日本共産党県議団を代表して、予算案5件、条例案2件について、可決とした委員長報告に対し、反対の討論を行います。
【第3号議案「令和8年度島根県一般会計予算」】
まず、第3号議案「令和8年度島根県一般会計予算」についてであります。
「財界・大企業の利益優先」の国政のゆがみは、島根県にも暗い影を落としています。
今、県内では、住民の暮らしの困難、福祉・医療の危機、農林水産業や地域経済の衰退など深刻な課題に直面しています。物価の上昇に賃金や年金が追いつかず、長年にわたる社会保障抑制政策のもとで医療・福祉の現場は危機的な状況です。さらに、燃油や資材価格、人件費の上昇のもとで中小業者の経営も厳しさを増し、県民生活全体が疲弊しています。
自治体の使命は、国のひどい政治から住民のくらしと命を守る防波堤となることであります。よって、国に対し県民の立場からモノを言い、抜本的な対策を求めるとともに、県と市町村が連携し、住民のくらしと生業、命と健康を守るための積極的な対応が求められています。
3月2日、松江市に本社を置く、三菱マヒンドラ農機が農業用機械事業から撤退し、会社を解散すると発表。経済界をはじめ県民の間で大きな衝撃が走りました。県は、相談窓口の設置等に加え、従業員の再就職支援や取引事業者に対する事業継続支援に取り組むとされています。労働者への支援とともに、経営に苦しむ事業者に対し、税や社会保険料などの納税緩和制度の徹底、機械設備のリース料や家賃への直接補助など、実効ある施策を強く求めます。
他方で、新年度は、医療の公定価格である診療報酬の改定が実施され、本体部分が3.09%の引き上げとなります。しかし、物価高騰や人件費上昇の影響により、病院の約7割が赤字と言われる深刻な経営状況を打開するには不十分であり、「このままではある日突然病院がなくなる」という事態にもなりかねません。
同様に、介護報酬は期中改定が実施され、処遇改善を中心に2.03%引き上げられますが、2024年度に引き下げられた訪問介護の基本報酬の引き上げは見送られました。さらに、介護職員の平均賃金は全産業平均より8.3万円低く、抜本的な改善が強く求められています。
また、県内全域で過疎・高齢化、人口減少がすすみ、小学校をはじめ公共施設の統廃合が進んでいるほか、診療所の廃業、バスやタクシーなどの公共交通の縮小、小売店や製造業など民間事業者の撤退があいついでいます。中山間地域のみならず、県内各地でナショナルミニマムが保障されない事態になりかねない危機的状況が急速に広がっています。
住民福祉の増進という自治体の使命にふさわしく、また、「笑顔で暮らせる島根」を実現するため、地域医療や福祉サービスを守る独自支援策のいっそうの充実・強化を強く求めます。
安全・安心の島根をつくるために、予期せぬ自然災害に備え、経済効率優先の大型開発は見直し、住民の命と安全を守る防災・減災型の公共事業を最優先すべきであります。宍道断層近傍に計画されている松江北道路建設事業、境港出雲道路の抜本的な見直しを求めます。
東日本大震災と福島原発事故から昨日で15年が経ちましたが、福島県では2万3千人を超える方が今なお避難生活を余儀なくされています。原発事故は終息しておらず、復旧・復興は途上にあります。
県民の命と安全を守ることこそ県政の最大の使命です。島根原発2号機が県民の理解と納得なきまま再稼働されました。危険なプルサーマル運転、3号機の新規稼働は断念し、原発のない島根を実現することこそ、島根創生成功に向けた確かな道であることを強調するものであります。
【第9号議案「令和8年度島根県国民健康保険特別会計予算」】
次に、第9号議案「令和8年度島根県国民健康保険特別会計予算」についてです。
国民健康保険の加入者からは「保険料が払えず保険証を取り上げられた」「滞納を理由に年金や生命保険を差し押さえられた」などの悲鳴が上がっています。
令和7年10月1日現在、県内における国保加入世帯数は7万3210世帯であり、そのうち保険料滞納世帯は5701世帯、加入世帯の7.8%が保険料を滞納しています。
さらに、滞納世帯への制裁措置として、357世帯が特別療養費支給対象、または資格証明書発行となり、命綱である保険証が取り上げられています。保険料を払いたくても払えない滞納者への厳しい対応は改めるとともに、保険証の取り上げはやめるべきであります。
高い保険料を引き下げるために、国庫負担金を増額し、市町村は一般会計から国保会計への繰入れを行い、ため込んだ基金を取り崩すべきであります。県としても、保険者としての責任を果たすべく、国保会計への独自財源投入を決断すべきであります。
【第17号議案「令和8年度島根県病院事業会計予算」】
次に、第17号議案「令和8年度島根県病院事業会計予算」についてです。
県立中央病院では、看護師の2交代勤務が行われています。2交代勤務は、看護師の健康の悪化、ひいては離職につながり、患者にとっては安心・安全な看護の提供の面からも有害であります。
県民誰もがひとしく安心して県立病院を受診できるように、紹介状のない受診時の加算料や差額ベッド料の徴収など、保険外負担の選定療養費徴収は廃止すべきであります。
島根県立中央病院は、救急医療、地域医療、災害医療など政策的医療を推進し、県民にとってかけがえのない宝の病院であります。
災害拠点病院でもある中央病院は、大規模災害や感染症のまん延に備え、必要なる病床を確保して、県民の最後のとりでとしての役割が求められています。
救急医療、政策医療、不採算医療を担う県立病院に対する県の助成措置を抜本的に強化すべきことを求めるものであります。
【第20号議案「令和8年度島根県水道事業会計予算」】
【第21号議案「令和8年度島根県宅地造成事業会計予算」】
次に、第20号議案「令和8年度島根県水道事業会計予算」、ならびに第21号議案「令和8年度島根県宅地造成事業会計予算」についてです。
県は、株式会社・出雲村田製作所の新工場建設のため、全体事業費75億円もの工業用地造成事業をすすめています。用地確保や詳細設計、土地の売買契約などをすすめ、今月、工事着工予定とされています。新工場は2030年ごろの完成が予定され、操業時は200人程度、将来的には1000人規模の雇用が計画されています。
限られた労働力人口のもと、すでに労働者の争奪戦が県内各地で顕在化しており、新工場の操業によって、地場企業・既存事業所の人手不足に拍車がかかることが懸念されます。
当該企業には、これまでに100億円を超す助成金が交付されており、こうした一部大企業への至れり尽くせりの優遇は見直すべきであります。
一方、江津地域拠点工業団地の分譲価格を引き下げるため、公営企業会計の電気事業会計の利益剰余金を一般会計に繰り出し、そして、地方公営企業法第17条の3に基づいて一般会計から宅地造成事業会計へ10億円繰り出すことが計画されています。
江の川水道用水供給事業や島根県水道用水供給事業の最大の問題点は、積算根拠、需要予測を見誤ったことにあります。今、優先すべきは、企業誘致のための財政出動より、物価高騰に苦しむ住民への負担軽減、民生支援ではないでしょうか。
県東部の4市と1企業団に水道用水を供給する「島根県水道用水供給事業」と、県西部の2市に供給する「江の川水道用水供給事業」の用水供給料金を引き下げ、住民の水道料金を引き下げるためにも、一般会計から水道事業会計への繰り出しを求めます。
【第34号議案「県立学校の職員定数条例及び市町村立学校の教職員定数条例の一部を改正する条例」】
次に、第34号議案「県立学校の職員定数条例及び市町村立学校の教職員定数条例の一部を改正する条例」についてであります。
本条例案は、児童数及び生徒数の変動等に伴い、職員定数の改正を行うものであります。
現在の教職員定数は、教員が本来の仕事をする上で絶対的に不足しています。教員の多忙化解消、行き届いた教育の実現、教職員がいじめに向き合う条件を整備するためにも、職員定数の大幅拡充が求められています。
県教育委員会として、教員の未配置の現状を改善・解消させることはもとより、少人数学級を推進するなど、教職員定数を抜本的に拡充させることを求めます。
よって、本条例案には賛同できません。
【第38号議案「島根県国民健康保険条例の一部を改正する条例」】
次に、第38号議案「島根県国民健康保険条例の一部を改正する条例」についてです。
本条例改定は、2026年度より医療保険料に上乗せして徴収される「子ども子育て支援金」に対応するため、市町村に割り振る納付金の算定に必要な規定を設けようとするものであります。
そもそも、子育て支援にかかる財源を医療保険料に上乗せして賄おうとすること自体、間違っていると言わざるを得ず、被用者保険であるのか国保であるのかによって負担額にバラつきが生じることに対し、政府はまともな説明ができていません。また、歳出改革などによって社会保険負担を軽減することをもって「実質的な負担は生じない」などと説明していますが、「歳出改革」は医療費の窓口負担や介護利用料の増加となるもので、国民から見れば新たな負担にほかなりません。
必要な財源は、大企業や富裕層に応分の負担を求める税制の見直しや巨額の軍事・防衛費の削減に求めるべきと考えます。
よって、本条例案には賛成できません。
以上で討論を終わります。