2010 年 11 月定例会 知事提出議案、請願に対する討論
2010-12-17 この記事を印刷
日本共産党の尾村利成でございます。
条例案2件、一般事件案3件、請願1件について委員長報告に反対する討論を行います。
第112号議案「松江市及び八束郡東出雲町の合併による同町の同市への編入に伴う関係条例の整理に関する条例」
第120号議案「市町の廃置分合について 新市名:松江市」
第131号議案「出雲市及び簸川郡斐川町の合併による同町の同市への編入に伴う関係条例の整理に関する条例」
第134号議案「市町の廃置分合について 新市名:出雲市」
まず、第112号議案「松江市及び八束郡東出雲町の合併による同町の同市への編入に伴う関係条例の整理に関する条例」、第120号議案「市町の廃置分合」について、並びに第131号議案「出雲市及び簸川郡斐川町の合併による同町の同市への編入に伴う関係条例の整理に関する条例」、第134号議案「市町の廃置分合」についてであります。
そもそも市町村合併は、1999年の地方分権推進一括法の成立以来、「構造改革」や「地方分権」の名のもとで、国の主導によって推進されてきました。
合併の目的は、住民サービスの充実や福祉の増進ではなく、あくまで効率を最優先とした自治体づくりにあり、そのねらいは、国の地方に対する財政支出の大幅な削減にありました。
市町村合併は、自治体の歴史に終止符を打ち、新たな自治体をスタートさせる一大事業であり、住民にとって重大な岐路といえる決断であります。合併の成否は、住民に正確な情報が提供され、住民合意が十分になされたかどうかにあります。
私がこの度の合併に反対する理由の一つは、東出雲町と斐川町の両町とも、合併に賛成の住民を含め、大多数の住民が松江市や出雲市との合併に大きな不安を抱いていることであります。松江市や出雲市との合併により、両町とも住民サービスの低下や負担増などが襲いかかってくるのであります。
二つに、松江市、出雲市とも合併特例債を湯水の如く使い、ハコモノ、道路など多額の公共投資をすすめたため、大幅に借金が増えました。両町の住民は、特例債事業の恩恵を受けることなく、借金の返済だけをかぶることになるのであります。
三つに、今回の合併をめぐって、両町において、議会軽視の強引な合併画策が続けられました。そして、多額な血税を使った「合併ありき」の一方的な宣伝が繰り返し行われました。合併のデメリットについての情報はほとんど提供されず、町の未来は合併しかないという不公正なアナウンスに終始したのであります。
よって、これら議案には反対であります。
第122号議案「公の施設の指定管理者の指定について(島根県立古代出雲歴史博物館)」
次に、第122号議案「公の施設の指定管理者の指定」についてであります。
指定管理者制度がスタートして7年が経過し、全国的に制度欠陥が明らかとなっています。制度の導入によって、施設の公共性、継続性、安定性、専門性が損なわれたり、管理者が経営破たんして途中で投げ出すなど、深刻な問題も発生しています。
公の施設は、地方自治法第244条に規定されるように住民の福祉を増進する目的を持って、その利用に供するための施設でなければなりません。公の施設を、公共性を持たず、営利を目的とする民間会社に任せ、代行させて、果たして自治体の責任が果たせるのか危惧されます。
よって、本議案には反対であります。
請願第60号「私学助成政策の抜本的拡充を求める請願について」
最後に、請願第60号「私学助成政策の抜本的拡充を求める請願」についてです。
本請願は、私立高校の学費の実質完全無償化の実現を求めるものであります。
平成21年度、島根県内において、私立高校は9校あり、3,926人の生徒が在籍しており、その中で授業料減免を受けている生徒は、516人であり、全生徒数に占める割合は13%でありました。
今年度から国公立高校の無償化とともに、私学への就学支援金が実施され、保護者の負担は昨年度より軽減したものの、無償化された国公立高校に比べて、私立高校では、依然として多額の保護者負担が残っており、公私間格差が是正されていません。
私立高校は、入学金、施設整備費などの重い負担があることに鑑み、全員の授業料部分の実質無償化は、保護者の切実な願いです。
高校は、進学率97%を超えた「準義務教育」とも言うべきもので、その無償化は世界の流れです。
よって、1,076筆の署名とともに、提出された本請願の採択を求めます。
以上で、討論を終わります。