2007 年 9 月定例会 条例案、一般事件案、請願に対する討論
2007-10-12 この記事を印刷
日本共産党の尾村利成でございます。
条例案2件、一般事件案1件、請願2件について委員長報告に対して反対の討論を致します。以下、その主な理由を申し述べます。
第114号議案「職員の勤務時間に関する条例及び市町村立学校の教職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例」
まず、第114号議案「職員の勤務時間に関する条例及び市町村立学校の教職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例」についてであります。
本条例は、県職員、県費負担教職員の休息時間を廃止しようとするものです。
この点で大切なことは、現場の労働実態がどうなっているのかということを直視することであります。
昨年、40年ぶりに実施された全国調査によれば、小中学校の学級担任は休息時間のみならず、本来45分間認められている昼の休憩時間も含めて、1日せいぜい5分前後の休みしかとれていないという驚くべき実態が明らかになりました。島根県教組が5月に実施した調査(592名分)では、休憩のない連続勤務が59%、疲労を翌朝に持ち越しているが43%、過労死の不安があるが19%、学校を辞めたいと思うときがあるが52%など、教職員は、ストレスを抱え疲れ切っている「崖っぷち労働」にあります。県職員も定員の大幅な削減の中で、勤務実態と業務量の乖離が拡大しています。
このような労働実態に対し、具体的な労働条件の改善策を明示しないままでの条例改正には反対であります。
第121号議案「財産の交換、譲与、無償貸付等に関する条例の一部を改正する条例」
次に、第121号議案「財産の交換、譲与、無償貸付等に関する条例の一部を改正する条例」についてであります。
本案は、地方自治法の改正により、行政財産を貸し付け、又はこれに私権を設定することができる場合が拡大されたため提案されたものであり、行政財産の貸し付け等は住民の財産である土地や建物を民間業者の営利活動に利用させることになります。このことは自治体の本来業務の縮小や住民サービスの後退につながる恐れがあります。
よって本条例改正には反対であります。
第128号議案「県の行う建設事業に対する市町村の負担について」
次に、第128号議案「県の行う建設事業に対する市町村の負担について」であります。
砂防事業の急傾斜地崩壊対策事業や都市計画事業の街路事業1種並びに農業農村整備事業の県営老朽ため池事業など、山地や農地の保全、災害や広域的な役割を果たす事業は、本来県が行うべきものであり、市町村に過大な負担を求めることには反対であります。
請願第8号「障害者自立支援法のもとで障害者の負担軽減を求める請願」
次に、請願第8号「障害者自立支援法のもとで障害者の負担軽減を求める請願」についてであります。
昨年10月から本格施行された障害者自立支援法は、早くも見直しを迫られています。それは、原則一割の応益負担が導入され、大幅な利用者負担増と相次ぐ施設からの退所やサービス利用の手控え、施設経営を大本からゆるがす報酬の激減など予想を超える問題点が噴出しているからであります。将来の生活を苦にした親子の無理心中事件も起き、関係者に衝撃をあたえています。
政府は、自立支援法の審議のなかで、「サービス水準は後退させない」と繰り返し答弁してきましたが、全国各地で起きている深刻な事態は、この政府答弁に真っ向から反するものといわなければなりません。
今日時点全国では、18都道府県と411市区町村で利用料の負担軽減など独自の軽減策が講じられています。これは国の制度が不十分、不合格であることの証明ではないでしょうか。今こそ障害者、施設関係者の強い願いである軽減策を本県でも実施すべきであります。
よって、県独自の負担軽減策を求めた本請願は、不採択ではなく採択すべきことを主張します。
請願第10号「国の療養病床の廃止・削減計画の中止の意見書採択等を求める請願」
最後に、請願第10号「国の療養病床の廃止・削減計画の中止の意見書採択等を求める請願」についてであります。
本請願は、県内21市町村すべての議会で採択されました。それは、療養病床の廃止・削減が高齢化率全国一の本県各地で矛盾を広げ、地域住民の医療や介護が深刻な事態となっているからであります。
昨年10月から医療療養病床に入院する70歳以上の患者の食費・居住費が、保険給付から外され、該当の入院患者は、大幅な負担増を強いられ、入院継続が困難になり、やむなく退院する方が多数出ています。
このまま削減計画が続けば、とりわけ高齢者の割合が高い当県では、「医療難民」「介護難民」がますます増えていくのは火を見るよりも明らかです。
また、現在、療養病床を持つ医療機関の多くは老人保健施設等への転換を模索していますが、介護保険事業計画の定員枠等により、意向通りに転換できるかどうかは分かりません。
よって、療養病床の廃止・削減計画を中止するよう国への意見書採択を求め、介護保険事業計画を見直し、医療、介護、福祉制度や施設等の基盤を充実させることを求めた本請願は、不採択ではなく採択すべきことを主張します。