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議会の取り組み

議会の取り組み詳細

2006 年 2 月定例会 一般質問 (知事の政治姿勢、福祉医療費助成事業について、介護保険について、城山北公園線拡幅事業について、教育問題について、原発・プルサーマルについて、県職員採用・定員削減について)

2006-03-02 この記事を印刷
日本共産党の尾村利成でございます。

1.知事の政治姿勢について

 質問の第一は、知事の政治姿勢についてであります。

 小泉構造改革のもとで雇用と所得の破壊、中小零細企業の倒産、経営難がすすみ1990年代末から貧困と社会的格差の広がりが社会問題化しています。

 全国的指標によると1997年と比較して生活保護世帯は63万から103万世帯、教育扶助、就学援助を受けている児童・生徒は6.6%から12.8%に、貯蓄ゼロ世帯は10.2%から23.8%にそれぞれ激増しています。そして、同じ時期にサラリーマン世帯の年収は87万円も減少しています。大企業は正社員を減らし、派遣・パートなど非正規社員への置きかえをすすめ、労働者の3人に1人、若者の2人に1人は不安定雇用のもとに置かれています。内閣府の国民生活白書2005年版でも「若年層でパート・アルバイトが増加し、所得格差が拡大している」と指摘しています。格差社会と貧困の広がりの根本には、小泉内閣のすすめた規制緩和万能路線があります。
 
 県内のいくつかの指標をみてみると、第一に県民の命綱である国民健康保険では、2001年の保険料・税の滞納世帯は8934世帯でした。それが2005年には15049世帯へと、この4年間で1.7倍に激増しています。保険証がなく病院にかかれず命を落とすという悲惨な例も起こり、国保加入世帯の1割以上が滞納している実態です。

 第二に、生活保護世帯は2001年の2527世帯から、2005年には3150世帯へと1.25倍へとなり、保護世帯は全世帯の1.2%に達しています。

 第三に、世帯あたりの年収をみてみると、年収300万以下の世帯は2000年には、80300世帯の32%世帯、それが2005年には84900世帯にまで増加し、その構成比は34%となり、一世帯あたりの所得水準が低下しています。

 税金が払えない、水道料、社会保険料、電気料が払えない人も増えており、県をはじめ水道局、電気事業者もその滞納整理に躍起になっている状況です。

 国民に痛みを押し付け、弱肉強食、勝ち組・負け組社会をつくってきた小泉改革のもとで県 内においても膨大な生活困窮者を生み出し、県民の不安を広げています。こんな時だけに県政が県民のくらしと福祉を、しっかり守ることが求められています。

 そこで伺います。

 第一に、小泉構造改革のもと貧困の増大、社会的格差が拡大していると考えますが、知事は県民生活の実態をどうとらえていますか、所見を伺います。

 第二に、県民のくらしが大変なときだけに、県政はどうあるべきであり、県民は県政に何を求めていると認識しているのか、所見を伺います。

 知事は施政方針演説で「国が財政改革の名のもとに、地方にのみ負担を強いることは許されません」と強調されました。私は知事のこの部分の発言に同感します。しかし、この言葉を県政に置きかえれば、県民は県政に次のとおり意見するでしょう。「県が財政再建の名のもとに歳出全般にわたる見直しを徹底し、県民のくらしの予算を削減することは許しません」と。

 県の財政再建のあるべき道は、城山北公園線拡幅事業など県民合意のない無駄な大型事業やプロジェクトを見直しをする、斐伊川水道建設事業のような過大な需要予測に基づく事業を再検証するべきであることを指摘するものであります。


2.福祉医療費助成事業について

 次に、福祉医療費助成事業について伺います。

 福祉医療費1割負担が実施されてから5ヶ月が経過しました。先の12月県議会でも指摘しましたように、この負担増によって医療費が払えず、受診抑制が発生し、島根を離れる人もでています。

 事実、島根県民主医療機関連合会が実施した利用者の実態調査アンケートでは、1割負担に耐えられないという実態が明確になっています。

 アンケート結果では「福祉医療をもとにもどして」「いきなり500円から1割負担は極端すぎる」「県民の福祉に目を向けて全国一の老人県を目指してほしい。福祉が充実した県になれば若者もくる。鳥取との差がここまであるのは県の怠慢である。引越しをしたい」「透析中の食事代の負担もある。これからはおにぎり1個で我慢しようかと思っている」などなど、1割負担に苦しめられ福祉医療1割撤回を求める切実な声が出されています。

 負担を減らすために「医療機関に相談したい」と回答した人は半数に及び、「受診回数を減らす」「検査を減らす」「薬を3回から2回にする」などの回答も多数あり、「生活費を減らす」との声が65%もの人から寄せられています。外出、たまのカラオケを減らすなどの回答もあり、閉じこもりの生活になることが懸念されます。

 この1割負担が障害者の家計とくらし、命を破壊するものであることはもはや明白です。1割負担は撤回以外ありません。

 そこで伺います。

 第一に、県として1割負担の影響・実態調査をいかなる手法で行い、その調査結果をどう分析・認識しているのですか。また民医連の利用者アンケート結果をどう受け止めているのですか、伺います。

 第二に、県情報公開審査会は、県が市町村長に行った福祉医療改正の説明状況について、黒塗りの非公開部分としていた部分の公開を命じました。そして、県は審査会の答申通り公開することを決定しました。

 私は、公開された部分を見て、制度改正に対して市町村の理解はやっぱりなかったということを確信しました。なぜなら当時、県が意見聴取した市町村は、わずか8市6町1村にしか過ぎず、全自治体の3割に過ぎないこと、また多くの市町村長が制度改正に否定的であることが分かったからです。

 例えば、益田市長は「福祉医療については、対象者にとってはいくら負担が増えるか重要。既得権益である」と発言されています。平田市長は、「生活保護を受けずに頑張っている人が崩れていく。負担可能とは考えない。低所得者に対する配慮を考えて欲しい。受診抑制をどう考えているのか」と発言されています。津和野町、斐川町の町長、柿木村の村長などは、経過措置、激変緩和措置を設けて欲しいとか、500円から8000円、15000円は絶対無理だとし1割負担の懸念を表明されているのです。

 雲南市、浜田市はこの3月議会で県制度への上乗せを予算化しています。すでに上乗せ助成している松江市、出雲市、斐川町、東出雲町、邑南町と合わせれば、4市3町の7自治体が県制度を不十分として上乗せ施策を実施するではありませんか。市町村の理解は得たと強弁してきた県の言い分は、全くごまかしであり、嘘であったこと、すなわち県議会で虚偽答弁であったことは、もはや明白です。

 健康福祉部長、あなたは今もってなお市町村の理解、関係団体の理解があると言われるのですか。答弁を求めます。

 知事、市町村の理解や関係団体の理解はありません。受診抑制がはじまり、受給者は苦しんでいます。泣いています。命が奪われかねない事態が発生しています。1割負担の撤回を求めますが。いかがですか、答弁を求めます。


3.介護保険について

 次に介護保険について伺います。

 昨年10月から実施された介護保険法の改正で施設入所者の食費・居住費が自己負担化され、利用者に重い負担が課せられ、深刻な事態が生まれています。

 島根県保険医協会が実施した県内施設の影響調査では、7割を超える入所者が負担増になっており、19人がやむなく施設から退所している実態がわかりました。

 先の12月県議会での私の質問に対し、健康福祉部長は県として実態調査を行い、状況把握に努めていくと答弁されました。

 そこで伺います。

 県として法改正後の実態調査結果をどう受け止めていますか。経済的理由での施設退所者数は何人ですか。負担軽減に向けた県独自の低所得者対策を求めますが、いかがですか、伺います。


4城山北公園線拡幅事業について

次に城山北公園線拡幅事業についてであります。

県道整備をすすめる新世紀道路ネットワーク事業は、ピーク時300億円ありました。しかし、県の財政難のもと今年度は80億円、来年度は56億円へと縮小される状況です。このために工事中でありながら40ヶ所の事業が休止となる見込みです。

県民や市町村からは「なぜ、必要な事業なのに休止になるのか」「いつ工事が再開してもらえるのか」との、不満と戸惑いの声が出されています。
その一方で、総事業費140億円もかける県民合意のない街壊しの大型事業である城山線拡幅事業は、猛烈な勢いで強行されています。

 この事業に住民が反対しているのは、もはやこの事業に道理も目的もないからです。

 一例あげれば、将来的に車の通行量が2倍になると予測するなど、実体とは全く異なる過大な需要予測であるからです。

 昨年12月19日、松江城大手前通り拡幅に反対し美しい街並みを保存する会は、知事に抗議文を提出しました。その抗議文の一節を読み上げさせて頂きます。知事をはじめ執行部の皆さん、住民の怨嗟の声であります。よく聞いてください。

 「大手前通り拡幅は島根国体を機に30数年前に発案されましたが、バブル期に更に誇大な代物に化けました。それが今の計画です。しかしバブルが崩壊し、公共事業の大幅削減、県人口の急減期突入など今や時代は確実に変わりました。・・・昨今の沿線住民の破壊撤去は、そこに住む住民、特にお年寄りに言いしれぬ不安を増幅させ、今や人権問題となっています。末期ガンと宣告され生きる意欲もなくなった。そこへ両隣を壊しにかかられ、泣く泣く立ち退いた人。独居老人など弱い立場の人、不在地主などをあの手この手で調べ上げ、無理矢理追い立てる冷酷な仕打ちは許せません。私たちは貴重な文化遺産を守る。城下町松江を守る。ここを動かないと宣言する。それは何より、国際文化観光都市、松江市民としての勤めと確信しているからです。」と結んでいます。

 そこで伺います。

 第一に、本事業において、用地調査、建物調査にさえ同意しない住民がありますが、それは何が原因と考えていますか、伺います。

 第二に、私は住民に理解が得られていない事業は絶対に実施できないと考えます。本事業は、例え死んでも絶対に立ち退きはしないと宣言している住民が多数あります。今現在、用地買収がすすんでいますが、反対住民がある限り拡幅事業は出来ません。結局は税金の無駄使いに終わることとなります。事業中止の英断を知事に求めますが、いかがですか、伺います。


5.教育問題について

 次に教育問題について伺います。

 まず、学力向上対策事業についてであります。

 政府は、2007年度から小学6年生と中学3年生の全員を対象に全国学力テストを行う計画です。島根県教委は本年4月からしまね学力向上プロジェクトをスタートさせ、本年5月には、小3から中3までの全児童生徒を対象に島根県学力調査を実施する計画です。

 全国学力テスト復活は、2004年就任した中山文部科学相によって打ち出されました。中山大臣は「今までの教育に欠けていたものがあるとすれば、競い合う心」「全国学力テストをやって競い合う教育を」と発言し、競争によって学力世界一に返り咲く決意を語りました。

 2005年1月、日本経団連は「学校間はもとより、教員間の競争原理を働かせれば21世紀に必要とされる人材育成が可能となろう」と、教育提言するなど政府・財界が一体となって競争原理を大合唱しています。

 今、学力向上に向けて世界では二つの流れがあります。

 一つの流れは、イギリス、アメリカ、ドイツなど学力テストを導入し新自由主義政策の下、競争社会を子供たちに押しつける流れ、もう一つの流れはフィンランドのように競争と比較をやめて発達を強調する流れです。

 イギリスは、1988年のサッチャー政権時代の長期不況の中で、社会活力低下の原因として教育が批判を浴び学力向上策の一環として学力テストが導入されました。テストの結果を受けて、成績の悪い学校では全教職員が入れかえられ、それでも成績が悪いと廃校にされました。学校選択制も導入され、成績の結果が入学者の増減に直結したため成績の悪い子の排除が起きました。

 アメリカでは、ブッシュ政権の下、全児童生徒を対象にした学力テストが州ごとに義務付けられました。テスト結果の悪い学校には制裁措置がとられたため、現場の教職員から強い批判が巻き起こりました。

 一方、もう一つの流れは、競争をやめて学力世界一となったフィンランドの教育政策であります。フィンランドは、テストを競争させるためではなく、遅れた子を引き上げるためのものと、位置付けました。学力世界一のフィンランドの取組みは、日本の教育施策に示唆を与えるものです。

 フィンランドでは、一学級24人学級を実施し、教師は専門家として尊重され、責任をもって自由に授業を行っています。そして、学力の中身も競争を排し、共同を重視し連帯を尊ぶ人間を育てるものとなっているのです。日本と島根の教育がどちらの流れに立つのかが問われています。

 今、子供たちを取り巻く社会・生活環境が悪化しています。学校教育費の父母負担分が払えず、就学援助を受けている児童数は、2000年に3855人であったものが2004年には5494人へとふくらみ、4年間で1.4倍へと増えています。

 県立高校授業料の滞納者数はこの4年間で2.5倍へと大激増しており、私立高校では授業料が払えず、泣く泣く退学せざるを得ない生徒も出てきています。不況が児童生徒の学習環境に影響を与えていることは、明白です。今日の日本の社会的格差、経済格差の広がりなどの不平等の拡大、競争主義は子供たちを傷つけ、子供たちの学ぶ喜び、生きる展望を見失わせていることを、真剣に直視しなければなりません。

 そこで伺います。

 第一に、学力低下の原因は何であると考えていますか、伺います。

 第二に、事業実施に際し、施策は全生徒を前提としていますか、不登校など困難を抱えている子供へのサポートを前提したものなのですか、伺います。

 第三に、事業計画は、教職員、保護者、子供たちの声を反映していますか。また保護者や教職員の理解は得られていますか。

 第四に、学力調査は抽出調査で十分であるのに、なぜ全児童対象の悉皆調査をするのですか。悉皆調査は、学校のランク付けに利用される危惧がありますが、いかがですか。

 第五に、指導システムの改善・強化は大切なことですが、学校現場で教員が事務処理に追われている勤務実態の改善なしに、指導力・授業改善はありえません。勤務時間内での教員の教材研究、授業準備の対応に費やせる時間がどれだけあり、可能であると考えていますか。また教職員の勤務状況改善のための適正化通知は現場で周知され、実効あるものになっているとお考えですか、伺います。

 次に子供の教育環境について伺います。

 東出雲町では、出雲郷小学校の150mのところに玉野市競輪を本場とする車券発売所建設計画が浮上しています。

 この計画に対し、保護者から子供の教育環境に悪影響を及ぼすとし、7000人を超える反対署名が集められ、5人の東出雲町教育委員全員も反対の意思を表明しています。

 そこで知事に伺います。

 知事、大人の人生をも狂わせるギャンブル施設が、小学校の至近距離に建設されることは子供の安全上も教育上も絶対に許されないと考えますが、所見を伺います。


6.原発・プルサーマルについて

 次に、島根原発・プルサーマルについて伺います。

 中国電力は、MOX燃料を自動車のハイオクに例えて「レギュラーガソリンとハイオクの違い」と説明し、プルサーマル導入で原子炉の出力を抑制する制御棒の効きが悪くなっても安全の範囲内であると強弁します。とにかく安全です、心配いりませんと市内各地の説明会で安全・大丈夫論を強弁し、安全神話をふりまいています。果たして県政は、国まかせ電力会社まかせの安全神話に追従していていいのでしょうか。これで県民の安全と命をまもれるのでしょうか。

 もともとプルサーマル計画は、わが国のプルトニウム循環方式の本命とされていた高速増殖炉の開発がもんじゅの事故で頓挫し、それに代わる大量の余剰プルトニウム利用の主役として浮上してきたものです。まさに、安全性や処理、処分について十分な検討のない場当たり的な計画であり、プルトニウム循環路線に固執してきた政府の原子力政策の破綻をごまかすものでしかありません。

 この国策が住民の安全性を犠牲にすることは絶対に許されないことを私は強調するものです。

 この立場から以下、伺います。

 第一に、相次ぐ島根原発のトラブル・事故について県としてどう認識していますか。1号機、2号機のトラブル回数やその原因をどう分析し、どう評価しているのですか、伺います。

 第二に、MOX燃料はウラン燃料に比べて、ペレットの融点の低下、即ち燃料は溶けやすくなり、制御棒の効きが悪くなり危険性が増し、事故が起こりやすくなると考えますが、県としての所見を伺います。

 第三に、知事は県民の理解と合意がプルサーマル実施の大前提と言われていますが、県民に対する説明責任、および県民合意をいかなる基準をもって判断されるのですか。その基準、ものさしを明確にお答えください。


7.県職員採用・定員削減について

 次に、県職員採用・定員削減について伺います。

 県は、中期財政改革基本方針に基づき、行政の効率化・スリム化の名のもとに総人件費の抑制・給与削減を国や他県に先駆けて協力に推進しています。その結果、平成17年度のラスパイレス指数は全国最下位となりました。給与の大幅削減と合わせ、今後5年間で1000人の定員削減を計画するなど県職員に徹底した痛みの押しつけです。

 私は、県職員大幅削減計画や相次ぐ職員給与引き下げが、県職員の士気や組織の活性化の低下につながり、ひいては県民サービスの低下へとつながりかねないことを憂慮するものであります。

 そこで伺います。

 第一に、大幅な県職員削減は、県職員の労働強化、県民サービスの低下が危惧されますがいかがですか。所見を伺います。

 第二に、5年間で1000人削減計画は現場の労働実態と乖離していませんか。職員の理解は得られているとお考えですか。

 次に職員採用についてです。

 先般、私のもとに、臨時職員試験に合格しながらも合格名簿有効期間が切れるまで、県からの連絡は一切なく放置されていたという方が相談に来られました。

 聞くところによれば、この方は、少しでも県政推進の役に立ちたいとの思いで、採用されるのを楽しみに、他の職につくことなく10ヶ月もの間、待機され続けました。しかし、他の合格者は次々と採用されながらも、自分には採用通知が来ないことに疑問をもたれたのであります。この点で調査して判明したことは、採用基準に、合格者名簿順に採用する場合と順位付けは行わず所属長の判断で採用する場合の二通りあり、統一的基準・ルールがないことでありました。これでは、公平・公正な選考が担保されないではありませんか。

 そこで伺います。

 このように合格した人を放置していた事例を県としてどう考えていますか。今後このようなことを繰り返さないために、採用基準・ルールの明確化とあわせ改善策を伺います。


〇議長(倉井毅) 澄田知事。

〇知事(澄田信義) 尾村議員の御質問にお答えいたします。

 まず、県民の生活実態の現状認識及び県としての対応についてであります。

 県内の生活保護世帯数、就学援助率などが増加や上昇していることは私も承知しております。また、県民の給与所得の額も近年減少傾向にあります。私は、これらの主な原因は、景気の長期低迷によるものではないかと考えています。

 全国的な景気回復が言われている中で、本県の経済動向は一部に持ち直しの動きがあるものの、全国に比べ回復のテンポは緩やかな状況にとどまっています。県民の実感としては、なお厳しい状況にあるとの声を耳にするところであり、景気回復に対する県民の期待は大きいと感じています。

 私は、就労支援など現在行っているさまざまな雇用対策等を着実に進めるとともに、生産誘発効果の大きい観光の振興、安全安心にこだわった農業の振興、さらには新技術の開発による新産業の創出などスピード感を持って産業振興施策に取り組み、雇用の創出や所得の増加を図っていきます。

 次に、福祉医療助成制度についてであります。

 障害のある方々や一人親家庭の皆様に負担の増加をお願いするという、私自身大変つらく苦渋の判断で行った制度改正も制度開始後、約半年が経過しようとしています。

 私は、県政の最高責任者として、この制度を安定的に維持し、いかに財政状況が厳しくとも障害者福祉が直面する自立支援への動きに何としても対応していかなければならないとの強い思いを持って今回の制度改正を行ったものであります。

 大変大きな制度改正となったことから、担当の健康福祉部には利用者の実態や受診動向をしっかりと把握するよう指示をしているところであります。健康福祉部では、市町村や病院を訪問するなどにより、利用者の方から寄せられている相談状況や個別事例の内容をお聞きするとともに、医療費請求データの分析を行い実態把握に努めているところです。

 これまで市町村や病院からお聞きしたところでは、負担がふえ大変だといった御意見が寄せられているとのことで、私としては、不安な心情を持ちながら受診されている方がおられることに心痛む思いもしております。

 現在のところ、こうした声はありますが、医療費請求データからは利用動向に大きな変化はないとの報告も受けております。しかしながら、まだようやく半年が経過しようとしているところで、私といたしましては、なお利用者の状況を的確に把握したいと考えており、制度の定着に向けて引き続き利用者からの相談に応じながら、その動向や実態の把握に努めてまいりたいと考えています。

 今、まさに障害者の自立と社会参加を目指した障害者自立支援法の施行を控え、障害者施策は大きな転換期の中にあります。私は、障害者の方のさまざまな声や懸命に頑張っておられる御努力にこたえるため、喫緊の課題である自立支援策の充実に全力で取り組んでまいりたいと考えています。

 次に、城山北公園線の整備事業についてお答えします。

 本路線は、松江市の橋北部を東西に結ぶ主要な幹線道路で、その拡幅は交通の円滑化のみならず、歩行者の安全や都市防災の面からも必要不可欠な事業であり、財政改革の中にあっても、県民にとって真に必要な事業として厳しい優先順位づけのもとに実施している事業であります。

 本事業は、大多数の方々の理解を得て実施していると考えておりますが、まだ一部の方に理解が得られていない状況であります。現時点で反対されている方に対しましては、今後とも十分にお話を伺い、理解が得られるよう誠意を持って対応してまいります。

 沿線には御高齢の方も多く、本事業により移転をお願いしている方々の御心配や御苦労は察するものがありますが、交渉に当たっては、親身になって生活再建のお話もさせていただき、少しでも不安が解消されるよう努めてまいりたいと考えております。

 次に、東出雲車券売り場についてであります。

 子供たちが生きる喜び、学ぶ楽しさを感じながら成長していくためには、学校が子供たちにとって安全で充実した学習ができる環境にあることが求められております。このため学校周辺に施設を建設する際には、施設の種類に関係なく通学路の安全確保を初めとして、子供たちの生活環境や学習環境が害されることがないよう配慮がなされる必要があるものと考えています。この施設の設置につきましては、今後関係者において必要な協議がなされ、適切に判断されることを期待しております。

次に、プルサーマル計画に関する県民の皆さんへの説明や合意形成についてお答えします。

 中国電力からの事前了解願に関して検討をお願いしているプルトニウム混合燃料に関する懇談会は、広く県民の御意見を伺うという観点から、県民各層から委員に就任いただいているところです。

 先日の懇談会では、10名の県民の皆さんから賛否両論の意見を聴取され、現在、委員間で議論が開始された段階でありますが、懇談会の議事は公開で行われ、その検討経過についてはホームページや広報紙など各種の広報媒体を通じて県民の皆さんへの周知に努めているところです。

 プルサーマル導入の可否の判断に当たっては、こうして県民各層の参加を得て行われた懇談会の意見を踏まえ、県としての考え方を整理したいと考えています。その上で地元松江市の意向も伺い、県民を代表する県議会にもお諮りをした上で最終的な対応を決定したいと考えております。このような手順を踏むことにより、県民の皆さんに検討の経過を逐次説明をしながら、県民の皆さんの御理解が得られる適切な判断を行うことができるものと考えております。


〇議長(倉井毅)濱田総務部長。

〇総務部長(濱田省司) 原子力発電所、あるいは人事、組織にかかわる御質問についてお答えをいたします。

 まず、原子力発電所のトラブルや機器の不具合に対する認識についてであります。

 昨年、島根原子力発電所の方では、昨年前半を中心に7件のトラブルや不具合が生じております。このうち、法律で規定する事故に該当するものは1件でございました。また、安全協定では、こうした法律の対象外となります設備の不具合などにつきましても安全確保を図るという観点から、県への連絡対象事項というふうに定めておりまして、こうした観点から、再循環ポンプのメカニカルシールの取りかえのために原子炉停止となったというような場合につきまして、安全協定に基づく連絡を受けているというところでございます。

 昨年来のこれらのトラブルあるいは不具合は、作業管理上に問題があったということから、中国電力に対しまして検査の徹底あるいは保守管理、品質保証体制の充実、再発防止対策の実施など適切な対応をとるように強く要請をいたしたところであります。

 次に、これまでの1、2号機のトラブルの回数、あるいはトラブルの原因の分析評価はどうかという点についてでございます。島根原発の1、2号機の運転開始以来、先ほど申しました法律で規定をいたします事故・トラブルに該当する事象の発生の件数は、1号機は12件、2号機は7件発生をいたしております。1年当たりの発生件数に直しますと1基当たりで0.4回という数字となります。

 参考までに全国の原子力発電所での発生件数を見ますと、平成16年度までのデータで見ますと年1基当たり0.5回ということになっておりまして、数字的にはやや低い数値となっているというふうに考えております。

 これらの事故・トラブルなどの原因といたしましてはさまざまでございますが、一つには、運転管理上の問題、2点目には、点検のときなどにおきます作業管理に問題があったというもの、3点目には、落雷、雷などの自然現象によるもの、こうしたものが主なものでございますけども、最近見ますと、特にこのうちの作業管理に原因するものが連続して発生しているというふうに認識しております。このため、中国電力におかれましては、信頼性向上検討委員会を設置をされ、検討結果を踏まえて対応策を講じられたというふうに承知をいたしております。

 我々県といたしましても、事故・トラブルの大小にかかわりませず、安全問題に対してきちんと調査、分析、評価を行いまして対処していくということは安全確保の基本として非常に大切なことというふうに考えております。我々といたしましても、引き続き安全の確保というのを第一とした島根原子力発電所の運転管理が行われますよう、安全協定に基づきまして厳正に対処していきたいと考えております。

 次に、いわゆるプルサーマルのMOX燃料使用によります安全性への影響についてはどう考えているかというところでございます。

 このMOX燃料の使用によります安全性への影響につきましては、現在、プルトニウム混合燃料に関する懇談会におきまして、さまざまな角度から検討をいただいているところでございます。懇談会の中では、今まで専門家の方をお招きをして、さまざまな立場の方をお招きをして意見を聞いていただいておりますけれども、例えば、今御質問にございましたように、原子炉の出力を制御する制御棒のきき方につきまして、この制御棒のきき方が小さくなって、原子炉の停止能力の余裕がなくなり、安全性の余裕がなくなるという御指摘、御意見を述べられる専門家もおられましたし、またこれに対しまして、原子炉の停止能力の余裕が減少することは確かではあるけれども、MOX燃料配置の工夫などによって必要とされる原子炉の停止余裕は十分確保できると、こういう御見解を述べられる専門家もおられたというふうに承知をしております。

 現時点では、これらの専門家の御意見を踏まえて、委員間で議論が開始をされた段階でございます。県といたしましては、今後懇談会で取りまとめられる御意見あるいは専門家の見解を踏まえまして、県としての考え方を整理しまとめたいと考えております。

 次に、職員の定員削減の問題についてでございます。

 この職員の定員につきましては、最近におきます県の役割の変化、あるいは各種の今後の事業量の減少、他県との比較などを踏まえまして、一般行政部門を中心に10年で1,000人の削減を行うという方針を設定をいたしております。このほど、平成24年度に向けまして一律削減ではないめり張りのついた形での具体的な削減の計画を策定をいたしたところでございます。

 この削減に当たりましては、引き続き良質な県民サービスが提供できますよう、県民のニーズあるいは施策の優先順位に十分配慮いたしますとともに、各部局に人員の配置権限を移譲するというようなことを通じまして柔軟な対応を行ってまいりたいと思います。また、こうした取り組みにあわせまして、職員一人一人の資質向上を図っていくということもサービスの確保という観点から重要な問題だと考えております。

 また、こうした削減の考え方につきましては、既に職員にも伝えておりまして、本県がこのように思い切った行財政改革が必要なほど大変厳しい状況にあるということにつきましては、職員の理解も得られているというふうに考えておりますけれども、計画の実施に当たりましては、現場の御意見を十分踏まえながら業務量に対応した見直し、削減を行っていくということで対応したいと考えております。

 次に、臨時職員の採用試験の合格者を採用しなかった事例があるという御指摘と、今後の採用に当たっての基準の明確化、改善策はどうかという点についてでございます。

 まず、臨時職員の任用に当たりましては、公平性、透明性を確保していく必要があるという観点から、今年度から原則として本庁、それから各地の合同庁舎の単位で公募の試験を実施いたしております。この合格者を名簿登載をした上で、その中から採用を行うという仕組みを設けたところであります。

 この合格者の名簿からの採用に当たりましては、具体的な方法は所属によって異なっているところがございます。名簿登載で順番をつけまして、順番に採用を行っているところ、それからもう一つは、この順位づけを行わずに所属長の判断で名簿の中から適宜選考し採用を行っていると、この二つのパターンがあるところでございます。

 今回、御指摘をいただいた事例でございます。先般、調査を行いましたところ、この事例は先ほどのケースで言いますと後者の事例、順番はつけずに適宜名簿の中から採用しているケースでございまして、議員御指摘のように地方機関におきまして、この名簿の管理が十分でなかった事例があったというふうに承知しております。今回試験を行いました趣旨が必ずしも徹底されておりませんで、この名簿の登載者の中からどのように採用されていっているかといったような事後の管理が十分でなかった事例だったというふうに考えております。もちろん採用試験に合格をし、名簿に登載された場合でも登載期間中に採用にならない場合もありまして、このことは受験案内でもお知らせしておるわけでございますが、御指摘の事案につきましては、この方から合格後、数カ月たちました段階で採用の見込みはどうだろうかというようなお問い合わせもいただいたというふうに承知しておりますけれども、その後適切なタイミングでこの採用の見込みについて我々の方から説明をするといった誠意ある対応を本来すべきだったと思っておりますけれども、こういった対応が行われていなかったということは事実でございます。その意味、我々の不手際を指摘されてもいたし方ない状態だと思っておりまして、今回採用されなかった合格者の方に対しましては、この場をおかりしまして深くおわびを申し上げたいというふうに思います。

 今後でございますが、今後の採用につきましては、この採用の仕方を合格者の名簿の登載順に統一的に行っていくという対応をとるということを徹底をいたしまして、今後二度と今回のような事例が起こらないよう徹底をしてまいりたいと思います。以上であります。


〇議長(倉井毅) 正林健康福祉部長。

〇健康福祉部長(正林督章) 福祉医療費助成制度についてお答えします。

 まず、改正に係る影響についてですが、これについては、医療費の請求データによる受診動向の分析、市町村や病院に寄せられた相談状況の聞き取りを行って実態把握をしております。

 まず、利用者の動向については、12月分までの医療費請求データについて分析、検討しましたが、入院については、制度改正により老人保健制度対象者が福祉医療を使わなくなったことから福祉医療の利用件数は減少することになりましたが、それ以外は大きな変動は見られません。

 一方、通院については、老人保健制度対象者も引き続き福祉医療で無料としている薬局の利用件数に大きな変動はないことから、これまでと同様に受診されていると考えられます。このことから、現在のところ受診動向に大きな変化は見られていないと考えています。

 次に、利用者の相談状況については、市町村やそれぞれの圏域において福祉医療利用者数が最も多い病院に出向いて状況をお聞きしたり、相談事例についての照会を行ったり等、個別事例の状況把握に努めているところです。

 これまで伺った市町村や病院の窓口では、負担が大変になったとの御意見などがありましたが、市町村や病院の窓口担当者の方が個々のケースに適切に対応していただいていると聞いております。

 また、お尋ねの団体からのアンケート結果について拝見させていただきましたが、医療費の負担がつらいといったような声が多く寄せられていることを真摯に受けとめたいと思います。

 先ほど知事も申し上げましたとおり、まだ改正後半年がたったばかりであり、今後も引き続き市町村や病院で受けられたさまざまな相談状況や当事者団体に寄せられた相談状況をお聞きするとともに、利用動向についても医療費の請求状況を注意深く見守っていきたいと考えております。

 次に、市町村、関係団体の認識についてであります。

 現在、県と異なる利用者負担を独自に設定しているのは5市町あり、今後1市が低所得者の独自助成を予定しています。このほか、福祉医療の独自助成ということではなく、国の制度である更生医療、育成医療に係る助成をしているところが1市あります。いずれにいたしましても、県内すべての市町村が県と同時に制度改正を行い、独自制度を設けている6市町においても、その手法はさまざまですが、1割負担の原則は保たれていることから、いずれの市町村においても制度改正の趣旨について御理解いただいていると考えております。

 また、制度改正を決定した後、市町村や医療機関の協力も得ながら利用者の皆さんに対して改正の趣旨や内容の周知に努めてきたところであります。

 制度改正後も幾つかの団体から負担増に反対する声が寄せられていますが、一方で、最近では自立支援策の充実を求める声が寄せられているようになっており、いずれにしましても制度の定着に向けて引き続き努力してまいりたいと思っております。

 なお、先ほど御質問にありました情報公開請求のあった復命書についてですが、益田市の記載の中では県案のとおりという記載もございますし、津和野町についても時期を得た改正であるので町としては理解するという記載もございます。いずれの市町村もその時点での御意見を伺ったもので、それぞれの市町村の諸事情を考慮する必要があるため、制度の細部にわたっての御意見ではございませんでしたが、制度改正の趣旨についてはほとんどの市町村長がおおむね理解するとの御意見でした。永田前部長が答弁申し上げた見直し案の考え方についておおむね理解するという御意見が多数という答弁は決して虚偽ではないと思っております。

 次に、介護保険についてお答えします。

 昨年10月から実施された介護保険制度改正に関して、県が施設に対して行った影響実態調査によれば、昨年9月から本年1月までの5カ月間で介護保険3施設の総退所者数は2,000名余りであり、そのうち約1,300名が介護老人保健施設であります。これは在宅復帰支援という役割を持つ老人保健施設の性格上、退所の機会が多いことの結果と考えらます。

 この総退所者2,000名のうち負担増を理由として退所された方は約2%弱の38名でありました。その内訳を施設別に申し上げますと、介護老人保健施設で31名、介護療養型医療施設で7名となっており、介護老人福祉施設、これは特別養護老人ホームを指しますが、には、そのような事例はありませんでした。負担増を理由として退所された方の中には、必ずしも負担が軽減されない介護老人福祉施設やグループホームに移られた方もあることから、負担増だけでなくさまざまな事情もあったと考えられます。また、これを所得段階別の内訳で見ますと、制度上低所得者として区分される課税年金収入が266万円以下の方は2割弱の6名という状況になっております。これは所得の低い方について居住費、食費の負担増を低く設定するなどの施策が講じられた結果だと推測されます。

 なお、低所得者対策については、このたびの制度改正にあわせて高額介護サービス費の支給基準や社会福祉法人による利用者負担軽減制度の見直しなどがなされたところであります。所得の低い方に対する配慮は重要と考えますが、このたびの改正に対しては、制度の中で対応がなされていると認識しており、新たに県独自の低所得者対策を設けることは考えておりません。


〇議長(倉井毅) 伊藤土木部長。

〇土木部長(伊藤慶幸) 城山北公園線の整備事業についてお答えをいたします。

 この事業は、現在、用地調査・建物調査につきましては9割以上の方々の御同意をいただいており、また、用地買収につきましては、この1年余りの間に約4割の方々と契約を交わさせていただいております。

 いまだ残り1割弱の方々の御同意がいただけない状況でございますが、その理由といたしましては、古い町並みを壊したくないとか、住みなれた土地を離れたくないなどさまざまなお話をお伺いしておりますが、一方では、早く国際文化観光都市にふさわしい安全で快適な道にしてほしいという声も多数伺っているところでございます。この事業の必要性を御理解いただくためにも、さらに一段の努力が必要と考えてるところでございます。

 現時点で、まだ御理解をいただいていない方々に対しましては、城山北公園線だよりの訪問配付や、現在進めておりますまちづくりに関する情報などをお知らせしながら個別交渉において十分にお話を伺い、今後とも粘り強く事業の必要性について理解していただくよう努めてまいります。


〇議長(倉井毅) 広沢教育長。

〇教育長(広沢卓嗣) 教育問題についてお答えをいたします。

 まず、学力低下の原因についてであります。

 現在の本県児童生徒の学力については、例えば、小中学校において表現力が不十分であることや、高校入学時の国語、英語、数学、3教科の学力が低下していることなど解決すべきさまざまな課題を抱えております。

 こうした学力低下の原因としましては、学校週5日制に伴う授業時間数の減少や、その限られた時間の中での指導手法について、教員自身も時によっては試行錯誤の状態にあること、また、家庭学習時間が全国に比べて少ないことに加えまして、自学自習の仕方がわからないという生徒もふえつつあること、さらには、夜遅くまでテレビやゲームに時間を費やすといった生活習慣上の問題などさまざまな要因が複合的に絡まっているものと考えられます。

 こうした状況を踏まえまして、4月からのしまね学力向上プロジェクトにおいては、児童生徒の学力と、それに関連する生活状況、意識などを総合的かつ正確に把握するとともに、把握した実態に基づく各種の施策を小中高校一体となって進めてまいりたいと考えております。

 県教育委員会では、今年度からふるさと教育推進事業と生活習慣改善推進事業を開始をいたしまして、豊かな心と健康・体力を育てる教育を推進しているところであります。18年度は、これに確かな学力の育成を目指すしまね学力向上プロジェクトを加えまして、この3本柱によって島根のすべての子供たちの健全育成に尽力していきたいというふうに考えております。

 次に、事業の対象でございます。

 しまね学力向上プロジェクトは、本県児童生徒の学力の実態をより正確に把握するとともに、小中高校一体となった対策を行おうとするものであって、一部には対象を絞った取り組みもありますけども、基本的に、この事業は県内すべての学校、すべての児童生徒を対象として計画したものであります。

 例えば、高校の学力向上フォーラムにおいては、県内すべての高校が参加するとともに、普通高校、専門高校、特殊教育諸学校、それぞれに分科会を設けて学習への取り組みに困難な事情を抱える生徒への指導を含め、学校の実情に応じた対策について研究・協議したいと考えております。また、小中学生を対象とした学力調査について申し上げますと、前回の平成16年1月は小学校6年生、中学校3年生の20%を対象といたしましたが、今回は小学校3年生から中学校3年生までのすべての児童生徒を対象とし、一人一人への個別指導を視野に入れた調査としております。その中で、不登校とか特別な支援を要する児童生徒につきましては、本人や保護者の意思を大切にして対応することとしております。さらに、調査以外の学力向上対策につきましても、個々の状況に応じて可能な範囲で対応していたきいというふうに考えております。

 不登校児童生徒の学力保障につきましては、各学校において児童生徒の状況とニーズに応じた支援を行っているところでありますけども、今後も教育支援センターなどとの連携を推進するなどして学力の向上にも配慮したきめ細かな支援に努めてまいりたいと考えております。

 次に、学校現場や保護者等の意見についてであります。

 この事業を具体化するに当たっては、学校現場等の意見をできるだけ把握するよう努めてまいりました。例えば、高校については、県教育委員会の担当者が県内すべての高校へ出向きまして、直接現場の教員と意見を交換しました。現場からは、行政による中高連携の推進や教員の指導力向上に向けた対策実施などさまざまな意見・要望が寄せられました。それらの意見は、保護者や生徒のニーズを反映したものであると認識しております。小中学校においても、県PTA連合会との協議や市町村教育委員会との意見交換を重ね、それを通して学校現場や保護者の意向を伺ったものというふうに考えております。

 次に、学力調査実施に当たっての保護者や教職員の理解についてであります。

 学力調査の実施を検討するに際しましては、昨年4月以来、市町村教育委員会のすべての教育長や小中学校のすべての校長、さらには県PTA連合会との意見交換を行ってまいりました。意見交換の中では、児童生徒の学力の実態を詳細に把握し、その実態に基づいて適切な対策を行うべきであるとの意見や、児童生徒一人一人に対して適切かつ効果的な対策を行うためには学力調査の実施が必要であるとの意見が大勢でありました。特に、市町村教育委員会の教育長からは、県教育委員会が主体となって全県的な学力調査を実施してほしいとの要望をいただきましたし、県PTA連合会からは、この学力調査の結果と生活や学習に関する意識調査結果との関連もぜひ明らかにして保護者に伝えてほしいとの要望もいただきました。こうした状況から、学力調査の実施について保護者の方々や教職員の理解は得られているというふうに考えております。

 次に、学力調査の対象と調査結果についてであります。

 今後の本県の学力向上対策事業をより効果的に進めていくためには、前回の抽出による調査では把握できなかった児童生徒一人一人の学力や学ぶ意欲、学習や生活の実態や意識を把握する必要があります。そのため、できるだけ多くの学年、教科を対象に学力調査を実施したいと考え、先ほど申し上げましたように小学校3年生から中学校3年生までの全児童生徒を対象として悉皆による学力調査を実施することとしました。

 この調査結果は、個々の児童生徒に返しまして、児童生徒みずからが学習意欲を高め、目標を持って学習や生活の改善に取り組めるようにしていきたいと考えております。そのために児童生徒のつまずきや分析結果を把握して、一人一人の状況に応じた指導のための資料として生かしていくよう、県教育委員会として指導していきたいと考えております。

 この調査結果の扱いにつきましては、県全体及び市町村別の結果は公表し、市町村に対しては県全体の結果及び該当の市町村の結果を通知します。各学校の結果につきましては、それぞれの学校へ通知しますが、一般へ公表したり比較するような形での公表はしないこととしております。

 各学校においては、この調査の結果を単に数値として見るのではなく、結果をどのように児童生徒の指導の改善に結びつけていくのか、そして指導の結果、児童生徒がどのように成長し、またどのような課題が残されているのかを把握するという一連のサイクルとして取り組んでいくことが重要であると考えており、この点を指導していくこととしております。このような調査結果の活用を行うことにより、今回の学力調査がいわゆるランクづけではなく、児童生徒一人一人の学力を向上させ、保護者、地域から信頼される学校づくりを目指すことにつながると考えております。

 次に、勤務時間内の検証時間についてであります。

 一昨年度実施した教員の退庁時刻調査の結果によりますと、一層多様化する児童生徒への対応や毎日の授業を魅力的にするための教材研究、児童生徒のノートの点検や学級通信の作成など勤務時間を超えて勤務する状況も見られたところであります。そのため、今回の学力調査では、調査結果の集計、採点、児童生徒一人一人の結果分析表の作成、さらに指導の工夫改善策の提示など、県教育委員会事務局が行うことにしており、学校に過重負担をかけることは考えておりません。各学校においては、これらの資料をもとに児童生徒の実態に応じた適切な指導及び改善が行われ、魅力ある授業づくりが一層推進されるものというふうに考えております。

 次に、勤務時間の適正化につきましては、勤務時間外の自主的な勤務時間が小中学校では1日平均1.7時間程度、県立学校では1日平均1.4時間程度ありますことから、昨年度、その縮減に努め、勤務時間の適正な管理を図るよう、県立学校長及び市町村教育委員会教育長あて通知したところであります。その後も管理職研修会を通じまして、勤務時間の適正化について、全職員で話し合う機会を設けること、それから行事の精選など校務の見直しを行うこと、もう一つ、定時退庁日を設けるなど所属職員の意識高揚を図ること、こういったことなど具体的な例も示して指導したところでありますが、すべての学校で教職員に趣旨が周知され、改善が図られたとは言えない状況にあります。そのため、再度通知文を出し、全教職員へ趣旨の周知を徹底させるとともに、実際の取り組み状況を改めて調査しまして、その実態を把握した上で改めて対応策を検討してまいりたいと考えております。以上でございます。


〇議長(倉井毅) 尾村議員。

〇尾村利成議員 まず、健康福祉部長にお尋ねします。

 さきの答弁で介護保険の改正、5カ月で38人が施設退所したと、すなわち負担増によるところの介護サービスの排除が起きているわけです。それで福祉医療はどうかといえば、レセプトを見たと、そして市町村に行った、病院に行った、そう変化はないから影響はない、こういう答弁なんですよ。これはだめですよ。十分な調査をするというのは、福祉医療受給者の声を聞く、障害者団体の声を聞く、このことを把握せずに数字の上でこれは影響はないというような答弁をしては、私はね、これは障害者の皆さんや母子家庭の皆さんの痛みがわかってないと言わざるを得ません。

 そこで求めます。市町村と一緒に県として福祉医療受給者の声をまとめてください。そして、受診抑制の状況とあわせて、この声をですね、公開してください。その時期がいつになるのか、あわせて御答弁ください。

 それから、市町村の理解という点で、あなたは益田市長の発言と、それから柿木村だったですかね、発言挙げられたけど、ここは違いますよ。私は、ここは強調したいのは、事実に即していえばですね、私は市町村の理解はないと言った。そしたら県はあると言った。だから本当に市町村の理解があるかどうかということで、社保協が情報公開をした。情報公開したら黒塗りの部分ばっかり出てきた。市町村長が何を言ってるのか、黒塗りの部分を出してきた。なぜ黒塗りの部分を出したのかということを県に問うたら、県は、このときの市町村の話というのは、最終的な見解ではないと。市町村長の熟慮の上での発言ではないと、正式発言ではないから非公開にすると言ってるんじゃないですか。そうであるならば、その意見聴取自体がですね、いいかげんであったということを認めてるんじゃないですか。この点どうですか、答弁してくださいよ、ほかに言いますよ。

 市町村の意見でいえばですね、当時の市町村は9市29町4村ですよ。だけども、意見聴取したのは8市6町1村の3割じゃないですか。一部分の首長の意見を取り上げてですね、理解ができてるとは、それはひどい答弁ですよ。

 それから1割負担のフレームを、この上乗せ市町村がですね、崩してないから市町村の理解があると言われましたけど、だけどこの事業というのは折半事業ですよ。だから市町村では1割負担を崩したいけども、この1割負担フレーム崩すとですね、5対5だった負担のうちですね、ほとんど10の負担が市町村にかぶってくるから、ここに反対しとってもですね、財政上の問題からできない。だからせめてもの措置として上乗せやってるわけであって、1割負担のフレームが崩れてないから理解があるという、こういう答弁は私は問題だと思います。

 それからあえて申しますと、情報公開審査会は言ってるんですよ、きちっと。県と市町村双方が情報公開の意義を理解する、信頼関係が損なわれることのないよう努力しなさいと県の情報公開審査会は言ったじゃないですか。そして今後より適切な方法で情報収集をする必要があると、このように審査会は述べているわけですよ、県に忠告してるんですよ。この情報公開審査会の答申を健康福祉部はどうとらえますか。

 それから学力の問題ですけれども、私は、教育長、やはり学力低下の原因をですね、この分析という点はさまざまあるわけですね。今の深刻な不況は子供たちに影を落としている、そして学校の先生方も子供たちにしっかり教えたくてもですね、授業準備の時間がないという実態があるんですよ。ここをしっかりですね、とらえて認識しておかないと、事業にズレが起こると思います。この点での教育長の再度答弁お願いいたします。


〇議長(倉井毅) 正林健康福祉部長。

〇健康福祉部長(正林督章) 再質問にお答えします。

 まず、福祉医療受給者の声を聞くという点についてでありますが、これについては、今後も利用者からの相談に応じながら、その声は聞いていきたいというふうに思っています。

 公開等については、これから検討したいと思います。

 それから、情報公開請求の関係で、まず8市6町1村であったと、これについては、もちろん当時は59市町村ありましたけれど、その代表的な市町村ということで、この8市6町1村を回らせていただきました。

 それから、審査会で市町村との関係に努力せよということでありますが、これについても市町村との関係は良好に保てるよう努力してまいりたいと思っております。この事業は市町村が実施主体であります。その実施主体である市町村が原則1割というものを導入しておりますので御理解は得られているものと思います。


〇議長(倉井毅) 広沢教育長。

〇教育長(広沢卓嗣) 再質問にお答えいたします。

 確かに学力低下の要因としてですね、いろんな要素があることは承知しております。主な例示だけをきょうは挙げたわけでございますけれども、結局それだけ、今児童生徒に関係する状況、あるいはその対応が複雑になってきているということだということでございます。それと、それに対応する教員が非常に多忙であることを認識しておりますので、このたびの学力向上プロジェクトも、結局その教員が対応しやすいようにと、限られた時間のことも言いましたけれども、一生懸命努力していただいておるわけですから、今の現状を少しでも打開してですね、一筋の道を示すという目的も含めて、この学力向上プロジェクトを進めていこうと思っております。

 教員がよりよい授業ができて、結果的に負担の軽減にもつながるということを我々も目指しておるわけでございます。ただ、私らもですね、一方的に画一的な教え方を強制して、同じようなこということは考えておりません。やはりその学校、その生徒に対して指導の方法があるわけでございましょうから、学校現場と当然連携取り合って、一番いい手法はどうなのかということを柔軟に考えながら、これは対応していく必要があるというふうに考えております。


〇議長(倉井毅) 尾村議員。

〇尾村利成議員 福祉医療の問題は、1割のフレームをですね、県が先にはしごを外したんですよ。ここは私は指摘しておきます。

 それから、本事業、来年度予算でですね、医師確保対策事業があります。医師の確保は当然です。知事、当然です。お医者さんいないといけません。だけど私考えてほしいのはね、お金がないから受診できないようではどうしようもないんですよ、お医者さんが仮にいらしても。だから県政というのは、この点で受診できないような社会的弱者をしっかり支えないといけない、このことを申し上げて再々質問終わります。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画