2006 年 2 月定例会 予算案、条例案、議員提出議案、請願に対する討論
2006-03-16 この記事を印刷
日本共産党の尾村利成でございます。
知事提出議案予算案6件、条例案5件、議員提出議案1件、請願4件について委員長報告に反対する討論を行います。
以下、その主な理由を申し述べます。
第1号議案「平成18年度島根県一般会計予算」
まず、第1号議案「平成18年度島根県一般会計予算」についてであります。
予算は、政治の顔、政治の鏡であると言われます。来年度予算は、県政に対する県民の願いに応え、県民に勇気と希望を与え、地方自治法に定める自治体の責務である、住民のくらしと健康、福祉を守るものと、なっているのでありましょうか。
2006年度予算は、5年連続で前年度を下回り、この2年間では13%もの規模縮小となる超緊縮予算であります。
職員給与や公共事業の削減、市町村など県単補助金の削減・見直し、重度心身障害者の医療費助成削減など、福祉、教育も聖域としない歳出削減を掲げた中期財政改革基本方針の最終年度予算として県民に一層痛みを押し付けるものとなっています。
島根県は、国いいなりに全国一の公共投資を続け、県民1人あたり全国一の借金をつくり、県財政は破綻寸前です。県債残高は、県予算の2倍に達し、経営収支比率は90%を突破し、財政は硬直化しています。
まさに今日の財政状況は、大型開発中心の澄田県政20年間のツケが一気に噴出したものとなっています。県当局自身も「本県の財政からすれば、投資的経費を高い水準で取り組んできたことに伴い、公債費や施設の維持管理費が増大してきた」と告白しています。
市町村の理解はなく、既に受診抑制が発生し、命を奪われかねない事態が起こっているのに、福祉医療費1割負担を撤回せず、城山北公園線拡幅事業のように県民合意はなく、事業目的が破綻している大型公共事業を強行するなど、一度決めた事業は何が何でも強行し、莫大な血税を注ぎ込む財政運営は許せません。
県民が県政に求めているのは、県民合意のない不要不急の大型公共事業を見直し、県民合意がなく需要予測が誤っている事業を総点検し無駄な歳出を抑制すること、そしてくらしや福祉、教育施策を充実しながら財政再建を果たすことであります。
以上の立場から第1号議案には反対であります。
第12号議案「平成18年度島根県病院事業会計予算」
第13号議案「平成18年度島根県電気事業会計予算」
第14号議案「平成18年度島根県工業用水道事業会計予算」
第15号議案「平成18年度島根県水道事業会計予算」
第16号議案「平成18年度島根県宅地造成事業会計予算」
次に第12号議案「平成18年度島根県病院事業会計予算」、第13号議案「平成18年度島根県電気事業会計予算」、第14号議案「平成18年度島根県工業用水道事業会計予算」、第15号議案「平成18年度島根県水道事業会計予算」、第16号議案「平成18年度島根県宅地造成事業会計予算」についてであります。
病院事業におけるPFI事業は、県民サービスの後退が危惧されます。高額療養費受領委任払いの適用について、一定の改善はありますが、未だ不十分な対応です。
公営企業会計予算については、供給見込みのたたない八戸川工業用水道事業、神戸川工業用水道事業、使わない水まで住民負担になっている江の川水道事業、水需要予測の見直しが求められる斐伊川水道建設事業など住民負担軽減や事業の見直しによる適正化が措置されていない予算には賛同できません。
第20号議案「職員の休日及び休暇に関する条例等の一部を改正する条例」
第21号議案「職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例」
次に第20号議案「職員の休日及び休暇に関する条例等の一部を改正する条例」、第21号議案「職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例」についてであります。
これらの議案は、県職員の福利厚生を後退させ、公務への貢献度を的確に反映させるとして、退職手当の調整額を設定するなど、職員格差を拡大するものです。
そして、その狙いは給与適正化の名のもとに総人件費抑制・削減をすすめるものであり、反対であります。
第28号議案「住民基本台帳法施行条例の一部を改正する条例」
第43号議案「特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例」
次に第28号議案「住民基本台帳法施行条例の一部を改正する条例」、第43号議案「特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例」ついてであります。
これら2つの議案は、行政手続オンライン化をすすめる上の条例改正であります。
行政手続オンライン化による電子申請等受付システムは、開発から保守管理、運用まで民間に一括委託されるものです。住民基本台帳ネットワークシステムによる行政オンライン化は、集約された情報がどこで漏れるか分からずプライバシー権や個人情報保護の点から問題があります。効率化、利便性を住民福祉の向上、個人情報保護に優先させることは許されず、本条例は容認できません。
第37号議案「県立学校の職員定数条例及び市町村立学校の教職員定数条例の一部を改正する条例」
次に第37号議案「県立学校の職員定数条例及び市町村立学校の教職員定数条例の一部を改正する条例」についてであります。
行き届いた教育、ゆとりある学校実現のために教員定数の削減は認められません。
学習指導要領の改訂と学校5日制よって、教員は超多忙の状態にあり、教職員の増員こそ実施すべきであります。
議員提出第1号議案「島根県議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数に関する条例の一部を改正する条例」
次に議員提出第1号議案「島根県議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数に関する条例の一部を改正する条例」についてであります。
言うまでもなく議員の仕事は、住民の願いを行政や議会に届け、その願い実現のために働くこと、また住民の立場で執行部を監視しチェック機能を果たすこと、また活発な調査活動を行い、政策を提案し住民の幸せ実現に向けて尽力することであります。
定数削減は、住民の願いを行政へつなぐパイプを細めることになります。
即ち、地方自治体における議会制民主主義を切り縮め、結果として自治体を住民から遠ざけることとなります。
よって本条例には反対であります。
請願第27号「じん肺罹患者の救済とトンネルじん肺根絶を求める意見書採択について」
次に請願第27号「じん肺罹患者の救済とトンネルじん肺根絶を求める意見書採択について」であります。
わが国では、今もなお1万人以上の労働者がじん肺と診断され、毎年新たに約1千人が「療養を要する」とされ、毎年1千人が死亡しています。
じん肺の責任は第一に事業者にあります。また建設業者の監督官庁としての政府の責任は重大であります。
この間、じん肺被害者がじん肺補償請求団に結集して建設業者や政府に対し救済を求めてきました。そして、その運動の力で厚生労働省が粉塵対策に関するガイドラインを策定し、企業は患者・遺族への謝罪と補償を行ってきました。
裁判所も、県や国に対し、ガイドラインが実行されるよう工事発注者として必要な措置を講じるよう要望しています。
今こそ、じん肺患者救済、じん肺根絶に向けて政府の責任は重大です。
よって、トンネルじん肺予防と被害者救済に向けて、トンネル工事における労働時間短縮を求め、じん肺罹患者への補償基金制度を求める請願は不採択ではなく、採択することを求めます。
請願第46号「介護保険改悪に反対し改善を求める請願」
次に請願第46号「介護保険改悪に反対し改善を求める請願」についてであります。
介護保険法改正で食費・居住費の自己負担化、軽度の要介護者へのサービス切捨てなど、大改悪が行われました。
今年4月から在宅サービスについては、軽度の要介護者向けのサービス報酬が5%引き下げられ、車椅子や特殊ベッドの貸与も廃止されます。
要支援、要介護度1など軽度者のサービス利用こそが重度化防止に効果があることは明らかです。
よって、要支援、要介護度1のヘルパー利用を制限しないことを求めた請願は、採択を求めます。
請願第70号「福祉医療費助成制度」の見直しと「通院補助」を求める請願
次に請願第70号「福祉医療費助成制度」の見直しと「通院補助」を求める請願についてであります。
福祉医療費1割負担実施にあたって、県当局は市町村の理解があり、受給者は1割負担は可能であると強弁してきました。
しかし、この間の議会論戦において明らかなように、市町村や関係団体の理解はないということ、そして市町村の意見を聴取したというものの実際に意見聴取した自治体は、わずか3割でしかないということ、医療費負担増に耐えられない人が生まれ、受診抑制が発生していることがはっきりしました。市町村の理解はあったとする県議会での県答弁は虚偽答弁であったことは明白であり、県の1割負担導入の口実は完全に破綻し、崩れ去っています。
命さえも失いかねないという知事の言う不測の事態も起きており、1割負担は撤回すべきです。あわせて経済的不安なく治療が受けられるよう、遠距離通院の患者に通院費補助をすべきであります。
よって本請願は不採択ではなく、採択すべきです。
請願第71号「医療制度改革関連法案」の廃案を要望する意見書採択を求める請願
最後に、請願第71号「医療制度改革関連法案」の廃案を要望する意見書採択を求める請願についてであります。
小泉内閣が提出した医療「改革」法案は、①高齢者窓口負担の2割・3割への引き上げ、入院費・重症患者の負担増、保険料の引き上げ、ベッド削減による病院からの追い出し、②「混合診療」の拡大など、公的保険のきく範囲を切り縮めて公的医療制度、国民皆保険の解体に道をひらくという医療の大改悪です。
保険のきかない医療がひろがれば、必要な医療を受けるのにも多額の自費負担が強いられることになります。これは、医療に格差をもちこみ、「人の命も金次第」とするものです。この医療「改革」法案は、医療への国の責任を後退させ、民間保険の売り込みなど、医療分野を新しいもうけ口にしようとする日米財界の要求にこたえるものです。
社会保障の増進に努めることは政府の責任です。
よって本請願は不採択ではなく、採択を求めます。
以上で討論を終わります。