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2010 年 11 月定例会 一般質問 (知事の政治姿勢について、看護師確保対策について、児童養護施設について、県営住宅について、教育問題について)

2010-12-01 この記事を印刷

▼○尾村利成議員▽ 日本共産党の尾村利成でございます。

 質問の第1は、知事の政治姿勢についてであります。

 溝口知事は、今議会初日の提案理由説明で、安全・安心で住みよい島根をつくるとして、2期目の県政のかじ取りを表明されました。私は、溝口県政に対し、ただ一人の野党の議員として、公共料金や手数料の値上げなど県民にとって不利益な議案にはきっぱりと反対を貫いてまいりました。また、不要不急、県民合意のない開発事業の見直しを求め、税金の無駄遣いを厳しくチェックし、本予算、決算に反対を貫いてまいりました。72万県民の暮らし、福祉、安全、農業を守る立場から、4点にわたって知事の政治姿勢をただします。

 まず、農業再生とTPP環太平洋経済連携協定について伺います。

 今、日本の農業と米をさらなる苦境に追い込む2つの問題で、農家から悲鳴と怒りの声が上がっております。1つは、深刻な生産者米価の暴落であり、2つは農業に壊滅的打撃を与えるTPPへの参加であります。生産者米価下落の加速が進み、農家の手取りは生産費の半値に近い状況です。かつて1俵60キロ2万円だった米価は、今や1万円そこそこであります。米をつくって飯が食えないと農家の悲鳴が広がるのは当然であります。米価暴落の最大の要因に過剰米がございます。政府は緊急に買い上げ、米価暴落対策をとるべきであります。しかるに、民主党政権は、戸別所得補償を口実に、暴落を放置しています。今こそ政治が米の受給と価格の安定に責任を果たすときであります。

 さて、農水省は、9月7日、2010年農林業センサス結果を公表いたしました。私はこの結果に愕然といたしました。それは今日の県内農業就業人口の平均年齢が70歳を超えているのでございます。また、5年前の2005年の農業就業人口は4万2,000人余りありましたけれども、本年には3万人へと激減をいたしております。すなわち、この5年間で毎年平均で約2,500人ずつ農業就業人口が減少しているのでございます。このまま有効な対策を打たなければ、あと10年で島根県の農業は消滅しかねない危機的な状況にございます。

 そこで、伺います。

 持続可能な農業経営の実現のために、農産物の価格保障を中心に、所得補償を組み合わせ、再生産を保障する施策を農業政策の柱に据えるべきではありませんか。知事の所見を伺います。

 このように、農業が危機的な状況にある中で、菅内閣は例外なしの関税撤廃を原則とするTPP参加への道を突き進もうとしています。日本がTPPに参加すれば、農業大国であるアメリカやオーストラリアからの農産物輸入も完全自由化されるのは避けられません。農水省の試算では、米は90%減、小麦は99%減、牛肉は79%減、豚肉は70%減と、日本農業はあらゆる分野で壊滅的な打撃を受け、食料自給率は40%から13%まで低下するとしております。TPP参加は、農村も国土、環境も荒れ果てて構わないという亡国政治そのものではありませんか。菅総理は、日本は農業鎖国だと言いますが、日本の農産物平均関税率は12%であり、鎖国どころか世界で最も開かれた国であります。貿易自由化に乗りおくれるなと強く求めているのは、日本経団連です。輸出大企業の利益を最優先するために、国民の食料を犠牲にすべきではありません。21世紀は金さえ出せば食料を輸入できる時代ではございません。自由化一本やりではなく、各国の食料主権を尊重した貿易ルールを確立するべきでございます。

 そこで、知事に、島根農業を守る立場から伺います。

 TPPの参加によって、県内農業、関連産業に与える影響額はいかなるものですか。その試算額を伺います。

 また、その影響を島根県民に明らかにし、広範な県民の運動としてTPP参加を許さない取り組みを強化すべきと考えますが、所見を伺います。

 農業問題の最後に、11月29日、安来市で発生した鳥インフルエンザについて要望いたします。

 1つに、被害を受けた養鶏農家等に対し、鶏の処分や卵の出荷停止への損失補償を充実すること。2つに、万全なる防疫体制の徹底。3つに、風評被害防止対策や相談体制の強化をお願いをするものであります。

 次に、福祉医療費助成制度についてであります。

 今日、地域医療の崩壊、無保険者の増大など、社会保障のあらゆる分野で深刻な事態が生まれています。県内において生活保護受給世帯は4,000世帯を超えました。高過ぎる国保料、税が払えず、国保滞納世帯は加入世帯の1割を超えております。また、原則3割という高い医療費の窓口負担に耐えられず、必要な医療を受けることができない人も多数生まれております。このような中にあって、障がい者は福祉医療の1割負担撤回を強く望んでいます。県は、5年前の2005年10月から、福祉医療に応益負担を導入いたしました。1カ月500円であった医療費を、最大で4万200円という80倍もの負担増を課したのでございます。障がい者団体の理解がないのに理解があると言い、受給者は1割負担が可能であると強弁したのでございます。

 知事は、2期目の出馬表明に当たり、障がい者も高齢者も安心して暮らすことができる島根を目指すと強調されました。本当に、知事、そうであるならば、全国一障がい者に冷たい島根と言われ、障がい者の受診抑制の原因となっている福祉医療の1割負担は撤回し、定額制に戻すべきではありませんか。病気に苦しみ、病気と闘っている人たちにお金の心配をさせ、つらく苦しい思いをさせておいて、だれもが住みやすく温かい島根とは言えないではありませんか。知事の所見を伺います。

 定率負担には、医療を受けることは利益、益という考え方がございます。医療を受けることは決して益ではありません。医療を受けるのは命を守るためであります。医療が必要な人ほど重い負担となる応益負担は廃止すべきであります。知事の所見を伺います。

 次に、島根原発の安全確保についてであります。

 点検漏れなど保守管理の不備に当たり、住民の不安が高まっています。県は国に対して、事業者への厳格な指導監督を求めていますが、原発の危険を未然に防ぐには、推進機関から独立した規制機関の確立が必要であります。世界の多くの国では、原子力の安全のための規制の仕事は、原子力発電を推進する行政部門とは切り離されております。例えば、イギリスでは保健省が、ドイツでは環境省が、アメリカでは原子力規制委員会が規制の仕事に当たっています。しかし、日本では規制機関である保安院が推進機関である経済産業省から独立していません。これでは、国民が信頼できる安全行政が成り立つはずはなく、事業者への厳格な指導が担保できないではありませんか。国に対し、規制機関と推進機関との分離独立を要求すべきであります。知事の所見を伺います。

 県がプルサーマル運転を了解した前提の条件は、国による厳格な安全審査と中国電力における適正運転の確保にありました。しかし、この間、中電は火災の発生がありながらも、県への報告がおくれるなど、安全協定に反する事態を繰り返してきました。また、511カ所もの点検漏れが発覚し、保守管理のずさんさも明らかとなりました。今後また新たな保守管理の不備や安全協定違反があった際には、直ちにプルサーマルの許可を撤回すべきであります。そして、安全協定条項に罰則規定を盛り込むなど毅然とした対応をとるべきでございます。知事の所見を伺います。

 次に、斐伊川水道建設事業についてであります。

 来年の4月から、斐伊川水道建設事業が始まります。各受水団体から示された受水量を見てみますと、参画水量に対する受水量は30年平均において6割にすぎない状況であります。すなわち4割もの水が使われないわけでございます。当初の事業目的であった人口増加による水需要はゼロと変更されたように、県としての需要予測、積算根拠の誤りは決して免れません。松江市、出雲市においては、下水道料金の値上げが計画されております。下水道料金の値上げに加えて、使わない水まで払わされ、水道料金の値上げとなるならば、住民にとってはダブルパンチになるではありませんか。住民は今後、生活防衛手段としてさらなる節水に心がけるでしょう。そして、節水機器の普及などで、水需要の一層の減少は避けられないと思うのであります。

 県として、積算根拠の誤りを認め、高い水を住民に押しつけないためにも、受水費軽減を決断すべきときでございます。知事の所見を伺います。

 次に、看護師確保対策について伺います。

 看護労働の過密、過酷化が進む中、日勤、深夜勤、準夜勤の3交代勤務が主だった看護現場に、日勤、長時間夜勤の2交代制勤務を導入する病院がふえております。県内において54病院のうち2交代、一部2交代を導入している病院は28病院となり、実に半数を超えております。日本医療労働組合の看護職員の労働実態調査によりますと、2交代勤務の長時間夜勤で仮眠時間がきちんととれていると答えた人はわずか16%しかなく、全くとれていない、余りとれていないと答えた人は30%を超えています。絶対的人手不足のもとで、労働基準法違反が常態化し、慢性疲労が7割を超え、3人に1人が切迫流産を経験し、10人に1人以上が流産しています。ミスやニアミスの経験が9割に上り、8割が仕事をやめたいと思ったことがあると答えています。医療現場の半数を占める看護職がこのような状況では、患者の安全はもとより、医療そのものを守ることができないではありませんか。労働問題の専門家は、長時間夜勤によって安全性が低下してミスがふえるだけでなく、ミスを起こした同僚を他の看護師が発見できなくなる、長時間夜勤は患者にとって有害であると指摘しています。さらに、生活リズムが狂い、健康、生活も破壊するとして、看護師自身への影響も深刻であると警告をしております。

 私は、先日、2交代勤務で働く看護師さんのお話を伺いました。看護師さんからは、夕方4時から翌朝の9時までの16時間の勤務で、看護師2人で50人近い患者さんを見ています。肉体的、精神的にもう限界です。若い人に看護師になりなさいということを勧められません。また、連続10時間を超える長時間労働は、酩酊状態で看護するのと同じです。患者さんの命、看護師の健康を守る体制を整備してほしい。このように切実に訴えられました。政治の責任で一刻も早く労働条件を抜本的に改善し、人手を大幅にふやして安全・安心の看護を実現しなければなりません。

 ILO国際労働機関は、1日の労働時間は8時間以内、交代勤務の間隔は12時間以上にと定めた看護職員条約勧告を採択しています。しかし、日本政府はいまだに批准していません。世界の流れは看護師の夜勤の規制の方向です。日本において、看護職員が人間らしく働き、人並みの生活をする権利を確立し、看護体制の充実を図ることは急務の課題であります。この立場から伺います。

 2交代制の勤務形態は、看護師の健康の悪化、ひいては離職につながり、患者にとって安全・安心な看護の提供の立場から、私は有害であると考えますが、健福部長の所見を伺います。

 県として、2交代制による勤務実態の影響を調査検証すべきだと考えるものです。所見を伺います。

 次に、看護師就学資金についてでございます。

 准看護師養成学校の授業料等の負担は、月額4万円を超えております。しかし、県の就学資金は月額2万1,000円と低く、アルバイトをしながら看護師を目指す学生の実態やニーズを充足していない現状にございます。また、就学資金の枠が少なく利用できない状況も生まれています。不足する看護師を確保するためにも、就学資金を抜本的に増額するとともに、定員枠を拡充すべきと考えますが、いかがですか。所見を伺います。

 次に、児童養護施設についてです。

 今日、施設に入所している子どもの6割が被虐待児であり、発達障がい、知的障がいなど障がいのある子どもが2割以上の状況であります。各施設においては、基準以上の職員配置や心理担当職員等の措置費上の加算職員配置など、児童の支援の向上に努めています。国の最低基準より手厚い体制をとっている施設に対し、職員加配の助成を検討すべきと考えますが、所見を伺います。

 民主党の地域主権改革では、児童福祉法に定める児童福祉施設の設備運営基準の廃止または地方自治体への条例委任が検討されております。これは児童養護施設のみならず、保育園、乳児園など社会的養護を含めたすべての児童福祉施設の最低基準が事実上撤廃されることになりかねません。関係者からは、地方自治体への条例委任によって児童福祉施設最低基準が引き下げられることを危惧する声が上がっております。

 そこで、伺います。

 国の児童福祉施設最低基準を地方自治体にゆだねるのではなく、最低基準の維持と向上を国に求めるべきと考えますが、所見を伺います。

 また、入所児童は就職準備に当たり、アルバイトをしてためたお金や施設の後援会からの貸し付けを活用して資格取得に励んでいます。部活動に参加している児童は、アルバイトをする時間がなく、収入が得られないため資格取得が困難な状況にあります。児童の就職支援のためにも、県として資格取得の支援策を講じるべきであります。また、就職する児童に対しての援助、指導を行う自立援助ホームを拡充、強化するなど、施設退所後の自立支援策の充実を求めますが、所見を伺います。

 次に、県営住宅について伺います。

 私は、この間、県営住宅に入居されている皆さんと懇談を重ねてきました。県営比津が丘住宅の皆さんからは、廊下の階段に太陽光が入らず、昼間でも真っ暗な状況です。暗くて常時、すなわち24時間階段の明かりをつけています。停電時に備え、非常灯を設置してほしい。こういった居住環境の改善を求める声をお聞きしたところであります。快適で安全な居住環境を保障するためにも、入居者から要望等を聞く意見交換の場を拡充し、安全総点検を行うべきと考えますが、所見を伺います。

 また、県は、県営住宅から退居する際は、畳、ふすま、障子については退居前に修繕した上で退居検査を受けることとしており、修繕費用は入居者の負担となっています。しかし、国土交通省が1998年に地方自治体に示した原状回復に関するガイドラインでは、壁やクロスの日やけなどの自然的劣化、損耗などの経年変化や家具の設置による畳のへこみなど通常の使用による損耗、そして結露などによるしみやカビなど通常の使用をしていた場合に構造的欠陥から来る損耗については、民間住宅の賃借人に原状回復義務はない、こうしております。北海道においては、畳やふすまの張りかえ、そして壁、天井の塗装などは、年次計画の中で公費負担で修繕をいたしております。ぜひとも島根県においても、自然の損耗や長期間の使用による汚れなどは入居者責任ではなく公費負担を検討すべきと考えますが、所見を伺います。

 最後に、教育問題についてであります。

 まず、教職員の労働安全衛生体制の確立についてです。

 長時間過密労働による健康障害が社会問題化する中、本県でも、一昨年度より、教職員の過重労働による健康障害防止のための総合対策実施要項が策定され、時間外労働時間の把握と医師による面接指導などが図られるようになりました。児童生徒に行き届いた教育を保障する上でも、教職員が健康で働くことのできる環境づくりはますます重要なテーマとなっています。県教委がまとめた勤務時間外労働状況及び医師による面接指導実施状況によりますと、普通高校において、月100時間を超える時間外労働をした教育職員の延べ人数は、平成20年度、2,078名であったものが、平成21年度には2,358名と約300名も増加しています。月100時間といえば、厚労省基準によれば過労死デッドラインであります。また、医師による面接指導を申し出た教育職員は、平成20年度に延べ23名でありましたが、平成21年度においてほとんど変わらない状況にございます。すなわち、労働安全衛生体制が十分に機能していないではありませんか。県教委は、本年2月の私の質問に対して、長期にわたる時間外の労働は心身の健康上好ましくなく、また教師としての活力に満ちた教育活動に支障を来すおそれがあり、時間外労働の縮減と健康の保持に努める、このように答弁されました。しかし、ほとんど改善が見られていないこの点をいかに総括しているのですか。現場の教員の声を掌握し、早急に実効ある改善策を講じるべきであります。教育長の所見を伺います。

 次に、臨時的任用教職員の待遇改善についてです。

 本年5月1日現在、小学校で常勤講師の割合が7.3%、中学校で8.1%、県立高校で8.8%、特別支援学校で15.3%となっています。また、中学校、高校で重要な位置を占める部活動、クラブ活動で主顧問を務める常勤講師の割合を見ると、運動部活動において、中学校で5.0%、県立高校で9.7%となっています。私自身、大変驚いたことは、島根県内の小学校には2,093小学校のクラスがございます。しかし、この2,093クラスのうち165のクラスは講師が学級担任を担っているという点であります。実に学級総数の8%であります。このように、本県の教育というのは、臨時的任用教職員によって支えられていると言っても過言ではありません。常勤講師の方々が担っている職責は、子どもや保護者に対してはもちろん、公務分掌としても正規採用者と同等であります。そうであるならば、正規教職員との賃金や休暇制度など労働条件において可能な限りの均等待遇を保障しなければなりません。

 本年4月から、常勤講師の産休代替がようやく認められるようになったことは大きな前進であり、評価するものでございます。しかし、私傷病休暇代替や小学校での体育実技代替が認められていないこと、またどんなに経験豊富な常勤講師でも、一定の給与号俸に達すると、頭打ちと呼ばれる給与月額の据え置きが押しつけられるなど、待遇の格差が存在しています。一刻も早く均等待遇を実現すべきと考えますが、教育長の所見を伺うものでございます。

 以上で一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)


▼○副議長(岡本昭二)▽ 溝口知事。

 〔溝口知事登壇〕


▼○知事(溝口善兵衛)▽ 尾村議員の御質問にお答えを申し上げます。

 最初は、農業に関連した問題でございます。

 その一つは、農産物の価格保障を中心に、所得補償と組み合わせて再生産を保障する施策を農業施策の柱に据えるべきではないかと。それについての所見いかんと、こういう質問でございます。

 私も、この日本の豊かな農業が維持されるということは大変大事な課題だと思います。そういう意味におきまして、持続可能な農業経営を実現するために、農業者が再生産可能な所得が確保される、そういうことが必要だと、こう考えております。

 現在、米につきましては、戸別所得補償モデル事業が実施をされております。野菜、畜産、酪農経営につきましては、価格補償制度を基本に一部県の単独事業により対象品目を拡大をして支援をしておると。所得補償と価格保障を組み合わせて、持続可能な農業経営の実現を国も県も一緒になって努力をしていると、こういうことでございます。

 農業者戸別所得補償制度につきましては、来年度の本格実施に向けまして、県としては幾つかの要望を国にしております。1つは、中山間地域等の地域の実情を反映した制度設計にしてほしいと。中山間地域等におきましては、耕地面積も小さいですし、それからいろんな傾斜地の草刈りとかいろんなコスト高があるわけでございまして、地域の実情を反映した仕組みにしてほしいと、こういうことが1つ。それから、集落営農組織等の担い手の育成を促進をするということが大事でございますから、そういうものに対して加算措置というものを設定するようにしてほしい、こういうことを要請をしております。いずれにしても、地域地域で担い手が育つような仕組みにして、農業が持続可能になるようにしてほしいということでございます。

 県としましては、このような国の下支えの制度も活用しつつ、これに加えまして、意欲のある農業者が経済的に自立をし、持続可能な農業経営が実現できるよう、販路の拡大でありますとか、あるいは売れるものをつくるためにいろんな工夫、努力をされる農家の方々を支援をするとか、あるいは担い手の方々を育てるような施策をいろいろ展開をしていく。そういうような施策を今後も県としては続けていきたいというふうに思っております。

 次に、TPPの関連でございます。

 TPPに参加をしますと、関税の撤廃があらゆる物品に対して行われるという仕組みになる可能性が高いとされておるわけでございます。農業などにつきましては、ほかの自由貿易協定等につきましては、そうした仕組みには必ずしもなってないわけですけれども、TPPにおきましてはそういう仕組みになるということでありますと、これは大変な影響を受けるわけでございます。精米の関税ですと、たしか700%を超えるような関税率になっているわけですから、それが取り払われますと、農水省が試算をしております。これはいろんな前提を置かないとできなくて、これの一つの試算しかないということではないと思うんですけども、農水省の試算ですと、米の場合ですと、コシヒカリなど特色のある銘柄米を除いて、ほとんどの米は壊滅するのではないかというような試算をされておるわけです。そうすると、全体の1割ぐらいしか残らないのではないかと。そうすると、本当に大きな影響になるわけです。壊滅的と申し上げました。数字がどうかということでございますが、これはいろんな試算がございますから、数字が大事だということじゃなくて、どの程度のマグニチュードかということが大事なことではないかと、この議論をする際に、私はそう思います。

 そういうことでございますが、いずれにしても、国はTPPに参加する場合、あるいは不参加の場合、メリット、デメリット、プラス・マイナスいろいろあるわけでございます。それから、具体的な影響も確たるものはいろんな要因に依存しますから、これだということはなかなかわかりませんけれども、大きな傾向はわかるわけでありまして、農業などは極めて大きい影響が起きるというのは、もうだれが考えても当たり前のことでございまして、そういう意味におきまして、TPP参加の交渉をする、あるいはTPP参加を目指していくというような政府の方針であるならば、関係の方々からようく意見を聞いて、慎重な対応をしなければならない。そういう理解を得ながら、この議論をしていかなきゃいかんということを伝えておるわけでございます。

 そういう意味におきまして、例えば影響がある場合にはどういう対策をとるかということも大事なことでございます。そういうものが何もなくて、一般的にTPPの参加だというような姿勢で臨むということは、多くの方々に不安を与えますし、将来に対するいろんな問題も生じますから、そういうやり方ではなくて、じっくり各界の意見を聞きながら、慎重にやってほしいというのが私の考えであります。

 それから次に、福祉医療についての御質問でございます。

 これは、国の医療保険制度の上に障がいのある方やひとり親家庭の方々がさらに医療を受けやすくする目的で、各県それぞれの仕組みで制度を設けておるわけでございます。平成17年に、制度の仕組みが従来の定額から定率、ただ変わりました。その過程の中では、低所得者の方々の負担にも配慮するという仕組みになっておりますけれども、御指摘のような変化があったわけでございます。この点につきましてはいろんな議論があると思います。障がい者にかかわる制度などは、本当は全国一律であるべきだという議論も私はあると思います。しかし、現実は福祉医療につきましては県でそれぞれやっておると。多分発足の経緯がそういうことではなかったんではないかと思いますけども、ただ現在の状況を見ますと、国会において審議をされている障害者自立支援法の一部改正案におきましては、障がい福祉サービス等利用者負担を家庭の負担能力に応じたものとすることを原則とする見直しが盛り込まれております。また、新たな障害者総合福祉法の制定に向けた議論も並行して進められております。したがいまして、私どもとしては、こうした状況を勘案しながら、福祉医療制度の今後のあり方につきまして、市町村を始めとする関係者の意見も踏まえながら、適切な判断をしていきたいと考えておるところであります。

 これに関連をいたしまして、障がい者が医療を受けることは益という考え方はおかしいのではないかという御質問で、所見はいかんということでございます。

 このいろんな負担をする場合に、大きく言って、応益負担と応能負担という考えがあります。応益という益は、多分益という言葉がややミスリーディングなんだと思いますけども、物を買うと買ったものの値段に相当するものを支払うというのが応益負担といいますか、あるいはサービスを受ける、そのサービスのコストに見合うものを払うというのが、いわばサービスの大きさによって値段が変わってくると、あるいは受ける時間によって値段が変わってくるというのが応益としておりますが、益ということではなくて、サービスあるいは物の価格という考えだと思います。それからもう一つは、税金とかいろんな公的なものになりますと、応能と申しますか、払う能力に応じて、所得の高に応じて負担をしようという2つの考えがあって、サービスの内容とかサービスの目的とか、受ける人の対象だとかによって、実際にはその組み合わせでなされておるように思います。したがいまして、益ということじゃなくて、そういうような考え、言葉の問題としてではなくて、やはり制度制度に応じて、応能的な要素を強くするのか、応益的なサービスのコストを重視するのか、それはそれぞれのそういう制度、目的に応じて検討していく。あるいは、世の中の状況、考え方が変わればそれに応じて選択も変わっていくものだというふうに思っております。一般的な説明ですけれども、そういうふうに理解をしております。

 それから次に、島根原発の安全性確保に関連しまして、安全規制機関と原子力の発電を推進する機関、これを2つ分離をすべきではないか。これは基本的にそういう方向で、各国もそうですし、日本もそういう方向で進んできていると思います。ただ日本の場合は、経産省の中に保安院と資源エネルギー庁という2つの組織があると。同じ大臣のもとに2つの組織があるという意味では、役所が違うというよりはちょっと違う関係にはなっております。そういう意味で、分離をする考え方は一般的にあるんだと思います。そこをどこまでしたほうがいろんな面でいいかという政策の判断にもよるところがあると思いますが、実は原子力発電所が立地をしている県等におきましては、14道県の知事が集まりまして、原子力発電関係団体協議会というのを構成しております。その協議会におきましては、国に対しまして、安全規制を行う組織の独立性を高めるなど、あらゆる角度から原子力安全規制のあり方について議論する場を設けることをこれまでずっと提案しているとこでございます。

 それから、経産省におきましても、私ども資源エネルギー庁と、それから保安院両方接触しますけれども、彼らの中では分離をされておって、保安院が推進の立場に立つことはありませんし、そういうことはあると思います。ただ省のベースで変えるかどうかという議論は当然あり得るというふうに思いますが、現状はそうなっているということであります。

 それに関連しまして、本年6月開催をされました経済産業省の政策会議というのがあります。各省に政策会議がありますけれども、そこでは同省の副大臣から、6月初めから保安院の分離について議論を始めるとの発言がありまして、その後、9月には、有識者、原子力発電立地自治体の首長などから意見を聴取したと聞いておりまして、国の議論を私どもも注視をしていきたいと思っております。

 それから、中国電力の保守管理の不備に関連をし、それと県、市、中国電力が結んでおる安全協定に関連した御質問があります。

 私も、中国電力の保守管理の不備が続いておるということは甚だ遺憾なことだと思っております。原子力発電は安全に行われると、そしてそれを地域の住民の方々が信頼をされると、そういうことがなければ、原子力発電というのはうまく推進されないわけでありまして、そういう意味で、私どもは適正な管理が行われるよう、中国電力に対してももちろん言いますが、私どもが特に言っておりますが、中国電力を監督している役所があるわけです。権限があるわけです。そういうところがしっかり監督をし、不備があったらそれを厳しく注意をする。それから、不備の是正策を出させる。是正策がちゃんと進んでいるかを、今の規制当局がちゃんと見なきゃいかんわけです。そういう意味で、私どもは、国に対して、今般の2号機の問題につきましても強く申し入れたところであります。それによりまして、国は特別な検査体制をしいて、さらに中国電力の改善策をよくチェックをして指導してきたわけであります。中国電力も外部の方々の意見を聞きながら、今後そうした不備が起きないようないろんな改善策を出しておるということでございまして、技術の進歩もありますし、それからいろんなこともありますから、不備といったようなものが未来永劫に確率ゼロになるということは無理です。我々の大事なことは、そういう不備が仮にあるとしても、それが原子力発電の安全の問題につながらないようにする、そういう体制を構築していく。仮にあった場合には、それを直ちに実現をして、実際的な問題が起きないようにするということが当座必要なことでありまして、私どもは、今回の問題につきましても、国に対して強く申し入れ、中国電力に対しても申し入れ、さらに定期的に中国電力と国から改善策の実施状況なども、県、市、住民の方々に説明をちゃんとしてもらう場をつくるという体制をとって、その上で2号機の運転再開は了解をするという返事をしたわけでございます。

 したがいまして、今後とも、国による監視、監督、それから私どもによる監視、監督をきちっと続ける、そういうものに対して中国電力がきちっとこたえる、そういうことによりまして、エネルギーの確保と同時に、安全な体制を確立するように努力をしていきたい。それが私どもの役目ではないかというふうに思っているところであります。

 それから、そういう関連で、罰則の規定を設けてはどうかということがありますが、罰則という問題もそれは別途あるかもしれませんが、今の安全協定の問題として言いますと、まず法令によって国が不備等があれば罰則といいますか、処罰をしているわけです。運転をずっと差しとめるということは、一つの当然でありますけども、会社の経営には大きな問題に、大きな影響があるわけでございますし、そういうものがちゃんとするまで長期間運転をやめさせるというのも一つの措置でございますし、それから安全協定について言いますと、安全確保のために県が必要と認めるときには運転停止を含め、適切な措置をとるよう要求ができるということになっております。そういうことでやりますが、私は中国電力に県が言うというよりも、監督している責任官庁がまずやらなきゃいかん問題だというふうに思っております。そういう意味で、国がちゃんとすると。国はそういう意味で、規制をすると同時に、エネルギーが足らないわけですから、石油資源が足らないわけですから、日本全体の経済発展のために、国は責任を持って安全な原子力発電を行わせるようにするというのは、国の最大の責務だと思います。責務のある人がちゃんとやるように、我々がプレッシャーをかけていく。それが大事なことではないかと考えているとこであります。

 それから、斐伊川水道について2つ質問がございました。

 1つは、斐伊川の水量の見通しが不十分ではないかという御質問でございますが、参画水量につきましては、受水市町において、配分の見通しが行われたわけでございますけども、上水道あるいは簡易水道からの水源の転換分があるとか、あるいは渇水時における水不足に対応するための水源の余裕分が必要だとか、そういうことがありまして、受水市町で日量3万5,400トンが必要だという計算を、私どもに出され、県として、受水市町が必要とされる参画水量や契約見込み水量をもとに事業を進めてきたわけでございます。もちろんそれは県も一緒になってやってますから、市町の見通しについても、それは共同でやっているわけですから、一定の役割を果たさなきゃいかんと思いますけども、最終的にはやはり受水を受ける市町が判断することではないかと思います。

 それから、受水費の負担軽減でございますが、私どもも、コストをできるだけ下げることによって受水価格を下げるということは県の仕事だと考えてきたわけでございまして、これまでも安価な工法を採用するとか、建設事業費の縮減も図ってまいりました。それから、飯梨川水道との一体的な運転管理による運転管理費の縮減なども進めてまいりました。その結果、受水費の負担もかなり下がってまいりましたが、さらに本年5月に、受水市町からさらなる負担軽減の要望がございまして、私どももこの要望等を踏まえまして、さらに負担軽減に何ができるかという検討もいたしまして、7月に受水市町に次のような内容の軽減案を示しました。1つは、一般会計借入金の利息負担を軽減する。さらなる経費の見直しをする。内部留保資金の活用なども行うということで、30年間に、受水費試算総額が2月にお示しした額に比べまして、約20億円減少するということになりました。そのために、1トン当たりの単価では、全受水市町平均で、2月の時点で125円程度であったものが、117円程度となりました。こうした受水費の試算につきまして、受水市町の理解もいただいたとこでございますので、この問題については、そういう推移できておるということを御理解を賜りたいと思うところでございます。

 それから最後に、児童福祉施設の最低基準の問題でございます。

 今、地方の分権を進めるという作業が長年行われております。今の政権におかれても、いろいろ努力をされていますし、地方からも引き続き、地方分権ということを言っておるわけでありますが、地方分権改革推進委員会の3次勧告を受けまして、施設等の基準を条例に委任をするといったようなものなど、義務づけ、枠づけの見直しを含む地域主権改革関連法案が国会で審議中であります。地方で判断できることは地方の実情に合わせて地方が条例等で自分で決められるようにするというのは、これは大きな流れであると思います。ただそういう中で、地方が決めるにしても、財源の手当てが地方によって格差がありますから、大都市部とありますから、ある程度、最低の基準を決めて、それに対しては国がちゃんとした財源措置をするといったような必要のある分野もあると思います。そういう意味におきまして、大都市部と地方部におきまして、財政力格差によるサービスの差が出ないよう、国に求めてきておるわけであります。そういう意味におきまして、最低基準に関する取り扱いは、法案成立後、政省令において具体的に示されるものと考えておりますけれども、今後とも国の動向をよく見ながら、必要に応じ、さらに国への働きかけを行っていきたいというふうに考えているところであります。以上であります。


▼○副議長(岡本昭二)▽ 錦織健康福祉部長。

 〔錦織健康福祉部長登壇〕


▼○健康福祉部長(錦織厚雄)▽ 看護職員の確保対策と児童養護施設についてお答えをいたします。

 まず、看護職員の確保対策でございますが、看護職員の皆さんが3交代勤務であったり2交代勤務、短時間勤務など多様な勤務形態が選択できることは、育児や介護など働く人それぞれのライフステージであったりライフスタイルに応じた働きが求められる中にありまして、離職防止であったり、再就業促進の面から、看護職員確保に資するものと考えております。

 各病院においてどのような勤務形態をとられるかということにつきましては、それぞれの病院において職員の健康保持であったり、それから医療の安全確保等を総合的に勘案をされ、関係者の意見も聞いた上で選択されることが大切であるというふうに思います。

 県としては、医療現場において働きやすい職場環境づくりが進むとともに、適切な医療が提供されるように、県全体の看護職員の確保にしっかり取り組んでいきたいと考えております。

 また、医療現場の実態を把握すること、このことは大切なことでございます。県では、毎年度、各病院の協力をいただきまして、勤務形態の区分でありますとか、採用、退職、休職の状況などを調査しております。各病院の具体的な勤務形態やそうした勤務形態をとっている理由など、調査項目に盛り込むことも検討したいと考えております。

 また、県の看護学生の就学資金制度についてでございますが、従来から、准看護学生も対象といたしております。准看護学生向けの定員を定めているわけではございませんが、全体の新規貸付定員は平成18年に20名から30名に、平成19年度には40名にと順次増員してきております。今後の就学資金制度のあり方につきましては、限られた財源の有効活用、効果的な看護職員の確保対策を進めていくという観点から総合的に検討していくこととしております。

 次に、児童養護施設についてお答えします。

 まず、児童の就職に関する資格取得についてであります。

 今日、高校生の就職が非常に厳しい状況にあります。児童養護施設に入所している児童についても同じような状況だというふうに認識をいたしております。児童養護施設に入所する児童が就職する際に有利となる自動車運転免許などの資格の取得につきましては、入所児童のそういう希望状況も踏まえまして、国への要望でありましたり、それから既存の助成制度の活用も含めまして、支援のあり方について検討してまいりたいと考えております。

 また、自立援助ホームについてお尋ねでございますが、自立援助ホームは、児童養護施設等を退所して就職する20歳未満の児童等に対して、生活基盤となる住居を提供いたしまして、相談やその他の生活上の援助、生活指導を行う施設でございまして、現在、県内には1カ所設置されております。自立援助ホームの増設につきましては、県として過去に県内の社会福祉法人へ設置を働きかけていった経緯がございますけども、その際には諸条件が整わず、実現に至っております。自立援助ホームの拡充も含めまして、施設退所後の児童に対してどのような自立支援策が必要なのか、引き続き検討してまいります。以上でございます。


▼○議長(田原正居)▽ 西野土木部長。

 〔西野土木部長登壇〕


▼○土木部長(西野賢治)▽ 県営住宅の居住環境を保証するために、入居者との意見交換の場の拡充及び安全総点検の実施についての御質問でございました。

 まず、入居者との意見交換の場の拡充につきましては、県営住宅の修繕に関しては、入居者から随時御連絡をいただくこととしておりまして、入居時に修繕の申し込み手順を記載した文書をお渡しして対応しております。今後は、意見を聞く方法として、各団地からの要望等の提出を毎年定期的に行うなどのルール化を図ることにより、入居者ニーズを的確に把握し、一層の居住環境の改善に努めてまいりたいと考えております。

 次に、安全点検の実施についてでございます。

 県営住宅の機能の維持及び耐久性の確保を図るために、毎年すべての団地につきまして、外壁や屋根などの劣化状況、設備配管の水漏れの有無、老朽化の程度など、建物や設備の状況について点検を実施しております。点検の結果、劣化損傷等があり緊急を要するものは速やかに、それ以外のものにつきましては計画的に修繕を行っております。今後も適切に点検を実施し、必要な修繕等を行うことにより、快適で安全な居住環境の確保に努めてまいりたいと考えております。

 次に、県営住宅からの退去時の修繕を公費負担することについての御質問でございました。

 議員御指摘の国土交通省が示しております原状回復をめぐるトラブルとガイドラインでは、民間賃貸住宅を想定し、経年変化や通常の使用による損耗等の修繕費用は賃料に含まれるとしております。一方、公営住宅につきましては、家賃が政策的に低廉な金額に抑えられていることから、一般的に、通常の損耗部分の修繕費用は家賃には含まれず、入居者の負担とされているところであり、県におきましてもそのように取り扱っております。

 具体的には、公営住宅法や島根県営住宅条例に基づき、住戸の壁の塗りかえ、床の補修、設備配管配線の補修など建物本体の経年変化に伴う修繕につきましては県が行い、畳の表がえ、ふすま、障子の張りかえなど通常の使用による軽微な損耗部分については退去者の方に行っていただいております。しかしながら、一部の自治体では、畳、ふすまなどの修繕を、経過年数や痛み、汚れの程度によって行うこととしており、その経費負担については公費で行っているということも承知しております。

 県といたしましては、今後こうした自治体について、その背景や実態を調査いたしまして、負担のあり方について研究してまいりたいと考えております。以上でございます。


▼○副議長(岡本昭二)▽ 今井教育長。

 〔今井教育長登壇〕


▼○教育長(今井康雄)▽ 私から、2点についてお答えをいたします。

 まず1点目が、普通高校における教育職員の労働安全衛生体制についての御質問でございます。

 県立高校の教育職員に対する医師による面接指導、これにつきましては、月100時間を超える時間外労働を行って、かつ疲労の蓄積が認められた者、こうした場合に本人の申し出を受けて行っているものでございます。平成21年度におきます普通高校の月100時間を超える時間外労働を行った教育職員の延べ人数、議員御指摘のとおり、平成20年度と比較をして270名増加をいたしております。内容でございますが、例えば学力向上のための業務でありますとか、あるいは保護者等への対応、あるいは土日の部活動への対応、こういったもので時間外労働がふえたものというふうに考えております。

 また、これも御指摘がございました医師による面接指導を申し出た教育職員、この延べ人数は21年度は前年度とほぼ同程度でございました。したがいまして、この申し出者が時間外労働を行った者がふえたのに比べてふえてないと、こういったことがあるわけでありますが、この要因につきましては、これは推測になりますが、例えば面接に出かけるために授業時間等を変更する、こういったことへの負担感、こういったものが教員の方にあるということ。あるいは、本人としては疲労はある程度あるけども、面接を申し出るほどの疲労の感じはないと。こういったようなことがあるものと、これ推測でございます。現場の校長方から聞いたことでございますが、そういったことが推測をされます。

 いずれにいたしましても、このような実態を踏まえまして、管理職に対して、時間外労働の縮減に一層努めるということを指導したいと思いますし、また面接指導の趣旨を十分に理解をして、業務の調整を図って面接指導が受けやすい環境づくりに努めるよう、引き続き強く指導をしていきたいと思っております。

 また、教育職員に対しましては、メンタルヘルス研修会あるいは保健師による巡回相談等、こういった機会をとらえまして、長時間労働が心身の健康に及ぼす影響などにつきましても周知を図りまして、みずからが進んで申し出を行い、医師の面接指導を受けるように指導していきたいと考えております。

 それから、2点目でございます。

 講師の待遇について御質問がございました。

 この講師でございますが、御案内のとおり、児童生徒の減少あるいは学校の統廃合、こういったことによりまして、今後教職員定数の減が見込まれます。こういったことから、一定程度の講師の配置というのはやむを得ない状況にございます。また、講師の皆さんには、離島や中山間地などさまざまな地域の学校で勤務をいただいているとこでございます。

 それから、小学校におきましては、教職員定数の関係から、担任以外の教員、こういった教員の配置が少ないということがございます。したがいまして、ほとんどの教員が担任をする必要がございます。そういったことから、講師の方に担任をお願いすることも多くなっているというのが実情でございます。これは議員御指摘のとおりでございます。

 そこで、講師の待遇でございますが、まず給料でございます。給料につきましては、現在、任用の都度、経験年数等を加味をいたしまして初任給を決定しておりますが、適応号給には上限を設けております。これは正規職員との比較上の話でございます。これにつきましては、他県でもほとんどがこのような取り扱いを行っております。その上限の号給でございますが、島根県で適用しております号給、上限を定めておりますが、全国と今比較しますと、ほぼ中程度、中ほどという状況にございます。

 それから、休暇の関係でございますが、正規の教員と同じ条例規則を適用をいたしております。そういった中で、これも御指摘がございました。今年度から、産前産後休暇に補充者を配置する、こういった措置をとりまして、休暇がとりやすい環境の改善を図っているところでございます。なお、年次有給休暇につきましても、教職員が休暇を取得しやすい環境づくりに配慮するよう、管理職研修会等で所属長に要請をしているところであります。

 講師の待遇につきましては、今後とも、他県の状況なども見ながら、可能なことから改善に努めたいというふうに考えております。以上でございます。


▼○副議長(岡本昭二)▽ 尾村議員。

 〔尾村利成議員登壇〕


▼○尾村利成議員▽ 知事に、再質問3点させてください。

 まず1つです。農業問題です。

 私は、TPPの日本の参加によって、県内農業が壊滅するということを言いました。知事は試算額の前に、この問題はよく説明等をしていくことが大事だと、こういう話だったわけです。今、島根県内の農業産出額というのが、年間約600億円ちょっとです。米が230億円ぐらいです。私は、この島根の農業産出額が本当に大変な事態になる。本当に県民の皆さんにこの問題を考えてもらう上で、やはり県内農業、または関連産業に対する試算というのは県として行って、その内容を開示するということは、私はこれは必要だと思うものですから、試算等していらっしゃるんだったらお答えいただきたいという点が1点です。

 それから、2点目であります。福祉医療の問題です。

 知事は、福祉医療については、市町村始め関係者の声をよく今後も聞いていくというお話をされました。それから、私質問の中でも言ったわけですけども、今医療の中で、所得が低い人ほど社会保障から排除されるという傾向があるわけです。すなわち生活保護のこの間の受給世帯数も言いました。国保の今の未納の実態も述べました。質問では言わなかったですが、例えば開業医の先生方が行った治療中断、受診抑制の調査というのがあります。これは開業医の先生がやられて、経済的に困難で、いわゆる医科で27%の人が治療を中断したと、こうなってるわけです。歯科では75%が治療を中断した。すなわちお金がないから病院に行くのをやめたと言ってるわけです。こういう冷厳な事実があるわけです。福祉医療の問題で、考えたときに、定額制であった500円だったものが、入院で4万200円になったと。外来で1万2,000円になったと。これは間違いなく負担増なんです。私は、この議論をしたときに、県としては課題が生じたときには原因を十分に検証するんだと。そして、改善策が必要なら適切に改善策を判断するんだという、こういう御説明が当時ありました。私はもう、確実に今課題が生じている。すなわち、命が危険という事態が起こっている。だから、私は撤回を求めたわけです。この点で、知事として、今原因を十分に、課題が生じてるわけですから、原因を十分に検証するし、改善策に向けた、私は方向を踏み出していただきたい。このことをお願いしたいという点です。

 それから最後に、水道問題です。

 知事の御答弁は、受水市町との理解を得ているという話でした。県と受水市町は得ているかもしれませんが、市民は得てないと思うんです。それは、1トン当たりの現在での給水単価というのが、県からいえば供給単価117円ですね。やっぱりこの点は高いわけです、間違いなく。全国で23県が都道府県水道をやってますが、トン当たりの平均供給単価は101円なんです。飯梨川を見てみますと、飯梨川の供給単価というのは約20円なんです。それから、飯梨川の布部系で約20円、山佐系で30円なんです。これが117円となりますと、それはもう4倍、6倍になるわけで、これは間違いなく水道料金のアップになります。

 私言いましたように、4割の水は使わないわけです、4割は。すなわち参画水量の6割しか受水団体は契約しないわけですから、じゃあ4割の水は余裕とかという話されましたけれども、これは使わないんです。だから、使わない水まで住民に対して負担が行くわけです。私は、これは積算根拠の誤りという点で、やはり県と受水市町の責任は免れないというふうに思うわけで、受水費の決断をやはり迫りたいということであります。

 時間が残り25秒ですので、知事への質問はこれで終わらせてもらいまして、健福部長に私言いたいのは、看護師の2交代制の問題の点で、多様な働き方があるということを言われました。病院と職員で話し合えと言われました。なかなか話し合えないですよ、病院からこういうことをやると言われたときに、看護師さんは。命を預かる現場です、看護職場というのは。16時間勤務ですよ。朝の8時から夜の8時までで12時間ですよ。それプラスまだ4時間あるわけです。私はこういう2交代制の勤務というのは、看護師さんの離職を防止できないと思います。この点で、看護師確保をする上で、こういう2交代制についても県として真剣に考えていただきたいと、こういうことは申し上げておきたいと思います。健福部長の答弁は結構です。以上です。


▼○副議長(岡本昭二)▽ 溝口知事。

 〔溝口知事登壇〕


▼○知事(溝口善兵衛)▽ 尾村議員の追加の3点、お答え申し上げます。

 TPPに加入したときに、関税がなくなる。その農業への影響いかんと、こういうことなんですが、農水省は、日本全体で一つの試算をしています。それは先ほど申し上げましたように、米などですと、約700%を超える関税がなくなると、前提としては、コシヒカリとか銘柄米というんでしょうか、1割の分は残るかもしれないけども、その他はなくなると、こういう前提で、品目ごとにいろんな前提を置いてやってるわけです。それもいろんな試算の影響あるわけです。ケースがいろいろある。それから、県内となると、これも各地で農業経営の実態が違いますから、試算をするというのは非常に容易でないですが、農水省の数字で類推をするということはできます。農水省は米以外のものもあわせて国内の総産出額の48%に当たる4兆1,000億円程度が減るだろう、こういう試算で、48%でございますから、それに準拠して、比例的にやれば出ますが、そこはなかなかそういうもんかどうかというのは保証の限りはありませんので、誤解されてもいけませんが、非常に大きなものがするということは、これは明らかでございますから、ひとつ日本全体で、農水省の数字を見ると、産出額の約半分近くが減るというのがあらあらなあれじゃないでしょうか。それを類推をするということが妥当なとこでありまして、ほか幾ら厳密なことをしても前提がわからないわけでございますから、余りそこを細かく追及しても、余りに誤差が大きいから、そういうものをある程度頭に置いて考えていくというほうが現実的なやり方ではないかと私は思います。

 それから、障がい者の方々の福祉医療の関係ですが、先ほど申し上げましたように、国の障害者自立支援法の改正案の動き、それから新たな障害者福祉法における考え方等々、まだ不確定な部分もございます。それから、議員が御指摘になったような実態がどうかという問題もあります。そういうことでありますから、今申し上げたような国における状況、あるいは市町村を始めとする関係者の意見等もよく踏まえまして、適切に判断をしていきたいということでございます。



 これまでの県の対応としては、医療費の負担のところはそういう改正といいますか、変更いたしましたけども、障がい者の方々の自立のための支援というほうに対策を強化しているという面もありまして、そうした総合的な観点からこの問題も取り上げなきゃいけませんし、個別の個々の方々の負担という観点もよく見ていかなければならない。両方考えながら、よく検討しなければいけない課題だとは考えておりますが、今こういう方向でという考えを持っているわけではありませんので、よく意見を聞きながら対応してまいりたいと思います。

 それから、水道料金、1つは県のダムから受水市町が水を買われる。その値段と、それを受けて市町が消費者の方々に水道をお売りになって料金を徴収する。2つの問題があるわけですけども、やはりそこはいろんな問題があります。過去においていろんなやりとりがあったかもしれませんが、やはり県、それから受水市町が一緒になって計画をつくってやってきて、それに対応するコストというものはかかっておるわけでございますから、そのコストをだれかに負担をするというのはなかなか難しいことではないかと思います。そういう意味で、市町、県との間の受水価格については一応合意に至っておるというふうに理解しております。それをもとに、水道料金をどうするかにつきましては、今のところ、関係市町では、料金改定は23年度におきましては行われないと。出雲市の場合は、条例の24年度実施時期とする条例が9月議会で議決されたと聞いておりますけども、そういう状況でございますので、いろいろ難しい、おっしゃるような問題もあるかと思いますが、こういうことで、関係市町との間では、一応御了解いただいているということをぜひとも御理解を賜りたいと思うわけであります。

議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画