2024 年 11 月定例会 知事提出議案、一般事件案に対する討論
2024-12-19 この記事を印刷
日本共産党の尾村利成でございます。
日本共産党県議団を代表して、条例案2件、一般事件案8件について、委員長報告に反対する討論を行います。
【第157号議案「島根県水と緑の森づくり税条例の一部を改正する条例」】
まず、第157号議案「島根県水と緑の森づくり税条例の一部を改正する条例」についてです。
本条例は、県民税の均等割の税率の特例として課する「水と緑の森づくり税」の適用期間を5年間延長するものであります。本税の課税税率は、個人であれば県民税均等割額年1000円に500円を加算する一律課税であり、所得の少ない人ほど税の負担割合が重くなり、不公平な課税方式といわざるを得ません。
よって、本条例には反対であります。
【第158号議案「島根県核燃料税条例」】
次に、第158号議案「島根県核燃料税条例」についてであります。
核燃料税は、原発立地に伴う安全対策などの財政需要の財源が必要になることから、県が独自に課税している法定外普通税で、昭和55年に導入され、5年ごとに8回更新されています。課税標準は、発電用原子炉に挿入された核燃料の価格に対して課税する「価額割」と、発電用原子炉の熱出力に応じて課税する「出力割」で構成され、発電用原子炉の設置者である中国電力に負担を求めるものであります。
2011年3月に原発事故の被害を受けた福島県は、原発推進の国のエネルギー政策とキッパリ決別しました。福島県は、2012年12月、「原発稼働を前提とする核燃料税は福島の状況にそぐわない」との理由から核燃料税を廃止したのであります。
県民の願いは、島根原発2号機の再稼働をストップし、安全・安心の「原発ゼロの島根」をつくることです。そのためにも、島根県政は、核燃料税など原発に依存する財政構造から脱却すべきであります。
核燃料税は、電力事業者に課せられる税金とはいえ、その原資は電気料金によるものであり、一般市民が負担するに等しいものであり、安全対策は、国が責任を持つべきであります。
県民の命と安全を守るためにも県政は、原発ゼロを決断すべきであり、原発稼働を前提とした核燃料税は廃止すべきであります。
よって、本条例には反対であります。
また、県は、中電から「原子力関係業務に係る職員人件費」を年5億円程度、負担してもらうことで合意しました。県民に見えず不透明な協議での決定は、談合そのものであり、財政民主主義に反するものであります。法的根拠なきままの負担金受領は危険であり、これ以上、原発マネーに依存すれば、県として中電に毅然とした対応が取れなくなることを警告するものであります。
【第164号議案「公の施設の指定管理者の指定について(島根県立美術館)」】
【第165号議案「公の施設の指定管理者の指定について(島根県立はつらつ体育館)」】
【第166号議案「公の施設の指定管理者の指定について(島根県立東部総合福祉センター)」】
【第167号議案「公の施設の指定管理者の指定について(島根県立西部総合福祉センター)」】
【第170号議案「公の施設の指定管理者の指定について(島根県立石見海浜公園)」】
【第171号議案「公の施設の指定管理者の指定について(島根県立万葉公園)」】
【第172号議案「公の施設の指定管理者の指定について(島根県立青少年の家)」】
【第173号議案「公の施設の指定管理者の指定について(島根県立古墳の丘古曽志公園)」】
次に、第164号議案、165号議案、166号議案、167号議案、170号議案、171号議案、172号議案、173号議案についてであります。
これらの議案は、美術館や体育館、公園などの県有施設を指定管理者制度によって、株式会社等の民間企業へ管理を指定しようとするものであります。
そもそも「公の施設」は、地方自治法第244条に規定されるように「住民の福祉を増進する目的」を持って、その利用に供するための施設でなければなりません。公の施設を、公共性を持たず、営利を目的とする民間会社に任せ、代行させて、果たして自治体の責任が果たせるのか、危惧するものであります。
よって、これら議案には反対であります。
なお、指定管理者制度の運用にあたって、「公の施設」に相応しく、業務の公共性や専門性が担保されるよう、次の4点を提案するものです。
第1に、施設の設置者として、直接の雇用関係の有無にかかわらず、それぞれの施設で働く労働者の雇用継続に責任を持つこと。
第2に、働く労働者の賃金・労働条件を県職員に準拠した処遇を行えるように、契約および指定管理料を改善すること。
第3に、適切に運営されている施設については労働者や利用者の不安をあおらないようにするため、「公募」によらず「非公募」で引き続きの指定を行うこと。
第4に、仮に「公募」する場合においても、「コスト優先」の考え方ではなく、施設の運営実態に基づき、業務の安定性や継続性、質が担保される選考基準と指定管理料にすること。
以上、4点提案し、討論を終わります。