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議会の取り組み

議会の取り組み詳細

2003 年 6 月定例会 知事提出議案に対する賛成・反対討論、請願に対する討論

2003-07-10 この記事を印刷
 日本共産党の尾村利成でございます。

 第89号議案「平成15年度島根県一般会計補正予算」、第91号議案「島根県心身障害者扶養共済制度条例及び島根県風致地区条例の一部を改正する条例」、第95号議案「島根県県税条例の一部を改正する条例」、第97号議案「警察に関する手数料条例の一部を改正する条例」、第104号議案「隠岐空港空港整備事業用地造成(第13期)工事の契約の締結」についての5件について反対します。

 次に第107号議案「島根県港湾施設条例の一部を改正する条例」については、意見を付して賛成します。

 次に請願についてです。請願第2号「消費税の中小業者に対する特例処置等の変更に関して国に意見書の提出を求める」請願、請願第3号「消費税増税反対等、生活費非課税について国に意見書の提出を求める」請願の2件について委員長の報告は、不採択です。

 さらに、請願第5号「自衛隊のイラク派兵に反対し、イラク特措法案の廃案を求める意見書を国に提出する」請願、請願第6号「イラク特措法案に反対する国への意見書採択のお願い」の請願の2件について委員長報告は、継続審査です。私は、これら4件について採択を主張します。
以下、その主な理由を申し述べます。


(一般会計補正予算について)

 まず、第89号議案「平成15年度島根県一般会計補正予算」についてです。
 私は、予算に組み込まれた「少子・高齢化への対応」などの事業には、賛成するものでありますが、本補正は、総額29億9500万円のうち、新たに県債を18億5500万円を発行し、県単独の新世紀道路ネットワーク整備事業に18億円、農道整備事業に2億円あてるなど、公共事業に20億円予算執行するものであります。

 そして、その事業目的も、合併支援道路の整備を行うものであります。新世紀道路ネットワーク整備事業は、近年、聖域としても毎年当初予算で300億円計上され、本県の財政悪化の大きな要因ともなり、批判の高まりの中で、今年度当初予算は、170億円にまで、縮減されたものでした。

 また、合併推進という点からも、県が市町村の自主的合併という原則を逸脱し、道路整備により、合併推進を政策誘導するという点からも、二重の意味で認めることはできません。

 また、湖陵病院の移転改築では、県事業ではじめて、PFI方式の導入を決定するものです。PFI方式は、事業期間が長く、建設から維持管理まで一括で発注されることから、資本の小さい中小企業の参入が排除され、実質的に大手企業しか受注出来ない仕組みを持っています。

 また、PFI方式での長期間の民間の維持管理は「利益が上がらない」との理由から、住民要求が抑え込まれ、公共施設そのものの役割が問われるという、リスクが生じます。このようにPFI事業導入により、地域経済と住民生活への影響が危惧され、PFI事業導入の方針決定を容認出来ないものであります。
 
 以上の点から補正予算に対して反対いたします。


(心身障害者扶養共済制度条例及び島根県風致地区条例の一部を改正する条例)

 次に第91号議案「心身障害者扶養共済制度条例及び島根県風致地区条例の一部を改正する条例」についてです。
 本案は、社会福祉・医療事業団が解散し、その事業を承継させる独立行政法人福祉医療機構の設立に伴い、所要の改正を行うものであります。

 心身障害者扶養共済制度は、障害者の生活安定のための給付とともに、親の死後において、障害者に終身にわたる給付を保障する制度です。

 しかし、この制度を取り巻く諸条件の変化により、共済年金財政は、極めて厳しい状況にあります。こうした状況下で、特殊法人から独立行政法人に変わり、その独立行政法人の経営が困難になれば、たちまち給付は減額され、掛け金は増大し、ひいては制度そのものが崩壊する恐れがあり、障害者とその家族の生活に重大な影響を与えてしまいます。よって、このような法改正に伴う、条例改正には、反対であります。


(島根県県税条例の一部を改正する条例)

 次に第95号議案「島根県県税条例の一部を改正する条例」についてであります。
 これは、地方税法の改正に伴い、法人事業税に外形標準課税を導入するものです。外形標準課税は、事業活動で生まれた利益に対して課税されるのではなく、人件費、支払い利子や賃借料なども含めて課税されるため、赤字法人にも課税され、結果的に人件費や設備投資の抑制につながるものに他なりません。当面、資本金1億円以上の企業が対象となっていますが、今後、「応益負担」「受益者負担」の名目で、中小企業への導入の恐れがあり、経済危機に拍車をかけるものと言わざるを得ません。今日の不況のもと、国民生活を一層痛めつけ、景気回復に逆行する税制改正を認めるわけにはなりません。


(警察に関する手数料条例の一部を改正する条例)

 次に第97号議案「警察に関する手数料条例の一部を改正する条例」についてであります。

 これは、古物営業法の改正に伴い、インターネットオークションに規制を設け、公安委員会が審査する手数料を設定するものであります。

 インターネットオークションの取引そのものは、あくまで個人間で実施され、オークション業者は、個人広告の掲載の場を提供しているにすぎないと言われています。

 このようなオークション業者を「古物せりあっせん業者」と規定し、公安委員会への届出義務を課し、盗品と疑わしい古物の警察への通報を義務づけ、取引記録の作成の義務を課すなど、極めて無理があると言わざるを得ません。

 さらに、警察がネット上の取引に関する個人情報に深く関与することは「通信の秘密」「個人情報保護」の面からも、大きな問題があります。以上の理由から、盗品流通防止のためとはいえ、この改正は時期尚早であり、反対するものです。


(隠岐空港空港整備事業用地造成(第13期)工事の契約の締結)

次に第104号議案「隠岐空港空港整備事業用地造成(第13期)工事の契約の締結」についてであります。

 隠岐島における民生安定、地域振興を図ることは、当然のことです。しかし、隠岐空港において、利用客が減少しているのに、現在の2.5倍の利用客を見込み、滑走路延長事業が進められています。地元の一部にも「今の滑走路で十分だったのではないか」「ほんとうにジェット機が飛ぶだろうか」との不安の声があがっています。

 今年度、国の離島航路整備関係では、離島赤字路線の運行費や航空機購入を援助する離島空港事業助成額が大きく減額されました。

 隠岐空港整備事業については、勇断を持って事業全体の見直しを検討するべきです。よって、事業推進を進める用地造成工事契約の締結を容認できません。


(島根県港湾施設条例の一部を改正する条例)

 次に第107号議案「島根県港湾施設条例の一部を改正する条例」についてです。
 近年、日本沿岸で座礁船が放置されたり、整備不良の北朝鮮の船舶が入港するなど、港湾の安全性に対する不信感が高まっています。

 茨城県・日立港で座礁し、放置された北朝鮮船の撤去作業が始まったものの、その他、10隻の座礁船は、放置されたままです。また、整備不良の改善命令を受けながらも整備を怠り、再入港する北朝鮮船舶が相次ぎ、港湾関係者の不安は、日々、高まっています。そして、昨年1年間、日本国内に入港した北朝鮮船の船主責任保険加入率は、わずか2.8%であり、この事が港湾関係者の不安を増幅させる要因にもなっています。

 北朝鮮の船舶は、昨年1年間だけでも、浜田港に67回入港しており、適切な港湾管理を図る観点から、整備不良の船舶について、港湾の使用を認めないこととする規定を整備することは、当然のことであります。

 よって、港湾の不許可基準として規定を整備することに対して賛成であります。ただし、「公の秩序に反するおそれがあると認められるとき」の項目は、他県の同様な条例には規定されておりません。「公の秩序」とは、余りにも漠然とした規定であり、このことにより、不許可基準に際して、拡大解釈とならないよう、喚起・指摘するものでございます。


(消費税の請願について)

 次に請願第2号「消費税の中小業者に対する特例処置等の変更に関して国に意見書を求める」請願、ならびに、請願第3号「消費税増税反対等と生活非課税について国に意見書の提出を求める」請願についてです。

 長引く不況のもとで、消費税の免税点の引き下げや簡易課税制度の縮小は、中小業者にとって死活に関わる大問題です。これらは、中小業者に新たな税負担と煩雑な申告実務を強いるものです。その上、消費税の増税が実施されれば、消費を一層冷え込ませ、デフレ不況を深刻にし、倒産、失業の増大を招くなど、県内経済に大打撃を与えかねません。

 よって、この2件の請願は、不採択ではなく、採択すべきことを強く主張します。


(イラク派兵の請願について)

 次に請願第5号「自衛隊のイラク派兵に反対し、イラク特措法案の廃案を求める意見書を国に提出する」請願、請願第6号「イラク特措法案に反対する国への意見書採択のお願い」の請願についてです。

 イラク国民が求めているのは、自衛隊ではありません。イラクへは飲料水、電力供給、医療、教育などの人道復興支援こそ必要です。

 イラクでは、米英軍の占領支配とイラク国民との矛盾が激化しています。自衛隊派遣は、日本が不当な軍事占領を後押しすることであり、自衛隊がイラク国民と砲火を交えることになります。自衛隊派遣は、「紛争の解決には武力を行使しない」とした憲法第9条への明確な違反です。国会情勢は緊迫しており、この2件の請願は、継続審査ではなく、採択すべきことを強く主張します。

以上で討論を終わります。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画