2003 年 5 月臨時議会 議員提出第 6 号議案「米政策改革大綱に基づく新たな水田農業政策の充実を求める意見書」に対する反対討論
2003-05-30 この記事を印刷
日本共産党の尾村利成でございます。
議員提出第6号議案「米政策改革大綱に基づく新たな水田農業政策の充実を求める意見書」に反対する立場で討論を行います。
意見書では、「米政策改革大綱」を踏まえ、新たな米政策の実施を前提とした上で、国に対する要望を求めておられます。
国民の主食である米について、生産農家の願いは、「これ以上の価格低下をふせいで、何とか再生産が可能な米価を実現して欲しい」ということでございます。また、消費者からは食の安全に対する信頼が大きく揺らいでいるなかで、「安心、安全、信頼できる国内産の農産物を」という声が日に日に強くなっております。
ところが、政府が昨年12月3日に決定した「米政策改革大綱」は、国民の主食であり、日本農業の支えでもある米の生産を需給、価格両面で全面的に市場原理に委ね、国の責任を放棄する方向を定めています。生産調整は、2004年度から面積配分から生産数量配分に変え、政府による生産調整を2008年度までに廃止し、生産調整の責任は主に農業団体におわすことにしています。
そのうえ、豊作による過剰米の処理は農家の責任とし、処理できない場合は、加工米として販売するか翌年の生産割当てを減らすこととしています。さらに、政府の備蓄水準を150万トンから100万トンに減らすとともに、買い入れ価格を入札で決めるとしています。そして、生産者米価の下支えになっていた「稲作経営安定対策」は廃止し、生産調整に参加した数パーセントの担い手農家に「担い手経営安定対策」を導入するだけで、圧倒的多数の農家を切り捨てる方向ではございませんか。
この「米政策改革大綱」がそのまま実施されれば、米価低落は避けられず、経営規模を拡大した大規模生産農家ほど打撃を受け、米の安定供給が危ぶまれる事態となることを危惧するものです。
私は、この「米政策改革大綱」の方向は断じて容認することはできません。その撤回を強く求めるものであります。議員提出の意見書は、この「米政策改革大綱」の実施が前提条件となっており、反対するものでございます。
米価の暴落や、減反拡大の要因は、政府がWTO協定を受け入れて、ミニマム・アクセス米を輸入し、食管制度を廃止して、市場原理を導入した結果にほかならず、農家の責任ではなく、政府の米政策の結果によるものであります。
私は、米の自給を維持し、米の需給と価格の安定に国が責任をもち、農家の工夫や努力が生かせる米政策に転換することが稲作と地域農業を守る道であり、「米政策改革大綱」による農政の具体化は中止すべきと考えます。
国に対しては、第1に、米の生産と国民への安定供給に責任をもつこと、第2に、米政策の確立については、暴落した米価を回復させるための実効ある措置、価格保障などを盛り込み、農家が安心して米を作れるようにすること、第3に、ミニマム・アクセス米の輸入を削減すること、の3点を強く要望して、討論とさせていただきます。
以上でございます。