2026 年 2 月定例会一般質問 (政権の右傾化と地方自治体の果たすべき役割について、大軍拡・戦争国家づくりを許さない県の対応について、社会保障削減から拡充路線へ転換し、島根ミニマムの保障について、くらしの安心を広げる消費税減税について、中海産サルボウ貝の生産量の拡大、中海漁業への支援について、浜岡原発の不正と不祥事を繰り返す電力事業者への対応について、島根原発 2 号機でのプルサーマル運転について)
2026-02-24 この記事を印刷
日本共産党の尾村利成でございます。
【1.政権の右傾化と地方自治体の果たすべき役割について】
質問の第一は、政権の右傾化と地方自治体の果たすべき役割についてであります。
2月8日に投開票された総選挙の結果を受けて、高市首相は政権運営について「国民のみなさまからのご信任をいただいた」と述べ、憲法改定や軍備拡張、大軍拡をすすめていく考えを示しました。
しかし、この選挙結果を受けて高市政権が、あたかも「国民から白紙委任を得た」とし、防衛力の際限なき強化や改憲論議の加速、さらには、国家主義的な教育の徹底など急速に右傾化へと舵を切っていこうとする動きに対して、「戦争する国家」へ暴走するのではないかと危惧する声が広がっています。
国民の信任は、あくまでも生活の安定と平和を前提としたものであり、大軍拡を容認したものではありません。歴史を振り返れば、国が暴走し、軍備拡張に突き進む時、そのしわ寄せを真っ先に受けるのは常に地方であり、そこに暮らす住民であります。
地方自治体は国の下請け機関ではありません。自治体の役割は、住民の生命と財産を守り、福祉を充実することにあります。
今こそ島根県政は、基本的人権を保障した日本国憲法と住民の安全を守ることこそ自治体の使命と規定した地方自治法に立脚した県政運営をすすめるべきであります。県政運営において、平和憲法と地方自治法の精神を基軸に据え、県民の「くらしと命を守る」知事の決意を伺います。
【2.大軍拡・戦争国家づくりを許さない県の対応について】
次に、大軍拡・戦争国家づくりを許さない県の対応についてです。
高市政権は、「安保3文書」に基づき、軍事費を国内総生産(GDP)比2%への引き上げを前倒しですすめ、敵基地攻撃能力を支える長射程ミサイルの大量配備や、自衛隊の組織改編を加速させています。この軍事力強化の波は、島根県にも直接的かつ深刻な影響を及ぼし始めています。
特に、出雲駐屯地における機能強化や、美保基地への最新鋭輸送機・空中給油機の配備拡充、県西部における米軍機低空飛行訓練の激化、さらには境港の「特定利用港湾」としての軍事拠点化に向けた動きは、山陰地方を実質的な前方展開拠点へと変貌させるものであります。
これらの軍備強化は、平時からの緊張を高めるだけではなく、有事の際には島根県が真っ先に攻撃対象となるリスクを劇的に増大させるものであります。
さらに、昨年末、明らかになった雲南市、奥出雲、飯南両町の経済関係者らでつくる雲南地区防衛協力会が進めようとしている、雲南市吉田町への自衛隊火薬庫と訓練場の誘致活動は、地域住民に多大な不安を与えています。緑豊かな山間部に軍事施設が建設されることは、万が一の事態において、この地域が攻撃目標となるリスクを増大させるものであり、地域の安全・安心を根底から揺るがすものであります。
軍備強化の国策の名のもとに、住民への十分なる説明や合意形成がなきまま、軍事施設が建設されようとしている動きに対し、県は毅然として国に立ち向かうべきであります。
また、雲南市吉田町への自衛隊火薬庫の誘致活動の背景には、軍事施設の誘致とバーターにした国からの各種財政支援があります。地域振興策と称し、カネの力を背景にして、地方に軍事施設を整備するやり方は、県民の安心・安全を脅かすだけでなく、県民の中に対立と分断を持ち込むものであり、断じて容認できません。
国による自衛隊施設等の軍事機能強化に対して、県自らが主体となって国への反対の意志を表明すべきであります。軍事対軍事による抑止力ではなく、対話と交流による平和の構築こそが、国境を接する島根県が歩むべき道であり、平和憲法の理念の順守を国に強く働きかけるべきであります。知事の所見を伺います。
【3.社会保障削減から拡充路線へ転換し、島根ミニマムの保障について】
次に、社会保障削減から拡充路線へ転換し、島根ミニマムの保障について伺います。
高市政権が進める財政運営において、最も懸念されるのが防衛費増額の裏側にある社会保障の大幅な削減路線です。
政府・自民党は、高齢化に伴う社会保障費の自然増を抑制するために、75歳以上の医療費窓口負担の原則2割化、介護保険の利用料2割負担の拡大、さらには年金支給額の実質的な減額、マクロ経済スライドの強化などを矢継ぎ早に打ち出しています。
これらは、軍事予算を確保するために、社会保障の予算を大幅に削減するものであり、まさに「大砲かバターか」の二者択一を迫る冷酷なる政策であります。
この間、県内各地からは、暮らしの不安、医療・介護へのアクセスについて、悲痛な声が上がっています。長年地域を支えてきた高齢者に対して、安心して暮らせる社会を保障することは、国や地方自治体の最低限の責任ではありませんか。軍事を優先し、医療・福祉を切り捨てる政策は、憲法25条が規定する生存権をあまりに軽視するものと言わざるを得ません。この非情な国の社会保障削減路線に対して、知事は島根の実情と窮状を訴え、国に社会保障の拡充を強く求めるべきであります。所見を伺います。
国がこのまま地方の声を無視して、社会保障予算を削減するのであれば、県自らが独自の支援策を講じ、高齢者や障がい者、困窮する世帯が取り残されないよう、セーフティネットを強化すべきであり、最低生活保障である島根ミニマムを保障すべきであります。所見を伺います。
【4.くらしの安心を広げる消費税減税について】
次に、くらしの安心を広げる消費税減税についてです。
高市政権は、国民の世論に押され、「2年限定の食料品消費税ゼロの検討促進」と言い出しました。しかし、「2年間」「食料品だけ」という、一時的・部分的減税では、くらしを守る効果は限定的な上に、2年後に「増税不況」をもたらしてしまうという問題もあるのではないでしょうか。
一番の物価対策となり、消費を活発にし、経済を良くするのは消費税の5%への減税、さらには廃止であり、国債増発に頼らず、財源を生み出すためには、「公正な課税」が不可欠であります。
日本の大企業と富裕層は税を負担する能力があります。大企業は4年連続で過去最高益を更新中です。しかし、これが労働者の賃金や取引企業の単価引き上げに回らず、株主への配当や株価つり上げの手法である自社株買いと内部留保ばかりに回っています。
これまで政府は大企業には研究開発減税などの租税特別措置をはじめ、様々な優遇税制を用意し、富裕層は金融所得への課税が不当に低い株主優遇税制により、所得1億円を超えると、所得税の負担率が逆に下がるという不公平が続いてきました。
消費税の5%への減税は、16.3兆円の財源が必要です。この財源を生み出すために、わが党は「大企業と富裕層への行き過ぎた減税・優遇をただす」ことを提案するものであります。
具体的には、法人税率を中小企業は除き23.2%から28%に戻し、大企業優遇税制の廃止・縮減、そして富裕層の株式譲渡所得・配当所得の課税強化を求めるものであります。
現在、日々の食料品価格の高騰は、低所得者層や子育て世帯に深刻な打撃を与えています。消費税率の一律5%減税により、消費の停滞を防ぎ、地域経済の活性化を図ると同時に、すべての県民に公平かつ即効性のある救済策を届けることができます。
県として、大企業や資産家に応分の負担を課すなど税の不公正をただし、取るべきところから税を取り、社会保障、福祉、教育への公的支出を増やし、くらしの安心を広げる政治を実現するよう、国に求めるべきであります。所見を伺います。
【5.中海産サルボウ貝の生産量の拡大、中海漁業への支援について】
次に、中海産サルボウ貝の生産量の拡大、中海漁業への支援について伺います。
島根県の豊かな水産資源の象徴である中海が、深刻な環境危機に直面しています。
中海産の赤貝(サルボウ貝)を巡っては、昨年12月10日の検査で下痢性貝毒の値が規制値を上回り、県は中海漁協に出荷の自粛を要請しました。そして、今年1月7日に自粛要請が解除され、10日から出荷が始まっていましたが、またもや16日に県が実施した貝毒検査の結果、規制値を超える下痢性貝毒が検出され、中海漁協に対し、サルボウ貝の出荷自主規制が要請されました。そして、また1月28日の検査で下痢性貝毒の規制値を超え、出荷ができなくなりました。
漁業者からは「赤貝を待ち望んでおられるみなさんに申し訳ない」「せっかく育てた赤貝の出荷ができなくて残念で仕方ない」「もう中海漁業が続けられないのでは。これを機に、漁師をやめることを考えている」などの落胆と不安の声が上がっています。
中海は、干拓堤防の建設などによって、潮の流れが大きく変化し、汽水湖特有の浄化メカニズムが失われ、深刻な水質悪化、環境破壊、漁業の衰退がもたらされてきました。
中海漁業再生に向けて、中海の水質悪化や底質汚染に対して、抜本的な改善策を講じる必要があります。
県においては、2028年のサルボウ貝の生産目標を20トンに定め、その生産量達成に向け、一つに稚貝(天然・人工)の安定確保、二つに貧酸素水や大雨などの自然環境の変化に対応できる日々の飼育管理、三つに養殖海域を十分に活用した効率的な養殖生産を行うこととしています。
今こそ、中海漁業、赤貝漁業の維持・振興をめざし、漁業者の意見をしっかり聞き、漁業者に希望とエールを届けることが求められています。
この立場から、4点伺います。
一つに、貝毒発生の原因究明を行い、中海を再び豊かな宝の海へと戻すための中長期的なビジョンを示すべきであります。
二つに、漁業者の要望、意見を聞き、影響を受けた漁業者へのあらゆる経営支援を行うことを求めます。
三つに、中海の漁業振興予算を拡充し、官民学の3者の協力・共同で稚貝の安定確保に向けて研究、取り組みをすすめることを求めます。
四つに、中海の下層では、特に夏場を中心に貧酸素化しており、それを改善することによって、豊かな汽水域の保全と、これを活用した地域振興策を推進することを求めます。
【6.浜岡原発の不正と不祥事を繰り返す電力事業者への対応について】
次に、浜岡原発の不正と不祥事を繰り返す電力事業者への対応についてです。
中部電力が浜岡原発で想定される地震の最大の揺れ・基準地震動のデータを意図的に操作していました。この悪質なる不正は、原発の耐震性を土台から揺るがす事態であり、原子力規制委員会による安全審査の前提を根底から覆すデータのねつ造であります。
今回の不正に対し、原子力規制委員会の定例会では、「研究不正に例えれば、ねつ造や改ざんにあたる極めて重大な問題」「誠実な努力を台無しにする行為」「審査に投入した国費を無駄にするもの」など、各委員から厳しい批判が相次ぎました。中部電力に原発を扱う資格はありません。
不正が発覚したのは、昨年2月に原子力規制委員会に外部から情報提供があったからであります。問題なのは、この時点ですでに原子力規制委員会は中部電力が示した浜岡原発の基準地震動を認めていたことであります。
知事に伺います。原子力規制委員会が不正を見抜けなかったことは、重大であります。電力会社が示すデータの真偽を判別できないのでは、例え、原子力規制委員会の審査に合格しても、安全は何ら保障されないことになると考えます。知事は、原子力規制委員会の審査のあり方をどう評価しているのですか。伺います。
この間、原発を巡るウソや不正、ごまかしは繰り返されてきました。例えば、2020年には日本原電・敦賀原発2号機の審査で、地質データが書き換えられていました。2000年代には、東京電力の炉内設備の損傷隠しや検査に合格するためのデータ偽装、北陸電力・志賀原発での臨界事故隠し、敦賀原発での検査不正などが相次いで発覚しています。
その中でも、中国電力の不正・トラブルは全国最多であります。
中国電力においては、2010年3月に計511カ所もの点検漏れをはじめ、15年6月に低レベル放射性廃棄物の処理に関する校正記録の偽造、19年8月には放射線量などを測定した資料を保存期間中に誤廃棄、20年2月には放射性廃棄物を保管するサイトバンカ建物の巡視を実施していないのに、実施したと偽った不正事案が発生しました。
さらに、22年6月には、中電が秘密保持契約により原子力規制庁から貸与されていた原子力発電所のテロ対策施設に関する非公開文書を無断で廃棄していたことも明らかになりました。この点で悪質なのは、中電が2015年4月に廃棄していたにもかかわらず、規制庁に6年間も未報告であったことであります。
さらに、23年6月、事業者向け電力販売カルテル、新電力顧客情報の不正閲覧などが発覚し、24年10月には、県に届出なく、防波堤や護岸の整備工事を施工していた港湾法違反が発覚しました。
さらに、この20年間において9回もの火災を発生させているのであります。
中国電力をはじめ各電力事業者が不正・不祥事を繰り返す根本的原因として、一つに電力業界の利潤を第一とする国の原発推進政策があり、二つに地域で電力供給をほぼ独占する特権意識とおごりがあり、三つに原発は事故を起こさないという安全神話に浸っているからではありませんか。
知事に伺います。もはや、電力会社がウソをつかないという「性善説」は通用しません。今後、中国電力が県民の命と安全を脅かす不正を犯したとき、県として如何なる厳しい対応を取り、如何なる強い処分を中国電力に求めていくのか伺います。
また、原子力規制委員会は、中部電力の不正が見抜けなかった事実を真摯に受け止め、その抜本的な体制見直しを行い、形骸化した審査を厳格化するべきであり、電力会社のウソを見抜く能力と仕組みを整備すべきではありませんか。所見を伺います。
そして、浜岡原発はもちろん、島根原発についてもデータの信頼性を確認し、不正の有無を調査すべきであります。所見を伺います。
政府は、原子力規制委員会の審査の信頼性が崩れたもとでも、原発再稼働と新規建設など原発を最大限活用すると言っています。この無責任で安全軽視の国の姿勢こそ、国民の信頼を裏切るものであります。国民の命を守り、日本社会の安全に責任を果たす上でも、原発活用路線はきっぱりと断念すべきであり、県民の命を守る知事としては、原発ゼロの島根の実現こそ決断すべきであります。所見を伺います。
【7.島根原発2号機でのプルサーマル運転について】
最後に、島根原発2号機でのプルサーマル運転について伺います。
中国電力は、島根原発2号機で2029年度にプルサーマル発電を始めようとしています。
島根原発2号機では、2008年に国からプルサーマル計画にかかる設置変更が許可され、県は2009年3月にプルサーマル導入を最終了解しました。そして、その2年後、プルサーマル運転を行っていた福島第一原発3号機が爆発したのであります。
ここで、私が強調したいことは、プルサーマル発電においても、中国電力が不正、やらせ説明会を実施していた問題であります。それは、2009年1月17日、国が松江市で開いた「島根原発2号機でのプルサーマル計画住民説明会」におけるやらせであります。
このプルサーマル説明会には、総勢361人が参加していました。しかしながら、実にその半数にあたる180人が中国電力の社員とグループ企業の人たちであり、公正であるべき住民説明会がゆがめられた事案であります。
中国電力が進めるプルサーマル計画には「やらせ」が疑われるような手法を用いて住民世論をゆがめる歴史があったことを忘れてはならないのであります。
プルサーマルは、ウラン燃料での運転を前提とした原発に、ウランにプルトニウムを混ぜた燃料を使うものであります。これは、灯油ストーブにガソリンを使うようなものであり、大変危険な運転であります。猛毒物質・プルトニウムを島根で燃やすことに対して、県民の命と安全を守るためにも、断固反対するものであります。
県は2009年3月のプルサーマル導入の最終了解ならびに2022年6月の新規制基準に係る安全対策についての最終了解において、中国電力が行うプルサーマル発電は手続き上、可能と言いますが、私はその論は崩壊していると言わざるを得ません。
なぜなら、県としてプルサーマル発電を了解する上において、二つの前提条件があったはずであります。それは、一つに国による厳格な安全審査が行われていること、二つに中国電力における適正な運転が確保されていることであったはずであります。
国は浜岡原発での不正を見抜けず、中国電力はプルサーマル最終了解以降、あまたの不正・不祥事、トラブルを起こし続けており、適正なる運転が確保されているとは絶対に言えません。プルサーマル了解の前提条件は完全に破綻、崩壊しており、プルサーマル発電などあり得ないではありませんか。知事の所見を伺って、質問を終わります。