前に戻る

議会の取り組み

議会の取り組み詳細

2004 年 9 月定例会 予算案、条例案、一般事件案、請願に対する討論

2004-10-06 この記事を印刷
 日本共産党の尾村利成でございます。

 予算案五件、条例案二十一件、一般事件案二件、請願三件について委員長報告に反対する討論を行います。以下、その主な理由を申し述べます。

 まず、第九十八号議案「平成十六年度島根県一般会計補正予算(第一号)」についてであります。九月補正予算は、県単被災者生活再建支援制度や全国に先駆けて制度創設される高病原性鳥インフルエンザセーフティネット事業費など県民に歓迎される事業が盛り込まれています。

 しかしながら、本補正は、一般職員の給与カット率の引き上げに伴い減額補正されております。相次ぐ職員給与の削減は、職員の士気や組織の活性化、行政能力の低下につながりかねず、県職員の給与は公務員労働者の生活だけでなく、年金、恩給の基礎となり、この給与引き下げは、広く県民生活に影響を与えるものであります。そして、この引き下げは何より、民間賃金に波及し、影響を与えるもので賃下げの悪循環を招くものであります。よって、本補正予算には反対であります。

 また、給与カット率の引き上げが措置されている第百九号議案「平成十六年度島根県病院事業会計補正予算(第一号)」ならびに公営企業会計の第百十号議案、第百十一号議案、第百十二号議案には反対であります。

 あわせて、深刻な不況の打開、地域経済の活性化を図る観点から民間企業など地場賃金にも影響する寒冷地手当てを削減する、第百五十七号議案「寒冷地手当ての廃止に伴う関係条例の整備に関する条例」には反対であります。

 次に、第百十四号議案「島根県立しまね海洋館条例の一部を改正する条例」から第百三十二号議案「島根県個人情報保護条例の一部を改正する条例」までの十九件の議案、ならびに、第百三十六号議案「島根県芸術文化センター条例」は、指定管理者制度導入に伴う条例案です。

 「公の施設」とは、地方自治法第二百四十四条に規定するように「住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設」です。国民や県民の税金で建てた公の施設を、公共性を持たず、営利を目的とする民間企業にまかせ、代行させて自治体の責任が果たせるのか、また、公共性の担保、住民サービスが維持できるのか、などが危惧されています。

 また、この間の施設の運営に対する十分な検証もなく、県民の合意形成もないままに、性急に指定管理者制度を導入することには賛成できません。よって第百十四号議案から第百三十二号議案までの十九議案、ならびに第百三十六号議案には反対であります。

 次に、第百四十八号議案「県の行う建設事業に対する市町村の負担について」であります。

 砂防事業の急傾斜地崩壊対策事業や都市計画事業の街路事業一種、ならびに農業農村整備事業の県営老朽ため池事業など、山地や農地保全、広域的事業は本来、県が行うべきものであり、市町村に過大な負担を求めることには反対であります。

 次に、第百五十三号議案「古代出雲歴史博物館展示工事にかかる契約の締結について」であります。

 私は、芸術や文化の振興を否定するものではありません。しかし、聖域なき歳出削減のもと、福祉、教育、医療の予算を切り捨ててまでも歴史博物館への巨額な県費支出に県民は納得していません。よって、この契約締結には反対であります。
 
 次に、請願第四十号「県産材地産地消の促進及び新しまね間伐材促進基本方針に基づく間伐推進に向けた支援について」であります。

 本請願の第二項目の県産材・地産地消の促進ならびに、第三項目の間伐推進に向けた支援については賛同いたします。

 しかし、第一項目の水と緑の森づくり税の早期導入についての採択は反対であります。均等割りの引き上げは、税の逆進性を拡大し、所得の低い人ほど税負担割合が重くなる不公平な税制であるからであります。

 次に、請願第四十一号「原発の危険から住民の生命と安全を守るために」の請願であります。

 全国の原発で事故やトラブルが多発しており、島根原発も決して例外ではありません。この間の相次ぐ島根原発のトラブルに多くの県民は不安を感じています。
世界各国では、原発の新規建設中止や既存原発の運転中止の動きが高まっているのに、日本は世界の流れに逆行し、原発推進に固執しています。

 島根原発を抱える本県が、県民の生命と安全を守る責任は、重いものがあります。安全神話の一掃を求め、既存原発の安全総点検を求める本請願の願意は当然であり、不採択ではなく採択すべきことを主張します。

 最後に、請願第四十二号「生活保護の国庫補助の削減と基準引き下げの中止を求める意見書提出についての請願」であります。

 政府は、生活保護が「自立を阻害する」といいます。しかし、生活保護制度は憲法第二十五条の理念に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その自立を助長することを目的としています。生活保護を受けることは、自立を助けるものであって、自立の阻害ではありません。

 生活保護基準は、税金の課税最低限度額や福祉・教育・公営住宅などの負担軽減措置の基準のものさしとしても使われます。その基準引き下げは、国民生活全体の水準の引き下げにもつながるものです。

 よって、生活扶助基準の引き下げ中止を求める本請願は、不採択ではなく、採択すべきことを主張します。

 以上で討論を終わります。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画