2003 年 9 月定例会 知事提出議案、請願に対する反対討論
2003-10-02 この記事を印刷
知事提出議案に対する反対討論
日本共産党の尾村利成でございます。第111号議案「平成15年度島根県一般会計補正予算(第2号)」、第129号議案「職員の退職手当に関する条例等の一部を改正する条例」、第134号議案「県道の路線変更について」の3件について反対します。
次に請願についてです。請願第5号「自衛隊のイラク派兵に反対し、「イラク特措法案」の廃案を求める意見書を国に提出する請願」、請願第6号「イラク特措法案に反対する国への意見書採択を求める請願」についての委員長報告は、不採択ですが、採択を求めます。次に請願第8号「建設機械の排出ガス・騒音・振動の規制に際して国に助成措置を求める意見書採択を求め、かつ島根県においても県独自の助成措置を講じられることを求める請願」について、委員長報告は不採択ですが、採択を求めます。次に請願第12号「青少年健全育成基本法の制定を求める請願」について、委員長報告は趣旨採択ですが、不採択を求めます。次に請願第17号「経済的な子育て支援策の充実を求める請願」のうち、妊産婦検診への国庫補助を復活するよう国に意見をあげていただきたいとの請願項目についての委員長報告は、不採択ですが、採択を主張します。次に請願第19号「自衛隊をイラクに派兵しないことを求める意見書を国に提出する請願」について、委員長報告は継続審査ですが、採択を主張します。
以下、その主な理由を申し述べます。
第111号議案 一般会計補正予算について
まず、第111号議案「平成15年度島根県一般会計補正予算(第2号)」についてです。県の中期財政見通し(H15~H19)によると、新たな財政需要を加味しなくとも、集中改革期間(H15~H17)後も150億円程度の収支不足が継続し、さらに、市町村合併の進捗に伴う合併支援交付金の前倒しにより、H16の収支不足の拡大が想定されています。
そして、この収支不足を圧縮するため、福祉や教育の予算の削減、人件費の抑制、補助金の廃止・縮減など市町村や県民にさらなる痛みを押し付ける方向が明示されたところであります。
澄田県政は、くらしの予算を犠牲にしながら、不要不急の大型プロジェクトを優先し、県財政を破綻させました。そして、そのツケを何一つ責任のない県民に転嫁して財政健全化を計ろうというのです。歳出全般について聖域なき見直しのもとに県民サービスを削りながら、住民合意が不十分なまま推し進められようとしている市町村合併については、惜しみなく血税を投入する施策は二重の意味で認めることはできません。
今、国が強引に進めている市町村合併に対して、全国町村会は繰り返し、強引な合併押し付けに反対する趣旨の決議を上げました。そして、全国では、「合併しない宣言」や「合併協議会からの離脱を表明する」市町村が生まれています。
本県においても東出雲町では、住民投票によって、住民は単独町政を選択しました。また、鹿足郡の町村においては、法定協議会が設置されたものの解散に至りました。これは、今回の合併が「住民自治」の主体者である地域住民の意見から生まれたものでも「団体自治」の担い手である地方自治体の意見から生まれたものでもないために、協議がすすめばすすむほど、様々な矛盾が噴き出したことによるものであります。
県は「市町村合併は自主的・主体的な取り組みを尊重する」と言いながら、合併推進のためには、自治体に合併推進のための職員を派遣したり、合併を前提とした基盤整備に財政措置を講じたり、合併後の交付金や補助金など、数々の合併誘導メニューを準備して、合併推進の主導的役割を果たしています。このように、国と一体になって「市町村合併押し付け」を強行することは「住民自治」の原則からみて許されません。
事実、本県の異常なまでの合併誘導は数字が物語っています。全国的にみて、市町村の合併法定協の参加割合は岩手、宮崎、神奈川、東京は0%であり、全国平均では44%で6割近い自治体が参加していません。しかし、島根県では、その参加割合が91%と飛びぬけているのであります。
また、鳥取県や福島県のように、合併しない自治体に対しても財政支援を実施する県がある一方で、本県においては、東出雲町のように、住民が単独町政を選択した自治体へは、何一つ支援を行わず冷遇した上、「単独町政には覚悟がいる」などと住民に不安と圧力を与えるなど、住民投票の結果を否定するだけではなく、地方自治の本旨に照らして逆行しているではありませんか。
今日、国が市町村合併を強制的にすすめている背景には、国から地方への財政支出を削ることにあります。
私は、県として、第一に、国に対して地方交付税の削減や「段階的補正」の縮小・廃止は行わないように強力に働きかけること、第二に、住民の意見を尊重し、住民自身の判断で「合併の是非」を決められるよう、公正で的確な情報提供と住民討議を行うよう市町村を指導・援助すべきことを求めるものであります。
以上の点から、合併誘導をすすめる補正予算に対して反対いたします。
第129号議案 退職手当の一部を改正する条例
次に第129号議案「職員の退職手当に関する条例等の一部を改正する条例」についてであります。
本年二月県議会において、県職員給与の引き下げが決定されました。県職員給与は公務員労働者の生活だけでなく、年金、恩給の基礎となり、これが低く抑えられることは広く県民生活に影響を与えるものであります。
給与引き下げに加え、退職手当の6%減額は、家計や生活設計に大きな影響を与え、さらに現在の不況を一層あおるものであり、容認することはできません。
第134号議案 県道の路線変更について
次に第134号議案「県道の路線変更について」であります。
本案は、都市計画道路・城山北公園線の整備目的のための路線変更であります。本計画は殿町から学園南2丁目までの市道1,040mを11mから29mに拡幅し、4車線化する計画で、総事業費140億円の大型プロジェクトであります。そして、拡幅で沿線の約140戸の住民の立ち退きを迫るものであり、住民の生活権、営業権、環境権、また城下町松江のまちづくり問題など様々な問題があるのであります。
この拡幅の大きな問題点の一つは、沿線住民の合意が得られておらず、拡幅理由とされている交通渋滞もほとんどないことであり、まさに、税金の無駄遣いの典型です。
本県財政が悪化している中、このような事業こそ勇断を持って中止し、県民の貴重な血税を無駄にしないことを強く求めます。よって、この路線変更について反対します。
自衛隊のイラク派兵反対の請願について
次に請願第5号「自衛隊のイラク派兵に反対し、「イラク特措法案」の廃案を求める意見書を国に提出する請願」、ならびに、請願第6号「イラク特措法案に反対する国への意見書採択を求める請願」、ならびに、請願第19号「自衛隊をイラクに派兵しないことを求める意見書を国に提出する請願」についてです。
アメリカのブッシュ政権や小泉首相がイラク戦争の口実としたイラクの大量破壊兵器についても米国の調査団自身が発見できなかったと結論を下そうとしています。今、イラクでは米軍が憎悪の対象になり、毎日のように米兵の死傷者が出る泥沼化の状況です。国連のアナン事務総長は、9月23日の国連総会で、米英軍による先制攻撃の戦争は、国連憲章の原則に対する「根本的な挑戦」であると厳しく批判し、イラク戦争は、国連憲章違反の無法な戦争であったと述べました。
しかし、ことここに至っても小泉総理は、イラク戦争を支持し、正当化しています。この立場に固執したまま不当な占領統治を続けている米英軍の支援のために自衛隊を出すことになれば、同じ泥沼の中に身を沈めることになります。
イラクへの自衛隊派兵は、するべきではなく、イラク特別措置法の廃止を強く求めます。
よって、これら3件の請願は採択すべきことを主張します。
建設機械の排出ガス規制につき国の助成を求める請願について
次に請願第8号「建設機械の排出ガス・騒音・振動の規制に際して、国に助成措置を求め、かつ島根県においても県独自の助成措置を講じられることを求める請願」についてです。
長引く不況のもとで中小建設業者の営業と生活は大変であります。
国土交通省は、バックホー、ブルドーザー等の排出ガス対策が行われていない指定建設機械について規制強化を図り、非対策型の機械を所有し、使用する業者についての対策は講じていません。今必要なことは、中小建設業者の実状を無視した規制強化ではなく、既存の建設機械対策について、メーカーの責任を明確化し、当面、国として粒子状物質等を除去する排出ガス浄化装置についての助成を講じ、県としての支援を行うことであります。
よって本請願は不採択ではなく、採択されることを主張します。
青少年健全育成基本法の制定を求める請願について
次に請願第12号「青少年健全育成基本法の制定を求める請願」についてであります。
日本社会の直面している危機には政治的危機、経済的危機だけでなく、道義的危機というべき深刻な問題があります。この間、重大で衝撃的な少年犯罪があいつぎ、いじめ、児童虐待などに対して、多くの国民が不安を持ち、青少年の健全育成を心から願っています。
今日の道義的危機の根本には、国民の生活、労働、教育などにおけるゆがみや矛盾、困難の蓄積があり、それらは今日の政治と深く結びついています。
例えば、リストラ競争のもとでの雇用破壊や長時間過密労働は、家族のだんらんやコミュニケーションを破壊し、弱肉強食の競争至上主義の風潮を醸成し、他人を思いやるゆとりが奪われ、国民の精神生活にも殺伐とした雰囲気が持ち込まれています。
また、若者の深刻な雇用危機は、青年の社会参加の権利を奪い、就職・結婚・子育てなど、将来の希望を閉ざす重大な問題になっています。
さらに政治や経済でのあいつぐ腐敗、不祥事は、青少年にとってはかり知れない有害な影響を及ぼしています。この部分での道義的腐敗の一掃こそ健全な社会道徳を築いていく上でも、きわめて重要です。
サッカーくじは、子供たちが買えないことが建前とされてきましたが、実態は子供たちを巻き込むギャンブルとなっています。政府・文部科学省が、子供を引き入れる賭博の胴元になっている現状は、恥ずかしい限りです。
このような不条理を正し、子供の健全な成長を保障する社会の自己規律を確立することこそ求められています。
本請願は青少年の健全育成のために一貫性のある包括的、体系的な法整備をし、規制システムの導入や、処罰規定を強化することにより、青少年の荒廃を抑制することを求められています。
青少年の健全育成をはじめ社会的道義の確立は、上からの管理、規制、統制、押しつけを強めるという立場では、解決できないどころか、有害な作用を及ぼすだけです。
この問題の解決の道は、国民的な対話と運動で、ともに解決方向を探求し、現状打開のための努力を強めることだと考えます。
以上の点から、私は、本請願に対して賛同できないのであります。
経済的な子育て支援策の充実を求める請願について
次に請願第17号「経済的な子育て支援策の充実を求める請願」についてです。
妊産婦検診は平成8年まで国庫補助の事業でしたが、今日、一般財源化の地方交付税交付金による事業となっています。
県内自治体間においては、国庫補助時と交付金時における検診負担に差異はありませんが、全国の自治体間の状況を見たとき、従来の水準より悪くなったところと従来以上に改善されたところがあり、施策の開きが生じています。
少子化がすすむなかで、草の根から子育て支援を充実させるため国がイニシアチブをとって子育て支援策を推進することが重要です。そのために、従来の国庫補助の復活とあわせ、制度を拡充させていく取り組みを求めます。
よって、この請願の項目は不採択ではなく採択されることを主張いたします。
以上で議案及び請願についての討論を終わります。