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議会の取り組み

議会の取り組み詳細

2009 年 2 月定例会 知事提出議案、請願に対する討論

2009-03-12 この記事を印刷
 日本共産党の尾村利成でございます。

 予算案6件、条例案7件、一般事件案1件、請願2件について委員長報告に反対する討論を行います。

 第4号議案「平成21年度島根県一般会計予算」

 まず、第4号議案「平成21年度島根県一般会計予算」についてであります。

 平成21年度予算案は、総額5,271億円余、対前年比5.2%増であります。平成13年度以来8年ぶりの増額予算であります。

 予算案では、県産木材や石州瓦を使用した住宅の新築、増改築に対し、経費の一部を助成する県産材利活用助成事業の創設や中小企業の制度融資枠を200億円増額する措置が盛り込まれています。また、農業関連では、県単独の野菜価格安定対策事業の拡充をはじめ、県単独の子牛価格安定対策事業の創設などについては、評価するものであります。

 しかし、一方で、私立学校の経常的経費を補助する私立学校経営健全性確保事業は8,000万円削減され、病院間の連携や救急医療体制の維持を支援する医療機関の施設設備整備補助事業が3,000万円余り削減されるなど、県民の願いに逆行するものもございます。

 予算案では、松江第五大橋関連事業や国の直轄事業を聖域化し、県民合意のない大手前通り拡幅事業や不要不急の大規模農地開発、需要予測を見誤った斐伊川水道事業などを見直すことなく継続しようとしています。

 県政は不要不急、県民合意のない事業については、勇断を持ってメスを入れ、医療、福祉、教育の予算を拡充すべきであります。

 今、日本経済を見てみると、雇用と家計を犠牲に進めてきた外需頼みの経済成長がアメリカ発の金融危機で根底から崩れているではありませんか。空前の利益を上げたトヨタなど財界トップ企業は輸出が落ち込むとすぐさま最も弱い立場の派遣労働者や下請け中小業者に被害を押し付けています。

 政府は、くらしを支える社会保障予算の自然増を毎年2,200億円も削減し続ける方針を撤回し、社会保障を拡充する方向に転換すべきであります。景気をさらに悪化させ、くらしを壊す消費税増税計画は中止すべきであります。

 県は国に対し、外需頼みから内需主導へ経済政策を切り替え、雇用の安定と社会保障の拡充、農林漁業と中小企業の応援による地域経済の再生を強く求めるときであります。

 以上の立場から、予算案には反対であります。


 第16号議案「平成21年度島根県病院事業会計予算」
 第17号議案「平成21年度島根県電気事業会計予算」
 第18号議案「平成21年度島根県工業用水道事業会計予算」
 第19号議案「平成21年度島根県水道事業会計予算」
 第20号議案「平成21年度島根県宅地造成事業会計予算」
 
 次に、第16号議案「平成21年度島根県病院事業会計予算」、第17号議案「平成21年度島根県電気事業会計予算」、第18号議案「平成21年度島根県工業用水道事業会計予算」、第19号議案「平成21年度島根県水道事業会計予算」、第20号議案「平成21年度島根県宅地造成事業会計予算」についてであります。

 病院事業においては、平成19年4月から地方公営企業法全部適用に移行し、経営効率化と採算性の追求が強化されてきました。県立病院は公共性の高い高度、専門、特殊医療の提供など不採算部門を担っており、県民からの期待は大きいものがあります。
 
 この間指摘してきましたように、経営効率化による民間委託推進は、県民との間において弊害が生まれています。例えば、医療事務における民間委託は、公費負担医療制度対象者への制度案内の不徹底や差額ベッドが請求できないケースでの請求などの弊害が生まれています。医療現場と会計や案内などの医療事務、患者の相談に応じるケースワーカーなどとの連携システムの改善、強化は急務です。

 民間委託では、医療機関の医療に対する責任が曖昧にされる恐れもあり、病院が自らやるべき業務や安全・衛生等についてのチェックができず、県民サービスの低下が危惧されます。

 企業局会計については、供給見込みのたたない八戸川工業用水道事業、神戸川工業用水道事業、使わない水まで住民負担になっている江の川水道事業、水需要予測の見直しが求められる斐伊川水道建設事業など住民負担軽減や事業の見直しによる適正化が措置されておらず、賛同できません。


 第31号議案「県立学校の教育職員の給与に関する条例の一部を改正する条例」
 第32号議案「市町村立学校の教職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例」

 次に、第31号議案「県立学校の教育職員の給与に関する条例の一部を改正する条例」、第32号議案「市町村立学校の教職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例」についてであります。

 これらの条例案は、国における義務教育費国庫負担金の最高限度額の見直しに鑑み、義務教育等教員特別手当を減額するものであります。給与カットを続ける中でのさらなる手当ての削減は容認できません。

 よって、これら議案には反対であります。


 第34号議案「島根県手数料条例の一部を改正する条例」
 第40号議案「島根県立高等看護学院条例の一部を改正する条例」

 次に、第34号議案「島根県手数料条例の一部を改正する条例」、第40号議案「島根県立高等看護学院条例の一部を改正する条例」についてです。

 手数料条例において、全国一高い介護サービス情報公表手数料や、調査手数料の引き下げには賛同するものであります。しかし、教員免許更新制導入にかかる手数料等の新設や、2級建築士試験及び木造建築士試験にかかる手数料の値上げなどには賛同できません。また、長引く不況のもとでの県立高等看護学院の授業料の値上げは、父母負担をさらに増大させ、看護師養成の門戸を狭めることとなります。

 よって、これらの条例案には賛同できません。


 第37号議案「県立学校の職員定数条例及び市町村立学校の教職員定数条例の一部を改正する条例」
 
 次に、第37号議案「県立学校の職員定数条例及び市町村立学校の教職員定数条例の一部を改正する条例」についてであります。

 行き届いた教育、ゆとりある学校実現のために、教員定数の削減は認められません。学校現場において、教員は超多忙の状態にあり、教職員の増員こそ実施すべきであります。

 よって、本条例案には反対であります。


 第44号議案「島根県立教育センター条例の一部を改正する条例」

 次に、第44号議案「島根県立教育センター条例の一部を改正する条例」についてです。

 本条例案は、松江教育センターと浜田教育センターを改組し、松江市に島根県教育センターを設置し、浜田市にセンターの支所を設置するものであります。この組織の見直しは、教育事務所の再編が背景にあるものと推察されます。県西部の教職員の研修や相談体制の利便性の低下に危惧が残り、また組織再編に対する関係者の合意形成は不十分であります。

 よって、本条例案には反対であります。


 第46号議案「市町村立学校職員の旅費に関する条例等の一部を改正する条例」

 次に、第46号議案「市町村立学校職員の旅費に関する条例等の一部を改正する条例」です。本条例案は、小学校及び中学校に主幹教諭を配置するため、所要の改正を行うものであります。

 学校教育法の改正により、主幹教諭を配置することができることとなりましたが、学校現場が願っているのは、子どもと向き合う教職員を増やすことであります。

 よって、本条例案には賛同できません。


 第62号議案「契約の締結について」

 次に、第62号議案「国道485号(松江第五大橋道路)改築(改良)工事東津田工区東津田第7高架橋上部工」の契約の締結についてです。国道485号松江第五大橋道路は、総事業費343億円の巨大プロジェクトであります。

 その整備目的は、地域高規格道路境港出雲道路の1区間として、宍道湖、中海都市圏の形成を図ること、松江市街地の外環状道路を形成すること、ソフトビジネスパークなどの工業、商業拠点を結ぶこととされております。

 私は渋滞の緩和や移動時間の短縮を否定するものではありませんが、今日の厳しい財政状況、今後の人口動態、環境問題、関係権利者の同意状況、外環状道路形成や工業、商業拠点を結ぶ必要性や実効性の有無など総合的に勘案した際、その事業実施に当たって疑義が残ります。

 よって、本契約締結には反対であります。


 請願第36号「島根原発プルサーマル運転の許可について中国電力に活断層の徹底調査をさせるよう求める請願」
 請願第37号「島根原発のプルサーマル計画に同意しないことを求める請願」

 最後に、請願第36号「島根原発プルサーマル運転の許可について中国電力に活断層の徹底調査をさせるよう求める請願」ならびに請願第37号「島根原発のプルサーマル計画に同意しないことを求める請願」についてであります。

 これら請願は、プルサーマル計画に同意しないことを求めるとともに、徹底した活断層調査を求めるものであります。

 プルサーマルは、原発の使用済み核燃料を再処理して抽出したプルトニウムをウランと混合したMOX燃料にして再び原発で燃やすものであります。

 プルトニウムは毒性の強い放射能を含むため、過酷事故が起きれば、ウラン燃料の事故の場合より死者・発ガン率は大きくなります。

 国内軽水炉での実績はないに等しく、プルサーマルをいきなり営業炉で行うことは、松江市民をモルモット代わりにしたものであり、住民の安全を無視した暴挙であります。

 また、使用済み核燃料の処理方法は決まっておらず、高レベル放射性廃棄物の最終処分場の建設地も未定であり、国の核燃料サイクルの行き詰まりは明白ではありませんか。こういうもとでのプルサーマル導入は絶対に許されるものではありません。

 プルサーマル実施について、地元松江市民が合意していないことは明瞭であります。プルサーマルを推進しているのは、国と中国電力だけであります。政治の主人公は主権者たる市民、県民であり、その県民の理解と納得のないプルサーマル計画に同意することは、県政への不信を広げることになるではありませんか。

 耐震安全性の問題では、この間、三度も活断層の訂正を行いながら、それでも安全と開き直る中電と国の姿勢に対し、県民の不安と怒りが渦巻いています。

 科学者は日本列島が地震の活動期に入ったと警告しています。今すべきことは、事業者たる中国電力とその安全審査を是とした国が徹底した活断層調査を実施することであります。そして、この間の活断層の見逃しについて、猛省すべきであります。

 専門家は活断層のさらなる延伸を指摘しています。県民の命と安全を守ることは自治体の責務であり、県としては、安全協定第12条を発動し、徹底した活断層調査を事業者に求めるべきです。

 以上の立場から、本請願の採択を強く求めるものであります。

 以上で、討論を終わります。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画