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2006 年 9 月定例会 一般質問 (7 月豪雨災害について、障害者自立支援法について、療養病床削減・介護保険について、福祉医療費助成制度について、看護師確保について、特別支援教育について、原発・プルサーマルについて)

2006-09-20 この記事を印刷
1.7月豪雨災害について

 日本共産党の尾村利成でございます。

質問の第一は、7月の豪雨災害についてです。
まず、神戸川上流部改修について伺います。

 県は、国の直轄事業である斐伊川、神戸川治水事業と不離一体のものとして、平成6年度(1994年)から国の補助事業として神戸川広域基幹河川改修事業に着手しました。この事業は、計画規模1/50、計画流量1800#13221;/S、事業費106億円でした。しかし、財政難を理由に、本事業は平成10年(1998年)に休止となり、平成11年(1999年)からは計画縮小した暫定計画の県単事業に切り替えられたのです。同地域の5,5キロ以上上流の乙立町、佐田町流域においては、改修計画さえ立案されず、今日に至るも未着手のまま放置してきたではありませんか。

 この経過を見たとき、被災者から「この水害は人災だ。県の約束違反、県政の怠慢によるものだ」との怒りの声が出されるのは当然です。

 次に、中国電力来島ダムについてです。

 今回の被害について流域住民は、来島ダムがこれまでにない最大の放流を行ったことが直接的な原因ではないかと厳しく指摘しています。なぜなら来島ダムはS47年災害の最大放水量260トンの2倍近い最大放水量478トンを放水。7月18日の23時から10時間にわたり平均362トンの大量放流を続けました。これらの放水による急激な増水により、被害者の多くは、逃げ場を失い、大被害を受けました。

 発電という利益追求に走り、洪水防止のための事前放流を行わず、放流基準110トンの4.5倍もの最大放流を長時間続けながら、「操作規定に基づいているから問題ない」「天気予報をあてにしていない」などの中電の発言は許されるものではありません。

 昭和31年(1956年)の来島ダム建設以降、流域住民は、幾度となくこのダム放流の被害に、苦しめられてきました。昭和47年災害を受け、流域住民は神戸川・来島ダム災害対策協議会を設置し、来島ダムに対する監督権の強化、洪水防止策などを求めて、県に対しては陳情、県議会には請願書を提出し、これらの願意は採択されました。

 そこで、この歴史的な事実経過に照らし、今後二度と人災的な災害を引き起こさないために六点お聞きします。


 第一に、財政難を理由に、県が平成6年度(1994年)着手の広域基幹河川改修事業を休止したことが、今回の被害拡大の大きな要因だと考えますが所見を伺います。あわせて休止事業の再開を求めますが、いかがですか。

 第二に、今回の災害を受けて、総事業費10億円の国の緊急対策事業が計画されていますが、事業費先にありきの改修ではなく、住民の意見や要望をもとにした改修事業とすべきであり、出雲市所原町から佐田町橋波に至る上流部の全流域対象の計画を策定すべきと考えますが、所見を伺います。

 第三に、神戸川において1/150という3点セットによる国の計画高水量と1/10という県の計画高水量に差異があるのは問題であり、見直すべきと考えますがいかがですか。また水系の一元的管理体制をとるべきと考えますが所見を伺います。

 第四に、県は、昭和48年(1973年)に来島ダムの洪水による放流時には、ダム管理事務所へ県職員を派遣することを住民に約束し、昭和48年(1973年)の6月県議会では、神戸川被災者の会が提出した「来島ダムを治水ダムに改変することがもっとも緊要である」との請願が採択されています。この職員派遣の約束と治水ダム改変の採択事項を遵守しなかった責任は重いと考えますが、所見を伺います。あわせて、今後の善処策について伺います。

 第五に、洪水による被害軽減を図ることを目的に、関係市町、水利権者、中電、県などで構成する来島ダム水利等調整委員会が設置されておりながら、昭和59年(1984年)の設置以来、昨年まで全く開催されていませんでした。委員会規約では、毎年出水時期に委員会を招集することになっています。県としてこの点をどう認識していますか。また今後の委員会運営と体制充実に向けての考えを伺います。

 第六に、降雨期には事前放流するなど、来島ダムを治水ダムとしての機能を最大限発揮させる措置をとるべきと考えますが、いかがですか。また、国、県、市、中電出席のもとでダム操作をはじめ洪水対策について、住民要望を聞く会の開催を求めますが、所見を伺います。

 次に、松江市の浸水対策についてです。

 今回の浸水被害に対し、市民からは「昭和47年水害で大橋川からの越水と逆流被害があったのに、この間、何の手も打たれていない」「またいつ、今回のような大雨が降るかわからない。行政は、減災対策をしっかりとって欲しい」などの声が出されています。

 3点セットのみに固執し、平常時の河川改修、河川管理、治水対策をおろそかにしては県民の命と安全を守ることはできません。この間、大橋川拡幅さえすすめば、松江市の被害は防げるとの論調が目立っています。しかし、拡幅にあたっての基本的データ開示が不十分です。

 そこで伺います。

 第一は、大橋川の流量データについてです。国交省は、3点セットが完成すれば、今回の7月豪雨と同規模の大雨でも、松江市街地での浸水被害が防げるとのシュミレーションを発表しました。シュミレーションでは、尾原ダムで300#13221;/S、志津見ダムで500#13221;/Sを流量低減し、放水路では1000#13221;/Sが神戸川に流れるとしています。そして、斐伊川河口では1200#13221;/Sの流量となって、出雲市灘分では水位が約1,3m下がり、松江市では約0,6m下がるとしています。しかし、このシュミレーションでは大橋川での流量が明示されていません。流量がわからなければ、水位低下値は計算できないはずです。

 そこで伺います。

 7月豪雨時における大橋川の流量はいくらですか。また3点セット完成時ならいくらの流量なのですか。お答え下さい。

 第二に、大橋川の流量は、日本海や中海の状況によって変化します。今回の水害も、仮に満潮と重なっていれば被害はもっと深刻になっていたはずです。外海の潮位上昇時において、大橋川の流量がいかに変化するのかのシュミレーションを明示すべきであります。お答え下さい。

 また、市街地浸水防止のための緊急対策を市民は待っています。朝酌川、天神川、佐陀川の改修促進や逆流防止対策など、今後どのような内水対策を計るのかお示し下さい。

 災害問題の最後に、被害認定基準について伺います。

 国の被災者救済に関する主な法律は、災害救助法と被災者生活再建支援法ですが、適用基準が高く、今回の7月豪雨災害で、これほど甚大な被害を受けながらも支援対象となっておりません。

 被災者生活再建支援法では、10世帯以上の住宅が全壊という災害基準であります。

 今回の水害で死者を出した出雲市では、135棟の床上浸水となりました。私も現地を視察しましたが濁流による土砂流入などによる被害は甚大で、未だ復興できていない住宅も多数あります。

 しかし、今回の災害認定では全壊ゼロという認定となっています。

 国は、一昨年10月28日に、各県知事に対して「浸水等による住宅被害の認定について」の通達を出しました。この通達は、被災者生活再建支援法を積極的に活用し、被災者の支援に万全を期されたいとし、被災自治体が弾力的運用と積極的活用を行うよう求め、この通達の内容を市町村に周知するよう求めています。

 通達では、半壊、全壊の認定にあたって次のように言っています。「浸水により畳が浸水し、壁の全面が膨張しており、さらに浴槽などの水廻りの衛生設備等についても機能を損失している場合等には、一般的に『大規模半壊』または『全壊』に該当することになるものと考えられる」としています。
即ち、この通達に照らし、今回の出雲市での被害状況をつぶさに見れば、全壊ゼロとの認定にはならないのではないでしょうか。

 そこで伺います。

 第一に、県は住宅被害の認定にあたり、国が示している浸水被害認定の弾力的運用通知の内容をいかに市町村に周知徹底してきたのですか、伺います。

 第二に、床上浸水の住家を被災自治体とともにすべて再調査し、第二次判定をすることを求めますがいかがですか。その際、内閣府の担当者を招き、通達内容に基づく認定の協力をあおぐべきと考えますがいかがですか、伺います。

 第三に、被災者生活再建支援法の認定にあたり、兵庫県では、床上浸水による損傷程度を50%から100%に引き上げて、弾力的運用する住宅被害の認定マニュアルをつくり、市町村への説明会を行っています。島根県としても、弾力的運用について市町村への徹底とあわせ、県としての認定マニュアルを作成すべきと考えますが、いかがですか。


2.障害者自立支援法について

 次に障害者自立支援法について伺います。

 先の6月県議会でも指摘しましたように、負担増によって、施設からの退所、通所を断念された方が出ています。先日、私が伺った施設の副施設長は、「4月からの利用者負担は、2万円から3万円となり、障害者の方が払える金額ではありません。応益負担は、撤回しかありません。」「施設への報酬は4月以降月150万円減収となり、運営自体厳しく、自治体からの補助があれば助かります。」と話されました。 

 10月からの本格実施を前に、今日時点全国では、8都道府県243市町村で、すでに独自の負担軽減策を実施しています。これは国の制度が不十分、不合格であることの証明ではないでしょうか。今こそ、県は障害者、施設関係者の声をしっかりと受け止め、国に応益負担の撤回を要求し、県独自の支援策を講じるべきであります。

 また、法により、共同作業所は地域活動支援センターへ移行となります。地域活動支援センターは、市町村の裁量による予算配分で運営される為、自治体によって補助水準が大幅に後退しかねないとの声が上がっています。

 そこで伺います。

 第一に、6月県議会で実態把握に努めるとの答弁でしたが、この間、利用者、事業者からいかなる声が寄せられていますか。調査結果を伺います。

 第二に、共同作業所は新事業体系への移行となりますが、現行補助水準の維持、県独自の補助を求めますがいかがですか。

 第三に、報酬減による影響を軽減するために、事業所への運営費補助をすべきと考えますがいかがですか。

 第四に、利用者が負担増によってサービスから排除されることがないよう、利用料減免制度の創設など負担軽減措置を求めますがいかがですか、所見を伺います。


3.療養病床削減・介護保険について

 次に療養病床削減と介護保険について伺います。

 医療制度改革法により、全国では、現在38万床ある療養病床が15万床へと6割も削減され、県内では、現在の2960床が、1184床へ大幅に減らされる計画です。現在、県内では特別養護老人ホームの入所待機者は6000人を超えており、この上療養病床の大幅削減が行われれば、行き場がなくなる医療難民、介護難民が生まれることは明らかです。

 そこで伺います。

 第一に、今議会で、各病院に対し今後の転換計画を調査すると答弁されていますが、いかなる方法で調査されるのか、今後のスケジュールと進め方をお示しください。

 第二に、私は、国の削減計画が島根県の実情と乖離していると考えます。国に対して療養病床削減撤回を働きかけることを求めますが、所見を伺います。

 また、県の介護保険計画では、介護保険施設数は、すでに国の示す参酌標準を超えており、国や県の計画が見直しされない限り、医療機関が病床を介護保険施設に転換することはできません。県として計画を見直し、介護保険施設等の充実を求めますがいかがですか、伺います。

 昨年10月から介護施設の居住費、食費が全額自己負担とされ、負担増に耐えられず施設退所を余儀なくされたり、ショートステイやデイサービスを断念した高齢者も少なくありません。また、今年4月からの、法改正により、「要介護度が低い」と認定された高齢者は、これまで利用してきた介護ベッド、車いす、ヘルパーやデイサービスなどが取り上げられています。 政府、与党が宣伝した「介護予防」や「自立支援」とは全く、逆のことが起きています。

 私はこの間、事業所や利用者の方から実情をお聞きしてきました。

 松江市内に住む一人暮らしの女性は、自分で家事をすることが困難で、ヘルパーサービスを受けておられました。しかし、この8月、介護認定が要介護1から要支援2となり、ヘルパーの回数が減らされました。また、透析の通院をされている方からは、通院の介助が受けられなくなったと聞きました。このように政府のいう介護予防が、介護度の低い方からのサービスを取り上げています。
厚生労働大臣は、国会答弁で「本当に必要な家事援助の方は、当然今後も受けていただく」と答弁しています。

 そこで伺います。

 4月からの介護保険法改正により、介護度の低い方のヘルパーの生活援助、福祉用具貸与などの介護サービスで後退が発生していないのか、実態調査を行い、県としてこれまでのサービスが後退しない積極的な施策を求めますが、所見を伺います。


4.福祉医療費助成制度について

 次に、福祉医療費助成制度について伺います。

 昨年10月から1割負担が実施され、もうすぐ1年が経ちます。私は、この間市町村や関係団体の理解はない、受診抑制がはじまり、受給者は苦しみ、命を奪われかねない事態が起こっていることを指摘し、1割負担の撤回を求めてきました。

 先日、松江市内の病院のケースワーカーからお話しをお聞きました。「この間の税制改正で国保料や介護保険料など高齢者の負担が大幅に増えている」「病院の未集金は増えてきている。県はレセプト動向の判断ではなく、受給者の実態を掌握して欲しい。」とのことでした。

 そこで伺います。

 第一に、税制改正で、所得が増えていないのに非課税世帯が課税世帯になるという事態が生じています。この点で、福祉医療費で負担増とならないような措置を講じるべきと考えますが、所見を伺います。

第二に、受給者からの声を掌握するためいかに努力され、認識しているのか伺います。


5.看護師確保対策について

 次に看護師確保対策についてです。

 昨年度に策定された第6次看護職員受給見通しによると、今年度においては217人の不足が見込まれ、5年後においても、まだ不足がでるとの見通しです。また、本年4月の診療報酬改定の中で看護職員配置基準が見直され、今後一層、看護職員の不足が拡大すると想定されます。そこで実態を正確に把握するため、再度調査を実施するとともに、県内の看護師等養成所の定員拡大を計るなど、看護師確保に向けた取り組みを一層推進すべきと考えますが、所見を伺います。


6.特別支援教育について

 次に特別支援教育について伺います。

 最初に養護学校等放課後対策事業(ハッピーアフタースクール)についてです。

 この事業は平成13年にスタートし、現在県内8校の養護学校で運営されています。各学校では様々な工夫を凝らした、季節にあわせた行事が行われ、子供たち、保護者にとってなくてはならない放課後対策になっています。また、長期休業中には、高校生・大学生等がボランティアとして子供たちとふれあい、いきいきと活動する場となっています。

 先日、指導員や保護者の方と懇談を行いました。指導員の方は「障害を持った子供たちが、ボランティアなどいろいろな方と関わることで、学校生活だけでは得られない人間関係が広がり、子供たちの情感がより豊かになっています。」と話されました。

 そこで伺います。

 養護学校等対策事業(ハッピーアアフタースクール)がいっそう充実するよう支援すべきと考えますが、現在の支援状況、今後の施策をどのように考えているか伺います。
   
 次に、養護学校給食・通学用スクールバスについて伺います。

 今議会の補正予算案で、松江清心養護学校において、段階食提供の整備予算が盛り込まれたことに対し、子供たちや保護者、学校関係者から喜びの声があがっています。

 県教育委員会は、給食の基本的な考え方として、調理場を設置し、ランチルームで1人1人の児童生徒が実態に応じた食事の内容と指導目標を持って昼食をとることとしており、私はこの考えに共感するものです。

 この立場から伺います。

 第一に、松江清心養護学校において、盲学校の調理施設を利用した取り組みが始められますが、すべての自宅通学生への学校給食提供についての取り組み状況を伺います。また、他の養護学校において、業者におけるペースト食、きざみ食、糖尿病食など特別食を食べている子供たちの改善を求めますが、所見を伺います。

 第二に、養護学校の通学用スクールバス実施に向けて、保護者や学校関係者の要望をいかに掌握していますか。また、実施に向けた検討状況、ならびに今後のスケジュールを伺います。


7.原発・プルサーマルについて

 質問の最後は、原発・プルサーマルについてです。

 先の6月県議会で、県は、島根原発2号機でのプルサーマルについて県民の理解と合意は得られているとし、プルサーマル実施について基本的に了解するとしました。

 しかし、8月20日に開催された松江市主催のプルサーマルシンポジウムにおいて、この間の県の説明は事実と反することが実証されたのではないでしょうか。

 シンポジウムには570人の市民が参加し、プルサーマルの必要性、安全性について推進派、慎重派のパネリストが厳しく、激論を戦わせました。そして、会場からの質問は相次ぎ、時間切れで質問打ち切りという事態となりました。このことから明らかなように、プルサーマルへの県民の不安は全く解消されておらず、県の説明責任は不十分であり、県民の理解と合意は、得られていないことは明確です。

 シンポジウムでは、活断層や耐震安全性確保についても不安の声が、多数出されました。

 そこで伺います。

 第一に、県として松江市の実施したプルサーマルシンポをどう評価していますか。また、県民の理解と合意を得るために、今後いかなる施策を展開するのか所見を伺います。 

 第二に、耐震安全性確保の問題や活断層問題で松江市と協力して、住民説明会やシンポジウムを開催すべきと考えますが、いかがですか。

 第三に、上本庄町での活断層調査にあたって、県として中国電力に対し、変動地形学的調査やトレンチ調査を実施するよう求めるべきと考えますが、所見を伺います。  


○議長(倉井毅) 澄田知事。

○知事(澄田信義) 尾村議員の御質問にお答えをいたします。

 最初に、神戸川上流部の改修についてであります。

 所原地区につきましては、平成6年度に国庫補助事業の採択を受け、調査・設計を進めてまいりました。しかしながら、公共事業縮小の中にありまして、さらに効率的な事業執行により、早期に事業効果を上げるということが求められたため、当時頻繁に床上浸水被害を受けていた平田船川や新内藤川などに重点的な予算配分を行い、浸水被害の早期解消を図ることといたしました。このため、近年大きな被害がなかった神戸川では、当初計画に基づく事業を一たん休止し、計画を見直しした上で実施してまいりました。このたびの災害を踏まえ、短期間で改修効果を上げ、早く地域の皆様に安心していただけるよう、新たな計画を策定し、改修を実施することといたしました。なお、計画の策定に当たりましては、地元の皆様と十分協議し、合意を得た上で進めてまいります。

 次に、神戸川上流部の整備の進め方についてであります。

 河川整備に当たっては、水系ごとに定めた河川整備基本方針に基づき、当面整備の必要な区間について、改修計画を策定し、事業を行うこととしております。神戸川上流部につきましては、特に大きな被害を受けた所原地区、乙立地区、佐田町八幡原地区などの改修を急ぐことから、国の補助事業や災害関連事業等の制度を活用した改修計画を検討しております。いずれの地区も短期間のうちに河川改修を行い、再度災害の防止に努めてまいります。

 次に、来島ダムについてであります。

 来島ダムは、洪水調節を目的としたダムではありませんが、このたびの7月豪雨により、ダム下流域で大きな災害が発生したことから、ダム操作の検証や今後の対応策を検討するため、来島ダム洪水時操作等検討委員会を設置したところです。第1回の委員会では、操作規定に基づいた操作が行われたことを確認しており、次回は志津見ダムが完成するまでの間、一定の治水機能を果たすため、より有効な操作ができないか、またダムの放流状況や河川情報をわかりやすく住民に知らせる方法などについて検討されることになっています。その結果がまとまり次第、神戸川来島ダム水利等調整委員会へ説明し、意見をいただくとともに、住民の皆様へも説明した上で実施してまいります。

 次に、障害者自立支援法における利用者負担についてであります。

 このたびの利用者負担は、新たな制度を維持・存続する観点から、障害福祉サービスの利用者も含めてみんなで費用を負担し、支え合うという理念のもとに見直されたものと認識しています。新制度における利用者負担額は、サービス料に応じた1割の定率負担と、本人や家族の所得に応じた負担上限額の設定とを組み合わせたものになっております。また、特に低所得者に対しては、より低い上限額設定に加え、個別減免や社会福祉法人等減免といった負担軽減措置も盛り込まれ、一定の配慮がなされています。しかしながら、従前に比べ急激な負担増になっている所得階層もあることから、負担額の設定方法の妥当性についてはさまざまな意見があり、その負担額が適切かどうかにつきましては、サービスの利用動向などをきちんと見きわめていくことが重要と考えています。このことは、既に全国知事会でも議論があり、国に対し適切な利用者負担額及び負担上限の設定について、十分に検証を行うよう要望をしたところです。さらに、こうした全国的な動向も踏まえ、本県独自にこの秋の県重点要望として、さらなる負担軽減措置を国に求めていく、国に対し求めていくこととしています。なお、この制度は法に基づく全国一律の制度であるということから、御指摘の利用料減免制度の創設といったようなことは、まずは制度設計に責任を持つ国において検討されるべき課題であると考えています。

 次に、島根原子力発電所の耐震安全性や活断層問題に関する住民説明会やシンポジウムの開催についてであります。

 島根原子力発電所の耐震安全性については、その時々の知見に基づき、専門的機関である国の監督のもと、中国電力が調査・評価を行い、国がその結果を確認してきていると承知しています。

 昨日、原子力安全委員会において、耐震設計審査指針の改定が決定されたところであり、新指針に基づく島根原子力発電所の耐震安全性については、中国電力による調査・評価が行われ、国による確認がなされるものと承知しております。県としましては、新指針に基づく中国電力の調査結果及び国における耐震安全性の確認を注視していくこととしており、県がこの問題についてシンポジウム等を行うことは、現時点では考えておりません。なお、国による確認が行われた際には、国に対して説明を求め、その内容について県民の皆さんへの周知を図ってまいりたいと考えております。

 次に、中国電力の上本庄町の活断層調査について、変動地形学的調査などの実施を中国電力に求めるべきとのお尋ねについてであります。

 昨日改定された耐震設計審査指針では、活断層調査は既存文献の調査、変動地形学的調査、地表地質調査、地球物理学的調査などを適切に組み合わせて十分な調査を実施するよう記載されております。中国電力においては、国の指導のもと、個別具体的な調査手法であるトレンチ調査も含め、この新指針に基づき適切に調査されるものと理解しております。したがいまして、県としましては、改めて中国電力に対して変動地形学的調査等の実施を求めることは考えておりません。


○議長(倉井毅) 加松総務部長。

○総務部長(加松正利) まず、浸水被害認定の弾力的運用に関する市町村への周知についてお答えします。

 浸水被害認定の弾力的運用を内容とする内閣府からの通知につきましては、直ちに市町村に対して通知しており、市町村の事務担当者会議においても、その内容について説明してきたところです。なお、このたびの災害に際しまして、被災者生活再建支援制度の活用について改めて市町村に通知し、周知を図ったところでございます。

 次に、床上浸水の住家の調査についてであります。

 被災者生活再建支援制度における住宅の被害認定につきましては、内閣府の策定した災害に係る被害認定基準運用指針等に基づき、市町村で実施していただくことになっております。御指摘の被害認定について、出雲市から聞いたところでは、床上浸水のあった135世帯について調査したが、被害の程度が被災者生活再建支援制度の対象となる大規模半壊に当たるものはなかったとのことでございました。住宅の被害認定は、市町村において責任を持って実施していただくことになっておりまして、県といたしましては、再調査することは考えておりません。なお、内閣府に対しましては、被害認定の方法について、個々のケースを含めて適宜指導をいただいているところでございまして、担当者を招くことまでは考えておりません。

 次に、住宅被害の認定の市町村への徹底とマニュアルの作成についてでございます。

 住宅被害の認定に当たっては、先ほど説明しましたように市町村の事務担当者会議を開催し、内閣府が作成した指針や関係通知などを示し、被災者生活再建支援法の弾力的な運用についても説明しているところであり、今後とも機会をとらえて市町村において適切な運用が行われるよう助言していきたいと考えています。

 また、住宅被害の認定については、国の指針や関係通知等に基づく統一的な取り扱いが要請されることから、国の指針等を離れて、本県独自のマニュアルを作成することは困難と考えておりますが、国の指針等に基づく住宅被害認定の運用に際し、参考となる事例があれば、国に紹介するなどして情報収集に努めてまいりたいと考えております。

 次に、島根原子力発電所2号機のプルサーマル計画に係る松江市主催のシンポジウムの評価と御指摘の県民合意についてお答えします。

 今回の松江市主催のシンポジウムは、松江市が市民からプルサーマル計画に関する意見等を聞くために開催されたと聞いており、プルサーマル計画についての理解を深めていただく機会の一つになったと思います。中国電力からの事前了解願いについては、懇談会の報告、安対協顧問の意見を踏まえ、さまざまな角度から慎重に検討を行い、基本的に了解するとの判断に至ったものであり、また、県民の代表である県議会においても、この判断は適切、妥当として了承いただいたところであり、県の考えについては、県民の皆様の御理解をいただいたものと考えておるところでございます。

 なお、プルサーマル計画については、これまでも県のホームページや新聞広報により、県民の皆様に検討の経過を逐次お示しするなど、広報に努めてきています。先般、9月2日放映の県の広報テレビ番組、シマネスクナウでプルサーマルを取り上げ、また9月上旬にはプルサーマルの広報パンフレットを県内全域を対象に配付するなど、広報活動を行っているところであります。今後とも各種広報媒体を活用して広報活動に努めていきたいと考えております。


○議長(倉井毅) 法正健康福祉部長。

○健康福祉部長(法正良一) 医療及び福祉に関する御質問にお答えします。

 まず1点目は、障害者自立支援法に関してであります。

 まず、利用者や事業者からの声についてでありますが、本年4月から原則1割の利用者負担制度の導入による影響につきましては、これまで2回の調査を行い、その動向を把握したところです。またそのほかにも7月から8月にかけまして、県内各地区で圏域公聴会を開催し、障害者の方や家族の方、障害者団体の代表者、あるいはサービス提供事業者の方から障害者施策について意見をいただいたところです。私は、すべての公聴会に参加いたしましたが、同時に数カ所の施設にも足を運び、障害者自立支援法や利用者の状況について意見交換をさせていただきました。

 利用者や家族の意見として、負担がふえて大変だ。負担を抑制するための通所日数を手控えている。事業者からは、報酬の算定が日払いになったために減収となった。また授産施設では、利用者負担が導入されたため、授産科目を開拓するなどして工賃をふやす努力をしないといけないといった声がありました。本年10月から新制度が本格実施となり、障害程度区分の認定によるサービス利用やサービス体系の再編があることから、改めて検証する必要があると考えており、サービス利用の動向調査をしっかり行っていきたいと考えております。

 次に、共同作業所についてであります。

 自立支援法の制度設計において、法律で定めのない共同作業所は、自立支援給付である就労支援事業や市町村が実施する地域活動支援センターへの移行が想定されています。自立支援給付へ移行するためには、法人格を取得した上で、定員や職員体制等で一定の基準を満たす必要があります。県としましては、作業所が法人格を取得し、自立支援給付へ移行した場合、安定的な経営が見込まれることから、県単独の特別支援事業により、早期の移行を働きかけているところです。しかしながら、県内には法人格を有しない小規模な作業所が多いことから、比較的移行のしやすい地域活動支援センターへ多くが移行するものと考えております。

 この地域活動支援センターは、市町村が補助金と交付税を財源に委託により実施するものであり、その委託額については、最終的に市町村が決定することになります。県としましては、多くの障害者が利用している共同作業所の役割を考えますと、県独自の補助を行うといったことではなく、まずは新たな制度のもとで地域活動支援センターとして委託を受け、適切な運営が可能となるよう引き続き市町村に対して働きかけるとともに、作業所に対しても、市町村と十分協議を行うよう助言してまいりたいと考えております。

 次に、事業所への運営費補助についてであります。

 障害者自立支援法の施行により、障害者が必要なサービスを日がわりで選択できるようにするため、報酬の支払い方式が月額制から日額制に見直されました。このことにより、議員御指摘のとおり、事業者からこれまでよりも減収となったとの声を聞いております。例えば、これまでの報酬支払い方式は、月に10日の利用であっても月額分の報酬が支払われてきましたが、日額制では10日分の報酬が支払われる、こういったことから減収となってまいります。

 このように新たな制度では、減収となることが想定されたことから、事業運営の安定化を図るため、報酬以外の部分で弾力的な運用ができるよう措置がとられています。例えば、利用定員の110%までは受け入れることができるようになり、その結果、利用率を高め、安定した収入を確保することが可能になることなどであります。このように、支払い方式の見直しによる影響については、国において制度的に配慮されていることから、県として独自の助成は考えておりませんが、今後、事業者とのヒアリング等を通じ、その実態を把握し、制度的に改善する必要があれば国に対して要望していきたいと考えております。

 2点目は、療養病床及び介護保険についてであります。

 まず、療養病床についてでですが、療養病床の再編成にあたりましては、現に入院する高齢者にとって、病床転換後の受け入れ先の見通しが立ち、患者やその家族が不安を感ずることなく病床転換が行われるようにすることが、極めて重要であります。そのため、10月にはそれぞれの地域において、療養病床を有するすべての医療機関について、病床転換の移行や入院患者の実態を調査します。その結果を踏まえ、来年の秋を目途に受け皿となる介護保険サービスの見通し等との整合を図りながら、計画的な病床転換を進めるための地域ケア整備構想を策定することとしております。また、この再編に伴い、老人保健施設等に転換する場合の介護保険事業支援計画上の取り扱いにつきましては、転換が今後6年間かけて実施されることから、基本的に平成21年度からの第4期計画において必要な事業量を盛り込むこととなります。なお、今年度から3年間の第3期の段階においても、例えば介護療養型医療施設から老人保健施設への転換など、介護保険3施設の総枠の中であれば転換は可能であるというふうに考えています。

 県といたしましては、まずは転換に伴う受け皿の整備に万全を期すことが大切であると考えておりますので、そのことに全力を尽くしてまいります。その上で円滑な転換に必要なことについては、国へ対しても働きかけをしてまいりたいと考えています。

 次に、介護度の軽い方へのサービスについてであります。

 このたびの法改正は、高齢者ができる限り要介護等の状態にならないように、また要介護状態になっても悪化の防止や改善を図り、自立した日常生活を営めるよう支援するという、予防重視型システムへの転換が図られたのが大きな特徴です。とりわけ介護度が比較的軽い方につきましては、認定区分も細分化され、一人一人の高齢者の状況に応じて、その持っている能力を最大限引き出すよう、介護予防を重視したサービスが提供されるようになりました。この新しい考え方に基づくサービスについては、介護保険法の附則で、予防給付及び地域支援事業について、その実施状況等を勘案し、費用に対するその効果の程度等の観点から検討を行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずるとされていることから、国が検証作業を進めており、県もデータ収集等に協力しているところです。今後、県としましても、各事業者がサービスを適切に提供しているかなど、状況を把握する必要があると考えております。

 3点目は、福祉医療助成制度についてであります。

 まず、地方税法の改正に伴う福祉医療費助成制度の取り扱いについてであります。御指摘のように、地方税法改正に伴い、所得がふえていないのに課税世帯となることにより、所得区分が低所得から一般に移行し、負担が増加する方があります。県といたしましては、昨年10月に大きな制度改正を行って間もないことから、地方税法改正による負担増が生じないように配慮することが必要と考え、本年10月及び来年10月の医療証等の更新時における所得区分については、原則として昨年10月の所得区分をそのまま適用するという措置を講ずることとしました。なお、所得の減少等により、市町村民税非課税世帯となる方については、一般から低所得に変更することとしており、また、今後新たに申請される方についても税制改正がなかったものとして取り扱うこととしております。

 次に、利用者の方の声についてであります。

 利用者の方の声は、担当課に相談窓口を設けることにより、あるいは市町村や病院を訪問することなどにより直接・間接に伺ってまいりました。また、私自身も着任以降、病院や障害者施設を訪問したり、県内各地で地域公聴会を開催するなどにより御意見を伺う機会を設けてまいりました。制度改正後、1年を経過しようとしている現在、新しい制度についての理解はかなり進んできているものと受けとめております。もとより利用者の方の生活実態、病状はさまざまで、医療費の負担が重たい方もおられることはお話を伺って十分承知をしており、そうしたことも踏まえて先ほど申し上げたようなさらなる負担増とならない措置をとったところであります。

 最後に、看護師確保対策についてであります。

 本県が17年度に策定した第6次看護職員需給見通しでは、議員御指摘のとおり、平成18年度には217人、平成22年には96人の看護職員が不足するという状況であります。こうした需給状況を踏まえ、従来の取り組みに加え、今年度から未就業の看護職の方を対象に、病院での実地研修により、医療現場での雰囲気や感覚を取り戻し、最新の技術を習得することで職場復帰を支援するインターンシップ事業や、1人でも多くの看護師等養成所への進学を促進するため、高校生を対象とした進学ガイダンスに取り組んでいます。現在、インターンシップ事業では、看護師確保の関心の高さから、実地研修受け入れ病院も25病院となっており、今後は再就業する方がふえていくことに期待をしているところであります。こうした中で、先般の診療報酬改定による看護職員の配置基準の見直し、さらには医療制度改革による療養病床の転換など、この需給見通し策定後の医療を取り巻く環境は大きく変化しています。県といたしましては、今後の看護職員の需給動向について、年内には調査を行うこととしており、その調査結果を検証した上で、県内看護師等養成所の定員を含めたあり方や県内就業の促進などの確保対策について、医療関係者などで構成する看護職員の養成・確保に関する検討会を設置し、さまざまな角度から検討してまいりたいと考えております。


○議長(倉井毅) 伊藤土木部長。

○土木部長(伊藤慶幸) まず、来島ダムへの県職員の派遣についてであります。

 来島ダムにおいて、ダムの操作規定に基づき操作が適正に行われているかどうかを監視するために昭和48年から放流時には、県職員を派遣しておりました。しかし、昭和51年に放流ゲートの開度記録計が設置され、確実に操作状況が確認できることになったことから、以降は職員の派遣を取りやめております。昭和51年度以降は、ダムの定期検査時に管理体制や操作記録の確認などによって監視を行ってまいりましたが、今後の監視のあり方につきましては、来島ダム洪水時操作等検討委員会、現在開催しておりますけれども、これの検討結果を受けて検討してまいりたいと思っております。

 次に、来島ダムの治水ダムへの改変についてであります。

 請願が行われました当時は、斐伊川・神戸川の治水計画が動き出しつつあり、その計画の中で神戸川に洪水調節ダムが検討されておりました。県からは、この治水計画の中で洪水調節ダムを検討中である旨回答をしておりますし、また議会における請願の採択もこのような背景のもとに行われたと思われます。この構想が具体化されたのが、現在整備を進めております志津見ダムであり、早く治水機能を果たすよう、引き続き整備促進を求めてまいります。

 次に、神戸川の計画高水流量と一元的な管理体制についてであります。

 計画高水流量は、流域の土地利用の状況や下流部の状況などを総合的に判断して決定することにしております。神戸川では、斐伊川放水路から下流は、斐伊川本線と同じ150分の1の確立でありますが、所原地区では、周辺地域の状況から50分の1確立の計画としたところであります。なお、被災地域の皆様が一日でも早く安心して暮らせることが第一であることから、当面の改修は早期に整備効果を発揮させるために、今回の洪水規模に相当する10分の1確立で暫定改修をすることとしたところであります。

 また、水系の一元的管理についてでありますが、一級水系においても特に重要な区間を除いては、県が管理することとされておりまして、神戸川につきましては、国と県で情報の共有や連携を図りながら、一貫した管理を行ってまいります。

 次に、神戸川来島ダム水利等調整委員会の開催状況と今後の運営等についてであります。

 この委員会の目的は、洪水時の措置や渇水時における水利使用の調整などについて協議を行うことであります。昭和59年以降、ダム操作規程の改定もなく、また大きな渇水もなかったことから委員会を開催しておりませんでしたが、規約によれば毎年出水期前に開催することになっていることは、先ほど議員御指摘のとおりであります。なお、平成16年度には、この委員会を開催しておりまして、神戸川来島ダム水利等調整委員会の場におきまして、委員会の招集については、必要に応じ柔軟に開催できるよう規約の改定を行ったとこであります。また、今後の委員会運営につきましては、このたびの災害を踏まえて、改めて委員の皆様と協議をしてまいりたいと思っております。

 次に、松江市の河川改修についてであります。

 今回の浸水の主な原因は、大橋川や天神川の水位上昇による排水路等からの逆流やはんらんによるものであり、天神川は大橋川堤防と一体的に整備を行う必要があると考えております。また朝酌川では、北田川などの河川改修とともに内水対策施設の整備に取り組んでおりまして、特にこのたびの洪水において大きな効果が確認されました京橋川水門については、できるだけ早く関係者の合意をいただき、そして整備を進めてまいりたいと考えております。

 また、佐陀川につきましては、現在鹿島町内で改修工事を進めておりますけれども、この整備促進を図ってまいります。なお、当面の対策についてでありますが、国、県、市によりまして、はんらん実績図の作成やはんらんメカニズムの詳細な検討を行いまして、大橋川や天神川での排水路等からの逆流防止対策、そしてまたハザードマップ整備や水防団の組織強化などのソフト対策を含めた検討を行っているところであります。

 最後に、大橋川の流量データについてであります。

 7月豪雨時における大橋川の最大流量は、毎秒約1,000トンであったと聞いております。仮に3点セットが完成していた場合には、ダム・放水路により宍道湖への流入量が減少いたしますけれども、逆に大橋川改修による流下断面の増によりまして、この場合においても最大流量が毎秒約1,000トンであったというふうに国交省で試算されております。また、お尋ねの潮位の上昇時における大橋川流量のシミュレーションにつきましては、現在のところ行われておりませんが、今回の大橋川流量については、潮位変動にわずかずつの影響はされつつも、主に宍道湖の水位に連動して変化をしております。なお、治水計画においては、高潮時の潮位変動を考慮して大橋川の計画洪水位が定められておるところであります。


○議長(倉井毅) 藤原教育長。

○教育長(藤原義光) 3点について御質問ございました。

 まず、養護学校などでの放課後対策事業、通称ハッピーアフタースクール事業についてであります。

 この事業は、平成13年度より全国に先駆けて実施いたしました。自宅から通学する児童生徒が放課後や長期の休業中を充実して過ごし、保護者の子育ての支援にもつながるものとして行ってまいりました。現在8校において放課後の約3時間実施しておりまして、また夏休み、冬休みの間には、延べ約40日間実施しております。時間中は絵を描いたり工作をしたりするほか、音楽を聞いたり、本の読み聞かせや道具を使った遊びなど、さまざまな活動を行っておりました。大変好評を得ておるというふうに承知しております。今後は、利用者の増加やニーズの多様化に対する対応も必要でありまして、関係部局と十分連携調整を図るとともに、空き教室の利用など活動場所の確保にも工夫をいたしまして、本事業が円滑に実施されるよう努めてまいりたいと考えております。

 次に、学校給食事業についてであります。

 松江清心養護学校においては、現在自宅から通学するすべての児童生徒に対して、学校給食を実施しておりますが、現在食べる機能に課題のある児童生徒が在籍しておりまして、業者に依頼いたしまして、普通食を刻んだり、ペースト状につぶしたりするなどの二次的に調理した弁当を提供しております。この10月からは、近くに位置しております盲学校の調理施設において、児童生徒の食べる機能の段階に合わせた献立を作成し、調理した給食を実施するための必要な準備を現在進めております。その他の児童生徒につきましては、引き続き民間に委託いたしまして、学校給食を提供していくことになりますが、その安全性を十分確保するとともに、児童生徒の状況に合った献立による給食が実施、提供されますように努めてまいります。また、他の養護学校においても、食べる機能に課題があり、業者や隣接する福祉施設からペースト食や刻み食などの特別食の提供を受けている児童生徒が在籍しております。今後もこれらの児童生徒の状況を把握するとともに、松江清心養護学校における今回の行おうとしております取り組みの成果を見きわめつつ、どのような対応が望ましいかについて検討してまいりたいというふうに考えております。

 次に、養護学校などにおける通学用のスクールバスの実施についてであります。

 保護者や学校関係者の要望については、昨年の9月と本年の2月の2回、県内すべての盲・ろう・養護学校の通学生の保護者に対して調査を行うとともに、本年7月から8月にかけては、県内の各学校に対して運行方法についての訪問調査を実施いたしました。その結果、多くの保護者が通学用のスクールバスの希望をしておられました。また、その運行に当たっては、子供の障害の実態に配慮することや、自宅までかその最寄りまで送迎とすることなどの要望があったところであります。学校関係者からは、公共交通機関の利用に向けたステップとして、スクールバスによる通学支援を考えたい、校外学習への影響がない運行とすることなどの意見がありました。これらの意見・要望を踏まえ、現在できる限り多くの通学生がスクールバスを利用できるような運行の経路や複数の学校を組み合わせた効率的な運行経路の設定ができないか、また校外学習への影響を配慮した運行計画、毎日の運行が可能となるような運転手の勤務形態などについて、各学校ごとの具体的な実施計画を検討をしております。限られた予算の制約もありますが、平成19年度から可能な範囲内でのスクールバスの運行が実現できるよう取り組んでいきたいと考えております。以上でございます。


○議長(倉井毅) 尾村議員。

○尾村利成議員 議場の皆さん、7月のテレビを見られた方が多いと思います。あの豪雨災害で出雲の木村地区ですね、ヘリコプターで救助された方いらっしゃいました。テレビで見られた方、たくさんいらっしゃると思います。この方の御自宅というのは、1階の畳はもうすべてだめです。水回りがだめです、壁もすべてだめです。再建するためのお金というのは1,200万円以上かかる。そういうことであります。この方以外の出雲の朝山地区でも、1階の畳がだめ、水回りがだめ、壁がだめ、これが被災地の実態であります。私は、最初1問目の質問で、平成16年度10月28日の内閣府の通達、通知を申し上げました。再度申します。

 一昨年の10月28日の内閣府の通知ではですね、浸水によって畳が浸水をして、壁の全面が膨張して、そして浴槽などの水回りの衛生設備等について機能喪失している場合は、大規模半壊か全壊に該当すると、こういって被災者生活支援法の弾力的運用を言ってるわけです。私は、この内閣府の通知を見たときですね、絶対にこの出雲でね、全壊ゼロという報告はおかしいんですよ。そうなるわけないんですよ。それで、先ほど総務部長は、出雲市からその全壊の報告なかったと言われましたけれども、私は、ここに9月7日付の出雲市議会の議事録を持ってきました。ことしですよ、ことしの9月7日ですね、我が党の萬代弘美議員が西尾市長にこの問題で質問したときに、西尾市長の答弁はね、「災害救助法や支援法の適用について、県へ弾力的運用も含めて照会したけども、出雲の被害状況が適用を受けられる被害の基準に達していないという回答を県から得た」と市長は本会議で答弁してるんですよ。先ほどの総務部長は、ね、出雲から全壊なかったと、こう言われましたけど、食い違うじゃないですか。1点目お聞きします。

 それから、住宅の被害は市町村においてされるべきだと答弁されましたが、これも問題です。国が出している被災者生活再建支援法のQ&Aによればですね、被害認定の実施者というのは、きちっと国言ってるんですよ、都道府県にあっては、平時から市町村に対して応援体制を整備し、災害発生時にはこの被害認定は相互に協力してとり行うべきだ。これが内閣府が言ってることです。だから市町村任せではだめです。この点2点目。

 それから3点目ですね、被害の全壊ゼロというのはおかしいんですよ。この被害の認定についてですね、いわゆる住家の損壊部分の延べ床面積に占める損壊割合、損壊基準判定という判定が一つ。それからもう一つはですね、柱とか畳とか壁とかのですね、住家の主要な構成要素の経済的被害の住家全体に占める損壊割合、いわゆる部分別の損傷率を見る損害基準判定があるんですよ、二つ。この損害基準判定に沿えばですね、これは全壊です。県として再調査すべきです。そうしてこそね、被災者生活再建支援法を適用してあげてなるわけですから、300万の生活再建の支給をですね、国に求めればいいじゃないですか。国はですね、9月5日の災害対策特別委員会、参議院で我が党の仁比聡平参議員に対して、出雲は大変な被害だったと。もう1回子細に見ていただいて、全壊戸数に該当すれば、生活再建支援法、これは支給すると国が述べてます。やるべきです。それから統一的マニュアルも、これはね、つくるべきですよ、岡山県なんかもつくってます。こうしてこそ弾力的運用、積極的活用ができるのではないでしょうか。答弁してください。


○議長(倉井毅) 加松総務部長。

○総務部長(加松正利) まず1点目、市町村へのこの内閣府の指針及び通知の連絡でございますが、これはその弾力的運用を含めた内容の内閣府の通知、これにつきましては、かねてから市町村に私ども連絡しておりますし、このたびの御質問があった際の私どもの対応につきましても、出雲市にこういうふうな通知があるということは存じ上げておるかということを改めてお聞きいたしまして、そうしたところ出雲市の方からは、こういうふうな内閣府の通知等を踏まえて、こういうふうな被災者生活再建支援法に該当するような事例はなかったというように聞いているところでございます。

 あと市町村の役割でございますけれども、この市町村の被害認定、住宅被害認定につきましては、この市町村が実施することとされております。私ども、県は全く関与しないというのではなく、市町村に対しまして助言を必要に応じて行い、また疑問点が生じましたら国に対しても、内閣府の担当に対しましてもまた照会をして、それをまた市町村に回答しているところでございます。

 それから、そういうふうなマニュアルでございますけれども、これは国の基準から離れた統一的な取り扱いが必要とされますので、国の基準から離れた県独自のマニュアルというのは難しいんでございますが、ただその運用の基準の認定の運用に当たりまして、参考となるような事例があれば、国に照会するなどして情報収集に努めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。以上でございます。


○議長(倉井毅) 尾村議員。残り時間わずかでございます。

○尾村利成議員 総務部長、だめなんですよ。私が言いたいのはね、これきちっと認定すればね、支援法適用になるんですよ。先ほど言いましたように、損害基準判定やるべきです。損害基準判定を。すなわち壁とかね、畳とか柱とか、ここの部分がどう被害に遭ったかという、損壊基準判定だけだと、やってるのは、今。損害基準判定をやるべきです。そういって出雲の方々の被災者を救うべきです。時間が2秒になって1秒になりましたので以上で終わります。要望でいいです。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画