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議会の取り組み

議会の取り組み詳細

2008 年 2 月定例会 知事提出議案、請願に対する討論

2008-03-13 この記事を印刷
 日本共産党の尾村利成でございます。

 予算案13件、条例案7件、一般事件案8件、請願3件について委員長報告に反対する討論を行います。

第1号議案「平成20年度島根県一般会計予算」
第5号議案「平成20年度島根県立島根あさひ社会復帰促進センター診療所特別会計予算」
第6号議案「平成20年度島根県母子寡婦福祉資金特別会計予算」
第8号議案「平成20年度島根県中小企業近代化資金特別会計予算」
第9号議案「平成20年度島根県立中海水中貯木場特別会計予算」
第10号議案「平成20年度島根県臨港地域整備特別会計予算」
第11号議案「平成20年度島根県流域下水道特別会計予算」
第12号議案「平成20年度島根県営住宅特別会計予算」

 まず、第1号議案「平成20年度島根県一般会計予算」についてであります。

 平成20年度予算案は、総額5012億円余、対前年比3.0%減の7年連続の減額予算であります。溝口知事としては、10年後に財政難から抜け出す処方箋として財政健全化基本方針を打ち出して初めての予算編成でありました。

 予算案では、松江第五大橋関連事業や国の直轄事業など大型プロジェクト事業をマイナスシーリングの対象外とし、県民合意のない大手前通り拡幅事業、不要不急の大規模農地開発などを強行しようとしています。
しかるにその一方で、県民に痛みを押しつける事務事業の削減、見直しを押しつけるものとなっています。

 例えば、私立学校の経常的経費に対する補助である私立学校経営健全性確保事業は前年比8300万円削減、県立大学運営費交付金は3000万円削減、生活バス路線確保対策交付金は5600万円削減、地域リハビリテーション支援事業は1600万円削減、しまね子育て総合支援事業は600万円削減、有害鳥獣被害対策交付金は700万円削減となっています。

 県民が県政に求めていることは、県民合意のない不要不急の大型公共事業の見直し、県民合意がなく過大な需要予測に基づく事業の総点検など無駄な歳出の抑制であり、くらし、福祉、教育施策を充実しながら財政再建を果たすことであります。

 この県民の願いと新年度予算を鑑みた時、この県民の願いに逆らい、この願いと乖離した来年度予算には反対であります。

 また、予算案では、県の臨時職員、非常勤嘱託員の賃金、報酬の4%カットが盛りこまれています。

 ただでさえ低賃金の非正規職員の賃金等を引き下げることは、最低賃金や民間賃金、市町村の臨時職員の賃下げを誘発し、県がワーキングプアを拡大することにつながります。

よって、非正規職員の賃下げを盛り込んだ第5号、第6号、第8号、第9号、第10号、第11号、第12号の特別会計予算には反対であります。

第13号議案「平成20年度島根県病院事業会計予算」
第14号議案「平成20年度島根県電気事業会計予算」
第15号議案「平成20年度島根県工業用水道事業会計予算」
第16号議案「平成20年度島根県水道事業会計予算」
第17号議案「平成20年度島根県宅地造成事業会計予算」
 
 次に第13号議案「平成20年度島根県病院事業会計予算」、第14号議案「平成20年度島根県電気事業会計予算」、第15号議案「平成20年度島根県工業用水道事業会計予算」、第16号議案「平20年度島根県水道事業会計予算」、第17号議案「平成20年度島根県宅地造成事業会計予算」についてであります。

 病院事業においては、地方公営企業法の全部適用により、経営効率化と採算性のみが追求されてきました。一般会計からの繰入金の削減により、公共性の高い高度、専門、特殊医療の提供など不採算部門を担っている公的病院の役割低下が心配されます。本年1月に成立した薬害肝炎被害救済のための特別措置法に基づきフィブリノゲン投与患者の特定ならびに確認を促進するためのさらなる体制整備を求めるものです。

 企業局会計については、供給見込みのたたない八戸川工業用水道事業、神戸川工業用水道事業、使わない水まで住民負担になっている江の川水道事業、水需要予測の見直しが求められる斐伊川水道建設事業など住民負担軽減や事業の見直しによる適正化が措置されていない予算には賛同できません。

第24号議案「公益法人等への職員の派遣等に関する条例の一部を改正する条例」
第27号議案「島根県が出資する法人の健全な運営に関する条例の一部を改正する条例」
 
 次に第24号「公益法人等への職員の派遣等に関する条例の一部を改正する条例」、第27号「島根県が出資する法人の健全な運営に関する条例の一部を改正する条例」についてであります。

 これらの議案は、財団法人島根ふれあい環境財団21が3月末をもって解散することに伴う改正であります。

 ふれあい環境財団21は解散し、環境部門の事業は、三瓶フィールドミュージアム財団へ、NPO部門はふるさと島根定住財団へ事業継承することになっています。しかし、事業継承としながらも、実態は事業縮小ではありませんか。地球温暖化対策をはじめとする環境事業、NPO支援の充実こそ急務の課題であるはずです。

 よって、これら議案には反対であります。

第32号議案「島根県立総合福祉センター条例の一部を改正する条例」
第46号議案「公の施設の指定管理者の指定について(島根県立美術館)」
第47号議案「公の施設の指定管理者の指定について(島根県立東部総合福祉センター)」
第48号議案「公の施設の指定管理者の指定について(島根県立西部総合福祉センター)」
第49号議案「公の施設の指定管理者の指定について(島根県立はつらつ体育館)」
第53号議案「公の施設の指定管理者の指定について(島根県立石見海浜公園)」
第54号議案「公の施設の指定管理者の指定について(島根県立万葉公園)」
 
 次に、第32号議案「島根県立総合福祉センター条例の一部を改正する条例」ならびに、第46号、第47号、第48号、第49号、第53号、第54号の「公の施設の指定管理者の指定について」であります。

 これらの議案は、公の施設に民間会社を指定管理者として決定するものであります。

 構造改革路線のもとで、規制緩和と公務の市場化・縮小を意図した指定管理者制度が施行されて、4年半が経過しました。総務省は指定管理者制度の導入理由として、営利企業の参入を促し、市場競争の原理を働かせれば、施設の維持管理経費の削減、住民サービスの向上を同時に達成できると言ってきました。

 しかし、制度の導入によって、施設の公共性、継続性、安定性、専門性が損なわれたり、管理者が経営破綻して途中で投げ出すなど深刻な問題も発生しています。

 総務省の調査によれば、2006年9月時点で、全国では、約6万1千余りの施設に指定管理者制度が適用されており、その中で営利企業の参入は全体の11%の6700余りの施設となっています。しかし、この間の指定管理の取り消し、あるいは、破綻事例は、34施設ありながら、その半数にあたる17施設が営利企業によるものとなっています。

 また、県内の事例をみてみると、昨年8月に小学生が死亡する事故のあった出雲市の健康増進施設「出雲ゆうプラザ」の問題があります。この指定管理者は、契約の指定管理料で運営を続行すれば赤字となるとし、5年間の指定管理契約の途中でありながらも契約を辞退することになりました。

 公の施設は、地方自治法第244条に規定されるように、住民の福祉を増進する目的を持って、その利用に供するための施設でなければなりません。公の施設を公共性を持たず、営利を目的とする民間会社に任せ、代行させて、果たして自治体の責任が果たせるのか、また、公共性の担保、住民サービスの維持、事業の専門性、安定性という面において危惧が残ります。

 よってこれらの議案には、反対であります。

第33号議案「島根県立島根あさひ社会復帰促進センター診療所条例」

 次に、第33号議案「島根県立島根あさひ社会復帰促進センター診療所条例」についてです。

 島根あさひ社会復帰促進センターの管理運営スキームは、診療所施設及び診療機器等の整備は、PFI事業所が行うこととされています。自治体病院での導入は、住民の医療要求をふまえた柔軟な病院運営ができるのか、業務の質が安定的に維持確保できるかなどの問題が指摘されています。

 よって本条例案には反対であります。

第34号議案「島根県国民健康保険調査交付金の交付に関する条例の一部を改正する条例」
第35号議案「島根県後期高齢者医療財政安定化基金条例」
 
 次に、第34号議案「島根県国民健康保険調査交付金の交付に関する条例の一部を改正する条例」、第35号議案「島根県後期高齢者医療財政安定化基金条例」についてであります。

 日本共産党をはじめ民主、社民、国民新党の野党4党は、2月28日に後期高齢者医療制度の廃止法案を衆議院に提出しました。

 後期高齢者医療制度は、75歳以上の人を一律に後期高齢者と決めつけ、74歳以下とは切り離して、全く独立した医療保険に加入させるものです。後期高齢者だけ別の医療保険制度に押し込め、死ぬまで保険料負担を強いる制度は、世界でも異常です。保険料は年金から天引き、保険料滞納者に対して保険証を取り上げ、保険の効く医療を制限するなど非人間的で高齢者の尊厳を無視したひどい制度です。

 この制度実施に向けた受け皿となるこれらの条例案には反対であります。


第39号議案「県立学校の職員定数条例及び市町村立学校の教職員定数条例の一部を改正する条例」
 
 次に第39号議案「県立学校の職員定数条例及び市町村立学校の教職員定数条例の一部を改正する条例」についてであります。

 行き届いた教育、ゆとりある学校実現のために、教員定数の削減は認められません。学校現場において、教員は超多忙の状態にあり、教職員の増員こそ実施すべきであります。

第56号議案「特定中山間保全整備事業に対する市町の負担について」
 
 次に、第56号議案「特定中山間保全整備事業に対する市町の負担について」です。本議案は独立行政法人緑資源機構が行う邑智西部区域特定中山間保全整備事業の負担金の一部を関係市町に負担させるものです。

 この間、緑資源機構による官製談合事件が発見し、島根県内においても衝撃が走りました。緑資源機構は、本県において、江津市、浜田市、邑南朝の3自治体にまたがる森林と農地を一体的に整備する特定中山間地域整備事業を展開しています。この整備に係る総事業費は、約120億円もの巨大プロジェクトであります。

 森林や農用地の保全整備事業は当然のことです。しかしながら、今日の農業情勢や関係市町の厳しい財政状況を鑑みた時、これだけの大型プロジェクトに対する投資、経済効果に疑問が残ります。

 よって本議案には反対であります。

第63号議案「契約の締結について」
 
 次に、第63号議案「一般国道485号松江第五大橋道路改築大橋工区朝酌川橋梁上部工事」の契約の締結についてです。国道485号松江第五大橋道路は、総事業費343億円の巨大プロジェクトであります。

 その整備目的は、地域高規格道路境港出雲道路の1区間として、宍道湖、中海都市圏の形成を図ること、松江市街地の外環状道路を形成すること、ソフトビジネスパークなどの工業、商業拠点を結ぶこととされております。私は渋滞の緩和や移動時間の短縮を否定するものではありませんが、今日の厳しい財政状況、今後の人口動態、環境問題、関係権利者の同意状況、外環状道路形成や工業、商業拠点を結ぶ必要性や実効性の有無など総合的に勘案した際、その事業実施に当たって疑義が残ります。

 よって、本契約締結には反対であります。

請願第16号「在沖縄米兵による女子中学生暴行事件に抗議し、国に対して米軍基地の縮小・撤去を求める意見書の提出を求める請願」

 次に、請願第16号「在沖縄米兵による女子中学生暴行事件に抗議し、国に対して米軍基地の縮小・撤去を求める意見書の提出を求める請願」についてです。

 去る2月10日、沖縄で米兵による少女暴行事件が発生しました。今回の事件は1995年の米兵による少女暴行事件の再来です。少女暴行事件のあと、米軍は犯罪をくり返さないと約束し、綱紀粛正や軍人教育に取りくむと釈明しました。しかし、今回の事件は米軍基地がある限り、犯罪はなくならないことを証明しました。

 フィリピンであれ、韓国であれ、どこでも米兵は凶悪犯罪をくり返し、国民を恐怖におとしいれています。基地がある以上、米軍犯罪がなくならないことは共通しています。とくに沖縄で米軍犯罪がなくならないのは、多くの米兵の血を流して沖縄を占領したという隊内教育や広大な一等地を奪い、米軍地位協定で特権をもっていることと結びついています。米軍犯罪をなくすには、基地の縮小・撤去以外に道はありません。

 よって、本請願の採択を求めます。

請願第17号「消費税の税制に関する請願」

 次に、請願第17号「消費税の税制に関する請願」についてであります。

 本請願は消費税の税率引き上げや課税業者の免税点引き上げ反対の意見書の採択を求めるものであります。

 消費税率の引き上げが強行されれば、景気悪化は必至であり、中小業者の営業は根底から破壊されます。

 消費税導入以来の税収は、大企業向けの法人3税の減収にほぼ匹敵します。日本企業として初めて営業利益が2兆円を超えたトヨタ自動車は、1社で年間2869億円(2007年3月決算)もの消費税の還付金を受けています。本当に許しがたい税金です。

 また、ひとたび課税業者となれば、消費税分を受け取っていてもいなくても、課税売上5%が消費税相当額とみなされます。ここから仕入れや経費にかかった消費税を差し引いた残額が、納税すべき税額で、赤字でもかかります。

 消費税は価格転嫁を「予定」しているに過ぎません。業者に納税を義務づける一方で、受け取りは当人任せにされているため、消費税分を受け取ることができない中小業者は6割を超えています。

 よって、本請願の採択を求めます。

請願第19号「県単福祉医療費助成事業における所得区分判定の経過措置延長に関する請願

 次に、請願第19号「県単福祉医療費助成事業における所得区分判定の経過措置延長に関する請願についてであります。

 本請願は、地方税法改正に伴い、65歳以上の高齢者についての市町村民税非課税措置が廃止されたことに伴い、所得は全く増えていないにもかかわらず、福祉医療制度における所得区分が低所得から一般に移り、その結果、1ヶ月の負担限度額が大幅に引き上げとなる制度対象者が出てきました。

 そこで、県はこうした制度対象者を当面の間救済するために、本年9月末まで原則として2005年10月の所得区分判定をそのまま適用するという経過措置を実施してきました。本請願は、その経過措置延長を求めるものです。

 福祉医療の1割負担強行は、障害者をはじめ、関係団体や市町村へ相談もなく強行され、障害者の県政への不信を大きく広げました。

 障害者の切実なる願いは、1割負担撤回であります。障害者の命とくらしを守るためにもこの経過措置延長は実施すべきです。

 よって、本請願の採択を求めます。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画