2004 年 12 月定例会 平成 15 年度決算認定に対する討論
2004-12-17 この記事を印刷
知事提出認定第1号議案から第5号議案までの平成十五年度島根県公営企業決算の認定ならびに知事提出認定第6号議案「平成十五年度決算の認定について」の委員長報告に反対する討論を行います。
議会における決算の認定は、可決された予算が正確に執行されたか否か、計数が正確であるかどうかを議会の立場から審査するだけでなく、次年度の予算編成に資するために、広範な角度から住民の立場で行政評価を検証するものであると理解いたしております。この立場から以下、討論を行います。
公営企業会計決算認定について病院事業会計について まず、認定第1号議案から第5号議案までの公営企業会計決算、病院事業会計決算についてであります。
島根県公営企業会計には、一つの大きな特徴があります。それは、県内河川に多目的ダムを建設し、水力発電を開発し、上水道、工業用水道事業を行い、その工業用水により工業団地を造成する。そして、これらすべての事業を島根県公営企業として行うことを基本とする点であります。そのため、県民の立場からの弊害が生まれています。
それは、第一に、公共投資と河川総合開発が、大企業や来るあてのない誘致企業の電気・工業用水確保を主軸とした事業となり、上水道・農業用水利などの民生が後景に追いやられていることです。
第二に、過大な需要予測のため、多額な投資に見合う需要が期待できず、結局、損失負担が県民に転嫁されていることであります。
二、三例をあげますと、供給の見込みの立たない八戸川工業用水道事業、神戸川工業用水道事業に対し、68億円もの建設仮勘定を計上しているのは、分譲率2.2%の旭拠点工業団地とともに、島根県公営企業の経営悪化の要因となっています。
また、尾原ダムを水源とする斐伊川水道建設事業は、着工から十年が経過し、受水予定の市町村の人口減、長引く不況などの影響で、水需要が当初見込みを大幅に下回り、本事業の六割の受水を予定している松江市では、水道事業戦略プランにおいて「県受水量の見直し、受水関連事業の徹底見直し」を検討している状況であり、本事業の行く末が大きく懸念されている状況です。
水需要予測においては、需要予測を誤り高い水道料を住民に押し付けている、江の川水道事業の二の舞にならないことこそ県政の教訓です。
この点で県と関係市町村との協議を深め、水需要を誤らないことを強く指摘するものであります。
次に、病院事業であります。県立中央病院における高額療養費受領委任払い率の適用については、一定の改善がみられますが、まだ不十分です。病院経営において県民に対する公正な医療サービスの提供ならびに患者さん中心の医療サービスの提供との病院憲章に基づく医療提供を求めます。
平成15年度一般会計決算の認定について 次に、認定第6号議案「平成15年度決算」についてであります。
本県財政は、地方交付税の大幅削減、県税収入の減少に加え、県債発行残高が一兆円にも上り、この償還に係る公債費が一千億円を超え、危機的状況であります。今日の県財政悪化の原因は、国いいなりの大型開発・大規模プロジェクトを長年にわたって続けてきたことにあります。
この財政悪化要因については、県当局自身も認めざるを得ず、本年10月に発表した中期財政改革基本方針の中で「投資的経費を本県の財政力からすれば高い水準で維持してきたことに伴い、公債費や施設の維持管理費が増大してきた」と述べています。
県民が平成15年度予算に求めていたものは、県民合意のない不要不急の公共事業を見直し、無駄な歳出の総点検を行うことでありました。
しかるに、歴史民俗博物館整備事業、芸術文化センター整備事業など県民合意のない事業を強行し、また、市町村の自主的合併という原則に背き、新世紀道路ネットワークの整備事業に合併推進枠を設定して合併推進を政策誘導する事業に巨額な県費を充てるなど容認できません。
県政の主人公は県民です。県政世論調査によれば、県民が県政に望む施策の第一位は高齢者福祉、障害者福祉など社会福祉の充実であり、第二位は、病院、療養所の充実であります。
この県民の願いと今の県政を鑑みた時、県民の願いに逆らい、大きく乖離した財政運営であった平成15年度決算は不認定とせざるを得ません。
各論 各論的に七点申し上げます。
第一に、公共料金値上げや県職員の定数及び給与削減など痛みを県民に転嫁していることです。
第二に、自主的、主体的合併といいながら、市町村合併支援資金や法定協議会支援交付金、市町村財政健全化促進臨時交付金などの合併推進、誘導メニューで市町村合併を政策誘導したことです。
第三に、県内で国民健康保険証が手元に無い世帯は1000世帯を超え、特養ホーム入所待機者数が三千人を超えているにもかかわらず、その解決策のための予算措置が講じられないことにみられるように、全国一の高齢者県としての社会福祉、社会保障予算があまりにも貧困であります。
第四に、城山北公園線拡幅事業のように大多数の関係住民が反対している事業に対して、県民の声を真摯に聞こうとせず、一度決めた公共事業は何が何でも推進し、莫大な県費を注ぎ込もうとしていることです。
第五に、農業において国が進める大規模農家一辺倒の政策に追随し、農林水産予算の六割以上が基盤整備などの公共事業に充てられ、中山間地域や生産農家が望んでいる農産物の価格保障が不十分であります。
第六に、同和対策事業の特別措置法が終結したにもかかわらず、民間の同和団体に補助金を支出したりすることなど不公正な同和対策の執行となっています。
第七に、相次ぐ島根原発のトラブル、事故、火災が起こり、原発の安全性に対する県民の不安が高まっているのに、その対処方法は国任せ、事業者である中国電力任せであるなど、電源三法による原子力発電推進に無批判、迎合であることであります。
最後に、今回の審査に当たって、委員会、分科会審査の過程で50項目程度の質疑と資料を求めました。この点ですべての関係者からいずれも誠意ある回答、ならびに資料の提供を頂きましたことに対して、心から感謝を申し上げ、私の討論を終わります。
以上でございます。