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議会の取り組み

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2006 年 6 月定例会 一問一答質問 (障害者自立支援法について、福祉医療費助成制度について、養護学校・給食、スクールバスについて、原発・プルサーマルについて)

2006-06-26 この記事を印刷
2006年(平成18年)6月定例会一問一答質問[2006年6月26日]
議事録及び録画中継は県議会のホームページにてご覧になれます。
http://gikaiair.pref.shimane.lg.jp/vod.html



○議長(倉井毅) 尾村議員。

○尾村利成議員 日本共産党の尾村利成でございます。

 まず初めに、養護学校の問題について伺います。

 私は、昨年の12月県議会で、松江清心養護学校の給食問題について質問いたしました。清心養護学校は、昨年度、学校給食に金属たわしの破片、髪の毛の混入など4回の異物の混入がございました。この点について、私は、自校給食の実施を強く求めました。県としての現在の検討状況をまず初めに伺います。


○議長(倉井毅) 藤原教育長。 

○教育長(藤原義光) 松江清心養護学校でございますが、障害によりまして食べる機能に課題のある児童生徒が在籍しておりまして、現在は、この松江養護学校の給食、いわゆる弁当給食ということで業者の方から持ってきてもらっておりまして、普通の子供に加えまして、そういう食べる機能の障害があります子供につきましては、ペースト状につぶしたりするなど2次的に調理した弁当を提供いたしております。

 現在の検討状況でございますが、この清心養護学校の自校での給食、なかなかさまざまな問題がございますので、当面近隣の盲学校の調理施設において2次調理ではなくて、素材・食材の選定や調理の工夫も行いまして、児童生徒の障害に応じた給食そのものを調理する方向で検討いたしております。現在、その調理施設に必要な備品の整備とか、学校栄養士とか調理師、給食指導に当たります担任との連携について検討を行っておりまして、近々実現する方法の結論を出したいというふうに考えております。


○議長(倉井毅) 尾村議員。

○尾村利成議員 一定の改善策が図られつつあり、この点での県教委の取り組みには感謝いたします。安心安全な給食実現のために引き続いての御尽力をお願いいたします。

 もう1点伺います。県内養護学校への通学用スクールバス、これがないのは島根県と、それから山形県だけという状況です。前教育長は、ことしの3月末をめどに一定の決断といいますか、めどをつけたいという御答弁いただきました。検討状況をお聞かせください。


○議長(倉井毅) 藤原教育長。

○教育長(藤原義光) 養護学校に通学しております子供が、パターンに分けますと自宅からの通学と施設からの通学、それから寮に入っている子供とございまして、それぞれ学校の事情さまざまでございまして、おっしゃいますようにスクールバスがないのが山形と島根というふうな状況のようでございますが、逆に申しますと、寄宿舎とか近接の施設から通っておるというふうな状況が大半の状況であるということでございまして、それとは別個にいたしまして、質問の趣旨、私どもの方も大変大事な視点というふうに考えておりまして、学校行事で使いますスクールバスがそれぞれの学校には配置してございます。このスクールバスを何とか通学にも使えないかということについて検討を行っておりまして、3月までのところで、教育委員会の中としての一応の成案を得まして、現在、その成案をもとに、現在のスクールバスの運行は嘱託の運転手によりまして16日間の雇用というふうな形で行っておりますが、今後どのような運用形態であれば通学用としての運行が可能か、あるいはどのような経路や回数で実施が可能かなどという点につきまして、各学校のケースで検討を行っております。場合によっては予算を伴うことでもありますので、関係部局とも調整を図りながら検討を今進めておりまして、これまたできるだけ早く結論を出していきたいというふうに考えております。


○議長(倉井毅) 尾村議員。

○尾村利成議員 実施に向けての点では、財政的な問題もあるということですので、知事それから総務部長、財政的支援での御配慮をお願いしたいと思います。

 次に、私質問移ります。障害者自立支援法と福祉医療について伺います。

 昨年の10月1日以降、島根県の障害を持つ皆さんにとっては耐えがたい負担が今押しつけられています。それは昨年10月からの福祉医療の1割負担、それから本年4月から実施された障害者自立支援法です。

 自立支援法によってこの4月から、これまで応能負担であった福祉サービスの利用料が利用したサービス量に応じて負担するという応益負担となりました。利用料の定率1割負担によって障害者に大幅な負担増が強いられ、障害が重くサービスを利用する人ほど負担が重くなるという、まさに逆進的な事態が発生し、障害者の生きる権利を奪う事態となっています。

 自立支援法が施行されてこの3カ月、利用者や障害者施設からいかなる声、いかなる相談が寄せられていますか。県としての掌握状況を伺います。


○議長(倉井毅) 法正健康福祉部長。

○健康福祉部長(法正良一) 障害者自立支援法は極めて大きな制度改革であります。法案が提出されて以降、市町村やあるいはサービス提供事業者あるいはまた利用者団体などへの制度説明会や意見交換会を重ねて開催し、その中でさまざまな意見を伺っているところです。

 また、障害者福祉課の中にヘルプデスクを設け、具体的な相談あるいは御質問にもお答えをしております。これまでにさまざまな意見や相談が寄せられておりますが、法施行前は、身体・知的・精神の3障害共通のサービスが一元化されることを評価する意見もありましたが、総じて新しい制度に対する不満や不安の声が多く見られました。また、法の施行後、利用者から自己負担が高くなると、こういった声や、施設からは新しいサービスの内容がわかりにくいと、こういった声が寄せられております。

 県といたしましては、制度が始まったばかりである上に、いまだ10月の本格実施に向けた制度の細部が示されていない、こういったことから一部に混乱もあり、利用者や事業者の理解が十分でないと考え、できる限りの情報提供に努めているところであります。

 また、この4月から実施されたサービスについて、どのような利用動向があるのか、まずはその支援費施設を対象とした調査を行ったところでございます。その結果、利用者が全体としてふえている一方、ごく一部ではありますがサービス利用の手控えと、あるいは昼食等の実費負担部分の利用の減少と、こういった状況が見られました。

 この制度は、10月から本格実施となりますので、県といたしましては、さらに幅広いサービスの利用動向調査を行って、またこうした状況把握から得られた結果を参考としながら、市町村と連携して制度内容の周知が一層進むよう細やかに丁寧に説明を行ってまいりたいというふうに考えております。


○議長(倉井毅) 尾村議員。

○尾村利成議員 私は、この間、利用者の声やそれから障害者施設に伺って、その実情を調査してまいりました。例えば隠岐ノ島に渡って仁万の里の職員さんから話を聞きました。松江市では、さくらの家、NPO法人こだま、また授産センター四ツ葉などに伺って実態を聞きました。今まさに障害者にとっても施設にとっても事業所にとっても大変な事態が起こっているんです。

 実例を申し上げます。これまでホームヘルプや通所施設は応能負担によって95%の人は無料で利用できました。ところが定率1割負担の導入によってこんなことが起こっているんです。ある施設ではですね、利用者が受け取る工賃は5,000円だと。しかし、利用料は1カ月1万2,000円から1万5,000円の負担になってる、この実態があります。逆転現象です。健康福祉部長、この実態どうお考えでしょうか所見を伺います。


○議長(倉井毅) 法正健康福祉部長。

○健康福祉部長(法正良一) 質問のありました授産施設の通所サービス、これは一般の就労が困難な障害者の方が作業能力に応じて必要な訓練を受けると、こういったサービスでございます。その作業の中身としては、印刷物であったり、あるいはパンの製造等さまざまなものがございます。そして、その作業の種目によって得られる工賃、これもさまざまであります。なお、調べたところでは県内の平均的な平均工賃は1万4,000円程度というふうな状況でございます。

 一方、これらの障害者がこうしたサービスを受ける場合に負担するのが利用料でございます。新しい制度による利用者の負担につきましては、原則1割の負担と、負担額が高額になる場合には、所得に応じて負担の上限額を設定するというふうになっております。

 御指摘がありました工賃と利用料の負担の額の問題でありますけれども、基本的にはサービスを利用するということと、その中でその作業を行って結果としての工賃と、得ている工賃、こういうものは性格が異なるというふうに思っております。


○議長(倉井毅) 尾村議員。

○尾村利成議員 いや、冷たい答弁ですね、それは。私が今言ったのは、ある施設では、おもちをついたり、または花をつくったり、豆腐をつくったり、障害者の人がその施設に通って、1カ月、ある施設は15日がその工賃の収入が払われる日ですね、5,000円障害者がもらう。20日の日が利用料を払う日で、障害者の人は5,000円の工賃もらって20の日にですね、1万2,000円なり1万5,000円の利用料を払っているんですよ。この実態を私はどういうふうに思っているかと言ったわけで、ちょっと今の答弁はだめですよ。


○議長(倉井毅) 法正健康福祉部長。

○健康福祉部長(法正良一) 例えば先ほどお話のありましたいわゆる利用料の額の負担の問題について、例えば一つのケースを想定して試算をしてみますと、市町村民税非課税世帯で、例えば障害基礎年金2級と、こういった方について試算してみますと、通所のサービスを例えば月に22日利用すると、そうするとその利用料が月の負担上限額、こういったものを超えるような場合には、上限額の1万5,000円ということになります。さらに、これを例えば社会福祉法人等の減免措置、こういうことを行えば、行うことによって月7,500円、こういった負担まで抑えられます。それから、食事の提供とか、あるいは光熱水費、こういったものは原則実費負担でありますけれども、大体5,100円程度ということになります。合わせて1万2,600円程度の負担と、こういうことになるというふうに試算しております。

 一方、収入について見ますと、年金のその受給額に御指摘があったような工賃と、こういったものを加えますと7万1,000円程度になるんではないかというふうに試算しています。したがって、工賃の収入だけということではなくて、年金あるいは工賃収入、こういったものの範囲の中で御負担いただけるんではないかというふうに思っております。


○議長(倉井毅) 尾村議員。

○尾村利成議員 実態が全然わかってない。障害年金2級の1カ月の年金何ぼですか、6万6,000円ですよ。そのうち1万5,000円の利用料の負担でしょう。すなわち障害年金の2割が負担になっているんですよ。これでどうやって憲法25条が保障する生存権が守られますか、守られると思われますか。

 もう少し私実情言いますよ。授産センターの四ツ葉ではですね、既にもう利用料の負担が耐えられなくて、もう通所を断念されている方が出ているんですよ。この3月まで通所されたんだけれども、工賃が5,000円から1万円なんだけれども、一方、施設に払う利用料が2万円になると、このことがわかるということで、この4月からですね、通所をやめられているんです。こういう実態があるんですよ。引きこもりになっているんですよ。

 それだけではない。食事を我慢されている方が出ているんですよ、ここでは。食事代の負担によって施設では食事をしない、自分で買ってきたものを食べている方が何名も出ている、こういう事態があるんですよ。先ほど調査されたって言ったんだけど、これは調査になってないじゃないですか。現場の実態は大変なんですよ。答弁してください。


○議長(倉井毅) 法正健康福祉部長。

○健康福祉部長(法正良一) 先ほど答弁申し上げましたが、制度がこの4月から変わるということの中で、利用者の動向、状況と、こういったことを調査いたしました。これは新しい制度の導入によって、利用者がどういうふうに動くのかというふうな点を確認するためでございまして、御指摘の議員からお話ありました内容について、私もつぶさに承知しているわけではありませんので、これは、さらに今後10月から本格実施ということにもなります。そういった中で、さらに調査等について検討してまいりたいというふうに思います。


○議長(倉井毅) 尾村議員。

○尾村利成議員 まさにね、この応益負担の導入によって障害が重たい人ほど負担が重くなって、負担に耐えられない障害者はサービスから排除されるという、こういう事態が起こっています。知事は、この事態どのようにお考えでございましょうか。


○議長(倉井毅) 澄田知事。

○知事(澄田信義) 利用者の負担額につきましては、原則1割負担となっておりますが、本人や家族の所得に応じた負担上限額が設けられており、一定の配慮がなされております。したがって、障害の程度によって多くのサービスが必要となる方につきましても、上限額を超えての負担はありません。

 しかしながら、制度がスタートして間もないこともあり、利用者負担の軽減措置についての理解、活用がまだ十分でないということも考えられますので、引き続き軽減措置などを含め制度内容について、利用者や事業所に対し周知徹底するように努めるとともに、さらに詳細な調査を実施し、実態の把握に努めてまいります。


○議長(倉井毅) 尾村議員。

○尾村利成議員 実態調査をしてくださるという御答弁でしたので、この点は、私は一定の評価をさせていただきます。

 政府の答弁でですね、この自立支援法によってサービスは低下させないと政府が答弁してますし、小泉総理自身もその実施後ですね、問題がわかればしかるべき対応をとるということを国会で答弁しているんですよ。だから今、県がやるべきことというのは、今、障害者の施設で起こっている実態を本当に調査して、または利用者の声を聞いて、やはり国に対しては言うべきことを言うと、私は定率負担のですね、1割負担を撤回する、応益負担を撤回する、このことを強く求めていただきたいというふうに考えます。

 もう一つ事例申し上げますとね、私、この前、隠岐島へ飛んだんです。ここでこういうことがわかりました。隠岐養護に通う生徒は、近くのですね、児童施設に入所して通学していると、島前の児童や保護者からですね、隠岐の養護に通うとなると、児童施設に入所しないとならない。約1カ月4万5,000円の利用料を負担しなければならないと、こういう事態になっちゃうんです、自立支援法のもとで。そうだから、松江の寄宿舎がある学校に通わせようと、そういう声も出ているんです。

 すなわち隠岐の子供が隠岐で教育を受けられないという事態も今危惧されているわけなんですね。この点で、私は、保護者や学校関係者の意見・要望を調査してやっぱり対策を講じなければならないと考えますけども、これは教育の問題にもかかわってきますので、教育長の御答弁をお願いします。


○議長(倉井毅) 教育長。

○教育長(藤原義光) 御質問の趣旨でございますが、隠岐養護学校は、もともとの近隣に児童の入所施設、杉の子学園がございました。そこに子供が入所しながら隠岐養護学校に通うという実態がございましたので、現在、寄宿舎は持っておりません。

 したがいまして、隠岐広域連合が設置しております仁万の里、これ旧都万村にありますが、そこから施設のバスによって通学しておるという状況にございます。

 御指摘の事項の本質は、今回の障害者自立支援法の制定によりまして、児童入所施設の利用形態が従来の措置制度から契約制度ということに変更になりまして、それに伴います利用料の負担という制度変更に伴う問題が生じたというふうに考えておりまして、御指摘の点も含めまして、保護者どのような御意向をお持ちか、あるいは制度の、私も制度そのものすべて十分承知しておることでございませんので、制度の点につきましても調査を行ってまいりたいというふうに考えております。


○議長(倉井毅) 尾村議員。

○尾村利成議員 私は、自立支援法の問題で、利用者の皆さんや、または施設にお伺いして意見聞く中でね、たくさんの要望が寄せられたわけですよ。例えていえば、障害者の雇用への支援をもっと行ってほしいとか、障害程度の区分は障害種別により適正に行ってほしい、また利用者負担に対して県とか市の独自助成を実施してほしい、さまざまな要望が今渦巻いています。この点で、私は、県として市町村と一緒になって、しっかりした実態調査をお願いするものでございます。

 続いて、福祉医療の問題について伺います。

 昨年10月からのこの1割負担によってですね、利用者や市町村、医療機関、障害者団体、どのような相談や声が県に寄せられていますか。


○議長(倉井毅) 法正健康福祉部長。

○健康福祉部長(法正良一) 福祉医療費の助成制度の見直し後、市町村あるいは病院に直接出向くなどして利用者の相談状況、こういったことについてお尋ねしたり、また障害者団体の方ともお会いする機会に意見をお聞きするなど、たくさんの意見を幅広くお聞きするように努めてまいりました。

 これまでのところ、入院費用が負担になっている、あるいは家族の収入によって所得区分が一般となり負担がふえて大変だと、こういった意見が寄せられております。


○議長(倉井毅) 尾村議員。

○尾村利成議員 大変だということになっているんだったら、約束どおり、これは1割負担撤回ということになるじゃないですか、知事どうですか。


○議長(倉井毅) 澄田知事。

○知事(澄田信義) 先ほど部長からお答えしておりますとおり、相談状況の聴取や医療費のデータの分析から、これまでのところ利用動向に大きな変化はないと認識しておりますが、いましばらく利用者の動向把握を行うとともに、利用者などの相談にしっかりと対応してまいりたいと考えております。

 今、障害者の方々を取り巻く状況が障害者自立支援法の施行により大きく変化している中で、県といたしましては、障害者の自立支援に向けた特別支援事業を創設し、相談支援の充実、また住まいや就労、活動の場の確保など、サービスの基盤の整備を進めているところです。

 私といたしましては、この大きな変革の中にあって、障害者の皆さんが地域で安心して暮らしていくことができるよう、しっかりと取り組むことが責務であると考えております。


○議長(倉井毅) 尾村議員。

○尾村利成議員 ことしの2月議会でですね、当時の健康福祉部長は、受給者の声を聞く、そして受診動向とあわせてその声を公開することに私に約束されました。受給者の声は届いていますか。


○議長(倉井毅) 法正健康福祉部長。

○健康福祉部長(法正良一) 先ほども申しましたように、いろいろな機会を通じてその状況の把握あるいは意見を聞くと、こういったことに努めているわけですが、これから私自身もこの後県下各地で地域広聴会と、こういったことも計画しております。県内の各地域に出かけていく機会があるわけですが、そういった機会をとらえて、いろいろな方の御意見を直接伺いたいというふうに思っております。

 それと、もう1点の2月議会での検討、当時の部長からの答弁でありますけれども、受給者の方の声を聞くという点につきましては、今後とも利用者からの相談に応じながら聞いていきたいというふうに思っておりますし、また、そういった状況がどうかということについては、公開というふうなことを検討するという答弁ございました。これは福祉医療費助成制度の利用状況と、こういうことで公開、具体的には議会の関係する、私どもが関係します委員会の方に報告をしておりますし、その都度新しい状況を報告していきたいというふうに思っています。



○議長(倉井毅) 尾村議員。



○尾村利成議員 私はレセプトの動向に変化がないからといって受診抑制がないとか、そういうことを言ってもらっては困るんです。だからしっかり受給者の声を聞いて公開すべきだということを迫ったわけでございます。

 国政では、自立支援法によって定率1割負担が押しつけられていると、私は、これ自立支援どころか自立破壊だと思ってます。国がですね、このように社会的弱者に負担増を押しつけている、こんなときだけに、やはり住民の暮らしを守る、福祉を守る、健康を守るという自治体の役割がある、島根県政の魂がある、私はこのことを強く申し上げさせていただいて、最後の原発問題について伺わさせていただきます。

 今議会の初日、本会議で知事が島根原発2号機でのプルサーマル導入について容認の態度表明をされました。その理由として、プル懇の意見を聞いた、専門家の意見を聞いた等々の理由を挙げられました。

 知事、プルサーマルの安全性について、島根県民の不安は、今解消されているとお考えですか。また、県民に対して説明責任を果たして県民の理解と合意が今得られていると、このように御認識されていますか、お答えください。



○議長(倉井毅) 澄田知事。



○知事(澄田信義) 中国電力からの事前了解願いの判断に当たりましては、県民各層の有識者で構成する懇談会において、慎重かつ熱心に御検討いただき、安全性等に関する論点は、ほぼ出尽くしたと考えております。

 私としては、懇談会の報告、安対協顧問の意見を踏まえ、さまざまな角度から慎重に検討を行い、このたび基本的に了解するとの判断に至ったものであり、私としては、この判断は県民の皆様の御理解がいただけるものと考えております。

 この判断に至るまで、県としては懇談会の議論をホームページ上に公表するとともに、新聞広報を行うなど、県民の皆様に検討の経過を逐次お示ししてきたところであります。

 この判断については、県民の代表である県議会の御意見をいただいた上で中国電力に回答したいと考えております。今後とも各種の広報媒体を活用して積極的に広報に取り組んでまいります。


○議長(倉井毅) 尾村議員。

○尾村利成議員 私はね、この問題は、県民の理解と合意は全くない、このことは強調したいと思います。今、松江市がですね、市民の皆さんに説明会やってるじゃないですか、住民説明会をずっとやって、そして8月に公開の討論会をやると。そして、その出された意見または質問等をですね、松江市は国に聞くんだと、そして国から回答を受けたものをまた市民に説明するんだと、このようにして市民の皆さんからの意見を今聞こうとしている松江市と。しかし、一方、県の方は、全く県民からの声を直接聞いてないじゃないですか。それをプル懇の意見でオッケーだ、または広報している。専門家から聞いた、これで県民合意があるというのは、私は詭弁だと言わざるを得ません。

 知事、私は、国のね、この耐震設計審査指針に科学的な妥当性がないと断じたこの3月24日の金沢地裁の判決ですね、志賀原発の判決です。これを知事はどう受けとめられておられるのか、また、この判決から島根原発の安全性において、島根県として何を教訓とすべきとお考えなのか、この点での所見を伺いたいと思います。


○議長(倉井毅) 澄田知事。

○知事(澄田信義) 金沢地裁の判決につきましては、当事者、北陸電力でありますけれども、当事者により控訴され争われております。また、国においても本件判決直後に当該原子力発電所の耐震安全性については問題がないとの見解を示したと承知しております。したがって、この判決を所与の前提とした議論をすることは適当ではないと考えております。


○議長(倉井毅) 尾村議員。

○尾村利成議員 私は全くね、これではね、島根県民不幸だと思いますよ。金沢地裁の判決が言ったのは、直下型地震の想定が小さ過ぎると、それから考慮すべき近くの断層を無視している、現行指針の最大地震想定法には妥当性がないと、このようにしっかり断じたんですよ。この金沢地裁判決によって、国の方がですね、今、耐震指針の見直しをやっているわけでしょう。今の県の答弁としては、私は本当に納得できません。

 私は、志賀原発の判決がおりてからですね、中国電力に伺ってびっくりしたんですよ。中国電力は、志賀判決に対する見解というのをですね、4月7日にまとめているんです。ここで、中国電力は一体何を言ってるか。金沢地裁の判決は、専門的・科学的な知見から見て、裁判所の理解が不十分であることに起因すると、中電こんなこと言ってるんですよ。この中電の私見解をですね、今度は総務部長、どう思われますか。裁判所に対して、裁判所はね、専門的・科学的な知見がないと言ってるんですよ、電力会社が。裁判所に対する冒涜じゃないですか、どうでしょうか。


○議長(倉井毅) 加松総務部長。

○総務部長(加松正利) 金沢地裁判決につきましては、先ほど知事からお答えしましたように、今、当事者によって控訴され争われている状況でございます。したがいまして、県としては、これについて具体的にどうこういうことは差し控えさせていただきたいと思います。


○議長(倉井毅) 尾村議員。

○尾村利成議員 そんな答弁されたら、本当に我々不安ですね、70万県民不安ですよ。よく考えてくださいよ。中国電力はね、1号機と2号機の建設のときに活断層はまずないと言った。1号機、2号機のときないと言ったんですよ。3号機を建設計画中の98年のときにもですね、8年まではないと言ったんですよ。ところが98年にあったと言ったんですよ。そして、その2年後の2000年にですね、保安院から追加調査認められて、今度は10キロだと訂正したんですよ。1号機、2号機のときには活断層はない、ない、3号機のときも当初ないと言って8キロあった。今度は10キロだと、こう来たわけでしょう。しかしどうですか、この5月、6月とですね、相次いで新しい活断層が広島工大の中田教授からですね、発見されて、少なくとも全域18キロの宍道断層だと、こういうことが今指摘されてるじゃないですか。この点どうお考えになります。


○議長(倉井毅) 加松総務部長。

○総務部長(加松正利) 島根原子力発電所の耐震安全性については、これまでもその時々の知見に基づきまして中国電力が調査・評価を行い、国において確認してきております。

 もちろん、その時々の知見というのが新たになる場合もあるわけでございますが、そういうものも踏まえまして、国において確認してきており、また、今後とも必要な対応がなされていくというふうに考えているところでございます。


○議長(倉井毅) 尾村議員。

○尾村利成議員 私はそんなこと聞いてないんですよ、ないと言ったのがあったと。そして今度18キロあったと、少なくとも18キロあったと。ということはね、中国電力の調査が全くのまやかしであった。そして国の安全審査が誤っていたということじゃないですか、どうですか。誤ってるじゃないですか。中国電力が言ってたことと国の審査がずさんだったということではないですか。いかがですか。


○議長(倉井毅) 加松総務部長。

○総務部長(加松正利) 耐震安全性につきましては、これまでもその時々の知見に基づきまして、その時々の知見、新たに明らかになるものもあるわけですが、国において確認してきて、必要な対応をなされているものと考えます。

 今回の活断層の発見に関しましては、中国電力において断層の長さを仮に20キロとしても島根原子力発電所の耐震安全性が損なわれないというようなことを確認しているというようなことがございまして、今回の活断層の発見により島根原子力発電所の耐震安全性が損なわれるというものではないというふうに考えております。

 なお、現在最新の知見に基づきまして耐震指針の見直しというのが国において行われています。中国電力は、この見直しに対応いたしまして、今回の活断層に係る耐震安全性についても調査・評価し、それが国において確認されるというふうなものと承知しております。


○議長(倉井毅) 尾村議員。

○尾村利成議員 私は答弁聞いてて中国電力から答弁聞いているような気になりますよ。新しい活断層見つかったんですよ。私は、やっぱり中田教授から真剣にですね、この意見を聞くということ、それから県としてね、再度活断層の調査をやる、国にやるように強く言う、中電に言う、県としてもやる、このことを求めますけども、いかがですか。


○議長(倉井毅) 加松総務部長。

○総務部長(加松正利) 島根原子力発電所の耐震安全性をめぐる情報につきましては、県としても常に留意しておりまして、国と連絡をとりながら情報収集に努めてきております。

 今回、発見された活断層につきましては、担当職員が中田教授のもとを訪ねて見解をお聞きしたり、あるいは先般6月11日の活断層の現場で説明をお聞きしたりしているところであります。

 島根原子力発電所の安全性につきましては、これまでもその時々の知見に基づいて中国電力が調査・評価を行い、国において確認してきておりますので、今後とも必要な対応をなされていくものと考えますので、県としては、これを注視してまいりたいというふうに考えているわけでございます。


○議長(倉井毅) 尾村議員。

○尾村利成議員 私はね、県の責任としてやっぱり活断層や耐震問題について調査検討する組織を立ち上げるということ、また県民の不安は大きいものがあります。県としてシンポジウムやこの問題での公開討論会を開催することを求めますけれども、いかがですか。


○議長(倉井毅) 加松総務部長。

○総務部長(加松正利) 先ほど申し上げましたように、島根原子力発電所の耐震安全性につきましては、専門的機関であります国の監督のもとに中国電力が調査・評価を行い、国がその結果を確認してきているというふうに承知しております。

 したがいまして、県といたしましては、島根原子力発電所の耐震安全性が損なわれているとは考えておらず、耐震安全性について検討する検討組織の設置やシンポジウムの開催といったものは考えていないところでございます。


○議長(倉井毅) 尾村議員。

○尾村利成議員 先ほど来言ってますようにね、国の審査が誤りだったわけですよ。活断層あったじゃないですか。そこのところをきちっとね、きちんととらえないとだめですよ、知事どうですか、国の審査誤ってたじゃないですか。なかったのにあったじゃないですか。だから知事は、冒頭ね、県議会の中で国による厳格な安全審査、これがプルサーマルの大前提だと言われたんですけど、ここが崩れたんですよ。この点ではいかがですか。

 私、国の問題で言ったらちょっと話変わりますけどね、国の審査、国の審査、国を信頼すると、こう言われるけれども、三位一体改革のね、この問題で、地方交付税が本当に減らされて、国から。島根大変なことになってるじゃないですか。国に対して言うべきことを言わないと私いけないと思います。とりわけ、このプルサーマルの問題、耐震の問題、県民の暮らしがかかり、命がかかり、安全がかかった大問題ですよ。この点でね、私は国の審査誤ってたわけだから、県としてプルサーマルは私は撤回する、耐震性の問題についても見直しをする、このことを要求しますけど、いかがでしょうか。


○議長(倉井毅) 澄田知事。 

○知事(澄田信義) 島根原子力発電所の耐震安全性につきましては、それこそその時々の知見に基づきまして専門的な機関である国の監督のもとに中国電力が調査・評価を行い、国がその結果を確認してきていると承知しております。

 したがいまして、県としましては、島根原子力発電所の耐震安全性が損なわれているとは考えておりません。耐震問題について、私どもは非常に大切なことだと考えておりますけれども、今回のケースについても改めてですね、国の安全審査というものが行われる、それを確認したいとは思っております。


○議長(倉井毅) 尾村議員。

○尾村利成議員 時間が来ましたので、最後に執行部の皆さん、私申し上げたいのはね、国、国と言われるけど、この国の安全審査自体が誤ってたんですよ。だからプルサーマルをね、導入する大前提は崩れているんですよ。私はこのことを強く言います。

 それからプルサーマルの問題でいえばですね、もうアクチンド、いわゆるダーティプルトニウムの量がふえて原発で働く人々の危険を増大させる、もし過酷事故が発生すれば被害が一層増大する。また、外国の事例をはるかに超えるですね、炉心に燃料の3分の1程度のMOX燃料を入れるわけですから、こんなことやってる例は外国でもないんですよ。それをいきなり営業炉に、島根原発で実施する。まさに市民をモルモットがわりにするものです。私は、このような百害あって一利なしのプルサーマルは絶対に容認すべきではないと思います。

 また、原発の耐震性の抜本的な見直しを強く求めるものです。この点をですね、私は県当局に強く申し上げて質問を終わらせていただきます。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画