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議会の取り組み

議会の取り組み詳細

2025 年 2 月定例会一般質問 (財界・大企業中心政治のゆがみと島根県政のあり方について、県民のくらしを守る県政のあり方について、企業誘致頼みから内発型、循環型の産業政策への転換について、日米軍事同盟絶対の政治のゆがみと島根県政のあり方について、島根原発 2 号機再稼働とプルサーマル運転、避難対策について)

28日前 2025-02-25 この記事を印刷

 日本共産党の尾村利成でございます。

【1.財界・大企業中心政治のゆがみと島根県政のあり方について】

 質問の第一は、財界・大企業中心政治のゆがみと島根県政のあり方についてであります。
 わが党が取り組んだ住民アンケートには物価高騰に苦しむ、くらしの悲鳴が寄せられました。
 アンケートには「お米もキャベツも驚くほどの値上げで、1円でも安いものを買うため、スーパーを駆け回っています」「ガソリン、電気代が高い。電気のスイッチをこまめに消しています」「洋服など新しい物は買いません」などの悲痛な声が寄せられ、約8割の人から「生活が苦しい」との回答がありました。
 今のくらしの困難の根底には「失われた30年」という大問題があります。30年間、賃金が上がらず、年金は目減りし、消費税と医療・介護の負担が繰り返し増やされたところに、物価高騰が襲いかかってきました。
 来年度の国の予算案では、軍事費が過去最大の8兆7000億円計上されています。これは文教関係費の約2倍、中小企業対策費の50倍にもなる異常な突出です。
 その一方、社会保障では、高齢化などにより当然増える「自然増」が1300億円削減され、年金支給額は実質0.8%の削減です。さらに、医療費が高額となった場合の自己負担限度額である高額療養費制度の上限額引き上げなど、「深刻な病に苦しむ人々へのあまりに冷たい」予算となっています。
 国民の切実な願いを実現するためには、軍事費増強をやめ、社会保障を充実させ、「財界・大企業中心」「アメリカいいなりの日米軍事同盟絶対」という「二つのゆがみ」を正さなければなりません。
 知事は、国政のゆがみを正すため、第2期島根創生計画において、国に求める3本柱の対策を掲げました。それは、一つに、行き過ぎた円安など、県民生活に深刻な影響を与える為替水準の是正を求める、二つに、大企業との対等な取引環境を整備する、三つに、税制の見直しなど、大胆で戦略的な政策による東京一極集中の是正を求めることであります。
 その具体的な動きとして、知事は先月24日の定例記者会見において、中小企業の賃上げに向けた政策として、「中小企業以外の法人税を上げて、財源を確保し、中小企業に対する様々な投資助成や省力化助成を行うべき」と主張されました。私はこの主張に対し、賛同するものであります。しかしながら、大企業への法人税引き上げなど、大企業優遇政策を是正することへの抵抗勢力の存在を直視しなければなりません。

(1)企業・団体献金の禁止について
 財界・大企業の総本山である日本経団連は、消費税増税や法人税減税、原発再稼働、社会保障費抑制など自らの要望を忠実に実行する自民党の政策と実績を高く評価し、会員企業に献金を呼びかけ、この20年間で自民党への献金額が464億円に上っています。
 また、電力会社や原子力関連企業などでつくる日本原子力産業協会から、自民党の政治資金団体「国民政治協会」への献金額は、2013年から2022年の10年間で70億円を超えています。原発推進企業がカネの力で原発を動かしているのであります。
 こうしたカネで政策が歪められている現状を正すことなしに、知事が求める国の政策転換は期待できません。営利目的の企業が献金するのは、政治に対する影響力を行使するためです。営利目的の企業による献金が必然的に賄賂性を帯び、国の政策を歪めていることを正すためにも、企業・団体献金の全面禁止が必要と考えます。財界いいなりで、カネで動く政治を終わらせるために、企業・団体献金を禁止することこそ、島根創生への道と考えます。所見を伺います。

(2)中国電力からの5億円負担金受領について
 企業献金など企業との弊害については、島根県政も無縁ではありません。それは、中国電力と島根県との関係であります。
 令和7年度の当初予算において、中国電力からの原子力関係業務に従事する職員人件費負担金が計上されています。その中身は5億円の負担金のうち、県が3億4000万円活用し、残り1億6000万円を県から立地・周辺4市へ交付するものであります。
 こうした法的根拠が極めて疑わしい中国電力からの企業献金とも言うべき負担金受領は、原発マネーに依存する県の財政構造をさらに加速させ、島根県政のあり方を歪めるものではありませんか。所見を伺います。
 負担金受け入れについては、その積算根拠や使途、法令違反を繰り返す中国電力から負担金を受け取ることの妥当性、さらに中国電力との交渉経過等について県民への説明責任を十分に果たすとともに県民の意見を十分に聴くべきであります。所見を伺います。

【2.県民のくらしを守る県政のあり方について】

 次に、県民のくらしを守る県政のあり方についてです。
 「財界・大企業の利益優先」の政治のゆがみは、島根県政にも暗い影を落としています。今、地方は住民のくらしの困難、福祉、医療、農林水産業の危機、地域経済の衰退など、深刻な課題に直面しています。

(1)ナショナルミニマム保障について
 県の来年度予算案では、子ども医療費助成事業の拡充が盛り込まれています。その内容は、今年4月から18歳までの医療費助成を全19市町村に拡大し、市町村独自の子育て支援施策を充実するものであります。この助成事業拡充に対し、喜びの声が広がっています。
 一方、今日の島根の発展をつくってこられた高齢者への施策は、どうでしょうか。
 財界は「社会保障の給付が高齢者に偏っている」など「世代間対立」を煽りながら、社会保障の改悪を強行してきました。
 今、現役世代の「介護離職」が年間10万人に上るなど、家族の介護負担が重くなる事態が広がっています。だれもが、高齢者になります。まともな年金が保障されないという現実は、若い世代にとっても「未来の自分の姿」であり、若者が将来に希望を持てなくなる一因ではないでしょうか。
 県内においても、「十分な医療や介護が受けられない」「バスの減便で移動できない」など、過疎地を中心にナショナルミニマムが保障されない事態が年々拡大しています。
 第一義的にミニマム保障は国の責務ですが、国がその責任を果たさない中、国に制度改善を求めるとともに、自治体として高齢者の人権と尊厳を守るための必要なる対応、施策に注力すべきと考えます。如何ですか。
 緊急対応として、昨年4月、政府が引き下げた訪問介護の基本報酬は早急に元の水準に戻すべきです。このままでは、中山間地域の介護サービスは崩壊してしまいます。国に対し、削減されてきた介護報酬の底上げを求め、県として介護事業所の経営の存続に向けた積極的な支援策を講ずべきであります。所見を伺います。

(2)水道料金引き下げについて
 次に、水道料金についてです。
 水道料金は国主導のもと、資材費等の物価高騰に加えて、施設の老朽化や人口の減少によって値上げが避けられないとの認識が広がっています。水道料金は、現在でも県内で2倍の料金格差がある中、今後、松江市をはじめ、さらなる料金値上げが計画されています。
 国は、水道料金の値上げを抑えるために、水道事業の広域化や民営化を進めようとしています。しかし、過疎化が進む島根県内においては、人口密度や水道インフラの密度が低く、広域化による規模の経済が有効とは言えません。ましてや、民営化など夢物語であります。
 こうした地方の実態を国に訴え、広域化・民営化の推進だけではなく、水道を生活権・生存権に基づくナショナルミニマムの立場から、地方自治体の適正な水道料金の下での水道事業継続のため、公的な社会保障制度に準じて国の財政負担を大幅に増やすことを国に求めるべきと考えます。所見を伺います。
 島根県は、企業局において県内自治体に対する用水供給事業を行っており、島根ミニマムの立場から適正な用水供給料金を考えていくべきであります。
 県では、江津地域拠点工業団地の分譲価格を引き下げるため、公営企業会計の電気事業会計の利益剰余金を一般会計に繰り出し、災害時等の特例措置として、地方公営企業法第17条の3に基づいて一般会計から宅地造成事業会計へ10億円繰り出すことを計画しています。企業が買う団地への補助であります。
 今、優先すべきは、企業誘致のための財政出動より、物価高騰に苦しむ住民への負担軽減、民生支援ではありませんか。災害とも言うべき物価高に対処するため、県東部の4市と1企業団に水道用水を供給する「島根県水道用水供給事業」と、県西部の2市に供給する「江の川水道用水供給事業」の用水供給料金を引き下げ、住民の水道料金を引き下げるためにも、一般会計から水道事業会計への繰り出しが必要と考えます。所見を伺います。

(3)企業誘致頼みから内発型、循環型の産業政策への転換について
 次に、企業誘致頼みから内発型、循環型の産業政策への転換についてです。
 株式会社・出雲村田製作所は、用地確保や用地造成事業など県の全面的な応援を得て、安来市での新工場設置に動き出しました。約108億円もの概算事業費を見込み、令和12年頃の工場完成をめざし、操業時は200人程度、将来的には1000人規模の雇用を計画しています。東部地域にまたもや巨大工場ができるのであります。
 今でさえも、地場企業・既存事業所から当該企業への転職が相次いでいます。限られた労働力人口のもと、すでに労働者の争奪戦が県内各地で顕在化しており、新工場完成によって、地場企業・既存事業所の人手不足に拍車がかかるのではありませんか。如何ですか。所見を伺います。
 私は、県土の均衡ある発展を願うものです。日本の中での東京一極集中是正こそ地方創生の要であり、島根の中においては、東部一極集中の是正が求められます。東部地域と西部、隠岐地域の均衡ある発展に向けては、中小企業支援こそ強化すべきではないでしょうか。所見を伺います。
 出雲村田製作所に対しては、現行の企業立地促進条例が制定された平成4年度以降、今日までに100億円を超す助成金が交付されています。
 こうした一企業に莫大な税金がつぎ込まれるという、大企業を過度に優遇する助成制度は見直すべきではないでしょうか。
 新型コロナ感染拡大の長期化により、多くの中小業者の経営がかつてない危機に直面しました。さらに、物価高、原油・原材料の高騰と急激な円安が中小業者の経営に重大な困難を与えています。インボイス制度の中止、社会保険料負担軽減への支援策、中小企業の賃上げへの直接支援など、島根県中小企業・小規模企業振興条例を実効あるものにするべきと考えます。所見を伺います。

【3.日米軍事同盟絶対の政治のゆがみと島根県政のあり方について】

 次に、日米軍事同盟絶対の政治のゆがみと島根県政のあり方についてです。
 2015年9月に安倍政権は、集団的自衛権の行使を可能にする安保法制を強行しました。そして、2022年末に岸田政権が「安保3文書」を策定し、他国の領土にミサイルを撃ち込む「敵基地攻撃能力」の保有や5年間で43兆円もの軍事費をつぎ込む大軍拡がすすめられています。
 トランプ大統領は「アメリカ第一」を露骨に表明し、パナマ運河を「取り戻す」「領土を拡大する」などと宣言し、「パリ協定」やWHOからの離脱など、国際的な孤立を深める道を進んでいます。そのトランプ政権に日本政府が「日米同盟絶対」の立場で臨んでおり、この道は国際的に孤立したトランプ政権と心中することになるのではないでしょうか。
 憲法9条を持つ日本が進むべき方向は、日米軍事同盟絶対の「戦争国家づくり」をやめ、外交の力で平和をつくることであります。
 県西部においては、危険な米軍機の低空飛行訓練が拡大しています。一昨年12月には、米軍岩国基地の海兵隊所属の空中給油機が浜田市中心部の住宅地で危険な空中給油を実施したことも明らかになりました。
 また、航空自衛隊・美保基地でも、C2輸送機や新型空中給油機が4機配備され、軍備機能強化が図られています。今後、空中給油機は、さらに追加配備されようとしています。
 さらに、境港においては、国による「特定利用港湾」指定により、自衛隊が武器・弾薬等の物資輸送が可能となるなど境港の軍事利用、軍港化が狙われています。
 このように県内においても、日米同盟絶対のゆがみの結果、県民の命と安全が脅かされています。
 無法な米軍機の低空飛行訓練や美保基地の軍備機能強化をやめさせ、県民の命と安全を守る道は、アメリカいいなりの日米軍事同盟絶対の政治から抜け出すことにあると考えますが、所見を伺います。

【4.島根原発2号機再稼働とプルサーマル運転、避難対策について】

 最後に、島根原発2号機の再稼働とプルサーマル運転、避難対策について伺います。
 昨年12月7日、中国電力は、島根原発2号機の再稼働を強行しました。
 わが党が実施したアンケートでも、2号機再稼働反対の回答が多数を占めました。県民は再稼働に納得していません。
 2号機が再稼働した直後の12月12日、新規制基準に基づいて設置された「原子炉の水位計の運用」について、社員が適切に理解していないことが露呈しました。
 この事案について、中国電力の説明は「設備担当部署と運転担当部署の間で、設備についての情報連携が十分でなかった」というものでしたが、これは、決して一担当者の初歩的ミスではありません。
 本事案は、中国電力の会社風土の中で、他部門のことには関知しないというセクショナリズムがはびこっていることの現れではありませんか。
 すなわち、こうした会社風土の中で、中国電力が設置した社長直轄の原子力安全監理部門が部門を超えて、原発の安全神話の払しょくを図ることなど、到底できないではありませんか。中国電力の言い分を鵜呑みにせず、島根県として、実効性のある中国電力の組織風土改革を求めるべきであります。所見を伺います。
 県民の命を守るために、県は中国電力に対し、毅然たる対応を取るべきであります。具体的には、安全協定の実効性を担保するために、協定違反にあたってのペナルティー条項を新設すること、中国電力の運転の安全性に疑念が生じ、適正運転が担保できない際には、適切措置要求権を躊躇なく発動し、原子炉停止を決断することを強く求めるものであります。
 島根原発2号機では、2月20日、格納容器内の水素濃度や酸素濃度を測定する機器2系統のうち1系統の数値が確認できなくなり、運転上の制限を逸脱する事案が発生しました。これからも、いつどのようなトラブルが起きるかもわかりません。そもそも運転開始から36年を経過した老朽原発であります。
 中電は、2号機において、プルトニウムを燃やす危険なプルサーマルを計画しています。県は2009年3月にプルサーマル導入を最終了解しました。今から、15年以上前のことであります。
 県がプルサーマルを最終了解した2年後の2011年にプルサーマル運転を行っていた福島第一原発3号機が爆発しました。
 原発から30キロ圏内の出雲、安来、雲南3市が、中電と安全協定を締結したのは、福島原発事故後であり、これら3市は全くプルサーマル議論に加わっていません。
 2号機再稼働にあたって、使用済み核燃料は増え続けてしまいます。住民が全く理解しないもとでのプルサーマル運転が計画されているのであります。
 中国電力は、老朽原発の安全性、使用済み核燃料の処理方法、プルサーマル運転について、県民への丁寧なる説明会を行うなど説明責任を果たすべきであります。あわせて、再稼働を了承した県としても、県民の不安を払拭するための説明責任を果たすべきであります。所見を伺います。
 今月6日に、大規模地震発生時における島根半島部の災害応急対策を主要訓練項目とした島根県総合防災訓練が実施されました。また、同日には、原子力防災訓練も実施されました。能登半島地震を踏まえた課題への対応を念頭に置いた訓練と認識していますが、この訓練で浮き彫りとなった課題、そして、課題解決に向けた取組方針を伺います。
 わが党のアンケートには、避難計画に実効性があると回答された方はわずか5.2%であり、52.3%の方からは、実効性がないとの回答でありました。島根原発から半径5キロ圏の区域内において、在宅の避難行動要支援者は963人おられます。しかし、そのうち、個別避難計画の策定済みの方はわずか149人しかおられません。要支援者からの不安の声をどう捉え、その不安をどう解決するのですか。
 要支援者や多くの県民から不安の声が渦巻いています。島根原発2号機の速やかなる停止を求め、質問を終わります。

議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画