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議会の取り組み

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2005 年 11 月定例会 一般質問 (大型店「イズミ」出店計画、福祉医療・介護保険、特別支援教育、原発・プルサーマル、拡声機規制条例)

2005-12-02 この記事を印刷
日本共産党の尾村利成でございます。

1.大型店「イズミ」出店計画について

 質問の第一は、広島市に本部を置く大型店スーパーイズミの出店問題についてです。
 県立中央病院北側にイズミが計画している「ゆめタウン出雲」は店舗面積3万8千平方メートルの巨大店舗で松江サティの1.6倍の山陰最大級の大型店であります。

 この出店に対して、地元商店街や周辺住民から様々な問題点が指摘されています。第一に、この出店により、交通大渋滞が発生し県立中央病院への緊急車両の出入りに重大な支障をきたすおそれがあること、第二に、出雲平野の美しい田んぼをつぶし、広大なアスファルト駐車場が出現し、排水の問題、真夏の熱帯夜被害、車の排気ガスや騒音、深夜営業などにより生活環境が破壊されること、第三に、市内中心商店街はもとより近隣市町の店舗にも大きな影響を与え、既存店の廃業や撤退も予想されること、第四に、無秩序な出店が出雲市の街づくりに多大な影響をもたらすこと、などであります。

 出雲地域共同店舗協議会が実施した「イズミ出店の影響評価に関する報告書」でも経済的影響、交通への影響を具体的に評価し、この出店による諸問題を警告しています。

 1998年に大規模小売店舗法が廃止され、大型店の出店を原則自由とする大規模小売店舗立地法が作られて以降、大型店の出店ラッシュが加速しています。地域社会に根づいている中小商店・商店街は、住民生活に必要な利便を提供し、地域のまつりや伝統文化、青少年の教育、防犯、安全、防災への貢献など「地域のコミュニティーの核」として地域社会を支えてきました。商店街の収益は、その地域内の産業と雇用に還元され、循環して地域社会を潤します。

 一方、大型店の収益は、すべて地域外の本部が吸い上げてしまい、身勝手な出店、撤退によってまちこわしがすすんでしまうことは明らかです。
 福島県では、大型店の出店を広域的に規制する「県商業まちづくり条例」を制定し、店舗面積・6000平方メートル以上の大型店出店を規制対象としています。他にも福岡県、富山県、新潟県、岩手県などで県独自に出店調整を図ろうとする動きが広がっています。これは、大型店の商業圏が広範囲に及ぶため、たとえ立地される一つの市町村が出店を了承したとしても、回りの自治体が反対した時、現行法令では調整スキームがありません。そのため、県が権限を持って広域調整をするという条例をつくろうとしているわけです。

 私は、住民の暮らしを第一にしたルールに基づく大型店と中小商店・商店街の共存共栄が必要と考えます。

以下、その立場から伺います。

 第一に、イズミ出店に伴い、美しい田んぼがつぶされ、広大なアスファルト駐車場による浸水被害、車の排気ガスや騒音など生活環境悪化が予想されますが、県としてこれらの問題をどう認識しているのか、所見を伺います。

 第二に、交通大渋滞により県立中央病院の緊急車両の到着に多大な影響を与え、入院患者の療養環境の悪化が懸念されますが所見を伺います。

 第三に、旧出雲市の既存小売店全体の年間販売額の約12%が吸い上げられ、地域経済と地元商店街への重大な影響が出ると考えますが所見を伺います。

 第四に、島根県として専門家を交えた影響調査を実施すること。諸問題がクリアされないまま、開発許可をしないことを求めますが、いかがですか。

 第五に、大型店や大資本系チェーン店の身勝手な出店などから地域商店や中心市街地を守るため、そして、まちづくりの観点から大型店出店を調整する県独自の条例を制定すべきと考えますが、いかがですか。所見を伺います。


2.福祉医療・介護保険について

 次に、福祉医療・介護保険について伺います。
本年10月1日から、障害者や高齢者にとって耐えがたい負担増が始まりました。
県政においては、福祉医療受給者への1割負担であり、国政においては、介護保険利用者に対する食費、居住費の全額負担であります。

福祉医療においては、月額500円負担であったものが入院時において最高4万200円の負担という80倍の負担増であります。

 この間の議会論戦で私が指摘してきた受診抑制や治療中断など命にかかわる事例が、既に発生しています。二、三の実例を報告します。

6年前、50代で脳いっ血で倒れた松江市の男性は、この6年間ずっと米子の病院に入院中です。奥さんはご主人の看病のため、仕事が出来ず、毎日米子の病院に行かれます。この方の場合10月分の負担額は、500円から一気に4万200円になりました。この負担増に病院の会計課も驚き、「鳥取県民は障害者の負担はありません。」と、鳥取の福祉医療制度を紹介されました。結局、負担に耐えられないこのご夫婦は、娘さんの住んでおられる米子市へと揃って住民票を移されました。

また透析中のある男性は、3ヶ月の入院が必要であるとの診断を受けながらも、生活するために働かなければならないとして、1ヵ月半で退院されました。

このように県が強行した障害者への1割負担が、県民を苦しめています。なんという冷たい島根県政でありましょうか。病気に苦しみ、病気と闘っている、障害を持つ人たちに、お金の心配をさせ、つらく、苦しい、思いをさせておきながら、果たして、快適で住んでよかった島根と言えるのでしょうか。

そこで伺います。

 第一に、島根を泣く泣く離れ、そして見捨て、命を守るために鳥取県に住民票を移した人、医療費を払えず生活費を捻出するために早期退院した人などがおられますが、県としてこれらの事態をどう思われますか。健康福祉部長の、心のこもった答弁を求めます。

 第二に、10月からの負担増に対して、実態調査をすると約束されましたが、県として実態把握のためにいかなる努力をしておられますか、どのような方法で実態把握、調査をされているのかお聞かせ下さい。

 第三に、知事は、先の9月議会で「課題が生じたり、状況に変化が見られる時は、原因を十分検証し改善策が必要かどうか適切に判断する」と私に答弁され、制度の見直しもあり得るとの認識を示されました。もうすでに、受診抑制をはじめ、命にかかわる事態が起こっており、知事の約束通り、もはや1割負担は撤回する以外ありません。所見を伺います。

 次に介護保険の問題では、介護施設の食費と居住費が全額自己負担とされ、一人当たり平均月額2万5千円の値上げとなりました。負担増回避の自己防衛策として世帯収入を減らせば、保険料階層を引き下げられるため、世帯を分離するケースも増えています。

 また今回の改正は、施設が受け取る介護報酬の削減も実施され、ある施設長は「年間1千万円を超える減収となるが、簡単には利用者に転嫁できない」と頭を抱えています。この介護報酬の削減が、施設労働者の労働強化や雇用悪化となり、ひいては、利用者のサービス低下につながりかねないことを危惧するものです。

そこで伺います。

 第一に、介護保険改正による利用者の負担増による利用抑制、施設の介護報酬削減による職員の非常勤化や給与削減など、利用者と施設の両方の影響実態調査を求めますが、いかがですか。

 第二に、負担増による利用抑制を防ぐために介護保険料・利用料の減免制度を国に求めて下さい。また県として、市町村と協力しての軽減策の実施を求めます。所見を伺います。


3.特別支援教育について

 次に、特別支援教育について伺います。

 私は、この間、松江清心養護学校の保護者の皆さんと懇談し、清心養護学校を訪問し、お話を伺って参りました。学校においては、子供たちの笑顔にふれながら、教職員の熱意ある教育実践に接し感銘を受けたところであります。

 松江清心養護学校においては、業者委託による給食方式となっています。2年前の平成15年9月には食中毒が発生しました。本年9月には、金属たわしの破片が入るという異物混入、そして翌月の10月には髪の毛が混入する異物混入で、子供たちや保護者をはじめ、学校関係者からの不安の声が大きく上がっています。口に入れ、食べるものです。安心して食べられない、食べさせられないということでは給食とはいえません。

ここで、保護者から出されている声をご紹介します。

「11月15日に給食試食会が開催され、参加しました。その際初めて給食を口にしたのですが、まずはその冷たさに驚きました。確かにその日は肌寒い日ではあったのですが、おかずすべてが冷たく、また、当然温かいはずのスープでさえ非常に冷たく、飲むと身体が冷えてしまうようなものでした。私の試食分のパンには、毛糸のような毛が混入していました。ペースト食も試食しましたが、その粗さは、とても上手く飲み込める状態のものではないと思え、実際、当日の給食では、ペースト食の子は食べられなかったとのことです。やはり、身体の弱い子たちにこのような給食を毎日与えられるのは納得がいかないという思いを新たにしたところです。」

 また、別の保護者からは、「今の給食では、ペースト食・きざみ食の調理がまちまちで、誤嚥などしないか不安です。」などの声が出されています。おいしい給食を子供たちに食べさせてあげることが、政治の責任ではないでしょうか。

私自身も子供たちが給食を食べている所を見学させて頂きましたが、調理して数時間経ってから運ばれてくるおかずやおみそ汁が、冷めていることを実感したところです。

 県教育委員会は、松江清心養護学校への給食提供に向けて、隣接する東部心身障害医療福祉センターや松江ろう学校と協議を重ねられ、また、松江市給食センターとの連携を模索するなどのご努力をしてこられたことは、承知しております。

また、普通食、きざみ食、ペースト食という3種類のメニューを提供し、採算ベースに合わなくとも給食を提供してこられた業者の大変さも理解致しております。

 私は、保護者との懇談をはじめ、実際に給食状況をみて、自校給食実施以外、諸問題の解決方法はないと強く感じたところであります。

そこで伺います。

 第一に、養護学校における学校給食について、業者委託による給食方式の弊害、子供たちや保護者の不安をどのように考えておられるのか伺います。

 第二に、養護学校における学校給食のあり方について、県としての基本的見解・認識をお示しください。

 第三に、松江清心養護学校においては、学校に調理場を設置する以外、子供たちや保護者、教職員の安心・安全の給食はあり得ず、自校給食実施に向けての調理場設置を求めますが、いかがですか。また、調理場設置にいくらの予算がかかると試算されているのか伺います。

 次に通学用スクールバスについてです。

 清心養護学校には、50人の通学生がおり、保護者のみなさんが送り迎えをしておられます。

保護者からは「出雲から通っていますが、学校の始業時間に間に合いません。終業時間の午後3時過ぎまで図書館などで待っています。」また「子供が運転中に目をふさいだり、ハンドルに手をふれたりして、交通事故になりそうなことが何回かありました。運転をしながら子供の状態を常に気にしていないといけません。」などの苦悩をお聞きしたところであります。

 全国47都道府県中、通学用スクールバスを実施していないのは、山形県と本県だけであります。この面での遅れを率直に直視し、改善しなければなりません。

そこで伺います。

 第一に、盲・ろう・養護学校の通学生に対して、通学用スクールバスの配備を求めますが、いかがですか。あわせて通学用スクールバス配備にあたっての予算は、いくらと試算しているのかお示し下さい。

 第二に、就学奨励費の適用による通学支援の実施状況とその課題についてお答えください。


4.原発・プルサーマルについて

 次に、原発・プルサーマル計画について伺います。

 11月28日、住民団体、女性団体、農協、自治会の代表者らの12人で構成する「プルトニウム混合燃料に関する懇談会」が発足しました。

 懇談会での議論を深めていくことは当然でありますが、プルサーマル是非の議論は、地元松江市民はもちろんのこと、全県民的な議論、検討なしには結論を出すべきではありません。

プルサーマルとは、使用済核燃料を再処理して得たプルトニウムをウラン燃料と混合して、既設の原発で使用することです。プルトニウム循環方式は、使用済核燃料の再処理から、プルトニウム燃料による発電、使用済みのプルトニウム燃料の再処理まで、あらゆる段階で深刻な危険が伴い技術的にも見通しがないものです。

アメリカ、フランス、ドイツが撤退する中で、今もってこのプルトニウム循環方式に固執しているのは日本だけであります。国内では、福島、新潟、福井はプルサーマル凍結を決定しています。

澄田知事は、先の9月議会で自分自身の責任でプルサーマル導入是非を判断すると強弁され、住民投票実施を拒否されました。

しかし、県民は知事に白紙委任したのではありません。命にかかわる本当に重大な問題です。県民的議論と納得なしに絶対にゴーサインを出すべきではないということを強く求め、以下伺います。
 
 第一に、プルサーマル計画の是非について、広く県民の声を聴く機会を設け、住民団体などを招いて公開討論を実施するなど、県民に開かれた検討と論議を求めますが、いかがですか所見を伺います。

 第二に、プルサーマル凍結を決めた福島県、新潟県、福井県の主張や事情を調査するために視察団を派遣するなどして、今後の参考にすべきと考えますが所見を伺います。

 第三に、私はこの間、安全協定見直しについて、風評被害の損失補償規定、住民参加の立ち入り調査規定、経年化への対応規定を求めてきましたが、締結に向けた協議状況はどうなっていますか、また改定時期はいつ頃ですか、伺います。


5.拡声機規制条例について

 最後に、拡声機による暴騒音の規制に関する条例の一部改正条例について伺います。

 拡声機による暴騒音の規制に関する条例は、平成5年2月議会において「県民の日常生活を脅かす拡声機の使用について必要な規制を行うことにより、地域の平穏を保持し、公共の福祉の確保に資することを目的とする」として制定されました。

この拡声機規制条例に対し、当時の議会では言論、表現の自由を保障する憲法第21条に違反するのではないか、また通常の政治活動や市民運動を条例の適用除外と明確に規定しておらず、拡大解釈の恐れがあるのではないかなど様々な疑問が出され、県弁護士会からも反対の意思表明が出されました。

 今度の改正案では、10メートル以上離れた地点で拡声機音量を測定するとしていたものを10メートル未満で測定したとしても、10メートル地点測定値として換算測定できることとしたり、罰則を伴う警察署長の再発防止命令に関する規定を新設するなど、いっそう警察権限の強化が盛り込まれています。

拡声機規制条例では、85デシベルを超える音を暴騒音と規定しました。平成5年条例制定時、当時の警察本部長は「右翼団体の行っているような日常生活を脅かす音の暴力を規制する」また、「一部右翼の暴騒音は、常識の限度を超越して広い範囲の地域など鳴り響き社会秩序を破壊させるおそれがある」とし、条例の必要性を答弁されました。

 ここで私が疑問を感じ、条例の実効性を考えさせられるのは、本年2月議会の竹島の日条例の表決が行われた最終日、3月16日の日であります。

この日の県庁周辺は、全国からの右翼団体が集結し、多数の街宣車から明らかに85デシベルを超す暴力的な大音量が終日流されました。

子供たちは怯え、県庁周辺の事業所では電話で話もできない状況で、この県議会議場にまでも暴騒音が聞こえてくるという事態でありました。そして、なぜ警察は取り締まらないのかとの県民からの苦情も多数出されていました。

 即ち、この3月16日には拡声機規制条例が全く機能していなかったわけであります。取り締まる気があれば右翼暴騒音については刑法、軽犯罪法、道路交通法等で十分に取り締まりは可能であります。

以上の立場から何点か伺います。

 第一は、本年2月議会の最終日に明らかに、85デシベルを超える暴騒音が発せられたものの対応ができなかったのはなぜですか。音量の測定地点数と測定音量値はいくらでしたか。条例目的である県民の日常生活と地域の平穏が保持できたと総括していますか。明らかに条例に反する音量であったのになぜ停止できなかったのですか。当日の対応についての総括と検証を伺います。 
    
 第二は、現行条例が施行された平成5年7月以降の運用状況、条例制定の成果と効果、ならびに問題点を伺います。

 第三に、通常の政治活動、労働運動、市民運動に対して規制対象としないことを担保する規定を定めることを求めます。所見を伺います。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画