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2011 年 2 月定例会 一問一答質問 (国民健康保険について、差し押さえについて、斐伊川水道建設事業について)

2011-02-24 この記事を印刷
▼○尾村利成議員▽ 日本共産党の尾村利成でございます。県民の暮らしと福祉、命を守る立場から、国民健康保険、差し押さえ、水道料の3点にわたって伺います。

 まず、国民健康保険についてであります。

 保険料が高過ぎて払えず、無理やり保険証を取り上げられ、病院にもかかれなくなって命を落とすという、あってはならない悲惨な事件がこの島根でも起きております。

 健康福祉部長に伺います。

 まず、県内の国保の加入世帯における滞納の状況、短期証の状況、資格証の発行状況を伺います。

▼○議長(田原正居)▽ 錦織健康福祉部長。

▼○健康福祉部長(錦織厚雄)▽ 県内の市町村国保の加入世帯、昨年の6月1日現在で10万3,236世帯でございます。そのうち保険料を滞納されている世帯数は1万952世帯となっております。滞納世帯のうち有効期間が短い短期保険証を交付されておりますのが4,036世帯、保険料を1年以上滞納され、特別の事情のない世帯に交付されます被保険者資格証明書の世帯数は922世帯となっております。

▼○議長(田原正居)▽ 尾村議員。

▼○尾村利成議員▽ 実に加入世帯の1割が滞納という状況ですね。そして、保険証の取り上げ、資格証の発行ということでございますけれども、約1,000世帯になっていると。私は、資格証の発行といういわば公的医療保険から排除されている県民が生まれている、こういう事態について、命を預かる健康福祉部長の所見を問いたいと思います。

▼○議長(田原正居)▽ 錦織健康福祉部長。

▼○健康福祉部長(錦織厚雄)▽ この資格証明書の交付、医療機関の窓口で一たん医療費の全額を支払っていただいて、後日返還を受けると、こういうシステムになっておるわけです。資格証明書は負担の公平であったり、市町村が滞納者の方と納付相談を受けやすくするというような意味合いからできておるわけですが、資格証明書をもし交付されている世帯で、もし医療が必要だと、ただなかなか医療費が一時払いが難しいという場合にも、申し出があれば短期保険証等の交付も可能であるような制度もございます。こういうこともよく相談をしていただきたいと思います。

 それで、資格証明書の922世帯あるがどうかと、こういうことですけども、一たん先ほど言いましたように全額を払わないかんということになりますので、やはり私どもといたしましても、資格証明書交付世帯が少しでも減ってもらうということが望ましいと私も思います。

▼○議長(田原正居)▽ 尾村議員。

▼○尾村利成議員▽ 部長の答弁があったとおりで、生活困窮者には短期証を交付すると、こういうふうに厚労省も事務連絡で言っているわけでございまして、私は実質的な保険証の取り上げ、資格証の発行というのは、これはやるべきではないと思うわけです。

 この点で一例御紹介したいと思います。松江市で起こった例であります。60代の建設業者であります。営業不振のため国民健康保険料、そして税金が滞納となっておられました。腸が破れる腹膜炎で市内の病院に担ぎ込まれ、手術の同意を求める医師に対して、この男性は手術はやめてほしい、保険証がないので薬で治療を頼みますと言い続けて、かたくなに手術を拒まれました。しかし、病院のソーシャルワーカーから生活保護制度の活用をアドバイスされ、手術に同意をされたものの、手おくれとなって1カ月後、多臓器不全で亡くなられた、こういう悲しい事例であります。この方は保険料を滞納している自分自身を責めて、保険料さえ払えないのに高額な自費の治療費は払えないということで、治療を我慢をずっとしておられたわけであります。

 私が危惧するのは、先ほど答弁があったように、県内で約1,000世帯が命綱である保険証を取り上げられているわけですから、この方々の健康が非常に私は心配なわけです。

 そこで、健福部長に伺いたいのは、保険証の取り上げによって手おくれとなった、こういう悲しい悲惨な実態というのを市町村と協力をして私は徹底的に調査すべきではないか、それから保険証を取り上げられた世帯の医療の受給権、そして生存権の保障について実情を把握してこそ、住民の命を守る行政ではないか、このように考えますが、どうでしょうか。

▼○議長(田原正居)▽ 錦織健康福祉部長。

▼○健康福祉部長(錦織厚雄)▽ 資格証明書を交付されている世帯の受診状況ですけども、保険者であります市町村におきましては把握は可能だと思います。ただ、それを受診抑制、その実態をどこまで把握できるか、これはなかなか難しいのではないか。受診された件数とか、そういうのは把握できると思いますけども、受診抑制というのはなかなか難しい。

 それともう一つは、やはり生活に困窮する国保の被保険者の皆さん方には、一部負担金の減免制度などもあるわけです。そういうものを当然最初に考えていただかなきゃならんわけですが、やはり市町村の皆さんにおいては、滞納者の皆さん方、資格証明書の発行に当たっては、いろんな納税相談、いろいろやっておいでになる、そういう中でやはり保険料だけではなくて、先ほど議員おっしゃいましたように、いろんな生活保護の制度であったり社会福祉の制度であったり、中には多重債務の問題もありますでしょう。そういうようなものを市町村の皆さん方はそれぞれ資源を持っておいでになるわけですから、そういうものを連携して取り組んでいただくと、そういうことが必要だと思います。

 したがいまして、できるだけきめ細かな対応をとっていただきたい、そのことがまたその御本人のためでもありますし、国保会計のためでもあるというふうに思っていまして、私どもとしても市町村の皆さん方に、市町村の各部局がそういう福祉部門との連携をとって、それらの人に対応していただきたい、そういうようなお願いをしておりますし、今後もいきたいと思っています。いろんな調査がございますので、そういうところでそういうこともお聞きをしていきたいというふうに思います。

▼○議長(田原正居)▽ 尾村議員。

▼○尾村利成議員▽ 私は、この資格証の発行1,000世帯というこの数は非常に多いと思うわけです。この中に機械的な取り上げというのも現実問題ございます。私は、そういう無慈悲な取り上げはやらないという点で、県としての積極的なイニシアをお願いしたいし、市町村への助言をお願いしたいと思います。

 無資格、無保険者の問題であります。

 失職となって無保険となるケースがあります。無保険問題で私は以前質問させていただいて、県としての実態調査の検討を約束すると御答弁いただきましたけども、無保険者の実態調査の進捗状況並びに調査を踏まえての課題をどう認識されているのか伺います。

▼○議長(田原正居)▽ 錦織健康福祉部長。

▼○健康福祉部長(錦織厚雄)▽ 健保組合などの被用者保険の被保険者が退社をされた場合、国民健康保険に加入していただくことになるわけですけども、そのときは市町村への届け出が必要です。住民の皆さん方の中にはこの手続を行われずに、国保の保険料もお支払いがないというケースもございます。会社をやめられた方の国保への加入手続をどう確認をするかということで、その間の理由であったり、それから事情等を把握したいということで、ハローワーク松江の協力をいただきまして、松江市さんと共同いたしまして、公的医療保険の加入状況調査と銘打ちまして実施をしております。調査は、相談や説明会等でハローワーク松江を訪れられた求職者の皆さんにアンケート回答をしていただく方向で現在実施しておりまして、まだ結果はまとまっておりません。来月の末までには調査結果をまとめる、そのようにしております。

▼○議長(田原正居)▽ 尾村議員。

▼○尾村利成議員▽ 私は今部長が答弁された、県がハローワークに協力を求めて無保険者の実態調査をやる、これは多分全国47都道府県でも島根が初めての取り組みではないかと思います。この点については県としての取り組みを高く評価をするものでございます。引き続き無保険者を生まないための対策をお願いするものでございます。

 この問題の最後に、知事に伺います。

 払いたくても払えない保険料、税を引き下げるため、私はこの間も言ってまいりましたけども、県としての法定外の独自助成金、これをやるべきではないかと。私の調査によれば、全国の13県では法定外独自支出金を入れているんです。この点で知事の所見を伺うという点、それからこういう県としての努力を示してこそ、国に対して国庫支出金の増額を今やっている、この要求に、県としての要求に説得力を持つことができる、私はこう考えるんですけども、御所見いかがでしょうか。

▼○議長(田原正居)▽ 溝口知事。

▼○知事(溝口善兵衛)▽ この国保の問題でございますが、今の法定外支出の話は、先ほど来の滞納にかかわる資格証の発行の問題と絡むわけでございますから、その点についてまず申し上げて、その後お話ししたいと思うんですけど、今私はなぜそういう資格証の交付というようなことになるのかと、これまでも何度か質問がございましたから、聞いておるわけでございますが、松江市に聞きましたところ、松江市の場合は2万6,000世帯が入っておるわけであります。滞納世帯が3,340でありまして、これは県下よりもちょっと多いんですね。12%ぐらいであります。それで、その滞納を1年以上しますと、事情をよく聞きまして、世帯主の方が財産の災害に遭ったとか事業がうまくいかなかったとか、あるいは御病気になられたとか、いろんな特別な事情がある場合には短期の保険証を発行して、引き続き保険給付ができるような仕組みになっているわけです。それから、そうでない方については接触を松江市は随分やっておられるわけです。なぜ滞納が起こっている、どうしたらいいのか事情を聞こうとする、松江市の場合は1,259の短期証発行世帯に対して、資格証交付世帯が470ぐらいです。県下の半分、900幾つですから半分近くであります。それで、その方々はどうしてそういうことになるのかということを松江市のほうにも聞いておりますが、6割ぐらいの方が滞納している分をどういうふうにしたらいいか御相談をしようということで、接触を松江市は試みておるようでございますが、そういう相談ができない世帯が、これは正確な数字じゃないかもしれませんけども、6割くらいおられるんではないかと。それから、3割ぐらいの方は分割納付をお約束になるんですけども、滞りがちな世帯がおありになる、あるいは短期保険証への移行される方々で、その経過を見ておられるというようなことなんですね。

 それで、おっしゃるように資格証になりますと全額払って、その後で給付を受けるというようなことになって、3割の負担はありますけども、給付は受けられるわけですけども、大きい医療費がかかる場合にはそういう困難な事態が生じるわけですね。だから、そういう問題をどうしたらいいかというのは、やはり国保の仕組み全体の問題でもあるわけです。国保は国の制度としてありまして、財源は国の負担金、それから県、それから市町村、それから保険料というようなことになっているわけですけども、国保制度をどうするかというのが今問題になっているわけです。今、市町村では単位が小さ過ぎて、高齢者の非常に多い国保ではもうやっていけないから、県全体でやるべきだとか、あるいは広域圏でやるべきだとか、いろんな議論があるわけでございまして、そういう議論の中でこういう問題を取り上げませんと、なかなか抜本的な解決に向かわない。それから、個別に見ますと、本当にもう困窮されてて、生活保護を受けられる方々は一定の医療を受けられるような仕組みがあるわけですが、中には生活保護をお受けになることを求めない方もおられると、あるいは恒常的に所得がないのではなくて、特別に事業のあれだとかでなったときに相談をされないとこういうことが起こる、いろんなケースがあると思うんです。

 したがいまして、今おっしゃったような、県が包括補助金を出す例もあるとおっしゃいましたが、国保の運営は今のところ市町村でございますから、地域医療の問題、あるいは生活保護をどうする、そういう問題として考える中で、県もよく市町村と御相談をしていかなきゃいかんし、それからやっぱり実態は市町村でなりませんと、業務は市町村がやるわけですから、県、市町村が一緒になって実態を見たり、どういうふうに問題があるのか、それに対してどういう対応が必要なのか、よく我々も研究をして対応を考え、必要に応じ国に対してこういうことを考えるべきじゃないかというようなことを言っていくということが大事じゃないかというふうに考えているところでございまして、あるいはそういう中に、おっしゃったように県が市町村に対して支援をするというようなこともあるかもしれませんね。いろんな選択肢があるわけでございまして、そのためにはやはり問題の実態、先ほどありましたが、今度は資格証を受けられたときに、さっき例に挙げられたような問題がどの程度あるのか、そういうような問題も含めて実態をよく調べるということがこの問題の基礎であり、そしてこの問題はやはり国保制度全体の問題でございますから、そういう中で考えていかなければ包括的な、全体的な解決というのは難しいんじゃないかというふうに思うところでありまして、よく市町村とも相談しながら研究してまいりたいと思います。

▼○議長(田原正居)▽ 尾村議員。

▼○尾村利成議員▽ 今、知事が国の動き、それから実施主体である市町村とよく相談をする、実態をよく見るというふうに言われましたんで、私はじゃあ市町村の動き、一例として松江の動きを言いたいと思います。松江市は昨年度保険料をまず10%上げた、もう10%上げたんです。今年度で今8%の値上げ計画を立てている、来年度が10%の値上げなんです。となると、この松江市で言うと、3年間で約30%の今値上げ計画となっているのが松江市の現時点の現状なんです。

 じゃあ国の動きはどうかということを言うと、民主党の政権はマニフェストで国民健康保険の立て直しに9,000億円のお金を積みますと、そして保険料を下げるということを約束したんだけど、これは約束を破ったんです。それどころか、私は今問題だと思っとるのは、昨年の5月、広域化方針の策定の通達を出して、この中でどう言ったかというと、市町村が独自に行っている一般会計から特別会計である国保会計に対する繰り入れをやめるべきだと、そして保険料の引き上げに転嫁せよという、そういう号令をかける今通達を出しているんです。

 だから、まさに今国の流れも、そして今市の流れも保険料の値上げの動きが、レールがずっと続いているわけです。ですから、私はこれにストップをかけないといけない、国に対しては国庫の増額を求めないといけない、市に対しても私は一般会計から国保会計、特別会計への繰り入れをやるべきだという世論を盛り上げないといけない、そして県としてやるべきこの異常な資格証の実態を見たときに、値下げの努力をしなければならないということを私は強く求めるものです。

 時間の関係で次に移りますが、差し押さえなんです。保険料を払えない人に差し押さえしているんです。保険証を取り上げた上に差し押さえしている、まず健康福祉部長に国保料の差し押さえ実態はどうなっているか。それから、総務部長に住民税の差し押さえの実態、それから県税の差し押さえの実態はどうなっているのか、御答弁いただきたいと思います。

▼○議長(田原正居)▽ 錦織健康福祉部長。

▼○健康福祉部長(錦織厚雄)▽ 平成21年度における県内の国保の保険料、税もあるわけですが、に係る滞納処分の実績は、差し押さえの行われた世帯数は延べで883世帯でございます。滞納額は合計で2億2,581万4,000円でございます。

 滞納処分につきましては、地方税法上のルールに基づいて実施されておると思いますし、この間に滞納者の皆さんと折衝を行っているというふうに聞いております。実態としては以上でございます。

▼○議長(田原正居)▽ 赤松総務部長。

▼○総務部長(赤松俊彦)▽ 21年分の差し押さえ実件数でございますが、まず県税につきましては872件ということでございます。個人住民税、これは個人の県民税と個人の市町村民税を合わせまして、個人住民税として市町村において課税及び徴収をしているわけでございますが、これが1,955件というふうな数字になってございます。以上でございます。

▼○議長(田原正居)▽ 尾村議員。

▼○尾村利成議員▽ 今御答弁があったとおりですね。保険料が未納になっている人に対して保険証は取り上げる、保険証は取り上げた上にその人の預金を押さえる、給料を押さえる、保険証を取り上げられた上に財産を押さえる、どうやって病院に行けるでしょうか。今御回答があったように、住民税が1,955件、県税が872件、そして国保が883件、ざっと荒い計算ですけども、これだけで約4,000件の差し押さえを行政が行っているわけです。私はこの点を見たときに、こういうやり方をしていいのかなということを言わざるを得ないわけです。

 知事に知事の考え方として私は伺いたい。命綱である保険証の取り上げ、生活の糧である預金などを押さえる、こういうことが今言った件数ほどあるわけですね。これでいて本当に溝口知事が言われる安全な島根、安心して暮らせる島根、だれもが住みたい島根ということと果たして言えるのか、私はこういうひどい徴税によってあしたの生活さえ奪われた県民を救済することこそ、県政の責任であると私は考えます。この点からも非情な差し押さえはやめるということ、生活に困窮した県民に対する生活再建支援にこそ力を入れるべきことが県政だと私は思いますけども、所見を伺います。

▼○議長(田原正居)▽ 溝口知事。

▼○知事(溝口善兵衛)▽ この問題は過去にも尾村議員との間でやりとりがありましたけども、差し押さえは機械的にやっているわけじゃあないわけでありまして、やはり納税者の方の生活の状況、なぜそういう状況に陥られたのか、そういうことをよく相談しながらやっているわけでありますが、法律によりましても滞納者の生活を困難にする差し押さえはすべきではないということが明記されておるわけであります。したがいまして、滞納処分に当たりましては個々の状況を見ながら、現場において適切に対処する必要があるわけでございますし、例えば災害や病気などにより一時的に支払いが困難になった場合には、徴収を猶予する制度もあるわけでございます。納税者によく説明をし、活用していただくということも大事でございます。

 また、国保のほうは先ほど来申し上げておりますけども、市町村が運営主体でございますが、市町村におかれましてもそういう方々の生活再建の支援を含めましてよく相談をし、適切に対応するよう健康福祉部、県のほうも市町村によく働きかけをしていかなければならないと思います。

 この国保の問題におきます今の資格証の問題は、2000年ぐらいから始まったと聞いております。それはやはり国保の赤字がどんどん大きくなって、給付はふえるけども収支が賄えないといったようなことが起こり、それが御指摘になったような保険料の引き上げになったり、あるいは高齢者の多いところでは保険料はもっと高いわけでありますし、全国でも違う、あるいは県内でも違う、そしていろんな問題が起こっているわけですね。これからどんどんそういう医療費負担がふえる中で、どうすべきかということがあるわけでございます。

 そういう中で社会保障全体をどう考えるか、そのためにはやはり税との関連をどう考えるかということであります。県が支出をするといっても、国が財源を保障するからそれができるわけです。しかし、これまでの議論で言いますと、国のほうは国保の運営を個々の市町村から広域圏、県全体あるいは県自身というのが長年の一つのアイデアで考えでございますけども、しかしそこは国のほうがちゃんとそういう財源の手当てをするといったようなことがないと、これは難しいわけです。知事会でもいろいろ議論してますけども、まだまだそういう国の方針を確認しないとやはり話ができない状況だろうと思います。

 じゃあ国はどうかというと、国はもうそれはもっと赤字公債が多いわけでございますから、国の財政をどうするかというのは、結局は我々全体がどうするかという、国民全体がどうするかという話でありまして、そういう意味で全体的な中で社会保障の問題、税制の問題、国保の問題を考えませんと、県がやったら解決するとか、そういう状況では私はなくなっていると思います。やっぱり総体的に考えないと、この問題の解決を図っていくことは非常に困難だろうというのが私の感想でございます。

▼○議長(田原正居)▽ 尾村議員。

▼○尾村利成議員▽ 知事が言われるとおり、国が責任をしっかりと持たないといけない、これはそのとおりなんですね。しかし、この間、国は国庫の支出金を削減をしてきた、これは冷厳たる事実なんです。それだけではなくて、先ほど申し上げたように、広域化することによって市町村が高い保険料を抑えるために努力している、繰り入れをやめろという指導をしてきているわけです。だから、私から言わせれば、国保を解体しようというのが今の政権の道だと思っています。私は、国の政治がこういうふうにひどいときだけに、やっぱり住民の命を守る、福祉を守る県としての私は役割があると思うわけです。当然国にきちっと言わなければなりません。このことを強く私は求めておきたいと思います。

 最後に、斐伊川水道の問題について伺いたいと思います。

 いよいよ4月から斐伊川水道事業が始まりまして、尾原ダムからの給水が始まります。私は今差し押さえの話をしました。それから、保険証を取り上げられている人の話をしました。次に聞きたいのは、この松江市において水をとめられている件数が昨年度何件あったのか、給水停止件数が何件あったのか、企業局長に伺いたいと思います。

▼○議長(田原正居)▽ 山根企業局長。

▼○企業局長(山根勝彦)▽ 松江市における水道料金未納によります給水停止件数は、平成21年度では延べ807件と聞いております。

▼○議長(田原正居)▽ 尾村議員。

▼○尾村利成議員▽ 807件です。なぜこうなるのか。松江市の水道料金というのは、県庁所在地の中で全国で9番目に高いんです。下水道と上水道を合わせると全国で7番目に高いんです。上水道で言うと一番高いのが県庁所在地で長崎市です。2番が福島市です。3番が札幌市です。私の試算によると、この斐伊川水道事業、尾原ダムからの受水によって松江では毎年8億円近いお金を県に払っていかなければならない、これが住民に転嫁をされるとなると大幅な値上げとなって、私はややもすれば全国3位、こういうことになるんではないかというふうに思うわけです。

 807件という給水停止ですけども、私は本当に許されないことだと思うわけです。この点でいよいよ尾原受水が始まるわけですけども、受水団体との供給単価の協議の経緯、それから受水団体との契約時期がどうなっているのか、そしてこの事業に当たって参画水量に対する使用水量をどのように見積もっていたのか、この点について伺いたいと思います。

▼○議長(田原正居)▽ 山根企業局長。

▼○企業局長(山根勝彦)▽ まず、受水費につきましてお答えいたします。

 平成16年度に行った試算では、全受水市町、30年間平均でございますけども、1トン当たり140円程度となりました。水道料金はできるだけ安くなることが望ましいことから、安価な工法の採用などによる建設事業費の縮減や、飯梨川水道との一体的な運転管理による運転管理費の縮減など、受水費の負担軽減に努め、平成22年2月に1トン当たり125円程度になる試算を受水市町にお示しいたしました。

 その後、5月には受水市町からさらなる負担軽減の要望を受けました。こうした要望等を踏まえ、一般会計借入金の利息負担軽減、さらなる経費の見直し、内部留保資金の活用による1トン当たり117円程度となる負担軽減案を7月に受水市町にお示しをいたしました。この試算につきましては、受水市町の理解が得られております。今後、これをもとに料金算定期間である平成23年度から25年度の料金について、本年3月末までに受給契約を結びたいと考えております。

 次に、水量につきましてでございます。

 参画水量及び契約見込み水量につきましては、これまで受水市町から必要とされる水量をいただき、県が取りまとめてまいりました。参画水量につきましては、受水市町において配分の見直しが行われたもの、参画水量の変更はなく、受水市町合計で日量3万5,400トンは必要とされました。配分の見直しの内容は、これまで人口増減分等としていた日量1万6,100トンはなくなり、上水道あるいは簡易水道等からの水源転換分、日量1万9,300トンであったものが2万7,599トンに、また新たに渇水時における水不足に対応するなどのための水源余裕分が、日量7,801トンとなっております。

 また、契約見込み水量は、全受水市町の30年間の日平均で2万1,846トンとなっております。県としましては、受水市町が必要とされる参画水量や契約見込み水量をもとに事業を進めているところでございます。

▼○議長(田原正居)▽ 尾村議員。

▼○尾村利成議員▽ 供給単価の引き下げの努力という点については評価をいたします。しかしながら、参画水量と使用水量の乖離が余りにも大きいわけですけれども、この原因は何ですか。どこにありますか。

▼○議長(田原正居)▽ 山根企業局長。

▼○企業局長(山根勝彦)▽ 参画水量の見直しにつきましては、21年8月に照会をしたときに、社会経済情勢の変化等の要因があった中で、それぞれの受水市町のほうで見直しが行われました。先ほどトータルの数字は説明したところでございますが、そういう状況の中で新たな見直しが行われて、結果として参画水量、全受水市町合計でございますけども、3万5,400トンは必要だと、こういうことが提出されましたので、県としてはこれをもとに今事業を進めていると、こういう状況でございます。

▼○議長(田原正居)▽ 尾村議員。

▼○尾村利成議員▽ ですから、参画水量が3万5,400トン、御答弁があったように、30年平均の受水量というのは2万1,846トン、すなわち参画水量に対する受水量というのは61%なわけですね。だから、言い方をかえると4割の水は要らないわけですよ。4割の水は要らない、使う水は6割なんです。しかし、3月の末をめどに県と受水団体が契約をするわけですね、受給契約、受給契約をして使用水量と、そしていわゆる単価が決まるわけですよ。この単価の計算の中には、いわゆる使わない水代までの施設の整備費だとか水源費というものは全部入っているんです。そうなるとこれはどうなるかというと、市に対して、受水団体に対してこれは負担となるわけです。それは、言いかえれば住民に対する負担となるわけです。だから、今の状態で言えば、4割の水は使わないのに、6割しか使わないのにその責任をだれがとっているのかといったら、積算根拠を誤った県ではなくて、一人一人の水を使う住民が料金の値上げという形で責任をとるという方向だというのが、現時点の状況ではないかというふうに私は思うわけですけども、これは違いますでしょうか、どうでしょうか。

▼○議長(田原正居)▽ 山根企業局長。

▼○企業局長(山根勝彦)▽ 参画水量あるいは契約見込み水量につきまして、先ほど申しましたように、これまで受水市町から必要とされる水量を県としていただいたわけでございます。それを取りまとめた結果でございます。もちろん、県も一緒になってやってきておりますから、市町村の見通しについても一定の役割というものは県にあろうかと思いますけども、最終的には受水市町が判断されるものというふうには考えております。

▼○議長(田原正居)▽ 尾村議員。

▼○尾村利成議員▽ 知事、私が言っている意味は十分おわかりだと思います。知事、やはり私は事業主体として積算根拠、需要予測を誤った責任というのは、やはり県は認めないといけない。明らかに間違っているんですから、間違ったんですから、これはもう結果が示しているわけですから、ですから私はこの立場から料金の低減策を県として講じていただきたい。先ほど冒頭言いましたように、松江の水は今でも全国で9番なんですよ。これが大幅に上がるんです。払えない人が出るんです、一層。だから私はここは譲れない。知事としての料金低減策に向けての決断を求めたいと思います。どうでしょうか。

▼○議長(田原正居)▽ 溝口知事。

▼○知事(溝口善兵衛)▽ 先ほど来、企業局長が申しております。斐伊川水道事業は、県東部における将来にわたる安全かつ安定した供給体制を確保するために始まり、その間参画される市町村とよく協議をしながら進めてきたわけです。そして、県としては受水をされる市町が幾ら必要かということがやはり最も大事でございまして、それは各市町から相談をもちろんしますけども、市町でお決めになるほかないわけであります。おっしゃったように、契約した水量に対するものを支払わなきゃいかんわけでありますから、しかし16年ぐらいの段階では、その試算でいくと非常にまだ高いということが判明をして、それで企業局長も紹介をしましたけども、コストの安い工法を採用する、あるいは飯梨川水道と一体的な運転管理をすることによって受水費の負担を軽減をする、さらに22年以降になりましては、利子負担の軽減でありますとか経費の見直し等々をしまして、それで昨年の7月の段階でトン当たりでございますか、117円程度ということになりまして、それで受水市町にお示しをし、御了解をいただいたところでございます。

 そういう意味におきまして、やはりこのダムによります斐伊川水道事業というのは、県、市、関係市町一体となってやっておって、その結果こういう117円というところに到達をしたわけでございますから、この数字というのを双方ともできるだけ尊重していく必要があろうというふうに思っているところでございます。私からは以上であります。

▼○議長(田原正居)▽ 尾村議員。

▼○尾村利成議員▽ 私も繰り返しますが、結果的に使わない水まで住民が責任をとる形となっているんです。私はこれは不条理だと思います。

 今、松江は公共料金の値上げラッシュなんですよ。国保料が10%上がった、ごみ袋代も上がる、下水道は今度9.58上がるんです、この4月から。ごみ袋、下水道9.58、下水道と上水道を合わせて今全国7位なんですよ。下水道が9.58上がる、水道が上がる、そうすると私は全国トップクラスの水の負担にこの松江市民は悩まされてしまうというふうに思うわけです。需要予測を誤ったツケは、私は住民に押しつけるべきではないと思います。この点で私は県として受水団体の資本費負担軽減をしっかり図るべきであるということ、それから使わない水に対する県としての財源措置を講じることを強く求めて、質問を終わります。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画