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議会の取り組み

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2007 年 11 月定例会 一問一答質問 (後期高齢者医療制度について、福祉医療費助成制度について、租税の徴収問題について、林地開発許可について、馬潟工業団地ダイオキシン問題について)

2007-12-04 この記事を印刷
○議長(福田正明) これより本日の会議を開きます。日程第1、「県政一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑」を行います。これより一問一答質問を行います。質問の通告がありますので、議長が指名して順次発言を許します。なお、質問は発言席において、答弁は自席において行うことといたします。また、発言時間は15分以内となっておりますので遵守願います。尾村議員。


○尾村利成議員 おはようございます。日本共産党の尾村利成でございます。

 まず初めに、後期高齢者医療制度について伺います。

 この制度は、高齢者にひどい、そして無慈悲な制度であると私は思います。来年の4月から75歳以上を対象に新たな医療制度、これが実施されようとしています。この後期高齢者医療制度は、1つに、これまで保険料の負担のなかった扶養家族を含めて、75歳以上のすべての高齢者から保険料を徴収します。そして2つに、月額1万5,000円以上の年金受給者は年金から保険料が天引きされます。介護保険と合わせると約1万円の介護保険料、そして後期高齢者医療保険料、これが天引きになります。そして3つ目に、保険料を滞納する、こういう人には保険証が取り上げられて、窓口で医療費の全額負担となります。4つ目には、75歳以上を対象にした別建ての診療報酬、これを設定して、高齢者に差別医療を強いるものです。今、実施を前にして、高齢者の皆さんを含め、日本医師会からもこの制度の見直しの声が上がっています。知事、来年4月からの、私は実施というものを中止するように国に働きかけていただきたいのですけども、御所見はどうでしょうか。


○議長(福田正明) 溝口知事。

○知事(溝口善兵衛) 御指摘の後期高齢者医療制度につきましては、日本全体が少子高齢化が急速な勢いで進んでおりまして、国全体の医療費が増大する中で、国民の皆保険制度を維持しなければいけない、さらに世代間における負担の公平をわかりやすいものにしなければならないという目的で、その一環として創設されたものと理解しております。そのための高齢者医療確保の法律も昨年の6月に成立し、来年4月の制度改正を目の前にしまして、広域連合あるいは市町村において、制度実施に向けてのいろんな作業が進められておるわけでございますが、今御指摘がありましたように、国内におきまして、いろんな方から制度の問題点についての御指摘もありました。

 そういうことを踏まえまして、最近の動きといたしましては、政府、それからこの法案を推進してまいりました与党でございます、そちらの方でも制度の見直しの検討がなされたわけでございます。10月30日に、最も問題となっておりました保険料の負担の凍結を一定期間行うといったような制度の運用面での議論も方向づけがなされております。具体的には、来年4月実施されましても、半年間は保険料負担はしない、あるいは9月以降当初の予定をされてた保険料の9割は負担をしなくて1割というような修正もするということでございます。

 いずれにしましても、国全体の医療制度の中でこういう制度ができてそれに進もうとしているわけでございますが、その過程で出た問題に対しては、政府におきましても対応も進んできておるものでございまして、御指摘のようにこの同制度の休止を求める状況にはなかなかないと思っております。この制度をいいものにするよう引き続き努力をしていく必要があるというふうに考えておるところであります。


○議長(福田正明) 尾村議員。

○尾村利成議員 今、知事答弁されましたように、政府もこの制度の負担増の一部を凍結すると言っている。これはこの制度の問題ということを政府みずからが認めてると、私はこのように思います。この制度は、元厚労相の幹部やメディアからも、うば捨て山だと、こういうふうに呼ばれています。医療費がかかるといって高齢者を邪魔者扱いして、高齢者の暮らしや健康を破壊していく、私は最悪の制度だと思います。

 この制度が来年の4月から実施されると、大変な問題が起こるんです。それは、老人医療においては、資格証明書の発行というのは適用の除外となっているんですけれども、この後期高齢者医療制度では資格証明書を発行するとなっています。すなわち、高齢者から事実上の保険証の取り上げを意味する資格証明書、この発行は私は絶対にやってはならないと思います。県として広域連合に発行するなとの助言を私はすべきだと考えますが、どうでしょうか。


○議長(福田正明) 法正健康福祉部長。

○健康福祉部長(法正良一) 資格証明書の交付は、先ほどお話がありましたような場合に発行すると。要するに、滞納が発生をして1年を経過した滞納者の方に対して、保険証をお返しいただいて、そして資格証明書を交付する、こういった仕組みになってございます。

 新たに施行されます高齢者の医療の確保に関する法律、これにつきましては、国保等同様にこの資格証明書の交付をするということが法律上規定されております。したがって、それについて法律上求められている仕組みでございますので、広域連合についてどうこうというふうにはいかがかと思いますけども、いずれにいたしましても、まだ制度が来年の4月から動くという前提でございます。そういった新しい制度が動き始めた後に、広域連合におきまして適切に対応されるべき課題というふうに考えております。


○議長(福田正明) 尾村議員。

○尾村利成議員 私はちょっと非常に冷たい答弁だなと言わざるを得ません。私は、11月20日に厚生労働省に対して、この資格証明書の問題で交渉に行ってまいりました。厚労省の答弁というのは、これは機械的に発行してはならない、このように言ってるんです。しかしながら、今、国民健康保険の状況を見てみますと、資格証明書が機械的に発行されている。特別の事情の有無を確認することなく発行されている。また、県内においても4つの自治体で資格証明書発行に当たって弁明の機会が付与されていない、こういう問題があるわけです。私はこういう点があるから、広域連合に対して、県としてしっかり指導すべきだ、このことを強く求めておきたいと思うんです。

 広域連合に対して、私は県として、保険料の軽減または保健事業、健診ですね、これらについて財政支援を行うべきだと、このように求めるものなんです。それは、さきの広域連合議会で、1人当たりの平均保険料というのが5万4,000円近いと、こういうことになってます。とても払えないと思うんです。後期高齢者医療保険料は取られる、介護保険料も払わなきゃならない、大変な負担なんです。そういう点で、少しでも負担を軽くするべき積極的措置を県に求めたいと思いますが、どうでしょうか。


○議長(福田正明) 法正健康福祉部長。

○健康福祉部長(法正良一) 保険料に関連しての御質問でありますけれども、後期高齢者医療制度の仕組みの中で、保険料の軽減と、これについては、例えば低所得者の方に対する保険料の軽減が当然行われるということが想定されるわけですけれども、そういった場合には、1つには保険基盤の安定制度で、県とか市町村が財源を出し合ってそういった仕組みを用意をすると。また、震災とか風水害とかによって生活が困難になったと、こういった一定の場合に認められます一部負担金の減免でありますとか、あるいは災害を受けたとか、盗難にかかったことから保険料の減免と、こういった制度も想定されているわけでございます。そういった仕組みにつきましては、広域連合において要綱とか条例でその運用については決めるということになっていると思っております。

 ただ、先ほど申しました保険料の減免等にかかわるものにつきましても、当然まず一時的には広域連合の中でそういったことに伴う対応、対策をどうしていくのかということは考えられるべき課題だろうというふうには考えますけども、ただそういったことも含めて、広域連合の財政運営にいろんな支障が生じてくるといったような場合に対応して、その対策として財政安定化基金、こういったものを県に設置するということになってございます。したがって、これについても、国あるいは県がそれぞれ拠出していくという仕掛けになっておりますので、まずはこういった制度の中で対応を考えていくということになるのかなというふうに思っております。


○議長(福田正明) 尾村議員。

○尾村利成議員 高齢者の医療の確保に関する法律、この第103条を読んでみますと、「都道府県は、後期高齢者医療に要する費用に対し、補助金を交付することができる。」このように規定されています。私は、今の国保とか介護保険を見たとき、この後期高齢者医療制度が始まったら大変なことが起こると思うんです。例えば、国保で言えば、島根県内で加入世帯15万世帯、しかしながら保険料、保険税滞納世帯は1万2,000世帯、その制裁措置として、保険料がおくれてるということで1,600世帯が資格証明書発行になってるんです。介護保険はどうか。平成12年の介護保険料の滞納者数、これは1,332人が、平成17年度においては3,288人にふえてるんです。私は、こういう事態を見たときに、県としての積極的な財政策を講じることを強く求めておきたいと思います。

 次に、福祉医療費助成制度について伺います。

 まず、部長に伺います。

 地方税制の改正に伴いまして、高齢者の非課税措置が廃止をされました。高齢者のいる世帯の一部で住民税非課税世帯でなくなる世帯が生じるために、平成17年10月以降の所得区分の判定は来年の9月末まで据え置くという処置を、今島根県がとっています。私は、この経過措置の継続を強く求めるものです。この点、経過措置の継続について1点お聞かせください。

 そして、あわせてこの間、障害者の願いや声を部としていかに掌握をし、障害者施策に生かす努力をしているのか、またしていこうとしているのか。この所見を伺います。


○議長(福田正明) 法正健康福祉部長。

○健康福祉部長(法正良一) 先ほどの御質問の点は、平成17年度の税制改正によりまして、市町村民税の老年者非課税規定が廃止されたことに伴うものでございます。その結果、所得がふえていないのに課税世帯となると。こういったことから、一方で福祉医療制度の所得区分が低所得から一般と、所得に応じて負担限度額を設定しておりますけれども、低所得から一般に移行することに伴って負担増となる方が出てくるということで、背景はそういうことでございます。

 この取り扱いにつきましては、平成17年10月に、福祉医療制度の大きな制度見直しを行ってから間もないということから、税制改正によって負担増がふえないように配慮することが必要であるというふうに考えまして、昨年10月の医療証の更新に当たりましては、17年度に低所得と認定された方については、20年の9月末までの2年間、激変緩和措置としまして、低所得のまま据え置くということとしたところでございます。この経過措置の趣旨からいたしますと、2年を超えて継続するのは難しいというふうに考えております。

 もう一点の障害者施策についての、意見をどういうふうに聞いているのかという点でございますけども、私自身も障害者の方々の意見交換会でありますとか、あるいはまた私どもの部門独自で行っております県下7圏域での公聴会を通じて、直接多くの意見を伺ってまいりました。そういった中で、昨年からスタートいたしました自立支援制度へのいろんな不満、あるいは御意見、また医療費の負担だけでなくて、県内の医療機能や医療機関の偏在、こういったことによって受診に係るさまざまな経費の負担増が大変だといった、さまざまな御意見を伺ってきております。

 いずれにいたしましても、障害者の方々を取り巻く状況は大きく変わってきていると、こういうふうに認識しております。そういった中で、地域で自立した生活が営んでいけるようにしていくためには、今までお聞きしてきました関係者の皆様の声を踏まえながら、県として今後具体的にどういうことができるのか、何を考えていくべきか、あるいはこういうことはできるかできないかということも含めて検討をしていきたいと思っているところでございます。


○議長(福田正明) 尾村議員。

○尾村利成議員 経過措置が難しい理由というのが述べられませんでした。その理由はなぜですか。給与カットの特例減額は県職員反対してる、なのに4年間は最低やる。場合によってはそれ以上も続ける。障害者がこれだけ望んでいる軽減措置である経過措置はいとも簡単に難しいという理由は何ですか。


○議長(福田正明) 法正健康福祉部長。

○健康福祉部長(法正良一) もともとそういった税制改正に伴いまして、こういった経過的な措置を置くか置かないか、この議論もあったわけですけども、もともと17年10月のそういった福祉医療制度の制度改正が行われた直後であるということの中で、2年間という期間の中で毎年毎年資格証の認定を行うわけですが、その期間の中でそういった経過的な措置をとりたいという、制度設計をした際の考え方から申し上げているところでございます。


○議長(福田正明) 尾村議員。

○尾村利成議員 私は大変冷たい答弁だと思います。この1割負担というのは、障害者の理解と納得全くなしに強行された経緯があります。私はこの撤回というのは、県政への信頼を取り戻す第一歩だと思います。私は知事に、この間何度も言いましたけど、撤回を求めたいんです。この御所見をお願いしたいです。

 それから、平成17年2月県議会で、県議会としての附帯決議があります。障害者福祉施策の充実に努めるとの附帯決議です。この附帯決議に基づいて、3カ年の特別支援事業がこの19年度までやられます。来年度以降は切れます。私はこういう点で、積極的な施策、引き続き講じていただきたい。1割は撤回していただきたい。このことを求めますけども、知事の御所見をお聞かせください。


○議長(福田正明) 溝口知事。

○知事(溝口善兵衛) この福祉医療助成制度は、従来県の事業として行ってまいりまして、この制度を改正する前は一律500円の負担であったわけでございますけども、県の財政の問題が出てくる一方、この県の助成額が非常に近年ふえてまいりまして、そのためにこの制度を安定的に維持するために、17年度の当初予算におきまして制度改正の提案がなされたわけでございます。そのとき御指摘のように、議会におきましていろんな議論がございまして、その結果附帯決議という形で県がすべきことについて御指摘があったわけでございます。それを踏まえ、17年10月から特別対策といたしまして、今のこの新しい制度は維持するけども、それでいろんな問題が出てくるために特別な事業を行うということをやったわけでございます。例えば、障害者の方々が就労できるように、松江、出雲、浜田にありましたセンターのほかに4圏域についてもセンターを設けて、そういう就労を進めるとか、あるいは重度障害者の介護が大変なわけでございますが、そのためのデイサービスの施設を強化するとかいろんな支援事業をやってまいりまして、17年度から19年度までの3カ年、大体総額で、県費で9億円ぐらいの事業をやっておるわけでございます。それにつきましては一定の成果を上げておるものと思います。

 この19年度の特別事業を今後どうするかということがあるわけでございまして、私も知事になりまして、障害者団体の皆様との意見交換会なども何度かやりましたり、介護施設、養護の施設等も見てまいりました。そうした中でお聞きした皆さんからの御意見の一つは、昨年度から国において自立支援制度というのが行われているわけですが、利用者負担の問題がある。あるいは、障害者程度区分認定の問題がある。あるいは、障害者一般の就労への支援をもう少し強化すべきであるといったような御意見がございまして、そういう声に対しまして、国の制度にかかわる問題、今の自立支援制度などについては、国として対応すべきだということを申し入れてまいりまして、今この制度の見直しが行われようとしております。

 それから、県自身として取り組む施策につきましては、附帯決議に沿って行っております特別支援をどうするかということでございまして、私は予算編成におきまして、苦しい財政の状況はあるけれども、社会的に弱い立場にある人々には適切な配慮をすべきだということを繰り返し申しているわけでございますが、来年度の予算編成に当たりましても、そういう観点から特別事業の継続につきまして検討していきたいと考えてるところであります。


○議長(福田正明) 尾村議員。

○尾村利成議員 るる御答弁いただきましたが、障害者の願い、これは1割負担の撤回なんです。この点をまたよく考えていただきたいということを申し上げて、次の租税の徴収問題について移ります。

 中国のことわざで、トラよりも恐ろしいは税役人という、こういうことわざがあります。言うまでもなく、納税というのは国民の義務でございます。しかし、私は今日の風潮を見てみますと、悪質滞納者と払いたくても払えない滞納者、これをごっちゃにした強権的な徴収がまかり通っているように思えてならないんです。これは、雲南市が出した重要という文書の捜索執行通知、税金の滞納者に送ってきた文書です。これを見てみますと、これ以上税金の猶予はできないから、全額納付されるよう通告すると。納付がない場合は、居宅、事務所等の捜索を執行し、現金、有価証券、動産、自動車等の差し押さえを行う。なお、不在であっても警察官等の立ち会いのもと、強制的に開錠の上執行する。こういう文書が届けられてるわけであります。

 私はこのように、悪質な滞納者はここをかばうつもりはありませんけども、払いたくても払えないという人がたくさん今出てるんです。こういう滞納者を一律といいますか、犯罪者扱いして、そして強権的な徴収によって、私のもとにもびっくりされて、税金を払うためにサラ金とかヤミ金から金借りて税金を払ったりとか、または精神的に追い詰められているという、こういう方がたくさんあるわけです。年金なんかも全額差し押さえられたり、預金通帳を出そうと思って銀行に行ったら、もう預金が拘束されていて出せない。あしたからの御飯が食べられない。こういう例がたくさん今県内に出てるわけです。私は、こういうことはすべきではないと思います。生活権、生存権、財産権は保障しなければなりません。こういう点について、知事の御所見をまず伺いたいと思います。


○議長(福田正明) 溝口知事。

○知事(溝口善兵衛) 税につきましては、納税者の公平な負担という大きな原則がございます。そういう意味におきまして、滞納が起こるということは一般論としては好ましいことではありませんで、税務当局がそれに対して対応していくという必要があるわけでございます。他方で、そういう中にも、悪質ということではなくて、いろんな理由から生活が困られる方もあると思います。そうした方々に対しましては、住民税、例えば高額な医療費の負担とか、あるいは事業がうまくいかないとか、いろんな事情で納税ができない経済状況になりますと、今の制度のもとでは徴収の猶予という制度なんかもあるわけでございます。そういう制度も活用しなければならないわけでございます。制度としてはそういうことがあるわけでございまして、一律に事情を無視して徴収するということは、地方においても国においても私はないものだと思います。

 それから、確かに今の捜索の執行通知のあれを見ますと、ちょっとびっくりするような表現もありますけども、ただこれは、雲南市に聞いてみますといきなり出てるわけではございませんで、何度も滞納されてる方に督促をされると、接触を試みられる。私どもが雲南市から聞きましたところでは、最低5回は納税についての督促なども行われて、その上でこういう通知を出しているということでございます。それから、出しましても、この通知600件ぐらい出されたそうでありますが、全部こういう執行をしてるわけじゃありませんで、実際に執行してるのは10件程度だと聞いております。多くの例では、やはり滞納額が100万円とか非常に大きいわけでございます。それから、市町村の場合は固定資産税の滞納が結構あるようでございまして、固定資産税の滞納があるということは、その裏に資産があるという想定もあるんだろうと思いますが、そういう意味で、機械的に実施をしてるんではないというお答えが、我々の照会に対して雲南市からもあったわけでありますが、御指摘のような問題もありますから、いろんな個々の事情にも十分配慮して、納税者の方に信頼されるような行政をやっていく必要があると考えているところであります。


○議長(福田正明) 尾村議員。

○尾村利成議員 私は、税務課に21市町村の住民税差し押さえ件数を調査してもらいました。調査結果を見てびっくりしました。差し押さえ件数、平成16年は449件だった。それが平成17年は694件になってる。平成18年には何と1,066件が住民税の差し押さえです。なぜこうなってるのかというと、これは私は滞納者にばかり責任があるとは言えないと思うんです。それは、例えばこの間の税制改正です。2004年分の所得からは配偶者特別控除が廃止になってる。2005年分所得からは老年者控除の廃止、公的年金控除の縮小、高齢者非課税措置の廃止、2006年度分からは定率減税の半減、そして2007年分の所得からは定率減税の全廃です。そして、税源移譲に伴う住民税率の一律10%化、こういう重税があるわけです。私はこういう点で、生活困窮者に対して、やはり今知事が言われたけども、地方税法に基づいて、その徴収の猶予だとか、または換価の猶予だとか、滞納処分の停止など、納税緩和措置を積極的に周知する必要がある、このように思いますけども、総務部長の御見解をお聞かせください。


○議長(福田正明) 加松総務部長。

○総務部長(加松正利) 納税者が災害を受けまして病気にかかり、または事業を廃止した場合などで、一時に納税することが困難になったり、財産がなくなった場合には、納付期限を延長し、徴収を猶予し、差し押さえ財産の換価を猶予し、あるいは滞納処分を停止することができると地方税法では定められてるところでございます。このため、徴収猶予など納税者からの申請を要件とするものについては、県のホームページなどでも周知を図っているところでございますし、また窓口での納税相談の際には、状況に応じまして納税の猶予などの納税緩和措置があることを申し上げております。今後とも、このようにして適切な対応を図っていきたいというように考えております。


○議長(福田正明) 尾村議員。

○尾村利成議員 私は納税者の実情を十分に課税庁は把握するということ、それから税金を支払う意思がある納税者への制裁措置は、これはやめるということを強く求めて、次の質問に移りたいと思います。

 林地開発許可の問題であります。

 島根県は、平成17年に、松江市鹿島町御津の中山谷に残土処理場の設置を許可いたしました。しかし、この許可は開発協議に当たっての漁協、漁業者への事業内容説明、漁業被害対策協議等がなされておりません。林地開発許可の申請書に、御津漁協の同意書というものが添付されておったわけでございますけども、この同意書の存在を組合長自身が知らなかった。すなわち、組合の理事会での議論もないような不透明な同意書であります。私は、この点に当たって、許可に当たってのチェックに不備がある、そして瑕疵がある、このように考えますけども、農水部長の御見解をただします。


○議長(福田正明) 小林農林水産部長。

○農林水産部長(小林淳一) この事案を具体的にお答えする前に、開発協議の制度の仕組みを確認の意味で一度御説明いたします。

 開発事業者は、島根県の土地利用対策要綱に基づきまして、開発行為に係る面積が1ヘクタール以上の場合に県に開発協議を行うということになっております。この開発協議を受けました県は、開発事業を実施するに当たって必要となる法令に基づく手続またその他指導事項等を開発事業者に文書により通知すると、こういうことになっております。また、この指導事項が実行されたかどうか、履行確認につきましては、開発事業者から県に提出されます着工届という届け出書類によりまして確認するということになっております。

 御指摘の本件でございますが、開発協議につきましては平成16年8月5日に開発事業者から協議がありました。今申し上げた指導事項でございますが、1つは森林法に基づく林地開発許可を受けること、ほかにもありますが、そうした関係個別法令に基づく手続をしなさいと。また、御指摘のとおりでございますが、関係漁業協同組合に事業内容及び漁業被害防止対策について開発事業者が説明すると、こうした条件を付して、指導事項と言いますが、平成16年10月8日に県として了承したと、こういう経過でございます。

 今の御指摘の指導事項のうちの水産業に及ぼす影響についてのこの履行の確認でございますが、平成17年1月31日付で開発事業者の方から県に提出されたその着工届には、御津漁業協同組合とは事業内容及び漁業被害防止対策について説明し、協議済みであると、こういうような内容が記されております。ただ問題があるとすれば、今後確認の上、県として必要な指導を行いたいと思っております。


○議長(福田正明) 尾村議員。

○尾村利成議員 答弁になってません。私が言ったのは全然違いますよ。漁協で議論してませんよと、同意書は全然漁協議論してませんよと私言ってるんです。だから、この許可に不備がある、瑕疵があると言ってるんです。どうですか。だめですよ、そういう答弁しちゃあ。


○議長(福田正明) 小林農林水産部長。

○農林水産部長(小林淳一) 申し上げましたように、文書の方ではそういうことになっておりますが、片一方で、問題があれば確認の上、県として必要な指導を行うこととしております。

 もう一つは、林地開発許可の方の関係でございますが、これにつきましては、平成16年11月29日に開発事業者から申請書が提出されまして、その内容については、森林法初め、島根県の林地開発の審査基準等で審査を行った結果、許可基準等に抵触しないということで許可したわけでございます。ただこの件につきましては、5ヘクタール未満の林地開発許可に関する事務につきましては、平成18年4月1日に権限移譲ということで松江市の方へ移譲しております。あわせて、その際には権限移譲前に知事が行った許可についても松江市長が行った許可とみなすということにされております。したがって、本件につきましては、地元の松江市の方に対して地元の方からいろんな御要望もございました。松江市の方は、林地開発行為が事業計画どおりに実施されるよう開発事業者等に対して開発工事の進め方と指導を市が行っております。その際、県も一緒に助言等も行ってきてるとこでございます。したがって、議員御指摘の点につきましては、松江市にお伝えした上で、引き続き松江市の方にも助言等はしていきたいと、こう思っております。


○議長(福田正明) 尾村議員。

○尾村利成議員 だめですよ。これは許可に瑕疵があるんですよ、不備があるんですよ。当初、県が許可してるんです。これ取り消さないといけないんです。確かに権限移譲されてます。今松江市に権限がある。だけど、当初許可した県として、再調査すべきです。再精査すべきで、そこの決意をきちっと言いなさい、あなたは。だめですよ、そんな答弁したら。すりかえ答弁ばっかりじゃないですか。きちっと答えなさい。


○議長(福田正明) 小林農林水産部長。

○農林水産部長(小林淳一) 御指摘のとおり、松江市の方へ林地開発許可については権限移譲しております。が、ただ当時の権限の実態は県であったことは間違いございません。その問題と、今の漁協の漁業被害の問題、両方につきまして......。

○尾村利成議員 同意書ですよ、私言ってるのは。

○農林水産部長(小林淳一) ということもありますので、県としても松江市と一緒になって、地元の方との調整等は行っていきたいということでございます。


○議長(福田正明) 尾村議員。

○尾村利成議員 きちっとやってください。場合によっては2月議会もう一回やらせてもらいます。

 時間の都合で、最後に馬潟工業団地のダイオキシン問題伺います。

 平成12年に、馬潟工業団地を流れる樋ノ口川の底泥から、環境基準値を超える全国一のダイオキシンが検出されました。平成17年度から工事が実施されて、本年7月に工事が完了しています。しかしまた、ダイオキシンが出たじゃないですか。水質1カ所、底質1カ所。再調査したら、今度は底質3カ所でまたもや環境基準値を超えるダイオキシンが出たじゃないですか。住民の怒りと不安はもう頂点に達しています。原因究明並びに再発防止対策についての、私は確固たる決意、これを環境生活部長に伺いたいと思います。


○議長(福田正明) 山根環境生活部長。

○環境生活部長(山根成二) 御指摘の調査結果が判明いたしましてから、直ちに周辺の住民の方々あるいは事業者の方々へ説明を行いますとともに、地元松江市と情報を共有いたしまして、今後の課題について早速協議を行っているところでございます。

 また、原因究明の第一歩といたしまして、現状の再確認、そして団地内事業所から施設の管理状況、あるいは廃棄物の保管の状況、あるいは排水や土壌の流出対策について聞き取りを行ったところでございます。

 そして、馬潟工業団地周辺水路ダイオキシン対策委員会、これは水路の浄化対策、環境監視、事業者指導のために設置してるもんでございますが、この対策委員会をできるだけ早い時期に開催いたしまして、汚染原因の究明あるいは再発防止対策の検討を進めまして、県民の皆様の御不安をできるだけ払拭あるいは軽減するよう努めてまいりたいというふうに思っております。


○議長(福田正明) 尾村議員。

○尾村利成議員 この馬潟のダイオキシン問題というのは10年前からの話なんです。平成8年ごろからこの事業所の煙、それから黄色い水が出る、赤い水が出る、それから悪臭等がある、こういう公害の苦情が寄せられているわけです。10年です、10年。私は原因はしっかり、現場にあると思うんです。現場主義を貫かないといけない。対策委員会での協議も大事でしょう。しかし、机上の議論だけではだめです。まず、関係住民に対して、周辺住民に対して声をしっかり県として聞くべきじゃないですか。それから、産廃業者に対して、指導なり調査を強化すべきじゃないですか。その点の部長の御決意どうですか。


○議長(福田正明) 山根環境生活部長。

○環境生活部長(山根成二) 繰り返しになりますが、私、おっしゃいますように、地域の住民の方々の御意見、そして松江市の御意見、そういったものを十分に聞きまして、そして原因究明につきましては科学的にしっかりと究明して対策をとっていきたい、こういうことでございますので、よろしくお願いいたします。


○議長(福田正明) 尾村議員。

○尾村利成議員 私最後に知事にお尋ねしたいんです。やっぱり産廃業者への指導とか、それから常に常時監視するのに人手が足らないと、県の人手が足らないという声を私聞くんです。今県は財政健全化基本方針で職員500人削減上乗せして、1,500人の職員を削減するという方向です。目標というか、数字ありきの職員の定員削減計画なんです。私はこういうことでは、県民の命とか、または安全とか健康という点、ここは守れないと思うんです。自治体の本来の責務が果たせないと思うんです。この点で知事の御所見いかがでしょうか。


○議長(福田正明) 溝口知事。

○知事(溝口善兵衛) 財政健全化に努めておりますけども、それから先般、これから中長期的にどういうことをしなければならないかと、大きな枠組みを、私どもから提案をいたしまして皆さんの御理解をいただいたわけでございます。それはあくまでも大きな枠組みでございまして、その中身はやはり個別の事業、事務の必要性、緊急度、優先順位をよく子細に見た上で決めていかなきゃならないわけでございます。その中で、定員も同じでございます。その作業を今始めているわけでございます。そういう中で、真に必要なものには必要な配慮をしていく必要がありますし、財政が厳しくなりまして、少し節約をするとか、あるいは効率化によって削減をするということもありますから、そのためにはよく現場を見、各地の皆さんの意見もよく聞きながら対応してまいりたいと考えております。機械的にやるわけではありません。


○尾村利成議員 終わります。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画