【1.生活困窮者への支援について】
質問の第一は、生活困窮者への支援についてです。
物価高騰が止まりません。
松江市の消費者物価指数を見ると、5年前に比べて食料品は30%の値上がりとなっています。低所得世帯や年金生活世帯の困窮は、極めて深刻になっており、日々の食材の切り詰めなどの節約だけでは到底対応できない水準に達しています。
私は先般、松江市内の訪問看護ステーションを訪ね、訪問看護サービスを利用されている方々の厳しい生活状況をお聞きしました。
ある単身の年金生活の高齢男性は、水道料金が払えず、給水が停止となり、自分で井戸水を汲んでペットボトルに入れ、コンロで煮沸して水を飲んでおられていたとのことです。さらに電気も止められ、ヘッドライトを付けての厳しい生活をされていたとのことであります。
訪問介護事業所のヘルパーからは、食べるものに事欠き、十分な紙オムツを購入できず、交換せずに我慢している高齢利用者など生活に困窮する世帯が年々増えているとの深刻なるお話しでありました。
今、物価高騰と生活困窮が同時に進行する中で、生活に困窮する世帯において生存権が侵害され、衣食住の維持すらできない驚くべき事態が生じています。
災害での「333の法則」があります。これは、人間が酸素なしで耐えられる時間が3分、水なしでは3日、食料なしでは3週間という意味です。人は、水なしでは3日程度で生存が困難になります。だから、災害時に、全国から給水車が被災地に駆けつけるわけです。
では、県内の水道事業は、どうなっているでしょうか。清浄にして低廉な水が県民に届いているでしょうか。
令和6年度、県内8市で、水道料金未納者に対して1134件もの無慈悲な給水停止が行われました。その内訳は松江市で700件、出雲市で235件、益田市で66件、大田市で54件、浜田市で31件、江津市で24件、安来市で17件、雲南市で7件の給水停止処分が行われており、一部の自治体において、滞納者に対する機械的な催告や取り立てが行われ、滞納者の生活実態を十分に把握しないままでの給水停止が執行されていることを告発するものであります。
この夏は、連日のように猛暑日が続きました。このような中で、水分補給や衛生環境の保持に不可欠な「命の水」を止めることは、人命に関わる致命的な事態を招きかねず、決して許されるものではありません。生活困窮に起因する滞納者に対する安易な給水停止は、生存権の観点からも極めて重大であります。所見を伺います。
県内8市において水道料金未納者に対する給水停止の実施件数は何件ですか。滞納者への給水停止処分までの対応、さらには給水停止後のフォローは適切に行われていますか。県として市町村や水道事業体に対し、滞納解消のための機械的な対応は改め、柔軟なる猶予措置を行うこと、さらに、福祉部局との密なる連携で滞納者に寄り添った生活支援を行うよう助言すべきであります。
松江市は、本年10月から平均26.02%の水道料金を値上げし、安来市や出雲市、浜田市、吉賀町などでも値上げが検討されています。物価高騰に給料や年金の引き上げが追いつかず、生活困窮世帯が増大しています。このような中、料金値上げが強行されれば、さらなる滞納者が増加することは、火を見るよりも明らかではありませんか。
水道料金値上げをストップするためにも、国からの強力なる財政支援、県の支援、市町村の一般会計から水道会計への繰り出しが求められていることを強調するものであります。
次に、医療受給権と無料低額診療事業についてです。
県内の病院、診療所などでつくる民主医療機関連合会は、経済的困窮や社会的孤立などの理由で受診が遅れ、死亡につながった事例が昨年、県内で3件あったことを公表しました。
医療費の窓口負担増、生活困窮による受診控えの広がりが重なり、体調不良でも受診しないケースが増えているとのことであります。
生計困難な人が経済的理由によって必要な医療を受ける機会が制限されないように無料または低額な料金で診療を受けられる制度として無料低額診療事業があります。
生活困窮が広がるもとで、無料低額診療事業は、医療を受ける権利を保障し、様々な生活問題を解決するための福祉的支援につなぐための制度としての役割が期待されています。
県内の事業実績はどうなっていますか。また、県として事業の意義や役割をどう評価していますか。事業を積極的に周知、広報するなど県の支援を強化すべきと考えますが、所見を伺います。
【2.熊本地震、千葉豪雨など災害の教訓を生かすことについて】
次に、熊本地震、千葉豪雨など災害の教訓を生かすことについてです。
日本各地で自然災害が相次いでいます。7月28日には、熊本で最大震度7の地震が発生し、8月中旬には千葉で、下旬には石川、富山、福井で豪雨被害が発生しました。これらの災害を通じて浮き彫りになった課題を改善し、いつどこで起きるかもしれない災害に対し、万全なる備えをすることは、政治の責任です。
7月の熊本地震では、酷暑日の中で、多くの住民が避難生活を余儀なくされました。地球温暖化が進む中、今後の避難所対策では、猛暑日や気温が40℃を超える酷暑日であっても、安全・安心に避難生活が送れる環境整備が急務であります。
令和8年熊本地震の状況を踏まえ、県が率先して、避難所への空調整備など、暑さ対策を進めるべきと考えます。所見を伺います。
こうした災害時における暑さ対策を進めていくためには、県や市町村だけでなく、国による光熱費に対する財政措置や、電力事業者による、空調設備を備えた避難所に対する電気料金の優遇なども検討すべきであります。国において、空調整備への支援だけでなく、光熱費に対する財政措置があれば、避難所への空調設備の導入も一層進むのではないかと考えますが、所見を伺います。
熊本地震では、活断層の直上や近くにある高速道路や新幹線、在来線の区間での被害が発生しました。とりわけ、直下に活断層が走る南九州自動車道での路面のつなぎ目部分での段差発生は衝撃的でありました。
政府の地震調査研究推進本部は、8年前に島根原発直下を走る宍道断層はマグニチュード7級以上の大地震を引き起こす可能性がある主要活断層帯に指定しています。県も、この宍道断層が動いた際の被害は、建物被害で全壊が2537棟、半壊が8954棟と想定しています。
災害対策の基本は、被害の発生を未然に防ぎ、被害の拡大を防止することです。そのためにも、無秩序な開発をやめ、防災・減災対策を強力にすすめていかなければなりません。
現在建設中の松江北道路のすぐ近傍に宍道断層が走っており、この間の地震による被害状況を鑑みれば、宍道断層と並行する道路建設ルートは危険と言わざるを得ません。勇断を持って事業を見直し、宍道断層の真上・近傍にある1236カ所の土砂災害危険箇所こそ最優先に整備すべきであります。所見を伺います。
【3.原発の安全性と避難対策について】
次に、原発の安全性と避難対策について伺います。
一昨年の能登半島地震に続き、今年の夏の熊本地震や千葉県、北陸地方での相次ぐ豪雨災害は、従来の防災計画の想定を超える甚大なる被害をもたらしました。
相次ぐ災害を通じ、県民からは、原発事故と地震、豪雨などの自然災害が重なる複合災害時に、「本当に、無事に避難できるだろうか」との不安が高まっています。
国や県は、原子力防災に係る「島根地域の緊急時対応」を策定していますが、肝心なことは、その計画に対し、住民の納得と安心が得られているかにあるのではないでしょうか。
住民からは、この間の相次ぐ災害を通じて、車両避難や屋内退避の実効性について様々な不安の声が寄せられています。
まず、車両避難については、広域避難にマイカーやバスの利用が想定されています。しかし、地震による道路の寸断や段差の発生による通行止め、土砂崩れ、豪雨による冠水等が発生した場合、車両移動は一瞬で機能不全に陥ってしまい、さらに、大渋滞に伴う放置車両が緊急車両の通行や避難行動を阻害する危険性もある中で、避難をすることができるのかなどの声をお聞きします。
また、屋内退避については、大地震などの災害によって、住宅が損壊し、避難所や避難先施設が損壊、被災した場合に、無事に避難をすることができるのか、車中泊をする人への連絡網や連絡体制はどうするのか、さらには停電・断水などインフラ途絶時や、猛暑・酷暑日が続く中でエアコンなしに避難所生活が可能なのか、さらには熱中症や感染症へのリスクなど様々な声をお聞きします。
このように自然災害と原発事故が重なる複合災害時において、現在の避難計画は、実効ある計画とは言えません。現実を直視した計画へと抜本的に見直し、計画の実効性を高めるべきであります。
知事に伺います。
近年の頻発・激甚化する自然災害と原発事故が重なった際の最悪なる複合災害の事態を想定し、住民から寄せられる不安の声を受け止め、この間の災害を教訓とした実効ある避難計画の策定に注力すべきではありませんか。所見を伺います。
私は、この間の自然災害の脅威を見るにつけ、危険な原発はなくさなければならないことを改めて痛感しました。大規模災害が発生し、その時に原発事故が重なれば、県民の命と安全が危うくなります。
政治家は自然の脅威に謙虚になるべきであります。島根原発の廃止を決断することこそ県民の命と安全を守る確かな道ではないでしょうか。所見を伺います。
原発ゼロを決断し、使用済み核燃料や原子炉の処理が終われば、原子力防災訓練をする必要はなくなります。そればかりか、原発事故に備えた避難計画の策定もいらなくなります。島根原発(2号機)の速やかなる停止を求め、次の質問に移ります。
【4.コメ・農業問題について】
次に、コメ・農業問題について伺います。
この2年、米価の高騰に見舞われました。しかしながら、本年、2026年産の新米価格は前年に比べ、大幅な米価の急落です。
JAしまねが、新米を集荷する際に農家に前払いする概算金は、コシヒカリ1等米60キロあたり前年比、約44%減の1万6000円です。一方、コメの生産費用は、肥料や農薬など資材の高騰で2万535円と政府が認定しています。生産費を償えない生産米価では、離農と耕作放棄地が増え、農村も維持できなくなります。
コメ農家からは「コメ作って飯食えねぇ」という悲痛な嘆きが上がっています。生産者が安心してコメ作りを続けられなければ、消費者に安定して国産米を届けることはできません。このまま米価が暴落すれば、コメ農家が激減し、コメ不足・価格高騰の常態化が避けられません。
今年産の米価下落に歯止めをかけ、コメ生産を持続可能なものとするために、政府は放出した備蓄米59万トン全量と25年産の21万トンの合計80万トンの買い戻し・買い入れを表明すべきであります。
以上の立場から、2点伺います。
第一に、コメは、日本国民の主食です。政府がコメの価格や流通の安定に責任を持つべきであります。そのために、生産者には再生産可能な所得・価格を確保し、消費者には納得できる手ごろな価格で提供すべきであります。農家と消費者双方に安心を与えるコメ政策こそ、農政の責務と考えますが、所見を伺います。
第二に、農家がコメ作りを続けられる最低限の条件として、農家の販売価格が生産コストを下回った場合、その差額を補てんする制度が不可欠と考えますが、如何ですか。そのためにも、最低でも農家手取り60キロあたり2万円から2万数千円を保障すべきと考えます。所見を伺います。
【5.国民健康保険に係る保険料水準の統一について】
次に、国民健康保険に係る保険料水準の統一について伺います。
高すぎる国民健康保険料に住民が悲鳴を上げています。加入者の所得が低い国民健康保険が他の医療保険より保険料が高く、負担が限界になっていることを「国保の構造的課題」と言います。これを解決する道は、公費投入・国庫負担を増やす以外にはありません。
2018年度から、市町村毎に分かれていた国保の財政を都道府県に集約する「国保の都道府県単位化」がスタートしました。国は、都道府県化によって「国保の財政基盤の強化を図り、保険料の伸びを抑制し、保険料を納めやすい環境を整える」と強調してきました。
しかしながら、都道府県化後、8年が経過しましたが、全国的に保険料は値上がりする一方です。なぜなら、国が、市町村が一般会計から国保会計に繰り入れている自治体独自の保険料軽減に対して圧力をかけているからであります。そのため、国が解決すると言った「国保の構造的課題」は何一つ解消されていません。
このような中、県は国民健康保険における保険料水準の県内統一に向けての対応方針を公表しました。その中身は、令和10年度に各市町村が県に納付する納付金の算定に医療費水準を反映させない「納付金ベース」での統一を行うこと、令和15年度までに被保険者に適用する保険料率を全県で統一する「完全統一」を行うことであります。
さらに、保険料水準統一の意義としては、一つに、医療費の変動リスクを市町村単位ではなく、県全体で分散することで保険料の急激な変動を抑制することができるとし、二つに、保険料水準の統一により、県内どこに居住していても同じ所得水準、同じ世帯構成であれば同じ保険料となり、負担の公平性を図ることができると説明しています。
しかし、全国に先駆けて2023年度に保険料の完全統一を行った大阪府と奈良県においては、一般会計から国保会計への繰り入れが行われなくなり、多くの自治体で大幅な値上げが行われました。保険料統一化によって、国保料の負担が高い方に合わせられ、さらなる値上げにつながっているのが実態であります。
そこで伺います。
国保の構造的課題を解決し、協会けんぽ並みの保険料負担率まで引き下げるため、国に対し、国庫負担割合を引き上げ、財政基盤の拡充・強化に向けての新たな財政支援を強く求めるべきと考えます。所見を伺います。
また、住民の健康を守り、自治体独自の負担軽減を図る自治体の取り組みは維持・拡充されるべきであり、自治体独自の条例減免や基金の取り崩しなど、市町村の主体性を尊重すべきであります。所見を伺います。
【6.介護保険制度について】
次に、介護保険制度についてであります。
今年6月に成立した改正介護保険法では、高齢者人口が減少する地域を都道府県が「特定地域」に定めれば、「特定地域サービス」として、管理者・専門職、夜勤職員などの人員配置基準を緩和できるようにするものであります。さらに、事業所に支払われる介護報酬についても、現在の出来高制から、月単位の定額制にすることを可能にするものであります。
来年4月から施行予定の改正介護保険法の問題として、一つに、介護保険の加入者が住んでいる地域によって差別され、介護サービスの質が低下させられること、二つに、定額制の報酬によって、事業者にとっては利用が少ないほど事業収益の増加が生じ得るため、利用者にとっては必要な回数や時間のサービスが提供されない事態が起こり得ること、三つに、基準緩和による職員の負担増加で離職者が増えれば、人手不足に拍車がかかることであります。
県として、安易に配置基準を緩和するのではなく、利用者側の視点に立った慎重な対応を保険者に求めるべきと考えます。所見を伺います。
また、今回の法改定では、特定地域がある市町村が、保険給付に代えて地域支援事業として事業費で委託する「特定地域居宅サービス等事業」が創設されました。これは、「特定地域サービス」の提供も困難な場合、要介護1~5の認定者への在宅サービスを保険給付から外し、市町村が地域支援事業として在宅サービスを提供できる仕組みにするものであります。
「特定地域居宅サービス等事業」は人員配置の規定がなく、保険給付と異なり、毎年度、予算上限の制約を受けるため、サービスの量と質の低下や地域間格差が生じる危険があると考えますが、どの地域においても県民が安心して必要な介護を受けられるよう、県として市町村に対し、どのような支援を行う考えなのか伺います。
【7.「骨太の方針」と「日本成長戦略」について】
最後に、「骨太の方針」と「日本成長戦略」についてであります。
7月21日に決定した「骨太の方針」と「日本成長戦略」は、大企業と軍事に対するバラマキを行う計画と言わざるを得ません。
一つは、今年中に実施するという「安保3文書改定」による大軍拡、軍事費の大増額です。トランプ政権が求める国内総生産比3.5%にすると、現在年間9兆円の軍事費を5年後に24兆円、毎年3兆円ものペースで増やすことになります。
もう一つは、「AI・半導体」や防衛産業など17分野に今後14年間で官民合わせて370兆円の投資を行うとしています。「防衛と経済の好循環」といって大幅に増やした軍事費で兵器の調達を増やし、武器輸出を解禁し、軍需産業を盛り立てるとしています。
軍需産業だけが栄えても、くらしが豊かになるわけではありません。平和こそ経済成長の最大の土台であることは、戦後日本の歩みからも明らかではありませんか。
さらに、高市政権が「積極財政」を掲げ、赤字国債をさらに大増発しようとしていることが円安と長期金利の上昇を招き、物価高騰に拍車をかけています。
大企業と軍事へのバラマキを実行すれば、財政悪化とさらなる「富の一極集中」がどんどん進むことにならざるを得ません。
先に述べた通り、島根県政には介護、国保、コメと農業、原発の安全性、深刻な県民生活などたくさんの課題が生じています。国民生活の立て直しをよそに、軍需産業を成長戦略の中心に位置づけ、巨額の内部留保を持つ大企業へのバラマキではなく、社会保障や教育、農業などくらしの予算の拡充こそ県民のくらしを守り、島根創生成功に向けた確かな道であるのではないでしょうか。知事の所見を伺って質問を終わります。