない大変尊いものであります。自分の遺体を使って勉強し、将来立派な医師になってくださいと願って献体してくださる人々の御心にすがらなければ医学教育は成り立ちません。献体するという崇高な御心に対する感謝の気持ちと、ご献体いただいた方々の期待に応えなければならないという使命と責任を自覚します」としているのであります。
 島根大学は、管理体制の不備が一因として、再発防止に向け、学内に委員会組織を立ち上げ、抜本的な組織の見直しと管理体制の強化を図るとしていますが、大学の内輪だけで解決されるような問題ではありません。
 献体として医学実習に用いられるべきご遺体が適切に保存されず、腐敗してしまったというのが事実であれば、刑法第190条の死体損壊罪にあたる可能性もあります。精神的苦痛を受けた遺族からは、損害賠償請求が行われることも想定されるのではないでしょうか。
 今回の事態は命の尊厳を踏みにじるような行為であり、重大な法律違反が疑われるような不祥事であります。また、将来の地域医療の担い手を育てる教育機関としての根幹に関わる問題であり、県内の医療人材の育成を島根大学医学部に大きく依存している島根県にとっても重大な問題と認識すべきと考えます。所見を伺います。
 県としても、献体を捧げた方やその遺族の尊厳を守るために、島根大学医学部が徹底的に原因を究明し再発防止対策を確立し、その内容を県民に説明するよう、大学に要請すべきと考えます。所見を伺います。

【2.世界に誇る憲法9条を守り生かす政治について】
 次に、世界に誇る憲法9条を守り生かす政治についてです。
 ロシアのウクライナ侵略が始まって、3か月余りが経ちました。プーチン政権は、ウクライナ侵略で3つの無法を犯しました。第一は、武力行使を禁止した国連憲章に違反する侵略であること、第二は、民間人への無差別攻撃や虐殺はジュネーブ条約など国際人道法に反する戦争犯罪にほかなりません。第三は、核兵器によって世界を威嚇することは国連憲章及び核兵器禁止条約に違反する許しがたい暴挙であります。
 わが党は「ロシアは侵略やめろ」「国連憲章を守れ」の一点で全世界が団結し、国際世論の力で包囲し、「国連憲章に基づく平和の国際秩序の回復」という、冷静で道理に立った解決方向を提案するものです。
 岸田首相は5月23日のバイデン米大統領との日米首脳会談で「日米同盟の抑止力と対処力」を強めるため、「日本の防衛力を抜本的に強化し、その裏付けとなる防衛費の相当な増額を確保する」と表明しました。さらに、ミサイルの脅威に対する「反撃能力」を含め、あらゆる選択肢を検討するとバイデン大統領に説明したといわれています。
 軍事力のさらなる強化に乗り出せば、果てしない「軍事対軍事」の悪循環を生み、戦争の危機につながりかねません。東アジアの平和に逆行する危険な戦略に突き進むことは許されません。
 「核抑止」とは「いざとなったら核を使う」ことが大前提です。広島・長崎の非人道的な惨禍を繰り返すこともためらわないという議論にほかなりません。唯一の戦争被爆国として、核兵器による「抑止」は絶対に認められません。
 この立場から3点伺います。
 第一に、ウクライナを支援するため、航空自衛隊美保基地のC2輸送機が、防弾チョッキ等の防衛装備品を運びました。米軍機やオスプレイへの給油も可能な空中給油機(KC-46A)の配備が着々と進められています。「敵基地攻撃能力」の御旗の下、今後、さらに美保基地の軍備機能が強化されれば、有事の際の標的となる危険性が増大するのではないでしょうか。美保基地の軍備機能強化には反対すべきと考えます。所見を伺います。
 第二に、相手国の「指揮統制機能等」まで攻撃する「敵基地攻撃能力」の保有が進められれば、岩国基地の強化と相まって、県西部の住民を苦しめている米軍の低空飛行訓練がさらに増大することが懸念されます。県として軍事力強化の戦略にはきっぱり反対し、「専守防衛」を堅持する立場で、米軍の低空飛行訓練中止を国に求めるべきであります。所見を伺います。
 第三に、島根県議会では、平成10年6月定例会で「核実験の禁止及び核兵器の廃絶に関する決議」を挙げ、平成20年9月定例会では「島根県非核平和宣言」に関する決議を行いました。
 さらに、平成21年11月定例会では「核兵器の廃絶と恒久平和を求める意見書」を可決しています。「核には核」で対抗する「核抑止」の考え方は、これら決議、意見書の精神に反するものであります。県内約700人の被爆者の願いは、核兵器廃絶であります。
 「核抑止」という呪縛を吹き払い、唯一の戦争被爆国として、核兵器禁止条約への参加を決断するよう、国に求めるべきであります。所見を伺います。
 憲法9条には、日本が再び侵略戦争を起こさないという決意とともに、広島、長崎の言語に絶する悲惨な体験をふまえて、人類を破滅に追いやるような戦争を再び起こさないという決意が込められています。戦争を起こさないために、9条を生かした外交に知恵と力を尽くすのが政治の役割であることを強調して、次の質問に移ります。

【3.深刻な物価高騰からくらしを守る対策について】
 次に、深刻な物価高騰からくらしを守る対策についてです。
 コロナ危機によって景気の低迷、生活困難が長期に及んでいるところに物価高騰が襲いかかり、県民のくらしは深刻な打撃を受けています。
 今の物価高は、コロナからの経済回復に伴う需要増、ロシアのウクライナ侵略と経済制裁によるエネルギーや小麦価格の上昇、異次元の金融緩和による異常な円安といった複合的な要因によるものです。
 以下、物価高騰からくらしを守るため、5点伺います。
 第一は、中小業者支援についてです。
 私はこの間、食料品製造、小売り、サービス業、金属加工、塗装、建具、金属製品製造などの業者から深刻なる実態をお聞きしました。
業務用冷蔵庫の部品などを加工しているステンレス業者は「昨年末以降、4回も原材料が値上げとなった。受注時の契約において、本体価格が決められており、原材料値上げ分の価格は転嫁できない」とのことでした。
 塗装業者からは「メーカーから塗料、シンナー製品を15%~40%値上げする文書が届いた。来年からコロナ融資の借り入れ返済も始まり、今後の営業は不安でいっぱいです」との声が寄せられました。
 建築・建設業者からは「住宅用建材設備メーカーからユニットバスは最大で39%、トイレは最大で33%との価格改定通知が届いた。いま見積書を出しても、今後どれだけ材料が値上げするかもわからず、恐ろしい」との心配な声をお聞きしました。
 食料品製造業者からは「せめて食料品は非課税にしてほしい。地元でお金が回るよう域内経済循環が必要」との声が寄せられました。
 このように、中小業者は原材料の急速な値上がりに直面し、顧客離れを覚悟して価格転嫁するか、利益を減らして値上げを抑えるかのぎりぎりの判断に迫られています。
 中小業者の切迫した事態への対応策として、中小業者への固定費補助などの直接支援、貸し付け条件変更や返済猶予など柔軟な対応、さらに消費税減税、零細業者の負担を増やすインボイス制度導入中止などが求められると考えます。所見を伺います。
 次に、農業経営への抜本的支援についてです。
 ロシアによるウクライナ侵略を機に世界の食料品価格が急騰し、国連は「第二次大戦以来の食料危機」と警告しています。中国など新興国の需要が急増し、気候危機などで農業生産は不安定化、世界の食料危機の長期化が懸念されています。食の海外依存の危うさは明白であります。
 一方で、肥料、燃料、飼料も軒並み高騰し、米価など農産物価格が低迷する中、多くの農業経営が窮地に陥っています。
 それにもかかわらず、政府は米価の大暴落を放置し、米も生乳の生産も減らし、自給率の低い麦や大豆、牧草の生産に欠かせない水田活用交付金までカットしようとしています。
 いまこそ海外依存から国内増産へと農政の大転換を図る時であります。価格保障・所得補償を抜本的に充実し、大規模化一辺倒をやめ、中小の農業経営への支援策を強化し、食料自給率を抜本的に向上させる施策を講じるべきと考えます。所見を伺います。
 次に、無慈悲な高齢者への差し押さえの中止についてです。
 今年4月から公的年金の支給額が0.4%引き下げられ、さらに10月からは、後期高齢者医療制度の自己負担の2倍化が予定されています。コロナ禍のもと、高齢者の人権・生存権を脅かす年金・医療制度の改悪は中止すべきであります。
 私が絶対に看過できないのは、介護保険料や後期高齢者医療保険料が払えない人に対する預貯金などの差し押さえであります。多くの高齢者の保険料は年金から天引きされる特別徴収です。しかし、年金が年額18万円未満の方は、自治体に直接支払う普通徴収となります。この普通徴収になる方が、保険料が払えず、滞納となっています。
 即ち、保険料が払えず、滞納になるのは1か月1万5000円程度の年金か、無年金などの低所得者の方々なのであります。
 令和2年度、介護保険料において、松江市では524件、約570万円もの年金差し押さえが実行されています。75歳以上の人を対象とした後期高齢者医療制度では、県内で74件、220万円もの差し押さえが行われています。
 年金を押さえられた高齢者は、どうやって暮らしていけばいいのでしょうか。無慈悲な差し押さえは中止すべきです。保険料が払えない人への生活支援はもとより、滞納処分を実施された人へのきめ細やかな支援を実施すべきと考えます。所見を伺います。
 次に、学校給食費についてです。
 学校給食も物価高騰で大きな影響を受けています。学校現場では栄養バランスや量を維持しながら、献立を工夫することで原価を抑える試行錯誤を続けています。しかしながら、こうした努力にも限界があり、給食費を値上げする自治体も出はじめています。
 こうした事態を受けて、政府の原油価格・物価高騰等の総合緊急対策では、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」の「コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分」を活用して、給食費の保護者負担の軽減に向けた取組を進めることが盛り込ました。
 コロナ禍で家計収入が減少するもと、子どもたちの健康を維持する学校給食には大きな意義があります。憲法26条は、義務教育の無償化を謳っており、学校給食費は無償化とすべきです。
 物価の高騰に伴って、学校給食の栄養バランスや量を維持するために必要となる価格上昇分については、地方創生臨時交付金を活用して、県立の定時制高等学校や特別支援学校の給食費の負担軽減を図るとともに、市町村においても小中学校の給食費の負担軽減が図られるように、県がリーダーシップを発揮すべきと考えます。所見を伺います。
 次に、公営住宅家賃についてです。
 新型コロナウイルス対策で中小事業者や個人事業主に給付された国や自治体の給付金・協力金などが収入に算入され、公営住宅の家賃が引き上げられる例が全国で相次いでいます。
 コロナで生活や事業が苦しくなった方々を支援するための交付金を受け取ったばかりに、公営住宅の家賃の支払いに悩まされるということになれば、まさに本末転倒と言わざるを得ません。
 この問題に対応するため、日本共産党が政府に見解をただしたところ、4月22日付けで、「給付金・協力金を家賃算定の対象外となる「一時的収入」とすることは「公営住宅の事業主体の判断」で可能とする政府の回答がありました。
 そこで伺います。島根県においても、県営住宅の家賃算定にあたっては、新型コロナウイルス対策で給付された国や自治体の給付金・協力金を家賃算定の対象外とするように対応すべきと考えます。所見を伺います。

【4.島根原発2号機再稼働の判断基準について】
 最後に、島根原発2号機再稼働の判断基準についてです。
 昨日、知事は、島根原発2号機の再稼働に同意すると表明しました。県政の重要課題である原発再稼働に関して、住民意思を正確・的確に把握することなく、余りにも拙速なる判断に対し、県民から失望と不安の声が巻き起こっています。
 私は、原発再稼働の判断基準として、一つに「県民の命と安全を守ることができるのかどうか」、二つに「県政の主人公である県民の理解と納得、合意が得られているのかどうか」の2点をモノサシとすべきと強調してきました。知事自身、昨年9月定例会の私の質問に対し、「県民の理解、合意ということが大事であるということは、大事な視点だと思っている」「判断について県民のみなさんのご理解がいただけるような内容であるように、そして判断をするにあたって、そのご理解ができるだけいただけるように臨んでいく」と答弁されたところであります。
 知事に伺います。
 県民からは不正続きの中国電力への不信、核のごみ処理が未確立、実効ある避難計画が未策定など、不安が渦巻いています。
 再稼働の判断にあたって、県民の合意は得られているとお考えですか。県民の命と安全を守ることが保障されていますか。お答えください。
 県民は、不正・不祥事続きの中国電力に原発を運転する資格はない、命を預けることはできないと考えています。
 知事も昨年9月、中電の幹部に対して、「中電は安全の意識が低く、緊張感や責任感が著しく不足している」と苦言を呈したではありませんか。
 先月には、またもや不適切事案が発覚しました。協力会社から依頼を受けた外部業者が、有効期限を自ら書き換えた身分証明書を使って原発構内に入構していたのであります。身分証明書の偽造を見落とした本事案は、中電の入構者管理に甘さがあり、原発のテロ対策や安全対策が不十分であることを改めて露呈したものではないでしょうか。
 現時点、本事案の原因究明はなされていません。再発防止対策も示されていません。この現状で拙速なる再稼働を認めれば、知事が県民の命と安全を守る責任を放棄したこととなるではありませんか。知事自身が「原発安全神話」に浸かっているということになるではありませんか。所見を伺います。
 中国電力に対し、本事案の経緯、原因を徹底的に明らかにさせ、実効ある再発防止対策を策定させ、県民への説明責任を果たさせるべきであります。如何ですか。
 福島原発では、破壊された原子炉建屋への地下水流入により、核燃料から溶け出した放射性物質を含む汚染水が増え続けています。このような中、東電は、地元の反対を押し切って、汚染水の海洋放出を決定し、原子力規制委員会は5月18日に東電の申請を認める審査書案を了承しました。
 この点で許せないのは、政府と東電は、地元漁業者に対し、「関係者の理解なしに如何なる処分も行いません」と約束していたことであります。
国民との約束を守らない政府と電力会社が信頼されるはずはありません。汚染水の海洋放出は、環境汚染のみならず、事故後11年にわたる福島の努力を台無しにするものではありませんか。こういう福島への裏切りが、国と電力会社への不信を広げていることを指摘するものであります。
 原発立地県の知事として、福島原発汚染水をめぐる政府の背信行為に対し、福島と連帯して強く抗議すべきと考えます。所見を伺います。
 国に対して、きっぱりとモノを言ってこそ島根原発の安全性や避難計画の実効性の確保など国が島根県と約束したことを確実に実行させる担保となるのではないでしょうか。所見を伺います。
 岸田首相は、ロシアのウクライナ侵略などに伴うエネルギー価格の高騰に乗じて原子力の活用を繰り返し発言しています。停止中原発の速やかな再稼働に向けて原子力規制委員会の審査、検査の効率化で再稼働を促進すべきとの議論も出されています。原発再稼働への前のめりは、重大事故を引き起こした痛苦の教訓を踏まえない、安全置き去りの姿勢と言わなければなりません。
 県民の命と安全を守るためには、国任せ・国に迎合する姿勢ではなく、県として主体的、能動的に対応する姿勢を持たなければなりません。
 安全協定第12条では、「島根県は周辺地域住民の安全確保のため特別な措置を講ずる必要がある場合は、中国電力に対して適切措置を求めることができる」と規定しています。原子炉の停止もできるという権限であります。
 中国電力はこれまで幾度も不適切事案を起こしています。
 そこで、伺います。県としてこれまで、この第12条の適切措置要求権を発動したことがありますか。
 2号機再稼働の条件は、中電の適正なる運転が担保されていることであります。安全性に疑念が生じ適正運転が担保されなければ、再稼働などあり得ないではありませんか。その際は、適切措置要求権を発動して原子炉停止を決断すべきと考えますが、如何ですか。
 県民の命と安全を守ることこそ、県政の最大の使命であることを強調して質問を終わります。
2022 年 5 月定例会一般質問原稿 (ファイル形式: PDF / 361 KB)
尾村としなりの政策 プロフィール 1962 年大田市生まれ。
1985 年北九州市立大学法学部政治学科卒業後、松江民主商工会に就職。
島根県商工団体連合会事務局長、消費税廃止県各界連絡会事務局長、日産生命被害者の会事務局長など歴任。

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