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議会の取り組み

議会の取り組み詳細

2010 年 2 月定例会 知事提出議案、請願、議員提出議案に対する討論

2010-03-17 この記事を印刷
 日本共産党の尾村利成でございます。

 予算案6件、条例案2件、一般事件案1件について委員長報告に反対する討論を行います。

 また、議員提出議案1件について委員長報告に賛成する討論を行います。


 第3号議案「平成22年度島根県一般会計予算」

 まず、第3号議案「平成22年度島根県一般会計予算」についてであります。

 平成22年度予算案は、総額5,354億円余、対前年度当初比1.6%増であり、2年連続で前年度を上回る予算規模であります。

 予算案では、県民の安全対策の推進のため、新規に地震被害想定調査事業が計上されました。子育て支援では、乳幼児等医療費助成事業が拡充されております。私は、これらの予算措置を評価するものであります。

 地震被害想定調査事業は、被害想定に宍道断層を考慮するものであり、地域防災計画に最新の知見を反映させようとするものであります。日本列島は地震の活動期に入ったとされており、徹底した地盤等のデータ収集、地震動予測、地震被害予測等の調査を実施し、安心安全の島根づくりに万全を期すべきであります。

 乳幼児等医療費助成事業は、就学前児の医療費助成の所得制限を撤廃し、自己負担上限を通院で1,000円、入院で2,000円に引き下げるものであります。乳幼児等医療費助成制度は、県内各自治体でも独自助成が実施されており、県の制度拡充により、さらなる負担軽減が拡充されることを望むものであります。

 知事は、施政方針において、県政における最重要課題は、「景気回復と雇用確保を図り、県民の生活を守ること」とし、地域医療の確保、福祉の充実、定住対策、防犯対策、教育の充実などに予算を重点的に配分することとしたと強調されました。

 しかし、教育の分野を見てみると、例えば私立高校生への授業料減免予算が削減されているではありませんか。授業料助成県単独予算では、2009年度5,144万円計上されていたものが、2010年度では4,100万円であり、差し引き対前年度比1,044万円の減額となっております。県として私学助成制度を拡充すべきであります。

 福祉や医療の充実では、国民健康保険の未納者が加入世帯比1割を超え、また介護保険の利用料が耐えられずサービスの抑制が起こっているのにその是正措置が計られておりません。

 障がい者の命綱である福祉医療においては、県が実施した1割負担がひどすぎるということで、多くの市町村が単独で上乗せ補助をしております。また、定率負担の撤回を求める障がい者団体、医療団体の署名は、68団体から寄せられており、1割負担見直しの願いは大きいものがあります。定率負担撤回を決断すべきであります。

 雇用対策においては、県の臨時職員、非常勤嘱託員の賃金を平成20年度から4%程度減額したままであります。臨時職員等の賃金減額は最賃や民間賃金の引き下げを誘発し、県がワーキングプアをつくり出していると非難されても仕方ないではありませんか。賃金カットの撤回を求めるものであります。

 また、労働費は、前年比84.6%増となっております。しかしながら、その中身は、ほとんどが国の基金を活用した雇用対策であります。国の雇用創出対策は、介護分野を除いて雇用期間が6カ月から1年以内とされており、雇用失業情勢の悪化が続くもと、臨時的な雇用の場に加えて安定した雇用そのものをどう増やしていくのかが問われております。

 県としての独自に雇用を確保するために、少人数学級の拡充、特養ホームの待機者解消を図るなど介護、医療、保育、教育を充実させ、新しい雇用を創出する積極的な対策を講じるべきであります。

 公共投資では、松江第五大橋関連事業や国の直轄事業を聖域化し、県民合意のない大手前通り拡幅事業や不要不急の特定中山間保全整備事業、需要予測を見誤った斐伊川水道事業など見直すことなく継続しようとしています。
県政は不要不急、県民合意のない事業については、勇断を持ってメスを入れるべきであります。

 以上の立場から、予算案には反対であります。


 第15号議案「平成22年度島根県病院事業会計予算」
 第16号議案「平成22年度島根県電気事業会計予算」
 第17号議案「平成22年度島根県工業用水道事業会計予算」
 第18号議案「平成22年度島根県水道事業会計予算」
 第19号議案「平成22年度島根県宅地造成事業会計予算」
 
 次に、第15号議案「平成22年度島根県病院事業会計予算」、第16号議案「平成22年度島根県電気事業会計予算」、第17号議案「平成22年度島根県工業用水道事業会計予算」、第18号議案「平成22年度島根県水道事業会計予算」、第19号議案「平成22年度島根県宅地造成事業会計予算」についてであります。

 まず、病院事業会計予算についてです。

 病院経営においては、県民に対する公正な医療サービスの提供と患者さん中心の医療サービスの提供が求められております。県立病院は、公共性の高い高度医療、専門医療、特殊医療の提供や不採算部門、へき地医療などを担っており、県民からの期待は大きいものがあります。

 この間、総務省の公立病院改革ガイドラインや地方公営企業法全部適用によって、経営効率化と採算性の追求が強化され、民間委託推進が強化されてきました。

 民間委託では、医療機関の医療に対する責任が曖昧にされる恐れもあり、病院が自らやるべき業務や安全・衛生等についてのチェックができず、県民サービスの低下が危惧されます。

 また、医療事務における民間委託は、公費負担医療制度対象者への制度案内の不徹底などの弊害が生まれています。

 県立中央病院では、1日最高で18,900円もの室料単価である差額ベッドが徴収されております。差額ベッドの部屋数は、102室にも及んでおります。貧困と格差が広がる中で、県民誰もが安心して県立病院受診を保障するために差額ベッド料の廃止を含む料金の軽減を検討するべきであります。
次に、企業局会計についてであります。

 江の川水道事業については、送水設備の受水団体移管に伴う地元負担軽減措置が計上されております。この点については評価するものであり、一層の地元負担軽減に向けた措置を求めるものであります。

 斐伊川水道事業において、受水費試算が提示されました。30年間の受水費総額は、損益ベースで300億円であり、受水団体をはじめ住民に重い負担がかぶせられようとしています。本事業において、需要予測を誤った県の責任は免れず、高い水を住民に押し付けるべきではありません。受水費負担軽減に向けた予算措置を強く求めるものであります。

 電気事業においては、江津市・高野山風力発電において、住民から騒音・低周波音による健康被害が寄せられております。実態調査をはじめ、被害対策を講じることを求めるものであります。

 工業用水道事業においては、供給見込みのたたない神戸川工業用水道事業の取り扱いを真剣に考えるべきであります。長年にわたる莫大な建設仮勘定の計上は不適切であります。


 第27号議案「県立学校の職員定数条例及び市町村立学校の教職員定数条例の一部を改正する条例」

 次に、第27号議案「県立学校の職員定数条例及び市町村立学校の教職員定数条例の一部を改正する条例」についてであります。

 行き届いた教育、ゆとりある学校実現のために、教員定数の削減は認められません。学校現場において、教員は超多忙の状態にあり、教職員の増員こそ実施すべきであります。

 よって、本議案には反対であります。


 第34号議案「県立学校の教育職員の給与に関する条例及び市町村立学校の教職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例」

 次に、第34号議案「県立学校の教育職員の給与に関する条例及び市町村立学校の教職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例」についてであります。

 この条例案は、国における義務教育費国庫負担金の最高限度額の見直しに鑑み、義務教育等教員特別手当を減額するものであります。給与カットを続ける中でのさらなる手当ての削減は容認できません。

 よって、本議案には反対であります。


 第46号議案「契約の締結について」

 次に、第46号議案「国道485号(松江第五大橋道路)改築(改良)工事東津田工区東津田第6高架橋上部工」の契約の締結についてです。

 国道485号松江第五大橋道路は、地域高規格道路境港出雲道路の1区間として、宍道湖、中海都市圏の形成を図ること、松江市街地の外環状道路を形成すること、ソフトビジネスパークなどの工業、商業拠点を結ぶこととされております。

 今日の厳しい財政状況、今後の人口動態、環境問題、外環状道路形成や工業、商業拠点を結ぶ必要性や実効性の有無など総合的に勘案した際、その事業実施に当たって疑義が残ります。

 よって、本契約締結には反対であります。


 議員提出第3号議案「幼児教育の無償化と保育サービスの充実を求める意見書」

 最後に、議員提出第3号議案「幼児教育の無償化と保育サービスの充実を求める意見書」についてであります。

 本意見書は、幼児教育の無償化、保育所の拡充など待機児童を解消し、子育て世帯が安心して子どもを産み、育てる社会づくりを求めるものであり、賛同するものであります。

 政府は、来年度予算に子ども手当の支給を盛り込みました。しかし、この子ども手当実施の財源として、税金の所得税・住民税の扶養控除の廃止・縮小を行うこととしています。控除の廃止・縮小によって、所得税や住民税が増税になるために保育所の保育料や介護保険料、国民健康保険料など各種制度の負担増につながります。

 人的控除の縮減は、健康で文化的な最低限度の生活には課税しないという生活費非課税の原則に反する大問題であります。

 子ども手当実施の財源にあたって、庶民増税を実施しないことを国に強く求めるものであります。

 以上で、討論を終わります。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画