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議会の取り組み

議会の取り組み詳細

2007 年 2 月定例会 一問一答質問 (特別支援教育について、全国学力・学習状況調査について、介護保険について、県立中央病院について、文化財を生かした街づくりについて)

2007-02-22 この記事を印刷
○議長(倉井毅) おはようございます。これより本日の会議を開きます。

 日程に入る前に一言申し上げます。

 本日は、御承知のとおり竹島の日であります。昨年、初めての竹島の日を迎えてから1年がたちました。この間、県議会としても竹島問題解決のため真摯に取り組んできたところであります。竹島の日の集いの開催や国などの関係機関に対する要望活動も行うとともに、衆参両院には領土権の確立を求める請願活動を行い、両院とも採択されるという成果を上げるなど、この取り組みが全国的な広がりを見せたところであります。

 本年も竹島の日を迎えるに当たって、24日に竹島の日記念式典を開催することとし、あわせて領土問題を考えるフォーラムを開催します。竹島問題についての認識をさらに深め、一日も早い問題解決に向けた取り組みを一層推進していきたいと願っております。

 議員各位を初め皆様方には御多忙のこととは存じますが、万障繰り合せの上、御参加いただくようよろしくお願いをいたします。

 また、本日の午後には、県立博物館内に竹島に関する写真資料などを展示する竹島資料室が仮オープンいたしますので、ぜひともごらんいただきますようお願いを申し上げておきます。

 日程第1、「県政一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑」を行います。

 これより一問一答質問を行います。質問の通告がありますので、議長が指名をして順次発言を許します。なお、質問は発言席において、答弁は自席において行うことといたします。また、発言時間は15分以内となっておりますので遵守願います。尾村議員。



○尾村利成議員 日本共産党の尾村利成でございます。任期中最後の一問一答質問でございます。澄田知事とは最後の論戦でございます。県民の切実な願いにこたえる前向きな御答弁をお願いするものであります。

 まず、特別支援教育について伺います。

 来年度の予算案では、特別支援学校の通学用スクールバスの予算が約3,800万円計上されました。関係者からは喜びの声が上がっております。特別支援学校通学用スクールバス運行の事業の概要、そして運行計画案、現時点で決まっているものをまずお答えください。


○議長(倉井毅) 藤原教育長。

○教育長(藤原義光) ただいま御紹介ありましたように、新年度予算ではバス3台の購入費を含めまして約3,800万円、予算の計上をお願いいたしておるところであります。今まで既に保有しておりますスクールバスを使いまして通学用にも運行しようということで検討してまいりましたが、不足する3台についての購入を予算の方にお願いしているという状況でございます。

 購入の開始については、バスが車いすに対応できるような特別な仕様にする必要があることなどから、納期に時間がかかりますので、ことしの9月から運行を開始したいという予定でおります。

 運行のルートにつきましては、各学校とも対象になります通学生が広範囲にわたっておりますので、松江地区や江津、浜田地区においては地区内の複数の養護学校が共同でルートを設定するなど、可能な限り多くの子供が利用できるように検討を重ねまして、何とか各学校での運行のルートについてのめどをつけたところであります。最終的な運行の計画については、新年度入学者の希望も考慮して、7月ごろに最終的な決定をしてまいりたいというふうに思っております。

 なお、石見養護と益田養護については、スクールバスの利用の希望者が少ないということから、例えば益田養護についてはジャンボタクシーによります通学の足の確保というふうな、別な通学支援の方法を検討しておる状況でございます。


○議長(倉井毅) 尾村議員。

○尾村利成議員 現時点での運行計画案では、登校時のみの運行ということで、下校時は運行ということにはなっておりません。私は、この運行に当たって、今時点で保護者や学校関係者からどういう声、要望が出されているのか、そして下校時に運行した場合、この場合予算概要というのは幾らぐらいになるのか、そして県の教育委員会の考え方という点をお示しいただきたいと思います。


○議長(倉井毅) 藤原教育長。

○教育長(藤原義光) 保護者の意見の集約につきましては、昨年の10月、具体的な運行ルートの案を提示した上で調査を行いました。意見を伺ったところであります。その中では乗降とか、あるいは乗車中の介助あるいは安全性の確保など、子供の実態に応じた配慮を求める声が寄せられております。こういう声にこたえるという意味で、添乗員をそれぞれの通学バスに乗せるという措置をとることにいたしております。

 また、できるだけ利用しやすいルートづくりに配慮してほしいなどの要望がありまして、学校当局はそれぞれ個々の保護者のさまざまな要望をかなり苦労しながら調整した上で、現在の運行のルートのめどを立てたところでございます。

 下校時の運行についても要望があっております。この下校時の運行については、例えば幼稚部、それから小学部、中学部、高等部ごとにそれら下校の時間が異なっております。それから、部活動とか、あるいは放課後児童クラブでありますハッピーアフタースクールの利用などさまざまな状況がありまして、必ずしも登校時のように決まった時間に運行するということで、利用するすべての子供に対応できることにはならないということで、このニーズへの対応をまだ十分に集約し切れてないというのが正直な現在の状況でございます。

 9月からの登校時の実施状況も見ながら、例えば就学奨励費を活用した地域のNPOの法人でありますとか、あるいはジャンボタクシーの利用とか、そういうほかの通学支援との比較検討も行った上で、学校ごとにできるかできないかということについて検討してまいりたいというふうに考えております。

 したがいまして、具体的なルートとか時間とかということが現時点でまだ集約し切れておりませんので、経費については現時点でまだ積算の段階に至っておりません。


○議長(倉井毅) 尾村議員。

○尾村利成議員 私は、充実してほしいと思うんです。それで、中国地方のバスの状況を見てみますと、鳥取県では各校2路線、1校は3路線運行系統数がある。それから、岡山県では各校3路線の運行系統数がある。広島では1校当たり1路線から最高では9路線の運行系統があって、全体では67の路線があるわけでございます。山口も複数の路線でございます。その点で、私は島根県が通学用スクールバスをいよいよスタートするという点は評価するんですけれども、下校時を含めたニーズというのは非常に大きいものが私はあると思っています。この間の保護者との懇談でもそういう声が出されています。ですから、この点での一層の拡充をお願いする次第であります。

 それから、私この間、松江市の養護学校の先生と懇談する中でわかったんですけども、やっぱり養護学校に通わせたいんだけども、遠方のためになかなか通わされないと。だから、地元の特殊の学級で勉強しているという状況もあるんですというお話でした。教育の機会均等という立場から、やはり通学用スクールバス事業の拡充が必要だなという点を痛感した次第でございます。

 私は、これは要望として申しますが、県の教育委員会は市町村の教育委員会と協力して実情を調査する、把握する、そして積極的な対策を講じてほしいということを要望するものであります。

 次に、全国学力学習状況調査、いわゆる全国一斉学力テストの問題についてお伺いをいたします。

 文部科学省が本年の4月24日、全国のすべての小学6年生、中学3年生を対象にテストを実施いたします。このテストのやり方というのは、さまざまな私問題点が今指摘されていると思うんです。例えば、生徒に学校の名前、そして学校名、自分の名前、これを記入させると。文部科学省が委託する民間機関がデータを集約することになっているんです。小学校6年生の子供はどこが集約するかといえば、進研ゼミで知られるベネッセコーポレーション、ここにすべて行く、それから中学校は、3年生はNTTデータ、ここにデータが行く、すなわち全国の200万人の小学校、中学校の子供たちのデータがこれら二つの民間機関に集約される、こういう状況になっています。

 私は、この点で個人情報の保護に照らして大きな問題でもあるし、重大な人権侵害につながらないか、こういうふうに考えるんですけれども、県教委の所見を伺います。


○議長(倉井毅) 藤原教育長。

○教育長(藤原義光) 今回、4月24日に全国一斉の学力調査が行われます。概要につきましては先ほど議員の方から御紹介があったとおりでございます。

 今回行います目的を申し上げますと、平成16年末に公表されました国際学力調査において、国際的に見て日本の子供の学力、上位には位置してはおりますけども、読解力の大幅な低下とともに、これまで最上位にありました数学や理科についても低下傾向が見られたこと、学ぶ意欲や家庭学習時間が不足していることなどが課題として指摘されました。

 このような中で、ことしは国全体での傾向をつかむだけでなくて、地域ごとの児童生徒の学力や学習状況なども把握して、地域的な学力格差があるかないかというふうなこととか、現行教育の足るものあるいは足らざるものを調査いたしまして、今後の学力向上を図るということを目的として行うものでありまして、そうした今後の学力の向上対策、ひいては教育理念の基本軸を構築するというために意義があるものと、また必要な調査であるというふうに考えております。

 この調査に当たりましては、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律というのが個人情報保護法と同時にどうも法律ができておりまして、この法律におきまして国及び委託を受けました民間機関、厳格に個人情報の適切な管理のための安全な措置と従事者の義務を、この規定に基づきまして厳正に執行するということで行われるというふうに承知しております。したがって、この管理が厳正に行われることによって、個人情報の保護の問題については保護されるというふうに考えております。


○議長(倉井毅) 尾村議員。

○尾村利成議員 教育長、その企業の目的は利潤追求にあるわけです。既に先行的に民間企業丸投げで実施されているところでは、教材の業者から、おたくのお子さんの成績の順位を教えましょうかと、こういう売り込みを受けた親御さんもいるという報告も上がっています。特定の民間企業に集約されるその膨大な個人情報は、漏えいしないという保障は私はどこにもないというふうに思うんですよ。この点で、私は今回の実施方法について、その調査対象である子供にも、またその保護者にも何ら説明もしていないし、同意が得られてない、私はこういう点からいえば、テストの中止を求め、少なくとも保護者が無記名を希望したときはそれを認めるというのが、私はあるべき態度だと思いますけれども、県教委はどう考えますか。


○議長(倉井毅) 藤原教育長。

○教育長(藤原義光) 今回の学力調査、先ほど申し上げましたように、全体としてのマスの学力の調査というだけにとどまらず、各地域あるいは各学校、それからことし、今年度県が行いましたのと同じように、各生徒一人一人の学力の状況がどうかということについてのデータも得ると。そのものを現場の方にフィードバックいたしまして、児童生徒一人一人の学力向上のための指導にも活用していくということが目的とされております。その趣旨から申しますと、一人一人の子供がどういう学力状況にあるかということをデータとして取得する必要があるということでありますので、一人一人の子供の記名と、特定ということが必要になろうというふうに思っております。


○議長(倉井毅) 尾村議員。

○尾村利成議員 全国的に見た際、例えば東京では先行して行われていますけども、これは固有名詞を書くということは求めてないんですよね。それから、愛知県では高校入試の解答用紙にさえ固有名詞は記入せず、受験番号のみとする、大変慎重な対応がなされているところです。

 個人情報保護法の第4条を見たときに、行政機関は本人から直接書面に記録された当該本人の個人情報を取得するときは、あらかじめ本人に対してその利用目的を明示しなければならない、このように第4条は規定をいたしています。私は、この点から見た際、今回のやり方というのは保護者や子供たちへの必要な法的手続、説明手続がとられていない、私はこれは大問題だというふうに思います。

 教育の問題を私は考えるときに、今どういう問題が起こっているかというと、やっぱり行き過ぎた競争教育を改める、このことだと思うんですよ。学力世界一のフィンランドというのは、競争と格差をなくす中で学力が向上してきたと、こういうことになっています。それから、国連の子どもの権利委員会でも日本の国に対して厳しい警告をしている、2回にわたって厳しい警告をしています。それは、過度に競争的な教育制度のストレスの中で、子供たちが発達のゆがみの危険にさらされている、政府はその改善に今十分取り組んでいないといって、そういう点で行き過ぎた競争教育を改めるように指摘しているわけです。

 私はこの点を見たときに、今の文科省のやり方というのは、まさに世界の流れに逆行するということを指摘しておきたいと思います。県教委としてもこの点、よく再度考えていただきたいということを申し上げて、次の質問に移ります。

 介護保険の問題であります。

 介護保険の問題で、今島根県全体で特養の待機者数、この現状と、それから待機者数を解消するための対応策、どういうふうにとらえているのか伺います。


○議長(倉井毅) 法正健康福祉部長。

○健康福祉部長(法正良一) 特別養護老人ホームの入所の申込者数でございますけども、昨年の10月に療養病床の再編関連で調査を行いましたが、その際にあわせてその状況を調査いたしました。その結果によりますと、昨年の10月末現在で申込者数が5,249名であります。そのうち在宅の方、在宅の申込者数は2,271名でありました。また、その中で特に重度で手厚い介護を要する要介護度4以上の方が731名と、こういった状況でございました。

 この介護保険施設等の整備につきましては、第3期の介護保険事業支援計画に基づきまして進めているわけですけれども、平成19年度には特別養護老人ホームが40床、それから介護つき有料老人ホームが160床、認知症グループホームなどの地域密着型サービスで約520床、こういった計画がございます。合わせて720床ということになります。これらの整備がなされますと、先ほど申し上げました要介護度4以上の在宅での申込者の方については、多様な形態でのサービスの提供ということによって、おおむね対応ができるんではないかというふうに考えています。

 しかしながら、特別養護老人ホームへの入所希望は、依然として多い状況にございます。加えまして、療養病床の再編に伴って新たに特別養護老人ホームもその受け皿となることを考えますと、さらにその計画的な特別養護老人ホームを初めとした施設整備を検討する必要があるというふうに考えております。

 このため、ことしの秋策定を予定しております地域ケア整備構想の中で、特別養護老人ホームあるいは老人保健施設あるいは有料老人ホームなど、多様なサービスも含めた検討を行いまして、また同時に住宅部局との連携をもとに、高齢者の優良賃貸住宅などの活用、こういったことも検討してまいりたいというふうに考えております。


○議長(倉井毅) 尾村議員。

○尾村利成議員 介護を受けるに当たっては介護保険料、これを払ってないといけない。国保料の滞納者がふえているように、介護保険料の未納者、これも非常にこの間ふえていると思うんです。この間の未納者の状況についてお答えいただきたいと思います。


○議長(倉井毅) 法正健康福祉部長。

○健康福祉部長(法正良一) 介護保険料の未納者の状況でございますけども、平成17年度末の状況でございますが、介護保険で言うところのいわゆる第1号保険者、これが県内で20万2,000人余りであります。そのうちいわゆる普通徴収という方法で保険料を納めていただいている方が約5万1,000人であります。そのうち御質問のありました保険料の未納者というのは、3,303人という状況でございます。


○議長(倉井毅) 尾村議員。

○尾村利成議員 保険料の未納によって保険給付の制限を受けたり、サービス量が制限されている状況があると思うんですが、どういう状況ですか。


○議長(倉井毅) 法正健康福祉部長。

○健康福祉部長(法正良一) 御指摘がございましたように、災害とか特別な事情で保険料が未納になっている場合を除きまして、その保険料の未納という状況が出てまいりますと、法律的には幾つかの対策といいますか、措置がとられることになっています。これは、まず一つは保険料を1年間滞納した場合には保険給付の償還払い化ということ、さらに長期化して1年6カ月、これを過ぎると介護保険サービスを利用した際にその償還払いで返ってくるお金から滞納保険料を控除される、保険給付の全部あるいは一部の差しとめというふうな仕組み、さらに時効によって未納の保険料の徴収権が消滅してしまったという場合には、その消滅した未納期間に応じて保険給付が9割から7割となるなどの措置が講じられることになっております。

 御質問のありました状況でございますけれども、償還払いとなっている方がことしの1月1日現在で県内で2人という状況であります。それから、給付の一時差しとめ、こういった方は該当はございませんでした。それから、時効が成立して未納期間に応じて保険給付の割合が変更となった方というのが、この制度が発足して以来12人という状況でございます。


○議長(倉井毅) 尾村議員。

○尾村利成議員 介護保険法のやっぱり昨年の改正があって、本来介護保険がサービスが必要な人がサービスを取り上げられるという事態が今県内でも起こっていると思うんです。例えば、これは県の健康福祉部からもらったペーパーでございますけれども、要支援2の60代の男性の場合、週3回の透析があると。透析後の疲労感が強くて歩行も困難だと。しかしながら、特殊寝台、福祉用具の貸与がこれ取り上げられている、それから70代の女性、この方の場合は呼吸器機能障害のため在宅酸素療養中であると、呼吸困難もあると。しかしながら、福祉用具の貸与、これが取り上げられている、こういう状況にあるわけです。私は、やっぱり県として、国が今そういう介護の取り上げ、事実起こっているわけだから、介護ベッドの購入とか福祉用具のレンタル助成を行うなど、これまでのサービスが後退しないような積極的な施策を講じるということが求められていると思いますけれども、御所見はいかがですか。


○議長(倉井毅) 法正健康福祉部長。

○健康福祉部長(法正良一) 先ほど御質問のありました福祉用具の貸与の問題でありますけども、全国的に介護保険の理念である自立支援の趣旨に照らして、必ずしも適切と言えないというふうな理由から、昨年の4月に軽度の方に対する福祉用具貸与の見直しが行われたというふうに承知しております。しかしながら、その現場サイドからは福祉用具の利用が必要と考えられるにもかかわらず、現行の福祉用具貸与の可否の判断方法では、給付の対象とならない事例が見受けられる、こういった声がございました。

 実は、昨年の11月に厚生労働省による福祉用具の利用事例調査というものが行われたところであります。調査では、現行の方法で要するに用具の支給対象とならない品目ごとの事例の報告を求めるものでありました。県といたしましても、すべての保険者に照会をいたしまして、報告のあったものの中から代表的な事例について国に報告をいたしました。先ほど御紹介があった件もその中の、幾つかの事例でございます。

 そういった中で、実はこのほど国の方からその調査結果を踏まえて、疾病その他の原因によって状態が変動しやすい、あるいは状態が急速に悪化するおそれのある方などについては、医師の意見等に基づき例外給付を認めると、こういった方向で判断方法の運用について一部見直す方針が示されたところであります。

 御指摘の点につきまして、県といたしましては、本当に必要な方にはやはり適切で効果的なサービスが提供されることが大切だというふうに考えております。そういった点で、先ほどそういった一部見直しの方針が示されたところでございますので、これが4月以降に実施されるという状況にございますので、まずはこの新たな取り組みの実施状況というものを関心を持って見守っていきたいというふうに思っています。


○議長(倉井毅) 尾村議員。

○尾村利成議員 高齢者からの介護の取り上げが行われないように、県としてとれる最大の積極的な施策をお願いして、次の質問に移ります。

 県立中央病院の問題です。

 私はこの間、県立中央病院の二つの異常を指摘をしてきました。一つ目の異常は、保険証未持参者に対して通常の1.5倍の医療費を請求しているという異常です。二つ目の異常、未持参者に1カ月以内に精算に来なければ、その後は精算に応じないという異常です。こんなひどい対応はどこにもないということも言いました。そして、こういう対応は必要な医療をすべて保険で行うという公的医療保険の原則を、県立中央病院自身が崩しているということを指摘をしてまいりました。この二つの異常に対してどういう改善策をこの間講じてきたのか、お答えください。


○議長(倉井毅) 法正健康福祉部長。

○健康福祉部長(法正良一) 保険証の未持参者に対する問題でありますけども、まず1点は診療費の積算の問題であります。

 保険証を持参されない方の診療について、島根県立病院使用料及び手数料条例、これに基づいて現在1点15円75銭、こういうことで積算した額を御負担をいただいているところであります。その取り扱いにつきまして、他県の状況なども参考にしながら検討を進めてまいりましたが、ことしの4月1日から1点10円50銭に変更することとし、関係条例の改正案を今議会に提案をしているところであります。

 それからもう一点、この精算期間の問題でございます。

 保険証の未持参の方の精算期間については、昨年の2月以降、1カ月から3年に変更しておりますけれども、その受診時と支払いの際に、3年以内に手続をされれば保険を適用して診療費の差額をお返しするということを文書でお知らせしております。その上で、なお精算の手続をされていない方につきましては、ことしの1月半ばに改めて精算手続の通知を行いました。今後につきましては、未精算の方には受診月の翌々月には文書によって精算手続の通知を行うこととしております。

 それからもう一点、昨年の1月以前の取り扱いの問題でございます。

 精算期間を1カ月としていた昨年1月以前の未精算の方に対しましても、検討を行った結果、診療報酬請求が可能な受診分までさかのぼって精算をすることとし、既に対象者の方々に文書で通知を行って精算を開始しているところであります。


○議長(倉井毅) 尾村議員。

○尾村利成議員 いよいよ本年4月から地方公営企業法の県中は全部適用となります。すなわち病院の権限と責任が重くなってくる。私はこの点を見たときに、とれとれ主義の経営効率最優先の対応ではだめだと。本来県中が掲げている病院憲章ですね、県民に対する公正な医療サービスを提供する、患者さん中心の医療サービスを提供する、この本当の意味での私は実践が今後問われるというふうに思います。

 県内全体で国保証の取り上げは1,600世帯に及んでいる。ですから、私は県中の窓口対応としては、やっぱり患者さんをどう診るか、これはもし医療費、保険証がない人があったときに、高い医療費をとるんじゃなくて、1.5倍の利益をとるというこれまでのような対応をとるんじゃなくて、保険証がない人には市役所に相談に行きなさいとか、福祉事務所に相談に行きなさいとか、または自分のところの病院のケースワーカーのところに行って相談をしなさいと、私はこういう愛情ある対応こそ求められるということを強く指摘するものであります。

 県中の問題では、一定の改善がなされていますので、この点で終わります。

 質問の最後でございますが、ことしは松江城の築城400年でございます。私この間、議会でも城山北公園線の問題、拡幅の問題、中止すべきだということを言ってきたところです。きょうはこの城山北公園線、大手前の通りに大変すばらしい遺構、遺跡が発見され、私もその遺跡を見てきました。この点で知事とお話しといいますか、論戦したいんです。

 知事は、国際文化観光都市松江の魅力、それから観光資源、何であるとお考えですか。


○議長(倉井毅) 澄田知事。

○知事(澄田信義) 観光面から見た松江の魅力についての御質問でございますが、歴史がはぐくんだ観光素材が、松江においては町じゅうの至るところにあると思っております。武士と庶民が紡いだ江戸文化というのがたおやかに息づいている、それがまた市民の手によって、例えば和菓子屋めぐりとか、またボランティアガイドなど生活の中で日々新たになっているというようなこと、また景観面でも松江城や武家屋敷はもとよりでありますが、県立美術館の周辺の散策エリアなど、新しい景観と古い景観が調和している、こうした歴史と空間、そして人々が織りなすあやとでもいいましょうか、そういったものが松江が人を魅了するゆえんではないかと思っております。まさにそれが松江の観光資源であると思います。


○議長(倉井毅) 尾村議員。

○尾村利成議員 大手前通りの発掘調査からさまざまな遺構が出たんです。堀尾家の家紋と考えられている輪違い紋が刻印されている大きな石の発見です。こういうものが遺構が出てますけども、知事さんはこの遺構等ごらんになられましたか。


○議長(倉井毅) 澄田知事。


○知事(澄田信義) 私も大手前通りを通るときには気にかけて見るようにしておりまして、遺構の調査が進んでいることは承知しております。これまでの調査結果につきましては、担当部局から説明を受けておりますけれども、道路に沿って江戸時代の石組み水路などが現在まで残っているということであり、改めて松江開府400年の歴史に思いをはせたところであります。


○議長(倉井毅) 尾村議員。

○尾村利成議員 その大手前の通りの大きな石組みが見つかったという点は、これは大手前の通りが松江城の築城と一体的に進められた、一つの一体的な都市整備としてされていた可能性という点が私はあるというふうに思うんです。教育長、この間の発掘状況の状況をちょっとお知らせください。

 それから、今後の埋蔵文化財の取り扱いに係るフロー、事務の手続についてお答えいただきたいと思います。


○議長(倉井毅) 藤原教育長。

○教育長(藤原義光) この大手前通りの発掘調査につきましては、松江市の教育委員会の方が所管して行っております。現時点まででは地下の状況を確認するために、平成17年度からあそこの事業予定地の道路が大体約600メーターあるようでありますが、そのうちの裁判所の前庭の部分あたりにトレンチを入れまして、都合4カ所の試掘の調査を行っております。それから、新しい水路工事などに伴いましての調査ということで、13カ所での立ち会いの調査を行っておるというふうに承知しておりまして、その結果で、現道に沿いまして江戸時代以来の石組みの水路がよく確認できているということでありますとか、あるいは宅地部分については明治時代以降の生活の影響を受けまして、江戸時代の遺構の保存状態は余りよくないというふうな状況について聞いておるところであります。

 今後の手続につきましては、ただいま述べましたように、遺跡の存在が確認されておりますので、今後は遺跡発見通知書というのが文化財保護法に基づいて出されまして、この法律上では周知の埋蔵文化財の包蔵地というふうな扱いになりまして、これに伴いまして事業者から文化財保護法の第94条に基づきます工事内容についての通知書が提出され、松江市の教育委員会においては遺構の残存状況などに応じて、発掘調査とか工事の立ち会いなどが行われるというふうになっております。


○議長(倉井毅) 尾村議員。

○尾村利成議員 観光客の方や市民からは、さまざまなこの問題で意見を寄せられているんですよ。11メートルのその道幅が400年前からこの大手前通りに残っていたとはびっくりしたという話とか、それから開発のために松江の城下、風情を本当に壊していいのかと、こういう声もあります。私は、文化財というのは過去の人のものであり、そして現代を生きる我々のものでもあり、そして未来を生きる人のものでもあると思っております。この点で今生きている人間の都合で貴重なものを壊していいのか、そんなことは絶対やるべきではないと思います。

 土木部長、その貴重な遺跡、遺構が発見されているんですけども、今後大手前通り拡幅事業の進め方をどのようにやっていくというふうにお考えですか、お答えください。

○議長(倉井毅) 伊藤土木部長。

○土木部長(伊藤慶幸) 先ほど教育長から話がありましたように、文化財調査につきましては松江市教育委員会で進めていただいているということでございます。まだ一部分の調査でございますので、今後引き続き調査を進めていかれると、こういうことになるわけでありますけれども、その調査の過程で先ほど教育長の話にありましたような手続を踏んで、事業者といたしましては文化財の担当部局とよく協議しながら、その取り扱いについて検討していきたいというふうに思っております。

 なお、松江市の教育委員会におかれては、これまで調査されたものについてはその成果を記録にとどめていくということ、それから将来的には建設が今予定されております松江市歴史資料館、こういったところでの展示に生かすと、そういったことを考えて有効活用を図っていきたいと、そういったような話を聞いております。

 そしてまた、先般地元の方とか、あるいは専門家の方などによって大手前通りみちづくり委員会というのをつくられておりますけれども、そちらの方から提言をいただきました。その提言の内容は、こういった沿線で出土した石材を花壇とかベンチとか、そういったところへ活用していったり、あるいは歴史の案内看板、こういったものを設置していくと、そういったような提言をいただいたところでありまして、今後もいろいろな意見を伺いながら、この道路が城下町松江のシンボルロードとしてふさわしい、そういったものとなるように進めていきたいと思っております。


○議長(倉井毅) 尾村議員。

○尾村利成議員 松江にふさわしい城下町のシンボル道路というのは、今のまま残すことだと私は思います。この事業目的はもう破綻しているわけです。例えば、渋滞論をこの間やってきましたけども、島根県は1万6,000台の通行量と言われる。しかし、私は実際自分で調べたら1万1,000台しかない。そして、2020年度、今から13年後に県は今の1万6,000台から2万1,000台に車の量がふえると言われる、私はこれは全く過大な数字だと思います。現実離れしている数字だと思います。そういう点でもこの事業の目的は既に破綻していると思います。

 そして、今回こういう遺構が発見されたから、本当の意味の観光都市松江のシンボル道路としてこの11メーターの道幅を残す、城下町を守る、私はこれが大多数の県民の願いであるということを重ねて指摘しておきます。

 最後に知事、市民や学者の皆さん、そして関係者からも、やはり大手前通りの遺構はこの保存をしっかりやるべきだという声が上がってますけども、知事さん、お考えいかがでしょうか。


○議長(倉井毅) 澄田知事。

○知事(澄田信義) 遺構の調査状況を見まして、今日の私たちの暮らしが、これまでの長い歴史の中で先人が築き上げたさまざまな社会資本の上に成り立っていることを改めて感じました。同様に、今進めている事業は、単に私たちの世代のためだけではなく、後の世代に引き継ぐ未来への遺産であるとも思っております。こうした社会資本整備を行うに当たって、地域の歴史や文化を大切にしながら進めていくことは当然のことであります。引き続き調査を進め、出土品などの保存のあり方については専門的な意見も聞きながら、適切に判断する必要があると考えております。


○議長(倉井毅) 尾村議員。

○尾村利成議員 時間がなくなりましたんで、私も任期中、冒頭言いましたが、最後の一問一答で知事との論戦であります。最後に、知事さんに申し上げさせていただきたいと思います。

 澄田知事は、今議会の所信表明でも、みずからの県政運営は地域主体、県民本位、この県政運営を進めたというふうにおっしゃいました。そして、現場主義に徹するんだ、徹してきたんだ、このようにおっしゃいました。私、知事の任期残り少ないですけども、申し上げたいのは、やはり殿町、母衣町、ここの部分を歩いて貴重な遺構を私は見てほしい。そして、道路の拡幅目的である渋滞ですけども、渋滞がないということも私は知事の御自身の目で見てほしい、そしてこの拡幅は中止をしてほしい、このことを強く申し上げたいんです。

 それから、県民の暮らしと命を守る問題で言えば、知事、活断層が20キロある、私は活断層そのものも上本庄町、本庄、松江市上本庄町に行けば見れますんで見てほしい。または、この間の自立支援法の1割負担や福祉医療の1割負担で、もう県民は大変、障害者は苦しい状況になっている、悲鳴を上げている。私は障害者や母子家庭の暮らしをしっかりと見ていただきたい。声を真剣に聞いていただきたい。そういう意味で本当に県民本位、この政治を行っていただきたい。知事の任期は残りわずかですけども、このことを最後に重ねてお願い申し上げまして、一問一答質問を終わります。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画