前に戻る

議会の取り組み

議会の取り組み詳細

2007 年 9 月定例会 財政健全化基本方針 (案) を了承するとした財政健全化調査特別委員長報告に対する討論

2007-10-12 この記事を印刷
 日本共産党の尾村利成でございます。

 県の財政健全化基本方針(案)を了承するとした委員長報告に対し、反対討論を行います。

 財政健全化基本方針(案)は、財政健全化に向けた具体的施策として行政の効率化・スリム化として職員定員削減計画の上乗せ、給与の特例減額を継続するとしています。また、事務事業を縮小・見直しし、義務的な経費、任意性の高い経費を問わず、徹底した歳出の削減を執行するなど、県民や県職員に痛みを押しつけるものとなっています。

 私は財政再建の出発点は、財政危機に陥った原因と責任を明確にすることだと考えます。県の基本方針(案)でも、財政悪化の原因として、歳入面では地方交付税の大幅削減、歳出面では地方債を財源とした積極的な公共投資により、類似県と比較してかなり高水準の地方債残高となり、公債費が増大し、今後も高水準で推移すると告白しています。
 即ち、本県の財政規模からすれば、過大で身の丈を超えた公共事業を展開してきたということであります。

 この間の、本県の公共投資について、県政の主人公である県民の判断・認識はどうでしょうか。
 県が実施した県民意識調査において、公共事業に無駄がどの程度あるかとのアンケートで、たくさんあると回答した人は29.1%、多少あると回答した人は48.9%であり、およそ8割の県民がこの間の公共事業に無駄があるとしています。

この調査結果から導き出す教訓は、県民の目線からすれば、無駄な事業、県民合意のない事業、不要・不急の事業があったということであり、県民への情報提供と説明責任が、不十分であったということではありませんか。

 県民に対し、財政が大変、痛みを我慢して欲しいといっても県政が県民の理解と納得のない事業を継続していたならば、県政に対する理解と信頼は生まれるわけもなく、財政再建もありえないはずであります。

 総事業費450億円の斐伊川水道事業の事業目的は、人口増加による需要増と市町村の簡易水道から上水道への転換だとされています。

 しかし、今後20年間で人口が4%増加するという人口予測は破綻しています。また、最大の受水団体である松江市は、先に策定した松江市総合計画で、尾原ダム受水計画の見直しを図るとし、その上、簡易水道の整備にあたっては、総合的に事業計画を見直しすると決定したではありませんか。
 大手前道路拡幅計画は、現在1日1万6000台の交通量が10数年後には5000台も増えて、2万1000台になるという非科学的な数値に固執し、県民の失笑を買っているではありませんか。

 私は、事務事業の見直し、給与の特例減額の継続を打ち出す前に、県民合意のない事業、需要予測を見誤った事業について、メスを入れ、徹底した精査をする、そして中止を含む見直しを行うことを強く求めるものです。

 次に県職員の給与についてです。

 県職員は財政再建をともにすすめるパートナーであり、その専門性を県民福祉向上に役立てる責務をもつ自治体労働者です。職員の働く意欲を促し、安心して職務にうちこむことのできる条件を整備することは県の責任です。

 給与の特例減額の継続は、県職員の士気の低下や組織の活性化・行政能力の低下につながりかねず、ひいては県民サービス低下が心配されるものであります。県職員の給与は、公務員労働者の生活だけでなく、年金、恩給の基礎ともなり、広く県民生活に影響を与えるものであります。

カットの継続は、民間賃金にも波及し、賃下げの悪循環を招くものであります。労使双方がお互いに力を合わせられるように、真剣で真摯な話し合いを強く望むものであります。

 最後に、財政再建にあたって重要な視点、取り組みについて申し述べます。
 第一に、無駄をなくし効率的な住民本位の行財政確立とともに、住民の福祉の増進を図るという、地方自治体本来の役割を拡充させることと両立させること。

 第二に、不要不急の大型公共事業や継続中の事業を抜本的に見直すとともに、住民の暮らしを守る分野は充実を図り、その立場から業務と組織のあり方や職員配置を検討すること。

 第三に、国に対しては、地方交付税の総額確保を強く要求し、国の直轄事業については、国の責任と負担において実施し、直轄事業負担金の廃止を要求すること。

 第四に、県民に信頼される県政をつくるためにも、行政の透明性を高める努力をはかること。例えば予算編成過程を公開する中で、要求項目別に査定結果とその理由を公開すること。

 第五に、歳入確保のために、雇用創出と地域経済の発展こそが県税収入を確保する保証であり、その対策にさらなる力を注ぐこと。県民の生命を守るためにも、活断層調査を実施し、耐震対策を強化する上でも、核燃料税率の引き上げを検討すること。

 最後に、議会として県民の信頼と負託に応えていくためにも費用弁償については、実費支給に改めていくなどの改革が必要であります。
 以上で、討論を終わります。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画