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議会の取り組み

議会の取り組み詳細

2005 年 11 月定例会 予算案、条例案、事件案、請願に対する討論

2005-12-16 この記事を印刷
 日本共産党の尾村利成でございます。

 予算案1件、条例案7件、一般事件案1件、請願1件について委員長報告に反対する討論を行います。
 以下、その主な理由を申し述べます。

第187号議案「平成17年度島根県一般会計補正予算」
第210号議案「公の施設の指定管理者の指定について」
 
 まず、第187号議案「平成17年度島根県一般会計補正予算」、ならびに第210号議案「公の施設の指定管理者の指定について」であります。

 本補正は、県立古代出雲歴史博物館において、民間営利会社に対し平成18年度から平成22年度までの4年間、管理運営事業費として指定管理料の債務負担行為を措置するものであります。

 指定管理者制度の一番の問題は、住民の福祉の増進を目的として、その用に供すると定義されている公の施設が、公共性を持たず、営利を目的とする民間営利企業に代行させて、自治体としての責任が果たせるのかということにございます。

 即ち、公共性の担保、住民サービスの維持向上について危惧が残ります。よって本補正予算案、一般事件案には反対であります。

第196号議案「職員の給与に関する条例等の一部の改正する条例」
第197号議案「県立学校の教育職員の給与に関する条例の一部を改正する条例」
第198号議案「市町村立学校の教職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例」
第199号議案「企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例」

 次に、第196号議案「職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例」、第197号議案、第198号議案、第199号議案の県職員の給与に関する議案についてであります。

 今回の給与制度の見直しは、昭和32年以来の50年ぶりの改定であり、その主たる内容は、給料表の水準を平均4.8%引き下げ、勤務実態に応じた昇給幅を設定するなど、成績主義、成果主義の導入であります。

 相次ぐ職員給与引き下げは、県職員の士気や組織の活性化、行政能力の低下につながりかねず、県職員の給与は、公務員労働者の生活だけでなく、年金、恩給の基礎となり、この引き下げは、広く県民生活に影響を与えるものであります。

 そして、この引き下げは、何より民間賃金に波及し、賃下げの悪循環を招くものであります。

 また、成果主義における査定基準は、その査定のものさしを、どこにおくかが問題です。県のすすめる中期財政改革基本方針に沿い、例えば、県税徴収で言えば強権的手法で徴収率を向上した職員を「良」とし、たとえ徴収率は低くとも、県民1人1人のくらしの実態に目を向け、その苦悩解決のために汗を流した職員を「良」とするのか、また例えば、城山北公園線のように住民の理解が得られていない、道路拡幅決定に際し、とにかく用地買収率を向上させた職員を「良」とし、用地買収はすすまなくとも住民の立場に立ち、行政として住民の奉仕者の立場で、住民のよき相談相手として汗を流した職員を「良」とするのか、このことが問われます。

 県職員は、公務員であり県民全体の奉仕者です。そして県民全体の奉仕者たる公務員は、地方自治法に規定される「住民のくらしと福祉、健康、安全を守る」立場で勤務すべきです。

 今回の勤務成績に基づく昇給制度の導入は、ややもすれば県民の立場でなく、県当局の立場に立った職員を「良」とすべくおそれがあり、これら諸議案には反対いたします。

 あわせて、私は県職員が県民全体の奉仕者として、職務に邁進されることを心から願うものであります。

第201号議案「島根県行政機関等設置条例の一部を改正する条例」
第202号議案「島根県県税条例の一部を改正する条例」

 次に第201号議案「島根県行政機関等設置条例の一部を改正する条例」、ならびに関連する第202号議案「島根県県税条例の一部を改正する条例」についてであります。
 これら二つの議案は、中期財政改革基本方針に盛り込まれた行政の効率化、スリム化のための組織改正であります。

 簡素で効率的な執行体制再編と言うものの、裏を返せば、県民サービスの低下を意味する組織改正であります。

 今回の組織改正は、県民サービス向上の観点に立った改正ではなく、合理化・効率化といった県行政スリム化による県費抑制を目的とするものです。

 よって、これら条例案には反対であります。

第204号議案「拡声機による暴騒音の規制に関する条例の一部を改正する条例」

 次に、第204号議案「拡声機による暴騒音の規制に関する条例の一部を改正する条例」についてであります。

 今年の2月県議会の最終日の竹島の日条例採決の3月16日、拡声機規制条例は全く機能しませんでした。右翼等の暴騒音は、取り締まる意思があれば、現行法令で十分可能です。

 本条例は、警察官の行政手続、執行現場における公務執行妨害など刑事罰対象行為取り締まりに、現場警察官の匙加減(さじかげん)で移行し、弾圧立法化する危険性があるため反対であります。

請願第68号議案「子供の権利条約の趣旨に沿い、私学助成制度の堅持と私学助成費の増額などを求める請願」

 最後に、請願第68号議案「子供の権利条約の趣旨に沿い、私学助成制度の堅持と私学助成費の増額などを求める請願」についてです。

 県は、財政改革の一環として、平成16年度より私立学校への県単独助成費を3年間で半減するとしています。

 県立高校の授業料の滞納は、平成16年度末時点で153人に及び、その滞納額は616万円であり、毎年増加しています。

 私立高等学校の学費は、県立高校と比較しても2倍を超え、1ヶ月あたり4万円を超えます。

 今こそ「高校教育の無償化」をうたった「子供の権利条約」に沿った政策が必要です。

 よって、2117人の署名による願意を集め、私学助成の国庫負担金制度を守る決議を上げ、政府に要請すること、そして授業料一律助成の新設を求めた本請願は、不採択ではなく採択されることを求めます。

 以上で討論を終わります。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画