2009 年 11 月定例会 知事提出議案、請願、議員提出議案に対する討論
2009-12-15 この記事を印刷
日本共産党の尾村利成でございます。
条例案3件、一般事件案12件、請願2件について委員長報告に反対する討論を行います。
また、議員提出議案1件について委員長報告に賛成する討論を行います。
第157号議案「島根県水と緑の森づくり税条例の一部を改正する条例」
まず、第157号議案「島根県水と緑の森づくり税条例の一部を改正する条例」についてです。
水源かん養、森林保全の推進は当然の事であります。しかし、水と緑の森づくり税の課税方式は、県民税均等割の超過課税であります。
この税率は、個人に対し、均等割一律課税であり、税制面を考慮すれば、所得の低い人ほどその税負担割合が重くなる不公平な税であります。よって、本議案には反対であります。
第160号議案「島根県立ふるさとの森条例の一部を改正する条例」
第161号議案「島根県立三瓶自然館及びその附属施設の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例」
第187号議案「財産の処分について 北の原野営場」
第188号議案「財産の処分について 県民の森の一部」
次に、第160号議案「島根県立ふるさとの森条例の一部を改正する条例」、第161号議案「島根県立三瓶自然館及びその附属施設の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例」、第187号議案「財産の処分について 北の原野営場」、第188号議案「財産の処分について 県民の森の一部」についてであります。
これらの議案は、県民の森の一部を飯南町に譲渡するもの、北の原野営場を大田市に譲渡するものであります。これらの譲渡は、改革推進会議行政改革専門小委員会による公の施設の見直しに係る提言によるものであります。
提言では、市町村設置施設と一体的に利用されている施設は、市町村への譲渡等を含め、一元的な管理を検討すべきとされました。
県民の森や北の原野営場の譲渡は、飯南町や大田市から要請があったものではなく、県の公の施設の見直し提言に基づくものであります。事実、これらの物件活用について、飯南町も大田市もこれから活用の青写真、計画を立てることとなっているではありませんか。
本来、譲渡に当たっては、その譲渡物件の活用方針を住民と協議し、有効なる計画を立案した上で、契約を締結すべきであります。活用計画未策定段階での譲渡では、県が不採算な公の施設を押し付けたと言われても仕方がないではありませんか。
よって、これらの議案には反対であります。
第166号議案「公の施設の指定管理者の指定について(県立美術館)」
第169号議案「公の施設の指定管理者の指定について(県立東部総合福祉センター)」
第170号議案「公の施設の指定管理者の指定について(県立西部総合福祉センター)」
第171号議案「公の施設の指定管理者の指定について(県立はつらつ体育館)」
第175号議案「公の施設の指定管理者の指定について(県立浜山公園)」
第176号議案「公の施設の指定管理者の指定について(県立石見海浜公園)」
第177号議案「公の施設の指定管理者の指定について(県立万葉公園)」
第179号議案「公の施設の指定管理者の指定について(県立青少年の家)」
第181号議案「公の施設の指定管理者の指定について(県立古墳の丘古曽志公園)」
次に、公の施設の指定管理者の指定についてであります。第166号議案ならびに第169号議案、第170号議案、第171号議案、第176号議案、第177号議案、第179号議案、第181号議案は、公の施設に民間会社を指定管理者として決定するものであります。
指定管理者制度がスタートして6年が経過し、全国的に制度欠陥が明らかとなっています。制度の導入によって、施設の公共性、継続性、安定性、専門性が損なわれたり、管理者が経営破たんして途中で投げ出すなど、深刻な問題も発生しています。
昨年の第169国会では、衆参両院の文教科学委員会が「指定管理者制度の導入による弊害についても十分配慮して、適切な管理運営体制の構築を目指すこと」という付帯決議をあげました。
また、総務省は昨年6月の事務次官通知で「指定管理者制度の運用に当たってはそのあり方について、検証および見直しを行われたい」としたことからも、指定管理者制度が未成熟な制度であることは明白であります。
公の施設は、地方自治法第244条に規定されるように住民の福祉を増進する目的を持って、その利用に供するための施設でなければなりません。公の施設を、公共性を持たず、営利を目的とする民間会社に任せ、代行させて、果たして自治体の責任が果たせるのか危惧されます。
よって、これら議案には反対であります。
また、第175号議案の「公の施設の指定管理者の指定について」は、NPO法人出雲スポーツ振興21を指定管理者として決定するものであります。
NPO法人出雲スポーツ振興21においては、平成18年度から就業規則を改正して職員はすべて一年間の期限付き契約職員とするなどの不利益変更がなされました。
その際、賃金もカットされるなど不安定な雇用条件となり、退職や不当解雇、雇い止めが続出する職場実態となっております。公共サービスを維持・向上するためにも指定管理者における安定雇用制度は不可欠であります。
県として、不公正運営に当たって、機敏に実地調査や必要な指示を行うべきであることを強調するものです。
よって、第175号議案には反対であります。
第189号議案「契約の締結について 国道485号(松江第五大橋道路)改築(改良)工事 東津田工区東津田第4高架橋上部工」
次に、第189号議案「契約の締結について 国道485号(松江第五大橋道路)改築(改良)工事 東津田工区東津田第4高架橋上部工」についてであります。
国道485号松江第五大橋道路は、地域高規格道路境港出雲道路の1区間として、宍道湖、中海都市圏の形成を図ること、松江市街の外環状道路を形成すること、ソフトビジネスパークなどの工業、商業拠点を結ぶこととされております。
今日の厳しい財政状況、今後の人口動態、環境問題、外環状道路形成や工業、商業拠点を結ぶ必要性や実効性の有無など総合的に勘案した際、その事業実施に当たって疑義が残ります。
よって、本契約締結には反対であります。
請願第46号「『子どもの権利条約』の趣旨にそい、私学助成制度の堅持と私学助成費の増額などを求める請願ついて」
次に、請願第46号「『子どもの権利条約』の趣旨にそい、私学助成制度の堅持と私学助成費の増額などを求める請願ついて」であります。
本請願は、私立学校への運営補助金を、少なくとも公立学校教育費の2分の1を実現するよう大幅増額を求めるものであります。
平成20年度、島根県内において、私立高校は9校あり、約4,000人の生徒が在籍しています。その中で、1割を超す463人が授業料の減免を受けています。
平成19年度の中途退学率は3.08%でありました。しかし、平成20年度には3.98%へと大幅に増加しており、その理由も経済的理由によるものが増加しています。
島根県における私立高校生一人当たりの補助単価は、2003年度は、全国7位の33万5,729円でありました。しかし、本年2009年度は、30万537円と大幅減額となっており、全国順位では43位まで落ちています。
一人当たり補助単価1位である鳥取県は、本年度48万9,518円であり、本県と比べて一人当たり補助単価は、約19万円もの開きとなっています。
これを公費支出の公私間比較で見てみると、島根は生徒一人当たり公立高校を1とした場合、私立高校は僅か0.25でしかなく、全国ワースト1という状況であります。
全国1位の鳥取は、公立高校を1とした場合、私立高校は0.57という数値であります。
島根県においては、私立学校教育の重要性をしっかり認識し、教育費における公費支出や保護者負担の公私間格差が依然として著しい状況に鑑み、私学助成制度の充実強化を図るべきであります。
よって、本請願は不採択ではなく、採択すべきであります。
請願第50号「永住外国人への地方参政権付与の法制化に反対する意見書提出を求める請願書」
次に、請願第50号「永住外国人への地方参政権付与の法制化に反対する意見書提出を求める請願書」についてです。
永住外国人に地方政治への参政権を認めることは、世界の流れになっています。
ヨーロッパでは、すべての定住外国人に地方参政権を認める国、特定の外国人に地方参政権を認める国の違いはあるものの、ほとんどの国が地方参政権を認めています。
1995年2月28日の最高裁判決は、憲法の規定する地方自治は「住民の日常生活に密接な関連を有する公共的事務は、その地方の住民の意思に基づき、その区域の地方公共団体が処理するという」政治形態を憲法上の制度として保障しようとする趣旨だと言い、永住外国人に対し、「法律をもって地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではない」と述べています。
地方自治体の運営は、本来、すべての住民の参加によって進めるのが憲法の保障する地方自治の根本精神です。
永住外国人を地方自治の担い手として迎え、日本国民と等しく参加する政治を実現することは、わが国の民主主義の成熟と発展につながるものであります。
よって、永住外国人への地方参政権付与の法制化に反対する本請願は、不採択とすべきことを主張します。
議員提出第12号議案「国として直接地方の声を聞く仕組みを保障することを求める意見書」
最後に、議員提出第12号議案「国として直接地方の声を聞く仕組みを保障することを求める意見書」についてであります。
私はこの意見書に対し、賛同するものであります。民主党の陳情窓口一元化論は、行政への窓口を閉ざすことであり、民主主義の原則に反するものであります。また、憲法で保障する国民の請願権を侵害するものであります。
憲法16条に保障された請願権は、すべての国民、県民に由来するものであり、この権利は、国民、県民誰でも等しく保障されているものであります。
ましてや、選挙で選ばれた地域住民の代表である地方自治体の長が、政府に直接要望し、意見を交換する権利は、たとえ政権党と言えども、絶対に侵すことはできないものであります。
地方自治体は、地方議会のチェックを受けながら、地方自治法に基づいて組織・運営されています。
この国と地方の間に、政党が関与し支配する仕組みは、憲法のいかなる条文にも、またいかなる法律にも書かれておりません。その点からも民主党の陳情窓口一元化論は、憲法の大原則にかかわる逸脱・侵害であります。
先の9月議会で、私は民主党政権に対し、国民の利益にとって良いことには協力し、悪いことには反対し、問題点は正すという立場を表明しました。
そして、民主県民クラブのみなさんに対して、国政において間違った動きが出た時、県民のくらしや民主主義を守る立場で悪政の防波堤となり、中央の民主党政権にモノを言うべきことを提案いたしたところです。
今回の陳情一元化論は、民主党政権の民主主義に逆行する問題点の一つであります。政治の反動的逆行を許さないために力を合わせる時であります。
以上で、討論を終わります。