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議会の取り組み

議会の取り組み詳細

2009 年 6 月定例会 一般質問 (新型インフルエンザ危機管理対策について、介護保険・障害者福祉について、初期臨床研修制度について、地域医療支援について、県立中央病院について、森山堤防開削に伴う汽水環境復元について、指定管理者制度について、斐伊川水道建設事業について)

2009-06-26 この記事を印刷
 日本共産党の尾村利成でございます。

1.新型インフルエンザ危機管理対策について

【尾村利成】
 質問の第一は、新型インフルエンザによる危機管理対策についてであります。

 今回の新型インフルエンザ対策に対して必要なことは、国や市町村、関係機関と連携し、感染防止に万全を尽くすことであります。そして、県民だれもが安心できる保健行政や医療体制を充実するなどの体制整備の強化であります。

 新型インフルエンザの感染防止のためには、早期の治療がカギとなります。しかし、高すぎる国民健康保険料が払えず、保険証を取り上げられた資格証明書世帯が増大しています。医療費を心配して受診を我慢することになれば、重症化や死亡に至ったり、感染が拡大することにもなりかねません。

 5月18日、厚生労働省は、国内での新型インフルエンザの感染拡大を受け、国民健康保険で資格証明書の人が「発熱外来」を受診した場合、短期保険証扱いとする通知を出しました。

 そこで伺います。

 この通知内容が市町村や医療機関に周知徹底されていますか。そして、何よりも保険証を持たない資格証世帯への周知徹底こそ必要と考えますが、これらの点で県としていかなる対応策を講じているのですか、お答え下さい。

 また、新たな運用指針では、発熱外来は廃止し、一般医療機関で診察を行うこととのようですが、資格証世帯が一般医療機関を受診した場合にも、短期保険証扱いとすべきと考えますが、いかがですか。所見を伺います。

 資格証明書の発行が増加し続ける中、資格証明書の被保険者が受診の遅れから病気が重症化したり、命を落とすという事例が全国で頻発しています。県内においても、この痛ましい事例が発生しています。

 島根県保険医協会は、一般被保険者と資格証明書の交付を受けた人の受診率を比較する調査を実施しました。この調査は、通常の保険証を持つ患者と資格証明書を発行された患者について、各々100人当たりの年間受診件数をレセプト件数から推定したものであります。調査結果によれば、資格証明書による受診率は、通常の保険証を持つ患者と比較して、医科で1.88%、歯科ではさらに下がって0.89%という驚くべき数字です。医科・歯科合計では1.75%であり、保険証を取り上げられた人は、一般被保険者の約60分の1という低い受診率にとどまっています。すなわち、保険証の取り上げが医療受給権を奪い、資格証明書の人は「病気になっても病院には行けない」という結果が示されているのであります。

 そこで伺います。
 
 第一に、新型インフルエンザ発生時の緊急措置として、資格証明書交付世帯に対し、保険証を交付するよう県として市町村に強く要請すべきと考えますが、いかがですか。所見を伺います。

 第二に、この問題の根本的な解決のためにも、残酷な保険証の取り上げは中止すべきであります。所見を伺います。

 第三に、この間、派遣切りや雇い止めにあった非正規労働者が増加しています。雇い止めにあった労働者の中で、無保険状態に陥っている方も多数あります。そこで、医療保険未加入者に対する救済策を講じるべきと考えますが、所見を伺います。


【溝口善兵衛知事】
 最初に、新型インフルエンザに係る国民健康保険の取り扱いでございますが、緊急措置として、資格証明書交付世帯に保険証を交付するようすべきであるけども、どう考えるかということでございますが、新型インフルエンザへの感染の疑いがあり、発熱外来に受診する必要のある方で、資格証明書が交付されている方につきましては、感染の拡大防止を最優先に考え、資格証明書を被保険者証とみなす取り扱いとし、他の被保険者と同様に受診ができるようになりました。

 これは国の通達でございます。5月18日に出ておりますけども、そういうことで対応しておるということです。大事なことは、資格証明書が交付されてる方にこの取り扱いをきちんとお知らせをするということが必要なわけでございます。そのために保険者でありますそれぞれの市町村に周知徹底するように働きかけてきております。担当部におきまして、各市町村に状況を確認し、不十分なところは指導してきているところであります。

 次に、そもそも資格証明書の交付をやめるべきではないかと、保険証を直ちにと、こういうことでありますが、実は御承知のように、本年4月の制度改正によりまして、資格証明書交付世帯の15歳以下の子供につきましては、短期の被保険者証を交付することになり、新しい道が開けたわけでございます。それは制度改正があって可能になったものでございます。

 しかしながら、医療保険制度が保険料を納めていただくことによって成り立っている制度であるということから、すべての世帯についてこれと同様な取り扱いにすることはなかなか難しいことでございますが、国の制度ともかかわっている問題だというふうに理解をいたしますが。

 それから次に、失業したと、雇いどめなどがあって失業して、今までは被用者保険というのに入っておったけれども、今度は国保に入らなければならない、しかし国保の手続は済んでないという方がおられるわけです。その間に診療を受けなきゃいかんときにどうするかという問題でありますが、国保の加入手続を行っていない方の対応策につきましては、まず発熱外来を受診してもらうために、国保受給資格を遡及して適用できることを全市町村に周知をしております。こうした対応を徹底することによりまして、今後予想されます秋、冬の発生に備えた円滑な受診体制に万全を期していきたいということでございます。

【錦織厚雄健康福祉部長】
 まず、新型インフルエンザにおける国保資格証明書の取り扱いについてでございます。
 
 新型インフルエンザに係る発熱外来の受診に当たりましては、感染拡大を防止する観点から、国民健康保険の資格証明書を被保険者証とみなす取り扱いとなっております。このため県から保険者である各市町村及び発熱外来を設置する医療機関、これにこの内容を通知するとともに、新型インフルエンザを担当されます市町村の担当課長、あわせまして国保を担当されている課長会議の場でも改めて説明をしております。さらに、今月に入りまして、その後の取り組み状況を把握し、重ねて周知徹底を依頼しております。

 次に、新型インフルエンザが疑われる発熱患者の一般的な医療機関における取り扱いについてでございますけども、6月19日に国の運用指針が改定され、今後原則としてすべての一般医療機関において、新型インフルエンザの診療を行うこととされております。これに伴う受診時の資格証明書の取り扱いについて、速やかに通知をされるように国に問い合わせておりますが、現在検討中と伺っておりますので、この検討結果がわかり次第、関係先に確実に周知をしていきたいというふうに考えております。


2.介護保険・障害者福祉について

【尾村利成】
 次に、介護保険についてです。
 
 厚労省は、今年4月から、介護保険の要介護認定制度を変更しました。それは、利用者への聞き取り調査項目を減らし、調査の際に介助が必要と判断する基準をせばめ、認定審査会の役割を引き下げるなど、認定を軽度化するものです。

 参議院厚生労働委員会では、厚労省がこの度の認定方式の変更で、介護給付費を284億から384億円削減できると明記した内部文書の存在が明らかになりました。また、別の内部文書では、要支援2と要介護1の認定割合を現在の5対5から概ね7対3へとし、軽度の人を増やす方針を企てていることも明らかとなりました。本当に許せないことではありませんか。

 この新認定制度が導入された結果、利用者の生活実態を反映しない軽度の認定がうまれています。要介護度が下がれば、受けられるサービスも制限され、これでは「派遣切り」ならぬ「介護切り」だと、怒りの声が広がっています。

 厚労省は新認定制度の欠陥を認め、新認定制度の検証結果が出るまでの間、利用者が希望すれば従来の介護度を継続できる経過措置を講じました。しかし、経過措置が適用された場合、自治体によっては、新認定制度の判定結果を利用者に通知しないとしており、問題点が見えてこない状況もあります。

 そこで、県として、今回の認定方式の変更による影響調査を行うべきであります。そして、国に対し、新認定制度の見直しを求めるべきであります。所見を伺います。

 次に、障害者福祉についてです。
 
 透析患者などの障害者は、福祉医療の1割負担導入による負担増に加え、多額な通院費用がかかり、経済的に大きな負担となっています。

 今回の新認定制度により、介護度が軽度化したため、通院時の介護保険での通院等乗降介助、通称介護保険タクシーが利用できなくなり、通院の際の介助が受けられなくなった人も出ています。このように透析患者を取り巻く状況は、一段と厳しさを増しています。この現状をふまえ、県として、透析患者など障害者への交通費助成の支給を検討すべきと考えますが、いかがですか、所見を伺います。

【錦織厚雄健康福祉部長】
 次に、介護保険、障害者福祉についてでございます。
 
 まず、新認定制度の見直しについてでございます。
 
 今回の要介護認定の見直しは、認定調査や認定審査の平準化を図り、最新の介護の手間を反映させるといった趣旨により行われたものでございます。また、昨年度国において実施されたモデル事業や研究事業によれば、変更前の認定方法と新認定方法による認定結果の6割から7割については一致するものとされ、その要介護度別の出現状況から、一概に軽度の方がふえるものではないと報告をされております。

 ただ一方で、その趣旨や手法について利用者や関係機関に対して周知徹底が不足していたことから、必要なサービスが受けられなくなるのではないかという不安を助長するなど、現場の混乱も招いております。このため現在国において、要介護認定の見直しに係る検証検討会が設置をされ、客観的データに基づき、見直し後の要介護認定の実施状況を把握して、その影響について検証作業が行われているところでございます。県といたしましては、認定方式の変更後の県内の状況について注視しながら、国の検証作業の動向を見守ってまいりたいと考えております。

 次に、透析患者などの障害者への交通費助成の検討についてであります。

 現在、県内では1,300人余りの方が県内外の医療機関に通院をして、血液透析を受けておいでになります。血液透析を行う医療機関は現在県内に29機関ございますが、どうしても地域的な偏在が生じておりまして、遠方の機関を受診される方もございます。そのような場合には、御本人や御家族が長時間をかけて通院されております。多大な負担となっていることも承知をしております。このような状況について、ほとんどの市町村において、地域事情に配慮をされまして、交通費の助成制度を設けられておりますが、県としても、透析患者の経済的負担の実態を把握した上で、市町村の皆さんとも協議をしながら、助成のあり方について検討を行っていきたいと考えております。


3.初期臨床研修制度について

【尾村利成】
 
 次に、初期臨床研修制度について伺います。

 政府は、医師不足の原因は2004年にスタートした新臨床研修制度にあるとし、この4月に臨床制度の見直しを決定しました。

 医師不足の原因には様々な要因がありますが、そのおおもとには、政府・与党の社会保障切り捨て政治があります。政府は「医療費適正化」の名で医師を抑制し続け、日本を世界でも異常な医師不足の国にしてきました。また、診療報酬の大幅削減、「行革」の名による国公立病院の統廃合など、国の財政負担と大企業の保険料負担を減らすために公的保険・公的医療を切り捨てる「構造改革」が、地域の「医療崩壊」を加速しています。

 今回の臨床研修制度の見直しの大きな問題点は、臨床研修病院の指定基準を年間入院患者数3,000人以上であることとし、2年以上研修医の受け入れがない時は、臨床研修病院の指定を取り消すこととしていることです。

 実績のある中小病院を指定病院から外す道理のない制度改変では、医療崩壊は止まりません。

 県内には初期臨床研修指定病院が12病院ありますが、この新基準に従えば、3つの病院が将来的に指定を取り消される恐れがあります。
そこで伺います。

 第一に、今回の臨床研修制度改変に伴う指定病院の取り消しは、県内の医師不足に拍車をかけ、地域医療のさらなる崩壊へつながることが危惧されます。病院の意向を掌握し、既存指定病院の取り消しをさせない取り組みと、さらに多く研修医を確保する取り組みの強化を求めますが、所見を伺います。

 第二に、各指定病院が連携し、協力し合うプログラムを確立するなどの一体的取り組みを強化し、臨床研修の質的向上と県内定着を推進するためのシステム構築を図るべきと考えますが、所見を伺います。

【錦織厚雄健康福祉部長】
 次に、初期臨床研修制度についてでございます。
 
 医師不足解消のためには、現役医師の確保とともに、将来の医師の養成が不可欠でございます。県内で勤務する医師を養成するためには、まず臨床研修病院の指定を維持し、より多くの初期臨床研修医を県内で確保する必要がございます。このため臨床研修医制度の改正につきましては、県としても要望してきているところでございます。今回の県内の臨床研修病院の指定取り消しにつながる基準につきましては、見直しをされるように国に対して要望をしてまいります。

 また、研修医の確保のためには、今年度から県内での初期臨床研修を義務づけた奨学金制度を設けてはおります。ただ、研修医の確保のためには、病院の魅力アップが必要でございます。県としても、島根大学と連携をいたしまして、臨床研修病院を対象としましたプログラム発展講習会、それから指導医講習会のほか、研修医意見交換会なども実施をしております。
 
 また、県内では、大学と地域の中核的な病院の両方で研修が受けられるプログラムや、各研修病院が協力をしてそれぞれに得意な分野で研修を行うプログラムなど、研修病院間の連携が拡大をしてきております。県としましては、こうした連携の調整役となりまして、研修プログラムがより質の高い魅力的なものとなるように努めまして、研修医の県内定着を推進してまいります。


4.地域医療支援について

【尾村利成】
 次に、地域医療支援について伺います。
 
 私はこの間、県内の医療機関や介護施設、看護や介護、リハビリの専門学校などを訪問し、様々な要望をお聞きしてきました。隠岐の病院や鹿足郡の津和野共存病院、吉賀町の六日市病院など離島、中山間地域のきびしい実情もお聞きしてきたところです。
 
 吉賀町の六日市病院では、「鹿足郡で唯一の救急告示病院であり、住民の命綱の役割が期待されていると自覚している。しかし、この間の医師、看護師不足、診療報酬の削減によって経営が大変きびしくなっています。住民の命を守るためにも何としても救急は守りたい」とのお話でありました。

 津和野共存病院では、「地域に根付いた医療を実施しており、病院に来れない人に対しては、往診をしています」と懸命に地域医療を守っている現状をお聞きしました。

 吉賀町では、地元住民とのみなさんとの懇談の機会を設けました。住民からは、「六日市病院がなくなったら困る。山口県の岩国や益田市まで一時間以上かけて行くことになる。救急対応は何としても続けて頂きたい」との切実な声が寄せられました。

 そこで伺います。
 
 県内の救急医療の現状と課題、ならびに離島、中山間地域における救急医療の確保、強化方向についての所見をお聞かせ下さい。

 私は県内各地を歩く中で感じたことは、医療、介護、福祉、教育のあらゆる機関が連携し、お互いの現状と課題を理解し、協力し合えるような体制をつくり、地域における総合力を活かせる体制をネットワーク化することであります。

 そこで提案ですが、圏域毎において、医療機関、福祉団体、介護施設、専門学校、看護学校、市町村などで構成する支援会議(仮称)を立ち上げ、それぞれの団体、機関が情報交換、連携強化を図ることによって地域の総合力が発揮できる体制を構築すべきと考えますが、所見を伺います。

【錦織厚雄健康福祉部長】
 次に、救急医療の現状と課題でございますが、本県における救急医療につきましては、かかりつけ医などにより軽症者に対応する初期救急、それから救急告示病院を中心として入院治療に対応する2次救急、救命救急センターなどにより重篤な救急患者に対応する3次救急という役割分担によりまして、傷病の程度に応じた医療が受けられる体制がとられております。

 しかし、2次救急医療機関におきましては、医師不足などから診療機能の低下が懸念され、とりわけ離島、中山間地域においてはその問題が顕著でございます。また、軽症者の皆さんが2次救急医療機関に集中して、本来の役割に支障を来している状況も見られます。県といたしましては、引き続きまず医師確保に努めると、それから初期、2次、3次、それぞれの役割に沿った医療機関の受診が行われるよう、県民の皆さんへの啓発活動にも力を入れていくことが重要であると考えております。
 
 現在例えば益田地域、隠岐地域では、地域住民の皆さんが中心となって、いわゆるコンビニ受診自粛の啓発など、地域医療を守る活動が展開されておりますが、県といたしましても、各地域でのこのような取り組みも支援していきたいと考えております。

 次に、地域の総合力を発揮する圏域ごとの地域医療支援体制についてでございますが、現在県内各圏域におきまして、圏域の保健医療計画を推進するために、地域保健医療対策会議を設置しておりまして、医療連携の方策や保健医療提供体制の確保等に取り組んでおります。

 この会議の構成員は、医療機関、医師会など医療関係団体、それから市町村、それから消防本部を始めとして、各圏域の課題に応じまして、福祉団体、介護事業者、大学、住民代表等を加えまして、相互理解と連携強化を図っております。この会議の構成メンバーを地域のテーマに応じて柔軟に選定することによりまして、関係者相互の情報交換や連携を通じて、地域医療の確保に取り組んでまいりたいと、そのように考えております。


5.県立中央病院について

【尾村利成】
 次に、県立中央病院について伺います。

 私は、これまで県議会本会議、決算特別委員会において何度も県立中央病院の差額ベッド徴収の不適切事例を取り上げ、その改善を求めてきました。

 答弁では「適切な運用について周知徹底を図る」ということでありました。しかしながら、この間、また複数の方から不適切事例の相談を受けました。これらは患者さんや患者さん家族の指摘により、病院側は誤りを認めるという事例でありました。

 差額ベッドに対する厚労省通知では「患者への十分な情報提供を行い、患者の自由な選択と同意書の提出による同意の確認に基づいて行われる必要があるとし、治療上の必要から特別室へ入った場合は、料金請求できない」こととなっています。この点で、相談者から実情をつぶさにお聞きする中で、ある意味病院の対応のずるさがわかりました。

 それは、例えば集中治療室から特別室に入る時、治療上や病院管理の必要性から特別室に入れたのに、真っ先に同意書を取るというやり方です。すなわち、同意書先にありきの対応であります。

 そこで伺います。
 
 病院として、不適切事例が多発する原因はどこにあると総括・検証しているのですか。また、差額ベッド徴収に係る院内規定、ならびにマニュアルはどのようなものですか。お示し下さい。そして、再発防止に向けての対処方針をお示し下さい。また、過去3年間の個室の入院件数と差額ベッドを徴収している件数ならびに徴収していない件数はどうなっているのか、お示し下さい。

 この不適切事例は、経営効率化最優先により、患者中心の医療実践、患者主人公の病院運営の精神が希薄となっている表れではありませんか。

 経営健全化の大前提は、患者である一人一人の県民を大切にし、県民の信頼を築くことにあります。病院経営において、県民に対する公正な医療サービスの提供と患者さん中心の医療サービスを提供すると宣言した県立中央病院憲章に基づく医療サービス提供を強く求めるものであります。

【今岡輝夫病院局長】
 県立中央病院の差額ベッドの徴収に関する4点の御質問にお答えをいたします。
 
 1点目は、差額ベッドの徴収に係る問題の総括、検証についてであります。
 
 いわゆる差額ベッドは、利用者の方に料金を負担していただき、特別の療養環境を提供することが認められた個室のことを言いますけれども、現在中央病院には102床あります。

 議員からお話もございましたけれども、このベッドの取り扱いに関する厚生労働省通知では、原則として患者の自由な選択と同意をもとに提供すべきもので、その意に反して行ってはならないとされています。また、同意書による同意の確認を行っていない場合や、医師が患者本人の治療上必要と判断した場合などは、料金を求めてはならないことがあわせて示されています。

 平成19年6月議会で御指摘を受けまして、中央病院では厚生労働省の通知内容を確認することや、具体的な事例を検討することなどを内容とする院内研修を行ってきております。各病棟では、看護師長を中心として、患者さんに信頼と安全の看護を提供することを基本理念に、丁寧な説明を心がけてきたところでございます。

 しかしながら、議員御指摘のような幾つかの事例が生じたことを私も承知しております。この原因について改めて検証いたしますと、1つには、病院から患者さんへのきめ細やかな説明が不足している場合があること、2つには、患者さんの御家族のうちでも、同意することに対して意見が異なるような場合もあること、3つには、看護師から医師への状況の確認が十分でないケースもあること、4つには、救急病棟から一般病棟への病室変更の際の連携が十分でないケースがあることなどが原因となっております。こうしたことから、これまで実施してきた研修や教育のあり方などを見直す必要があると考えています。

 次に、現在の院内規定、徴収マニュアルについてでございます。

 中央病院では、差額ベッドに関する院内規定といたしまして、厚生労働省通知をもとに、使用料を減免する場合などを規定した特別病室使用料の減免に関する規定を設けています。また、徴収マニュアルにつきましては、特別に設けていませんけれども、看護業務手順書において、入院時業務や病棟を変わる転棟時業務などの標準を示し、使用しております。

 3点目は、再発防止に向けての対処方針についてでございます。

 既に院内検討チームを立ち上げて、具体的な作業を進めているところでございますけれども、1つには、差額ベッドの説明の仕方なども示した院内運用マニュアルを作成すること、2つには、これを活用し、院内研修をさらに充実し、職員への徹底を図ること、3つには、本年4月から教育担当の看護部長を新設したことや、看護師長及び副看護師長を大幅に増員し、病棟管理体制の強化を図ったところでございますけれども、このことを最大限に生かし、職員教育の徹底を図ること、こうしたことに取り組むことといたしております。これらのことを実行することによりまして、患者さんや家族の方に十分に御理解していただけるよう努めてまいります。

 最後に、3年間の差額ベッドへの入院件数等についてであります。

 まず、平成18年度の数字を申し上げますと、入院件数は3万6,363件、うち料金を徴収した件数は3万5,127件、料金を徴収しなかった件数は1,236件でございます。平成19年度は、入院件数は3万6,679件、料金を徴収した件数は3万4,416件、料金を徴収しなかった件数は2,263件です。平成20年度でございますけれども、入院件数は3万8,849件、うち料金を徴収した件数は3万6,479件、徴収しなかった件数は2,370件となっております。


6.森山堤防開削に伴う汽水環境復元について

【尾村利成】
 次に、森山堤防開削に伴う汽水環境復元について伺います。
 
 国営中海土地改良事業と中海・宍道湖の淡水化事業の中止決定に伴い、5月末、森山堤防が開削されました。

 漁業者や住民の願いは、60メートルという小規模開削ではなく、森山堤防の大幅開削と大海崎堤防の開削でありました。しかし、旧本庄工区水域に28年ぶりに日本海の水が入り、潮流が復活したことに対し、漁業関係者の期待はふくらんでいます。

 宍道湖・中海は、国内有数の汽水湖として古くから地域の漁業と食文化を支えてきました。しかし、干拓堤防の建設等によって潮の流れが大きく変化し、汽水湖特有の浄化メカニズムが失われ、深刻な水質悪化、環境破壊、漁業の衰退をもたらしたことは、周知のところであります。

 森山堤防開削により、中海土地改良事業は一応の終結となりました。いま求められているのは、事業終結に伴う責任ある事後処理であります。それは、さらなる漁業再生、環境修復など汽水域環境の復元に向けた大胆な施策を講じることであります。知事の所見を伺います。

 県は、平成18年度から22年度の5ヵ年計画で、宍道湖・中海水産資源維持再生構想計画をすすめています。目標値としては、宍道湖においては平成15年の漁獲量7,443トンの維持を目標とし、中海においては、昭和50年代半ばの漁獲量1,000トンを将来目標として漁業の復活、再生に向けた取り組みを行うこととしています。

 両湖沼とも、漁業従事者がピーク時の5分の1にまで激減している上に、現在、漁をしている人の大半が60代以上で占められています。かつてのような漁場を取り戻すには、漁業環境の整備とともに若い人が漁業に従事できる生産性が求められています。そのためにも、年間3,000万円程度の宍道湖・中海の漁業振興予算を抜本的に増額する必要があるのではないでしょうか。

 宍道湖・中海水産資源維持再生構想の中間的な総括、ならびに今後の施策展開ビジョン、方向性についての所見をお聞かせ下さい。

【溝口善兵衛知事】
 次に、森山堤防開削に伴う汽水域環境復元についてであります。
 
 中海土地改良事業着手以来46年の間、幾多の紆余曲折があったわけでありますけども、最終的には豊かな汽水域が残ることになり、5月末に森山堤防の開削が完了して、本庄水域での海水の行き来が始まり、水産動物、植物の移動も可能になりまして、漁業面での効果も大いに期待をされるとこでございます。

 また、環境ということで見ますと、既に17年にラムサール条約に加盟をし、地域住民の方々の環境保護改善のための努力もいろいろなされておるわけでございます。私どもは、こういう状況を踏まえまして、中海における漁業資源の新たな開発、活用を考え、さらに環境の保全に対しまして積極的に取り組んでまいりたいと考えておるところであります。
 
【石垣英司農林水産部長】
 私からは、宍道湖・中海水産資源維持再生構想の中間的な総括、今後の方向性等についてお答えをいたします。
 
 平成17年度に策定されましたこの構想に即しまして、今までのところ、国土交通省、島根大学、関係する漁協や漁業者の皆さん、あるいは市や町などと連携をいたしまして、資源の維持、再生に向けた各種の取り組みを進めているところであります。

 これまでのところで得られております主な成果といたしまして、まず宍道湖につきましては、シジミの資源維持を目的といたしまして、湖底を耕してやわらかくする、いわゆる湖底耕うんによる漁場の改良のための技術の開発を行ってまいりました。その結果をもととしまして、現在では漁業者の皆さんがみずから湖底耕うん、あるいは天然のシジミの稚貝、子供の貝でありますけれども、これを採取して放流するといった取り組みに取り組んでおられるところであります。

 さらに、今年度につきましては、国庫補助事業を活用いたしまして、この補助事業にあわせて県といたしましても支援を行うことでもって、漁業者が実施しておられる湖底耕うんなどの漁場改良の取り組みを一層充実させることとしておるところであります。

 また、中海につきましては、天然のサルボウ、地元ではアカガイと呼ばれておりますけれども、この稚貝の採取技術の開発に取り組んでおりまして、昨年度、平成20年度には7万個の稚貝が採取されたところであります。

 今後は、中間育成、放流の方法、時期や場所等といったまだ大きな課題として残っておるところでありますけれども、サルボウ資源の再生に向けましては大きく前進が見られたのではないかと考えているところでございます。

 県といたしましては、今後ともこの資源維持再生構想の実現に向けまして、宍道湖におきましてはシジミの資源維持を最重点の課題として、また中海においてはサルボウ、アサリといった2枚貝資源の再生に重点を置きまして、各種の取り組み、漁場の改良維持でありますとか、そのほかの各種の取り組みに、漁業者はもとより、関係する市や町などとともに進めていくこととしております。
 
 なお、森山堤防の開削につきまして、中海において先般開削されたところであり、これによりまして本庄水域が漁場あるいは稚貝など魚介類の増殖や育成の場としての機能を回復することが期待されるところでございますけれども、これまでに実施をしてきました各種の技術の開発でありますとか、生息状況の調査、こういったものの結果を踏まえながら、さらに堤防開削の中海全体への影響、これも見きわめつつ、その水産振興施策を検討してまいりたいと考えているところでございます。


7.指定管理者制度について

【尾村利成】
 次に、指定管理者制度について伺います。

 2003年9月の導入から6年が経過し、全国的に指定管理者制度の制度欠陥が明らかとなり、企業の撤退や経営破綻まで相次ぎ、指定管理者の変更や委託料の縮減で、不安定で低賃金の非正規労働者が大量に生み出されています。

 また、総務省が2008年6月6日に発出した通知でも「公共サービスの水準の確保という観点が重要」としているにもかかわらず、住民が安心して安全に利用することについて問題を生じている施設も見られるようになっています。

 島根県においても、3年ないし5年の指定期間が定められ、指定に当たっては原則公募とされているので、指定管理者の中には、次期公募の時点で指定にならない恐れもあることから、就業規則を改正し、全職員を1年間の契約社員にしたところもあります。

 現実に「NPO法人出雲スポーツ振興21」においては、長年勤務してきた職員を不当に雇い止めしたり、職場に働きがいと展望を見出せず、毎年何人かが退職していくという実態も引き起こされています。県内でこのような不安定、低賃金の非正規労働者が発生し、県民サービスの維持向上の上で支障を来たしている施設も出現しています。

 そこで4点伺います。

 第一に、公共サービスを維持・向上するためにも指定管理者における安定雇用制度は不可欠であります。各施設の安全管理や賃金・労働条件の実態をきめ細かく把握すべきと考えますが、所見を伺います。

 第二に、労働者の雇用の継続、労働条件を確保し、指定管理料については、労務単価基準を設け、適切な人件費を計上する仕組みを設けるべきと考えますが、所見を伺います。

 第三に、指定に当たっては、これまでの実績、専門性、技術、人材などの蓄積を尊重し、経費節減重視から事業内容、専門性重視に変更すべきと考えますが、所見を伺います。

 第四に、不公正な運営に当たっては、県として機敏に実地調査や必要な指示を行うべきと考えますが、所見を伺います。

【加松正利総務部長】 
 指定管理者制度について4点お答えいたします。
 
 1点目は、各施設の安全管理や賃金、労働条件の実態把握についてであります。
 指定管理者制度は、地方自治法に基づき、公の施設の管理主体を広く民間に開放し、施設の効率的運営を図るとともに、民間の創意工夫により施設のサービスの質の向上を図ることを目的としております。県としては、この制度のもと、適正かつ効率的な運営が行えるよう、適宜状況把握に努めております。

 すなわち、指定管理者の選定時におきましては、県が募集に際しまして示しました要綱や指標に基づきまして、安全管理ですとか、資格者を含めた人員配置、利用者の要望の把握、事業計画などの項目につきまして、各応募者の考え方を確認して審査を行っております。
 
 指定後におきましても、毎年度の事業計画書や実績報告書及び毎月の業務報告書を提出させていますほか、担当部局が適宜、ほぼ二、三カ月に1回程度でございますけども、施設に直接出向いて運営状況を把握をいたしております。

 なお、県といたしましては、施設の運営が適正かつ効率的に行えるかどうかという観点に基づき運営状況を把握するものであることから、一般に労働条件の詳細な把握までは行っていないというものでございます。

 2点目は、労務単価についてのお尋ねでございます。
 
 施設の管理運営を行う指定管理者に県が支払います指定管理料の積算に当たりましては、施設の適正な運営が図られるように、民間給与に準拠した標準人件費単価を設定するなど、必要な人件費を織り込んで積算をしております。

 他方、指定管理者である事業者が指定管理施設の運営におきまして、施設に勤務する職員に対し、どの程度の賃金を支払うかは、基本的には事業者の経営判断や労使の話し合いで決定すべき問題でございまして、県として事業者が用いる労務単価の基準を定め、それにより事業所に人件費を計上することまでは求めていないというものでございます。

 3点目は、事業内容、専門性を重視した選定についてであります。

 指定管理者の選定に当たりましては、いわゆる安かろう、悪かろうといった事態を招くことのないよう、サービスとコストの審査のウエートを同等に設定いたしまして、コスト面のみならず、管理運営の方針ですとか、管理運営の体制、安全面の確保、事業計画などをもあわせて審査をしております。

 4点目は、不公正な運営への対応についてであります。

 施設の管理運営が適正かつ効率的に行われているかという観点で、毎月の業務報告あるいは現地調査などを通じて、管理運営状況の把握を行っているところでございます。このため、例えば仮に安全管理面で問題が生じるなど、施設の適正な管理に支障が生じる場合には、地方自治法の規定に基づきまして、県として報告を求めたり、実地調査をしたり、必要な指示を行うこととなります。

 また、指定管理者が指示に従わないなど、管理の継続が適当でないと認められる場合には、管理業務の一時停止あるいは指定の取り消しなど、状況に応じて必要な対応を行うこととなります。


8.斐伊川水道建設事業について

【尾村利成】
 最後に、斐伊川水道建設事業について伺います。
 
 尾原ダムを水源とする斐伊川水道建設事業がいよいよ再来年の2011年からスタートとなります。この事業は、松江市、出雲市、雲南市、東出雲町の3市1町の参画により、最大日量35,400トンの水道用水を供給する事業であります。
私はこれまで本事業の問題点として、過大な水需要予測と参画市町と県との協議不足を指摘してきました。

 それは、本事業の需要予測は人口の増加予測と一人当たりの最大給水量の増加予測に基づき、算定されている訳ですが、企業局のいう20年間で4%の人口増加予測、そして一人当たりの最大給水量が16.6%増加するという予測が実態とは大きく乖離しているからであります。

 水需要予測においては、需要予測を誤り、高い水道料を住民に押し付けている江の川水道事業の二の舞にならないことこそ、県政の教訓であったはずであります。
参画水量35,400トンのうち、28,100トンという全体の8割もの参画水量を予定している松江市においては、尾原受水により大幅な水道料金高騰が懸念されております。

 松江市では、上水道と下水道が一緒に料金徴収されております。昨年の4月には、下水道料金が8.66%値上げされました。さらに、合併後6年目となる平成22年度をめどに下水道料金体系の統一を図ることとしており、平成23年度からはさらなる下水道の値上げが予定されています。その上に、尾原受水による水道料金の値上げであり、市民にとってはダブルパンチという耐え難い負担増が待ち受けているのであります。

 水道をたくさん使用するクリーニング業や旅館業者のみなさんからは、一体いくら負担が増えるのかという不安の声が高まっております。

 斐伊川水道建設事業費の増加は、受水団体である市や町への負担増加であり、それは住民負担の増加、すなわち料金高騰へ連動します。今日の不況のもとで、高い水を県民に押し付けないことは県政の責務であります。

 そこで5点伺います。

 第一に、参画水量35,400トンのうち、人口増によるものが16,100トンとの計画でありますが、計画時における積算根拠と今日時点における積算根拠を受水団体毎にお示し下さい。

 第二に、受水団体の契約水量の年次見込み、建設費等の資本費の確定時期、受水団体との協議時期など、料金算定の具体的スケジュールはいかがですか、伺います。

 第三に、企業局として、料金算定は資金ベースと損益ベースのどちらを考えているのですか、その理由を含め伺います。また、この点での受水団体からの要望ならびに協議状況についてはどうですか、伺います。

 第四に、ダムの基本計画が変更となりました。尾原ダムの総事業費は、平成5年、980億円であったものが、現在は1510億円となり、当初計画の1.5倍に膨張しました。総事業費の5%と決められた水道関係ダム工事負担金は、当初計画の49億円から75億5000万円となっています。そして、水道専用施設の事業費も増加となっています。これら当初計画からの事業費増加部分を資本費から除外したり、また県として事業費への出資を増やすなどして、受水団体の資本費負担軽減を図るべきと考えますが、所見を伺います。

 第五に、地方公営企業法第3条は「企業の経常性を発揮するとともにその本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならない」と規定しています。安定給水とともに、住民に過大な負担とならないようにすべきであり、料金高騰抑制に向けた対応方針と決意を伺います。

【溝口善兵衛知事】
 次に、斐伊川水道事業でございます。
 
 御指摘ありましたように、当初計画は平成5年度にでき、それから平成14年度に事業費の見直しがなされたわけでございます。それはいろんな工事が変更せざるを得ない事情ができたことによるものでございます。

 1つは、尾原ダムの建設事業自身が地質調査の結果によりまして、ダムサイトの基礎工事の工事費の増、あるいは用地費補償費の増などによって27億円の増加があったと。あるいは、今度は斐伊川から水道を取水しまして、それを管によって3市1町の各世帯に給水するわけですけども、そういう水道事業のための事業費がふえたわけでございます。

 それは1つは、取水場や浄水場が軟弱地盤であったということが新たにわかったということでございます。

 他方で、企業債の利息でありますけども、これを、多分金利の低下などがあったということじゃないかと思いますけども、相当額減少して、差し引き40億円程度の計画ベースで工事費がふえたということでございます。ただ、これはまだ計画、その当時の計画ベースでございまして、まだ工事は尾原ダムは進行中であります。

 それから、管の施設の工事も進行中でございまして、私どもが把握しております管の、給水管にかかわる、水道事業にかかわる工事につきましては、いろんな工夫もなされて、工事費が25億円程度は減少するという見通しがあります。

 尾原ダム自体についてどうなるかはまだわからないわけでございますけども、そう遠からず完成をするわけでございます。そういう工事費全体の事業費がどうなるかをよく見定めて対応を考えていく必要があるというふうに思っているとこであります。そういうことでございますから、御指摘のような問題について、今私どもが検討する状況にはまだないわけでございます。

 それから、料金高騰の問題につきましては、いずれにしましても水道は住民の生活にとって基礎的に必要なものでございます。可能な限り低い方が望ましいわけでございますけども、もちろんコストも賄わなければならない要請もあるわけでございます。受水団体からも受水費負担の軽減の要望などもございますから、よく受水団体等と今後よく協議をしてまいりたいと考えているところであります。

【山根勝彦企業局長】
 私からは、斐伊川水道建設事業についてお答えをいたします。

 まず、参画水量の積算根拠についてであります。

 参画水量につきましては、平成14年度の尾原ダムの建設に関する基本計画の変更に当たり、改めて受水市町村から需要予測資料の提出を受け、その積算内容について協議検討を行い、人口増減による需要増を日量1万6,100トン、市町村の簡易水道などの施設の老朽化、取水の安定化のための上水道への転換を日量1万9,300トンとし、参画水量をこれまでどおり日量3万5,400トンとしたところであります。

 その後、受水市町村の中には、市町村合併や人口の増減などによる水需要の変化に対応するため、見直しが行われていると聞いておりますが、参画水量の変更という話は伺っておりません。したがいまして、現時点では参画水量の変更がない中、水需要予測の見直しは考えておりません。

 次に、料金算定のスケジュールについてであります。

 料金算定を行うためには、受水市町の契約水量、資本費及び運転管理費が明らかになる必要があります。このうち契約水量につきましては、現在受水市町から要望を出していただいたところであり、今後調整を行い、決定することになります。

 また、資本費につきましては、ダム建設負担金が国の予算と密接に関係していることから、本年末にはほぼ明らかになるのではないかと思っております。したがいまして、受水市町との協議は年明けからと考えておりますが、それまでにも受水市町に情報提供し、意見交換を重ねてまいりたいと考えております。

 次に、料金算定方式についてであります。

 料金算定方式には、資金ベースと損益ベースの2種類の方式がございます。

 資金ベースの料金算定方式は、資金不足が生じない反面、企業債償還元金が減価償却費を下回れば赤字となり、一方、損益ベースの料金算定方式は、収支が均衡する反面、一時期資金不足が生じます。

 平成16年にそれぞれの算定方式による試算料金を受水市町にお示ししたところですが、算定方式に関する要望は伺っておりません。いずれの方式を採用するかについては、受水市町との料金設定協議にあわせ決定してまいりたいと考えております。


【尾村利成:再質問】
 斐伊川水道の問題で2点伺います。

 参画水量と料金の問題で、参画水量の問題は企業局長に、料金の問題は知事に伺います。
 
 私は、斐伊川水道事業のかなめとなるものは、参画水量の決定です。これが正確かどうかです。この参画水量がいかがかということで、計画当初と現在ということを聞きました。

 松江市で見ると、参画水量が2万8,100トン、2万8,100トンのうち、私が決算特別委員会で企業局からいただいた内訳、これは2万8,100トンのうち、人口増加による水量が1万5,130トン、それから簡易水道の上水転換分として1万2,970トン、これは合わせて2万8,100トン、こういう内訳になっておりました。

 しかし、6月22日に松江市議会で、松江市水道局長の答弁ということを見てみますと、参画水量の2万8,100トンは変わらないんですが、松江市水道局長は、今申し上げました人口増の水量、簡水の転換分部分、この積算について、島根県で試算された数値でありますという答弁になってるんです。

 すなわち、受水団体みずからが積算をしているわけではなくて、県からの試算ですとなってるんです。

 こうなると、島根県が、参画水量2万8,100トンですけども、この内訳は先ほど言ったとおりですが、これを県が押しつけたということになると、私はこれは問題だと思うんです。ちなみに、この積算内容も、松江市は水源余裕率等々で2万8,100トンのうち約1万9,000トンぐらいはこれで使いたい、簡水の上水転換は約8,800トン使いたいというふうになってますから、内容の差異も、差異ですね、差異があるわけです。ここはどうなんですか。これは局長、答えてください。

 それから、知事に料金の問題で、知事はまだいわゆる建設費等の事業費は確定になってないと、だからこれからだという御答弁だったですね。

 私はこの点で知事に1つ申し上げたいのは、今松江の水道代は県庁所在地で全国10番なんですよ、現在ですね。水道料金と下水道料金合わせた金額で比較すると、県庁所在地で全国7位なんですよ。23年度から下水道が上がる予定なんです。水道も尾原受水によってこれ上がってくる。試算によれば、2割、3割近く上がるという、こういう試算もあります。

 そうなると、上水と下水合わせて、県庁所在地で全国トップと、市民負担が、こうなるおそれがあるんです。そういう点で、受水団体である松江市も出雲市等も資本費の負担軽減を言っているわけです。私この点で、そういう受水団体の料金動向等もしっかりやはり供給する側の県として把握して、値下げに向けての努力というのは私は必要じゃないかというふうに思うものですから、この点で、知事はまだ未確定だからというお話だったんですが、資本費の負担軽減に向けて、私は県として前向きに取り組んでほしい、このことを再度訴えたいと思います。

 それから最後に、あと一分ですね、指定管理者の問題で、総務部長、総務部長の答弁は、労働条件の詳細な把握をしていないという御答弁でございました。

 私は、NPO法人出雲スポーツ振興21が、平成18年度から就業規則を改正したと、職員は全員1年間の期限つきの契約社員にしたということを言いました。すなわち指定管理者がそういう形で、労働者の雇用を悪くしているわけですよ。

 私が問題だと思うのは、その労働者の雇用が不安定になりますと、経験とか技能の蓄積という点は困難になります。ひいて言えば、県民サービス、住民サービスが低下をするということにつながるし、もっと言えば、利用者の命にかかわる事故が発生しやすくなる要因ともなるというふうに思うわけです。

 そういう点で、私は住民サービスを守るという観点で、雇用責任は指定管理者にあるということではなくて、公の施設の設置者である県の責任も私は求められるということを強調して、再質問といたします。

【溝口善兵衛知事】
 受水団体との協議はこれから始まっていくわけですけれども、やはり基礎となりますのは、工事に一体コストとして幾らかかったかと、それにその部分、大体工事費は起債で賄いますから、利息の部分を加えて、受水団体に対する水道の値段が決まるのが原則でございますね。

 まだそういう意味で、実際の工事費全体がどうなるかということについては固まってないと。しかし、一部は水道の管、給水路の関係は現段階で推計で25億円ぐらいは減るかもしれないと、減るだろうという見方をしてますが、ダム全体がまだわかりません。そういうこともございますから、そういうものを見きわめながら考えていく必要があるということを申し上げておるわけであります。

 それから、受水団体からは、できるだけそれは低くしたいと、これはお気持ちもわかるわけでありますが、原則もありますから、そういうところをどういうふうに調整していくかと、今後の課題だろうというふうに考えているところでございます。

【加松正利総務部長】
 指定管理についてお尋ねがございました。

 指定管理のねらいは、公の施設の適正かつ効率的な運営がなされているかどうかということでございます。その観点からは、御指摘の安全管理あるいは利用者へのサービス提供等々含めまして、県としては適宜事業報告を求めるなり、現地調査を行うなり把握しておりますし、その点はこれからもしっかりやっていきたいと思っております。

 他方で、先ほどお話がありました労働者の雇用条件でございますけども、これは労使の協議で基本的には定められるものでございまして、なかなかどの雇用条件がいいか悪いかというのは、県のほうとしてはなかなか断ずることが難しいということがございます。労使の協議がつかない場合は、労使紛争解決制度があるわけでございますので、そういったものにゆだねていきたいということでございまして、この労働条件に関しては、県としては、この指定管理を行う立場の、指定する立場の県としては、個別具体的に容喙をする考えはないというものでございます。

【山根勝彦企業局長】
 再質問にお答えをいたします。
 
 松江市の参画水量についてのお尋ねだったかと思います。
 
 松江市の参画水量につきましては、先ほどお答えしたように、平成14年度の尾原ダム建設計画の変更に伴いまして、受水されます松江市のほうからも改めて需要予測の資料提出を受けたところでございます。

 県と松江市の間でその間協議、検討を行って決めたものであるというふうに思っております。その内訳でございますけども、先ほど御紹介がありましたように、2万8,100トンのうち人口増によるものが1万5,130トン、簡易水道の上水転換分1万2,970トンという内訳でございます。

 先ほどお話しのように、その後合併あるいは人口の増減等、受水団体の中にもいろいろ変化がありまして、松江市さんのほうにもこの参画水量について見直しが行われるというふうに聞いております。その具体的な内容については把握しておりませんけども、水需要の減少傾向にある中でどうするかというふうには、これぐらいのとこしか伺っておりませんけども、具体的な内容については把握しておりませんけども、松江市さんのほうでそのように参画水量、どう今後配分していかれるかという御検討がなされているというふうな今状況じゃないかと、このように認識をしております。以上でございます。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画