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議会の取り組み

議会の取り組み詳細

2010 年 2 月定例会 一般質問 (知事の政治姿勢について、指定管理者制度について、介護・保育について、森林・林業再生について、大橋川改修計画について、県営水道事業について、教育問題について)

2010-03-03 この記事を印刷
 日本共産党の尾村利成でございます。

 1.知事の政治姿勢について

【尾村利成】
 質問の第一は、知事の政治姿勢についてであります。

 鳩山内閣がスタートして、5ヶ月が経ちました。自公政権に終止符を打った国民の間には、政治を変えてほしいという期待とともに、沖縄の米軍基地問題での迷走、後期高齢者医療制度廃止や労働者派遣法抜本改正などでの先送りや後退、さらには鳩山首相や小沢幹事長など一連の政治とカネの問題での信頼を裏切る行為に不満や不信が広がっています。

 鳩山首相は施政方針演説で、「命を守りたい」「働く命を守りたい」「世界の命を守りたい」「地球の命を守りたい」と再三にわたって繰り返しました。

 県民の命と平和を守る立場から、医師確保と平和問題で知事に伺います。

 まず、医師確保対策であります。

 県内では、特に県西部や中山間地で、深刻な医師不足に陥っており、抜本的な対策を早急に講じる必要があります。

 大田市立病院では、今年度末に外科医2人が不在になるのにあわせ、島大医学部が4人の整形外科医を引きあげることになり、4月以降、救急告示病院の指定を取り下げる方針であります。

 市民は、「市立病院を守り育てる会」を結成し、医師確保と地域医療充実を求める知事や島大医学部への請願署名は、わずか20日余りで2万3千筆を超えました。市民からは、「救急告示指定病院が無くなれば、もう大田には住めない」「国道9号が交通規制となれば、道中で命が失われかねない」などの悲痛な声が出されております。

 今、医師確保に向けた政治の責任、真価が問われております。

 しかるに、鳩山内閣は、地域医療支援事業を「事業仕分け」の俎上に乗せ、無駄削減の名目で予算をカットしました。例えば、「医師確保・医療人材確保対策」予算は、前年度の471億円から370億円へと100億円も減らしました。「救急医療体制の充実」予算は、前年度214億円から175億円へと40億円近く削減しました。命を守りたいとの首相演説が泣いているではありませんか。

 私は2月19日、厚生労働省に出向き、緊急の医師確保を強く求めました。しかし、担当者は、「国として派遣できる医者はいません。地域医療再生基金を使って、県で対策を取って下さい。国は情報提供します」との回答に終始しました。

 国はこの間、「医師が増えれば医療費が膨張する」と宣伝し、「医学部定員の削減」を閣議決定までして、医師の養成を抑制してきました。私はこの点を指摘し、国としての責任を強く求めたところであります。

 医師不足解決に向けて、県が先頭に立って汗を流すことはもちろんでありますが、国としての責任も大きく問われております。

 そこで、伺います。

 国と公的医療団体でつくる「地域医療支援中央会議」の機能を強化し、全国的な医師派遣システムの確立など医師確保の制度化を国に強く求めるべきだと考えますが、いかがですか。

 また、島根県は離島、へき地・中山間地域を抱えており、国が責任を持って、国、県、市町村、大学病院、医師会など医療関係者との連携、調整を図るべきであります。国がイニシアチブを発揮し、積極的な対策を取るよう求めるべきであります。知事の所見を伺います。

 次に、平和問題についてです。

 沖縄県民は、普天間基地の即時閉鎖・無条件撤去を望んでいます。政府・与党に移設先探しのエネルギーがあるなら、無条件撤去のためのアメリカ政府との本腰を入れた交渉に一刻も早く踏み出すべきであります。

 来年度予算案では、在日米軍再編経費が前年度比481億円増加しています。なかでも、米海軍厚木基地から米海兵隊岩国基地への空母艦載機移転経費は前年度比で約3倍の増加となっております。

 アメリカ政府は、岩国基地から180キロ圏内に陸上空母離着陸訓練施設を要求しています。いよいよ米子空港がこの対象となる危険性が大きくなってきました。

 そこで、米子空港を米軍基地化させない立場で伺います。

 米子空港は、2007年10月31日、日米地位協定第2条第4項(b)の適用ある施設・区域とされ、米軍基地化されております。

 日米地位協定の実施に伴う国有財産管理法第7条では、米軍に国有財産使用を許可する際、「防衛大臣は関係のある県及び市町村の長ならびに学識経験を有する者の意見を聞かなければならない」と規定しているにもかかわらず、国は全く県にも関係自治体にも意見聴取しておりません。国に対して、関係者の意見を聴取するよう強く求めるべきと考えますが、所見を伺います。

 また、国に対し、米子空港の米軍使用施設の指定撤回を強く求めるべきであります。そして、NLP(夜間離着陸訓練)基地化は絶対に認められないとの要請を行うべきであります。知事の所見を伺います。

 県西部の中国山地の広範囲で、岩国基地からの米軍機による低空飛行訓練に住民は悩まされております。住民からは、「米軍機から射撃されそうな恐怖を受けた」とか、学校関係者からは、「小学校に着陸する勢いで高度を下げ、一気に上がった。子どもたちは恐怖におののいた」などの怒りの声が寄せられております。

 県民の安全を脅かし、航空法に違反する米軍の低空飛行訓練の中止を政府、米国に強く求めるべきと考えますが、所見を伺います。


【溝口善兵衛知事】
 尾村議員の御質問にお答え申し上げます。最後で補足された質問を含めて申し上げます。

 第1点は、その医師確保の問題に関する国の責務についての御質問でございます。

 御指摘のように病院勤務医の不足、それから離島・中山間地域における医師不足、これも島根県に限りません。それから、産科、外科などの特定診療科のお医者さんの不足、さまざまな形態、現象で医師不足が起こってるわけですが、これはやはり全国的な問題だと、全国的に非常に深刻な問題だと考えております。

 島根県内を見ますと、特に離島、中山間地域、西部地域において極めて厳しい状況が起こっておるわけでございます。これに対しまして、県は過去においてからずっと一生懸命取り組んでおりますが、私が見るところ、これは議員がおっしゃいますように地方だけの問題ではない、あるいは島根県だけの問題ではなくて、全国的な問題であり、あるいは医師養成などに対する国の制度の問題でもあるわけであります。

 あるいは診療報酬の問題でもある。あるいは医学部の定員の問題でもあると、こんな問題、さらに近年では研修医の制度が大きく変わったわけであります。従来の医局が医師を計画的にと申しますか、派遣をしてた制度がなくなって、自由に研修の場所を選ぶことができる、これが大きな影響を及ぼしておるわけでございまして、やはり国自身が抜本的な対策を講じませんと、なかなか事態の大きな展開にはならない可能性があると、しかし医療は日々欠かせないわけでありますから、そういう事態でありますが、県としては市町村などとも協力しながら、できるだけの対応を図っていきたいと考えておるわけでございます。

 私も知事になりまして、厚労省に行って話をします。次官などとよく話をするんですけども、厚労省はいろんな問題を抱えてますと、年金の問題、執行体制の問題、制度の問題、あるいは医療などにつきましてもいろんな問題を抱えてますが、こうした医師の不足について地方が抱えてる問題をもう少しちゃんとあなた方が見ないとだめですよと、見てくださいと、その上で対策をとらなきゃいかんじゃないですか、ほとんどそういう対策がないじゃないですかということは繰り返し言ってきたわけです。

 前政権におきまして、医療再生計画をつくろうということで、各県でいろんな計画をつくって、それに対して国が初めてと言っていいのか、私も詳しくは存じませんが、多くの資金を供与して計画的に地域の医療を確保するという計画が始まることになったわけです。

 島根県の場合は50億円の基金を積み立てて5年間で実行していくと、お医者さんに奨学金を差し上げる、あるいは研修医の方に研修のための奨学金を差し上げる、あるいは医師を派遣されてる島根大学、鳥取大学等に対して協力を求めるためのいろんな手当てをする、そんなことをやりますが、先ほど申し上げたような全国的な問題に国自身がやらないと、なかなかブレークスルーは起こらない可能性があると考えておるわけであります。

 そういう意味におきまして、過去におきましては平成17年度から県は繰り返して国に対しまして、例えば僻地医療、救急医療等の診療経験を持ってるということが医療機関の管理者、例えば病院の病院長あるいは開業医等になる要件にすべきだというようなことを要望してきたわけでありますが、その点につきましては職業選択の自由に抵触するおそれがあるということで、制度化は見送られた経緯があるわけでございますが、それ以外にも、例えば地域での勤務につながるようなお医者さんの養成ということがありますね、非常に専門化し過ぎている。

 あるいはそういう地域医療に携わるようなお医者さんを育てるように医学部の定員の配分を考えると、あるいは医師が不足する、尾村議員も言われたわけですが、地域や診療化への制度的な誘導ですね、強制するわけにいきませんが、例えば外科、産婦人科など医療事故に関連して、その分野ではお医者さんになることが少ないといった問題に対して、医療事故の補償を充実をするとか、いろんな対応も考えなきゃいけません。それから、医師の不足するところにお医者さんを育てるようにしなきゃいかん、あるいは地方では既に国の対応が足りませんから、奨学金を出して、その奨学金をもらった年限に対応して、例えば島根県で言えば中山間地域で勤めてもらうと、そんなことで県の財政負担をしてやってるわけですが、そういうものに対して国が、例えば助成をたくさんするとか、そういうようなこともあるわけでありまして、私どもはさらに国に向けまして、国の対応を強く求めてまいりたいと考えているところであります。

 この点につきましては、議会の皆様と一緒になって、あるいは市町村とも一緒になってやらなければいけない課題だと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げる次第でございます。

 次に、米軍の米子空港使用許可に関連をしての質問がございました。

 経緯は御説明になったとおりでありますが、平成19年11月に日米共同統合演習が行われる際に、政府におきましては日米地位協定に基づき、施設の一部を米軍の使用に提供するっていうことを決定されたわけでございます。

 この日米地位協定実施に伴う国有財産管理法等に規定があるわけでございますが、その規定は2つの部分から成ってるわけですが、国が米軍に対して国有財産の使用を許そうとするときは、防衛大臣はあらかじめ関係のある都道府県及び市町村等の意見を聞かなければならないというふうにされておるわけです。

 ただし、関係住民の生活に及ぼす影響等が軽微である場合は、この意見聴取は行わなくてもいいと、対象から外してもいいという規定になっておるわけです。

 そこで、19年11月のときの状況でございますが、まず政府のほうは、こういう計画で共同演習をしますよというのを早い段階で概要を発表されて、それから鳥取県、それから境港市、米子市に説明にも行かれ、それから島根県にも来られました。島根県では、県、それから安来市、松江市等々でございますが、説明をされたわけであります。

 当時のあれとしては、訓練は2週間程度だけども、飛行機の飛来、輸送機が飛来をして、2日程度滞在をして、また戻るというようなことで、騒音等の影響等から考えると、今の美保基地で飛行機が入ったり出たりしておりますが、それと変わらないといったような判断だったんだろうと思いますが、そういう意味で軽微であるっていうことで意見聴取まではされなかったと、しかしそうした概要の説明があると、それからさらにそれに基づきまして、訓練が行われる前にこういう形で訓練をしますよというのを新聞発表もされて、その上で行われたというふうに理解をしておるわけでございます。当時の状況としてはそういうことでございました。

 鳥取県にも今般質問がございまして照会をしましたが、やはり説明を受けて、軽微だという説明であって、そういうふうな答弁などもされておるというふうに聞いております。

 そこで、次の問題ですが、米子空港の米軍使用施設の指定撤回を求めるとともに、NLP――夜間離着陸訓練基地化は絶対に認められないという要請をすべきではないかということでございます。

 19年の措置によりまして、2週間程度の訓練は行うということでやりますが、今後どういう訓練が行われるかっていうのは、その都度聞く必要があるんじゃないかと思います。そういうことにつきましては、鳥取県とよく相談をしながら適切に対応してまいりたいと考えております。

 それから、美保基地において米軍がNLPを実施するという情報は聞いておりません。

 いずれにしましても、美保飛行場の米軍使用の問題につきましては、美保飛行場が所在する鳥取県とよく連携をとりながら、状況に応じまして国等に対して適切な対応を求めていくという考えであります。

 それから、次の質問でありますが、島根県の石見部の中山間地域において、岩国基地に関係する米軍によるものと思われる騒音の問題がございます。苦情もありますし、目撃情報も県内の市町村から寄せられております。

 この問題につきましては、これまでも国に対しまして地域での実態を伝えるとともに、低空飛行訓練の中止などを米側に適切に対応させるよう強く申し入れております。私も昨年の1月には、外務省の北米局長を訪ねまして、重ねて直接申し入れをしたりしとります。

 県としましては、県民の方々の安全の確保、騒音被害の防除のため、広島県などもやっておられますから、そういう要請の内容、方法なども参考にしながら、引き続き国に強く要請をしていきたいと考えておるところであります。


 2.指定管理者制度について

【尾村利成】
 次に、指定管理者制度についてであります。

 県の指定管理者であるNPO法人いずもスポーツ振興21で、解雇された労働者が松江地裁へ労働審判を申立て、和解が成立し、1年ぶりに職場へ復帰することとなりました。

 また、別の指定管理者では、県外大手が管理・運営業務を一括で独占契約し、地元業者を自分の傘下に入るよう強要し、契約単価の削減を求める動きが表面化しています。これら雇用破壊、地元業者いじめなどのコスト削減主義は、指定管理者制度の欠陥を露呈しているではありませんか。

 第169国会では、衆参両院の文教科学委員会が「指定管理者制度の導入による弊害についても十分配慮して適切な管理運営体制の構築を目指す」との付帯決議をあげています。総務省も「指定管理者制度の運用に当たっては、そのあり方について、検証及び見直しを行われたい」との事務次官通知を発しております。すなわち、国も指定管理者制度が未成熟な制度であることを認めているのであります。

 この立場から伺います。

 指定管理者制度導入によって、労働者の雇用環境が悪化し、地元業者の排除などの弊害が発生しています。施設設置者として、労働者や地元中小業者が不利益な扱いを被らないよう適切な措置を取るべきではありませんか。所見を伺います。

 また、この点で、指定管理者の管理・運営状況を総点検・検証すべきであり、問題が発生している場合は、積極的に直営に戻し、運営の改善を求めます。所見を伺います。

【加松正利総務部長】
 指定管理者制度の関係につきましてお答えいたします。

 1つ目は、指定管理者制度導入に伴う現状認識と対応についてでございます。

 指定管理者制度は、制度の効率的かつ適正な運営を図ることを目的としております。県としましては、この制度のもとでコスト面のみならず、管理運営の体制、安全面の確保、あるいは利用者ニーズへの対応など審査いたしながら指定管理者を選定し、また運営状況の把握に努めているとこでございます。

 指定管理者の職員の労働条件につきましては、基本的には指定管理者である事業者の経営判断や労使の話し合いで決定されるべきものであると認識しておりますが、雇用関係の問題で施設の管理運営に支障を来さないよう、指定管理者において適切に対応することが望ましいものと認識しております。

 指定管理者が、また個々の業務を発注する場合におきましては、発注する相手方の業務の質ですとか、価格などさまざまな要素がありますので、第一義的には指定管理者の裁量にゆだねておりますが、できるだけ県内中小企業者への配慮をしていただくことは大切であると認識しております。

 いずれにしても、施設の適正かつ効率的な運営が図られるようにすることが指定管理者制度の趣旨でございまして、この制度趣旨に沿うよう指導監督に努めてまいりたいと考えております。

 次に、指定管理者の運営状況の点検、検証及びこれに伴う改善についてお尋ねがありました。

 指定管理者による運営状況につきましては、これまでも毎年度の計画書や実績報告書及び毎月の業務報告書を提出させたり、担当部局が適宜施設に直接出向くなど把握に努めてるところでございます。

 また、来年度から大部分の施設で指定管理が一斉更新となる機会に合わせまして、今後指定管理業務に対する一定の評価の仕組みをつくることを検討しております。こうした取り組みを進める際に、指定管理者が業務を発注する際の県内中小企業者との関係、あるいは雇用関係の一般的な状況も含めまして、指定管理者側と意見交換しながら、施設のより適正かつ効率的な運営が行われるよう努めてまいりたいと考えております。


 3.介護・保育について

(1)介護保険について

【尾村利成】
 次に、介護保険についてです。

 介護保険の主な問題点として、高い保険料、利用料の重い負担、サービスや施設の不足、実態にそぐわない介護認定、寝たきりを防ぐ予防給付などの内容が貧弱であることなどであります。

 少ない年金で暮らしてきた高齢者が、介護が必要になると利用料などが重くのしかかり、生活を壊される事態が広がっています。介護を最も必要とする所得の少ない人たちが介護を利用できないのでは、公的介護制度の存在意義にかかわります。保険料・利用料を減免して、経済的理由で介護を受けられない人をなくすべきであります。

 そこで、伺います。

 介護保険法50条、60条は、居宅サービス費などの額の特例として、利用料の減免を規定していますが、減免状況はいかなる状況ですか。また、県として保険料、利用料の減免制度をつくるとともに、保険料、利用料軽減を実施する市町村への支援を行うべきと考えますが、所見を伺います。

(2)保育について

【尾村利成】
 次に、保育についてです。

 厚生労働省は2月17日、本年4月から認可保育所の定員を超えて子どもを受け入れられる上限を撤廃するとの通知を各都道府県に出しました。これによって、年度当初から大幅に定員を超えた受け入れが可能となります。保育関係者からは、詰め込み保育に拍車がかかるとの不安が高まっております。

 さらに、政府は地域主権の名で最低基準を原則撤廃し、地方条例に委ねる方向を打ち出しました。保育制度に対する国や自治体の責任を後退させる制度改悪は許せません。

 今必要なことは、保育所を増設するなど待機児童解消策を取り、施設設備や職員配置の児童福祉施設最低基準の引き上げなど抜本的な改善策を取り、保育の質を向上させることであります。

 今日、各園において、ADHD、LDなど集団で保育するには困難な子どもたちが増えています。また、アレルギー除去食、離乳食、宗教食に対応した調理ニーズも増えております。子どもたちの健やかな成長を促進するために、保育士や調理士など職員加配のための助成を検討すべきであると考えますが、所見を伺います。

【錦織厚雄健康福祉部長】
 介護と保育の関係いたします御質問にお答えをいたします。

 まず、居宅サービス費等利用料の減免状況についてであります。

 居宅サービス費等利用料は、災害により著しい損害を受けた場合や収入が激減した場合に減免を受けることができます。近年の状況は、平成19年度で4件、平成20年度でも4件、平成21年度はこの1月までのところで4件となっております。いずれも災害を理由としたものであります。

 次に、県独自の保険料と減免制度創設についてでございます。

 保険料の推移を見ますと、県平均で当初が2,963円でありました。現時点では4,274円でありまして、およそ1.4倍となっております。負担軽減が重要な課題であることは認識しております。

 しかしながら、介護保険制度そのものは全国統一の制度でございますので、保険料、利用料の減免制度につきましては、まず国で検討されるべき課題であると考えておりまして、知事会を通じまして負担のあり方等について要望しております。

 また、昨年中国四国9県の民生主幹部長会議というのがございますが、そこを通じまして、特に低所得者の皆さんの保険料など、負担軽減措置の拡充を提案したところであります。今後も引き続き国に対して要望を行っていく必要があると考えております。

 次に、保育士や調理師など職員加配についてであります。

 保育ニーズが多様化しております。障がい児保育でありますとか、アレルギーの除去食への対応など、保育所にはさまざまな専門的な知識や技術が求められるようになってきております。

 県におきましては、少人数の障がい児保育事業に取り組む市町村に対しまして、保育所維持に係る県単独の助成を行っておりますが、現在国において、お尋ねにありました保育所の専門性の高まりに対応した職員の配置、それから処遇について検討されております。

 職員加配に係るさらなる助成について、今後の国における議論の動向でありますとか、市町村の取り組み状況、そういうものを踏まえて検討していく必要があると考えております。


 4.森林・林業再生について

【尾村利成】
 次に、森林・林業再生について伺います。

 この間、私は森林組合をはじめ、林業関係者と懇談を行い、切実な要望をお聞きしてきました。関係者から出された意見をもとにお尋ね致します。

 林業は、地域に根ざした地場産業であり、製材から住宅・家具などの木材利用まで広い裾野を持った産業であり、バイオマス燃料などこれからの低炭素社会に向けた大きな可能性を持った産業であります。また、林業振興は、農山村再生に欠かすことはできません。

 林業を再生・活性化するためには、木材の野放図な輸入を抑え、国産材を優先的に使う公共事業や住宅建設をすすめ、需要を拡大することが重要です。また、山村の守り手を支援するために、森林組合や林業事業体への援助を強め、作業道の整備、間伐の自己負担の軽減などの対策が求められております。

 平成21年度からスタートした県産木材を生かした木造住宅建築への助成事業は大変好評であり、県産材の需要拡大、地域経済活性化に大きな役割を果たしております。

 県産木材の利活用をさらにすすめるためには、公共部門における積極的活用とともに、民間部門に県産材活用をいかに波及させるのかが課題となっております。

 この立場から、知事に伺います。

 まず第一に、民間建築物において、県産材を活用した場合の助成制度、融資、税制上の優遇措置を実施するなど民間での県産材利用を促すスキームを構築すべきであります。所見を伺います。

 第二に、学校での県産材利用の拡大です。岡山県では、小学校に入学する新1年生に県産ヒノキでできた新しい机と椅子を配置する事業がスタートしました。子どもや保護者に木の香りや温もりを肌で感じてもらうとともに、県産材の需要喚起を図るものであります。

 本県も市町村と協力しながら、県産材の木製机や椅子、本棚、テーブルなどを積極的に配置するべきと考えますが、いかがですか。コンクリート造りの学校ではなく、木造校舎建設や既存校舎の床や腰板などに間伐材などを活用すれば、子どもの怪我を減らし、情操にも効果があるとされています。所見を伺います。

 森林は、国土の保全、空気の浄化、水資源の涵養など多面的な役割を果たしています。また、地球温暖化など環境問題が深刻化し、関心が高まっています。教育の一環として、森林、木材に親しむ林業学習をさらにすすめるべきと考えますが、所見を伺います。

【溝口善兵衛知事】
 それから次に、県産材の使用、利用を促進するスキームについての御質問でございます。

 森林業あるいは林業、木材産業の振興を図る上で木材の利用促進、特に建築分野での利用拡大は大変重要なことだと考えております。

 県では、まず公共施設で率先利用するということが大事だと考えておりまして、今県警におきまして、交番、駐在所の建てかえを行っておりますけども、和風の建物にして県産材を使いなさいということを県警にも、私のほうからも直接伝えてるとこであります。そういうことをやってまいります。

 それから、民間の建築物につきましては、今年度から県産材を使った住宅の新築、増改築に対しまして一定額の助成を行っております。さらに、6月の補正予算では、この予算を増額をいたしまして、福祉施設あるいは商店等での修繕とか、模様がえの場合に県産材を使う場合でも助成の対象になるというような範囲の拡大をしとります。

 県としましては、引き続きこうした民間の木造建築物に対する助成制度を実施するとともに、建築主に対しまして県産材の利用の積極的な働きかけを行ってまいります。

 また、民間の金融機関が県産材を使用した新築住宅に対してローンの金利を下げるということをやっておるようでありますが、例えばリフォームをする場合のローンについても下げられないかといったような要請、働きかけも金融機関に行ってきておるところであります。いろんな面でさまざまな観点から県産材利用拡大のための工夫をしてまいりたいと考えているところであります。

 私への質問の最後でありますが、失礼、最後じゃありません。もう一つ、学校への県産材利用でございますが、将来を担う子どもたちが島根の森にはぐくまれた木材を使った校舎あるいはいす、机等の備品に囲まれて学ぶということは、子どもたちの森林に対する理解などを進める上でも、いろんな面で意義のあることだと考えております。

 このために、これまで県の農林振興センターの職員が県内の小中学校に県産材利用促進について働きかけをしてきております。その結果、平成16年から5年間で7市町の13校に約1,200台の県産材を使った木製の机が導入をされたというふうに聞いております。

 また、近年では安来市の広瀬中学校の木造化、隠岐の島町の磯小学校の内装木質化が実現をしたというふうに聞いております。今後とも、市町村等に対しまして、木材のよさや具体的な木材利用事例などもPRしまして、学校への県産材利用を進めていきたいと考えているところであります。

【藤原義光教育長】
 まず、森林や木材に親しむ学習についてお答えいたします。

 島根に住む子どもたちにとって、森林や里山は身近でごくありふれたものです。しかし、その中にあっても杉やヒノキなど、最も身近な木を見分けられない子どもも多くなってきたことなど、森林や木材についての知識を深めたり、親しむ生活や学習が十分に行われてるとは限りません。

 そのような問題意識もありまして、本県で強力に進めておりますふるさと教育などで森林組合などの協力を得まして、森林などの自然に親しむ活動や間伐、植林、木工作など実体験を伴った学習を行っております。

 生徒からは、改めて木の果たしてる役割など、木の大切さを知ることができた。学校の周りは木がたくさんあるので大事にしたい。林業体験では、木を育てる楽しさを知ったといったような感想が寄せられております。来年度はエネルギー、環境問題からも、森林や林業に関する理解を一層深めるため、林業課とも連携いたしまして、水と緑の森づくり税を活用したモデル事業を行うこととしております。


 5.大橋川改修計画について

【尾村利成】
 次に、大橋川改修計画についてであります。

 昨年12月19日、島根・鳥取両県知事は、中海護岸の整備、新たな水質改善策を講じる必要が生じた場合には、大海崎堤の開削を含む対策協議などを盛り込んだ大橋川着工同意の協定書を締結しました。

 この合意を受け、国土交通省中国地方整備局は1月14日、斐伊川・神戸川治水対策事業の工程表となる「利水・河川環境に関する目標と実施内容」案を公表しました。国土交通省は、2010年度中に斐伊川河川整備計画を策定し、概ね20年間で治水に関する整備完成を目指すとしています。

 新河川法の考え方は、国主導で計画策定をすすめてきた従来の手法を改め、関係住民の意見を反映させるために必要な措置を講じることを求めております。

 大橋川改修事業は、治水、景観、街づくり、商業・漁業振興、環境問題など様々な課題があります。私は、関係住民の意見を聞くため、この1月から地元の和多見町、白潟本町、魚町、東本町などの住民への聞き取り調査とアンケートを実施してきました。

 圧倒的多数の皆さんは、「国・県・市による説明は不十分で合意はできていない」「もっと説明会を開催し、話し合いの場を持つべきである」と話されました。また、「景観を台無しにする高い護岸堤や市街地の拡幅が本当に必要なのか」「シジミは大丈夫か。環境を守ることが大切だ」「この年になって、立ち退きは絶対にしたくありません」「ダムと放水路が完成すれば、小規模な改修でもいいのではないか」との声が出されました。

 今日、関係住民の合意形成と事業に対する理解と納得は不十分であります。両県合意のみ先行し、地元合意がおざなりの状況に住民の反発は広がっていると考えますが、所見を伺います。また、今後の住民の合意形成に向けた対応方針を伺います。

【溝口善兵衛知事】
 最後でございますが、大橋川改修に対して地元の合意形成についての考え方を問うという質問であります。

 大橋川の改修につきましては、一昨年の暮れに松江市長から地元の強い要請を受けて、早く大橋川改修に取り組んでほしいという要請が国に対しても県に対してもありました。

 地元におかれましては、まちづくりなどもずっと研究をいろんなところでされてこられましたが、早期着手の要望の強い中下流部、あるいは浸水被害を受けた地域の住民の方々から早く事業実施をしてほしいということが背景にあったようでございますが、私どもはこの要請を受けまして、鳥取県との話し合いを昨年の初めぐらいから続けてまいりまして、昨年の暮れに鳥取県側の了解同意が得られまして、来年度から事業実施の運びになったわけであります。

 大橋川につきましては、松江市の中心市街地を流れ、宍道湖・中海の汽水環境を保持しているということから、その改修につきましてはいろんな問題があるというふうに考えており、よく認識をしとります。

 環境の問題、景観の問題、まちづくりの問題、シジミ資源の保護の問題、工事期間中の商業、観光への影響などいろいろあるわけでございます。

 これまでも県は国や松江市と一緒になりまして、関係の住民の方々に治水計画の説明を行う、国の環境影響調査の取りまとめや有識から成る委員会のまちづくり基本計画の策定、そういった際には、説明会や意見交換会を開催をして、住民の方々の意見も聞いてきているところでございます。

 現在は、地元に対しまして本年1月に国が示した今後の20年間の事業の概要と大まかなスケジュールなどを説明中であります。今後、各地区ごとに、より具体的な計画内容を説明することとしとりまして、その際、地元の住民の皆さんと十分話し合いながら課題、懸念の解消に努めてまいりたいと思います。

 いずれにしましても、住民の意向、考えっていうのが基礎でございますので、そこをよく把握をしながら行ってまいりたいと考えているところであります。以上であります。


 6.県営水道事業について

【尾村利成】
 次に、県営水道事業について伺います。

 私は先般、総務省に出向き、水道料金の引き下げ措置を求めました。
繰り出し基準に給水人口を加味するなどの条件緩和を求め、上水道事業高料金対策の充実を強く求めたところであります。

 江の川水道事業では、江津市、大田市、県において、総合的検討会が立ち上げられました。

 そして、その検討結果として、料金算定期間を長期化すること、ならびに送水設備の一部を受水団体に移管することによる資本費負担低減の料金低減策が図られることとなりました。これらの措置により、給水料金が本年4月から引き下げられる見込みであり、住民の料金引き下げ要望が実りました。私は、この企業局の取り組みを評価するものであります。企業局が関係市の要望を聞き、一層の料金引き下げ策を講じることを求めます。

 さて、斐伊川水道建設事業についてであります。

 2月15日、企業局は受水団体ごとの受水費試算を提示いたしました。試算では、30年間の受水費総額が約300億円であり、全体の参画水量の8割を占める松江市では、大幅な水道料金の値上げが懸念されています。

 そこで、伺います。

 第一に、受水団体の契約水量は、参画水量に対して約6割であり、使わない水まで住民負担となっている江の川水道事業の二の舞になり、水道料金の大幅な高騰が懸念されておりますが、所見を伺います。

 第二に、県として、各受水団体の料金動向を把握するとともに、資本費負担軽減、未使用水量に対する財政措置を講じ、高い水を押し付けない最大限の対策を求めますが、所見を伺います。

 第三に、受水団体から出されている要望はいかなるものがありますか。また、今後の契約スケジュールをお示し下さい。

【山根勝彦企業局長】
 私からは、斐伊川水道事業についてお答えいたします。

 まず、契約水量についてであります。

 昨年8月に受水市町から30年間の日平均受水量は約2万2,000トンと回答いただいております。その水量を参画水量と比較いたしますと約6割となっており、平成16年度に見込んだ受水量に比べ、1割程度減少しております。受水費を給水単価で見た場合には、受水量が少なくなれば単価は上がることになります。

 企業局といたしましては、水道料金はできるだけ安くなることが望ましいことから、受水費の負担軽減に努めているとこでございます。

 また、受水団体などから、尾原ダムから水道水の供給を受ける市町にとって、その受水費の増加は水道経営に大きな影響を与えることから、受水費の引き下げについての要望を受けております。

 次に、受水費につきましては、受水市町の受水量に加え、資本費及び運転管理費がほぼ明らかになったことから、受水費の試算を行い、先月受水市町にお示しをしたところであります。

 その内容でございますけども、建設事業につきましては、安価な工法の採用、機械設備の使用見直し、ろ過池の規模見直しなどにより、平成16年度に見込んでおりました事業費と比較しますと、ダム建設費負担金を含めまして、建設事業費は約67億円縮減できる見込みであります。

 こうしたことにより、資本費を損益ベースで試算しますと、30年間の平均で年約6億7,000万円となり、平成16年度に見込んでおりました約9億5,000万円と比較しますと30%程度縮減できる見込みであります。

 また、運転管理費につきましては、飯梨川水道との一体的な運転管理を行うなどによりまして、30年間の平均で年約3億3,000万円となり、平成16年度の見込み額約3億9,000万円と比べ、14%程度縮減できる見込みであります。

 こうした結果、受水費総額は30年間の平均で年約10億円となり、平成16年度の見込み額約13億4,000万円と比較しまして、25%程度縮減できる見込みとなりました。

 今後、この試算をもとに受水市町と協議を行っていくことになりますが、その際、受水市町の御意見、要望等をよくお聞きし、適切な料金を設定できるよう努め、平成23年4月の給水開始までに受給契約を結びたいと考えております。以上でございます。


 7.教育問題について

【尾村利成】
 最後に、教育問題についてです。

 教職員の長時間過密労働については、過酷な状況が問題視されています。

 文部科学省データによると、島根県では、2008年度の教職員約8,200人のうち、69名が病気休職者で、その内46名が精神疾患による休職者であります。この様な異常なまでの教職員の労働環境について、労働安全衛生の点から2点伺います。

 まず第一に、教職員による病気・精神疾患休職者が後を絶たないのは、長時間労働が放置されているからであります。県教委の「県立学校教育職員の長時間労働に対する医師の面接指導実施状況調査結果」によれば、2008年4月から9月までの半年で、月100時間を超える時間外労働者の累計は1,528人であり、月平均では255人に上ります。月100時間といえば、厚労省の基準によれば「過労死デッドライン」であります。

 毎月255人が過労死と隣り合わせで働いている現状をどう認識し、いかなる改善策を図るのですか。所見を伺います。

 第二に、産業医の面接指導を受けた教職員は、わずか15名で、極めて少ないことが明白であります。医師による面接指導の実態をどのように認識され、いかに改善すべきと考えておられるのか、所見を伺います。

 次に、発達障害の生徒の進路保障についてです。

 近年、知的な遅れを伴わない情緒面での発達障害、アスペルガー症候群・高機能自閉症・ADHDなど、いわゆる発達障害がある子どもたちが増えています。そして、この子どもたちが中学校卒業時の進路先として、高等学校への進学を希望する場合が多くなっています。

 しかし、現在の問題点として、一つに、知的障害特別支援学校では、知的障害を伴う者でなければ入学が困難となる傾向があり、二つに、通常の全日制高等学校では、通常の生徒と同等の入学試験をクリアすることが求められています。三つに、私立学校では、授業に参加できることが条件で、例えばパニックを収めるための人・場の確保がないなどの様々な困難があると聞いております。

 そこで、伺います。

 第一に、発達障害がある生徒の進路希望と実際の進路先をどう把握し、その課題・問題点を認識されているのか伺います。

 第二に、発達障害がある生徒の高校教育保障のために、県立高校に特別支援教育支援員などの人的配置を行うなどの受け入れ体制・条件整備をすすめ、積極的な進路保障対策をすすめるべきと考えますが、所見を伺います。

【藤原義光教育長】
 次に、教員職員の時間外労働に関してであります。

 県立学校の教職員の時間外労働については、労働安全衛生法に基づく職員の健康管理を図る趣旨から、平成20年4月から把握を始めております。それによりますと、県立学校での平成20年の上期での月100時間を超える勤務時間外の労働を行った職員は、先ほど御紹介ございましたように1,528人、全教職員の、これ延べでありますが、単純に計算いたしますと11%に当たっております。

 時間外労働の多くは、通常の教科指導に加えまして、部活動や保護者への対応などと承知しております。殊に土日の部活動の対応が多いと考えております。

 改善に向けた対策といたしましては、時間外労働が月100時間を超える教育職員に対しましては、管理職が個別の面談を実施いたしまして、健康状態や勤務状況についての把握と助言を行うということにいたしております。

 また、面接の指導を申し出た教職員には、医師による面接指導を実施しております。

 今後も引き続き管理職に対しまして、業務の合理化とか、業務が1人に偏ることのないような組織としての対応を求めるとともに、休日の振りかえの徹底でありますとか、年次有給休暇の取得の促進、勤務のノー延長デーの設置、中間あるいは期末試験の期間を定時退庁の旬間と定めることなど、各学校の現場で時間外労働の縮減に向けた取り組みを求めてまいりたいと考えております。

 次に、先ほど述べました医師による面接指導の状況でございますが、この労働安全衛生法に基づく医師による面接指導の導入に当たりましては、導入の前年度から学校の校長会での説明、また各学校においても職員会議や衛生委員会などで目的や意義についての説明を行うなど、周知と啓発を行ってまいりました。

 月100時間を超える職員のうちで、面接指導を受けた人数が15人という実態から見ますと、制度が導入されたことは承知していたが、毎日多忙な中で面接を受ける余裕がないというふうなこととか、あるいは面接を受ける必要を感じていないことなどがあるかなというふうに推察しております。

 しかしながら、長期にわたる時間外の労働は心身の健康上、好ましくなく、また教師としての活力に満ちた教育活動に支障を来すおそれもありますので、時間外労働の縮減と健康の保持に努めてまいります。

 次に、発達障がいのある生徒の進路に関する御質問でございます。

 中学校で発達障がいのある生徒の卒業後の進路については、生徒の希望を尊重し、保護者と教員が相談しながら選択しております。

 高等学校において発達障がいの生徒を受け入れる際には、早い段階から中学校と協議しながら校内の受け皿づくりに努めることが必要となります。

 しかし、こうした情報の引き継ぎが従来十分でなかったというふうに考えております。この課題に対して、来年度より中学校から特に配慮してほしい事柄について、高等学校へ申し送りをして支援の継続を図ることといたします。高等学校では、人的な配置も含め、対応が十分でないこともあり、指導の専門性が求められることから、専門的な見地を持つ教員の育成についても課題であると認識しております。

 一方、特別支援学校においては、発達障がいと他の障がいをあわせ有する生徒を受け入れることになりますが、一人一人の状況を把握しながら対応することが求められますので、その観点で教育を行っております。

 今後、こうした高校段階での教育については、障がいのある生徒の受け皿として、高等学校と特別支援学校がどのように機能分担をしていくかということについても整理すべき課題があると考えております。そうした点については、来年度行う予定であります検討委員会の中で検討してまいりたいと考えております。

 最後でありますが、県立学校への特別支援教育の支援員などの人的配置についてであります。

 先ほども申し上げましたように、高等学校での特別支援教育は、比較的新しく生じた教育課題でありまして、現在の状況は必ずしも十分でないと認識しております。

 御指摘の高等学校への支援については、現在そのような配置の制度がございません。直ちに置くということは困難であると考えておりますが、専門性を有する教員の人事配置について、高等学校の教員と特別支援学校の教員双方の人事交流を進めてまいります。

 また、先ほど申しました来年度予定しております検討委員会の中で、生徒にとって最適な教育環境はどうあるかということについて検討してまいりたいと考えております。以上でございます。

【尾村利成;再質問】
 まず初めに、要望を1つさせてください。医師確保の問題ですね。

 知事は御存知かと思いますが、島根県はやはり国に貢献してるんですよね。何を貢献してるかというと、国が僻地保健医療対策検討会というのを設置してるんです。本県の医療対策課の医師確保対策室長は、この委員として、この僻地医療について国の協議に参加して積極的に働いてるわけです。
 
 だから、この島根県のほうから国に出向いてるわけです。ですから、私はこういう点も踏まえて国に今これだけ島根が大変なんだから、国のほうもお金だけ出して、はい、終わりではなくて、実際見てどれだけ大変なのかということをしっかり掌握すべきだということを厚労省で私言ったわけです。知事も力強い御答弁いただきましたが、しっかり国に物を言っていただきたい。

 あわせて、やはり県としての役割というのがこれから試されると思います。冒頭言いましたように、県として市町村との協議もあれば、病院との協議もある、いろいろやることが出てきますよね、一層これから出てくると思います。その点で検討いただきたいんですが、いわゆる医療対策課、ここは医師確保もあれば看護師の問題もあります。やはりこの医療対策課を含む医師確保対策室の、私は人的な補充、体制の強化というのが必要だと思うんです。よくお邪魔しますけれども、本当に中の仕事もあれば出ての打ち合わせもあるわけですので、そこのところは検討いただきたいということを要望しておきたいと思います。

 それで、平和の問題で、知事、私、米軍低空の問題では、アメリカにも言ってくださいということを言ったんです。ちょっと答弁が漏れとったかなと思ったものですから、この点、アメリカにもしっかり物を言っていただきたいということをお願いしたい、アメリカに対する考えがあれば答弁していただきたいと思いますけども。

 なぜこのことを言ったかというと、今普天間の問題が大きな問題になってます、普天間基地をどうするかという問題が。だけど、これは普天間だけの問題じゃないんです。この岩国基地の問題なんです。

 それは2006年5月に米軍の再編計画がこれが決められてるんですけど、その普天間の問題とあわせて岩国に厚木基地から艦載機を移駐させるということがこの日米合意、再編計画の中でも決まってるわけです。

 今、普天間の問題で沖縄では、これは自民党と公明党も民主党も共産党も一緒になって、県外に行ってくれという決議をやってるわけです。アメリカのほうは何を言っとるかといって反発してるわけです。そういう中で、今普天間が大問題になってる。

 だから、日本の今の政府は何してるかといったら、2月20日に北沢防衛大臣が岩国に来たんですよ。岩国にやってきて、厚木基地から岩国基地への艦載機の移駐というのは進めますということを言ってるわけです。だから、艦載機をどんどんどんどん岩国に厚木から移しますよということを北沢防衛大臣が2月20日に言ってるわけです。

 私、言いましたように、その岩国への艦載機を移駐する予算が来年度ふえてるわけです。ですから、現実問題として59機もの艦載機が米軍の厚木基地から岩国に来れば、岩国基地には120機もの艦載機が配備されて、極東最大の基地になるわけです。そして、この岩国基地から100海里、180キロ圏内にNLPをつくるという合意になってるわけで、その中で米子空港が危ないと、私言ってるわけです。

 経過的に言いましたように、2007年10月31日に米軍基地化はもう既になってるわけです。だから、知事答弁で軽微という話もあったんですけど、私これ軽微じゃなくて、今流れを見てくるとこれ非常に危険な流れがある。米軍の低空飛行の問題でも、傍若無人なことをアメリカはやってるわけです。本国ではできないことを日本ではやってるんです。

 本国では、歴史建造物だとか、野生生物の影響評価までしないといけないというふうにアメリカではなってるんだけど、日本はそんなんお構いなしで飛んでるわけですよ、好き勝手して。だから、私、言えば日本の子どもたち、島根の子どもたちっていうのは野生生物よりも劣ってるのかという扱いを受けてるんです。私は、こういう点で強くアメリカに抗議をするという姿勢を県がしないとだめだというふうに思ったわけでございます。よろしくお願いします。

【溝口善兵衛知事】
 お答え申し上げます。

 米軍基地の岩国基地への艦載機の移動の話に関連してお話があったわけであります。

 どのような方向で進むのか、それがどういう影響を及ぼすのか、政府なりからの詳細な説明等はまだないんじゃないかと思いますが、そこら辺は国政の場におきましてもよく聞いて、その上でどういう対応をすべきかということを検討しなければならないわけであります。

 そういう点につきまして、よく研究をとりあえずして、その上でどうするかよく考えてまいりたいと思ってるところであります。以上であります。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画