2007 年 6 月定例会 一般質問 (知事の政治姿勢、雇用問題について、医療、福祉について、県立中央病院について、教育問題について、多重債務者対策について)
2007-06-19 この記事を印刷
日本共産党の尾村利成でございます。
1.知事の政治姿勢について
質問の第一は、溝口知事の政治姿勢についてであります。
まず、政治とカネの問題について、知事に伺います。
農林水産省の監督下にある、緑資源機構による官製談合事件が発覚し、島根県内においても衝撃が走りました。
緑資源機構は、本県において江津市、浜田市、邑南町の3自治体にまたがる森林と農地を一体的に整備する、「特定中山間地域保全整備事業」を展開しています。
実施主体は緑資源機構でありますが、県、市、町の負担金もあり、今回の談合事件は本県においても大きな問題であります。
私は、昨年12月県議会における事業負担金等の徴収条例において、「森林や農用地の保全、整備事業は当然としながらも、今日の自治体の財政状況を見たとき、総事業費約120億円もの大型プロジェクトに対する投資、経済効果に疑義がある」とし、反対いたしました。
緑資源機構の官製談合で判明したのは、緑資源の受注業者でつくる特定森林地域協議会とその政治団体である特森懇話会の存在であります。特定森林協議会の会員企業12社は、青木幹雄参議院議員が支部長である自民党島根県参議院選挙区第一支部に対して、2003年から3年間で2151万円の献金を行っていました。また、特森懇話会は、民主党の参議院議員や国民新党代表の綿貫前衆議院議長などにも資金提供を行っていました。
緑資源機構が行う事業は、大半が補助金であり、受注企業からの献金は、いわば税金の還流であります。緑資源機構関連の献金を受け取った政治家は、献金の趣旨を明らかにする政治的道義的責任があるのではないでしょうか。
そこで知事に伺います。
今回の緑資源機構の官製談合事件についての所見、ならびに、政官財の癒着を一掃し、清潔な政治を築くためにも企業献金、団体献金を禁止すべきと考えますが、所見を伺います。
次に、県財政健全化について伺います。
5期20年間続いた澄田県政は、20年来、県民一人あたり全国一の公共投資を続けてきました。私は、県民に喜んでいただける、社会資本の整備は大賛成であります。しかし、この間の投資は、目的を失った中海干拓事業、船が入らない港湾整備、企業のこない工業団地造成、需要予測を見誤った空港整備、不要不急の大型ハコモノ建設など大型開発中心であったではありませんか。投資による利益は、県外ゼネコンに流れる一方で、県民には、1兆円を超す県債残高、県民一人当たり全国一の莫大な借金と破綻寸前の県財政が残されたのであります。
財政再建にあたって、まず明確にすべきことは、今日の県財政危機の原因はどこにあり、何であったのかを、県民の目線で検証することであります。
私は、財政危機の原因は、地方交付税の大幅削減、無駄な大型公共事業、需要予測を見誤った事業にあったと考えますが、溝口知事の所見を伺います。
県民に対し、「財政が大変、痛みを分かち合って」と言っても、県政が県民に説明のつかない無駄な事業を継続していたならば、県政に対する理解と信頼は生まれません。
斐伊川水道建設事業では、今後の人口減少は明白なのに、今後20年間で人口が4%増加し、1人あたりの最大給水量が16.6%増加するとの需要予測に固執しています。また、城山北公園線拡幅事業では、交通渋滞がほとんどないのに、慢性的な渋滞があると強弁し、現在1日1万6千台の交通量が、2020年には、2万1千台になるという、非現実的な数値にしがみつき、県民の失笑をかっています。
現在継続中の事業であっても、人口予測、需要予測を見誤った事業や県民合意のない事業は、再度、精査し中止を含む見直しを行うことを求めますが、所見を伺います。
次に、県民の声を聞き、県民に信頼される県政を目指すという政治姿勢についてであります。
県庁は、松江市殿町にあります。しかし、隣町の母衣町の住民からは、県政へ根強い不信があります。それは、大手前通り拡幅によって、住み慣れた町を追い出され、地域コミュニティーを壊される住民の憤りであります。
この拡幅事業は、渋滞が発生していないなど、その事業目的はすでに破綻しています。住民、住民団体は、「税金の無駄使いはやめてほしい」「城下町を壊さないで欲しい」と訴え続け、知事との率直な懇談を切望しています。率直な意見交換、直接対話に努めるべきと考えますが、所見を伺います。
次に、県民の命と安全を守る立場から原発問題について伺います。
中国電力は、3月末、発電施設総点検の結果、約80件の不正・不適切事案を報告しました。この中で経済産業省は、悪質な事例として10事案について行政処分を行いました。島根原発の不正では、非常用冷却水の確認不備など悪質な法令違反と認定されています。
中国電力の不祥事件数は、全国の電力会社で最多であり、データの改ざんなど組織的な隠蔽体質が指摘されており、住民の怒りと不安は渦巻いています。この中電の不正・不祥事についての、知事の所見を伺うものです。
また、再発防止策は、国や中電任せにせず、県の自主的検査を強化し、中電に対しては外部監査の導入を要求すべきです。県として積極的な対策を講じるべきと考えますが、所見を伺います。
また、プルサーマル事前了解は、中電における適正運転が前提条件であったはずです。この間の中電による、データ改ざんや不祥事は、国からも「安全が損なわれたか、その恐れがある」と、厳しく断罪されています。適正運転が前提条件という、プルサーマル了解判断はすでに破綻しています。
県としてプルサーマル事前了解は撤回すべきです。知事の所見を伺います。
2.雇用問題について
次に雇用問題についてであります。
労働者をめぐる状況は、不払いサービス残業や、長時間労働、過労死、偽装請負など雇用のモラルハザードが蔓延しています。
県下の有効求人倍率は悪化しており、正社員の有効求人倍率は0.48倍、全体では0.9倍と仕事を求める労働者にとっては選り好みなどできない厳しい雇用情勢となっています。
今、国や自治体が雇用を創出し、労働者の生活と労働を守ることが強く求められています。
まず、島根労働局が実施している就職支援セミナーについて伺います。
私は、島根労働局の就職支援セミナーで使用されている面接の受け方のテキストを見て、そのあまりにもひどい内容に愕然としました。
以下、セミナーの内容を紹介します。
面接対策編では、「面接担当者が2人以上の場合は、いち早く上位者を見抜き、その者が好みそうな回答を心がけること。下位者には、上位者の意見に準じる場合が多々ある」としているのです。
また、「間違っても給料、残業、休日について聞いてはならない」としています。
これらは、労働基準法の精神を労働局自身が歪めるものではありませんか。
労働基準法第15条は、使用者に「賃金、労働時間、その他の労働条件を明示しなければならない」と、明示義務を定めています。ところが、このセミナーのテキストでは、賃金、労働時間、休日の質問はタブーであると求職者に教えているのです。
面接担当者の上位者がどちらかすぐに見抜いて、上位者が好む回答をするよう指導している点について、このセミナーを受けた青年からは、「こんなことまで考えて面接を受けないといけないのか。疑心暗鬼になってしまう」との声が出されています。真剣に就職活動をしている人に対して、あまりにもひどい内容です。
このようなセミナーテキストを、労働局が一株式会社に丸投げして作成し、労働局の名で行うことは、労働者保護の行政機関としての役割をかなぐり捨てることに等しいものであります。
また、このセミナー受講が、失業給付金受給の条件の一つになっていることも看過できません。
雇用に関するモラルハザードを助長するこのようなセミナーは、直ちに中止するよう国に働きかけるべきです。知事の所見を伺います。
次に誘致企業の雇用に対する社会的責任ついてです。
平成元年から平成18年度までの18年間に企業に支払われた企業立地促進助成金は、総額120億円であります。その中でも、(株)島根富士通には、平成3年、平成12年、平成15年と3回の助成がされ、その助成額は約15億円にも上ります。
島根富士通の雇用状況を見てみると、なんと総従事者1044名のうち、人材派遣による雇用が2分の1を超す557名となっています。派遣労働は身分が不安定なうえ、低賃金であり、安定雇用と地域の活性化にはなりません。
県民の税金である企業立地促進助成金を受けている企業には、正規雇用を積極的に行う社会的責任があるはずです。県としての改善策を求めます。また、不安定な派遣労働の実態調査を行うべきと考えますが、いかがですか所見を伺います。
次に、最低賃金の改善について伺います。
島根県の地域別最低賃金は、614円に過ぎず、フルタイムで働いても月収10万円程度で、生活保護基準にも満たない状況です。知事は、このような低賃金で働き生活している実態を、どのように認識しているのか伺います。あわせて、最低賃金を抜本的に引き上げ、地域別の賃金格差を是正するよう、国に強く働きかけるべきと考えますが、知事の所見を伺います。
3.医療、福祉について
質問の第三は、医療、福祉についてであります。
定率減税の廃止により、この6月から住民税の大増税が家計を襲い、ほとんどの人が、これまでの2倍になり、高齢者では昨年の3~4倍になる人も生まれています。
政府の医療切り捨て政策によって、命綱である国保証の取り上げ、診療報酬引き下げによる末期患者の病院追い出しなど医療難民が急増しています。介護では、介護報酬単価の切り下げや食費、住居費の自己負担化で人間らしく生きる最小限のサービスまで取り上げられ、介護難民と呼ばれるお年寄りが生まれています。さらに、政府によるでたらめな年金運営によって、5000万件を超す年金記録が宙に浮くなど、多くの国民が将来の生活に不安を感じています。
貧困と格差が広がり、将来への生活不安が広がり、県民生活が悪化している時だけに、くらしと福祉を守る自治体の役割が問われています。貧困の実態を調査し、抜本的な対策をたてるべきと考えますが、所見を伺います。
次に、国民健康保険についてです。
全国では、国保料(税)の滞納世帯は480万世帯、制裁措置で国保証を取り上げられた世帯は35万世帯を超えました。県内においては、国保加入世帯14万6千帯のうち、その1割にあたる1万4千世帯が滞納となっており、保険証の取り上げは1500世帯を超えています。国保証をとられ、医療費を全額負担する資格証明書にかえられた人が受診が遅れ、死亡するという悲惨な事例も発生しています。
国保料を引き下げるためにも、市町村国保への国庫補助率を計画的に戻すよう国にと強く求め、県としては、市町村国保への県費補助を拡充すべきと考えますが、所見を伺います。
国保法第44条では、特別の理由がある被保険者で、医療費の一部負担金の支払いが困難であると認められるものに対し、減額、免除、徴収猶予ができると規定しています。
今日、これだけ国保料の滞納者が増えているのに、県内においては、平成17年度、18年度とも、この44条による一部負担金の減免実績件数はゼロであります。しかし、広島市西区においては、年間2千件を超す減免実績です。この違いは、どこにあるのでしょうか。
県内において減免要綱は、松江市しかありません。この松江市においても、減免対象が生活保護基準を下回る場合という、極めて厳しい基準であります。
県は、この間、市町村に対しこの44条規定についての広報の実施や、制度周知の助言に努めるといってきましたが、いかに行ってきたのですか。また、今後、実効ある減免要綱を策定するよう助言を行うべきと考えますが、いかがですか。
次に福祉医療の一割負担についてであります。
一昨年の10月から、福祉医療に一割負担が導入されました。この一割負担により障害者の医療費は、月額500円から最大で4万200円という80倍の負担となり、全国一障害者に冷たい島根となりました。
一割負担導入は、市町村や関係団体の理解が全くないのに、理解があるとの詭弁とウソで強行された許しがたい暴挙でありました。この一割強行によって、障害者の失望が広がったのであります。
一割負担実施以降、負担増に耐えられず受診抑制が発生しています。障害者や県民の命を守るためにも、一割負担撤回を求めます。知事の英断を求めるものです。
4.県立中央病院について
次に、県立中央病院について2点伺います。
1点目は、差額ベッドを徴収してはならないとする厚生労働省通知に反する問題です。
厚生労働省は、2000年11月に差額ベッド代を徴収してはならない場合の通知を出しています。1つは、同意書による同意をとっていないとき、2つは、免疫力が低下して、感染症にかかるおそれがある患者など治療上の必要で移したとき、3つは、患者の選択ではなく病棟管理などの必要から移したときなどです。
この間、私のもとに差額ベッド徴収についての相談が寄せられました。その内容は、障害を持つ子供さんが喘息発作で入院した際、他の部屋はインフルエンザの患者さんで満室のため、個室に入院させられたとのことです。しかし、差額ベッド代を徴収されたとのことでありました。
これは、明らかに厚生労働省の通知に反するではありませんか。
そこで伺います。
厚生労働省通知は、いかに職員に周知、徹底されているのですか。今後の徹底に向けた改善策を伺います。あわせて、過去3年間の個室の入院件数と差額ベッドを徴収している件数、ならびに徴収していない件数をお示しください。
2点目は、保険証の未持参者に対する対応です。
この間、指摘しましたように、県立中央病院には2つの異常がありました。1つは、保険証未持参者に対して、通常の1.5倍の医療費を請求していたこと。2つは、未持参者は、1ヶ月以内に医療費を精算しなければ、その後の精算に応じないというものでした。これらの、ひどい対応は、手数料条例の改正等によって正されつつあるところですが、保険証未持参者に対する対応とこの間の精算状況はどのように改善されていますか。お答えください。
5.教育問題について
次に、教育問題についてであります。
知事のマニフェストでは、「心の教育や30人学級編制等により、子供たちに対するきめ細かい指導や豊かな心の育成に努めます」と、ありました。現在、本県における「30人学級編制等」は、小学校2年生までを対象にスクールサポート制との選択制や、特別なニーズをもつ子供たちへの「にこにこサポート」、大規模中学校1年生での「クラスサポート」など、さまざまな少人数指導が導入され、保護者をはじめ、現場教職員にも喜ばれています。
今、学力向上が国民的関心事になっていますが、学力を向上させる力は、「いっせい学力テスト」で競争をあおるのではなく、日々の授業が、どれだけ子どもたちの自ら学ぶ意欲を高めるものになっているのかにあります。
しかし、現場教職員の勤務実態は、それに応えるものになっていません。島根県教組が5月に実施した調査(592名分)では、休憩のない連続勤務が59%、疲労を翌朝に持ち越しているが43%、過労死の不安があるが19%、学校を辞めたいと思うときがあるが52%など、教職員は、ストレスを抱え疲れ切っている「崖っぷち労働」にあります。
文部科学省が昨年4月3日に通知し、県教委が同年9月25日に通知した「労働安全衛生法等の一部改正及び労働安全衛生対策の徹底」が、学校現場に十分な対応がとられていないと聞きます。この通知は、長時間労働者への医師による面接指導の実施や教職員のメンタルヘルス保持、各学校等における勤務時間の適正な把握に努めることなどを求める内容となっています。
教材研究を十分行うこともできず、働きずくめで、疲れ切っている現場から、活力や心の豊かさは生まれてきません。「確かな学力と思いやりのある人材を育成」するために、「30人学級等」施策の拡充と教職員への労働安全衛生対策こそ急務であると考えるものです。
そこで3点伺います。
1点目は、少人数指導は、保護者や現場教員からも喜ばれおり、一層拡充すべきと考えますが、いかがですか。
2点目は、少人数指導に対する評価、現場からの要望をいかに集約していますか。
3点目は、教職員の勤務実態は超多忙の状態であり、労働安全衛生対策が急務であると考えますが県教委の所見と今後の対応策についてお聞かせください。
6.多重債務者対策について
最後に多重債務者対策についてであります。
全国では、消費者金融いわゆるサラ金の利用者は1400万人、うち5社から借入れしている多重債務者は230万人と言われています。
島根県消費者センターへの多重債務に関する相談件数は、平成17年度の747件から、18年度、1002件へと1.3倍もの増加となっています。
私の事務所にも、多数のサラ金、ヤミ金の相談が寄せられています。相談者の実態を見てみると、厳しい取立てがあるためサラ金への返済が優先し、住民税や国民健康保険料への支払いが後回しになっています。
岩手県盛岡市では、多重債務者救済に関する4つの意義とメリットを明確にしています。1つに、困窮した市民に支援の手を差し伸べるのは、自治体として当然の価値ある仕事である。2つに、本来市内で消費されるべき膨大な資金が、高金利の貸金業者に支払われていることは市全体の損失である。3つに、多重債務者の生活再建は自殺や犯罪を防ぎ、安定した市民生活を守る課題である。4つに、市民を困難から解放し、借金返済偏重から納税市民、消費市民に変えることによって生活の安全・安心が図れるとしているのであります。
国は、今年4月に多重債務問題解決プログラムを策定し、今後、国、地方自治体と協力して、対策を講じていくこととしています。
そこで3点伺います。
1点目は、県として多重債務者対策協議会を設置し、市町村に相談窓口をつくるなどのネットワーク作り等を支援するべきと考えますが、所見を伺います。
2点目は、県内警察署において、ヤミ金の被害相談の対応に温度差があります。ヤミ金の違法行為に対して、適切な対応ができるようにマニュアルを作成し、周知徹底するべきと考えますが、所見を伺います。
3点目は、高校生までの段階で、借金した場合の金利や返済額、上限金利制度、多重債務状態からの救済策等の知識が得られるように、多重債務発生防止のための金融経済教育の強化が必要と考ますが、所見を伺います。
○議長(福田正明) 溝口知事。
○知事(溝口善兵衛) 尾村議員からは、県政全般にわたりまして、多岐にわたる御質問をお受けいたしました。以下、個々の質問に対しましてお答えを申し上げたいと思います。
まず最初に、緑資源機構の官製談合事件について御質問がございました。
このようなことはあってはならないことであります。現在国において、緑資源機構が実施しております事業の見直しや組織のあり方などが議論されておりますが、この点は徹底して見直しが行われる必要があると我々も考えております。しかし、御指摘がありました県内で実施されている事業につきましては、それぞれの地域の発展にとりましての必要性は今後も変わるところはないわけでございまして、私どもとしては、農林水産省等に対しまして、緑資源機構の行く末いかんにかかわらず、事業の予定どおりの実施を働きかけてまいりたいと考えておるところでございます。
次に、今回の事件に関連いたしまして、企業献金、団体献金のことにつきまして御質問がございました。
一般論として申し上げますと、政治資金は政党あるいは公職の候補者の政治活動に必要なものであり、選挙を通ずる民主政治にとっても必要なものだと思っております。しかし、政治資金の集め方、使途、情報公開のあり方などで不備があってはならないわけでありまして、そのために国民の信頼が損なわれるようなことがあってはならないと私も考えております。私といたしまして、個人といたしましては、企業献金、団体献金は収支を十分国民の皆様に公開をし、ガラス張りをした上で行うべきものだと考えているところであります。いずれにいたしましても、この問題は我が国の政治のあり方全般にかかわる問題でありまして、国政の場におきまして真剣に議論される必要があると考えておるところであります。
次に、近年の島根県の財政の悪化についての御質問がございました。
県といたしましては、おくれておりました社会資本等の整備に向けまして、これまで全力を挙げて取り組んできたところでございます。その結果、道路、下水道など生活基盤を初め、県の将来を支える各方面の社会基盤の水準は、相当程度向上したものと考えております。このような公共投資の財源として地方債を活用した結果、近年その償還金である公債費は高水準で推移をしており、これが県の財政悪化の大きな要因の一つとなっております。
しかし、財政の急激な悪化は、景気の低迷により県税や地方交付税の歳入が伸びなかったこと、特に国の政策転換によるいわゆる平成16年度の地財ショックなど、地方交付税の大幅削減による影響が大きいと考えているところでございます。いずれにしましても、県の財政が中期的に持続可能なものでなければなりません。あるときに事業が急拡大して、あるときに大きく削減されると、これは民間の方々も困るわけでございまして、県の財政の健全化を実現する、今私どもが直面する喫緊の課題であると考えております。そういう意味におきまして、私は財政の健全化を図るために、つまり中長期的に持続可能な財政を構築するために、改革推進会議というものを設けまして、この問題をどう取り扱うか、民間の方々の意見も聞きながら検討を始めたとこでございます。私は、そういう議論を経まして、10月の末には県としての健全化のための方針を作成し、それに基づきまして来年度以降の予算編成に当たっていきたいと考えているところでございます。
御指摘の公共投資の関連につきましては、これまでも必要性、緊急性等を十分勘案して実施してまいりましたが、厳しい財政の状況の中で、今後とも個別の事業の実施に当たりましては、必要性、緊急性等を十分に精査し、適切に判断をいたしてまいりたいと考えているところでございます。
次に、具体的な問題として、斐伊川水道事業、それから城山北公園線についての御質問がございました。
まず、斐伊川水道事業の人口予測、需要予測が過大であったんではないかという御指摘がございました。水需要の予測に当たりましては、東部地域の慢性的な水不足を解消するために、各市町村から需要予測資料の提出を受け、協議を行い、1日当たり3万5,400立方メートルの用水の供給を決定したものであります。その内訳は、人口増減等による需要増1万6,100立方メートルと、市町村の簡易水道等の施設の老朽化、取水の不安定といった課題から、上水道への転換を図ることによる増1万9,300立方メートル、この2つの要素があるわけでございます。
東部地域広域的水道整備計画区域の行政区域の区域内人口につきましては、人口問題研究所という機関が予測をしております。それよりますと、ピーク時が27万7,100人となっております。それから、斐伊川水道建設事業に当たりましての計画値は28万4,600人となっておりまして、この両者を比較しますと、斐伊川水道建設事業の計画値が約7,500人多いわけでございますが、これは計画値全体に対しまして2.6%の差異でございまして、私どもとしては、事業の規模、可否を決定する、影響を及ぼす大きな数値ではないと考えたところでございます。また、市町村の簡易水道施設の転換を図る必要もあり、総合的な観点から事業を進めているところでございます。
城山北公園線につきましてお答え申し上げます。
平成19年4月の県警の調査におきましては、松江市内の渋滞ポイントの一つとして位置づけられておりまして、その拡幅は交通の円滑化ということはもとより、歩行者の安全確保などのためにも必要不可欠な事業だと考えているところでございます。
また、昨年7月の集中豪雨がございました。大橋川にかかる3つの橋が通行不能となり、松江市街地の交通機能が大変麻痺したと聞いております。都市防災機能上、東西の幹線としての重要性が再認識されているところでもあります。私は、こうした経緯を聞きながら、説明を受けながら、私は整備に当たりましては、落ちついた城下町松江らしい景観、風情をできるだけ維持するように努める必要があると。例えば道路から電柱をなくしたり、緑豊かな街路樹を植えたり、そうした努力を一生懸命やる必要があると考えているところでございます。松江開府400年にふさわしい城下町のシンボルロードになるよう、皆さんの意見もお聞きしながら、これからさらに工夫ができないか、検討してまいる考えでございます。
この事業につきましては、多くの方々は賛同されておりますが、一部の方々には理解が得られていないのが現状でございます。今後とも、皆様の御理解が得られるよう、引き続き話し合いを進めてまいりたいと考えているところでございます。
次に、中国電力不適切事案についての質問がございました。
原子力発電所につきましては、発電所周辺の地域住民の方々の信頼が得られるような安全確保の体制がこれは必要不可欠でございます。この観点から、このたび島根原子力発電所で不適切事案があったことはまことに遺憾であります。県といたしましては、中国電力に対しまして、再発防止のための行動計画の確実な実施により、地域住民の方々の信頼を回復するよう強く申し入れております。
次に、再発防止対策に関連いたしまして、県として積極的な対策を講ずるべきではないかという御指摘がございました。
再発防止対策につきましては、5月21日に中国電力から社外委員の増員を含めた企業倫理委員会の機能強化などの実施内容と目標時期を定めた行動計画の報告を受けました。その実施状況につきまして、適切に報告を受けることといたしておるところでございます。
県といたしましては、先ほど外部監査を要求してはどうかというお話もございましたが、県といたしましては、今後国による監督の状況も十分注視しつつ、必要に応じて立入検査を行うなど、中国電力の行動計画の実施状況をよく確認していきたいと考えております。
次に、プルサーマル計画について御質問がございました。
プルサーマル計画につきましては、さまざまな角度から慎重に検討を重ねた結果、中国電力からの事前了解願に対し、基本的に了解するとの回答を昨年10月に行ったところであります。先ほど申し上げましたとおり、原子力発電所につきましては、周辺地域住民の方々の信頼を得られるような安全確保の体制が構築されているということが不可欠な前提でございます。中国電力におきましては、今般国の指導のもとに具体的な再発防止のための行動計画を定め、これに取り組んでいるところでございます。県といたしましては、国の監督状況を注視しつつ、行動計画の実施状況をよく確認した上で、最終的な回答をすることといたしております。したがいまして、事前了解願に対する基本了解を撤回することは考えておりません。
次に、島根県労働局が実施いたしました就職支援セミナーについて御質問がございました。
私もそのテキストを見ました。御指摘の部分につきましては、公的な機関が用いるテキストの内容としては不適切だと私も思いました。このセミナーにつきましては、島根労働局の責任において実施されておりまして、テキストの内容などは労働局においてきちっと点検されるべきものであると私も考えております。したがいまして、私は本日県議会におきまして、尾村議員からの問題の指摘があり、このような質疑があったということを島根労働局によく伝えたいと考えているところであります。
次に、地域別最低賃金について質問がございました。
国の資料により最低賃金と生活保護費を比較してみますと、県の最低賃金が10万8,000円であります。地域別の最低賃金につきましては、最低賃金法に基づきまして、各都道府県の公、労、使から成る地方審議会で調査、審議されまして、各都道府県ごとに労働局長が決定するものでございます。これに対しまして生活保護費は、県内でも地域別に決められておるわけでございます。
全県平均では、先ほどの最低賃金、県の最低賃金が10万8,000円であるのに対しまして、全県平均の生活保護費は10万2,000円でございます。しかし、松江市のように生活費が山間部等と比較しまして高いところにおきましては、生活保護費は11万5,000円になっているところでございます。これは試算でございますが、そういう資料が国の資料にあるわけでございます。いずれにいたしましても、最低賃金につきましては、生活保護費の関係についても考慮していく必要があると私どもも考えております。
他方、現在国会におきまして、最低賃金額を決める基準の一つに、生活保護との整合性を盛り込むなどの法律の改正案が提出されて、審議されていると聞いているところでございます。私は、この法律が施行されることになれば、生活保護との関係につきましては、必要な調整がなされていくのではないかと考えているところでございます。状況をよく注視してまいりたいと考えております。
次に、県内における貧困の格差の現状認識と県としての対応について御質問がございました。
住民税や国民健康保険料の滞納者、生活保護世帯につきましては、近年一部に改善の動きが見られますものの、総じて見ますと、5年前と比べれば増加しております。最近になりまして、島根県も実質県内経済成長率が増加に転じてまいりましたが、都市部との産業構造の違いなどから、依然全国的な景気回復におくれをとっております。このことが御指摘のような事態の主な要因ではないかというふうに思うわけでございます。つまり、生活保護世帯の増加と貧困の格差が拡大しているということは、そういう景気の回復に影響があるだろうというふうに見ているところでございます。まずはそういう意味におきまして、県内経済を活性化させることが重要であると考えておりまして、産業の活性化につきましても、いろんな努力を今行おうとしているところでございます。
引き続き、県民生活に関連する各種数値によく注意をいたしまして、その原因の把握、分析を行い、適切な対応に心がけてまいりたいと考えているところでございます。
次に、国民健康保険制度について御質問がございました。
現行の仕組みでは、地方自治体が独自に福祉医療費、乳幼児医療費の助成を行った場合には、国庫負担金が減額されるという仕組みになっております。島根県としては、この減額につきまして、市町村の国保財政の安定を図るために、県単独の事業として補助金を設けているところであります。私どもも今行われております国庫負担金の減額措置は不適切だと考えておりまして、この撤廃につきましては、国に対して重点要望などの際に強く申し入れているところであります。
一方、国におきましては、平成15年3月に医療保険制度体系などに関する基本方針が閣議決定され、その中で医療保険制度を通じた給付の平等、負担の公平を図り、将来的に医療保険制度の一元化を目指すこととされました。この閣議決定を契機といたしまして、全国知事会は国に対しまして、将来にわたって医療保険制度の安定的運営を図るため、すべての医療保険制度の全国レベルでの一元化に向けた具体的道筋を早期に提示するよう要望しております。私といたしましても、同じ考えで取り組んでまいりたいと考えているところであります。
次に、福祉医療費助成制度についてであります。
この制度につきましては、将来にわたっての安定的な維持と負担の公平性の観点から、平成17年10月に見直しを行っております。その際、県議会におきまして、全会一致で可決されました附帯決議を踏まえ、重症心身障害児、重症心身障害者への支援や住まいの場の整備など、今年度までの3カ年間重点的に取り組んでいるところであります。一方、新たな自立支援制度のもとで、障害者の方々が住みなれた地域で安心して自立した社会生活を送るためには、就労対策の充実や地域におけるサービスの提供体制の整備など、種々対応すべき課題があると考えております。
私といたしましては、現在の福祉医療制度を従前の形に戻すということではなく、附帯決議を受けまして取り組んできた事業の成果を踏まえ、障害者団体の方々や関係機関の皆様方の声もお聞きし、今後の障害者施策全体のあり方の中で検討をしてまいりたいと考えているところでございます。
それから、この制度と関連いたしまして、定額負担から1割負担に変えた点について問題の指摘がございました。
従前の制度は、所得の状況や医療の内容にかかわらず定額負担となっており、不公平感があったことや、当時の厳しい財政状況も背景にあって見直しされたものと承知をしております。いずれにいたしましても、私としては現在の福祉医療制度を従前の形に戻すということではなく、附帯決議を受けて取り組んでまいりました事業の成果を踏まえ、障害者団体の方々、関係機関の皆様方の声をお聞きしながら、今後の障害者施策全体のあり方を検討する中で検討してまいりたいと考えているところであります。
次に、30人学級編制による少人数指導についてであります。
本年度は、小学校1年、2年生における30人学級編制の実施により、小学校で48校、67名の教員を配置いたしております。また、児童が30人以上の学級を複数の教員で指導する島根スクールサポート事業では、20校に52名の非常勤講師を配置しております。総数で115名を配置いたしまして、これに必要な経費として4億5,800万円を予算に計上しているところであります。
小学校入学時におきまして、児童一人一人に応じたきめ細かな指導を行うことにより、基本的な学習内容を確実に理解できるようにすることや、小学校という初めて経験する集団生活へ円滑に適応することなどにつきまして非常に大きな成果を上げていると承知をいたしております。
こういうことから、現在1年生、2年生に限定をされてますこの制度をさらに上の学年にも適用してもらいたいという強い要望は私もよく承知をしているところでございます。他方で、先ほど来申し上げておりますけども、厳しい財政状況の中で、いろんな施策を聖域なくこれよりもさらに厳しい見直しが必要とされているわけでございまして、そういう全体の中で考えていく必要があると考えているところでございます。当面現状の小学校1年生については継続してまいる考えでございますけども、御要望の件につきましては、そうした中で考えていく、検討していくということといたしたいと思っているところでございます。
以上、私が個別にお答えする御質問につきましてはお答え申し上げましたが、最後にございましたように、私はやはり県民の皆様の声をよくお聞きし、それが県政に反映されていくことが県政に対する県民の皆さんの信頼を確保するのに大変大事なことであると、これに重点を置きたいということを言ってまいっておるわけでございます。他方で、そういう中で大きな財政の状況という制約もあるわけでございまして、そういう整合性をとりながら、こうした問題を真剣に考え、皆さんの御意見もよくお聞きをいたしていきたいと考えておりますので、今後とも何とぞ御理解、御支援のほどお願い申し上げる次第でございます。
○議長(福田正明) この際、しばらく休憩し、午後1時から再開いたします。
○議長(福田正明) それでは、会議を再開いたします。
午前中に引き続き、尾村議員の質問に対する答弁を求めます。山根環境生活部長。
○環境生活部長(山根成二) 私からは、多重債務者対策についてお答えをいたします。
県の消費者センターに寄せられる相談件数を見ますと、架空、不当請求などは減少しつつありますが、多重債務に関する相談は増加傾向にありまして、多重債務対策は重要な問題であるというふうに認識しております。このため、県庁内各課、県警本部、弁護士会、司法書士会などの関係機関、団体で構成する島根県消費者金融等被害防止対策会議を設置しておりまして、この会議において多重債務者対策について協議をいたしますとともに、特別相談会などを開催いたしております。今後、多重債務者の生活再建の観点から、例えば福祉関係団体などにも参加していただくなど、この会議を一層充実してまいりたいと考えております。
相談窓口につきましては、住民との接触機会が多く、住民にとって最も身近な市町村への窓口設置が必要であるというふうに考えております。現在のところ、松江、出雲、浜田の3市において窓口が設置されているわけでありますが、その充実とそれ以外の市町村においても窓口が設置されるよう重ねて働きかけてまいりたいというふうに考えております。
また、多重債務の問題は、内容が極めて複雑で、解決が困難な事例が多いことから、各市町村と十分連絡をとり合うとともに、弁護士会あるいは司法書士会などの専門機関との緊密な連携を図るなど、なお一層のネットワークづくりに努めてまいる考えでございます。
○議長(福田正明) 法正健康福祉部長。
○健康福祉部長(法正良一) 国民健康保険の一部負担金の減免に対する市町村への対応の御質問にお答えをいたします。
県におきましては、昨年7月の水害発生の際に、国民健康保険法第44条の規定に基づく一部負担金の減免制度について、被保険者の皆様方に実施するよう市町村に助言をしたところであります。一部負担金の減免の取り扱いにつきましては、質問にもありましたように、現状では要綱の作成や広報の実施は一部市町にとどまっております。そういったことから、今月下旬に開催されます国保担当者研修会において、改めて一部負担金減免要綱の策定や制度の周知につきまして市町村に助言をしてまいりたいというふうに考えております。
なお、先ほど環境生活部長から、多重債務者対策についての答弁がありました。それで、国保料の滞納と関連いたしますけれども、モデル事業に近々取り組むこととしております。これは国保料の滞納者を対象といたしまして、全国5都県、本県を含む5都県でありますが、におきまして多重債務者相談事業、内容的には、多重債務者が消費者金融などにグレーゾーン金利で払った過払い金を回収することによりまして、多重債務者を救済し、あわせて国保料の滞納を解消すると、こういった目的の事業でございますが、こういった相談事業を県の国保連合会が実施主体となって取り組むこととしております。
○議長(福田正明) 山根商工労働部長。
○商工労働部長(山根泉) 労働者派遣に関する御質問にお答えをいたします。
まず、企業立地促進助成金を受ける企業への対策でございますが、誘致企業におきます常用従業員、いわゆる正規雇用者の拡大につきましては、立地計画の認定時あるいはフォローアップのときに企業訪問しておりまして、そういう機会をとらえまして要請をしているところでございます。また、企業立地促進助成制度でございますけども、平成17年7月以降、新規の正規雇用者一人当たり100万円の雇用助成を行うというふうにしておりまして、正規雇用を奨励しているというところでございます。
それと、派遣労働者の実態調査等お話がございました。これにつきましては御承知のとおり、労働基準法に基づく権限は国が持っておりまして、そういう意味におきまして、国におきまして一元的にその実態も把握されるべきものと、そういうふうに考えております。
○議長(福田正明) 月森病院局長。
○病院局長(月森憲三) 県立中央病院に関します御質問、差額ベッドに関します御質問2点と、保険証未持参者に対する御質問1点、計3点についてお答えをいたします。
まず、1点目のいわゆる差額ベッドについてであります。
利用者に特別に料金を御負担いただきまして、特別の療養環境を提供することが認められた個室、これをいわゆる差額ベッドと申し上げますけども、現在当院には105床ございます。この差額ベッドの提供に関する厚生労働省通知では、原則として患者の自由な選択と同意書の提出による同意をもとに提供されるべきもので、患者の意に反して行ってはならないこと、また同意書による同意の確認を行っていない場合や、医師の判断で患者本人の治療上必要な場合などは料金を求めてはならないことがあわせて示されております。当院ではこの通知に基づき、院内規定を設け、これらを病棟で直接患者さんや御家族に説明する医師や看護師、病棟では看護師としては看護師長がその責任者に当たりますけれども、こうした医師や看護師に周知を行いますと同時に、実際にも差額ベッドへの入院を希望されるかどうかを確認すること、また料金が幾らかといった説明をした上で同意書を提出していただく、こうしたことを確実に実行することを徹底して、運用が適切になされるよう心がけております。
しかしながら、昨年度であったと承知しておりますけども、議員御指摘のような不適切な事例が当院でありました。こうした事実を受けとめまして、当院ではこの事例を教訓として、その際にも関係規定等を遵守し、患者さんや御家族に十分かつ適切な説明を行うよう指示をいたしました。また、病棟体制が変わりました今年度に入ってからも、病棟での責任者であります看護師長等を集めた会議を開きまして、差額ベッドの提供に関する取り扱いの手順や方法などを改めて再確認し、お互いに意識や情報の共有化を図る機会とするなど、適切な運用について一層の周知徹底を図ったところであります。今後もこうした機会を適宜設けていきたいと考えております。
差額ベッドに関連しまして2点目は、3年間の差額ベッドへの入院件数等についてのお尋ねでございます。
まず、入院件数につきましては、平成16年度が3万7,800件、平成17年度が3万7,448件、平成18年度が3万6,363件となっております。また、料金を徴収した件数及び徴収しなかった件数について申し上げますと、平成16年度では、料金を徴収した件数は3万5,822件、徴収しなかった件数は1,978件、平成17年度の徴収件数は3万6,565件、徴収しなかった件数は883件となっております。17年度が前年より大きく減少しておりますが、これは差額ベッドを保険適用のあります無菌病室へ2室、重症個室として1室を転換したことによる影響と考えております。また、平成18年度の徴収件数は3万5,127件、徴収をしなかった件数は前年より増加いたしまして1,236件となっております。
大きな2点目、保険証未持参者に対する対応等についてであります。
当院では、受診時に保険証を持参されなかった方は、診療費の全額を支払っていただきまして、後日保険証を持参されれば保険を適用して差額をお返しするという方法をとっております。精算できる期間の拡大、あるいは当日支払う額の再検討を求める意見を受けまして、これまでに精算期間を1カ月から3年間に延長し、その取り扱いを遡及して適用すること、また受診時に支払う額につきましても、関係条例等の改正を行ったところでございます。このうち精算期間を改めたことにつきましては、該当の方々に精算手続をとっていただく必要がありますので、文書によりお知らせをし、既に精算を行ってきております。
その精算手続の状況について申し上げますと、3年間の遡及適用の対象は343件ありましたが、精算手続を済まされた方は101件、その額は60万5,000円となっております。また、精算期間の見直しを行いました昨年2月以降の未精算となっている方に通知いたしました件数は210件で、このうち精算手続を済まされた方は49件で額としては46万円となっております。今後とも受診時に保険証を持参されなかった方には、精算手続をされれば保険を適用して診療費の差額をお返しすることを明示した文書をお示ししまして、きちんと説明をいたします。その上で、精算手続を済まされてない方には改めて文書でお知らせをしていきたいと考えております。
○議長(福田正明) 藤原教育長。
○教育長(藤原義光) 私の方に3点質問ございまして、まず第1問、30人学級などの少人数の評価でありますが、30人学級編制やスクールサポート事業の実施状況あるいは効果については、学校訪問や保護者のアンケート、あるいは実施校とか市町村教育委員会との協議の場で意見を把握しております。
それによりますと、小学校入学によって環境が変わりますが、その子供が教室に入ることへの緊張や抵抗感があったけども、担任の先生とサポートティーチャーがしっかり見てくれたおかげで、今では笑顔で登校できるとか、入学当初に比べると学級全体が落ちついて、学習の規律や生活習慣がきちんと身についたというふうなこと、あるいは個別の状況に合わせて課題解決への支援ができた、わかったと実感する子供がふえたなど、教員が子供一人一人に向き合う時間がふえまして、入学時からスムーズに学校生活に適応できるといった効果が上げられているというふうに評価しております。
学校現場や保護者からは、継続について強い要望があっております。厳しい財政状況ではありますが、本事業の継続に努めていきたいと考えております。
次に、教職員の労働安全衛生対策についてであります。
今日の教育は、さまざまな教育課題を抱えておりまして、教職員が勤務時間外においても生徒指導や、あるいは部活動などのさまざまな業務に多忙な状況であるということはよく承知しております。管理職に対しましては、学校運営の効率化とか会議などの見直しによりまして、勤務時間外の勤務の縮減を図るということなどをお願いしておりますし、教職員一人一人の勤務状況を把握して、健康管理について適切に対応するようお願いしておるとこであります。
平成18年4月に労働安全衛生法の一部改正が行われました。この改正は、事業者は、1人の労働者について週40時間を超える労働が月100時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められるときは、当該労働者の申し出を受けて、医師による面接指導を行わなければならないというふうなことなどを内容とするものでありまして、過重労働及びメンタルヘルス対策として、長時間労働を行っている労働者の医師による面接指導の実施が導入されたというものであります。
この法改正に基づきます実施方法については、現在具体的にどういった制度設計を図るべきかということを検討しているとこでございまして、できるだけ早い時期に県立学校の教育職員についても導入したいと考えております。また、市町村立学校の教職員についても同様の措置がとられるよう、市町村の教育委員会に対して依頼しておるという状況にございます。
3番目に、多重債務発生予防のための金融教育の強化であります。
現在、小中高等学校の各段階では、技術家庭科、社会科、公民科などの授業で、それぞれの学校段階ごとに、大体8時間から10時間ぐらい使いまして、お金の有効な使い方、悪質商法から身を守る知識や多重債務と自己破産の現実についての学習など、金融や経済、消費者の教育を行っております。また、高等学校においては、卒業前に外部講師によりまして、消費生活セミナーも実施いたしております。最近の子供は、自分で働いて生計を立てる自覚とか、実社会に即した職業観に乏しいと言われております。社会人として自立し、家庭生活を営む基盤となる家計は、労働による対価により支えられるものであること、そして収入と消費のバランスをとることが家計の基本であるということなど、社会経済の仕組みを正しく理解させることが必要だと思っております。こうしたことは、例えば家族との団らんや新聞に目を通したり、教師や地域の大人とのコミュニケーションを交わせたりすることによってはぐくまれる面もあると思ってます。このためには、教師自身が常に情報の受信力を持ち、社会の状況を理解し、教育に当たってほしいと思っております。以上でございます。
○議長(福田正明) 山田警察本部長。
○警察本部長(山田幸孝) ヤミ金融に対する被害相談の対応についてお答えいたします。
違法な取り立てや高金利貸し付けなど、ヤミ金融事案については依然として深刻な被害が出ており、昨年県警察では、351件の相談を受理しております。県警察では、ヤミ金融事案が県民生活の安全を脅かす重要な問題と認識し、警察本部の警察相談センター、各警察署の警察安全相談係などで県民の皆様からの相談を受理しております。
相談の受理に際しては、個々の相談内容をよくお聞きし、相談者の心情にも配意した適切な対応が行えるよう、職員への指導教養を実施しているとこであります。具体的には、相談対応マニュアルを作成、配布し、研修会を開催するなどして、職員が相談者に対する適切な助言やヤミ金融業者への警告など、相談内容に応じた的確な判断と措置がとれるよう努めているとこであります。今後とも、ヤミ金融の相談に対しましては、関係機関と連携しながら、県民の立場に立って適切に対応するよう指導してまいりたいと考えております。
○議長(福田正明) 尾村議員。
○尾村利成議員 知事に3点、それから商工労働部長に1点再質問させていただきます。
まず、知事にはプルサーマルの問題でお尋ねします。
昨年、島根県がプルサーマルの事前了解願の了解をしたとき、これは1つは中国電力の適正運転、この適正運転と国の厳格な審査が条件だったわけです。この中国電力の適正運転という点で言えば、私は今回のこの検査結果で、この適正運転という条件の土台そのものが崩壊してるではないかと、こういうふうに思うんです。それは県が事前了解願を了解したときどう言ったかというと、安全運転のための組織、体制、教育訓練、品質保証、これは中電はトップマネジメントによる体制がしっかりとられていると、こういう評価をしたわけです。しかし、どうか、中電がこの4月に経営課題への取り組み状況ということで状況書を報告してますけど、中電自身が自分のところにおいてはデータの改ざん、法令上の手続不備、多数の不適切な事案が明らかになって、企業体質そのものが問われる事態であると重く受けとめているんだ、このように自分自身が言っているわけです。となると、事前了解願をした際の条件が崩壊しているわけだから、私は今撤回すべきだと、これが筋だと思います。この点はいかがでしょうか。
それから2点目は、福祉医療の問題です。
知事は、1割負担への制度の見直しという点は、負担の公平性の観点から、これは見直しをしたんだと、こういう御答弁されたんですよ。私はこの負担の公平性、これは一体何を指すのか、もし知事が言われる負担の公平性が、障害者は病院に行くと、病院に行く回数が多いと、利益を受けてると、これは負担の公平性に反するということであるならば、言ってみれば障害者自立支援法で言うところの応益負担ですよ。この考え方の上での負担の公平という御回答ならば、私はこれは問題だと思います。この負担の公平性というのは何を指すんですか。
それから、知事に3点目でございますが、城山線の問題で、私は話し合いをお願いしたいと、ぜひとも住民との直接対話をお願いしたいと言いました。知事の答弁を聞いて、ちょっといま一つよくわからん部分があったんですが、知事に直接対話の御用意があるというふうに私は理解してよろしいのでしょうか。
知事への再質問はこの3点であります。
それから、商工労働部長に再質問します。
私は、派遣労働の実態調査を県としてやってほしいと言いました。権限は国にあることは十分存じてます。しかし、今雇用をめぐる状況を見たときに、いわゆる非正規雇用、不安定な労働者が大体全労働者の、すべての労働者の3分の1だと、女性や若者に至っては2人に1人がいわゆる不安定労働なんですよ。この労働条件をこのままにしておいては、私は若者の定住や、生き生きと若者がこの島根で働くということは、これはなかなか難しいと思うんです。活力ある島根と言うときに、知事の答弁でも昨日あったですが、若者が生き生きと働ける職場をつくるんだと、こう言われたわけです。私はそのために、やっぱり京都なんかでは派遣労働を京都府が府として派遣労働の実態調査やってるんですよ。私はこれは島根県としても、確かに権限は国にあるけれども、国とも連携して、やっぱり県としてもしっかりつかむ努力をしないといけないというふうに思いますが、商工労働部長のお考えをお聞きします。以上です。
○議長(福田正明) 溝口知事。
○知事(溝口善兵衛) 尾村議員から3点御質問がございました。
第1点目は、プルサーマルの事前了解願に対する件でございます。それから、第2点目は、障害者の医療費の定額負担にかかる問題であります。第3点目は、城山北公園線に係る対話の問題であります。
第1点目のプルサーマルの事前了解願に対する基本了解に関しましては、おっしゃるようないろんな条件があり、いろんな角度から検討したわけでございますが、私どもは、繰り返して申し上げておりますけども、今回中国電力の運営に関しまして不適切な事案があったことはまことに遺憾でありますということが1つでございます。他方、国におきましては、この問題は中国電力に限らず、ほかの電力会社にもある問題であり、国の原子力発電政策、原子力政策の一環としてこの問題は是正していかなきゃいかんということで取り組んでおられて、その中で再発防止の計画を出させて、これを確実に実行せしめようということを今やっているわけでございますから、私どもはその計画が確実に実行されるかどうかをよく見る必要があるわけでございまして、いずれにいたしましてもそういう計画の再発防止のため、計画の実施の確実性をよくチェックいたしまして、最終回答することといたしておるわけでございます。
2点目の負担の公平の問題でございますが、これは何が公平かということにつきましては、いろんな基準、角度があろうかと思います。ただ、当時行われました議論は、私どもが把握している限りでありますと、従来の制度は所得の状況や医療の内容にかかわらず定額負担となっておって、不公平と申しますか、不公平感があったということが一つの理由でございますし、それからもう一つは、大きな背景として、財政の状況が非常に悪くなっておりましたから、あらゆることについて見直しが必要だという世の中の背景があったと思っております。したがいまして、そういうもろもろの状況を判断して制度の変更が行われたということでございますが、現在の福祉医療制度を従前の形に戻すということではなくて、これまで附帯決議を踏まえまして取り組んでまいりました事業の成果を踏まえ、障害団体の方、関係機関の皆さんの声もお聞きして、今後の障害者施策、全体の中であり方を検討していきたいというのが私どもの考え方でございます。
それから、城山北公園線に関連いたしまして、住民の方々に十分御理解をいただいていない面があるわけでございまして、そうした方々から直接の対話をしたいというお話も伺っております。私も、将来にわたってその対話を拒否するつもりは全くありません。ただ、当面の問題として、いろんな技術的な問題もありますし、御理解も賜らなきゃいかんわけでございますから、そこの対話はしっかりとやっていく必要があるし、私はそうした対話の内容は逐一報告を受ける体制にしておるわけでございます。以上でございます。
○議長(福田正明) 山根商工労働部長。
○商工労働部長(山根泉) 派遣労働者の実態調査についての再度の御質問がございました。
先ほどの一元的に国が把握すべきだというふうに申し上げました。再質問にございましたように、監督権限そのものは国が持ってるということでございます。その中の一つのものとして、それぞれの企業の方から派遣労働の報告を現実に国の方が受けてるということがございます。それと、もう一点ございますが、実際に法令に違反するような事例が仮にあったとするならば、それは直ちに是正されることが望ましいことでございまして、そういう観点からいえば、権限を持つところがきちんと対応するというのがやっぱり筋だろうというふうに思っております。そういう観点から、国の方で一元的に調査されるべきものであると、こういう考えをしているところでございます。しかしながら、そうは言ってもいろいろと問題もあろうかというふうに思っておりますので、そこら辺については、監督庁でございます労働局ともよく相談をしてまいりたいと、こういうふうに思っております。
○議長(福田正明) 尾村議員。
○尾村利成議員 知事に2点申し上げます。
1つは、福祉医療の問題ですが、1割負担時は知事はこの島根へいらっしゃらなかったので、経過を御存じないかと思いますが、これは1割負担に当たって、障害者団体の声は一切聞かずにこれは導入したという問題があります。知事は関係団体の声、障害者の声、今後聞くと言われるんですけども、導入時は聞いてなかった、ここに問題があったということを私言っておきます。
それから、城山線の問題ですが、私、知事、県民の声を聞く際、県政に対して、今反対している人の声も聞いてほしい、こうしてこそ信頼される県政になると思います。以上でございます。
○議長(福田正明) 溝口知事。
○知事(溝口善兵衛) 今御指摘の点、よく頭に入れまして、よく検討していきたいと考えております。