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議会の取り組み

議会の取り組み詳細

2008 年 9 月定例会 知事提出議案、議員提出議案、請願に対する討論

2008-10-08 この記事を印刷
 日本共産党の尾村利成でございます。

 条例案1件、一般事件案2件、議員提出議案1件、請願2件について委員長報告に反対する討論を行います。


 第121号議案「島根県営住宅条例の一部を改正する条例」

 まず、第121号議案「島根県営住宅条例の一部を改正する条例」についてであります。

 本条例案は、県営住宅の管理方法を指定管理者制度によらず、管理代行制度により県住宅供給公社に行わせようとするものであります。

 そして、県営住宅のみならず、市町村の公営住宅なども県住宅供給公社へ管理代行することを可能にするものであります。管理代行制度により公的賃貸住宅の一元管理ができ、県民サービスの向上、事務処理の迅速化が図られるとしていますが、この管理代行制度にあたっては、いくつかの問題点があります。

 その一つは、入居者の募集、決定、明け渡し請求など、これまで県の権限に属していたものを住宅供給公社に代行させることとなり、公的責任が後退します。公営住宅には、高齢者や障害者、母子世帯など社会的弱者の入居割合が増えており、公営住宅を福祉政策の一つと位置づけるならばプライバシーの保護も含め、県が責任をもって管理運営すべきであります。

 二つめの問題点として、現在、全市町村とも住宅を直営管理していますが、この管理代行制度導入に伴い、県と同様に県住宅供給公社への管理代行が検討されていることです。市町村の直営管理から公社への管理代行により、市町村と入居者との福祉、教育的関係が疎遠になる恐れがございます。

 以上の立場から、本条例案には反対であります。


 第122号議案「県の行う建設事業に対する市町村の負担について」
 
 次に、第122号議案「県の行う建設事業に対する市町村の負担について」であります。

 砂防事業の急傾斜地崩壊対策事業や都市計画事業の街路事業1種並びに農業農村整備事業の広域農道整備交付金事業など、山地や農地の保全、災害や広域的な役割を果たす事業は、本来県が行うべきものであり、市町村に過大な負担を求めることには反対であります。


 第126号議案「契約の締結について」

 次に、第126号議案の契約の締結についてです。この契約は、松江第5大橋道路関連事業の契約の締結であります。一般国道485号松江第五大橋道路は、総事業費343億
円の巨大プロジェクトであります。

 その整備目的は、地域高規格道路境港出雲道路の1区間として、宍道湖、中海都市圏の形成を図ること、松江市街地の外環状道路を形成すること、ソフトビジネスパークなどの工業、商業拠点を結ぶこととされております。

 私は渋滞の緩和や移動時間の短縮を否定するものではありませんが、今日の厳しい財政状況、今後の人口動態、環境問題、関係権利者の同意状況、外環状道路形成や工業、商業拠点を結ぶ必要性や実効性の有無など総合的に勘案した際、その事業実施に当たって疑義が残ります。

 よって、本契約締結には反対であります。


 議員提出第7号議案「地方財政の充実・強化を求める意見書」
 
 次に、議員提出第7号議案「地方財政の充実・強化を求める意見書」についてであります。

 本意見書は、必要な地方交付税総額を確保し、地方交付税の財源保障機能・財源調整機能を強化することを求めております。この点においては、賛同するものであります。

 しかしながら、意見書案では、地方法人事業税の国税化と都市部の税収を活用した地域再生対策費は、格差是正策として暫定的な措置であり、規模として不十分であるとしています。そして、地方消費税のさらなる税源移譲を前提とした上で、適切な財源調整の仕組みの構築を求めるものとなっております。
 
 私は、地方財政の充実・強化は、地方交付税の総額確保を軸とすべきであり、地方再生対策費や地方消費税を充実させる立場には賛同できません。

 法人事業税の国税化と都市部の税収を活用した地域再生対策費による格差是正措置は、都道府県の税収格差の是正が目的ですが、地方税を国税に変えて再配分することは税源移譲の流れに逆行するものと言わざるを得ません。

 また、この点で看過できないのは、この格差是正の暫定措置は消費税増税への橋渡しということであります。地方財政計画の説明では、「税制の抜本的な改革において偏在性の小さい地方税体系の構築が行われるまでの間の暫定措置」と位置づけられているのであります。

 今回の暫定措置の2兆6千億円は、消費税1%に相当するものであり、将来の消費税率引き上げにむけた橋渡しとなる危険性があります。

 また、地方消費税を充実させるとの主張は、地方財政を充実・強化するために、地方が国に対して消費税増税を迫ることにつながるものであります。

 ご承知のように、消費税法では、地方消費税の税率は、消費税額の25%とされています。国の消費税率は4%ですから、地方消費税は、消費税率に換算すると1%に相当します。すなわち、消費税と地方消費税を合わせて5%であります。地方消費税を充実させるということは、消費税の増税を主張することとなるではありませんか。

 以上の立場から、本意見書案には賛同できません。


 請願第24号「年齢で医療を差別する後期高齢者医療制度の廃止を求める請願」

 次に、請願第24号「年齢で医療を差別する後期高齢者医療制度の廃止を求める請願」についてであります。

 75歳という年齢を重ねただけで、高齢者を国保や健保から追いだし、「年金天引き」で保険料を取り立て、外来、入院、健診などあらゆる分野で差別する後期高齢者医療制度に、国民が怒りの声をあげています。

 この制度のねらいは、高齢者を別枠の医療保険に囲い込み、高い負担を押しつけ、安上がりな差別医療を押しつけることです。保険料は2年ごとに値上げされ、際限のない負担増が国民に襲いかかります。

 政府・財界は、後期高齢者の診療報酬を全面的に「包括払い(定額制)」にして検査・投薬・手術を制限することや、後期高齢者の受診する医師を「かかりつけ医」に限定して、複数の診療科を受診しにくくすることなども検討しています。

 ごうごうとわきあがる怒りと批判の声を受け、自公政権は、一部の人の保険料軽減や「年金天引き」の対象限定など、後期高齢者医療制度の「見直し」を余儀なくされました。さらに、麻生政権は「5年後の見直しを前倒しして、より良い制度に改善する」などと言いだしましたが、一方で、「制度の根幹は維持する」立場を表明するなど、動揺しながら、なお制度にしがみつく、深刻な矛盾におちいっています。

 現代版「うばすて山」とも言われる差別法の害悪は、「見直し」や「改善」で解決できるものではありません。医療にかかる国の予算を減らすために高齢者を差別し、存続すればするほど国民を苦しめ、すべての世代に重い負担と医療の切り捨てを押しつける後期高齢者医療制度は廃止しかありません。

 稀代の悪法をすみやかに撤廃し、老人保健制度に戻して、安心できる医療制度をどうつくるか、国民的な討論が求められています。

 よって、本請願は不採択ではなく、採択を求めるものであります。


 請願第30号「ひとり親家庭の子育て支援策の充実を求める請願」
 
 最後に、請願第30号「ひとり親家庭の子育て支援策の充実を求める請願」についてであります。

 本請願は、児童扶養手当の削減と生活保護の母子加算廃止を見直すよう国への働きかけを求めるものです。

 母子家庭の平均所得は年約212万円、一般世帯の4割以下で、9割が「生活が苦しい」と感じています。児童扶養手当を2008年度から最大で半分に減らすという制度の改悪は、運動と世論の高まりによって手直しを迫られ「凍結」されています。

 しかし、「就業が困難な事情」の証明書類の提出など「就業意欲」による線引きの考え方は変わっておらず、手続きも煩雑です。手続きの簡素化はもとより、受給開始から5年で最大半額に削減という制度改悪そのものを中止し、額の引き上げと対象の拡大をはかるべきであります。

 また、削減された生活保護の母子加算を復活し、支給対象年齢も18歳の年度末までに戻すべきであります。

 よって、本請願は不採択ではなく、採択を求めます。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画