日本共産党県議団を代表して、予算案1件、条例案3件、請願1件について反対の討論を行います。
【第87号議案「令和6年度島根県一般会計補正予算・第1号」】
はじめに、第87号議案「令和6年度島根県一般会計補正予算・第1号」についてです。
本補正予算案には、債務負担行為として、企業局が実施する安来市切川地区工業用地造成事業に必要な各種調査に係る事業中止時の最大の費用負担として、昨年度中に対象企業と協定書の締結に至らなかったことから、改めて4億7100万円を設定しようとするものです。
この債務負担行為は、地質調査等の結果、予定地が工場立地に適さず、事業中止となった場合、本来企業が負うことになるリスクを、県が丸ごと肩代わりすることに他ならず、大企業・誘致企業“いいなり”となっている県政の「ゆがみ」が露骨に表れています。
公共の福祉の枠組みの下、企業の自由な経済活動は保証されるべきものと考えますが、今回の計画は、この枠を大きく超えるものであり、「住民福祉の増進」という自治体本来の役割に照らすとき、強い懸念を生じさせるものと言わざるを得ません。
よって、本補正予算案には賛成できません。
【第89号議案「特別職の職員の給与等に関する条例等の一部を改正する条例」】【議員提出第5号議案「議会の議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当支給条例の一部を改正する条例」】
次に、第89号議案「特別職の職員の給与等に関する条例等の一部を改正する条例」並びに、議員提出第5号議案「議会の議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当支給条例の一部を改正する条例」についてです。
これら2つの条例改定案は、特別職及び議員の報酬額を引き上げるためのものであります。
今、激しい物価の上昇、燃油、資材等の高騰、年金の実質的減額や医療費の負担増などの社会保障の後退で、県民の暮らしは厳しさが増すばかりです。
厚生労働省が行う毎月勤労統計調査によれば、所定内給与は伸びているものの、実質賃金は25か月連続のマイナスで、依然として物価の上昇に賃金が追い付いていません。
今必要なのは、社会保障を充実させること、経済政策を抜本的に転換すること、そして、政治の責任で労働者の賃上げと待遇改善を進めることです。
政治がまともな対策を講じていないもとで、知事や議員の報酬を引き上げることに、県民の理解は得られないものと考えます。よって、これらの条例改定案には賛成できません。
【第91号議案「特定地域の振興を促進するための県税の課税免除等に関する条例の一部を改正する条例」】
次に、第91号議案「特定地域の振興を促進するための県税の課税免除等に関する条例の一部を改正する条例」についてです。
本条例改定案は、地域再生法に基づく県税の課税免除等に係る減収補填措置の適用期間が延長されたこと等に伴い、本社機能を東京23区内から「地方活力向上地域」に移転する場合、及び既存企業が本社機能を拡充する際において適用している、事業税、不動産取得税、固定資産税の3つの県税の課税免除及び不均一課税を、令和7年度末まで延長しようとするものです。
所得に応じて、あるいは所有資産に応じて税を納めるのは、民主社会における税制の大原則であり、一部の体力ある企業を税で優遇することは、これに反するものと言わざるをえません。
国は、『東京圏への過度の人口の集中を是正する』といいながら、規制緩和による大規模再開発と公共投資による東京一極集中は聖域としています。地方の疲弊と東京一極集中を作り出したこの間の政策の総括も反省もありません。
いま行うべきことは、住民自治を発揮してがんばる自治体を応援することであり、農林水産業など地域資源を活用した仕事と所得の確保、すべての小規模事業者への支援、条件不利地域への地方交付税の大幅拡充、大都市圏の大型開発の見直しと地域密着、防災・維持管理優先の公共投資への転換こそ必要であります。
よって、本条例改定案には賛成できません。
【請願第10号「地方自治を無視する国に沖縄との対話を求める意見書の提出に関する請願」】
最後に、請願第10号「地方自治を無視する国に沖縄との対話を求める意見書の提出に関する請願」についてです。
昨年12月、沖縄県名護市への米軍新基地建設にかかわって、名護市南部・大浦湾の埋め立て予定海域にある軟弱地盤の改良工事を強行するため、国土交通大臣は、知事が応じるのを拒否してきた設計変更の承認を「代執行」しました。沖縄の地方自治と辺野古新基地反対の民意を乱暴に踏みにじるものと言わざるを得ません。
終戦直後、米軍統治下の沖縄では、新たな米軍基地建設のため、銃剣で武装したアメリカ兵が住民を追い出し家屋や農地をブルドーザーで敷きならして土地を強制接収する無法が行われてきました。今回の代執行は、まさに銃剣とブルドーザーによる土地強奪(ごうだつ)を思い起こさせる、まさに歴史に汚点を残すものではないでしょうか。
本請願は、名護市辺野古への米軍新基地建設について、一つに工事の見直しを求めること、二つに、沖縄県との対等な関係における対話によって、「辺野古唯一」ではない解決策を模索することについて、国に意見書の提出を求めるものです。
地方自治を破壊し、新基地を建設しようとする政府の一連の行動と辺野古を唯一の解決策とし新基地建設を強行する民意無視の姿勢は、許されるのもではありません。
先の国会で成立した改定地方自治法は、政府が「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」と判断すれば、国に地方自治体への広範な「指示権」を与え、自治体を国に従属させる仕組みをつくるものです。狙いは、沖縄の辺野古新基地建設の強行に見られるように、住民の意思を無視して有無を言わさず自治体を国に従わせることであり、憲法が保障する地方自治を根底から踏みにじるものであり、決して許されるものではありません。
地方自治を守るためにも、いまこそ沖縄と固く連帯する時ではないでしょうか。よって、本請願を不採択とした委員長報告には賛成できません。
以上、討論といたします。