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議会の取り組み

議会の取り組み詳細

2008 年 2 月定例会 一般質問 (知事の政治姿勢について、後期高齢者医療制度について、肝炎対策事業について、医師確保対策について、雇用・定住対策について、農業問題について、教育問題について、林地開発許可について)

2008-02-28 この記事を印刷
 日本共産党の尾村利成でございます。

1.知事の政治姿勢について

(1)非核・平和自治体宣言について

 まず、知事の政治姿勢について伺います。自治体の最大の任務は、住民の命と安全を守ることであります。

 この間、米軍の少女暴行、イージス艦の民間漁船への衝突など日本の平和と安全が脅かされています。
 
 国会では、自衛隊をどこにでも海外派兵できるようにするとともに、武力行使に道を開き、自衛隊を海外での戦争にいつでも参戦させる憲法違反の自衛隊海外派兵恒久法の制定が本格化しようとしています。
 
 日米両国政府は、日米安保条約の枠組みさえこえた地球規模の日米同盟への大変質をすすめ、米軍再編の名で米軍基地の強化、米軍と自衛隊の一体化を推進しようとしています。米軍再編の狙いは、アメリカが行う地球規模の先制攻撃戦略に日本を組み込むところにあります。
 
 政府は、厚木基地の空母艦載機部隊を岩国基地に移転するという、在日米軍再編計画を閣議決定しています。艦載機部隊の岩国移転を許せば、岩国基地の米軍所属機は現在の倍にあたる120機となり、アジア最大の米航空基地に変貌します。

 爆音被害は、さらに深刻化し、事故、犯罪の危険の増大など住民生活に重大な影響が及び、島根県の西部地域を中心に急増している超低空飛行訓練による爆音、衝撃波はさらに増加し、住民を苦しめることとなります。

 そこで、知事に2点伺います。

 第一に、日米合意では、空母艦載機部隊の岩国移転を機に、半径180キロ圏内に訓練施設を新たに選定するとしています。そして、この施設の選定時期は、来年7月が目途とされ、この施設に航空自衛隊美保基地や隠岐空港が対象となる危険があります。県として、爆音基地は拒否すること、米軍の低空飛行訓練は許さないとの明確な意思表示を緊急にすべきだと考えますが所見を伺います。

 第二に、中国、四国、九州の17県で非核宣言をしていないのは島根県だけです。非核・平和島根県宣言をおこなうことを求めます。是非とも非核宣言を行い、韓国をはじめとするアジアに、そして全世界に平和を希求する島根のメッセージを発信していただきたいのであります。また、宣言を実効あるものにするために、平和にかかわる情報収集と公開、非核証明のない艦船の入港を認めない非核神戸方式の採用など非核平和事業を条例化すべきと考えるものであります。所見を伺います。

(2)道路特定財源について

 次に、道路特定財源についてであります。

 私は、山陰道の一刻も早い全線開通はもとより、地方の必要な道路整備を願うものであります。

 道路特定財源は、今から54年前の1953年に議員立法でつくられました。当時、国道、県道の舗装率が5%というもとで道路建設、整備だけに使う財源確保の名目で導入されました。1974年以降のこの30数年間は、本来の税率を上乗せした暫定税率が適用されてきました。
 
 年間、5兆円を超す巨額な税金が、道路建設にのみ投入される仕組みによって、この間、確かに日本全体の道路整備はすすみました。
 
 しかし、その整備は、財界が強く望む大都市間をつなぐ幹線高速道や3ルートも同時建設したため大幅な採算割れとなった本州四国連絡橋、当初の想定交通量を大幅に下回る大赤字路線になっているアクアライン(東京湾横断道路)などの大規模プロジェクト事業が優先されました。そのため、採算性の低い地方の山陰道などは、主要高速道として後回しにされてきました。さらに国道や県道の整備も後回しとされ、島根県の国県道改良率は大きく立ち遅れています。

 今後の道路中期計画の事業量をみてみると通学路の歩道整備は、わず4.3%、防災、防雪対策は2.5%、バリアフリー化は2.3%という状況です。計画の4割を占めるのが国際競争力の確保を口実とした、基幹ネットワーク整備であり、拠点的な空港・港湾から高速インターチェンジに10分以内でアクセスするとの計画もあります。例えば、水島港や下関港はすでに12分でアクセスできます。わずか、2分の時間短縮が国際競争力につながるのでしょうか。また、地域高規格道路では東京湾に2本目の高速道をつくる東京湾口道路も含まれているなど相変わらずの大都市部への巨額な投資です。

 山陰道をはじめ島根の道路整備が遅れた要因、そして今後とも後回しにされる要因は大都市偏重の道路特定財源方式にあることは明白です。道路公団が民営化された今、いっそう地方が取り残されてしまう危険があります。
 
 今、必要なことは、無駄な道路計画を中止し、暫定税率は廃止し、一般財源化して本当に必要な山陰道などの道路は、国の責任で優先的に建設するよう主張することです。
 
 この立場から知事に伺います。
 
 第一に、山陰道をはじめ、島根の道路整備が遅れた要因は何であると考えていますか。
 
 第二に、総額先にありきの道路計画は中止し、真に必要な地方の道路は、国の責任で優先的に整備、建設すべきと考えますが所見を伺います。

2.後期高齢者医療制度について

 次に、4月から実施されようとしている後期高齢者医療制度について伺います。

 1月17日付の朝日新聞に75歳の男性から次のような投書がありました。「老いぼれは、さっさとくたばれと言わんばかりだ。これが美しい国だ、徳育だと宣う人たちのやることか。まさに人道に対する冒涜ではないか」、「制度は断固、永遠に棚上げすべきである」。

 後期高齢者医療制度は、75歳以上の人を一律に後期高齢者と決めつけ、74歳以下とは切り離して、全く独立した医療保険に加入させるものです。後期高齢者だけ別の医療保険制度に押し込め、死ぬまで保険料負担を強いる制度は、世界でも異常です。保険料は年金から天引き、保険料滞納者に対して保険証を取り上げ、保険の効く医療を制限するなど非人間的で高齢者の尊厳を無視したひどい制度です。

 政府・与党は、国民の批判を前に、保険料徴収の一部先送りを打ち出していますが、こんな取り繕いそのものが制度の破綻を示しているではありませんか。現在、この制度の中止、撤回、見直しを求める決議を上げた地方議会は全国1867議会の4分の1を超す512議会に達しています。後期高齢者医療制度の撤回は国民の声であります。

 開業医で構成する島根県保険医協会は、国保で資格証明書を発行された被保険者の受診は、通常の保険証を持つ患者さんと比べて40分の1に過ぎないとの試算を発表しました。保険証の取り上げによって受診抑制、病気の悪化、手遅れによる死亡など悲惨な事例が発生しています。

 私は、後期高齢者医療制度において、命綱である保険証の取り上げは絶対に行わないとのスタンスを県に求めます。広域連合、市町村に強力な助言をすべきことを求めます。所見を伺います。

3.肝炎対策事業について

 次に、薬害C型肝炎について伺います。

 この問題では、命をかけた薬害被害者のみなさんのたたかいにより、本年1月11日、「薬害肝炎被害救済のための特別措置法」が成立し、「全員一律救済」への一歩がひらかれました。
 
 この法にもとづいて、第一に、ウィルス感染者の早期発見、早期治療、第二に、給付金の対象者の手続きが円滑にすすめられるよう行政としての支援を求めます。

 4点伺います。

 第一に、C型肝炎・フィブリノゲン相談窓口・電話の設置、説明会、相談会の開催を求めます。新聞、テレビなどの媒体を活用した広報、キャンペーンを行うべきと考えますが所見を伺います。

 第二に、フィブリノゲン投与患者を特定し、その事実を個人に告知することなど医療機関に積極的な協力を求めるべきと考えますが、所見を伺います。

 第三に、県立中央病院において、その投与実態、投与された診療科名、告知状況はどういう状況であるのか伺います。また、担当部署をおいて、計画的にフィブリノゲン投与患者の追跡調査を行い、適宜その結果公表を求めますが、所見を伺います。

 第四に、インターフェロンの治療費について、旧三隅町では独自の助成事業を実施しています。県独自の上乗せ助成を求めますが所見を伺います。

4.医師確保対策について

 次に、医師確保対策について伺います。

 県内において、隠岐、雲南、津和野、邑智など離島・中山間地域の公的病院を中心に医師確保が困難となっております。
 
 石見銀山が世界遺産登録となった大田市の市立病院においても、看護師不足による一部病棟閉鎖、医師不足により周産期、救急医療体制が困難となりかねない非常事態に直面しています。

 今こそ、地方をあげて政府に対して、医師数抑制の閣議決定を撤回させ、医師数の抜本増を求めること、勤務医の労働条件改善、不足地域に医師を派遣する公的体制づくりの整備を求めることが必要です。
 
 また、県としては、市町村、医師会、医療機関、大学など県内の総力を結集しての医師確保の取り組みが求められます。そして、県、市町村、医療機関、医師会、大学などが情報、現状認識などを一致させ共有する必要があると考えます。

 県内の医師、医療機関の要望、意見などの実態調査を実施し(アンケート、面接、懇談)、医師のニーズを掌握すべきと考えます。

 県において、市町村、医師会、医療機関、県立病院、大学などで構成する地域医療支援会議が設置されていますが、この間の支援会議の事業総括をお示し下さい。
 支援会議の組織、運営を拡大、強化するなど各関係機関の連携をさらに強化すべきと考えます。所見を伺います。

5.雇用・定住対策について

(1)最低賃金について

 次に、雇用と定住対策について伺います。まずは賃金と雇用をめぐる問題です。

 島根県では、県の臨時職員、非常勤嘱託員の賃金を本年4月1日から集中改革期間の4年間にわたり4%減額する方針です。この4%減額により、嘱託員は月額マイナス3400円、臨時職員はマイナス4400円の賃下げとなります。月額10万円余りの低賃金で、公務・公共サービスを支えている人たちに対し、県財政健全化方針に沿って4%カットを強要するなど許されません。
 
 私は、この間、県内自治体の臨時職員の時間給等のアンケート調査を実施しました。現在までのところ県内21市町村中、14市町村から回答がありました。この中で明らかになったことは、県内市町村の一般事務の臨時職員の平均時給は、770円であることです。現在の県の臨時職員の時間給は750円。そして、島根県の最賃は621円。県内民間事業所の平均時間給は、一番低い建設業で831円、調査産業合計では923円であります。(毎月勤労統計調査、平成19年11月速報。30人以上の事業所)

 民間パートの賃金を自治体の非正規職員の賃金と比較してみると、一番低い建設業との比較でさえ、県内市町村で90%、県ではわずか87%という状況です。現在、県が支払っている臨時職員の時間給750円にフルタイムの8時間と、22日を乗じて得る金額は、月額13万2000円であります。ここから住民税、年金、医療などの社会保険料を差し引くと、松江市の生活保護基準水準になるではありませんか。そしてこの13万2000円を4%減額する、即ち、月額マイナス4400円し、12万7600円へと賃下げしようとしていることが次年度予算として提案されているのであります。本当にこんなことをしていいのでしょうか。組合もなく抵抗もない臨時の職員さんだからなのですか。許せません。

 これでは、県を筆頭に自治体が「ワーキングプアを創り出している」と非難されても仕方がないではありませんか。貧困と格差が社会問題となり広がる中で、最賃要求については、労働界が一致して1000円にすべきと大幅な引き上げを要求しています。

 私は、県が臨時職員等の賃金を減額することは、最賃や民間賃金の引き下げを誘発し、県がワーキングプアを拡大することにつながると考えますが所見を伺います。賃金カットの撤回を求めるものです。

 あわせて4月から施行される改定パート法の広報、周知、徹底を求めますが所見を伺います。

(3)派遣労働について
 次に、派遣労働について伺います。

 かつては、口入れや人貸しなどといわれ、劣悪な労働の代名詞として前面禁止されてきた派遣労働が、労働者派遣法の成立によって認可され拡大されてきたのは、安価な労働力を求める財界の要求に政府が応じたからであります。
 
 政府は、派遣は、「臨時的、一時的」業務に限り、正社員を派遣労働者に置き換える常用代替にしてはならないと言ってきました。しかし、財界、大企業は、大量の正社員を派遣や請負の労働者に代え、いまや、非正規の労働者は3人に1人、女性や青年では2人に1人という事態にまでいたっています。
 
 このことは、島根県内の派遣労働者状況をみても顕著になっています。平成12年度の島根県の派遣労働者数は、1460人でした。それが平成18年度において5600人を超えました。なんと平成12年度比3.9倍化であります。

 派遣など非正規労働は、労働者をモノ扱いし、労働者に劣悪な労働と非人間的な労働を強制するものです。同時に、それは貧困と格差を拡大し日本社会全体をゆがめ日本経済のまともな発展を妨げる大問題であります。若者をはじめ、多くの人たちが人間らしく働ける場を保障するために派遣法を抜本改正し、派遣や請負、パートなど非正規の労働者を減らして正規労働を拡大していくこと、働く者を守る派遣や労働者の保護法を制定することは緊急の課題であります。

 派遣労働での県内における問題点を2点ほど指摘しておきます。

 一点は、昨年6月議会でも指摘しました、島根富士通の問題です。ここは、総従事者約1000人のうち約560人が派遣労働者であります。働く総要員の2分の1以上が派遣社員であり、まさに派遣工場と化しています。県全体の派遣労働者の1割がここに集められているのであります。

 県は、平成元年以降今日まで、島根富士通に15億円もの企業立地助成金を支給しています。この助成金が派遣促進助成金とならないよう、今後、労働者の正規職員化がすすむよう県としてのイニシアチブ発揮を求めておきます。

 二点は、奥出雲町の問題です。奥出雲町が出資して立ち上げた㈱奥出雲振興は、労働者派遣事業をはじめました。人材支援センター事業として約150人の労働者を役場、幼稚園、小学校、保育所、病院などに送り込んでいます。これは自治体が派遣会社をつくり、その会社が役場などの公務現場に労働者を派遣する構図ではありませんか。
 
 私は、派遣労働は、貧困、格差を広げるとともに、県内定住に逆行すると考えます。県として不安定雇用の実態を調査し、積極的な正規雇用策を実施すべきと考えますが所見を伺います。

6.農業問題について

 次に、農業問題について伺います。

 日本の食糧自給率は、世界でも異常な39%にまで低下しました。米をはじめ農産物価格は暴落を続け、耕作放棄の拡大や高齢化による担い手減少が進む一方、政府がモデルとしている大規模農家でさえ経営が維持できない状況です。

 農水省がまとめた水田作経営の実態調査によると、2006年農業所得は全国平均で39万円で前年比9%減でした。生産者米価低落で稲作農家の時間給はわずか256円という状況であり、島根県の最低賃金の半分にも満たない低労賃であります。農家からは「米を作るほど赤字になる。これでは続けられない」と悲鳴が上がっています。公共事業削減対策として、建設業者にいくら農業参入を呼びかけてもほとんど参入業者がないのは当然のことです。

 今こそ農業、食料の危機を打開し、食の安全、安心を保障するために、米価を保障し、貿易自由化を見直し、小規模農家を守る政策に転換することが必要です。一部の担い手以外は農業支援の対象にしないという品目横断的経営安定対策、水田・畑作経営所得安定対策は中止し、持続可能な農業経営を実現するために価格保障、所得補償制度を抜本的に整備することが必要であります。
 
 昨年の決算でも指摘しましたが、島根県において県独自の農産物価格保障は、野菜価格安定事業しかなく、その補償額は18年度決算において約2000万円しかありません。即ち、農林水産費に占める県独自の農産物価格補償額は、わずか0.04%しかないのであります。県としての積極的な価格保障策を求めるものであります。

 以上の立場から2点伺います。

 第一に、再生産が可能な米価の下支え策、価格保障を柱にして条件不利地などへの直接払いによる所得・価格保障策を国に要求すべきと考えますが所見を伺います。

 第二に、生産者に対する特産米奨励や流通経費の一定の助成や、学校、病院、福祉施設などに島根産米利用や県産農産物利用に対する奨励助成をおこなうなど、農家の所得向上を図るとともに、新規就農者増加につながる営農開始時の経営(所得)安定を支援する制度を講じることを求めますが所見を伺います。

7.教育問題について

 次に、教育問題について伺います。
 
 一昨年より魅力と活力ある県立高校づくり検討委員会が設置され、今後の県立高校のあり方や再編成について検討されております。今月の13日には答申(案)が審議され、来月には答申となる運びであります。

 答申(案)の再編成に関する基本的な考え方では、「高校には、基本的に一定の生徒数や学校規模が必要である」としながらも「東西に長く、多くの中山間地域を有する本県の地理的特性や通学事情などを勘案し、高校教育の機会均等を図るとともに、高校が教育の場としてはもとより、地域コミュニティや文化的拠点としての役割も果たしていることから、地域における高校の存在意義などについても考慮する必要がある」としています。さらに「小規模化がすすむ中山間地域の高校については、教育環境と教育水準を確保する観点から、国に対して県立高校の教職員定数の見直しなどを働きかけていくことも必要である」としています。

 しかし、具体的な施策となる基本的事項では、「現行の1学級あたりの定員は、標準法に基づき40人を基本として適切に対応していく」、また「適正規模、望ましい規模は1学年4学級以上8学級以内」という基準を維持することが適当であり、統廃合基準も現行基準を維持する」と結論づけているのであります。この答申(案)に対して、現場や地域からも疑問の声があがっています。

 そこで教育長に伺います。

 第一に、県立高校において、島根の特殊性を考慮し、標準法が改正されなくても、35人学級や30人学級を県単で実施すべきと考えますが所見を伺います。

 第二に、若者定住、過疎化対策の面からも頑張っている離島・中山間地の高校を応援する施策を求めますが所見を伺います。1学級から3学級の本校もあってもいいと考えますが所見を伺います。

8.林地開発許可について

最後に、林地開発許可について伺います。

 鹿島町の林地開発許可において、漁業者や住民への事業内容説明が不十分であり、漁協理事会での議論もないなど、許可手続きにおいて不備がありました。この許可における県としての問題意識、問題解決にむけた取り組み状況を伺います。あわせて開発協議から着工にいたる指導事務の改善策について伺います。

 海のすぐそばに、残土処理場設置を許可したことに対し、漁民の怒りは広がっています。かなぎ漁業、根付き漁業をはじめ水産業振興に対する思いを伺います。


○議長(福田正明) 溝口知事。

○知事(溝口善兵衛) 尾村議員の御質問にお答え申し上げます。

 最初に、在日米軍再編に関する御質問がございました。

 この問題につきましては、現在までに、私は議員が御指摘になったような問題を具体的にお聞きしておるわけではありませんので、具体的、現実の問題として現時点でお答えすることは大変難しいわけでございますが、ただ低空飛行騒音などの問題につきましては、これまでも岩国基地に関係する米軍機によると思われます騒音被害の情報が、県下、県内市町村で寄せられております。これは議員御指摘のとおりでございますが、そういう問題に対しまして、県は国に対しまして、低空飛行訓練の中止等適切な対応をするよう申し入れてきているところであります。

したがいまして、県といたしましては、議員御指摘のような問題に対しましては、今申し上げましたような従来の考え方に沿いまして、県民の安全確保でありますとか騒音被害防除に対応していく考えでございます。

 次に、非核平和自治体宣言についての御質問がございました。

 この問題につきまして、これまでの議会での御質問等のやりとりを私も調べてみましたら、澄田前知事が議会におきまして過去数度にわたり答弁をされております。関連文をちょっと読みますと、我が国は非核三原則が国会において決議されております。これを堅持していくということは国の一貫した政策とされているところでありますので、県が現段階で宣言をすることは考えておりません。数度、こういう答弁をされておられました。この答弁で引用されました非核三原則は、1971年11月24日の衆議院本会議で決議をされ、佐藤内閣以来約37年にわたり、歴代内閣総理大臣は施政方針演説等においてこの原則を厳守することを表明しておられるわけでございます。したがいまして、私は澄田前知事が答弁で説明されました立場と同様に考えているところであります。

 次に、道路の問題について幾つか質問がございました。

 最初に、山陰道を初めとし、島根の道路整備がおくれた要因は何かと、どういうふうに考えるのかという御質問でございます。

 議員が引用されました、あるいは引かれましたが、巨大プロジェクトの利便あるいはコストの予測が不十分であって、必ずしも当初の予測どおり道路の利用が進んでないといった問題があるのは私も承知をしております。しかし、他方で、これは予測にまつわる問題もあるわけであろうかと思いますが、いずれにいたしましても、道路特定財源はありますけれども、道路の整備に比較しまして毎年の財源は足らないわけでございます。不足をしているわけでございまして、基本的に交通量の多い、混雑が激しい地域から順次整備をしていくというのは、ある程度やむを得ない面があるんだろうと思います。しかし、道路特定整備の財源によりまして整備も進んでまいりましたから、この島根でも山陰道の整備ということが現実の問題、そう遠くない将来に実現するというような見込みにやっとなったということでございます。

 そういうことを踏まえますと、例えば高速道路につきましては、平成15年に尾道松江線に採用されました新直轄方式ができるまでは、有料道路の整備は利用者の料金負担で求めるという有料道路制度に頼らざるを得なかったわけでございます。そうなりますと、有料道路を使う車の多い大都市部の方が早く整備をされる。車が少ない地方部では、有料道路の整備がおくれるということが起こった。これは1つの要因だと思います。

しかし、その点はこれまでの近年における道路財源問題の過程の中で、必要なところは新直轄、有料道路ということじゃなくて、国費あるいは財政資金でやっていくということが決まりまして、これで整備が進み始めたというところがあると考えているところであります。

 それから、やはり基本的にいろんなプロジェクトは、利便と費用との対比で、利便が大きいところから進めるというのが原則でございます。そこで、今度はコストになりますと、島根の地形的な理由で、山岳はあります。そのためにはトンネルを掘らなければいかん。あるいは川があります。そうすると橋梁を使わなければいけないということで、島根の地形的な理由から、道路の整備のコストは多分ほかの地域よりも高いことがあったんではないかと思います。そうしますと、費用と便益との割合が低いということになりますから、整備が後回しになるということがあったんだろうという気はするわけでございます。

 次に、必要な地方道路の整備についてどう考えるのかという御質問もございました。

 私は、産業振興、観光振興に不可欠な、また災害時の迂回路や緊急医療の搬送路として必要な山陰自動車道などは、国の責任において今後は整備の進んだ大都市よりも地方部を優先して整備をすべきであると考えます。そういう意味で、我々は国に対して強い要望を繰り返しておるというところでございます。

 それから、道路の中期計画におきましては、山陰自動車道を今後10年でつなげるための必要な事業費を初め、通行どめによる影響が大きい区間の解消に必要な事業、あるいは事故の危険性の高い通学路の歩道整備に必要な事業等々、真に整備が必要な事業費が積み上げられておると考えております。

島根県の道路を着実に整備していくためには、道路の中期計画に基づき、計画的に事業を進めることが必要でございますし、道路特定財源を現行の水準で維持し、道路財源を確保するということは極めて重要でございます。

 先ほどより申し上げますように、地方部はおくれたというのは、それは一定の合理性はあるわけでございます。しかし、整備が進んで、やっとこの島根などの番になったときに、その道路を整備するための制度を今変えるというのは、不公平ではないかというのが私どもの基本的な主張であります。

 それから、中期計画は総額先にありきということではなかったのかと、個別の積み上げがあったのかという御質問でございます。これは、国土交通省の問題でございますけれども、国土交通省がこの計画をつくるに当たりましては、各自治体などからもどういうところの道路が必要なのか、どういうところの整備が必要なのかという、当然資料、データを出しまして、もらいまして、それを個別に積み上げておるものでございます。わかりにくいので、ちょっと例示で申し上げますと、私がお聞きしてるところではこういうことでございます。

例えば、通学路というのを例にとります。全国で通学路は約19万キロメートルあるそうであります。このうち交通事故の危険性の高い箇所、11万キロが抽出され、その中で歩道等のない箇所が4万4,000キロ残っておるということでございまして、それに必要な安全対策に対する事業費が計算されておるということでございます。個別に、その背後にそういう箇所を選定をし、ただその箇所が具体的には出ておりません。それは実際の事業実施する中で、今後毎年度決められるわけでしょうが、そういう積算をしているということでございます。

そのほか、交通事故対策や橋梁等の修繕、更新、維持管理など、17の目標ごとに取り組み方針と講ずる施策が整理されまして、今後10年で早急に取り組むべき事業量が積み上げられていると理解しておるところでございます。

 それから、山陰自動車道につきましては、出雲以西は高速道路の整備区間であります9,342キロメートルには入っておりませんけれども、今度の計画でやっておりますのは、基幹ネットワークということでありまして、高速道路で整備するのか、あるいは国道で整備するのか、そこら辺は実施の過程で決まっていくものだと理解しているところであります。

 次に、県の臨時職員等の賃金の減額に関しまして、御質問がございました。

 この臨時職員等の賃金カットを今般の予算の中でも積算の過程で計上しております。少し詳しく御説明申し上げますと、あらゆる分野につきまして、聖域なき見直しが必要な財政状況に県財政がなっておりまして、財政の基本方針に基づきましていろいろな改革等を行ってきておるわけでございます。臨時職員の賃金でありますとか、あるいは資格などを必要としない一般の嘱託職員の報酬につきましては、正規職員との職務との比較、あるいは勤務形態との違い等にもかんがみまして、正規職員の高卒初任給を基準として従来から決めておったわけでございます。

 それで、給与の減額が正規職員について近年行われるようになりましたが、その過程で、この臨時職員、嘱託職員の賃金はカットしないできたわけでございます。そのために、正規職員の高卒初任給の賃金が低くなってまいりましたが、臨時職員、嘱託職員の方はカットしなかったので、こちらの方が上回るようになりまして、そういう状況も勘案しまして、まことに申しわけないことでありますけれども、今般臨時職員や一般の嘱託職員の賃金の調整をさせていただくということでございますが、他方で一般職員は6%の減額を行っております。それから、今後4年間も、職員組合の理解も得まして、このカットを続けるということをさせていただいておりますけれども、臨時職員、一般の嘱託職員につきましては、昇給でありますとか期末勤勉手当がないということを考慮いたしまして、減額率は正規職員の6%ではなくて4%に下げたということでございます。

 それから、20年度について申し上げますと、正規職員につきましては人事委員会勧告で若干ベースアップが行われるということになっておりますから、それに連動いたしまして、高卒初任給もベースが上がりますので、4%のカット率は実際には3.3%の減にとどまる、臨時職員の場合3.3%、嘱託職員の場合2.5%にとどまるところでございます。まことに私どもとしては心苦しく思うわけでございますけれども、一般職員とのバランスを考慮して、とる必要があった措置でございますので、何とぞ御理解を賜りますようお願いを申し上げる次第であります。

 これに関連いたしまして、臨時職員の賃金が減額されることにより、最低賃金や民間賃金の引き下げを誘発するんではないかという御質問がありましたが、最低賃金は県内の公務を除く民間の賃金の実態調査結果を参考にしながら、勤務者の生計でありますとか、類似の勤務者の賃金でありますとか、通常の事業の賃金支払い能力の3要素を考慮して決定をされておるところでございますし、また労働者が健康で文化的な最低生活を営むことができるよう、生活保護施策との整合性も考慮するということで最低賃金が決められているところでございます。そういうことでございますから、県の臨時職員等の賃金の減額が直接的に最低賃金や民間賃金の引き下げに影響する可能性は低いのではないかと見ておるところであります。

 次に、農業の所得、価格保障政策を国に要求すべきではないかということが、現在とられております農水省の政策と関連しまして御質問がありました。

 ここ数年の米価の下落が担い手の経営を圧迫し、特に効率的な営農が容易でない中山間地域などでは、今後の安定した収入の確保を不安視する声が上がる中で、担い手の確保が困難になりつつあるわけであります。水稲を柱とする水田農業は、島根県農業の基盤であります。その担い手の確保と経営安定は最も重要な課題の一つであります。その意味で、認定農業者など担い手の収入確保を目的として19年度から導入されました水田経営所得安定対策、従来は品目横断的経営安定対策と言っておりましたが、水田経営所得安定対策は一定の有効な効果を有しておると考えております。

 しかしながら、この制度は加入要件が中山間地域の多い島根県の実態に即していなかったり、19年度産米のような大幅な収入の減少を補い切れない仕組みでありましたので、昨年11月に、加入要件の緩和や生産調整の確実な実施、米価下落対策を県としても国に要望してまいりました。

その結果、国におきましては、面積要件の緩和や転作を拡大する際の支援策、19年産米の米価下落に伴う収入不足分を補う特別措置などが講ぜられたところであります。今後は、担い手を含めます多様な農業者が安定して水田農業を続けていくことができるよう、全国レベルでの生産調整の確実な実施や、水田経営所得安定対策の充実を求めていくとともに、中山間地域農業を維持していく上でも重要な施策であります中山間地域等直接支払制度の継続も要望していく考えであります。以上であります。


○議長(福田正明) 法正健康福祉部長。

○健康福祉部長(法正良一) 後期高齢者医療制度、それから肝炎対策、それから医師確保に関連します御質問にお答えをいたします。

 まず、後期高齢者医療制度における被保険者証の取り扱いについてであります。

 高齢者の医療の確保に関する法律によりまして、この新しい制度におきましても、保険料の滞納の発生後一定期間を経過すると、一定期間保険料が納付されない、こういった場合に、滞納者に対して被保険者証の返還を求め資格証明書を交付すると、こういう仕組みになっております。

後期高齢者医療広域連合では、この取り扱いに関します要綱を今年度中に策定するということとされております。この要綱の中で、特別の事情の有無、特別な事情があるかどうかといった判断基準でありますとか、またそういった手続を進める際に、当事者の方の事情がわかる、事情を聞くと、弁明の機会の付与と、こういった言い方をしとりますが、こういったことの基準とか手続、こういったものを規定するということとなっております。

 今後、県といたしましても、この後期高齢者医療広域連合あるいは直接保険料の徴収を担う市町村において、被保険者証の取り扱いにつきまして機械的な運用がされることがないよう助言を行ってまいりたいと考えております。

 次に、C型肝炎の相談窓口や広報についてでございます。

 県におきましては、ウイルス性肝炎にかかわる相談窓口を各保健所及び本庁に設置をしております。最近の相談の状況でございますけれども、昨年の12月が176件、ことしの1月には1,192件、2月は20日現在で328件と、こういった相談が寄せられています。県のホームページを活用いたしまして、肝炎の検査あるいは相談について呼びかけをしているところであります。また、昨年の12月から肝炎検査を無料化いたしましたけれども、こういった取り組みにつきましても、県のホームページを活用して広報しているところでございます。

 このウイルス性肝炎の対策は、やはり早く見つける、早く治療をしていただくと、こういったことが重要でございます。今後とも、保健所におきます相談窓口を充実、継続していくとともに、県の広報あるいは市町村の広報、また保健所だより、さまざまな方法を活用いたしまして、広報に積極的に努めてまいりたいと考えております。

 なお、薬害肝炎に関します救済の仕組み、あるいは訴訟の手続、あるいは立証の方法、こういったことについて無料相談を行うということで、本年2月に県の弁護士会有志によります島根薬害肝炎感染被害対策弁護士チームが発足したようであります。県といたしましても、このチームとも相談の上で、薬害肝炎被害救済法にかかわる相談が県にあった場合にはこの弁護士チームを紹介しているところでございます。

 次に、フィブリノゲンの投与について、医療機関に積極的に協力を求めてはどうかという点でございます。

 平成16年12月に、ウイルスの感染性をなくす不活化処理、こういったことが十分に行われなかった血液製剤の納入先医療機関が厚生労働省から公表されました。県におきましては、当時この薬害肝炎訴訟の大阪原告団の申し入れも当時あったようでありますが、こういったことも踏まえて、同年の12月8日、県内の医療機関に対しまして、患者の方から情報提供の依頼があった場合には適切な対応、またカルテの保存に努められるようにお願いをしたところでございます。また、平成18年10月には、カルテの保存につきましては重ねて要請をしたところでございます。

 ところで、医療機関で感染のおそれのあるフィブリノゲン製剤が投与された時期、平成6年以前でございます。一方、医師法ではカルテの保存年限は5年とされております。かなりの年数が経過をしていることから、公表された一覧表では大部分の医療機関で保存されていないと、こういった状況にございます。また、保存されていたとしても、膨大なカルテの中から投与された患者を特定していくと、こういったことは非常に多くの労力がかかるといったことから、非常に難しいようなことも聞いております。診療科でありますとか治療の時期と、こういったことの手がかりがあれば調査がしやすいんだというふうな声も聞いているところでございます。

 県といたしましても、保健所等におきます肝炎の相談におきまして、医療を受けた患者の方から個別の医療機関に対して情報提供の依頼と、こういったことがあれば、状況に応じましてその旨を医療機関に伝え、製剤の投与の確認など積極的な対応をお願いをしているところでございます。

 次に、肝炎インターフェロン治療費への助成でございます。

 この4月から始まります肝炎患者のインターフェロン治療費に対する医療費の助成制度は、国の新しい肝炎総合対策の一環として、患者の高額な医療費の負担を軽減していく、そして適切な医療が受けられるようにしていく、こういったことで、県が実施主体となって行うものでございます。このインターフェロン投与による治療は非常に高額であるということ、また期間も半年から1年程度と非常に長期にわたるということで、患者の方の経済的な負担も非常に大きなものがあります。

 このたびの新しい制度では、現在高額療養費制度があるわけでありますけれども、これよりもさらに自己負担を軽減するといった内容でございます。所得階層によって金額違いますが、月額5万円、あるいは3万円、1万円と、こういった金額を上限として、この自己負担限度額を超えた額につきまして、県から保険医療機関等へ交付していく、こういった仕組みでございます。県も来年度の当初予算におきまして、約800人分の医療費助成にかかわる経費、これは県と国が2分の1ずつということになりますけれども、予算化をしているところでございます。

 B型及びC型肝炎は、我が国最大の感染症であります。早急な対応と地域の患者の方すべてが治療を受けられる機会の確保が求められていると考えております。

 県といたしましては、現在、この新しい制度が円滑にスタートするように、肝炎の専門家等で構成いたします認定審査委員会の設置でありますとか、あるいは関係の医療機関等との契約と、こういったことが必要でございますが、そういったことに向けた調整などの準備を今進めているところでございます。

 この医療費助成制度も含めまして、相談や検査体制の充実、あるいは疾患の診療連携拠点病院の選定など、診療体制の構築などの対策を進めることによりまして、県内のウイルス性肝炎患者の皆様の不安をできる限り軽減するように努めてまいりたいと考えております。

 それから、深刻な医師不足の中で、医師のニーズの掌握、あるいは地域医療支援会議の状況、こういった点について御質問がございました。

 勤務する医師の個々の労働環境に関します要望とか意見とか、こういったことにつきましては、まずは医療機関やあるいは設置者において把握されて適切な対応がされるものと考えておりますが、県といたしましては、医療機関の要望や県全体の医師不足の状況を把握するために、昨年度から、島根大学と共同で県内のすべての病院と公立診療所を対象に実態調査を実施をしております。この調査の内容を活用して、医師不足の状況に応じた確保対策を考えているということでございます。

 地域医療支援会議は、県、市町村、大学あるいは医療機関、あるいは医師会と、こういったとこを構成員として平成14年度から設置をしているものでございます。自治医科大学卒業医師の派遣調整でありますとか、こういったことなど、医療従事者の確保の問題、あるいは地域の地域医療を支援する地域医療拠点病院と言っておりますが、現在18ございますけれども、こういった医療機関の指定など、医療の確保について協議を行っているところであります。

 医療法の改正によりまして、このような性格の会議を設けることとされたことがございます。こういったことから、今年度からは、この支援会議をこの法に基づく会議と、こういうふうな位置づけをしたところでございます。そういったことから、新たに委員を加えるなど組織の拡大も図りました。また、医師不足が深刻化する中で、各圏域におきます医療を提供する側と、それから医療を受ける側と、こういったお互いの情報交換でありますとか、あるいは国の臨時緊急的医師派遣に関する協議、こういったことなど、地域医療の支援に関して幅広く議論する場と位置づけております。

 医師確保対策に取り組む上ではさまざまな方策に取り組んでいるわけでありますが、地域で医師を確保していくためには、市町村のより積極的な取り組みといったことも必要ではないかと考えております。また、医師の養成の面では、大学と研修を行う病院等との連携、こういった医療機関との連携をさらに強化をしていく必要があると感じているところでございます。


○議長(福田正明) 小林農林水産部長。

○農林水産部長(小林淳一) 私からは、大きく2点についてお答えいたします。

 まず、農家の所得向上についてお答えします。

 農産物価格が低迷する中で、地域の特色ある農産物を生産し、付加価値を高めて販売していくことが、農家の所得向上につながると考えております。その上で、県単独でさまざまな助成措置を講じております。地域の特色ある米につきましては、生産者組織等に販売促進や消費者交流活動の経費を助成し、また今年度からは特に除草剤を使わない米づくりについて、必要な機械の投入等を助成しているところでございます。

また、園芸作物等につきましては、地産地消を含めた生産から販売までの一貫した産地化への取り組みにつきまして、必要な生産機械の整備や消費地における販売促進などに対しまして、立ち上がる産地育成支援事業により支援しているところでございます。

また、価格変動の激しい野菜につきましては、野菜価格安定対策事業により、農家経営の安定化を図ってきております。特色ある米や園芸作物等の生産販売を強化し、農家の所得向上を図っていくために、来年度からは農林水産振興がんばる地域応援総合事業などを新たに創設し、支援してまいりたいと考えております。

 また、新規就農者への県単独の貸付制度がございます。5年後の所得目標を設定していただいた認定就農業者等の方につきましては、月額10万円の運転資金を1年間貸し付けるという内容になっております。その上で、5年間農業に従事すればその償還が免除されるという貸付制度でございます。あわせて、営農開始時に必要な施設や機械の整備に対しての県単独の補助事業や国の無利子資金などによりまして、負担軽減が図れるよう支援しております。このようなさまざまな県や国の制度を活用しながら、営農開始時の所得の確保と早期の経営安定化を支援し、新規就農者の着実な確保に努めてまいります。

 次に、林地開発許可についてでございます。

 平成17年1月に許可いたしました鹿島町の御津の残土処理場につきましては、御津区と開発事業者が締結いたしました土地賃貸契約書、旧鹿島町の林地開発許可に異存なしという意見書。旧御津漁業協同組合の同意書などをもとに許可したものでございます。しかし、旧御津漁業協同組合の同意書について地元漁業者の皆さんから疑問の声が上がるなど、調査を行った結果、旧御津漁業協同組合の内部手続に不透明な部分があったと認識しております。

また、私自身も現地確認も含め、3度にわたって御津の皆さんに直接お会いをいたしました。その上で、意見交換を通じ、この開発に対して住民の方々にさまざまな不安などがあることを承知しております。林地開発許可の権限につきましては、既に松江市に権限を移譲しておりますが、今後とも、松江市と連携を図りながら、皆さんの不安解消、課題の解決に取り組みたいと考えております。

 開発協議から着工に至る指導事務については、この件の経過も踏まえまして、県が開発事業者に通知した指導事項が履行されたことを客観的に証明できる書類を開発事業者に提出させるなどの改善を図りました。

 次に、かなぎ漁業等の水産振興についてでございます。

 かなぎ漁業を初めとする沿岸漁業の振興は大変重要だと考えております。県では、水産資源に影響を及ぼすおそれのある一定規模以上の開発行為につきましては、開発事業者に条件を付しております。今般の御津地区の開発区域は磯根漁場に隣接していることから、事業実施に当たっては、工事中及び完了後においても汚濁水等の流出を防止し、水産資源に悪影響を及ぼさないよう適切な対策を講ずること、これを遵守すべき条件としております。

 かなぎ漁業を初めとする沿岸漁業、この御津地域にとっても大変重要な課題でございます。漁場環境が保全され、漁業者の方の不安が少しでもなくなりますよう、これからも漁業者の方の声を聞いたり、漁場の状況を確認するなど、松江市とも連携して必要な対応をとっていく考えでございます。以上でございます。


○議長(福田正明) 山根商工労働部長。

○商工労働部長(山根泉) 労働に関する2点の問題についてお答えをいたします。

 まず、いわゆるパートタイム労働法の改正についてであります。

 これは、職務内容が通常の労働者と同一視される短時間労働者、いわゆるパートタイムの方について、賃金等労働の福祉条件等について差別的な取り扱いにしてはならないというのが改正法の基本でございますけれども、この4月から施行されます。この広報と周知でありますけれども、第一義的には国の責務において行われるべきものと考えております。これまでも国においてさまざまな広報活動が実施をされていると認識しております。また、経営者団体におきましても、セミナーやあるいは機関誌等を利用した法の改正周知が行われているところでございます。

 県としてどうかということでございますけれども、去る1月に、これは島根労働局と共催でございますが、県内4カ所で説明会を開催しておりまして、企業の人事労務者を中心に約600名の参加を得ているところでございます。今後とも、県の広報紙あるいは会合等もございますので、こういった機会を通じまして、パートタイム労働法の改正につきまして周知を図っていきたいと考えております。

 次に、派遣労働に関しての御質問がございました。

 労働者派遣につきましては、御案内のとおり、労働者派遣法に基づきまして、国の許可あるいは届け出という場合もございますけれども、指導監督あるいは調査権限等、非常に国の強い関与のもとで成り立つ事業でございます。その中に、法の中にも派遣元事業主に対しまして、事業報告及び収支決算書の提出が義務づけられておりまして、事業所数や労働者数、派遣料金や賃金など、国においてその実態が把握をされているところでございます。

 県におきましては、若者の雇用状況を把握するために、ジョブカフェしまねの利用者を対象にアンケート調査を実施しております。そういったジョブカフェしまねを利用する人たちに限定をされますけれども、そういった形での現状把握に努めているところでございます。御指摘がありましたように、若い人がこれからの職業生活を設計していく、さらにはその中で職業能力を開発し、充実、実現をしていくということは極めて大切なことだと考えておりますので、ジョブカフェしまねや、あるいは無料職業紹介などを通じまして、正規雇用の促進に努めていきたいと考えております。以上でございます。


○議長(福田正明) 月森病院局長。

○病院局長(月森憲三) 県立中央病院におきますフィブリノゲン製剤の投与実態等についてお答えをいたします。

 フィブリノゲン製剤の使用につきましては、記録した資料というのは特に用意しておりませんけれども、使用した場合には、診療録つまりカルテに記載しておりますので、保存してありますカルテの記載内容から確認することができます。カルテの保存は、先ほど健康福祉部長の答弁にもございましたけれども、医師法の定めによりまして、保存年限が5年ということになっております。

 幸いにも、中央病院では、入院カルテは昭和53年以降のものが、外来カルテにつきましては平成5年以降のものが現在保存してございます。平成16年12月の国の公表以降、元患者さん等からの投与の有無につきましての問い合わせが寄せられております。こうした問い合わせに対しましては、患者さんの名前でありますとか生年月日あるいは診療時期といった手がかりがございますので、こうした手がかりをもとにカルテを探し出しまして、診療情報管理士、これ専門職ですけども、診療情報管理士と薬剤局長、あるいは担当の診療科の部長とが二重にチェックを行いまして、使用の有無を確認してその結果を御本人あてに文書で回答すると、こういった方法をとっております。

これまでに84件の事実確認を終えて、問い合わせがあった方に対して回答させていただいておりますけれども、このうち産婦人科の元患者さん2件につきまして投与の事実を確認いたしております。

 また、追跡調査を行う考えはないかとのことでございますが、フィブリノゲン製剤は昭和53年以前から使用されていること、しかも保存してあります入院カルテだけでも25万件を超える膨大な数に上っておりまして、現在元患者さんからの申し出を受けまして行っている調査に最大で2週間程度かかっている状況からいたしますと、中央病院におきます投与実態の全容を手がかりなしで把握することは物理的時間的に困難な状況にあると考えております。

特定フィブリノゲン製剤等の被害者を救済するための法律が制定されて以来、元患者さん等からの問い合わせが現在も数多く寄せられております。申し出された方には、確認のため相当程度の時間を要することを御説明いたしまして、理解を得ながら調査を続けているところでございます。私どもとしましては、まずはこうした多くの問い合わせに対して、丁寧かつ迅速に対応することが大切であると考えております。新年度には、診療情報管理士を1名増員いたしますので、今後2名体制で対応に当たり、より迅速な回答に努めるなど、中央病院としてできる限りの協力を行っていきたいと考えております。以上でございます。


○議長(福田正明) 藤原教育長。

○教育長(藤原義光) まず、県立高校において、県単独で35人あるいは30人学級ができないかというお尋ねでございます。

 本県の県立高校の現在の1学級当たりの定員は、いわゆる標準法に基づきまして、すべて40人としております。県単独で40人未満とするためには、教員の大幅な増員を伴います。したがいまして、相当の財源が必要となるために、現時点においてはその実施は困難だと考えております。

しかしながら、生徒数の減少によりまして小規模化が進む離島や中山間地域の高校については、教育環境と教育水準を確保するという必要性から、国に対しまして、1学級当たりの定員とか、あるいは教職員定数の加配といいますか、そういうふうな措置を講じられるよう見直しを強く働きかけてまいりたいと思っております。

 次に、離島や中山間地域の高校のあり方についてでございます。

 生徒数が減少する中で、特に離島や中山間地域の高校においては、小規模校となる中にあっても、地域との連携によりまして活力ある学校づくりに取り組んでおると思っております。今後も、中学校の卒業者数は減少すると見込まれておりまして、厳しい状況にあると思います。

県全体では、おおむね10年後の平成30年3月までに約1,400人、1学級40人として単純な計算いたしますと、35学級分の生徒数が減少していくということでございます。これ1学年で見たときでございますんで、3学年ということになりますと、その3倍ということになります。こうしたことから、離島や中山間地域については、今後の生徒数の推移によっては、学校の存続の可否についても検討せざるを得ないという厳しい状況だと認識しております。

 県立高校の教職員定数は、先ほども申しました標準法によりまして、学級数で算定されるということになっております。したがって、学級数が少なくなりますと、理科とか地理、歴史科とか、あるいは芸術科などにおきまして、すべての科目の教員を配置するということが困難になってまいります。こうしたことから、高校としての教育環境やあるいは教育水準を確保できる学校規模に適正化を図るべきという考え方が、一方の考え方としてございます。

また、他方では、特に離島や中山間地域における通学事情や県立高校が果たしております地域コミュニティーとか文化的拠点としての社会的な役割などに配慮すべきという考え方がございます。このいわば二律背反するテーゼについてどのように調整するかということが、県土が東西に長く、離島や中山間地域を抱え生徒数が減少する本県にとって、非常に難しい課題でございます。

 いずれにいたしましても、離島や中山間地域における今後の高校のあり方や、生徒数の確保を含む学校活性化の方策、言いかえれば生き残り策とでも申してもいいかと思いますが、につきましては、こうした両面から地域と十分意見交換しながら検討していくべき事柄だと考えております。

 次に、1学年3学級以下の高校についてであります。

 平成20年度におきまして、県立高校全日制の課程の本校34校、これ益田翔陽あるいは島根中央に再編した後の数字でございますんで、例えば川本とか邑智高校はもう数から外しておりますが、この34校の中で1学年が3学級以下の高校は14校ございます。率にしますと約4割でございます。また、このほかに分校として宍道の定時制を含めますと4校の分校を抱えております。

 魅力ある高校づくりを進める上で、第一義的には、高校としての教育環境と教育水準を確保するということが重要であります。具体的には、多様な学習ニーズに対応する教育課程と、それを可能にする教員の配置。2つ目には、部活動や学校行事など、特別活動の充実。3つ目には、集団の中で社会性とたくましさを培うことのできる教育環境などであります。このような観点から、県立高校の適正規模は1学年4学級から8学級以内ということを一応の標準といたしたところでありますが、先ほども述べましたように、特に離島とか中山間地域においては、県立高校が地域のコミュニティー、文化的拠点としての役割も果たしている、あるいは通学に要します家計の負担ということもございますので、こうした点を十分に考慮しながら、検討していくべきことだと考えております。以上でございます。


○議長(福田正明) 尾村議員。

○尾村利成議員 私は3点、再質問、意見をさせていただきたいと思います。

 平和の問題、それから道路特定財源の問題、雇用と定住化の問題です。

 知事、私、平和問題を知事の御答弁聞いてて、正直大変残念な気持ちがしました。県政、当然日本の国政もそうですが、国民の命を守る、県民の命を守る、これが国の役割であり県の役割です。今、国政やそして私たち島根を取り巻く状況を見てみたときに、どういうことになってるかというと、この島根で言うと米軍の低空飛行でものすごく西部地域を中心に不安が広がっているんです。子供たちがおびえる、泣く、窓が割れる、こういう事態が今あるわけです。

 アメリカ政府が、岩国基地から100海里圏内に、厚木からの岩国への移転を機に、岩国の100海里圏内に離着陸施設をつくってくれという要求がやられていて、ここでもう日米合意が済んでいるわけです。今、岩国では市長がやめられて選挙もあったりしましたけれども、大変な問題になっているわけです。180キロ圏内というのはどこが入るかというたら、島根入るんです。私が言ったのは、非核平和宣言という点ですけれど、西日本でやってないのは、もっと大きく言うと兵庫県と島根だけなんです。全国でやっていないのは9県なんです。となると、アメリカの方は基地が欲しいわけです。そうなったときに、米軍から見たときに島根県は、岩国からの180キロ圏内でも非核宣言や平和宣言やっていない。こういうところだと見られるわけです。だからこそ、私は自治体として、県としてやるべきじゃないかと。

 やっぱり平和の考え方が、島根県10年、20年、道路だけじゃなくて、私おくれてると思います。広島県は1986年に宣言してる。鳥取県も1987年なんです。山口、岡山が1995年です。ですから、本当に県民の命を守るために、私やらないといけないと思います。県内には、今1,860人の被爆者、手帳を持っておられる皆さんおられます。この方々の悲願です。私は積極的に検討を改めて求めさせていただきたいと思います。

 それから、道路特定財源の問題ですけれど、これは政府自身が自分たちがつくった法律をほごにしてるんです。例えば、平成18年5月26日に、行政改革推進法が成立しました。この行政改革推進法の第20条を読んでみると、これは法律で決まっているんです。第20条の項ですけれど、道路特定財源は一般財源化を図ることを前提とすると。これが行政改革推進法の第20条の規定なんです。この法の定めをほごにして、今計画を進めてるということ、これは大きな問題だということを私は思います。

 あわせて、この道路特定財源の使い方をめぐって、県民からさまざまな、今、県民だけじゃなくて全国の国民から怒りがあると思うんです。例えば、どういうことがやられてるかというと、長崎県の佐世保では、在日米軍の将校住宅を国土交通省が道路特定財源28億円を使ってアメリカ軍に提供してると。それから、国交省の職員が娯楽用ということでマッサージチェア、カラオケセット、スポーツ用具、将棋盤781万円を買っていると。それだけじゃないんです。国交省の地方整備局が、約80回にわたって、計5億円も使って道路整備の啓発ミュージカルを上演してると。こういうような使い方やっているんです。県内で言うと、今、出雲で阿国座の問題が大きな問題になってますが、この40億円の阿国座のうち、総事業費40億円のうち8億6,000万円が国交省のまちづくり交付金から使われる。こういう財源内訳になってます。私は、この点も問題だと思います。

 最後に、定住問題です。

 本当に少子化を防ごうと思ったら、少子化を克服する、県外流出を防ごうと思ったら、不安定雇用を県としてどう改善するかと真剣に考えないといけないと思います。国のことだ、国のことだじゃだめだと思います。その異常な低賃金、それから無権利に苦しんでやっぱり不安的雇用の人は結婚もできない。子供も産めない。子育てもできない。将来に希望が持てない状況です。私はこのまま放置したら、島根には未来がないと思います。このことを真剣に考えていただくことを改めて求めて、再質問といたします。


○議長(福田正明) 溝口知事。

知事(溝口善兵衛) 尾村議員の御質問にお答えいたします。

 非核平和自治体宣言についての現状、私も承知をしております。それから、過去におきまして、この議会におきましていろんな議論がなされたということもよく研究、勉強したわけでございます。その上に立ちまして、先ほど申し上げたような答弁をしたわけでございます。私としては、現段階ではその立場でございます。しかし、そういう御指摘があるということは頭の中によく入れておきたいと思います。

 それから、道路特定財源の問題ございました。

 平成18年の行革推進法を引いての御議論でございますけれども、そのころから一般財源の考えが少し入ったのだろうと思います。私も詳細を知ってるわけではございませんけれども、しかし制度の根幹を変えるような話ではなかったんじゃないかと思います。道路をつくるけれども、道路に関連した周辺のものを少し広げてくという程度でございまして、今ある一般財源の問題は、暫定税率をやめますとか、あるいは道路特定財源の相当部分を一般財源にするということでございまして、それは適当でないということであります。それをいたしますと、島根のように道路の整備がおくれているところはますますおくれるということになりまして、これは取り返しのつかないということになるということであります。

 それから、道路財源の使用について、いろいろな問題があるという御指摘ございました。これは法の趣旨に合わないとか、あるいは不適切なものについては、これは道路に限りません。すべての行政経営につきまして適正な対応を、国も地方もやっていかなければならない課題だと考えております。そうした問題と、今議論の遡上に乗っております5兆6,000億円の財源を、その相当部分をやめるかとか、あるいは一般財源にするというのは、政策のレベルの少し違う話ではないかと思うわけでございまして、道路整備という観点から見ますと、特定財源問題についての私はそういう立場からお答えを申し上げたということでございますので、何とぞよろしく御理解賜りますよう、お願い申し上げる次第であります。

 定住の問題、それからそれに関連しまして、賃金の問題ございました。

 やはり、定住、つまりこの地で恒常的な雇用の場がふえるということが大事でございます。それから、やはりできるだけ恒常的な職場がふえるということが最も大事なことでありまして、そのために産業の振興でありますとか、いろいろな努力を傾注していかなければならないと思っているところでございまして、この問題につきましても、できる限りの努力をしていきたいと考えているところでございますので、御理解のほどお願い申し上げる次第であります。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画