2007 年 11 月定例会 条例案、請願に対する討論
2007-12-14 この記事を印刷
日本共産党の尾村利成でございます。
条例案1件、請願1件について委員長報告に反対する討論を行います。
以下その主な理由を申し述べます。
職員の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
まず、第141号議案「職員の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例」についてであります。
本条例は、県財政健全化の取り組みとして、一般職の給与特例減額を、4年間延長するものであります。
県職員は、県財政再建をともにすすめるパートナーであり、その専門性を県民福祉向上に役立てる責務を持つ自治体労働者です。職員の働く意欲を促し、安心して職務にうちこむことのできる条件を整備することは県の責任です。
私は、以下5点の理由により、条例改正案には反対であります。
第一に、相次ぐ職員定員削減計画の上に先の見えない職員給与引き下げ継続という総人件抑制策は、職員の士気の低下や組織の活性化、行政能力の低下につながりかねません。このことは、ひいては、県民サービス低下につながる恐れがございます。
第二に、県職員給与は、公務員労働者の生活だけでなく、年金、恩給、最低賃金、生活保護費の基礎となり、その相次ぐ引き下げ継続、実質賃金切り下げは、広く県民生活に悪影響を与えるものであります。
第三に、県内約14,500人もの県職員給与の引き下げは、県内の消費購買力低下に多大な影響を及ぼしてきました。今回の4年間の給与カット延長は、県内消費への更なる冷や水をかけることに連動するではありませんか。
第四に、給与カット4年延長決定は、民間賃金動向に多大な影響を与え、賃下げの悪循環を招くことは明白であります。
第五に、今回の給与カット延長は、県民合意のない事業、需要予測を見誤った事業に全くメスを入れることなく提案されました。安易に県職員への痛みを強いる財政健全化策は、知事をはじめ、県政への失望を広げるものであります。このことは財政再建をともにすすめる県職員の力をそぐことになることを危惧するものであります。
請願第14号「子供の権利条約」の趣旨に沿い、私学助成制度の堅持と私学助成費の増額などを求める請願
次に、請願第14号「子供の権利条約」の趣旨に沿い、私学助成制度の堅持と私学助成費 の増額などで求める請願についてであります。
子供の権利条約は、1989年11月20日に、第44回国連総会で採択され、わが国では1994年4月22日に批准されました。本条約第28条では、すべての子供が、中等教育を受けられるよう、教育費を無償にし、必要な場合には、国などが財政的援助の提供のような適当な措置をとることを規定しています。
本請願は、授業料直接補助の実施、私立学校運営補助金の増額、私学助成費の配分基準を就学保障の観点から見直すことを求めているものであります。
長引く不況と深刻な雇用不安、貧困と格差の拡大のもとで、経済的理由により学業を途中で断念せざるを得ない私立高校生が増えています。松江市内のある私立高校1年の学級では、今年入学時37人のクラスであったのが今現在32人になっているとのことであります。5人の退学者のうち4人が、授業料を払えず泣く泣く退学したということであります。愛知県では生徒1人あたり11万4810円、埼玉県では、生徒1人あたり7万3113円の生徒への授業料直接補助を実施しています。
今日、私立高校への公費助成金は、公立の3分の1でしかなく、私立高校の父母負担は公立の3倍強となっている現状であります。
また、ある私立高校は、推薦入試を実施し、学習障害を持っている子供に対し、自分の得意分野をアピールしてもらっているそうであります。ある子供は、面接時に自分自身が、折り紙が得意であることを生き生きと発表し、今日時点で元気よく健やかに学校生活を楽しんでいるとのことであります。
このように1人1人の子供の成長を願い、地道な教育実践を続ける私学の存在は、県内の公教育の発展に不可欠な存在であります。
よって1,150人の署名の願意のもと提出された本請願は不採択ではなく採択すべきことを強く求めるものであります。
以上で討論を終わります。