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議会の取り組み

議会の取り組み詳細

2005 年 2 月定例会 知事提出議案、請願等に対する討論

2005-03-16 この記事を印刷
 日本共産党の尾村利成でございます。通告いたしておりますとおり、予算案7件、条例案10件、一般事件案10件、請願6件について委員長報告に反対する討論を行ないます。

 以下、その主な理由を申し述べます。

第1号議案「平成17年度島根県一般会計予算」

 まず、第1号議案「平成17年度島根県一般会計予算」についてであります。

 本議会の一般質問でも強調しましたように、予算は政治の顔、政治の鏡であると言われます。予算は、県民の置かれている苦しみの実態を直視し、県民の要望、願いに沿い、地方自治法に規定される「住民の安全、健康及び福祉を保持する」との立場から編成されるべきであります。

 然るに来年度予算案は、中期財政改革基本方針や県総合計画をもとに「歳出全般にわたる聖域なき見直しや施策の選択と集中を徹底する」としました。その中身は県民合意のない芸文センター、古代出雲歴史博物館に総額70億円余を計上、また、ほぼジェット機就航の見込みがない隠岐空港整備事業には48億円を計上するなど県民合意がなく過大な需要予測に基づく大型公共事業は強行しながら、その一方で福祉医療助成事業は圧倒的多数の県民の反対を押し切ってまで1割負担を導入し2億円減額、生活バス路線確保対策交付金は1億円を減額、私立学校補助金や社会福祉施設整備資金元利補助金の削減など県民の暮らしや命に直結する1億、2億のお金を削るなど絶対に許せません。

 福祉医療費助成事業の負担増を盛り込んだ予算案は、障害者や母子家庭、圧倒的多数の県民に県政への不信と失望を大きく広げることになるでしょう。県民が求めているのは、くらし、福祉、教育を充実させ、県民の命を大切にする予算です。

 この立場から、第1号議案「平成17年度一般会計予算」には反対します。

請願第45号「福祉医療費助成事業の堅持を求める請願」
請願第49号「福祉医療費助成事業の継続と充実を求める請願」
請願第52号「福祉医療費助成事業の継続と充実を求める請願」

 あわせて請願第45号、請願第49号、請願第52号の「福祉医療費助成事業の継続と充実を求める請願」について討論します。

 まず、はじめに指摘するのは、福祉医療費助成事業の負担増、即ち原則1割負担導入を実施しようとしているのは、島根県と一部の自治体の首長だけであります。障害者団体や母子家庭、病院や医師そして県内の大多数の市町村議会はこの制度の継続と充実を求めています。

 県当局は、市町村は概ね理解していると強弁しましたが、全くの偽りです。島根県第二の都市、出雲市の市長は、「市として上乗せが必要になる」と議会答弁しました。制度の継続と充実を求めた陳情、請願、意見書は26市町村議会で採択、可決されました。これで市町村が理解といえますか。市町村の意見は首長の意見だけではありません。住民の代表である議員で構成される議会において26議会が継続を求めています。このような中、今もってもし、市町村が理解していると強弁されるなら議会軽視も甚だしいと言わざるを得ません。議会の意見を重く受け止めるべきであることを指摘しておきます。

 障害者団体など関係団体は今回の負担増にみな反対しています。負担増に理解している団体はただの一つもないということを強調しておきます。

 今回のこの負担増は、中期財政改革基本方針に盛り込まれました。そして島根県総合計画においても助成額を減額していく方向であります。

 県民の願いと全く逆の県政であります。いくら県が、市町村や県民との協働、安心して暮らせる島根と美辞麗句を並べても、県民は、日本一障害者に冷たくなる島根県政を決して許さないでしょう。

 請願第45号、第49号、第52号の「福祉医療費助成事業の継続と充実を求める請願」は不採択ではなく採択すべきことを主張します。

第88号議案「平成16年度島根県一般会計補正予算」

 次に、第88号議案「平成16年度島根県一般会計補正予算」についてであります。

 本補正は、指定管理者制度導入を機に、島根県観光開発公社の事業を平成16年度末で廃止し、円満な解散のための清算経費を計上しています。公社解散は、公社職員の解雇を意味します。拙速な公社解散は容認できず本補正には反対であります。

第14号議案「平成17年度島根県病院事業会計予算」
第15号議案「平成17年度島根県電気事業会計予算」
第16号議案「平成17年度島根県工業用水道事業会計予算」
第17号議案「平成17年度島根県水道事業会計予算」
第18号議案「平成17年度島根県宅地造成事業会計予算」

 次に第14号議案「平成17年度島根県病院事業会計予算」、第15号議案「平成17年度島根県電気事業会計予算」、第16号議案「平成17年度島根県工業用水道事業会計予算」、第17号議案「平成17年度島根県水道事業会計予算」、第18号議案「平成17年度島根県宅地造成事業会計予算」の公営企業会計予算についてであります。

 病院事業会計におけるPFI事業は、県民サービスの後退が危惧されます。また、供給見込みの立たない神戸川工業用水事業、使わない水まで住民負担となっている江の川水道事業、水需要予測の見直しが求められる斐伊川水道事業など住民負担軽減や事業の見直し等による適正化が措置されていない予算には賛同できません。

第21号議案「島根県立短期大学条例及び島根県立大学条例の一部を改正する条例」
第33号議案「島根県手数料条例の一部を改正する条例」

 次に、第21号議案「島根県立短期大学条例及び島根県立大学条例の一部を改正する条例」、第33号議案「島根県手数料条例の一部を改正する条についてであります。

 長引く不況のもとで大学授業料の値上げは、父母負担をさらに増大させ大学教育を受ける門戸を狭めます。また、相次ぐ公共料金の値上げに加え、県手数料の値上げは、県民のくらしを直撃します。よってこれらの議案には反対であります。

第22号議案「市町村合併に伴う関係条例の整理に関する条例」
第78号議案「市町村の廃置分合について(新市名:浜田市)」
第79号議案「市町の廃置分合について(新市名:大田市)」
第80号議案「町村の廃置分合について(新町名:吉賀町)」

 次に、第22号議案「市町村合併に伴う関係条例の整理に関する条例」、第78号議案、第79号議案、第80号議案の合併関連議案についてであります。

 市町村合併は、住民にとって重大な岐路となる決断です。合併の成否は、住民に正確な情報が提供され、住民合意が十分になされたかどうかにあります。今回の新浜田市、新大田市、吉賀町の誕生にあたって、合併の是非を問う住民投票に背を向け、中心部と周辺部との格差拡大、住民負担増の不安、新自治体名称の合意など住民説明と住民合意は不十分であります。よって、これら議案には反対であります。

第26号議案「職員の給与に関する条例の一部を改正する条例」
第27号議案「職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例」
第29号議案「職員の給料の特例に関する条例の一部を改正する条例」

 次に、第26号議案「職員の給与に関する条例の一部を改正する条例」、第27号議案、第29号議案は、県職員の諸手当を縮減し、減額後の給料月額を給料月額を算出基礎とする諸手当等の算出の基礎とするものであります。

 相次ぐ県職員の給与の更なる縮減は、県職員の士気や組織の活性化、行政能力の低下につながりかねず、県職員の給与は公務員労働者の生活だけではなく、年金、恩給の基礎となり、この給与引き下げは、広く県民生活に影響を与えるものであります。そして、この引き下げは、何より民間賃金に波及し賃下げの悪循環を招くものであります。よって、これら条例案には反対であります。

第38号議案「島根県病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例」

 次に、第38号議案「島根県病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例」についてであります。

 本条例は、県立湖陵病院の整備に伴い、病床数を309床から258床へと減床させるものであります。

 精神医療の流れが入院医療中心から地域ケア中心へと変わってきたとか、利用病床数が減少したといいますが、一気に51床の減床で県として精神医療体制の確保に責任が果たせるのか危惧されます。

 近年の本県の精神障害者数は約2万人であり、この間、大幅増加する傾向にあります。その障害も複雑な社会環境に起因するうつ病等のメンタルヘルスに関連したものが増加しており、今後の精神医療の対象となる疾病構造の多様化が懸念されます。

 よって、病床数を減床する本条例案には反対であります。

第42号議案「県立学校の職員定数条例の一部を改正する条例」
第43号議案「市町村立学校の教職員定数条例の一部を改正する条例」

 次に第42号議案「県立学校の職員定数条例の一部を改正する条例」、第43号議案「市町村立学校の教職員定数条例の一部を改正する条例」についてであります。

 行き届いた教育、ゆとりある学校実現のために教員定数の削減は認められません。学習指導要領の改訂と学校5日制によって、教員は超多忙の状態にあり、教職員の増員こそ実施すべきであります。

第51号議案「景観法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律等の施
行に伴う関係条例の整備に関する条例」


 次に、第51号議案「景観法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律等の施行に伴う関係条例の整備に関する条例」についてであります。

 広告物の表示等について都道府県知事が区域を制限できる制度を拡大する屋外広告物法の改定は、政治活動の自由や基本的人権を脅かす可能性があると指摘されています。よって、本条例案には賛成できません。

第56号議案「公の施設の指定管理者の指定について(県立美術館)」
第59号議案「公の施設の指定管理者の指定について(県立東部総合福祉センター)」
第60号議案「公の施設の指定管理者の指定について(県立西部総合福祉センター)」
第61号「公の施設の指定管理者の指定について(県立はつらつ体育館)」
第66号議案「公の施設の指定管理者の指定について(県立石見海浜公園)」
第67号議案「公の施設の指定管理者の指定について(県立万葉公園)」

 次に、第56号議案、第59号議案、第60号議案、第61号議案、第66号議案、第67号議案の「公の施設の指定管理者の指定について」の民間営利会社への指定管理者団体決定の議案についてであります。

 指定管理者制度の一番の問題は、「住民の福祉の増進を目的として、その用に供する」と定義されている「公の施設」における住民サービスの維持向上がどうなるかにあります。

 営利会社が管理、運営することとなった、県立美術館、はつらつ体育館、石見海浜公園などの施設管理は、住民サービスの後退が懸念されます。また、利益追求が優先され、公平、公正な運営が担保されない恐れがあります。よって、これら議案には反対であります。

第86号議案「契約の締結について(西郷港港湾改修工事)」

 次に、第86号議案「西郷港港湾改修工事にかかる契約の締結」についてであります。

 本港湾工事は、港の35m前出しであります。35m前出ししても港湾の有効活用が図れない上、大型船舶の利用が期待できないとの声が寄せられています。よって、本契約締結には賛成できません。

請願第56号「定率減税の廃止・縮小を行わないことを求める請願」

 次に、請願第56号「定率減税の廃止・縮小を行わないことを求める請願」についてであります。

 介護保険料や医療費の値上げで家計負担は限界です。その上、定率減税の廃止、縮小により、国民負担はさらに増大します。消費の冷え込みを拡大し、一層不況を長引かせる庶民増税はすべきではありません。

 よって、本請願は、不採択ではなく採択すべきことを主張します。

請願第42号「生活保護の国庫補助の削減と基準引き下げの中止を求める意見書提出についての請願」

 次に、請願第42号「生活保護の国庫補助の削減と基準引き下げの中止を求める意見書提出についての請願」についてであります。

 生活保護基準は、税金の課税最低限度額や、福祉、教育、公営住宅などの負担軽減措置の物差しとしても使われます。その基準引き下げは、国民生活全体の水準の引き下げへと連動します。

 よって、引き下げ中止を求めた本請願は、不採択ではなく採択すべきことを主張します。

請願第51号「大手前通りの保存と歩道整備等について」

 最後に、請願第51号「大手前通りの保存と歩道整備等について」の請願であります。

 城山北公園線拡幅事業は、中止すべきであります。それは、拡幅理由とされた渋滞は全くなく、多数の沿線住民及び市民が反対していること、城下町松江の街壊しであるからであります。

 今やこの拡幅事業は、県都松江市の無駄で県民合意のない大型公共事業の代名詞となっているものです。

 本事業の強行は、福祉医療費助成事業の原則1割負担導入と同じく、県政への県民の失望と不信を一層広げることになります。

 交通量の再調査や交差点スミ切りの工夫を求め、歩道整備を求めた住民の願いを不採択とすれば、さらに住民は行政へ不信を抱き、その溝が深まることは明白であります。

 県財政が破綻寸前の今日において、わずか数億円の福祉医療費助成事業を削減するのではなく、140億円の巨費をかける本事業こそ中止すべきことを強調します。

 以上を持ちまして私の議案、請願に対する討論を終わります。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画