日本共産党の尾村利成です。
日本共産党県議団を代表して、一般事件案1件、請願2件について委員長報告に反対する討論を行います。
【第126号議案「県の行う建設事業に対する市町村の負担について」】
まず、第126号議案「県の行う建設事業に対する市町村の負担について」であります。
本議案は、市町村に対し、建設事業に要する経費の一部を負担させることができるとした地方財政法や道路法などに基づき、県が行う建設事業に対して市町村の負担割合を定めるものであります。
砂防事業の急傾斜地崩壊対策事業や農業・農村整備事業の基幹農道整備事業など、防災や広域的な役割を果たす事業は、本来、県が行うべきものであり、市町村に負担を求めるべきではありません。
市町村負担のあり方を抜本的に見直すべきであります。
よって、本議案には賛同できません。
【請願第17号「再審法改正を求める意見書」採択について】
次に、請願第17号「再審法改正を求める意見書」採択についてであります。
本請願は、えん罪被害者を一刻も早く救済するために、再審法の改正を求める国への意見書の提出を求めるものであります。
具体的には、再審請求手続きにおける全面的な証拠開示の制度化と再審開始決定に対する検察官による不服申し立ての禁止、再審請求手続きにおける手続規定の整備を求めるものであります。
刑事事件の再審は、人権擁護の理念に基づいて、誤判による有罪の確定判決を受けたえん罪被害者を迅速に救済することを目的とする制度であります。
しかしながら、日本においては、「開かずの扉」と言われるほど、再審が認められることがまれであり、えん罪被害者の救済は遅々として進んでいません。
静岡地裁は、9月26日、1966年に発生した袴田事件で死刑囚として有罪判決を受けて服役した袴田巌さんに無罪判決を出しました。そして、検察当局は、昨日、8日、静岡地裁判決に対し、控訴を断念すると表明しました。袴田さんの無罪確定であります。
事件発生から58年、死刑確定から44年、袴田巌さんは、無実にもかかわらず殺人犯とされ、約48年に及ぶ獄中生活を強いられました。
2014年に静岡地裁で再審開始決定が出て、袴田さんは釈放されましたが、検察による不服申し立てにより、10年半もの間、やり直しの裁判が実現しませんでした。
なぜ、こんな非道なことが起こるのでしょうか。それは、現在の再審制度が抱える制度的・構造的問題にあります。
現在、再審請求をするには、無実を主張する側が、過去の裁判で検討されなかった新規・明白な証拠を提出しなければなりません。しかしながら、証拠のほとんどは捜査権を持つ警察、検察の手元にあり、無罪を裏づける証拠が隠されたまま、有罪が確定する事例が後を絶たないのであります。
また、長い年月をかけて再審開始決定を得たとしても、開始決定に対する検察官の不服申し立てによって、更に審理が長期化し、時には再審開始決定が取り消され、振り出しに戻るという事態も繰り返されてきました。
袴田事件の他にも、多くのえん罪事件があります。再審は、えん罪に泣く人を救うための制度でなければなりません。
よって、一刻も早くえん罪被害者の迅速な救済を可能とするためにも、本請願は継続審査とせず、採択すべきことを求めるものであります。
【請願第16号「島根原発2号機再稼働中止を求める請願」】
最後に、請願第16号「島根原発2号機再稼働中止を求める請願」についてであります。
本請願は、複合災害によって多くの傷病者が一挙に発生すると、その傷病者に十分な対応ができず、通常の医療も提供できなくなり、救われるべき多くの生命が失われる事態が起きるため、島根原発2号機の再稼働中止を求めるものであります。
請願提出者は、医療団体である島根県民主医療機関連合会であり、請願趣旨において慢性的な人手不足の医療現場の深刻なる実態を踏まえ、複合災害時の避難計画に実効性がないことを具体的に訴えています。
住民の避難計画について、医療・福祉関係者からは「大雨や地震に原発事故が重なれば大変なこととなる。マンパワーが全く足りない」「病気の人や高齢者にとって移動(避難)すること自体、命の危機につながる」との悲痛な声が出されています。
なぜ病気で苦しみ、重篤な人たちが転院・移動しなければならないのでしょうか。長年、この島根で暮らす人がなぜ避難しなければならないのでしょうか。島根から離れざるを得ないこと自体、県民の笑顔と幸せを奪うものではありませんか。
避難計画に実効性があると言っているのは、避難計画を策定し、避難計画を了承した国、内閣府であります。原発事故の際、避難を余儀なくされる住民、医療、福祉関係者からの実効性などない、との声に真摯に耳を傾けるべきであります。
福島事故から13年。福島事故は人々の幸せとふるさとを奪い去りました。
今年1月の能登半島地震、迫りくる南海トラフ地震をはじめ、頻発する地震に対し、県民の不安は高まっています。
科学者は「日本列島は地震の活動期に入った」と警告しています。島根原発直下には140キロもの活断層(宍道断層、鳥取沖断層)が走っています。大地震が発生し、島根原発で事故が起きたならば、美しい水の都、県都消失は避けられません。
島根原発2号機再稼働に対する県民の理解と納得はなく、再稼働への県民合意はありません。
原発事故は、県民の笑顔と幸せを奪い去ってしまいます。事故が起こってから、いくら悔やんでも遅いではありませんか。
原発ゼロこそ、島根の希望と未来ある道であることを強調するものであります。
よって、本請願の採択を切に、そして強く求めるものであります。
以上で討論を終わります。