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議会の取り組み

議会の取り組み詳細

2010 年 11 月定例会 平成 21 年度決算認定に対する討論

2010-12-17 この記事を印刷
 日本共産党の尾村利成でございます。

 認定第1号議案「平成21年度島根県病院事業会計決算の認定について」、認定第2号議案から第5号議案までの電気事業、工業用水道事業、水道事業、宅地造成事業の島根県公営企業会計決算の認定、認定第6号議案「平成21年度決算の一般会計及び特別会計の決算認定」の6件について、認定とした委員長報告に対し、反対の討論を行います。

 予算並びに決算は、政治の顔、政治の鏡であると言われています。

 議会における決算確定は、可決された予算が正確に執行されたか否か、計数が正確であるかどうかを審査するだけではなく、次年度の予算編成に資するため、広範な角度から住民の立場で行政評価を検証するものであると理解いたしております。

 この立場から、以下、討論を致します。

 平成21年度一般会計及び特別会計の認定について

 まず、認定第6号議案「平成21年度決算の一般会計及び特別会計の決算認定について」であります。

 財政分析指標を見ると、起債制限比率は15.9%で、警戒ラインとされる15%を超えた状況が続いています。また、実質公債費比率は17.3%で、前年度に比べ0.6ポイント改善し、地方債の発行にあたって、国の許可が必要となる18%を下回ったものの、依然として高い状況が続いています。

 地方債現在高は1兆91億7,700万円余で、歳出決算額の約2倍となっており、県民一人当たりで試算すると、136万円となり、全国一高い状況であります。

 これら財政悪化の原因は、この間の身の丈を超えた公共投資にあったことは明白であり、財政再建に当たって、まずすべきことは不要不急の事業、県民合意のない事業、需要予測を見誤った事業について県民目線でメスを入れ、徹底した総点検を行うことではありませんか。

 例えて言えば、県民合意のない大手前通り拡幅事業、不要不急の大規模農地開発、積算根拠を誤った斐伊川水道建設事業などの見直し、精査であります。

 県民の県政への願いは、医療、福祉、教育の充実であります。この県民の願いと平成21年度決算を鑑みれば、この県民の願いと乖離した平成21年度決算は不認定とせざるを得えないのであります。

 各論

 各論的に9点申し上げます。

 第1に、財政健全化基本方針に基づき、さらなる総人件費抑制策がすすめられました。職員給与引き下げ、定員削減により、人件費は対前年度比3.2%の減となりました。相次ぐ給与の引き下げ、職員定員の削減は、職員の士気の低下や組織の活性化・行政能力の低下につながりかねません。給与カットを撤回し、職員の労働条件の改善を求めるものであります。

 第2に、歳出の効率化と質的改善の名のもとに、事務事業や補助金を削減し、県民サービスを大きく低下させ、市町村に負担を転嫁したことです。住民に最も身近なサービスを提供する市町村を支援する施策に力を注ぐべきであります。

 第3に、県内で国民健康保険滞納世帯が1万1千世帯にのぼり、その制裁措置として命綱である保険証を取り上げられた世帯は、約1,000世帯にも及んでいます。後期高齢者医療制度では、本年8月時点で、短期証を発行されている高齢者は330人を超え、命綱である保険証の取り上げにおびえています。高齢者に耐えがたい負担と差別医療を押し付ける後期高齢者医療制度は、即時廃止すべきであります。

 また、介護保険料の未納者数は約4,000人であり、特別養護老人ホームの入所待機者数は、本年1月時点で6,000人にも達しています。県民の福祉を増進するためにも、国民健康保険においては、県として市町村国保に法定外の独自支出金を繰り入れるべきであります。介護保険においては、保険料・利用料の減免制度を創設すべきであります。また、全国一障害者に冷たい島根と言われ、障害者の受診抑制の原因となっている福祉医療の1割負担の撤回を強く求めるものであります。

 第4に、城山北公園線拡幅事業のように、そこに住む関係住民が反対し、国際文化観光都市である松江の城下町を壊し、交通渋滞解消との事業目的は完全に破綻しているにもかかわらず、一度決めた事業は何が何でも推進する行政姿勢です。県財政危機と言いながら、県民の理解と納得が得られず、県民に説明のつかない道理なき事業の強行は、県政への失望を広げるだけであります。

 第5に、農業においては、平成21年度の農林水産業費は451億円余でありますが、そのうち農畜産物の価格補償の県費支払額は、2,169万円余であり、農林水産予算に占める価格補償は、0.048%しかありません。

 島根農業の再生、持続可能な農業経営の実現、耕作放棄地の解消に向け、価格補償の充実こそ農林水産業費の主役にすべきであります。

 また、島根県として、農業と地域経済、雇用破壊をすすめるTPP参加に断固反対する県民運動の展開を強く求めるものであります。

 第6に、企業誘致に偏重した商工行政の転換を求めます。この間、誘致企業は、莫大な企業立地促進助成金を受け取りながら、求人数を減らし続け、雇用においての社会的責任を果たしておりません。商工労働予算の柱に地場産業・地元企業の育成、強化策の拡充を求めるものであります。

 第7に、同和対策事業の特別措置法が終結したにもかかわらず、本県においては、同和教育をすべての教育の基底に据えるというように同和教育を特殊化、別格化する立場に今も固執しています。また、民間の同和団体に対する突出した補助金の支出が逆に不公正を生み出しております。同和教育は終結し、同和団体への補助金は、他の補助金交付団体との公平性が図られるようにすべきであります。

 第8に、教育においては、子供たちを競争に追いたて、ふるいわけする学力テストは中止すべきであります。貧困と格差から子供と教育を守り、少人数学級の実現ですべての子どもがわかるまで丁寧に教えられる教育環境をめざすべきであります。

 また、本県教育が臨時的任用教職員によって支えられている現状を是正するために、正規教職員の採用を増やし、臨時教職員の待遇を改善すべきであります。

 第9に、原発の安全性に対する県民の不安が高まっているのに、その対処方法は、国任せ、事業者である中国電力任せであるなど、原子力発電・プルサーマル推進に無批判、迎合であります。日本列島が地震の活動期に入った今こそ、県としても活断層調査を実施し、危険なプルサーマルの許可は撤回すべきであります。

 平成21年度島根県病院事業会計決算の認定について

 次に、認定第1号議案「平成21年度島根県病院事業会計決算の認定について」であります。

 経営効率化による民間委託推進は、県民との間において弊害が生まれています。例えば、医療事務の民間委託においては、公費負担医療制度対象者に対する制度案内の不徹底や差額ベッド代を徴収してはならないとする厚生労働省通知に反する事例の発生などの不手際が生まれています。

 民間委託では、医療機関の医療に対する責任が曖昧にされる恐れもあり、病院が自らやるべき業務や安全・衛生等についてのチェックができず、県民サービスの低下が懸念されます。

 また、県立中央病院では、本年4月から看護師2交代勤務がスタートしました。2交代勤務は、希望する職員のみが行うこととされておりますが、2交代勤務は看護師の健康の悪化、ひいては離職につながり、患者にとって、安全・安心な看護の提供の立場から有害であることを指摘するものであります。

 病院経営において、県民に対する公正な医療サービスの提供と患者さん中心の医療サービスを提供すると宣言した県立中央病院憲章に基づく医療サービス提供を強く求めるものであります。

 平成21年度島根県公営企業会計決算について

 最後に、認定第2号議案から第5号議案までの公営企業会計決算についてであります。

 島根県公営企業会計は、一つの大きな特徴がございます。それは、県内河川に多目的ダムを建設し、水力発電を開発し、上水道、工業用水道事業を行い、その工業用水によって工業団地を造成する、そして、これらすべての事業を島根県公営企業として行うこと基本としていることであります。

 この事業形態は、県民の立場からの弊害が生まれています。
それは、第1に、公共投資と河川総合開発が大企業や誘致企業の電気、工業用水確保を主軸とした事業となっており、上水道、農業用水利などの民生が後景に追いやられていることであります。

 第2に、過大な需要予測のため、多額な投資に見合う需要が期待できず、結局、損失負担が県民に転嫁されていることであります。

 供給見込みの立たない神戸川工業用水道事業、使わない水まで住民負担になっている江の川水道事業、水需要予測を誤った斐伊川水道建設事業など、住民負担軽減や事業の見直しによる適正化を強く求めるものであります。

 斐伊川水道建設事業の最大の問題点は、使わない水まで住民の負担となることです。尾原ダムの水の使用率は約6割しかなく、4割の水は使われません。平成21年度において、松江市での給水停止実施件数は807件でありました。事業主体として、水需要予測・積算根拠を見誤った責任を認め、料金低減策を講じるべきであります。

 最後に、今回の決算審査に当たり、全体会そして分科会におきまして、その過程で80項目程度の質疑そして資料提供を求めました。

 これらの点ですべての執行部の皆さんから誠意あるご回答と資料の提供を頂きましたことに対して、心からの感謝を申し上げるものであります。

 以上で決算認定についての討論を終わります。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画