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議会の取り組み

議会の取り組み詳細

2006 年 9 月定例会 条例案、一般事件案、請願に対する討論

2006-10-04 この記事を印刷
2006年(平成18年)9月定例会討論[2006年10月4日]
議事録及び録画中継は県議会のホームページにてご覧になれます。
http://gikaiair.pref.shimane.lg.jp/vod.html


 日本共産党の尾村利成でございます。

 条例案8件、一般事件案3件、請願2件について委員長報告に反対する討論を行います。以下、その主な理由を申し述べます。

第104号議案「島根県立短期大学条例及び島根県立大学条例を廃止する条例」
第105号議案「島根県公立大学法人評価委員会条例」
第106号議案「島根県立大学短期大学部の入学検定料及び入学料に関する条例」
第118号議案「公立大学法人島根県立大学の定款について」
第119号議案「公立大学法人島根県立大学に承継させる権利について」


 まず、第104号議案「島根県立短期大学条例及び島根県立大学条例を廃止する条例」、第105号議案「島根県公立大学法人評価委員会条例」、第106号議案「島根県立大学短期大学部の入学検定料及び入学料に関する条例」、第118号議案「公立大学法人島根県立大学の定款について」、第119号議案「公立大学法人島根県立大学に承継させる権利について」の5件についてです。

 これら5件の議案は、平成19年4月に地方独立行政法人「公立大学法人島根県立大学」を設置し、県立3大学の法人化に併せ、統合するための関連議案であります。

 政府・総務省は、地方独立行政法人の制度をつくる目的について、「効率的な行政サービスの提供等を実現するため」とし、「効率化」の名で独立採算制を押しつけようとしています。

 公立大学は、住民の教育要求にこたえ、地域に貢献するために、地方自治体が設置し、経費を負担しています。しかし、法人化により経費負担は法人の責任となり様々な問題点が指摘されます。

 第一に、公立大学の法人化により、効率的経営や自己資金の獲得が強められ、資金に結びつかない幅広い教養教育や基礎科学の研究、地域への貢献などが弱まらざるを得ません。

 第二に、自治体の長、即ち、県知事が大学の目標を定め、その達成実績を行政機関におく法人評価委員会が評価するなど、教育研究が首長の意向に左右されるようになり、大学の自主性が損なわれます。

 第三に、県議会として、法人の予算や決算そのものがチェックできないなど県議会の関与は著しく限定されてしまいます。

 第四に、独立行政法人への移管にあたり、県立大学教職員の意思を全く考慮せず、条例によって移行するとの仕組みが取り入れられ、県立大学教職員の身分変更や労働条件変更が一方的に行うことができるなど不当な制度であります。

 以上の理由から、これらの議案には反対であります。


第111号議案「警察に関する手数料条例の一部を改正する条例」


 次に、第111号議案「警察に関する手数料条例の一部を改正する条例」についてであります。

 本議案は半導体集積回路を組み込んだ運転免許証の導入に伴い、運転免許証交付手数料を27%、再交付手数料を14%、更新手数料を21%と大幅に引き上げるものであります。

 今日の不況下において、手数料の大幅な引き上げは容認できません。

第112号議案「島根県国民健康保険調整交付金の交付に関する条例の一部を改正する条例」


 次に第112号議案「島根県国民健康保険調整交付金の交付に関する条例の一部を改正する条例」についてであります。

 本条例は、健康保険法等一部改正に伴う条例改正であります。

 条例案は、県が調整交付金として定率交付する普通調整交付金の交付について、現行の特定療養費を保険外併用療養費とするものであります。

 この保険外併用療養費は、保険がきく診療と保険がきかない診療を組み合わせる混合診療の拡大につながるものです。即ち、患者の支払い能力によって命が差別されるおそれが生じるものであります。

 よって本条例には反対であります。


第113号議案「島根県認定こども園の認定基準に関する条例」

 次に、第113号議案「島根県認定こども園の認定基準に関する条例」についてであります。
 そもそも「認定子ども園」は、規制改革・民間開放推進会議の中間答申のなかで、保育分野への「民間企業の参入促進」とそのための規制緩和を目的にうちだされたという性格をもっています。

 「認定こども園」制度は、第一に幼稚園、保育所の施設設備や職員配置などの現行の基準を下回ることが容認されており、認可外であった保育所や幼稚園の施設や機能を公認するという矛盾もあり、これまでの保育水準を大きく後退させる恐れがあります。

 第二に、児童福祉法に基づく認可保育所に特例を設け、施設入所は施設と利用者の「直接契約」となり、保育料も現行の「所得に応じた負担」ではなく、「自由料金」になります。これは、児童福祉法第1条の「すべて児童はひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない」という保育の平等と公共の原則、さらに児童福祉法第2条の「児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う」という国と地方自治体の行政責任をそこなう恐れがあります。

 このように「認定こども園」制度は、保育に対する国と自治体の責任を明確にした児童福祉法の原則をゆがめ、保育関係者や保護者の努力でつくりあげてきた認可保育所制度をなしくずしにするものとなっています。

 よって、本条例には反対であります。

第115号議案「島根県立青少年社会教育施設条例の一部を改正する条例」
第116号議案「島根県立古墳の丘古曽志公園条例の一部を改正する条例」


 次に、第115号議案「島根県立青少年社会教育施設条例の一部を改正する条例」、第116号議案「島根県立古墳の丘古曽志公園条例の一部を改正する条例」についてであります。

 これらの議案は、県立青少年の家、県立古墳の丘古曽志公園の管理方法として指定管理者制度を導入するものであります。

 公の施設は、県民の税金で建てた住民のくらしを支える共同財産であります。そのため住民の声が直接、施設運営に反映され、県民誰もが安心して利用でき、安定的に運営され、専門性を持つ職員が配置されなければなりません。

 そして、それは地方自治法第244条に規定されるように、住民の福祉を増進する目的を持って、その利用に供するための施設でなければなりません。

 公の施設を公共性を持たず、営利を目的とする民間企業に代行させて、果たして自治体の責任が果たせるのか、また、公共性の担保、住民サービスが維持できるのかなどの危惧がございます。
よってこれら条例案には反対であります。

第120号議案「県の行う建設事業に対する市町村の負担について」


 次に、第120号議案「県の行う建設事業に対する市町村の負担について」であります。

 砂防事業の急傾斜地崩壊対策事業や都市計画事業の街路事業1種並びに農業農村整備事業の県営老朽ため池事業など山地や農地保全、広域的事業は本来県が行うべきものであり、市町村に過大な負担を求めることには反対であります。

請願第80号「国の療養病床の廃止・削減計画の中止の意見書採択等を求める請願」


 次に、請願第80号「国の療養病床の廃止・削減計画の中止の意見書採択等を求める請願」についてです。

 療養病床、老人保健施設、特別養護老人ホームの3施設の待機者は莫大で、入院・入所するためには、数ヶ月から数年かかります。

特に、特別養護老人ホームの待機者数は全国で38万5千人、島根県では約6000人にものぼっています。

 こうした中で、療養病床の大幅削減が強行されれば、どこにも行き場のない医療難民、介護難民が各地にあふれることは明らかです。

 よって、療養病床の廃止・削減計画中止の国への意見書採択を求め、介護保険事業計画の見直しを求めた本請願は、不採択ではなく採択すべきことを主張します。


請願第81号「障害者が生き生きと心豊かに暮らせるための施策を求める請願」


 最後に請願第81号「障害者が生き生きと心豊かに暮らせるための施策を求める請願」についてです。

 障害者自立支援法は、この10月から本格実施となりました。

 今年4月からの原則1割負担の応益負担の導入で、利用者は大幅な負担増となり施設からの退所やサービス中断など、深刻な矛盾と問題点が噴出しています。

 施設・事業所に対する報酬削減も4月から引き下げられ、支払い方式が月額制から日額制に変更されるなど施設運営も大変厳しくなっています。
 全国では、すでに8都府県243市町村で独自の負担軽減策を実施しています。これは障害者自立支援法が不十分、不合格であることの証明ではないでしょうか。

 よって、島根県独自の負担軽減策を求めた本請願は不採択ではなく採択を主張します。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画