2008 年 6 月定例会 一問一答質問 (後期高齢者医療制度について、介護保険について、原発の耐震安全性について)
2008-07-07 この記事を印刷
○議長(森山健一) これより本日の会議を開きます。日程第1、「県政一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑」を行います。これより一問一答質問を行います。質問の通告がありますので、議長が指名して順次発言を許します。なお、質問は発言席において、答弁は自席において行うことといたします。また、発言時間は15分以内となっておりますので遵守願います。尾村議員。
○尾村利成議員 おはようございます。日本共産党の尾村利成でございます。
まず初めに、後期高齢者医療制度について伺います。
後期高齢者医療制度は、島根県医師会を初め、全国の7割の医師会、すなわち47の都道府県のうち35の都府県の医師会が反対また見直しを求めております。75歳以上の後期高齢者はもちろんのこと、全国民的にこの制度への怒りが巻き起こり、参議院では後期高齢者医療制度廃止法案が可決をされました。
島根県として、この制度は一体どこに問題があるのか、なぜ医師会が反対をし、また後期高齢者である75歳の皆さん、多くの国民が反対をするのか、ここをどう分析してるのか、まず所見を伺います。
○議長(森山健一) 溝口知事。
○知事(溝口善兵衛) 後期高齢者医療制度は、それまでにありました老人保健制度のいろんな問題点を長年検討してまいりまして、その結果としてこういう制度ができたもんでございます。できましてから実施に至る間、1つはやはり国民の方々にこういうふうに制度が変わるんですというような説明が十分なされなかったことがあるようでございまして、そのために制度が発足しました4月の初めから、問い合わせでありますとか制度がわからないであるとか、いろんな問題が起こってきたというのが1つあると思います。
例えば、その中には、保険料が年金から引かれるといったようなことについても十分周知が行き届かなかった。あるいは、後期高齢者の診療料でありますとか、あるいは終末期の相談支援料等につきましても、仕組みが十分知られていない、よく理解をされていないといったようなことがございまして、高齢者の方々あるいはお医者さん方からもいろんな問い合わせがあり、それに対して、政府のほうの対応も不十分であったということがあると思います。
それからもう一つは、低所得者の保険料負担につきまして、制度施行前にきめ細かく分析をしまして、適切な軽減策が十分講じられなかったといったようなこともこれに影響したんだと思います。
問題は複雑でございますけれども、いずれにしましても、これまでの老人保健制度もやはり75歳以上の方々を対象にしておったわけでございますけども、その問題を克服するために出てきた制度でございますので、今申し上げましたような問題に積極的に取り組むことによって、国民にわかりやすい公平な制度になるように私どもも期待をして、お願いをしているところであります。
○議長(森山健一) 尾村議員。
○尾村利成議員 知事は説明が足らなかったとか、軽減策が十分講じられなかったと、ここに原因があるとおっしゃったのですが、私は制度そのものに欠陥があると言わざるを得ません。
この後期高齢者医療制度は、大きく言って私は5点問題があると思ってます。
まず1点目は、収入が全くなくても保険料が徴収される。
それから2点目は、年金から有無を言わさず保険料が天引きされる。
そして3点目は、保険料の値上げは天井知らずであります。すなわち、75歳以上の医療費や、また75歳以上の人の数がふえるにつれて、自動的に保険料が引き上がる仕組みが採用されています。この保険料は2年ごとに見直しをされます。厚労省の試算では、団塊の世代が75歳になる2025年度には、大体今の保険料の2倍近くになる。16万円になると試算されています。
4つ目には、保険料を滞納したら高齢者の命綱である保険証を無理やり取り上げる。
そして5つ目には、75歳以上への差別医療が押しつけられる。この差別医療の中身は、75歳を超えたというだけで、病気の予防から病院の外来、入院、終末期まで、あらゆる場面でひどい差別が押しつけられるわけであります。私は、この差別医療の問題で1点伺いたいのは、後期高齢者診療料、そして後期高齢者終末期相談支援料、また後期高齢者退院調整加算、後期高齢者総合評価加算など、後期高齢者のみに適用となる新設された診療報酬の点数というのは、後期高齢者に対する医療費抑制と差別医療の典型であると考えますけれども、健康福祉部長の所見をお聞かせください。
○議長(森山健一) 山根健康福祉部長。
○健康福祉部長(山根成二) あくまでも一般論でございますが、高齢者の方は、老化に伴いまして自然的に複数の疾患を持たれたり、あるいは入院が長引いたり、複数医療機関での受診、検査、投薬が重複していることが多いと伺っております。それらの管理を適正に行うことが必要でございまして、そのための制度というふうに考えています。
具体的には、今回の診療改定では、高齢者の療養生活を支えていくために、高齢者の特徴、先ほど申しました特徴に基づきまして、さまざまな関係者、医療機関の連携によって切れ目のないサービスが行えるということから、そういった考え方から、後期高齢者を対象とした項目が新設されたというふうに理解しております。医療費の抑制や受けられる医療を制限すると、そういった趣旨ではないというふうに理解しているところでございます。
○議長(森山健一) 尾村議員。
○尾村利成議員 私は健福部長の答弁は本当にひどいと思います。厚労省の言い分と全く一緒ですね。厚労省が後期高齢者の心身の特性という点で3点上げました。75歳以上の人っていうのは、まず1点目は、複数の病気にかかるから治療が長期化するんだ。そして2つ目の特性は、75歳以上の人は認知症が多いんだ。そして3つ目は、75歳以上の人はいずれ避けることのできない死を迎えるんだ。この3つを厚労省が75歳以上の特性と言いました。本当にひどい話であります。
医療費がふえて大変だと言いますけども、私は足りないのはお金ではない。国民の命と健康を守る福祉の心が、今国に足らない。今の答弁を聞くとこの島根県にも足らない。こう言わざるを得ません。
一定、凍結となってますけども、終末期相談支援料というのは本当にひどいんです。これは終末期相談支援料の書式を見てみますと、これはドクターが書くものと患者に書かせるものがありますけども、終末期とは何か。治療効果が期待できず、予測される死への対応が必要となった期間を言いますと定義づけ、予測される生存期間として2週間以内、1カ月以内、数カ月以内、不明と、このことをドクターに書かせます。そして、患者や家族に対して何を書かせるか。輸液を希望するのか希望しないのか。昇圧剤の投与を希望するのか希望しないのか。そして、人工呼吸器を希望するのか希望しないのか。こういうことを患者や患者の家族に書かせるわけです。終末期にある高齢者に、延命治療拒否の念書に合意の署名をさせる。誓約書をとる。そして、このことを今国が評価をすると言ってきたわけであります。医療費の節約のために、人の生き死に一定の価値観を強要する、こういう制度は絶対に許すことはできません。
知事、私は、今与党が見直し案出しました。小手先の見直しでは絶対に国民の理解は得られない。全国一高齢者県である島根から、この制度の撤回を強く求めることを要求します。御所見をお聞かせください。
○議長(森山健一) 溝口知事。
○知事(溝口善兵衛) 後期高齢者医療が始まる前に、老人保健制度というのが始まっておったわけであります。その制度も高齢者を対象にして健保でありますとか国保でありますとか、いろんな保険者から医療費にかかったお金を拠出金という形で賄い、他方で国庫からも公費を支出するという形で行われてきたわけでございますけれども、この制度、いろいろ欠陥があるということで、長年にわたりまして検討したわけでございます。
1つは、普通のサラリーマンですと、健保に入っておるわけでございます。自営業者の方は国保に入っておられる。しかし、サラリーマンが退職をしまして、今度健保から抜けますと、高齢者になると国保に入ってくる。そうすると、国保のほうは医療費の負担が非常に大きくなるといった制度上の問題がございまして、こういう制度では老人医療の確保はできない、保険をもう少し合理化しなきゃいかんという声が上がってまいりまして、2000年代の初めぐらいから議論が行われて、2006年6月に今の制度ができたわけでございます。その後、ことしから実行されるということになったわけでございますけども、やはり保険制度として長期的に維持可能なものにしませんと、制度そのものが成り立たないようでは困るということがあってできておるわけでございます。
御指摘のようないろんな問題はこれからも対応していかなければならないと思いますけれども、従来の制度の欠陥を直すという面もあるわけでございまして、この点も評価をしなければならないわけでございます。じゃあ、これをやめたら、ほかにいい制度がどういう制度があるのかということになるわけでございます。もちろんそういう問題につきましては、この法案、この制度どうするかということにつきまして、国政の場で積極的な議論が行われるべきだと私思いますけども、現時点でかわるべきものがないわけでございます。過去のものを多くの人が検討した結果、改善案として出したものでございますから、直ちに撤回できるというのは難しい問題じゃないかというふうに思うわけでございます。制度の改善につきまして、私どもも引き続き国に対しまして要望は行ってまいりたいと考えているところであります。
○議長(森山健一) 尾村議員。
○尾村利成議員 この法律は、国民的な議論も十分されず強行採決で成立したものです。私は、今国民的討論による合意をつくるように、国は力を尽くすべきだと思います。憲法25条の生存権、そして第14条の法の下の平等に反する、私はこの法律は撤回しかないと思います。島根県民が、この後期高齢者医療制度の撤回を強く願っている、このことを強調し、次の質問に入ります。
介護保険の問題です。
今、介護保険は崩壊の危機と言われています。
まず1点目に伺いたいのは、介護の人材の問題です。介護労働者は1年間で5人に1人が離職するなど深刻な人材不足に直面しています。島根県として介護職の人材確保、養成に向けた積極的な施策を求めたいと思います。
次年度からは、第4期の介護の計画が始まります。求めたいのは1つに、介護の事業所に対して実態調査をすること。2つ目には、介護福祉士の養成に当たって奨学金の貸与制度を復活するということ。3点目は、第4期の計画に当たり、介護職の専門職としての位置づけをすること。養成目標数を明確にすること。そして4点目は、採用時の十分な研修や介護職員基礎研修を有給で保障するシステムを島根県として構築することです。健福部長のお考えをお聞かせください。
○議長(森山健一) 山根健康福祉部長。
○健康福祉部長(山根成二) まず、御質問の1点目、介護事業所に対する実態調査につきましては、現在、議員がおっしゃいます離職の実態も含めまして調査を行っているところでございまして、9月の取りまとめ目指して調査をしているところでございます。
次に、就学資金の貸与制度の復活についてでございますが、これにつきましては、実態調査の結果や関係者の御意見を踏まえまして、人材確保の対応策を検討する中で、課題の一つとして考えてまいりたいと考えております。
次に、3点目、第4期計画に介護職の社会的な位置づけと養成目標を明確にしろという御質問だったと思いますが、介護職の重要性、そして人材確保の必要性は十分に認識しているところでございます。第4期支援計画では、そういったサービス目標量や実態調査結果を踏まえまして、介護職員の養成、確保についての項目を盛り込んでまいりたいと、かように考えております。
最後に、研修の関係でございますが、介護の職場あるいは経営が非常に厳しいということを認識しております。そういった中で、介護職員を確保し、人材の育成を図ること、これは介護事業者の負担が大きいということも県も認識しております。しかしながら、研修につきましては、採用時あるいは基礎研修などの研修につきましては、基本的にはその事業者でお願いをすべきことだと思っております。しかしながら、県といたしましても、情報の提供ですとか、あるいは研修のあり方へのアドバイスとか、間接的な支援はあり得ると思っておりますので、そういったところは最大限支援をしてまいりたい、かように考えております。
○議長(森山健一) 尾村議員。
○尾村利成議員 医療費の適正化計画において、療養病床の再編に伴う転換を今進めているわけですけども、この転換に当たって、医療機関の意向やニーズを県としていかに掌握されていますか、お答えください。
○議長(森山健一) 山根健康福祉部長。
○健康福祉部長(山根成二) このことにつきましては、療養病床を有しておられる医療機関に対しまして、現在調査を行っているところでございます。まだ中途でございますが、7月2日現在で、51機関に対して調査をしておりますが、41機関から回答をいただいておりますが、それをベースにしてお答えをいたします。
その結果、転換先を医療療養病床としているとこが最も多いわけでございますが、一方でまだ未定だとこう答えているところが、病床数の約3割を超えております。これは、介護保険施設の転換後の経営見通しが、今現在のところ、まだ新しい制度が見えないということで不明であることや、本年度末に示されます介護報酬の改定などを見据えて、十分見きわめた上で判断したい、こういうところが多いというふうに、そういった理由であろうと思っております。
今後、各医療機関とは十分な情報交換を行いまして、きちっと確認いたしまして、転換後のサービスのあり方を検討してまいりたいと、かように考えています。
○議長(森山健一) 尾村議員。
○尾村利成議員 御答弁ありましたように、医療機関も転換するのか、または療養病床を継続するのかで非常に悩んでるわけです。これはなぜかといえば、結果的に医療費削減ありきのこの間のやり方であるからです。
私は、こういう削減ありきのやり方では、医療難民、そして介護難民が一層増加しかねない。私は国に対しては、こういう無謀な計画は撤回するように、私は県として申し出ていただきたいと思います。
介護保険の問題でもう一点お聞きしたいのは、島根県の介護サービスの情報公表手数料の問題です。
県の情報公表手数料は6万円です。これは47都道府県で最高額であります。この手数料に当たって、事業者からの引き下げ要望は相次いでいます。私は、引き下げのための条例改正を求めるものです。いかがでしょうか。
○議長(森山健一) 山根健康福祉部長。
○健康福祉部長(山根成二) ただいま、議員御指摘のございました情報の公表手数料の見直しにつきまして、サービス事業者から強い要請があることを十分認識しております。したがいまして、各県の状況等も踏まえながら、今後、手数料の算定方法などを検証し、見直しを検討してまいりたいと考えてます。
○議長(森山健一) 尾村議員。
○尾村利成議員 この手数料は、全国平均は4万5,000円です。これが2008年度の平均です。島根県は全国一6万円です。私は、改正を強く求めます。
介護保険の問題で言えば、これは国が国庫負担を減らしたためにさまざまな問題が起きています。国庫負担をふやして、そして保険料や利用料の負担を軽減をする。そして、介護報酬単価の大幅な引き上げ、私はこのことを強く、知事、国に要求していただきたいんです。いかがでしょうか。
○議長(森山健一) 溝口知事。
○知事(溝口善兵衛) 介護報酬の水準につきましては、御指摘のような要望、介護施設で働かれる方、経営者の方からも、私どもはよく聞いているところでございます。国に対しても、改善方要望してまいりますが、問題は、報酬を上げますとだれが負担をするかという問題が残るわけでございます。それとセットになっておるわけでございまして、そういう点につきましては、政府のほうはことしの1月の末に社会保障制度を見直す、全般を見直すための国民会議というのを設置して、今検討しているところでございます。最近出ました中間報告では、医療介護の将来的に必要となる費用の試算をもとに、財源の確保方策を検討するというふうにされているところでございまして、この議論をよく注視していきたいと思いますし、私どもとしては、適正な介護報酬がそういう中で設定されるように要望してまいりたいと思います。
○議長(森山健一) 尾村議員。
○尾村利成議員 私は、国庫負担を、これは25%下げてきたわけですけど、これは少なくとも30%に、そしてもとの50%に戻すべきだと思ってます。財源の話ですが、これは国政上の問題と言われるかもしれませんが、たくさんの無駄遣いがあります。例えば、米軍への思いやりの問題、軍事費の問題、大企業の法人税率が下がってる問題、さまざまな問題があります。私はこういう点、財源はあると思ってます。見直せば財源があると思ってます。
原発の問題に移ります。
島根原発の耐震安全性の評価の問題です。
電力会社中電が3月末に中間報告を出しました。この点で、知事に何点か聞きたいんです。
まず1点目です。活断層の評価ですが、10キロだと言っていたのを、倍以上の22キロメートル、こういうふうに評価をしました。これは宍道断層の3度にわたる評価の訂正であります。この活断層の長さの評価変更に当たって、基準地震動を引き上げました。1号機、2号機、3号機とも600ガルへと引き上げました。そして3つ目、私は、この中電が報告したこの調査で今十分だと知事は考えておられるのか、不十分と考えておられるのか。妥当性がどうなのか。その点についてお考えをお聞かせください。
○議長(森山健一) 溝口知事。
○知事(溝口善兵衛) 宍道断層の長さにつきましては、平成6年ぐらいからでございますが、地質の調査をいたしたり、さらに調査の精度が向上したり、あるいは文献などによる調査などもございまして、そういう知見をもとにして、その時点で評価をしてきたもんだと思いますが、これまでのいろんな議論を中電も考え、今回の中間報告では、例えば航空レーザーの測量により、不明瞭な地形の屈曲、起伏も見逃さないようにとらえるといった新しいやり方も導入をしたり、あるいは活断層の東と西におきまして、トレンチ調査を行うとか、あるいははぎ取り調査を行うと、いろんな可能な研究手段、方法を導入して今回の調査がなされて、より精度の高い調査が行われたと聞いているところでございます。
このほか、地質調査、文献調査のほかに、あるいはピット調査でありますとか、これまで耐震設計上考慮すべき活断層のない鹿島町古浦の西、美保関町下宇部尾の東を両端として、最大の長さを22キロメートルというふうに評価したということでございます。
この点につきましては、国におきましてそういう活断層の調査で妥当なのかと、今中電の中間報告に基づきまして、調査、チェックをしているところでございます。先日もトレンチ調査の現場に国の調査官が出かけて現場を見るとか、あるいは提出されたデータのチェックを今行っておるところでございまして、私どもとしては、国に対しまして厳格な調査が行われるよう要請をしておりますし、今後も引き続きやっていきたいと思います。
それから、基準地の振動の大きさが変更になった点でございますが、基準地といいますのは、原子炉があるその地盤のところを基準地というわけでありますが、そこにどの程度の振動が起こるかというのをはかることが、耐震性があるかどうかをチェックする上で大変大事なポイントでございますけども、その点につきましては、今回の中間報告におきましては、先ほどの宍道断層の長さを22キロに拡大をし、長くなりますから振動は大きくなるわけでございますが、そういうものを考慮して、まず基準地の振動の大きさを測定して、計算をして出している。
さらにその上に、静岡県の浜岡原子力発電所におきまして、そういう従来のやり方で出した基準地における振動の大きさを、一定の余裕を見て耐震性を見なきゃいかんということで、約3割増し振動が大きいという想定をしておりました。それに見習いまして、中国電力のほうも、従来の基準地の方法で推定しますと、約440ガル、これは振動の大きさでございますけども、それを3割増しぐらいにして、600ガルとして耐震性を計算したということでございます。以上です。
○議長(森山健一) 尾村議員。
○尾村利成議員 私は、この点では、中電は過去の調査の不備、それから不十分さを認めるべきであり、謝罪すべきだと思います。同時に、その中電の調査を妥当と評価した国の審査、この審査も誤っていた、私はこのことが言えると思うんです。この活断層を見れば、中国電力は98年に8キロの活断層を認めた。そして、2004年に10キロに訂正した。今度は10キロから倍以上の22キロメートルに訂正した。それでも安全性は確保されてると、こう強弁するわけです。私は、この点で、県民に対してきちっと謝罪もし、説明責任を果たすべきだと思います。調査は私はまだ不十分だと思います。
ある週刊誌は、島根県の活断層は成長する、伸びる、子供の背が伸びるのと違うんですよ。私は活断層の見落とし、見逃しを電力会社は謝罪をしなければならないと思います。県民の安全を守るためには、私は活断層の評価を科学的にきちっとやるべきだと思います。宍道断層は今22キロメートルと中電は規定しました。
しかしながら、海底の活断層です。中越沖地震も海底の未知の断層が動いたわけです。ですから、今度国が海底活断層調査をやるということを聞いておりますけども、これを正確に把握するためには、西で言えば鹿島町の古浦湾の西方、そして東で言えば美保湾東方をきちっと調査をする。私はこのことを強く、島根県として国に言っていただきたいんです。要求していただきたいんです。もちろん、措置要求権を使って中国電力にも措置の協定第12条を発動してもらってもいいんですけども、私は国にまず言っていただきたい。知事、要求してほしい。このことを求めますけどどうですか。
○議長(森山健一) 溝口知事。
○知事(溝口善兵衛) 私どもは、国に対しましても、電力会社による活断層の調査、耐震性の調査、最大限の努力をすべきであるということを申しておりますし、それに対しまして、国のチェックも厳格に、極めて厳格に行わなければならないということは常々言っているわけでございます。今、御指摘がありました海底の活断層調査につきましては、国の原子力安全・保安院が直接島根沖において、夏以降実施すると言っとりますから、今その対応を注視をしてるところでございます。
それからさらに、古浦湾の西、美保湾の東につきましても調査対象としておりますので、今その対応を注視をしているということでございます。
○議長(森山健一) 尾村議員。
○尾村利成議員 よろしくお願いしたいと思います。
新潟県の柏崎刈羽原発は、想定外地震動3つの要因を挙げました。1つ目の要因は、通常よりも大きな揺れを発生する震源影響があった。2つには、深部地盤における不整形性の影響があった。3つ目には、古い褶曲構造による増幅があった。こう言っています。この3つの要因を考慮に入れた耐震安全性の見直しが、この島根原発でも私は求められています。中電に再評価を求めていただきたい。いかがでしょうか。
○議長(森山健一) 溝口知事。
○知事(溝口善兵衛) 御指摘のとおり、5月22日に、東京電力の柏崎刈羽原子力発電所の地震観測データの分析に基づいて、従来、想定をしていなかった3つの要因があって、それによって震度が、揺れの大きさが大きくなったということが報告をされたわけです。これに対しまして、国の原子力安全委員会におきまして、まず原子力安全・保安院ですね。これは経産省のほうですが、そちらに対しまして、柏崎で得られた新しいデータ、新しい分析に基づいて、ちゃんと各電力会社の調査が行われるようにチェックをするように要請をしておるわけでございます。これに対しまして、原子力安全・保安院では、現在、各電力会社が行っております中間報告の審査をしているわけでございますけども、そういう新たな要因につきましても確認をすると言っておりますので、私どもは、これに基づきまして、国の保安院のほうから各電力会社に対して必要な指示が出るものというふうに思っておりますし、それからそういう点につきまして問題があるようでございましたら、当然、私どもとして、国に対してちゃんと調査をするようにという申し入れをしますが、既に事態は動いておりますから、その方向に進んでおりますから、そこを今は注視をよくしておるという段階でございます。
○議長(森山健一) 尾村議員。
○尾村利成議員 私は県の努力を次に求めたいと思うんです。
新潟県は、原発の設備の健全性や耐震安全性を議論をする、そして県に対して技術的な助言を行う技術委員会が設置をされています。私は島根県としても、県独自のチェック体制を強化する機関の設置を求めたいんです。その点で知事、どうでしょうか。
○議長(森山健一) 溝口知事。
○知事(溝口善兵衛) 島根県におきましては、原子力発電の安全性に関する私どもに対する専門家による助言の場として、安全対策協議会というのを設けておりまして、その協議会の顧問会議の中に、専門家の方を委嘱して意見をその都度もらっておるわけでございます。御指摘のように、現在の協議会の顧問委員会のメンバーは、環境放射線や原子力工学などのいわば炉についての、原子炉そのものについての専門家でございまして、耐震に関する専門家はおられないわけでございまして、私どもは、こうした状況を踏まえ、各県でもそういう耐震の専門家をそういう顧問に入れられるということをやっとりますから、私どものほうも早くそういう専門家を確定をいたしまして、顧問になっていただきまして、私どもに適切な助言をいただくように検討を今しているところでございます。そう遠からずそういうことを実行したいと思います。
○議長(森山健一) 尾村議員。
○尾村利成議員 知事、今の答弁は、顧問を拡充するということですか。私は、顧問会議は顧問会議で結構なんですが、新潟県で言えば安全管理に関する技術委員会ですね、これは国に対しても物を言うわけです。そして、県に対しても助言するわけです。そして、県民に対してもさまざまな問題をわかりやすく伝えるという、こういう役割を持ってるんです。私は、こういう機関の設置を求めてるんですけども、どうでしょうか。
○議長(森山健一) 溝口知事。
○知事(溝口善兵衛) 今の協議会におきましては、専門家の方々が意見を交わされて、一つの方向を出されて、それを協議会の場で県民の方々に説明をすると。それから、私どもに対しても助言をしていただくという仕組みになっておりますから、県民の方々に対しましても、県に対しても意見を言っていただくような仕組みになっております。私どもは、それを受けまして、国に対して要請をしたり、あるいはさらに県民の方々の説明についての仕方をよく工夫をしたり、そういうことをやっていきたいと思います。今おっしゃられたような方式は、いろんな形があると思いますので、どういう形が適切かよく検討してみたいと思います。
○議長(森山健一) 尾村議員。
○尾村利成議員 県としてのチェック体制の私は機関設置お願いしたいと思います。
最後です。
地域防災計画の問題です。
県の今の地域防災計画の地震被害想定は松江の南方です。これはもうだめです。宍道断層が22キロメートル、そしてこの周りにはいろんな断層があります。地震の巣の状態になってます。今、島根原発周辺は活断層の集中地帯になってます。私は、今早急に、地域防災計画、地震被害想定を見直すべきだ、宍道断層とすべきだ、このことを強く求めますがどうでしょうか。
○議長(森山健一) 加松総務部長。
○総務部長(加松正利) 現行の県の地域防災計画震災編におきましては、県内の歴史地震ですとか地震観測の資料などを調査をいたしまして、都市への影響の度合いなども考慮して、松江南方を含めて県内4カ所にマグニチュード7レベルの大規模な地震が発生した場合の人的被害あるいはライフラインなどの被害想定を行っています。
御指摘の宍道断層につきましては、現在、耐震性評価の中で調査され、また国において確認中です。我々もその関係で説明を受けてまいりますが、その中でこれまで想定していました被害規模を大幅に上回るなどの新たな知見が得られれば、想定地震についても見直すべきかどうか検討してまいります。
済いません。あと一点補足ですが、今海底の御指摘がありましたけども、海底活断層調査につきましては、先ほど知事が申し上げましたが、国の原子力保安院が直接島根沖において夏以降にこれを実施する予定であるということで、具体的な調査計画が決まれば、県及び松江市に連絡があるということで、実施予定ということでございます。そういうものの知見を踏まえて、被害想定が大幅に上回るというようなことが出てまいりましたら、想定地震についても見直すべきかどうか検討してまいります。
○議長(森山健一) 尾村議員。
○尾村利成議員 被害規模を大幅に上回る、私は調査結果出たと思いますよ。今までは長さが10キロだったからマグニチュード6.5、今度は22キロ、これはマグニチュード7.1想定ですね。地震エネルギーで言えば以前のものと比べれば20倍の地震エネルギーだと思います。
私は、県が県民の命と安全を守るためにも、この地震の地域防災計画の見直し、これをやっていただきたいと思いますし、徹底した活断層調査をやっていただきたい。そして、こういう危険なところでプルトニウムを燃やす、私はプルサーマルは撤回していただきたい。このことを強く求めまして、質問を終わります。