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議会の取り組み

議会の取り組み詳細

2003 年 11 月定例会 一般質問 (市町村合併、中海干拓堤防、国民健康保険、県の精神科医療)

2003-12-01 この記事を印刷
 日本共産党の尾村利成でございます。

(市町村合併について)

 質問の第一は、市町村合併についてであります。

 今、国が強引にすすめている市町村合併に対して、全国町村会は繰り返し、強引な合併押し付けに反対する趣旨の決議を上げています。

 決議では、「市町村合併が理念なき数値目標のもと、半ば強制的に進められている」と指摘し、さらに、「町村が人口小なりとはいえ、現に住民生活にかかわる幅広い分野で様々な公共サービスを提供し、国土保全等に重要な役割を果たしている実態を認識しておらず、いわば町村を無視したもの」と厳しく指摘しています。

 今、全国では、「合併しない宣言」や「合併協議会からの離脱を表明」し、自立した自治体をめざす動きが広がっています。

 県内の中山間地域では、過疎・高齢化がすすんでいるだけに、きめ細やかな行政の光が求められています。県内の各自治体では、過疎対策として福祉バスや保健予防対策など独自の取り組みが強められています。

 中山間地域の住民からは、合併推進により役場がなくなり、職員が大幅に削減され、特色ある歴史や文化は消え、周辺地域は衰退し、過疎・高齢化に一層の拍車がかかるとの不安と危惧の声が出されています。

 県は、「市町村合併は自主的・主体的な取り組みを尊重する」といいながら、合併推進のために、自治体に合併推進のための職員を派遣したり、合併後の交付金や補助金などの数々の合併誘導メニューを準備して、合併推進の主導的役割を果たしています。

 この結果、全国的には、法定協参加自治体は約半数なのに島根県では、9割近くと異常な高さとなっています。このように、国と一体になって「市町村合併押し付け」を強行することは、「住民自治」の原則からみて許されません。

 また、合併を選択しない自治体や小規模町村に対して、鳥取県や福島県では、財政支援を実施し、長野県では、障害者福祉や保健予防、僻地医療など小規模自治体で対応が困難な事務を県が引き受ける特例事務受託制度を創設したり、県庁各部局に市町村ごとの担当職員を配置し、市町村と一体となって諸課題に取り組むなどの支援策を策定しています。

 そこで、知事に伺います。

 第一に、全国町村会の決議について、どう受け止められていますか、伺います。

 第二に、今回の合併推進の最大の狙いは、国から地方への財政支出を大幅に削減することでありますが、こうした国の地方切り捨てに、どう対処されるのですか。

 第三に、合併推進が、本県の最大の懸案となっている過疎・高齢化に一層拍車をかけることに、どう対応されるつもりなのですか。

 第四に、東出雲町などのように単独町政を選択した町村にも、長野県のように支援を行うべきであると考えますが、いかがですか。

以上、知事の明確な答弁を求めます。


(干拓堤防開削について)

 質問の第二は、干拓堤防の開削についてであります。

 先に開催された第五回中海協議会で、島根県と鳥取県との開削に対する対照的な姿勢が明らかになりました。

 鳥取県は、農水省の「開削しても効果はない」としたシミュレーション結果について、水質や治水予測の妥当性に疑義を呈したのに対し、島根県は、開削の必要性は見当たらないとする農水省の主張を受け入れるものでありました。

 本県のスタンスの弱点は、すべて事業主体である国に対して、事後処理をお願いするという、国任せにあることです。中海干拓・淡水化事業が中止された以上、国の責任で少しでも元の自然と環境を取り戻すことが求められています。

 この点で鳥取県は、原状回復を国に強く求めているわけです。島根県としても国への様子伺いではなく、環境再生を願う漁業者や県民の熱い願いを真摯に受け止めた最大限の対応をとることを求めるものであります。

 漁業関係者は、「堤防ができてから水が滞るようになった。水が入れ替わらないから魚のすめない貧酸素水域ができた」「開削すれば水流ができ酸素を含む海水が入り、生態系は改善する」と開削を強く求めています。

 そこで伺います。

 第一に、知事は議会において繰り返し「事業主体である国に対し、責任ある事後処理を強く要請する」と答弁されています。責任ある事後処理とは、中海・宍道湖の自然を取り戻すことにあります。

 それは、漁業者から「堤防の建設により水流が変わり、環境が悪化した」との訴えにあるように、開削して水流を復元することではありませんか。所見を伺います。

 第二に、今回の農水省のシミュレーションは、年平均値のものであり、季節ごとの生態系の変化を考慮していないなど、その不十分さが指摘されています。このシミュレーションについて、県として専門家による検証を行うことを求めます。

 また、県として、漁業者や専門家などの意見も聞きながら、二つの湖の生態系や潮流の変化、堤防開削の位置や形態など詳細で科学的な再調査を国に強く求めるべきですがいかがですか、所見を伺います。

 第三に、農水省、国土交通省、鳥取県、島根県の四者協議待ちではなく、島根県として、今日時点での積極的・主体的な対応を求めます。

 一つには、県内の漁業関係者、専門家などの意見に耳を傾け、その声を集約して、四者間協議に生かすことです。

 二つには、当事者である鳥取県と島根県の意見が対立しているようでは、解決しません。島根県から鳥取県に対して、当事者間協議、二者間協議を申し入れ、徹底して原状回復のための方策を話し合うことです。

 以上、二点を提言して、次の質問に移ります。


(国民健康保険について)

 質問の第三は、国民健康保険についてであります。

 今、国民健康保険は重大な危機に直面しています。それは保険料・税が払えない滞納世帯が増加し、保険料が遅れているために正規の保険証が交付されない短期保険証や資格証明書の発行世帯が急増しているからです。

 この5年間で県全体の資格証明書世帯は、92世帯から1,142世帯へと、なんと10倍以上に増加しているのであります。

 資格証は、事実上の国保証取り上げを意味します。資格証になると窓口で医療費全額を支払い、あとから7割分の払い戻しを受けることになります。

 しかし、保険料が払えない人に医療費全額を準備できるはずがないではありませんか。しかも、戻ってくるはずの7割分も保険料滞納分として没収されるため、国保証がなければ医療にかかることはほとんど不可能です。

 県内において医療を受ける権利を事実上剥奪されている世帯が1,000世帯を超えている事態は異常です。資格証の発行をやめさせ、保険料・税を軽減することは緊急の課題であります。

 ある松江市のサービス業を営む人は、不況で売り上げが減少し、保険料が滞りました。生活費も出なくなり、サラ金からも借入をしながら、毎月1万円の保険料を納めていましたが、滞納額が減らないということで、保険証は取り上げられ、資格証明書が交付されました。

 お話を聞くと「保険証がないから病院にいかれないので病気になるのが本当に怖い」といわれます。また、ある50代の男性は39度の高熱が2週間も続き、市販の解熱剤で我慢していたものの耐えられず、緊急受診し、かろうじて一命をとりとめたというケースもありました。

 また、短期証であるために「保険証に短期の短という表記があり、子供が恥ずかしがって病院に行かず、我慢している」というケースもありました。こうした事例は各地で生まれています。事態は県民の命にかかわるもので一刻の猶予もなりません。

 また、県内のある自治体では、資格証明書を発行した世帯の名簿を一覧表にして、病院と薬局に送付するという、プライバシーを侵害する許されない事態もありました。

 そこで、いくつかの是正すべき点や県民医療を守る立場からの提案を行い、所見を伺います。

 第一に、市町村に対して、短期保険証・資格証の発行基準と発行までの手順についての報告を求め、資格証発行について機械的な取扱いをしているところに、改善を助言されることを求めます。

 そして、悪質滞納者を除き基本的には、保険証の取りあげを行わないよう市町村に対する助言を改めて徹底してください。

 静岡県では、昨年11月、資格証明書の交付は倒産や失業、病気など個々の世帯の特別な事情を判断することが必要とし、機械的に交付しない旨の通知を出しました。本県でも同様の措置をとることを求めます。

 第二に、県と市町村が行っている乳幼児医療、福祉医療の対象となっている心身障害者や母子家庭、乳幼児などが、必要な医療を受けられない事態が起こらないようにするためにも、資格証明書の適用除外とすることを求めます。

 第三に、保険証に、短期の短と表記することは、重大な人権侵害であり、受診抑制を招くものです。ただちに中止するよう市町村への助言を求めます。また、保険証に短期の表記をしている自治体は、松江市以外どこがありますか。お知らせください。また、わざわざ短期という表記をする理由をお示しください。

 第四に、国保法第44条では、「国保に加入する世帯主が、失業するなど特別な事情がある時には、医療費の一部負担金の減免や徴収猶予ができる」と規定されています。昨年度ならびに本年度において、本規定に基づき減免や徴収猶予を申請した件数は何自治体で何件ありますか。お知らせください。

 秋田県では市町村に対し、国保法第44条の適用が、市町村長の判断によって被保険者間に不公平を生み出すことのないようにするとの通知を出しました。通知では、減免、徴収猶予の目安を「生活保護基準を若干上回る程度」と明記し、制度の主旨を理解し、被保険者に対し周知に努めるとしています。

 本県においても市町村や被保険者に対し、この条文の周知を図るために、市町村へ制度の活用を通知するなどの助言を求めますが、いかがですか。

 第五に、国に対して、国保への国庫補助の増額を求めるとともに、県として市町村の国保会計への県費助成を増額し積極的な財政支援を行うことを求め、次の質問に移ります。

(県の精神医療の提供について)

 質問の最後は、県の精神医療の提供についてであります。

 近年、社会環境の複雑化に伴い精神医療にかかる需要は著しく増大しています。昨年6月末時点において、県内医療機関の利用状況からみた精神障害者数は、19,209人であり、この5年間で4,572人と大幅に増加しています。

 その障害も複雑な社会環境に起因するうつ病等のメンタルヘルスに関連したものが増加しており、今後精神医療の対象となる疾病構造の多様化が伺えます。

 このような中、先般、松江日赤が経営の効率化をめざし、精神科病棟60床の廃止を含む精神神経科の合理化を検討していると報じられ、同病院の家族会から反発の声が上がっています。私自身も日赤に通院する患者さんから「助けてほしい。廃止撤回に向け力を貸してください」との要望を受けたところであります。

 また、本県で唯一の公立単科病院である湖陵病院も新病院整備にあたり、現在309床のベッド数を242床へと約2割にあたる67床を削減する計画です。

 その削減理由として、精神治療が入院中心の治療から地域におけるケア体制へ移行しつつあることや平均入院日数の短縮化をいいながらも、その一方で、病床の回転率を向上させ病院収支の改善を図るとするなど採算性の改善を目的にした減床計画となっています。事実、県は湖陵病院に対して、整理合理化・外部委託の名のもとに人員削減を柱とした自治体リストラをすすめているではありませんか。

 湖陵病院の職員や患者さんからは、「242床となった根拠は何なのか、示してほしい」「民間委託での運転業務や施設維持管理業務は、緊急時の対応ができず、サービス低下になるのではないか」などの不安な声が出されています。

 そこで伺います。

 第一に、県として精神医療提供体制の確保に責任を果たすため、湖陵病院の整備にあたり、67床もの減床計画やPFI手法の導入は、見直すべきです。新病院の建設にあたっては、広く情報を公開し、専門家や職員、関係団体、患者の家族などの意見や要望を十分に集約することを求めます。

 第二に、松江日赤の精神科病棟の廃止は、松江圏域はもとより、県全体の精神医療提供体制にも多大な影響をもたらします。県として、精神医療の水準確保ならびに充実を図るためにも松江日赤の精神科病棟廃止撤回に向けた協議を行われることを求めて、私の質問を終わります。

以上でございます。


(知事、部長答弁)

◯知事(澄田信義) 尾村議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、全国町村会の決議についてであります。
 私は、これまでも申し上げてきたとおり、市町村合併は、現在市町村が置かれている状況の中で、市町村の行財政基盤を強化していく上で有効な手法であるとの認識に立った上で、合併するか否か、またどのような枠組みで合併するかについては、それぞれの市町村において自主的、主体的に判断されるべき事柄であると考えております。全国町村会の決議は、市町村合併は強制されるものではなく、関係市町村の自主的な判断で行われるべきものとの認識に基づき行われたものと受けとめており、この点においては、私の考えと異なるものではないと思っております。
 次に、国への対応についてであります。
 地方分権が実行段階に入った今日、住民に最も身近な基礎自治体である市町村が自己決定、自己責任の原則のもとで、より総合的な行政サービスを提供し得る主体としてその能力向上が求められています。一方、国、地方を通じた厳しい財政状況を踏まえ、今後、地方財政全般にわたる歳出の抑制が求められる中にあって、市町村においてはより一層効果的かつ効率的な行財政運営を行うことが必要となってきております。このような状況の中、市町村が行財政基盤を強化し、住民サービスを安定的に提供していく上で市町村合併は有効な手法であると認識しており、今回の合併の意義は、まさにそこにあると考えております。
 なお、私としては、すべての市町村が一定の権限を有する基礎自治体として位置づけられるとともに、財政基盤が脆弱な団体であっても、地域の実情に即した自主的、主体的な行政運営を可能とする財源が必要であると考えており、引き続き国に対し要望していきます。
 次に、中山間地域における過疎、高齢化についてであります。
 中山間地域においては、地域の活力の維持向上を図り、住民が安心して暮らせる魅力ある地域づくりを行うことが住民に最も身近な自治体である市町村にとっても重要な課題となっています。現在、それぞれの合併協議会においては、集落、コミュニティーの維持、活性化などを含む地域の将来のあり方についてさまざまな検討や合意がなされているところであります。また、地方制度調査会の答申では、住民自治の強化の観点や、住民に身近なところで住民に身近な事務を住民の意向を踏まえつつ効果的に行うという観点から地域自治組織の制度が提案されており、合併の議論に際しては、こうした制度についても地域の実情を踏まえた検討がなされることもあると考えております。県としましても、こうした地域の取り組みに対し助言や情報提供を行っていきます。
 次に、合併しないことを選択した市町村に対する支援についてであります。
 現在の市町村を取り巻く環境は、非常に厳しいものがあり、それぞれの市町村においては合併するしないにかかわらず徹底した行財政改革を進めながら、行政、住民が一体となったまちづくりに取り組む必要があると考えております。市町村に対する支援につきましては、これまで県としては県民本位、地域主体の理念のもとに市町村のまちづくりや行財政基盤強化のためのさまざまな支援を行ってきており、現段階において合併しないことを選択した市町村に限った新たな支援策を講ずる考えは持っておりません。
 次に、干拓堤防の開削問題についてであります。
 先般、開催された中海に関する協議会において、中国四国農政局から施設の撤去の一環として、本庄排水機場の排水樋管の存置と西部承水路堤防の両端部を開削するいわゆる潮通し案が示されました。この案は、中国四国農政局の水質シミュレーション結果では、堤防開削しても水質などに大きな変化がなく、堤防開削が必要となる科学的な優位性が見当たらない中で、費用面で事業費の縮減を図る潮通しを行うことで、本庄工区の湖水がおおむね二カ月に一度交換できる大量の水交流が可能となる現実的な対応であり評価しております。
 一方、仮に堤防を開削する場合には、開削部から海水が流入し水流が発生しますが、それにより本庄工区の一部には新たに溶存酸素濃度のより低い区域が発生し、宍道湖の塩分濃度にも変化が見られ、こうした変化が生物・生態系にどのような影響をもたらすかなど懸念される面もあります。この堤防開削をめぐっては、水流の復元を求める意見などさまざまな御意見があることは十分承知しておりますが、今日、公共事業の評価が厳しく問われる中で、科学的な根拠をきちんと示さないままに堤防開削に多額の税金を投入することについて県民の理解を得ることは難しいと考えています。
 次に、国民健康保険財政についてであります。
 県では、市町村の国保財政の安定化を図るため、国の制度に伴う県負担に加え、県単独の財政支援を行っているところであります。県といたしましては、厳しい財政状況の中ではありますが、引き続き必要な財政支援を行ってまいります。
 一方、国に対しましては、医療保険制度における負担と給付の公平化、安定した保険運営は国の責任において確保される必要があることから、全国知事会として地方公共団体に財政的負担を転嫁する措置はとらないよう要望しているところであります。

◯副知事(江口博晴) 干拓堤防に関する一連の御質問にお答えをいたします。
 先般、第五回目となる中海に関する協議会が米子市で開催され、懸案となっております本庄工区堤防の取り扱いを議題に取り上げ、この問題に絞って協議を行いました。会議では、中国四国農政局が示したいわゆる潮通し案の説明と、これに関連して森山、大海崎両堤防を開削する案など三つのケースについて比較検討した水質シミュレーション等の調査結果の説明がありました。
 この説明を受け、それぞれの立場から真剣に議論を行いましたが、この問題を取り巻く状況や思いが異なる中での議論となり、示されたデータの評価や解釈、開削の是非をめぐる意見に隔たりが大きく、合意を得るに至りませんでした。議論が進む中で、何とか議論の着地点や解決への糸口となる方策を目指す必要があると考え、河川管理者としての中国地方整備局の意向も確認した上で、中国地方整備局に河川管理者の立場から積極的に関与していただき、この問題を整理していただきたいと提案し、四者合意のもとに別途四者による小グループを設けて具体的な調整を進めることとなりました。
 この小グループでは、中国四国農政局が行った調査結果をもとに、河川管理者である中国地方整備局を交え、農政局のデータについての両県や農政局の評価や解釈の相違点を明らかにするなど、科学的な根拠をもとに踏み込んだ議論をすることとなります。
 また、国同士の協議、両県間の協議も適宜行い、課題や問題点を整理したいと考えており、その上で地元の皆様方の御意見を伺う必要もあるのではないかと考えおりますが、そのためにも、まずは早急に小グループを立ち上げ議論を進めていくことが大切であると考えております。以上でございます。

◯健康福祉部長(永田伸二) 初めに、国民健康保険に関する御質問にお答えをいたします。
 まず、被保険者資格証明書についてでありますが、この証明書は保険料の納付期限から一年内に保険料を納付しない場合に、被保険者証にかえて交付されるものであります。この証明書は、災害等の特別な事情がある場合は交付の対象から除かれており、平成十二年三月に出された国の通知では、特別な事情の有無について確認することや世帯主に対して弁明の機会を付与することになっております。県では、市町村へ出向いて行っている指導、助言の際に、資格証明書の交付に当たっては、さきの国の通知に沿った要綱等を定めて適切な事務処理を行うよう助言しているところであります。今後とも滞納理由を十分に把握した上で、特別な事情に該当するかどうかの判断を行うよう周知に努めてまいります。
 次に、資格証明書の適用除外についてであります。資格証明書の交付につきましては、国民健康保険法第九条第三項の規定により、老人保健法等による医療及び厚生労働省令で定める公費負担医療の対象者に限って適用除外となっております。したがいまして県単の乳幼児医療費助成事業や福祉医療費助成事業の医療費助成を受ける対象者を資格証明書の交付対象から除外することは困難と考えております。
 次に、短期被保険者証の表示についてであります。短期被保険者証は、保険料を滞納している場合に交付される通常よりも短い有効期間を定めた被保険者証であります。この短期被保険者証に何らかの形で短期と表記している市町村は、本年十一月二十五日現在で調査したところでは、松江市、出雲市、鹿島町、東出雲町、八雲村、伯太町、横田町、掛合町、石見町、日原町、西郷町及び五箇村の十二市町村であります。
 短期と表記している理由は、有効期限の確認のため、あるいは医療機関での確認のため、あるいは納付を促すためということでありました。県といたしましては、短期という文字等が強調してある表示については、被保険者に対する配慮が必ずしも十分されているとは思えないことから、今後短期被保険者証に何らかの表示をする場合にあっては、被保険者に対して適切な配慮をするよう市町村に対して助言してまいりたいと考えております。
 次に、医療費一部負担金の減免、徴収猶予についてであります。国民健康保険法第四十四条の規定に基づいて、一部負担金の減免または徴収猶予の措置を求める場合は、あらかじめ保険者に対し申請書を提出することになっておりますが、被保険者数の多い八市に状況を確認したところでは、昨年度並びに本年度におきましては申請された事例はないということでした。
 県といたしましては、平成十三年三月に発行した国民健康保険事務の手引において、この制度も含めて事務手続の周知を図ってきたところですが、最近の経済不況等により失業者が増加している状況等にかんがみ、市町村に対して生活困窮者に対する救済措置であるこの規定について、改めて周知を図っていきたいと考えております。
 次に、新しい湖陵病院の病床数についてであります。湖陵病院の整備計画につきましては、県内精神医療関係者や家族会を初めとする関係団体など、多方面の方々に委員として就任いただいている県精神保健福祉審議会において、今後の県立精神単科病院が担うべき役割や機能、規模等について検討いただきました。この中で、新病院の病床数につきましては、平成十四年一月に二百床台半ばが適当とする報告をいただいたところです。これは、我が国の精神医療の流れが入院医療中心から地域ケア中心へと大きく変わってきたことや、近年の湖陵病院の利用病床数がおおむね二百八十床程度で推移していること、また、長期入院中の方に対して在宅復帰や社会復帰施設等への入所などについて、本人の意向も含めた調査を行った結果、受入条件が整えば退院可能な方が五十数名いらっしゃることがわかったことなどによるものです。こうした報告等を踏まえ、さらに検討した結果、最終的に二百四十二床に決定したところであります。
 今後整備を進めていくに当たりましては、患者さんや家族の方のニーズを踏まえ、意に反した処遇とならないよう、退院可能の方の円滑な社会復帰に向け、島根県障害者計画等に基づき退院後の受け皿づくりなど着実に進めていく必要があると認識しております。
 次に、PFI手法の導入についてであります。PFI手法導入の目的は、民間ノウハウの活用によるより効率的な施設整備運営と、さらなる患者サービスの向上であります。議員御指摘の緊急時対応等につきましても、病院運営上必要な管理水準を業務要求水準書で規定することにより、患者サービスの低下を来すことはないものと考えております。
 次に、新病院の建設に当たって関係者の意見、要望を集約することについてでありますが、これまでに県精神保健福祉審議会等で各界の皆様から御意見を伺い、基本的な整備のあり方を決定したところです。今後は、その実現に向けて引き続き関係者の皆様の御意見を伺いながら、よりよい病院の整備に努めてまいります。また、病院整備に関する情報につきましては、積極的に公開してまいりたいと考えております。
 次に、松江赤十字病院の精神科病棟の問題についてであります。
 松江赤十字病院では、現在、精神神経科の経営改善について検討中であり、精神科病棟の廃止を決定されたものではないと伺っております。病棟のあり方につきましては、基本的には病院が地域の精神医療の実情や公的病院としての役割も十分考慮の上判断されるものと考えており、県といたしましては、病院での検討状況等を踏まえ、適切な精神医療が確保できるよう対応を検討してまいりたいと考えております。以上であります。

(再質問)

 干拓問題と国民健康保険問題で再質問を行います。
 まず中海の干拓問題です。私は、この堤防開削の問題でどういうスタンス、考えをとるのかという点が大事だと思うんです。

それは四十年かかったこの干拓・淡水化事業で傷ついた中海・宍道湖の環境をどう回復させるのか、この点です。この中海・宍道湖の環境を傷つけたのは一番の責任はどこにあるのか、一番の原因はどこにあるのか。

私は、この点を考えたときに、一番の原因者、責任者というのは国だと、このように思います。ですから、県として国に対して事業前の自然環境を取り戻すために、物をしっかり言っていくということが必要だと思うんです。

先ほど、私、副知事の答弁、何点か評価したいと思いますが、地元の皆さんの意見を聞くというふうに御答弁いただきました。

この地元の皆さんの意見を聞くという点で、ぜひともこの中海で、そして宍道湖で漁業を営んできた漁業関係者、組合等の御意見を聞く気持ちがあるのかないのか、私はぜひとも聞いていただきたいと思います。

同時に県として地元の立派な研究者、専門家います、これらの御意見等もぜひとも集約すべきだと思います。

 四者間協議の手順の問題についてもう一点聞きます。私は、先ほど副知事の答弁では、四者間の協議に当たって小グループをつくる、そして鳥取、島根県で協議を行い、地元の意見も聞くというふうに言われました。

私は、この点では今この開削問題で鳥取と島根県の意見が分かれている以上、手順の順番としては、まず初めに地元の漁業関係者や専門家の意見を聞く、そして次に島根、鳥取の両県の協議の場を持つ、そして四者間での協議を行っていく、私はこれが県のあるべき方向ではないかと思います。この点での県としてのお考えをお尋ねするものです。

 次に、国民健康保険の問題であります。私、十一月二十八日、松江市内で昼食を取りました。会計を済ませて帰ろうと思いましたら、その昼食先の事業主さんから御相談を受けたんです。

それは何かといえば、保険証返還の通知が来ているという、その書類を見せてもらいました。その事業主さんの保険証の返還の通知を見ると、十一月三十日で有効期限が切れる、こうなっているんです。

お話を聞けば、十二月一日にそこの奥さんが病院に診察の予約をなさっているわけです。私は、この事例を見れば明らかなように、明らかにこれは資格証明書を取り上げてはならない特別な事情に該当します。

すなわち、世帯主並びにその生計を一にする親族が病気の場合は資格証明書は取り上げないという特別な事情に該当するわけです。しかしながら、現場では、このように病気で通院をなさっていても機械的に保険証は取り上げられ、私、お話を聞くと、ここの事業主の方は保険料の滞納があって、しかしながら、松江市との話し合いで月々の分納約束をしとったと。しかしながら、二カ月間おくれたということで即保険証を返しなさいという通知が来ているわけです。私は、これこそ機械的な対応だというふうに思いますし、厚生省の資格証明書を取り上げないという特別な基準に反する行政が現実に行われていると思うんです。

 ですから、部長にもう一度御答弁いただきたいのは、実際の現場でこういう事態があり、今、現に一千世帯を超える保険証がない人があるわけだから、機械的な対応をさせないためにも、県としてでき得る最大限の措置をとる、その一つとして確かに出向いて指導するということも大事でしょうけれども、この点での資格証における県としての通知をぜひとも出していただきたいということです。この点、先ほど御答弁ありませんでしたので、もう一度お願いいたします。
 それから、医療費の一部負担金の減免と徴収猶予の問題であります。部長の答弁では、この問題で改めて周知を図ると、このように御答弁をされました。これは市町村に対して通知を出す等で徹底するというふうに理解してよろしいのでございましょうか、以上お尋ねをいたします。

◯知事(澄田信義) 干拓堤防の開削問題についての再質問にお答えをいたします。
 この干拓堤防の開削問題につきましては、まさに国家的事業である本庄工区の干陸中止とか、あるいは淡水化事業の中止により派生したものであります。また、大橋川の改修事業にも関連する問題であるということから、本来の事業主体である農林水産省と国土交通省が一体となって調整され、国が責任を持った対応をされるよう引き続き要望していきたいと考えております。
 そういう意味で、今の中海協議会において四者間協議、農水省、国土交通省、鳥取、島根、四者協議で小委員会をつくって、国土交通省が入った上で調整していくという方向が一番いいやり方だと思うんです。その過程で地元の意見とかさまざまな方々の意見を十分聞いてですね、結論を出していく、その方向性を出すためには、この四者間協議、これが最優先すべきである。それをできるだけ早急に開催されるのが望ましいというぐあいに私は考えております。

◯副知事(江口博晴) 先ほど私の御答弁で、地元の皆様方の意見を聞く必要があるというふうに申し上げましたが、その地元の皆様方の中には漁業関係者の皆様も当然含んでおります。

◯健康福祉部長(永田伸二) 再質問にお答えをいたします。
 まず、資格証明書の交付の取り扱いについてであります。
 県といたしましては、市町村に出向いていろいろ指導を申し上げている限りでは、機械的な交付はないというふうに承知はしておりますけれども、御指摘のような事例があるとすれば、市町村の実態をいま一度把握した上で、通知等も含めて必要な周知法を検討してまいりたいと思います。
 それから、医療費の一部負担金の減免、徴収猶予についての取り扱いでございますが、改めて何らかの通知等で周知を図っていきたいと考えております。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画