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2009 年 2 月定例会 一般質問 (知事の政治姿勢について、社会保障について、働く女性の出産・育児を保障する労働条件について、教育問題について、原発・プルサーマルについて)

2009-02-27 この記事を印刷
日本共産党の尾村利成でございます。

1.知事の政治姿勢について

(1)県民の命を守る行政の役割について

 まず、知事の政治姿勢について伺います。

 今、景気悪化のもとで大企業がすすめている大量の派遣切り、非正規切りは許せません。多くの労働者が突然の首切りで職を失い、生活の糧を奪われています。中小業者は倒産の危機に瀕し、高齢者は社会保障の相次ぐ改悪・負担増に苦しんでいます。こんな時だけに、住民のくらし、福祉、健康を守る自治体の真価が問われています。

 日本共産党はこの間、生活相談、労働相談を実施し、アンケート活動や訪問行動を通じ、住民の切実な願いをお聞きしてきたところです。この中で、行政が行った、許しがたい事例に直面致しました。2つの事例を紹介します。

 まず、高齢者の預金を差押え、未納国民健康保険料に充当した事例です。

 松江市の80代の男性、Aさんは脳溢血で闘病中です。Aさんの妻は70代で無年金者です。松江市は、今月の2月13日に未納国保料の滞納処分のため、Aさんの預金を全額差押えました。この2月13日は、待ちに待った年金支給日でした。即ち、入ったばかりの年金を狙い、預金拘束したのであります。

 また、県は、Aさんの妻の動産を差押さえ、公売していたことも分かりました。これら差押えにより、Aさん夫婦は、生活ができない状態になっています。Aさんの妻は、毎日夕方4時頃から翌朝の4時頃まで、息子さんが経営するサービス業を手伝っておられます。AさんとAさんの妻は、決して悪質滞納者ではありません。

 病気で、高齢者の命綱である年金を差押さえることは、その人の生きる術を奪うことであり、私は、この本会議場から満身の怒りと抗議を表明し、即刻その是正措置を求めるものであります。
   
 次に、もう1つの事例です。それは、授業料を支払わなければ卒業証書を渡さないとの通知文を保護者に送ったのものです。その通知文を紹介します。
ある県立高校で、学校長の名前で3年生の保護者宛てにひどい通知が出されました。この通知は、2月分、3月分の授業料及びPTA会費等諸会費の口座振替について、というものです。通知では「2月、3月分は会計の都合から、振替日を2月16日にさせて頂きます」とし、「16日に振替えがなかった場合は、2月末日までに納入して下さい」としています。そして、「期限までに全額納入がない場合は、卒業証書をお渡しできませんのでご承知下さい」としているのです。振替金額は2ヶ月分で、38,300円となっています。

 この通知に対し、生徒・保護者からは「卒業証書を人質にしたものだ。教育者にあるまじき不適切文書だ」「借り入れをしてでも、子どものためにお金を何としても準備しなくてはいけない」などの怒りや不安の声が出されています。あまりにひどい通知ではありませんか。

 今、紹介しました事例をふまえ、知事に伺います。

 第一に、年金収入しかない闘病中の高齢者の預金を差押えることは、その人の生活を奪うことであり、人道上絶対に許せません。滞納者の生活の維持を困難にする差押えは、すべきではありません。生存権的財産は、憲法に基づき保障すべきと考えますが、所見を伺います。

 第二に、今日の大不況のもと、行政は、生活困窮者に対し、税金・保険料・授業料などの徴収主義に陥るのではなく、納税者を救済し、相談に応じ、また税等の減免制度を周知徹底するなど、住民の命と生活を守るために万全を期すべきではありませんか。各種減免制度、徴収の猶予・差押えの猶予、滞納処分の執行停止など、納税者の権利をアドバイスする住民の護民官たるべきと考えますが、いかがですか。また、市町村との相談・連携体制を強化し、県民の生存権を守るセーフティネット網の確立を求めますが、所見を伺います。


(2)雇用対策について

 次に、雇用対策についてです。

 今回の派遣切りで許せないのは、莫大な内部留保を持っている大企業が競い合って解雇をしていることです。解雇の前にすべきことは、第一に株主への高い配当を減らすこと。第二に高額な役員報酬を引き下げること。第三に莫大な内部留保を取り崩すことではありませんか。そのことなしに、労働者にだけしわ寄せを押し付けることは言語道断です。

 トヨタ自動車など自動車産業13社の内部留保は、29兆円にのぼっています。その0.2%を使うだけで2万人近い解雇計画は中止できます。大量の派遣切り、解雇を行っている製造業大企業の内部留保は120兆円であり、その1%で40万人の雇用が維持できるのであります。

 たとえば、トヨタでは、一株当たりの配当金は2003年度、45円でした。それが、2007年度には140円に跳ね上がっています。配当金総額は、1,512億円から4,432億円へと3倍にもなっているのです。また、役員報酬も、2003年度、一人当たり7,000万円だったものが、2007年度には1億2,200万円へと5千万円以上も増えています。内部留保は、13兆円に膨らんでいます。トヨタの赤字宣伝は、こうした強靭な企業体力を覆い隠しながら、労働者いじめを合理化するものになっています。大企業には、雇用を維持する体力は十分あります。雇用を守る社会的責任を果たさせることこそ、政治の責任であります。

 また、今、起こっている派遣切りは、現行の労働者派遣法に照らしても、その大部分は違法状態のもとで働かせたあげくの不当な解雇が多数あります。

 たとえば、マツダ自動車の場合は、派遣として働き始めてから、途中期間にマツダのサポート社員へ置き換え、そして、また派遣社員へ切り換えるという違法クーリングを行い、のべ3年以上働かせていました。これは、派遣期間が3年を超える場合は、派遣先企業が労働者に直接雇用を申し出なければならないという法律を逃れるために、見せかけのクーリング期間を挟むことにより、派遣期間制限を逃れ、3年以上、派遣のまま使い続けていたのであります。県内でも違法な派遣切り事例は、たくさんあります。

 この間の国会質問で、偽装請負の場合も違法クーリングの場合も、その期間は派遣期間制限に通算されることが確認されました。また、かりに派遣労働者個人は半年しか働いていなくとも、「同一業務で、たとえば同じ製造ラインで、派遣労働者を3年を超えて使った場合」も、そのラインで働く全員が直接雇用の対象となること、などが明らかになりました。これらの点を周知徹底し、違法な派遣切り、雇い止めを中止させるために、県として対策を講じるべきと考えますが、所見を伺います。

 また、マツダは下請業者への発注を大幅削減した上、今後の発注見通しを明らかにせず、県内下請業者の苦悩が広がっています。県内にはマツダの下請が多数あります。今こそ、知事が先頭に立って、マツダや県内誘致企業に対し、違法な雇い止めの中止を求めるべきです。そして、マツダに下請業者の仕事確保を強く要請すべきであります。このことが県内の労働者と中小業者に勇気と展望を与え、県としての最大の景気対策となるのではないでしょうか。所見を伺います。

 国に対しては、非正規労働者の雇い止め、派遣切りを規制する緊急立法を制定するよう求めるべきです。労働者派遣法は1999年の原則自由化前に戻し、最も不安定な働かせ方である登録型派遣を原則禁止する抜本的法改正を求めるべきと考えますが、所見を伺います。


(3)中小企業対策について
    
 次に、中小企業対策として、県の制度融資について伺います。

 島根県の制度融資の際立った問題点は、申込み先が商工会議所や商工会などに限られており、審査会等も会議所等で実施されている点であります。ほとんどの県では、融資の申込みが市町村、県、金融機関、保証協会にも置かれています。多くの中小業者が制度を利用しやすいように窓口の拡大を求めますが、所見を伺います。


2.社会保障について

(1)介護保険について

 次に、社会保障についてです。まず、介護保険について伺います。

 介護現場の人材不足が深刻なのは、低賃金、労働基準法さえ守られない雇用条件、高齢者の尊厳を大切にしたいという初心を生かせない労働環境など、労働条件が劣悪であるからであります。県として、介護の人材不足の原因をいかに総括しているのか、所見を伺います。

 政府は今年4月の報酬改定で、介護報酬を3%引き上げようとしています。しかし、過去2回の改定によって、4.7%引き下げられております。事業所からはすでに、今回の改定規模では、職員の大幅な賃金の改善を行うには極めて不十分であるとの声が出されています。

 そこで、国に対して、介護報酬とは別枠で賃金の引き上げ、介護報酬の大幅な底上げを求めるべきと考えますが、いかがですか。また、県として、人員配置に対する助成、労働環境改善の支援策などの独自施策を講じるべきと考えますが、所見を伺います。


(2)後期高齢者医療について

 次に、後期高齢者医療についてです。

 この制度で懸念されるのは、保険料滞納者に対する制裁措置の問題です。後期高齢者医療では、保険料を1年以上滞納した被保険者に保険証を返還させ、資格証明書を発行することとされています。島根県では約12万人の被保険者うち、約3万人が無年金者や年金受給額が年間18万円以下の普通徴収者であります。普通徴収の被保険者から滞納者が生じるのは必至ではありませんか。事実、現時点で32都道府県において、20万人を超える滞納者が発生しているという調査結果もあります。

 そこで伺います。

 第一に、県内における保険料の滞納状況はどうなっていますか。

 第二に、高齢者は病気にかかりやすく、受診の遅れが取り返しのつかない事態を招きかねません。資格証証明書の発行は、高齢者の命と健康を脅かす事態を引き起こすと考えますが、いかがですか。保険証の取り上げは絶対に行うべきではありません。所見を伺います。


(3)国民健康保険について

 次に、国民健康保険についてです。

 私は昨年の11月議会で、子どもの保険証取り上げの中止を求めました。県は、医療費の一時払いが困難の旨の申し出があれば、速やかに短期保険証を交付するとした厚労省通知を市町村に対して周知徹底すると答弁しました。

 そこで伺います。

 子どもの無保険解消に向けた取り組み状況と現時点での実態はどうなっていますか、お示し下さい。

 また、本年1月20日には、滞納世帯の子ども以外の被保険者についても「世帯主が市町村窓口において、医療を受ける必要が生じ、かつ医療機関に対する医療費の一時払いが困難である旨の申し出を行った場合には、保険料を納付することができない特別な事情に準ずる状況にあると考えられることから、緊急的な対応として、短期保険証が交付できることとする」との閣議決定がなされました。このことが市町村に徹底され、遵守されていますか、県としての認識を伺います。また、市町村に徹底するため、県として通知を出すなど、強力な助言をすべきと考えますが、所見を伺います。


(4)保育について

 次に、保育制度について伺います。

 厚労省は、保育所と利用者が直接契約を結ぶ直接契約方式の導入や、保育所の施設整備や職員配置基準の最低基準の廃止・引き下げなど、保育の公的責任を後退させようとしています。この保育制度改正に対し、保護者や保育事業所からは「保育を福祉ではなく、商売の対象にすべきではない」などの反対の声が高まっています。

 次代を担う子どもの育成は、児童福祉法第24条に基づいた公的責任で果たすべきと考えますが、県の認識を伺います。また、公的保育制度の堅持・拡充と子育て支援予算の増額を国に働きかけることを求めますが、所見を伺います。


3.働く女性の出産・育児を保障する労働条件について

 次に、働く女性の出産・育児を保障する労働条件について伺います。

 今日なお、多くの労働者が仕事と生活を両立させる上で、様々な困難を抱えております。特に働く女性の7割近くが妊娠・出産を契機に離職を余儀なくされています。たとえば、女性が多数を占める県立特別支援学校の寄宿舎においては、夜遅くまでの勤務形態や当直勤務が続くため、「わが子と一緒に食事をとることができない」「このままでは子どもを産み育てる自信がないので、次の子どもは考えざるを得ない」などの声が出されています。

 そこで伺います。

 寄宿舎指導員の勤務形態については、県教委作成の勤務モデルを一律に押し付けるのではなく、勤務形態の変更の趣旨を損なわない範囲で、子どもや職場の実態を踏まえて適切に割振ることを認めるべきと考えますが、所見を伺います。

 また、学校現場では、「講師が産休を取ることになると職場に戻ることもできず、やめなければならない」「復職したいのになかなか次の職場に就きにくい」などの声が寄せられています。臨時的任用である常勤の講師も、休暇に関する条例でその権利が認められています。本人に産休取得の意思があるにもかかわらず、任命権者が代替者を配置しないため、辞職に追い込まれる事態が発生しています。この点は早急に改善すべきものと考えますが、所見を伺います。

 昨年4月から島根県にも「育児のための短時間勤務」の制度が導入されました。しかし、学校では、この制度が利用しにくいとの声がありますが、改善に向けての所見を伺います。


4.教育問題について

(1)臨時教職員の待遇改善について

 次に、教育問題についてです。まず、臨時教職員の待遇改善について伺います。

 本県の学校現場では、600名を超える定数内講師が働いており、その勤務内容は定数内であることからも、当然正規採用者と変わらない本格的業務についています。ところが、その待遇面ではさまざまな格差が押し付けられています。たとえば、給与における昇給の頭打ちであります。

 臨時教職員の給与は、小中学校では1級65号給の26万1,800円で頭打ちです。高校は1級68号給の26万8,700円が上限であります。給料表は、中小で125号給、高校で153号給まであるにもかかわらず、それ以上の昇給はないのであります。すなわち、正規教諭と同一業務を行いながら、低賃金で働かされているのが、臨時教職員の実態であります。

 臨時教職員からは「給料がもう10年以上も上がっていない。同世代の半分で、ワーキングプアの状態である」「講師の弱みにつけこみ『捨て駒』のような扱いはやめてほしい」「採用数を増やし、定数内講師を解消してほしい」など、給与の上限撤廃、定数内講師の解消と採用枠の拡大など、切実な要求が多数寄せられております。

 臨時教職員の給料の上限は撤廃し、正当な給与を保障すべきであります。また、教職員の採用数を増やし、定数内臨時的任用を解消すべきと考えますが、所見を伺います。


(2)水産教育の振興について 

 次に、水産教育の振興についてです。

 昨年10月、水産練習船「わかしまね」が衝突し沈没するという事故が起こりました。生徒、船員の命に別状はなく、大きな怪我もなかったことは不幸中の幸いでありました。乗船実習は水産業の後継者を育成するだけでなく、生徒を成長させる上でも大切な教育活動であります。そして、厳しい自然の中で生徒を指導することからも、安全については十分に配慮する必要があります。

 しかし、練習船に乗船して生徒を指導する浜田水産高校と隠岐水産高校の海洋漁業・機関系教職員の約3分の1が、臨時教職員という実態であります。この現状をどのように考えているのですか。現在、「水産教育のあり方に関する検討委員会」で、本県に求められる水産教育と水産練習船のあり方が検討されていますが、島根県高等学校水産教育研究会会長から要望書が出ているように、専門の教職員の採用を増やすことは急務であると考えますが、所見を伺います。


5.原発・プルサーマルについて

 最後に、原発・プルサーマルについて伺います。

 島根原発は、日本で唯一、県庁所在地にある原発であり、いったん事故が起これば取り返しのつかない大惨事となります。島根原発直近には活断層があり、この活断層の正確な調査なしに原発の安全性は語れません。

 宍道断層について、中国電力は当初、原発周辺に考慮すべき活断層はないと強弁していましたが、1998年に8キロへと訂正し、さらに2004年には10キロに訂正。そしてこの度、22キロへと訂正しました。この活断層の存在は、早くから専門家から指摘をされていながらも、活断層はないとし、そして次から次へとその長さを訂正することに対し、住民の不安は高まっています。このことからも、中国電力の調査と国の審査は不十分であり、杜撰であったということは明白ではありませんか。

 中電が把握していなかった活断層を発見した中田 高・広島工大教授は、今日時点でも徹底した活断層調査をすべきであると主張しています。中田教授は、活断層の可能性が否定できない不自然な地形が東側にあること、西側の古浦湾でも活断層が海底に続いている可能性が大きいと指摘し、トレンチ調査をはじめ、原発沖の海底活断層の確認などの追加調査の必要性を指摘しています。

 この間の経緯を見ても、中電や国、そして島根県は、中田教授をはじめ専門家の意見に対して真摯に耳を傾け、徹底した調査を行うことこそ最低限のエチケットであり、責務ではありませんか。

 日本共産党は、2月より無作為の市民アンケートを実施しています。今日時点で、216人から郵送で回答が寄せられています。プルサーマルについて、賛成は4%、やむを得ないは20%で、是とする回答は25%にも満たない状況です。一方、プルサーマル反対は27%、やめて欲しいは20%で、約半数の市民がプルサーマルには反対という状況です。そして、プルサーマルはわからないと回答した人は24%に及び、市民に対する説明不足も明確になりました。

 市民からの意見としては、「中電はこれだけトラブルを起こしながら安全を言うことは本末転倒だ」「事故が起きた時の状況は説明せず、安全だと言われても信用できない」「国や電力会社は、プルサーマル導入を前提とした説明会をしているではないか」などの声が寄せられています。

 私は、プルサーマルについて、県民の理解と合意形成は全くされておらず、中電の耐震安全性の評価に対し、多くの県民は疑義を持っていると考えます。知事の所見を伺います。

 県民の願いは、徹底した活断層調査を実施することです。安全協定第12条では、「県は事業者に対し、適切な措置を講ずることを求めることができる」との適切措置要求権が規定されています。県民の命と安全を守る責務を果たすために、第12条の適切措置要求権を発動し、中電に徹底した活断層調査を求めるべきであります。また、国に対しても、徹底した調査を求めるべきであります。そして、このことなしに危険なプルサーマルの最終的回答は絶対に行うべきではありません。知事の所見を伺います。


○副議長(多久和忠雄) 溝口知事。

○知事(溝口善兵衛) 尾村議員の御質問にお答え申し上げます。

 最初は、滞納者等に対する財産の差し押さえに関連して、それから高等学校の卒業証書に関連しての質問でございます。

 滞納者の生活を維持することを困難にするような差し押さえはすべきではないということは法律にもあるわけでございます。個々の状況をよく見ながら現場において適切な対処をしていかなければならないと私も思います。差し押さえなどの滞納処分につきましては、生活に欠くことのできない財産につきましては差し押さえないこととしているわけでございます。それから、災害、病気などにより、一時的に支払いが困難になった場合には徴収を猶予するなどの制度もあるわけでございます。

いずれにしましても、税の徴収に当たりましては、納税者の状況をよく把握し、必要な場合には徴収緩和の制度を説明したり活用してもらうなど、適切な対応をしていく必要があると考えます。

 それから、松江市の対応につきましても言及がございました。

県税のほか、市町村におきましても市町村税や国民健康保険の保険料などを徴収しておるわけでありますが、税や保険料の徴収業務につきましては、近年市町村と県の税務職員等の間で合同の研修を実施をしておりまして、市町村、県との協力関係を深めておるわけでございます。今後とも、こうした研修の場などを通じまして市町村や県の担当者の徴収の緩和制度の適切な運用を含めまして、実務能力の向上、仕事の仕方等について必要な改善を図っていきたいというふうに思うところでございます。

 次に、県立学校の授業料納入についての通知でございます。

 御指摘になった文書は私も現物を見ました。受け取る保護者の気持ちに対する配慮の欠けるもんでありまして、県が発出する文書としては不適切であると私も感じたところであります。教育委員会からは、既に該当校に対しまして厳重に注意をしたという報告を受けております。今後は、より一層きめ細やかに個別の事情を考慮しながら授業料の徴収や減免事務等を進めるよう、教育委員会が各学校に十分徹底をすると言っております。これをしっかりやってもらいたいと思うところであります。

 次に、労働者への派遣制度の問題でございます。

 雇いどめ等に関する基準など、労働者派遣に係る制度につきましては、国において派遣会社、派遣先事業者、派遣労働者に対していろんな形で周知が行われております。

 いずれにしましても、法に反するような雇用は、これは許されないわけでございまして、当局においてしっかりと取り締まられることと思いますが、私どもは労働局とは今般の雇用問題の重要性にかんがみまして緊急の雇用対策本部を設けて、随時意見交換、情報交換をしております。そういう場におきましても、問題事案等が発生することのないよう、労働局の指導を求めていっておりますし、今後も努めていきたいと考えてるところであります。

 次に、誘致企業やその親会社に対して雇いどめの中止、下請の仕事確保等について要請すべきであるという御指摘でございます。

 これまで私どもは、県内に立地をされた企業の現場でありますとか、あるいはその親会社を訪問いたしまして、県内での事業拡大あるいはこの下請等発注の拡大等を求めてきております。今後は、県内における雇用と受注量の確保にも力点を置いて、強く要請をしてまいりたいと考えております。また、県のこの問題を担当しております商工労働部の職員は定期的に誘致企業を訪問をしたりしとりますが、そういう際に雇用、操業状況の調査などの調査をしとるわけでありますけども、そういう機会にも同様な要請を行うよう指示をしておるところであります。

 次に、非正規労働者の雇いどめ、派遣切りを規制する緊急立法の制定について御質問がございました。

 労働者派遣法の改正につきましては、現在改正案が国会に提出をされて、審議をされております。内容を見ますと、この改正をめぐりましては現在3つの点が大きな論点となっております。1つは、日雇い派遣につきましては、これは原則禁止の方向でおおむね意見が一致をしとるようであります。それから、不安定な登録型派遣につきましては、禁止か、あるいは常用型への努力義務かで意見が分かれてるところであります。それから、製造業への派遣につきましては、禁止するかどうかでやはり意見の一致を見てない状況であります。

 私どもとしては、国会におきまして経済界、労働者団体等々の意見なども十分聴取をし、雇用と経営の双方の安定を図るように適切な調整が図られ、速やかな立法が行われることを期待しておりますし、私どもも国に対して要請をしてまいりたいと考えてるところであります。

 中小企業の制度融資に関連をいたしまして、申し込みの窓口を拡大してはどうかというお話がございました。

 県の中小企業制度融資は、金融機関と協調しまして円滑な資金供給を通じ、県内の中小企業者の施設や設備の近代化、経営の合理化等を図ることを目的として運用されているもんであります。

 経営の合理化を図るという目的の円滑な達成のため、融資に際しましては商工会議所、商工会等の関与を求め、経営手法と一体的なものとして融資を行っておるということでございます。

 例えば、中小企業者の資金調達につきまして効果的な資金メニューを提案するとか、あるいは適正な借入額等について相談を受け、助言を行うとか、あるいは融資を受けた後のフォローアップをするとか、そういうことを商工会議所、商工会等で行っておるわけでございまして、こうした観点から、窓口として商工会議所、商工会としとりますが、この窓口を今拡大をするというようなことは考えていないわけであります。もちろん不都合な点があれば対応を検討していきたいというふうに考えております。

 それから、保育の公的責任について質問がありました。

 現在、国におきましては、直接契約方式の導入や最低基準を設定する権限の地方自治体への移譲など、今後の保育制度のあり方に関する重要な議論が行われておるのは御指摘のとおりであります。

 私は、この制度改正に当たりまして最も大切な視点は地域の保育サービスをいかに確保するかということでありまして、改正によりまして児童保育のサービスが低下をしたり、保育の現場で混乱を招くようなことはあってはならないと考えております。

 また、税財政基盤の脆弱な県内自治体の実情を踏まえますと、権限移譲に際し、地域の財政力格差が児童保育サービスの格差につながらない対策も必要だと考えてるとこであります。

 児童福祉法第24条の規定は、市町村における保育の実施責任を定めておるもんであります。県におきましても、児童福祉法の趣旨が損なわれることがないよう、島根の将来を担う子供たちの健全な育ちを支援することは県にとっても大事なことだと考えてるところであります。

 今後、国におきましては市町村の関与の仕組みや財源、費用負担などにつきまして具体的な検討が行われる見込みでありますが、その際には何よりも地域の保育サービスの確保を優先すべきであり、県としては市町村の意向も踏まえながら財源措置を含め適切な仕組みづくりを国に求めていく所存であります。

 また、これまで県の重点要望などを通じまして小規模保育所に対する施策の充実や保育サービス、子育て支援サービスの充実に必要となる予算の確保を訴えてきております。今後も、どこに暮らしていてもひとしく保育サービスが受けられることができるよう、国に対して地域の実情を訴え、必要な働きかけを行ってまいりたいと考えてるところであります。

 次に、プルサーマルの関連についての質問がございました。

 島根原子力発電所2号機のプルサーマル計画につきましては、平成18年10月に県が基本了解し、中国電力はそれに基づきまして国に計画を提出したわけであります。その後、経済産業省原子力安全・保安院が安全性の確認を行う作業を行い、次に原子力安全委員会及び原子力委員会がそのダブルチェックを行って、約2年かけまして審査をした結果、昨年の10月にその安全性は確保されるという評価をし、国から中国電力に対して許可がなされたものであります。

 この許可がなされて以降、県といたしましてはプルサーマル計画の国による安全審査結果及び耐震安全性の評価についてその内容のチェックを行うとともに、国の説明会や県の安全対策協議会などを通しまして住民の方々にも説明をしてきたところであります。また、県は松江市が主催する住民説明会や安全対策協議会にも出席をいたしまして、これらの説明会等で出された意見等を含めまして国から説明を受け、さらに県の原子力安全顧問がおられますが、そういう安全顧問の方々に専門的観点からの意見を聞き、プルサーマルの安全性及び耐震安全性の確認の作業を行ってきたのであります。

 プルサーマル計画や耐震安全性につきましては、内容が専門的であるだけに理解することは難しい問題でございます。このため、県としても地域住民の方々に広報紙を通じて、あるいは原子力関連施設の見学会を行うとかプルサーマルを初めといたします原子力発電全般についての周知の努力は行ってまいりました。今後とも広報活動を通じまして住民の方々にわかりやすい説明をするよう全力を挙げてまいりたいと考えております。

 そこで、次の御質問は耐震安全性、活断層に関連したものでございます。

 島根原子力発電所の耐震安全性につきましては、改定された耐震設計指針に基づいて従来より厳しい基準で耐震安全性の評価が行われました。18年9月にそれまで蓄積をされてこられた新しい知見に基づいて耐震安全性が厳しくなったわけでございますが、その指針に基づいて耐震安全性のチェックが国の指示により中国電力において行われてきたということであります。

 その際、耐震安全性につきましては、宍道断層による地震が発電所のある敷地に最も大きな影響を及ぼす地震であるとされまして、宍道断層の状況の調査をやってきたわけであります。その際、中国電力はそれまで寄せられましたいろいろな意見でありますとか批判なども考慮に入れまして、いろんな方法、いろんな角度で調査をしてきたわけであります。

 その結果、昨年の3月に中国電力は国の保安院に対して調査の結果を報告をしたわけであります。その結果によりますと、宍道断層につきましては西端を古浦西方の西側、東端を下宇部尾東とし、耐震設計上考慮すべき活断層の長さを約22キロとしたわけであります。西端、東端についての調査は、概略はこういうことだと理解をしとります。西端につきましては、古浦西方の西側よりもさらに西側と、22キロの外の話でありますが、そこにあります男島でピット調査、これはトレンチ調査の規模の小さいものでありますが、ピット調査等を行って、耐震安全上考慮すべき活断層はないという判断をいたしております。

 それから、古浦沖の海上音波探査では断層が認められなかったということがあります。それから、古浦西方では変動地形学的調査というのを行っております。空中写真の判読等から地形を見て判断をする調査のようでありますが、変形した地形は認められないといったことから、古浦西端のこの範囲を決めたということでございます。それから、東端につきましては、下宇部尾東側で22キロの東側の外側で調査を行っておるわけであります。美保関町森山から福浦ではボーリング調査、それからピット調査等の結果、考慮すべき活断層が認められないということ、それから下宇部尾東でははぎ取り調査も行いまして、その調査からも断層は認められないということから、22キロということをこの活断層の長さとして確定をしたというふうに聞いておるわけでございます。

 それから、22キロと想定される場合の地震の揺れの程度は、ガルという単位でございますが、439ガルでありますが、これに余裕をさらに持たせて600ガルを基準地震動として、そういう震動が起こったためにどういう影響が出るかという調査をしたわけでございます。

 それからまた、審議の過程では、国の指示によりまして新潟中越沖地震で得られた知見がありまして、中越沖地震の場合にはこの発電所の下に深い堆積層があったり、その堆積層に褶曲、ゆがみ、曲がりがありまして、それが震源からの地震のエネルギーを増幅するといったことが認められ、そのために地震動が大きくなったということがありまして、地震波の強さをさらに通常の場合の評価から得られるものより1.5倍として耐震性があるかどうかという評価もしたということでございます。

 また、国自身は中国電力の評価結果の妥当性を確認するために耐震の専門家で組織するワーキンググループを設置してチェックを行うということで、専門家が現地調査を行ったり、国自身がみずから海上の音波探査を実施しておるということでございます。

 こうした説明を私ども受けてきまして、国の独自調査も入れまして、さらに相当の幾重かの余裕も見まして評価をした結果、中国電力が行った耐震安全性の評価結果については妥当だという判断をしたということでございます。

 そこで、私どものほうはさらにこの国の評価につきまして県の耐震関係の専門家を去年の秋に3名の方、京都大学の先生等でありますが、を選任をいたしまして、その専門の先生方からも意見をお聞きして、その方々からは特段この評価についての問題はないだろうという意見もいただいたわけでございます。

 このような国の評価結果や原子力安全顧問の意見を踏まえますと、国の耐震安全性の評価は妥当であり、島根2号機の耐震安全性上重要な機能、原子炉をとめる、冷やす、閉じ込めるといった機能は確保されているというふうに考えるわけでございます。

 今後のことについて申し上げますと、安全協定は島根県、松江市、中国電力、3者が意見の一致をしないと先に進むっていうことができない、そういう仕組みになっておるわけでございますが、仮に3者が今後意見の一致をしたと、それでプルサーマル計画が始まるという、動くということになった場合でございますが、その後におきましてももう了解したんで我々の監視とかチェックはおしまいになるわけじゃありませんで、今後も引き続きチェック、監視は行っていくわけでございます。

 例えば、この次にステップは、MOX燃料を欧州の国の工場に発注をするということになります。まだ日本ではそういうMOX燃料はできませんから、発注をして、そこでつくると。つくるのに、既に先行してる県にあります発電所などの状況を見ますと、2年ぐらいがかかるわけでございまして、MOX燃料がこの島根のほうに計画が順調に進んだとしても2年ぐらいはかかるわけでございます。

 それから、先進県ではことしじゅうぐらいにはこのMOX燃料が日本にも搬送されて、いつかの時点でこの発生を行う段階に進むんでありましょうが、そういう過程でいろんな知見もまた出てくると思いますし、それからあるいは耐震安全性につきましても地震の過去における動きなどから改定もされてきてるわけでございまして、私どもは今後も引き続きそういう新しい知見、経験等を踏まえまして、チェック監視の体制はちゃんと確保していきたいと思っております。

 その上で、仮に何か問題があるというようなことであれば、当然でありますけれども、国、中国電力等にもその適切な対応を求めていくということであります。当然国も中国電力も、そういうことが起これば、またその時点でさらにチェック、確認をするということも必要になることもあろうかと思いますが、常にその都度、段階段階でチェックをしながら進んでいくという対応で考えております。御質問に対しては以上でございます。



○副議長(多久和忠雄) 山根健康福祉部長。

○健康福祉部長(山根成二) 私からは大別3点の御質問についてお答えをいたします。

 まず、介護人材の不足についてでございますけども、これは大変厳しい状況となっているというふうに認識しております。

 県では、昨年介護従事者等の実態を把握するために事業者及び従事者を対象としましたアンケート調査やヒアリングを実施いたしました。

 アンケート調査では、仕事をやめたいと思っておられる従事者の5割強がその理由として賃金上の問題を上げておられ、介護従事者が賃金に対して不満や、あるいは不安を持っておられるということが浮き彫りになりました。

 また、ヒアリングでは、精神的、肉体的な負担が大きいにもかかわらず、社会的な評価が低過ぎるという声を聞いております。さらには、コムスン問題などを契機といたしまして、介護の仕事に対して悪いイメージが社会に浸透してしまったのではないかというふうな声も聞きました。こうした事柄が今日の介護人材不足に影響してるのではないかと考えております。

 次に、介護報酬の引き上げを国に対して求めるべきではないかということでございます。

 今回の介護報酬改定では、介護従事者の離職率は高く、人材確保は困難であるという現状を踏まえまして、介護従事者の人材確保、処遇改善を進めるという基本的な視点で全体で3%プラス改定というのは御存じのとおりでございます。

 さらに、国におきましては別途介護関係業務の未経験者を雇い入れた場合の助成や介護労働者の作業負担軽減のために介護福祉機器を導入した場合の助成などが行われることになっております。こうした活動を活用されまして労働環境の改善が進むことを期待してるわけでございます。今後こうした状況を見きわめた上で適切な対応をとってまいりたいと、かように考えております。

 次に、県として独自策をとるべきではないかということでございます。

 御案内のとおり、介護保険制度は全国統一の制度でございまして、国、県、市町村の一定の負担と介護保険料で賄われております。県として事業者に直接人員配置に対する助成や労働環境の改善の支援策を講ずるのは難しいものがございます。

 しかしながら、介護に関するイメージの向上や関係機関が連携した取り組みを進めまして労働環境の改善につなげていくことは大変重要なことであると認識しております。このため、昨年実施いたしました介護フェアなどの啓発事業を引き続き実施いたしまして、人材の参入の促進を図るとともに、県民の皆さんに対しまして介護の必要性、重要性を広く啓発してまいりたいと考えております。

 また、介護人材確保対策等を総合的に進めるために庁内プロジェクトチームや県や関係機関が一体となって取り組みを進めるためのネットワーク会議を設置いたしまして、こうした場で必要な施策を検討してまいりたいと、かように考えております。

 次に、後期高齢者医療制度についてでございます。

 まず最初に、保険料の滞納状況についてでございますが、これについては現時点では把握をしておりません。年度終了後、広域連合から前年度の事業状況について報告を求めることとしておりまして、その中で滞納者数を含めまして保険料の滞納状況等について把握に努めてまいります。

 次に、資格証の交付につきましては、機械的な運用によりまして被保険者の方々が医療を受けられる機会が損なわれることのないよう慎重に運営されなくてはなりませんが、被保険者間の負担の公平を確保いたしまして、また市町村が滞納者と接触する機会を確保するためにも必要な制度というふうに考えております。

 保険料の収納を直接担当しておられる市町村におかれましては、まずは滞納の初期の段階から、世帯に対しましてさまざまな対応により納付をお願いする、勧奨に努力されていると後期高齢者医療広域連合から聞いてるところでございます。

 なお、資格証明書の交付につきましては、国において相当な収入があるにもかかわらず納付しない者に限って適用することとされたところでございますから、現在その取り扱いにつきまして広域連合で市町村とともに検討をされていると認識しております。

 最後に、国保の資格証明書交付世帯についてでございます。

 さきの法改正によりまして資格証明書交付世帯の15歳以下の子供につきましては、本年4月から短期の被保険者証を交付することとなりました。12月にこの改正に係る国からの通知を受けまして、早速全市町村に対し周知を図ったところでございます。

 次に、資格証明書交付世帯における15歳以下の子供のうち短期証を交付されていない方の数は現時点で168人、一方昨年10月以降資格証明書交付世帯の子供のうち短期証の交付を行った数は52人となっております。

 また、資格証明書交付世帯に属する被保険者が医療を受ける必要が生じた場合に緊急な対応として短期証を交付することになっておりますが、これにつきましてもすべての市町村に連絡をしております。それを踏まえまして、各市町村では申し出に基づくケースにつきまして短期証が交付されているというふうに考えております。以上でございます。



○副議長(多久和忠雄) 藤原教育長。

○教育長(藤原義光) まず、寄宿舎指導員の勤務時間の割り振りについてであります。

 特別支援学校の寄宿舎には、児童生徒などの世話や生活指導を行うために専任の寄宿舎指導員を配置しております。この指導員の勤務が朝、夕、夜間、それから昼間のそれぞれにおいて児童生徒の生活の実態に必ずしも十分に適合しなかったことから、平成16年度から児童生徒に対する生活指導をより充実するという観点から、午後から夜間にかけての児童生徒が寄宿舎にいる時間帯、ここに寄宿舎の指導員をできるだけ集中させて勤務させるように図ったところであります。各学校においては、この趣旨を踏まえ、学校の実態に応じて勤務時間の割り振りを行うように求めておるところであります。

 次に、臨時的任用者が休暇を取得する際の代替者の配置についてであります。

 教職員の休暇に関しましては、小中学校の教職員も含めまして県立高等学校等の教職員の休日及び休暇に関する条例で定めております。この条例の対象には、養護助教諭や講師など、常勤の臨時的任用者が含まれておりまして、私傷病休暇、産前産後休暇など、正規の教職員と同様に取得することができるような制度になっております。このような取り扱い、全国的に見ますと約6割の都道府県が行っておりまして、島根県もそのうちの1県であります。

 臨時的任用者にあっては、代替者を配置するということになっていないことから、長期の休暇を取得しにくいという現場の実態があるというふうに承知しております。学校においては、さまざまな授業でかなりの人数の講師や非常勤講師を必要としております。職を離れた後も勤務が可能になった段階で再度勤務をお願いしてるという現状であります。今後、代替者の配置も含めましてこの制度の円滑な運用の仕方について研究してまいりたいと考えております。

 それから、育児短期時間勤務についてであります。

 育児を行うために教員が常時でなく希望する日や希望する時間帯において学校に勤務することができる育児短時間勤務について、それの非常勤講師の配置ということで対応しております。本年度、県立学校では教員5人が取得いたしました。本制度は、平成20年度から導入したばかりでありますので、実態については現在十分に把握しておりませんが、教育現場では担当する授業の年間計画と調整などで運用しにくい面もございます。課題が生じれば、今後検討してまいりたいと思っております。

 次に、臨時教職員の給料についてであります。

 講師など常勤の臨時的任用者については、1年未満の期限をつけて任用を行っていることから、任用の都度、就学年数と経験年数を加味いたしまして、その都度初任給決定ということで行っております。適用号給には、御指摘のように、上限を設けている実態でございます。このような取り扱いをほとんどの都道府県で行われておりまして、その中で本県の上限はほぼ中程度の位置にあります。今後、他県の状況及び任用制度等を勘案しながら、調査研究、検討してまいりたいと思っております。

 次に、教職員の採用数をふやし、定数内臨時的任用を解消することについてであります。

 新規の採用教職員につきましては、昨年度と今年度ともに定年の退職者を上回ります160人を名簿登載いたしました。できるだけ正規の採用の確保に努めておるとこであります。

 定数内の臨時的任用者、現在約670人おります。こうした臨時的任用で行わざるを得ない要因といたしましては、1つには今後学級数の減が予定されておりまして、例えばこの5年間で見ますと、それに伴います定数減が約420人程度見込まれております。

 また、小中学校の統廃合の計画によりますと、現在明らかになってるものだけでも約280人の定数減が生じてまいります。また、特別支援学校の高等部、現在生徒数が急増しておりますが、これも今後どういうふうな生徒数の推移をたどるかということについては不透明な面がございます。

 また、毎年度避けがたい要因といたしましては、3月31日現在で小中学校の教員それぞれの学校、定数定めておりますが、その時点で見ますと、生徒の微妙な違いで例えば小学校の1年、2年で言いますと、30人学級をやっておりますが、30人を1人、2人超えるか、中におさまるかというふうな点もございまして、講師で対応せざるを得ないというふうな点も抱えております。こうした要因、いろいろございますが、できるだけ多く採用したいということについては、私どものほうも議員と同じ考えでございます。

 次に、水産高校の教職員の採用についてであります。

 両水産高校の練習船にかかわります教員は現在21人、そのうち講師は6人であります。この割合、通常の県立学校の講師の割合よりは高い割合になっておりますが、いずれの講師も教員の免許状を持って専門的な知識とか技能を有する者が行っておりまして、実習には支障のないよう努めておるところであります。

 水産高校の教職員の採用につきましては、今後の水産高校のあり方あるいは生徒数がどう推移するかということを踏まえて行うという必要があります。ちなみに、水産高校について来年度は実習助手を1名採用する予定にしておるとこであります。以上でございます。



○副議長(多久和忠雄) 尾村議員。

○尾村利成議員 知事と健康福祉部長に再質問をさせていただきます。

 まず、知事に1点目でございます。

 私は、雇用対策の問題で知事に誘致企業、マツダ等へ雇用の確保、仕事の確保を要請していただきたいというふうに申しました。知事、この中で知事は誘致企業やその親会社に対して要請等を行っていくと、先ほどそう御答弁いただきましたが、私は質問の中で申しましたように、県内ではマツダ関連の下請業者非常に多いわけですね。マツダ本社で言えば、1,600人近い派遣切りが今やられてるという状況もありまして、隣県である広島県のマツダとは島根県、切っても切れない関係にありまして、その親会社の中にはマツダに対する要請が含まれているのかどうか、ここの点を1点聞かせてください。

 それから、知事に2点目は制度融資の問題なんです。

 知事の御答弁は、商工会と会議所が融資というのは経営指導の一環としてやってると、融資と一体のものであると、こういう御答弁ございました。

 私は、商工会議所や商工会の果たしてる役割というのは高く評価するものです。会議所や商工会、ますます発展してほしいと思います。ただ、現実問題を見たときに、商工会議所と商工会に入会されてる方というのは大体6割前後だと思います。4割近い方っていうのは入っておられないわけですね。県の制度融資の一つの問題点として、窓口がその会議所、商工会だけになってますと、その入会されてない4割の方っていうのはなかなか融資が実際受けづらいという、こういう声が出てるわけです。

 もう一つ、融資が実行されたときに会議所と商工会で手数料を取られると、こういうことになってるんですね。ですから、全く経営指導も受けてなくて、ただ申し込みだけを出しといて手数料も取られるという点は不合理ではないかという声がございまして、ここのところは今後の検討課題ということになろうかと思いますが、もう一度再考をお願いしたいという点を、知事、2点目聞かせてください。

 それから、3点目は原発問題では非常に御丁寧な御説明いただきました。

 私は、今問題にしてるのは国が行った耐震安全性評価に対してやはり専門家の間では意見が分かれていると。中田教授の話を出しましたが、やはり専門家の間で今の耐震安全性評価ではまだ不十分だと、もっともっと調査する必要があるよと。

 知事は、西側の古浦湾で男島のところまでという、そういう話されたですけども、もっと西側の十六島のほうとか、または東側のトレンチで言えばトレンチの箇所をもっとふやせとか、そういうような専門家の指摘があるわけでして、この点で私は国の耐震安全性評価という点ではまだまだ県民、疑義があるというふうに考えてるわけです。国のほうは、もうこれ以上の調査はやらないという立場でございますので、それで私はやはり県として安全協定の第12条の発動を求めたわけです。プルサーマル等を許可する前に発動してほしいと言ったわけです。この点で、もう少し踏み込んだ御答弁いただきたいなということでございます。知事にはその3点お願いさせてください。

 それから、健康福祉部長、ちょっと私は残念でならないんです。それは、1つ目に子供の無保険は去年の12月段階で178人、現在168人という答弁でした。数からいえば10人なんですよ、ほとんど無保険が解消になってないんです。この点で言えば、やっぱり厚労省の通知はしっかりと行き渡ってないと、私はそういうふうに思います。

 それから、1月20日の閣議決定、これがしっかりと市町村には徹底されてるのではないかと言われるんですが、じゃあ、今現在短期保険証は幾ら出てますか。言い方変えれば、資格証明書は私が知る範囲では1,500世帯まだ出てます、出てると思います。この1月20日以降幾ら出てますか。そこをお答えください。それが言えて、初めて国の閣議決定がしっかりいっている、入っているということが言えるはずです。

 それから、後期高齢者の場合も、1万5,000円未満の人が直接納付になるんです。だから、ここで滞納が起こるんです。低所得者の人が医療から排除されるんです。だから、私はその点でここの低額所得者の年金が1万5,000円未満の人や無年金者の人が一番医療から排除される危険があるわけで、ですからここは県として後期高齢者には資格証は発行しないという決意を私は述べていただきたいです。以上でございます。



○副議長(多久和忠雄) 溝口知事。

○知事(溝口善兵衛) 尾村議員の3つの質問に対してお答え申し上げます。

 進出企業だけでなくて、その親企業だけでなく、マツダのように部品を発注するところにも行っていろいろお願いをするとかということでございますが、マツダも過去に行っております。このマツダは、やはり島根への部品発注が一番多いわけでございますし、関係が深いわけでございまして、ほかの企業なんかでもそういうところには、広島とか大阪なんかでも関係あるところには行くわけでございまして、そういうことはやってまいりたいと思います。

 それから、県の制度融資に関連しまして商工会議所等の非会員の方の場合に問題が生じるという若干の例が御指摘ありましたんで、そこら辺を実態はどういうことになってるか、一回私も聞いてみたいと思います。その上で何か必要な対応があれば、それは先ほど申し上げましたように、問題があれば対応していくということでございます。

 それから、原発の耐震安全性につきまして、御指摘のこの趣旨はよくわかるわけでございます。他方で、それぞれ手続があり、それからステップを踏んでいくわけでございまして、その際には一定の範囲で、あるいはそれまでにいろんな状況の変化もあるわけでございますが、その時点での知見に基づいて一定の基準というものができて、行政はそういうものをベースにやっていきませんと、どこまでとするのかってなかなか決めがたいわけでございまして、そういう意味では基準に基づいていろんな評価をした結果が現在の評価でございますから、現在の段階ではそういうものに基づいて我々も確認するほかはないかなあというふうに思ってます。

 先ほどの答弁の最後に申しましたが、もちろんこの状況が変わるとか、そういうことがあるのかどうか、今後も引き続き監視をしていくわけでございまして、そういう過程の中で必要なものがさらに出てくれば、それはまた具体的な話にもなろうかと思いますが、段階、段階できちっと監視をしてまいりたいというふうに考えております。



○副議長(多久和忠雄) 山根健康福祉部長。

○健康福祉部長(山根成二) まず、国保の資格証明書についてでございますが、確かに10名程度の減ということでございまして、減少してない理由はさまざまなものがあろうと考えております。改めまして全市町村に対しまして取り扱いの周知を徹底してまいりたいというふうに思います。

 なお、全体の交付世帯数でございますが、手元に子供に関するものは持っておりますけれども、全体のものを持っておりませんので、後ほど回答させていただきます。

 それから、後期高齢者医療についても資格証明書を発行すべきではないのではないかという御質問だったと思います。

 これにつきましては、先ほど申しましたように、資格証明書の交付につきましては、私どもとしては必要な制度と、かように考えておりますが、このたびの国の通知によりまして相当な収入があるにもかかわらず納付しない者に限って適用ということになりましたので、非常に弾力的な運用ができるのでないかというふうに思っております。したがいまして、議員御指摘の発行すべきではないのではないかという点にはそぐわないかもしれませんが、合理的な理由のある方等々につきましてはかなりの制度の改善になったというふうに思っております。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画