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議会の取り組み

議会の取り組み詳細

2008 年 9 月定例会 一般質問 (原油高・諸物価高騰対策について、介護保険について、子どもの無保険について、地産地消について、農業公社について、雇用促進住宅について、教員・職員の採用について、学力調査について)

2008-09-22 この記事を印刷
日本共産党の尾村利成でございます。

1.原油高・諸物価高騰対策について

 質問の第一は、原油高・諸物価高騰対策についてであります。

 私はこの間、隠岐の島をはじめ、県内各地の漁業者、農業者、中小業者のみなさんの切実な声と実情をお聞きしてきました。

 そして、出された要望をもとに9月1日に、農林水産省や総務省、厚生労働省など6省に対し、燃油等高騰対策の実効ある緊急対策を実施するよう求めてきたところであります。

 原油や穀物、生活物資の高騰が県民の暮らしと営業に大打撃を与えています。特に、生産コストに占める燃料代や飼料代などの割合が高い漁業、農業は存亡の危機に直面しています。中小業者も原材料と経費の増大が経営を圧迫し、消費の後退による売上減少で深刻な状況となっています。

 経済産業省が発表した通商白書によれば、原油価格、小麦価格など投機マネーによって、4割前後も価格がつり上げられていると指摘されています。

 価格のつり上げは、漁民や農民などには何の責任もありません。不当に押しつけられた経営危機の問題は、政治の責任で解決するしかありません。

 ところが、政治は国民の期待に応えているでしょうか。国政では安倍、福田総理と2代にわたっての政権投げ出しです。今日、これだけ国民が苦しんでいるときに、あまりにも無責任ではありませんか。

 県政はどうでしょう。教員や県職員の採用試験において、採用試験の合否情報を事前に県議会議員や国会議員秘書に連絡していたことに対し、いったい政治は何をしているのかと県民の怒りの声が巻き起こっています。県政、県議会への信頼が大きく揺らいでいるではありませんか。今、政治は何のためにあるのか、そして誰のためにあるのかが厳しく問われています。

 漁業者や農業者からは、「魚価の低迷、資源の減少、そして油の高騰と三重苦だ。漁に出れば出るほど赤字になる」「生産者米価や農産物価格は上がらないのに、燃料費や肥料、飼料の高騰でもう限界です。後継者はいなくなってしまいます」との悲鳴があがっています。ダンプの運送業者は、売上の半分が高騰する燃料費に消えてしまうと言い、金属加工業者は、鋼材が7割も値上がりしたが、価格に転嫁できないと頭を抱えています。

 このように、いま起こっている事態は、すべての県民の生活と営業を破壊しかねないものであり、国や自治体が一刻も早く有効な救済策を打たなければ、取り返しのつかない事態になりかねないものです。
 
 県としても、この非常事態に対し、それに相応しい構えと体制を確立することが求められています。

 そこで伺います。

 県として、激甚災害なみの体制を確立し、緊急対策本部を設置し、全庁の総力を結集すべきではありませんか。そして、各分野の緊急実態調査を実施し、直接補填など実効ある対策を取るべきではありませんか。所見を伺います。

 また、年金生活者、生活保護世帯などの低所得者対策、そして、原油高騰の一因でもある投機マネーに対する規制措置なども必要と思いますが、国に対する要望も含め、知事の所見を伺います。

2.介護保険について

 次に、介護保険について伺います。

 まず初めに、ケアマネージャーの更新研修費についてであります。
 
 2006年度よりケアマネの資格更新制度が導入されました。ケアマネは、高齢者の自立支援を目指し、ケアプラン作成や主治医との連携など介護保険において重要な役割を担っています。ケアマネージャーの更新研修費用は、本年1月時点で、富山県では無料であり、5千円以下の県が群馬県、沖縄県、長野県、山形県など8県あります。しかし、島根県のケアマネ更新研修費は2万円であり、ケアマネから更新研修の費用を引き下げて欲しいという声が多数寄せられています。更新研修費用を引き下げるための支援策を求めます。所見を伺います。

 次に、認知症高齢者グループホームについて伺います。

 認知症高齢者グループホームは、2006年4月の介護保険の報酬改定で、認知症高齢者等が住み慣れた地域で生活を継続できるよう、地域密着型サービスに位置づけられています。

 市町村の設置・運営となった認知症高齢者グループホームに入居する場合、毎月の入居費用は、介護保険一割負担金と食費、家賃、光熱水費、オムツ代、医療保険受診一部負担金など、合計すると月額約15万円にも上ります。

 国民年金を受給されている方の年金受給額は、月額平均約5万円しかなく、入居費用の負担額が大きいため、入りたくても入れない状況が生まれています。

 特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設の介護保険3施設は、生活保護や非課税世帯の方に対して、食費・居住費の減額制度(補足給付)がありますが、認知症高齢者グループホームには減額制度がありません。

 今後、認知症高齢者がますます増えていく中で、入居費用を不安にすることなく、認知症高齢者が住み慣れた地域で生活が継続できるよう、県として独自の減額制度の創設を求めますが、所見を伺います。

 次に、第4期介護保険事業計画についてです。

 介護保険制度は、2000年4月に施行されて以後、介護施設の食費・居住費の保険外しによる利用料の負担増や、軽度と認定された人を中心に介護ベッドや車椅子の「貸しはがし」、介護予防サービスの包括払いによる利用時間・回数の制限など、相次ぐ介護給付費の抑制で、利用者や家族、介護現場から批判の声があがっています。

 しかしながら、現在国において、要介護2以下の人をすべて介護保険の適用外とする案や、ヘルパーの生活援助サービスのみを利用している人を介護保険の適用外とする案、利用料を1割から2割に引き上げる案を提示するなど、さらなる介護給付費抑制方針が検討されています。

 高い介護保険料と利用料のうえ、必要な介護サービスが受けらず、介護が必要な人を社会で支えるという介護保険制度の当初の宣伝に逆行する実態となっています。国民の願いは、誰もが安心して必要な介護サービスが利用できることです。

 そこで伺います。

 第4期介護保険事業計画の策定に際して、予防給付をふくめたサービス利用状況や地域支援事業の実施状況、特養待機者、在宅重度者、介護認定後未利用者の実態など調査を行うことを求めます。

 また、療養病床の転換計画については、急性期病院を含めた地域の医療・介護事情など必要な調査を行い、地域の高齢者・低所得の利用者の生活実態にあった計画を策定すべきと考えますが、いかがですか、所見を伺います。

3.子どもの無保険について

 次に、子どもの無保険について伺います。

 国民健康保険では、保険料を一年以上滞納している被保険者を一律に悪質滞納者とみなし、その制裁措置として、被保険者証の返還が求められ、その代わりに資格証明書が交付されています。

 保険料滞納世帯は毎年増え続け、全国で480万世帯、資格証明書交付世帯は35万世帯となっています。島根県では、滞納者世帯は国保加入世帯の11%にあたる1万2千世帯にものぼり、資格証明書交付世帯は約1600世帯となっています。

 資格証明書では、病院受診時に10割負担となり、患者を病院から遠ざけることとなります。初期治療の取りかかりが遅れ、病気の悪化で命が脅かされる悲惨な事例が後を絶ちません。

 看過できないのは、資格証明書は世帯に交付されるため、国保料を滞納した世帯の子どもが保険給付を差し止められ、無保険状態になり、お金の有無によって病院に行けない事態が起こっていることであります。乳幼児をはじめ、何の責任もない子どもが病院に行けない無慈悲な社会は非情であります。直ちに改善することが求められております。

 そこで伺います。

 第一に、県内において、満18歳未満の国保の無保険者の実態はどうなっていますか。子どもの育成責任を負うと規定している児童福祉法の観点からも児童においては資格証適用除外とすべきと考えますが、いかがですか。所見を伺います。

 第二に、資格証明書交付世帯に対して、訪問や相談体制を強化すべきであります。そして、病気等により受診の必要性が生じた場合には、直ちに資格証明書交付を中止し、被保険者証を交付すべきであります。所見を伺います。

4.地産地消について

 次に、地産地消について伺います。

 燃油・諸物価高騰により学校給食費の値上げが相次いでおります。

 私は、県内自治体に対して、学校給食アンケートを実施しました。アンケート集計によると、既に6自治体で学校給食費を値上げしており、今後7自治体が値上げを検討するとしています。

 給食費を抑えるために、デザートや果物の回数を減らしたり、肉の種類を牛肉から豚肉へ替えるなどの涙ぐましい給食現場の努力状況が明らかになりました。

 しかし、問題点として、食材費を安くするために、生鮮食品の使用から冷凍食品へと切り替えざるを得ないとの回答もあり、地産地消に逆行する事態も生まれています。

 いま、食の安全に対して国民の不安が高まっています。三笠フーズなど悪質な企業が、のりなど工業用にしか流通させられない汚染米を食用として流通させました。酒、菓子から福祉施設・学校給食まで基準値を超える残留農薬やカビ毒に汚染された米が、今日時点で24都府県、約380社に流通し、消費者の口に入っていたことが明らかになっています。汚染米のうち、8割は輸入米・ミニマムアクセス米です。

 この汚染米問題の背景には、政府が年間77万トンもの輸入米を必要もないのに無理やり輸入してきたことがあります。政府はミニマムアクセス米の義務的輸入を中止し、主食である米流通の管理責任を果たすべきです。安全な食料は日本の大地から、この島根の大地から生産すべきです。自給率向上への真剣な取り組みと食の安全、地産地消の推進こそ国民の願いであります。

 この立場から学校給食と地産地消について伺います。

 第一に、学校給食において、燃料費、給食材料費の値上げにより、食材費を安くするために冷凍食品を使用するなど、地産地消に逆行する事態が生まれています。ついては、学校給食における地産地消の取り組みを強化すべきと考えますが、所見を伺います。

 第二に、政府の緊急対策で「学校給食に係る保護者負担の軽減」が特別交付税措置されることを市町村に周知徹底することを求めます。また、県としても学校給食に対する支援強化策を求めますが、いかがでしょうか、所見を伺います。

5.農業公社について

 次に、農業公社について伺います。

 県内には、安来市、飯南町、斐川町、隠岐の島町など、7つの市町村農業公社があり、農地保有合理化事業、農作業受託など実施し、耕作放棄地解消に向けた耕起作業を展開し、農地保全に多大な貢献をしています。
 
 日本の食料と農業は、深刻な危機に直面しています。世界でも異常な39%にまで落ち込んだ食料自給率を引き上げるためには、耕作放棄地を広げないように農地を保全するとともに、地域農業の担い手を確保・拡大することが欠かせない課題となっています。
 
 そのためには、多様な家族経営を維持・発展させること、新規就農者の参入、定着を支援すること、地域農業で重要な役割を果たしている大規模農家や生産組織を支援することが重要であります。そして、行政や農協、農業公社が一丸となって力を合わせることであります。

 私は、この間、燃油高騰調査で隠岐の島を訪れました。そして隠岐の島農業公社を視察してきました。

 隠岐の島農業公社は、隠岐の島町の耕作地の約1割を耕作し、島の農業の最後の受け皿として、耕作放棄地を田畑に戻し、水田を守り、森林を守り、結果として、災害から島を守って隠岐の景観を守るという、かけがえのない役割を果たしていることを実感しました。

 そこで、公社について伺います。

 隠岐の島農業公社は、条件不利地での農地保全や耕作放棄地解消、遊休農地復元、災害・環境維持対策などの役割を果たしています。隠岐の島農業公社をはじめ、県内の公社に対する役割と期待、県としての支援策について伺います。

6.雇用促進住宅について

 次に、雇用促進住宅について伺います。

 全国各地で約35万人が暮らす雇用促進住宅を廃止する動きが始まり、県民の間に不安が広がっています。政府は、2021年度までに同住宅、約14万戸を全廃する方針で、その内、半分程度を3年後の2011年度までに廃止もしくは地方自治体へ売却する方針です。

 県内で3年後までに廃止予定の住宅は、安来市、松江市、出雲市、雲南市、浜田市、益田市、津和野町の6市1町に及ぶ14ヶ所、1100戸の住宅であります。

 雲南市・木次町の住宅では、「今年の12月末までに退去してほしい」との文書が玄関ポストに投げ込まれていました。文書を見た人からは「紙切れ一枚の通知で退去せよとは何事か。人間扱いさえされていない。きちんと退去理由を説明すべきだ」との怒りの声が出されました。

 出雲市の住宅では、「住宅がなくなれば、この団地に住む子ども達全員が転居し、生徒がいなくなり、学校がなくなってしまう」と地域をあげた反対運動が巻き起こっています。

 日本共産党は、この居住権を無視した退去問題で、何度も政府に申し入れを実施してきました。私自身も9月1日に厚生労働省に出向き、入居者と十分に話し合い、一方的な退去通告は直ちに撤回するよう求めたところであります。

 入居者の運動が力を発揮し、厚労省は入居者に対して年内中の退去は求めないこと、入居者への説明会を開くこと、退去困難な事情がある場合には、2010年11月末まで退去の延期措置を取るとの見直し方針を決めました。しかしながら、住宅全廃という当初方針は変えていません。

 非正規労働者やワーキングプアの増大で家賃が払えず、ネットカフェで寝泊りする若年労働者が社会問題となっています。居住権を保障する雇用促進住宅の役割は、今日、ますます重要になっているのではないでしょうか。

 そこで伺います。

 第一に、入居者の理解を得ない一方的な住宅廃止や入居者退去を強行しないよう国に強く求めるべきと考えますが、所見を伺います。

 第二に、雇用促進住宅廃止に伴う退去者に対しては、公営住宅への優先入居対策を講じるなど、関係市町との相談・連携体制を強化すべきと考えますが、いかがですか、所見を伺います。

7.教員・職員の採用試験について

 次に、教員・職員の採用試験について伺います。

 大分県での教員採用をめぐる汚職事件では、事件発覚以降、県教委幹部の逮捕、教員の採用取り消しなどが報道されております。このような不祥事、不正がはびこらないよう、公平で公正な採用試験制度となるよう常に改善を重ねることが重要であることは論を待たないところであります。

 ところが、本県におきましても、教育委員会では2005年度まで、人事委員会では、つい昨年度まで、県議会議員等に対して、合否の事前連絡が行われていたことが明らかになりました。

 「サービスとして連絡していた」「口利きはない」と、合否への影響を否定していますが、徹底した調査と厳格な対応があってこそ、県行政に対する信頼を回復できるのではないでしょうか。

 島根県は、8月11日、退職者を含む27人が事前連絡に関係し、その連絡先が、県議、国会議員秘書、県職員ら、のべ84名に及んだこと、その事前連絡に関係した現職の職員15人を「口頭注意」処分としたことを発表しましたが、まったく不十分な調査と処分であることを指摘せざるを得ません。

 なぜなら、一番の核心部分である、なぜ事前連絡が行われていたのかについての解明が行われておらず、県当局自らが示している処分基準からしても「身内に甘い処分」となっており、到底県民の納得のいくものではないからであります。

 この事前連絡問題では、私のところに電話やメールなどによって様々な情報や怒りの声が届けられました。県民の立場、県民の目線に立ち、以下三点伺います。

 まず第一に、採用試験合否情報の事前連絡問題の調査において、なぜ事前連絡をする必要があったのか、誰がどう関わったのかが全く明らかにされておらず、県民は納得していません。事前連絡の必要性、妥当性とその理由ならびに総括、また誰がどう関わったのか明確にすべきであります。知事、教育長の答弁を求めます。

 第二に、事前連絡は、地方公務員法の守秘義務違反(第34条)、信用失墜行為(第33条)、「不適切な勤務に係る懲戒処分の基準」での秘密漏洩に該当すると考えますが、所見を伺います。

 また、処分は事前の連絡を指示した幹部も、指示に従った部下も同じ口頭注意処分となっていますが、責任の所在を明らかにした処分とすべきであります。いかなる条例に違反し、いかなる処分基準によるものなのですか。知事、教育長の明確なる答弁を求めます。

 第三に、採用試験については、情報公開に努め、透明性を高めることで、より公平で公正なものになると考えますがいかがですか、所見を伺います。

 また、これまで県教委にあっては、「公開すると受験技術のみに走り、採用試験に支障が生じる」との考えを示されてきましたが、県教委のホームページでは、採用試験対策を商売としている企業の広告バナーを掲載しているではありませんか。矛盾するのではないですか。所見を伺います。

8.学力調査について

 最後に、学力調査について伺います。

 児童生徒に確かな学力と人間らしさを育んでほしいというのは国民的な願いであります。その国民の願いに応えるため、学校現場、とりわけ教員が、その教育的力量を十分に発揮できるよう定数配置を行うことが必要です。

 また、児童生徒がその家庭の経済的格差に影響されることなく、等しく教育を受ける権利を保障し、教育の機会均等が図られるよう、教育条件を整備することが、国や自治体の責務であります。

 島根県における学力調査は3年目を、また、国における学力調査は2年目を終え、それぞれ結果が公表されました。ところが、その調査結果の公表ばかりに目が向けられ、しまいには、データを公表するかどうかで予算配分を考えるなどと発言する首長がいくつかの自治体で現れるなど、物議を醸しています。

 そこで伺います。

 第一に、国や自治体が行う学力調査は、いわゆる行政調査であり、学校現場で日々行われている諸テストのように個々の児童生徒の指導を目的としたものではありません。国や自治体当局自身の教育条件整備の課題を把握することを目的として行われるものと考えますが、所見を伺います。

 第二に、学力向上は、現場教員が授業改善などについて当事者能力をもち、地域と連携し主体的に取り組むことが大切であり、その環境が現場にあるのかどうかにあります。学力調査の市町村別データを公表することが学力向上策であるかのように、予算権限までちらつかせて圧力をかける首長まで出てきている風潮に対して、所見を伺います。

 第三に、「勤務時間の適正化」が通知された以降の取り組みで、現場教員が児童生徒と向き合ったり、授業改善に取り組んだりする時間が確保されるよう改善されたのでしょうか、所見を伺います。


○副議長(多久和忠雄) 溝口知事。

○知事(溝口善兵衛) 尾村議員の御質問にお答え申し上げます。

 最初に、原油高、諸物価高騰対策等についての御質問でございます。

 御指摘のように、原油価格の高騰は、県民生活はもとより、中小企業や農林水産業などの産業にも大変厳しい状況を引き起こしておるわけでございます。御指摘のように、県はそうした県民生活への影響でありますとか、県内経済の実態を十分把握いたしまして、必要な対策をとっていかなければならないと考えているところであります。

 そうしたことから、昨年の年末の段階で灯油が上がるといったことで調査をし、それを予算にも反映をいたしました。それから、9月議会を前にしまして、7月の末から8月にかけましては、商工労働部を中心といたしまして、企業80社近く、実際に回りまして、状況を把握し、あるいは御意見をちょうだいしたりいたしております。

それから、同様のことは金融機関に対しても、どういう融資の状況ですかとか、あるいは商工会、商工会議所、あるいは農林水産業者の方々等々に対しまして、個別にも随分ヒアリングをしております。

 実は、そういう実態調査を踏まえまして、今議会に提案いたしておりますけども、農林水産業等に対します追加補正の補正予算を提出しているとこでございます。また、中小企業に対する対策につきましては、9月10日から融資利率を構造改善等一定の資金に対しまして引き下げることといたしました。さらに、融資期間の延長でありますとか、据置期間の延長もあわせて実行したところでございます。

 また、国におきましては、こうした状況を踏まえまして、8月の末に緊急経済対策を作成をいたしたところでございます。今、そのための補正予算の編成が行われておるわけでございますけども、まだ国会の開会が行われてませんから、細かい点まではわかりませんが、政府の対策の中では、生活資金の貸し付けなど、低所得者対策なども盛り込まれておるわけでございます。今後も、この対策が早期に実施をされ、県といたしましては、国の対策なども踏まえながら、適切な対応をしていきたいと考えておるわけでございます。

 また、国が対策をまとめられる過程におきましては、県選出の国会議員の方々あるいは県議会の方々と一緒になりまして、国の省庁に緊急対策を、我々も要望してきたところでございます。引き続き、こうした行為をやっていきたいと。県民生活、県経済に大きな影響が生じないよう対応してまいりたいと考えているところであります。

 これに関連いたしまして、エネルギー価格等が投機資金によって上昇していると、これに対する対応はどうかというお話がございました。直接的な規制はなかなか難しいっていうのがこれまでの経験でございますけども、例えば、そうした石油の先物市場に投資ファンドなどがどういう資金を投入しているか、あるいはどういう状況にあるか、そういう情報を公開するっていうことが一定の抑制になるんではないかといったようなことで、米国などで取引情報の公開とか市場監視を強化する検討なども行われ、法案も出されとります。日本もそうしたことを検討する必要もあろうかと思います。私も必要に応じまして、関係者とも意見交換等をしてまいりたいと思いますし、可能であれば実施をするように慫慂もしていきたいと考えているところであります。

 次に、雇用促進住宅の廃止譲渡の問題につきまして御質問がありました。

 昨年の12月の閣議決定によりまして、平成23年度までに、全住宅数の2分の1程度を譲渡または廃止するということになったわけでありますが、島根県内におきましても、14団地、1,100戸がその対象になってるわけでございます。

国におきましては、本年度中に全入居者に対する説明や転居先の確保が困難な入居者に対しましては、明け渡し期間の猶予なども行うということになっておりますが、先ほどのお話では、まだ十分な説明が行われてないところもあるようでございますので、私どもといたしましても、雇用・能力開発機構に対しまして、現に入居している人が不安を抱かないよう、できるだけ早期に、入居者に対して丁寧な説明を行うように求めていきたいと思います。

 また、公営住宅が利用可能な人たちに対しましては、そういう対策も考えなければならないというふうに思いますし、また市町村が引き受ける、買い受けるということも可能なわけでございますから、買い受ければ、引き続きそこに居住することも可能であろうと思いますので、市町村が買い取りやすいように、譲渡価格の減額などにつきましても、国に対しまして要請をしてまいりたいと考えているところであります。

 それから、採用試験の合否情報の事前連絡問題について御質問がございました。

 概要は議員のお話の中にもあったわけでございますが、8月11日に県の調査結果を公表したところでございます。管理職及び人事担当部局において、GL以上の職員に対しまして、平成17年度から20年度の間、そうしたことがあったかなかったか、聞き取り調査をやったわけでございます。総勢456名でございます。さらに、その結果、16年度以前についても聞く必要があると考えられた職員につきましては、14名でございましたが、追加的にそれ以前についても調査をしたということでございます。それで、27人の職員が合否結果を事前連絡していたということが、退職者を含めてでありますが、判明したわけでございます。

 それで、私自身も、そうした事前連絡をした知事部局の職員全員に対しまして、私が個別に聞きました。どういう事情でそういうことが起こったのかと。聞きますと、そうしたことは外部の人から問い合わせといいますか、依頼があって、そうしたことに初めて遭遇した人は、前任者などにどうであったかというのを聞いて対応したということでありますし、あるいは中には、若いときに、管理職になる前に、職場においてそういう人事の場などにおりまして、そういうことを見聞をしてた人は、それに応じたような対応をしてたということでございまして、突如こういうことが始まったというよりも、長い歴史の中でどうも組織内であったということのようでございます。

 それから、依頼があって行ったというようなことでございまして、何らかの便宜供与をするといったようなことで積極的に行った、あるいは試験に影響を及ぼすというようなことで行ったことではないようでございますし、それから大体が、前日の発表の夕刻から、あるいは最近では当日の朝ぐらいになってたようでございますが、数時間後、半日後には公表されるようなものを、事前の要望があって伝えたというのが実態のようでございます。

 しかし、こうしたことは行政として公平を欠くものでありまして、不適切な行為であり、県民の方々に対しましても大変申しわけないことであります。

 そこで、その処分をしたわけでございますけども、地方公務員法あるいは島根県の個人情報保護条例などに触れる可能性が高いわけでございますが、実際にどういう処分をするかというのは、自動的に決まるわけではありませんで、個々の事案につきまして、行為の原因でありますとか、あるいは行為の目的でありますとか対応でありますとか、あるいは結果でありますとか影響でありますとか、諸般の事情を考えまして、総合的に判断をせざるを得ないわけでございます。

私といたしましては、先ほど申し上げました実態に対しまして、口頭処分を管理職に対しまして行ったわけでございます。私から厳しく個別に注意をいたしたところであります。職員もこれまで組織の中で行われていたということはあるにせよ、反省を強くしておったわけでございます。そういうことが事前連絡に対します私の処分の内容、考え方でございますが、今後も全職員に対しまして、一切こうした行為を行うことのないよう強く指示をしたところでありますし、研修等の機会を通じまして、今後引き続き、徹底をしていきたいと考えておるところであります。

 それから、学力調査の市町村別データの公表を県が行うことに関連いたしまして御質問がございました。

 全国の学力調査は、実は文部科学省が定めた実施要領があるわけでございまして、その実施要領を、各学校あるいは市町村の教育委員会、県の教育委員会も承知をした上で実施をしておるもんであります。その実施要領の中にはこういうふうに書いてあるわけであります。調査結果の取り扱いに関する項がありまして、本件調査の主体が国であること、市町村が基本的な参加主体であることにかんがみて、都道府県教育委員会は域内の市町村及び学校の状況について個々の市町村名、学校名を明らかにした公表は行わないことということになっております。それから、市町村教育委員会は域内の学校の状況について個々の学校名を明らかにした公表を行わないこと。それから、市町村教育委員会が保護者や地域住民に対して説明責任を果たすため、当該市町村における公立学校全体の結果を公表することについては、それぞれの判断にゆだねるということ。それから、学校が自校の結果を公表することについてはそれぞれの判断にゆだねるということでございます。

いわばこうした枠組みの中で実施をされたもんですから、この実施要領を離れまして、違う取り扱いを県が市町村に強制をしたりするのは適当でないというふうに私は思います。ただこの問題は既に行われた試験に対してのことでございます。また、将来どうするかというのはまた別の問題であろうかと思います。

 それで、市町村の中には既に自分の市町村の状況を公表したとこもございます。やはりそれぞれの市町村がうちの地域では公表が必要だとか、あるいは学校ごとにも公表が必要だというようなことを市町村の中で議論をして、その上で判断をすべき問題ではないかというふうに私は考えております。


○副議長(多久和忠雄) 山根健康福祉部長。

○健康福祉部長(山根成二) 私からは、5点の御質問についてお答えをいたします。

 まず、ケアマネジャーの更新研修の受講料についてでございます。

 この受講料につきましては、資料代を初め、研究に必要な経費を実費相当分として受講者に自己負担をしていただくことにしております。なお、県としましては、別途講師に係る経費や会場使用料、これにつきましては県が負担をしております。中四国各県の受講料の状況などからいたしますと、現在のところ、受講料を軽減することは困難でございますが、今後の課題といたしましては、研修経費の節減に努めてまいりたいと、かように考えております。

 次に、認知症高齢者グループホームにおけます補足給付についてでございます。

 グループホームは、サービス区分としては施設サービスではないという分類であることから、御指摘のように、施設サービスに設定される補足給付の制度は現在のところございません。このことから、特別養護老人ホーム等の施設と比較しますと、利用者の負担が高額となっていることは事実でございます。しかしながら、介護保険制度は全国統一制度でございまして、県として独自の減額制度を設けるということは考えておりませんが、現場の状況を確認いたしまして、経営者の御意見も十分聞きまして、必要があれば国に意見を申し上げていきたいと考えております。

 次に、第4期介護保険事業計画の策定に際しての必要な調査についての御質問ございました。

 介護保険事業計画におきますサービス量の設定に当たりましては、御指摘のように、介護予防のための地域支援事業の実績を初め、特別養護老人ホームの待機者の状況や、あるいはその要介護度等は大変重要な事柄でございまして、既にこれらの調査については実施をしているところでございます。

 こうした調査結果を踏まえ、必要なサービス量を構築していくよう市町村にお願いするとともに、県としても、利用者の実態に即した市町村計画となりますよう確認をし、その上で県計画を策定していきたいと、かように考えております。

 また、療養病床再編成につきましては、転換推進計画策定後も、再度、県独自での実態調査を実施したところでございます。この調査では、医療機関の転換意向の確認にあわせまして、利用者お一人お一人の医療区分や要介護度、出身市町村を確認するとともに、個別のヒアリングも実施しております。その中で、利用者の方がどこの病院から入ってこられたのか。あるいはそれぞれの療養病床が地域においてどのような役割を果たしているかなどについても、きめ細かく確認をしたところでございます。

 こうした情報を市町村に提供いたしまして、市町村と情報共有をした上で、利用者の実態や地域の実態に即した介護保険計画となるよう努めてまいります。

 次に、国保料滞納世帯の子供に対する被保険者資格証明書の交付についての御質問にお答えします。

 国民健康保険の資格証明書の交付世帯のうち、子供のいる世帯につきまして、現時点で把握している県内の状況でございますが、世帯数は107世帯でございます。その世帯には、就学前の子供さんが40人、小中学生の方が139人いらっしゃいます。議員御指摘の児童福祉法の趣旨は尊重すべきでありますが、その点はともかくといたしましても、国民健康保険制度におきましても、子供が病気にかかった場合で一定の事情があるときには、資格証明書の交付を行わないこと、これもできるわけでございましたので、個々のケースを画一的に取り扱うことなく、十分に調査することが必要であると、かように考えております。

 また、国が全国の実態調査を現在行っておりますので、この調査後の国の動向に注視いたしますとともに、県といたしましても、今後、市町村が資格証明書交付世帯に対する訪問や相談をより丹念に実施されるよう助言してまいりたいと、かように考えております。


○副議長(多久和忠雄) 小林農林水産部長。

○農林水産部長(小林淳一) 私からは、2点についてお答えいたします。

 まず、学校給食における地産地消の取り組みの強化についてであります。

 県では、各圏域ごとに、生産者や学校給食関係者などによります地産地消を推進する協議会を設置いたしまして、地域ごとに推進に取り組んでおります。今後、地元の産品の活用をさらに拡大するためには、生産者の方と学校給食関係者の方の話し合いを通じて相互の理解、また情報の共有を深めていくことが必要であると考えております。

 2つほどの事例を紹介させていただきます。

 浜田地域では、県が支援いたしまして、農業士会の方々が地域の有機野菜や牛、茶などを、学校給食関係の方々、また行政、JA関係者などに紹介する活動を行っていただき、地元産品の活用につながっております。

 また、雲南市木次町では、県も交えまして、学校給食関係の方々と野菜生産グループ役員の方が、月1回の定例会で給食施設への納入品目ですとか数量を決定し、安定供給体制を確立しているという事例もございます。

 県といたしましては、関係各課や教育庁と連携を図り、先ほど紹介いたしました事例のような生産者と学校給食関係者との情報を共有する場づくりや優良事例の紹介、また学校給食関係者の研修の場での県産品の提案、紹介といったような取り組みを、今後強化してまいりたいと考えております。

 次に、県内の農業公社についてお答えいたします。

 県内には、市町村などが出資して設立された農業公社が7つあります。御指摘のように、主に経営を縮小する農家の農地を、片一方、経営を拡大する農家の方にあっせんする農地保有合理化事業や、それから農家の方々から頼まれて、田植えなどの農作業を行う受託事業などを行っておる状況でございます。

 ところで、ことしすべての市町村で耕作放棄地を調査し、あわせて解消計画を策定するということになっております。この際、単に耕作放棄地をどうするかというだけでなく、これを契機にいたしまして、地域の農業のあるべき姿の中で、農地をどう利用し、また保全していくのかという視点で、各市町村ごとに検討いただき、いわば農地のグランドデザインといったものを書いていただきたいと考えております。その計画の中で、市町村それぞれの公社が今後どのような役割を果たしていくのか、明確にされるべきものと思っております。

 県といたしましては、今後の農地の利活用や保全を進めていく上で、とりわけ耕作放棄地の解消を進めていくためには、公社が持つ農地保有合理化の機能はますます重要になっていくものと考えております。また、公益法人である公社を指導監督する立場といたしまして、県といたしましては、今後も適切で効果的な事業実施と効率的な運営について、指導、助言をしていきたいと、こう考えております。


○副議長(多久和忠雄) 神長土木部長。

○土木部長(神長耕二) 雇用促進住宅の廃止に伴う退去者への対応についてお答えいたします。

 雇用促進住宅と公営住宅では、収入基準の違いなどがあるため、必ずしも全員が入居できるとは限りませんが、仮に雇用促進住宅が廃止となり、退居せざるを得ない場合におきましては、まず関係する市町と協力して、入居者の実態把握に努めた上で、相談体制の確立や、特に住宅に困窮する低所得世帯に対する公営住宅への優先的な入居等、必要に応じて対策を検討してまいります。


○副議長(多久和忠雄) 藤原教育長。

○教育長(藤原義光) まず、学校給食に係る支援についてであります。

 学校給食の保護者負担の軽減措置については、ここに8月29日に取りまとめました安心実現のための緊急総合対策の中で、生活雇用支援対策として明記されたところであります。これを受けまして、速やかに、教育委員会、それから市町村行政の担当課から各市町村に通知や説明等を行ったところであります。

 学校給食は、昼食としてエネルギー補給の役割だけでなく、食育を進める観点から、地域特産品の活用など、地産地消への取り組みを推進するための生きた教材としての役割を負っております。引き続き、安価で安心・安全な学校給食となるよう、農林水産部や関係団体等との連携を強化し、市町村への支援に努めてまいります。

 次に、採用試験などの合否の事前連絡についてであります。

 この件につきましては、私が就任いたしました平成18年度以降は、事前の連絡を改めまして、発表後に行っておりました。それまでのところでは、発表前日の夕刻以降連絡した事実がありましたが、採用試験の合否にかかわることは全くありませんでした。これらの連絡は、いわば議員の皆様方などへの便宜供与であったわけでありますが、公平性に欠けるものであったと考えております。係ることについては、県民の皆さんから疑念や不信感が生じることにもつながることでありますので、事後の連絡も含めまして、今後一切行わないということにいたしました。

 教員の採用試験につきましては、透明性を高め、公平、公正なものとなるように、これまでも不正の入る余地のないシステムを可能な限りつくってまいりましたし、またできる限り情報の公開も行ってまいっておりましたが、よりそれを高めるということで、今回の改めて見直しを行いました。例えば、問題の持ち帰りを来年度から可能にするということとか、試験の項目ごとにその採点結果をABCのランクづけで通知するとか、あるいは答案等を今まで1年間保存しておったものを5年間の保存に変えるというふうな措置をとったところであります。

 大分を震源地として、教育に対する不信感が全国的に拡大したわけでありますが、教育にかかわる者として、このことを真摯に受けとめ、綱紀の粛正に努めてまいりたいと思っております。

 また、県のホームページにある広告バナーについては、島根県広告事業実施要綱等に基づいて掲載されているものであります。システムの設計上、教育委員会のホームページにも表示されるものであります。御指摘の企業は、採用試験のノウハウを提供しているところでありますが、それが直ちに問題とはならないと考えております。

 次に、学力調査の目的についてであります。

 国や県が行います学力調査の目的は、実施要領によりますと、各学校が児童生徒の学力や学習状況を把握し、教育指導や学習状況の改善に役立てる。国や県及び市町村教育委員会、学校が、みずからの教育及び教育施策の成果と課題を把握し、その改善を図るということにいたしております。

 もう少し現場の実態に即して申しますと、子供一人一人の学習や生活の状況、学校の状況、教師の指導力の状況などを把握することで、学習条件の課題に対処するとともに、備える必要のある学力の向上を図ろうとするものであります。こうした調査の結果を、家庭学習の時間の確保や生活習慣の改善、あるいは児童生徒の学力向上に対する学校の組織としての取り組みに生かしていきたいと考えております。

 次に、教員の勤務時間の適正化についてであります。

 学校現場で教員の忙しさが増す中で、少しでも時間外の勤務などの縮減を図ることを目的といたしまして、平成16年に教員の勤務時間の適正な管理についての通知を行っております。このことにつきましては、管理職の研修会等でも、管理職が現場の管理の重要な課題として取り組むよう要請しております。

 小学校、中学校での取り組みの状況の調査によりますと、大半の学校で、学校行事の簡素化や職員会議などの持ち方の見直しを行っております。その他、多忙の解消に向けて共通理解を図る機会を設けたり、部活動の休止日を設けたりするなどの取り組みがなされております。

 残念ながら、それが多忙の顕著な解消やゆとりの増大に結びついてない状況にありますが、例えば、私も昨年度の校長昇任の選考面接におきましては、多忙ないしは多忙感の解消についてどう考えるかという意見をすべての面接を受ける方に求めるなど、少しでも管理職がこのことについての課題意識を強めてもらうような働きかけをしておるとこであります。

 多忙の解消には、先ほど申しました会議の持ち方の見直しのような地道な取り組みが求められておりますが、一方では、学校運営上のさまざまな事項について、思い切ってめり張りをつけるということも必要ではなかろうかと思っております。

 今後も、管理職の研修会などの機会をとらえまして、具体的な取り組み例も示しながら、多忙の解消に向けて取り組んでいきたいと思っております。


○副議長(多久和忠雄) 尾村議員。

○尾村利成議員 再質問させていただきます。

 私は、採用試験の問題を取り上げました。これは、私も県会議員の一人です。この議場におられる執行部の皆さんも公務員です。特定の人の幸せではなくて、全体の奉仕者でなければなりません。これこそ県民の願いだと思います。

例えば、採用試験の合否問題で、一般の人が電話で県庁ないし教育委員会に電話して、または受験者本人が電話して、私の試験結果どうだったですかと、私は通ってましたかと聞いて、答えますか。答えない。答えるわけがないですね。私は、今回の事態というのは守秘義務違反だと。そして、処分基準で言う秘密漏えいに当たる、こういうふうに主張いたしました。知事は、守秘義務違反のおそれということを言われると思いますけれども、私はこれは違反だと言わざるを得ません。合格の発表も、氏名ではなくて受験番号のみとなっているのに、氏名を特定した合否の情報を流すということは、私はこれは明らかに違反だと思います。

県会議員初め、国会議員の秘書らが、特定の受験者の合否情報を事前に知っていい、そういう理由は絶対にありません。このこと自体が、採用試験制度の公平性や公正性を害するものであるということを、私は指摘したいと思います。

ですから、島根県が調査をやって、今後の対応として何を言ったかと。今後の対応としては、今後事前連絡をするなどした職員があったら厳正に対処すると。今後の対応方針、そう言ってるわけです。今後、事前連絡をする職員があれば厳正に対処する。ということは、この間したこと自体、これは厳正に対処しないとおかしいと思いますね、私は。

 知事の御答弁では、これは突如始まったことではなくて、長い間あったことだと。これは蔓延していたおそれがあるわけですね。私はこの点で言えば、第三者機関も含めた委員会でも立ち上げて、徹底糾明する必要があると思います。

やはり、今島根県は財政健全化計画つくって、やっぱり県民の皆さんに痛みを押しつけてます。県民の皆さんに我慢をしていただいてます。また、総合計画つくったわけですけども、この総合計画の中では、県民と協働する、県民と一緒にいい島根をつくっていくと述べているわけですけども、幾らこういう美辞麗句を言っても、県庁内やこの議会内で問題が起こったときに、きちっとここを解明するという姿勢を見せないと、私は73万の県民はついてこないと思います。このことは、強く申し上げたいと思います。

 それから、教育長のほうから広告バナーの話がありまして、問題ないのではないかと言われたんですが、時間の都合で1点申しますと、私もこの受験対策企業の広告バナー見ました。あるところのページに何て書いてあるか。オリジナルテキストというとこがあって、ページで、何を書いてあるかというと、多くの専門書を読まなくても、受験に必要な知識を身につけられるように編集された参考書、これがオリジナルテキストです。結局、教員になるために受験対策やれと言ってるんです。多くの参考書を読まなくていいと言っとるんです。私はこれはふさわしくないと思いますね。ここは再考すべきではないかと思います。

 それから、学力調査の問題でございますけども、結果の公表というのは、序列化や過度な競争につながるおそれが私はあると思います。この調査結果の公表という点では、子供を初め、保護者、それから住民の合意はありません。今日のこの大不況のもとで、もう子供たちの社会環境、経済環境、生活環境が本当に傷んでます。これ以上の私、競争主義というのは、子供たちを傷つける、そして学ぶ喜びや生きる展望を見失わせることにつながるのではないかと思うわけです。事実、国連の子どもの権利委員会が、日本に対して2回にわたって政府に警告を与えています。過度に競争的な今の日本の教育制度で、子供たちの発達がゆがんでいる、その危険にさらされてる、こう言っています。こういう行き過ぎた競争教育を改めるべきだと国連は警告しています。このことも申し上げておきたいと思います。


○副議長(多久和忠雄) 溝口知事。

○知事(溝口善兵衛) 尾村議員の御指摘に対しまして、明確な御質問ではなかったかとも思いましたが、補足をしておくべきだと思いまして発言するわけでありますが、どのような処分を行うかということにつきましては、やはり個々の事案の状況とかをよく聞き、その上で総合的に監督者として判断すべきことでございますから、今回は、先ほど答弁で申し上げました事情にかんがみ、そういう処分を行ったわけでございます。

 それで、その過程で感じますのは、職員それぞれ反省をしておるわけでございます。それから、大事なことは、やはりこういうことが二度と起きないようにすることでございまして、それにつきましては、その状況から考えまして、今回の処分で大丈夫だろうという判断をしたわけでございます。それで、今後そういうことが起きましたら厳重な処分を行うと申し上げたのは、それはそういう警告をして、いけないということを言ってるわけですから、当然、今回の処分を超えるようなものになりますよと、だからちゃんと公平な行政を行うように努めなさいということを言ったわけでございます。

 先ほど、教育委員会からもありましたが、教育委員会では、18年度から部内の中の声からそういうことが決まったようでありまして、それでそれ以降は行われてないわけでございまして、そういう意味で、我々が襟を正し、きちっとやれば、きっと問題は生じないという判断をしたわけでございますが、議員の御指摘も踏まえ、状況を私どもよく見てまいりたいと思っております。その上で、県民の方々の信頼を損なうことのないよう、公平な行政をやっていきたいと思うところであります。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画