2003 年 6 月定例会 議員提出議案に対する反対討論
2003-07-10 この記事を印刷
議員提出議案に対する反対討論
日本共産党の尾村利成でございます。議員提出第七号議案「三位一体改革の実現を求める意見書」、議員提出第九号議案「高速道路ネットワークの早期整備を求める意見書」に反対する立場で討論を行います。
まず、議員提出第七号議案「三位一体改革の実現を求める意見書」についてです。
小泉内閣の「三位一体改革」は、国庫補助負担金の削減、地方交付税の見直し、国から地方への税源移譲のあり方の三つを一体で検討するものです。
三位一体と言いながら、政府の狙いは、社会保障と教育に関わる国庫補助負担金と地方交付税という、福祉と教育を支える二つの機能を切り捨てる事に他なりません。
国庫補助負担金の六割が社会保障関係であり、二割が文教関係です。即ち、合わせて八割がお年寄りの医療や介護、子供たちの義務教育、私学助成など福祉、教育に使われています。この国庫補助負担金の削減がもたらす結果は、住民向けサービスの切り下げでしかありません。
また、地方交付税については、「財源保障機能」を大幅に縮小し、地方交付税の命とも言うべき、福祉、教育を財政的に保障する機能を奪ってしまおうとしています。
こうした国庫補助負担金や地方交付税削減の一方、税源移譲で浮かび上がっているのは、住民税や消費税など、庶民大増税との一体論です。そして、見逃せないのが、政府税制調査会が消費税の税率を二桁に、即ち、十%台にするとの答申を行ったことです。
意見書では「国庫補助負担金について…その廃止・縮減にあたっては、税源移譲等による所要の財源措置を講じること」を求め、「地方交付税制度については…その財源保障機能、財源調整機能を維持・強化する」を求めておられ、そのことについては、賛同できます。しかしながら、「税源移譲については…所得税、消費税等の基幹税を中心に進めること」との要望となっています。
消費税は、低所得者ほど、その税負担割合が重く、消費にブレーキをかけ、景気を悪化させる最悪の大衆課税です。そして、消費税の税源移譲を地方が求めることは、自治体税収を安定させ、増収させるためには、自治体が消費税の税率引き上げを求めて行くことを、意味するものになるではありませんか。よって、消費税を中心に税源移譲を進めるとした、意見書に対して賛同できないのであります。
民主的な税制は、直接税中心主義、応能負担の原則、生活費非課税です。消費税の税率引き上げと、国の財政危機のツケを住民と地方自治体に転嫁する政府の方針は、許せません。
入り口は、福祉切り捨てと負担増、出口は大増税という政府の方針は、何の道理もありません。国に対し、標準的な行政サービスを国民に保障すること、地方の税財源を充実させて地方自治を発展させることの二点を強く求めるものであります。
次に、議員提出第九号議案「高速道路ネットワークの早期整備を求める意見書」についてであります。
今日の高速道路建設計画は、バブル景気の上り坂にあった時期につくられたものであります。計画策定当時の経済見通しと今の経済状況は大きく変わっており、国民世論も変化しています。
国の財政は、危機的状況にあり、国内総生産、交通量、料金収入は、大幅に落ち込み、そのために巨額の借金ができました。現行の高速道路建設計画の合理的根拠は、失われています。
私は、現行の高速道路建設計画は、いったん凍結して、抜本的に見直すことを求めます。本意見書は、時代のニーズに合わなくなった高速道路建設計画に固執するものであり、容認できません。
また「道路特定財源」は、歯止めなき道路建設の元凶であるとして、国民的批判にさらされました。小泉首相でさえ、「一般財源化」を言わざるを得なかったではありませんか。本意見書では「道路特定財源の堅持」を要望されていますが、これは到底、国民合意を得られないと考えるものであります。
なお、私は、高速道路建設に対して、一律に異を唱えるものではありません。山陰道、松江・尾道線など、個別の計画については、沿線住民の声や地域的必要性、財源問題などよく検討して、今後の方向を出すべきと考えるもであります。
以上で、討論を終わります。